JP3655296B2 - 光情報記録媒体及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、光情報記録媒体に係り、特に、メーカ名や著作権保護対策用情報等のメディア情報がプリピットの形で書きこまれた光情報記録媒体に関する。
近年、CD(コンパクトディスク)に比べて数倍の記録容量を有するDVD(デジタル多用途ディスク)が、映画等の画像や音声等の情報を記録した情報記録媒体として、広く使用されている。また、このDVDに対して、ユーザ側で情報の記録を1回に限り行うことができるDVD−R(追記型のデジタル多用途ディスク)や、情報の書換えを可能とするDVD−RW(書換え可能型のデジタル多用途ディスク)が既に製品化され、今後の大容量の情報記録媒体として、広く一般化されると思われる。
通常、DVD−R及びDVD−RWでは、そのディスクのメーカ情報や、著作権保護対策用情報等の情報(以下、メディア情報という)がディスク最内周部や最外周部に予め記憶されている。これらのメディア情報は、ディスク製造工程の最終段階で、記録装置を用いて、光照射等により記録層を変性させることで記録している。これに対し、メディア情報を上記のような記録層に記録するのではなく、ディスクの基板製造段階において、予め基板のグルーブにエンボスピット(以下、イングルーブピットという)の形で記録する方法が開示されている(例えば、特許文献1参照)。この方法を用いて作製した光情報記録媒体の一部を、図1に示す。図1(a)は、光情報記録媒体の部分拡大平面図であり、イングルーブピットが形成された領域(以下、イングルーブピット領域という)を、概略的に表わしている。また、図1(b)及び(c)は、それぞれ、図1(a)のA−A線断面及びB−B線断面を示した図である。この光情報記録媒体では、図1(b)に示すように、ランド及びグルーブが形成された基板101のランド表面101aを基準としたときのイングルーブピット107の底面(最下面)107aまでの深さdp”が、同じくランド表面101aを基準としてグルーブ105の底面(最下面)105aまでの深さdg”より深く形成されている。これにより、この基板101のパターン形成面上に記録層102及び反射層103を形成した場合、イングルーブピット107が形成されている部分と、イングルーブピット107が形成されていないグルーブの部分とでは、形成される各層の表面高さに違いが生じる。したがって、このイングルーブピット部分とグルーブ部分との深さの違いを利用することにより、メディア情報等のデータをグルーブに記録することができる。
ところで、有機色素を含む溶液をスピンコート法を用いて塗布することにより記録層を形成した光情報記録媒体では、媒体の内側(内周部)の記録層の厚みに比べて外側(外周部)の記録層の厚みが厚くなるように形成される。この厚みの差は、用いる有機色素材料や溶媒の種類によって異なるが、スピンコートの際の溶媒の乾燥や有機色素材料の溶液が基板の内側から外側に向かって展開することに起因して生じる。これにより、媒体の基板表面に形成された案内溝上に形成される記録層は、媒体の内側に比べて外側が厚くなるように形成される。この厚みの差によって、光情報記録媒体の内側と外側とでは反射率が変動してしまい、プッシュプル信号や記録再生信号の変調度等の諸特性が不均一となるという問題があった。これを解決する手段として、予め記録層が形成される基板の溝を基板の内周から外周に向かって深く且つ広く形成する方法が開示されている(例えば、特許文献2参照)。
特開2001−67733号公報(第5−6頁、第1−3図) 特開2002−237100号公報(第5−6欄)
上記のようなイングルーブピットを有する光情報記録媒体を用いて、実際に情報の記録再生を行った場合、イングルーブピット領域と、ユーザ側の記録領域であるグルーブのみが形成された領域(以下、グルーブ領域という)との境界部をトラッキングした際に、しばしばトラッキングが外れるエラーが確認されている。これは、図15に示すように、基板にイングルーブピット151を形成することにより隣接するランド152の側壁が削られてしまうことに原因がある。隣接するランド152の側壁が削られることにより、イングルーブピット151とグルーブ153との間にあるランド152の上面の面積が、通常のグルーブ153間におけるランド154の上面の面積よりも小さくなる。それに応じて、ランド152とランド154上に形成される記録層及び反射層の面積にも差が生じる。このランド152とランド154との間のグルーブ153を光スポットSPでトラッキングした場合、光スポットSPがグルーブ153の中央に位置していても、ランド154から得られる反射光RF1の光量と、ランド152から得られる反射光RF2の光量との間に差が生じ、ラジアルプッシュプル信号はオフセットしてしまう。これにより、グルーブの良好なトラッキングが行えなくなり、ジッターの増加や変調度の減少を招く。また、場合によっては、トラッキングが外れてしまうこともある。
実際のラジアルプッシュプル信号検出においては、波長λ=650nm、開口数NA=0.6の光ピックアップを用いた場合、直径φ=1μm程度の光スポットが光情報記録媒体上を半径方向に走査する。このとき、光情報記録媒体が高速で回転している為、光スポットはトラッキング方向に対して垂直な方向に走査されるのではなく、トラッキング方向に対して緩やかな角度をなす方向に走査される。ラジアルプッシュプル信号は、ピットを分解して検出できる程の周波数特性を有していないため、グルーブより深く形成されたイングルーブピット部分では、幅の広いグルーブを検出していることと同等となる。したがって、この場合、イングルーブピット領域とグルーブ領域との境界部を境にグルーブの幅が極端に変化したことになり、ラジアルプッシュプル信号の乱れが生じる。
特に、DVD−RやDVD−RWでは、ラジアルプッシュプル信号を用いてトラッキングを行っており、ラジアルプッシュプル信号のオフセットや乱れによりトラッキングエラーが引き起こされる。したがって、DVD−RやDVD−RWにおいては、上記トラッキングエラーを防止する必要がある。
また、イングルーブピットを有する光情報記録媒体の基板は、通常RIE装置を用いてエッチングした原盤を用いて作製するが、通常RIE装置を用いてエッチングすることにより原盤表面に溝を形成した場合には、形成される溝の深さは略一定となる。このようなRIE装置を用いて、原盤表面に内側から外側に向かって連続的に深くなるような溝を形成することは困難であった。
そこで、本発明の目的は、上記イングルーブピット領域とグルーブ領域との境界部分をトラッキングした場合においても、安定したラジアルプッシュプル信号を得ることが可能な光情報記録媒体及びその製造方法を提供することにある。
また、本発明の別の目的は、色素材料からなる記録層が形成された、イングルーブピットを有する光情報記録媒体であって、媒体の内側と外側とで反射率変動を抑制することによって諸特性が均一となる光情報記録媒体及びその製造方法を提供することにある。
本発明の第1の態様に従えば、複数のランド及びグルーブが形成された基板と、該基板上に有機色素を含有する記録層と反射層とを有する光情報記録媒体であって、
上記グルーブが、第1グルーブと;
ピットが形成されている第2グルーブと;
第2グルーブのピットより幅の狭いピットが形成されている第3グルーブと;を含み、
第3グルーブが、第1グルーブと第2グルーブとの間に配置され、
第1グルーブ、第2グルーブのグルーブ及び第3グルーブのグルーブが、上記光情報記録媒体の内側から外側に向かって連続的に深くなるような溝深さで且つ連続的に広くなるような溝幅で形成されていることを特徴とする光情報記録媒体が提供される。
本発明の光情報記録媒体の基板には、複数のランド及びグルーブが形成されており、一部のグルーブにピット(イングルーブピット)が形成されている。このイングルーブピットが形成された領域(イングルーブピット領域)とグルーブのみが形成された領域(グルーブ領域)との境界部分に、さらに、上記イングルーブピットよりも幅の狭いイングルーブピットが形成された領域(以下、境界ピット領域という)が設けられている。これにより、基板表面において、イングルーブピット領域からグルーブ領域にかけて、緩やかな形状変化が得られる。よって、この基板を用いた光情報記録媒体では、イングルーブが形成された領域とグルーブのみが形成された領域との境界部を跨ぐようにトラッキングをかけた場合においても、ラジアルプッシュプル信号の乱れが少なく、安定したトラッキングを行うことができる。また、本発明の光情報記録媒体の基板に形成されているグルーブは、媒体の内側から外側に向かって連続的に深くなるような溝深さで且つ連続的に広くなるような溝幅で形成されている。これにより、基板上にスピン塗布によって有機色素材料からなる記録層を形成した場合でも、グルーブ部分における記録層と反射層との界面の高さが光情報記録媒体の内側から外側にかけて全体的に略同じとなるように記録層を形成することができる。
本発明の光情報記録媒体では、上記光情報記録媒体の内側に位置する第1グルーブの半値幅をWgiで表わし、上記光情報記録媒体の外側に位置する第1グルーブの半値幅をWgoで表わし、第2グルーブのピットにおける半値幅をWpで表わし、第3グルーブのピットにおける半値幅をWpbで表わしたときに、Wgi<Wgo≦Wpb<Wpであることが望ましい。また、半値幅Wpと半値幅Wpbとの比Wp/Wpbが、1.05≦Wp/Wpb≦1.15であることが望ましい。Wp/Wpb<1.05であると、第1グルーブにおけるラジアルプッシュプル信号にオフセットや乱れが生じ易くなり、1.15<Wp/Wpbであると第3グルーブに形成されたイングルーブピットからの信号変調度が低くなるために望ましくない。
本発明の光情報記録媒体では、上記光情報記録媒体の内側に位置する第1グルーブの基板表面からの深さをdgiで表わし、上記光情報記録媒体の外側に位置する第1グルーブの基板表面からの深さをdgoで表わしたときに、深さdgiと深さdgoとの比dgo/dgiが、1.00<dgo/dgi≦1.10であることが望ましい。dgo/dgi≦1.00であると、グルーブ部分に対応する記録層の窪み深さが光情報記録媒体の内側から外側にかけて浅くなる。これにより、媒体の外側ほどプッシュプル信号が低下し、媒体の内側と外側でバランスが崩れる。また、dgo/dgi>1.10であると、グルーブ部分に対応する記録層の窪み深さが光情報記録媒体の内側から外側にかけて深くなる。これにより、媒体の外側ほどプッシュプル信号が大きくなり、媒体の内側と外側でバランスが崩れる。さらに、dgo/dgi>1.10であると、媒体外側のグルーブ部分が深すぎるので、グルーブ部分の光の反射率は低下する。
また、本発明では、半値幅Wgiと半値幅Wgoとの比Wgo/Wgiが、1.03≦Wgo/Wgi≦1.10であることが望ましい。Wgo/Wgi<1.03であると、グルーブ部分に対応する記録層の窪み深さが光情報記録媒体の内側から外側にかけて浅くなるとともに窪みの幅が狭くなる。これにより、媒体の外側ほどプッシュプル信号が低下するとともに記録密度も低下し、媒体の内側と外側でバランスが崩れる。また、Wgo/Wgi>1.10であると、グルーブ部分に対応する記録層の窪み深さが光情報記録媒体の内側から外側にかけて深くなるとともに窪みの幅が広くなる。これにより、外側ほどプッシュプル信号が大きくなるとともに記録密度も大きくなり、媒体の内側と外側でバランスが崩れる。本発明では、グルーブ部分における記録層と反射層との界面の高さが光情報記録媒体全体で略同じとなるように、色素材料からなる記録層を形成することができる。
本発明では、上記ランド表面上の記録層と反射層との界面から上記光情報記録媒体の内側に位置する第1グルーブにおける記録層と反射層との界面までの記録層の窪み深さをTgiで表わし、上記ランド表面上の記録層と反射層との界面から上記光情報記録媒体の外側に位置する第1グルーブにおける記録層と反射層との界面までの記録層の窪み深さをTgoで表わし、上記ランド表面上の記録層と反射層との界面から第2グルーブのピットにおける記録層と反射層との界面からの記録層の窪み深さをTpで表わし、上記ランド表面上の記録層と反射層との界面から第3グルーブのピットにおける記録層と反射層との界面までの記録層の窪み深さをTpbで表わしたときに、Tgi=Tgo<Tpb<Tpであることが望ましい。これにより、ラジアルプッシュプル信号の乱れの低減が可能となる。
本発明では、上記グルーブの同一グルーブ内に形成されているピットが、第1ピットと、グルーブ方向の長さが第1ピットよりも長い第2ピットで構成されており、第1ピットにおける基板半径方向の最大幅をWで表わし、第2ピットにおける基板半径方向の最大幅をWで表わしたとき、1≦W/W<1.2であることが望ましい。
本発明では、上記有機色素材料がアゾ系色素材料であることが望ましい。
本発明の第2の態様に従えば、第1の態様の光情報記録媒体の製造方法であって、
原盤上に形成された感光性材料を原盤の内側から外側に向かって連続的に変化するような露光強度で照射することにより、該感光性材料に第1グルーブ、第2グルーブのグルーブ及び第3グルーブのグルーブに対応するパターンを露光するとともに、2種の異なる露光強度で照射することにより、該感光性材料に第2グルーブのピット及び第3グルーブのピットに対応するパターンを露光することと;
上記露光後に、原盤を現像及びRIEによるエッチングを行うことにより、第1グルーブ、ピット付き第2グルーブ及びピット付き第3グルーブに対応するパターンを形成することと;
上記パターンが形成された原盤を用いて、基板を成形することと;
該基板上に記録層及び反射層を形成することと;を含む光情報記録媒体の製造方法が提供される。
本発明の製造方法を用いることにより、本発明の第1の態様の光情報記録媒体を製造することができる。
本発明の光情報記録媒体の製造方法では、上記ピットに対応するパターンを露光する際の露光強度を、始めに第1の露光強度とし、次いで第1の露光強度よりも低い第2露光強度とし、さらに第1の露光強度に変更することが望ましい。これにより、ピット長が長いイングルーブピットを形成する場合においても、基板半径方向の幅の広がりを抑制することができる。これは、原盤露光時に、第2の露光強度で露光した間の積算露光量を低減することにより、ピットを通じてほぼ一定の積算露光量を与えることができるからである。また、光情報記録媒体を再生するときのクロック周期をTと表わしたときに、第1の露光強度で露光する期間をそれぞれ1T〜1.5Tに設定することが望ましい。さらに、上記原盤の露光の際に、上記露光強度に加えて露光強度を0にすることを含むことが望ましい。
本発明では、上記RIEによるエッチングを、上記原盤の内側と外側とでRIEに用いるガスの流量を変えて行うことが望ましい。これにより、原盤に形成されるグルーブに対応する部分を、RIEを用いて原盤の内側から外側に向かって深くなるように形成することができる。
本発明の第3の態様に従えば、複数のランド及びグルーブが形成された基板と、該基板上に有機色素を含有する記録層と反射層とを有する光情報記録媒体であって、
上記グルーブが、第1グルーブと;
第1グルーブより幅の広い第2グルーブと;
ピットが形成されている第3グルーブと;を含み、
第2グルーブが、第1グルーブと第3グルーブとの間に配置され、
第1グルーブ及び第3グルーブのグルーブが、上記光情報記録媒体の内側から外側に向かって連続的に深くなるような溝深さで且つ連続的に広くなるような溝幅で形成されていることを特徴とする光情報記録媒体が提供される。
本発明の光情報記録媒体の基板には、複数のランド及びグルーブが形成されており、一部のグルーブにイングルーブピットが形成されている。また、イングルーブピット領域とグルーブ領域との境界部分に、さらに、通常のグルーブよりも幅の広いグルーブ(境界グルーブ)が形成された領域(以下、境界グルーブ領域という)が設けられている。この基板を用いた光情報記録媒体では、イングルーブピットとグルーブのみ形成された光情報記録媒体に比べて、イングルーブピット領域からグルーブ領域にかけて隣り合うグルーブ間でのグルーブ幅の変化が緩やかであるので、ラジアルプッシュプル信号の乱れが少なく、安定したトラッキングを行うことができる。また、本発明の光情報記録媒体の基板に形成されているグルーブは、媒体の内側から外側に向かって連続的に深くなるような溝深さで且つ連続的に広くなるような溝幅で形成されている。これにより、基板上にスピン塗布によって有機色素材料からなる記録層を形成した場合でも、グルーブ部分における記録層と反射層との界面の高さが光情報記録媒体の内側から外側にかけて全体的に略同じとなるように記録層を形成することができる。
本発明の光情報記録媒体では、上記光情報記録媒体の内側に位置する第1グルーブの半値幅をWgiで表わし、上記光情報記録媒体の外側に位置する第1グルーブの半値幅をWgoで表わし、第2グルーブの半値幅をWgbで表わし、第3グルーブのピットにおける半値幅をWpで表わしたときに、Wgi<Wgo≦Wgb≦Wpであることが望ましい。
本発明の光情報記録媒体では、上記光情報記録媒体の内側に位置する第1グルーブの基板表面からの深さをdgiで表わし、上記光情報記録媒体の外側に位置する第1グルーブの基板表面からの深さをdgoで表わしたときに、深さdgiと深さdgoとの比dgo/dgiが、1.00<dgo/dgi≦1.10であることが望ましい。dgo/dgi≦1.00であると、グルーブ部分に対応する記録層の窪み深さが光情報記録媒体の内側から外側にかけて浅くなる。これにより、媒体の外側ほどプッシュプル信号が低下し、媒体の内側と外側でバランスが崩れる。また、dgo/dgi>1.10であると、グルーブ部分に対応する記録層の窪み深さが光情報記録媒体の内側から外側にかけて深くなる。これにより、媒体の外側ほどプッシュプル信号が大きくなり、媒体の内側と外側でバランスが崩れる。さらに、dgo/dgi>1.10であると、媒体外側のグルーブ部分が深すぎるので、グルーブ部分の光の反射率は低下する。
また、本発明では、半値幅Wgiと半値幅Wgoとの比Wgo/Wgiが、1.03≦Wgo/Wgi≦1.10であることが望ましい。Wgo/Wgi<1.03であると、グルーブ部分に対応する記録層の窪み深さが光情報記録媒体の内側から外側にかけて浅くなるとともに窪みの幅が狭くなる。これにより、媒体の外側ほどプッシュプル信号が低下するとともに記録密度も低下し、媒体の内側と外側でバランスが崩れる。また、Wgo/Wgi>1.10であると、グルーブ部分に対応する記録層の窪み深さが光情報記録媒体の内側から外側にかけて深くなるとともに窪みの幅が広くなる。これにより、外側ほどプッシュプル信号が大きくなるとともに記録密度も大きくなり、媒体の内側と外側でバランスが崩れる。本発明では、グルーブ部分における記録層と反射層との界面の高さが光情報記録媒体全体で略同じとなるように、色素材料からなる記録層を形成することができる。
本発明では、上記ランド表面上の記録層と反射層との界面から上記光情報記録媒体の内側に位置する第1グルーブにおける記録層と反射層との界面までの記録層の窪み深さをTgiで表わし、上記ランド表面上の記録層と反射層との界面から上記光情報記録媒体の外側に位置する第1グルーブにおける記録層と反射層との界面までの記録層の窪み深さをTgoで表わし、上記ランド表面上の記録層と反射層との界面から第2グルーブにおける記録層と反射層との界面からの記録層の窪み深さをTgbで表わし、上記ランド表面上の記録層と反射層との界面から第3グルーブのピットにおける記録層と反射層との界面までの記録層の窪み深さをTpで表わしたときに、Tgi=Tgo<Tgb<Tpであることが望ましい。また、上記グルーブの同一グルーブ内に形成されているピットが、第1ピットと、グルーブ方向の長さが第1ピットよりも長い第2ピットで構成されており、第1ピットにおける基板半径方向の最大幅をWで表わし、第2ピットにおける基板半径方向の最大幅をWで表わしたとき、1≦W/W<1.2であることが望ましい。
本発明では、上記有機色素材料がアゾ系色素材料であることが望ましい。
本発明の第4の態様に従えば、第3の態様の光情報記録媒体の製造方法であって、
原盤上に形成された感光性材料を原盤の内側から外側に向かって連続的に変化するような露光強度で照射することにより、該感光性材料に第1グルーブ及び第3グルーブのグルーブに対応するパターンを露光するとともに、2種の異なる露光強度で照射することにより、該感光性材料に第2グルーブ及び第3グルーブのピットに対応するパターンを露光することと;
上記露光後に、原盤を現像及びRIEによるエッチングを行うことにより、第1グルーブ、第2グルーブ及びピット付き第3グルーブに対応するパターンを形成することと;
上記パターンが形成された原盤を用いて、基板を成形することと;
該基板上に記録層及び反射層を形成することと;を含む光情報記録媒体の製造方法が提供される。
本発明の製造方法を用いることにより、本発明の第3の態様の光情報記録媒体を製造することができる。
本発明では、上記ピットに対応するパターンを露光する際の露光強度を、始めに第1の露光強度とし、次いで第1の露光強度よりも低い第2露光強度とし、さらに第1の露光強度に変更することが望ましい。これにより、ピット長が長いイングルーブピットを形成する場合においても、基板半径方向の幅の広がりを抑制することができる。また、光情報記録媒体を再生するときのクロック周期をTと表わしたときに、第1の露光強度で露光する期間をそれぞれ1T〜1.5Tに設定することが望ましい。さらに、上記原盤の露光の際に、上記露光強度に加えて露光強度を0にすることを含むことが望ましい。また、上記RIEによるエッチングを、上記原盤の内側と外側とでRIEに用いるガスの流量を変えて行うことが望ましい。
本発明の第5の態様に従えば、複数のランド及びグルーブが形成された基板と、該基板上に有機色素を含有する記録層と反射層とを有する光情報記録媒体であって、
上記グルーブが、第1グルーブと;
第1グルーブより幅の広い第2グルーブと;
ピットが形成されている第3グルーブと;
第3グルーブのピットより幅の狭いピットが形成されている第4グルーブと;を含み、
第1〜第4グルーブが、第1グルーブ、第2グルーブ、第4グルーブ、第3グルーブの順に配置され、
第1グルーブ、第3グルーブのグルーブ及び第4グルーブのグルーブが、上記光情報記録媒体の内側から外側に向かって連続的に深くなるような溝深さで且つ連続的に広くなるような溝幅で形成されていることを特徴とする光情報記録媒体が提供される。
本発明の光情報記録媒体の基板には、複数のランド及びグルーブが形成されており、一部のグルーブにイングルーブピットが形成されている。また、イングルーブピット領域とグルーブ領域との間に、境界ピット領域が設けられ、さらに境界ピット領域とグルーブ領域との間には通常のグルーブよりも幅の広い境界グルーブが設けられている。この基板を用いた光情報記録媒体では、境界グルーブ領域を設けることによって、グルーブ領域から境界ピット領域にかけて、互いに隣り合うグルーブ幅の変化が緩やかとなるので、第1の態様による光情報記録媒体に比べてラジアルプッシュプル信号の乱れをさらに抑制することができる。また、グルーブ領域と境界ピット領域の間に境界グルーブ領域が設けられているので、境界グルーブ領域が存在しない場合に比べて、境界ピット領域におけるイングルーブピットの寸法を大きくすることができる。これによって、境界ピット領域のイングルーブピットから変調度が高い再生信号を得ることが可能となる。また、本発明の光情報記録媒体の基板に形成されているグルーブは、媒体の内側から外側に向かって連続的に深くなるような溝深さで且つ連続的に広くなるような溝幅で形成されている。これにより、基板上にスピン塗布によって有機色素材料からなる記録層を形成した場合でも、グルーブ部分における記録層と反射層との界面の高さが光情報記録媒体の内側から外側にかけて全体的に略同じとなるように記録層を形成することができる。
本発明の光情報記録媒体では、上記光情報記録媒体の内側に位置する第1グルーブの半値幅をWgiで表わし、上記光情報記録媒体の外側に位置する第1グルーブの半値幅をWgoで表わし、第2グルーブの半値幅をWgbで表わし、第3グルーブのピットにおける半値幅をWpで表わし、第4グルーブのピットにおける半値幅をWpbで表わしたときに、Wgi<Wgo≦Wgb≦Wpb<Wpであることが望ましい。また、半値幅Wpと半値幅Wpbとの比Wp/Wpbが、1.05≦Wp/Wpb≦1.15であることが望ましい。前述の通り、Wp/Wpb<1.05であると、第1グルーブにおけるラジアルプッシュプル信号にオフセットや乱れが生じ易くなり、1.15<Wp/Wpbであると第3グルーブに形成されたイングルーブピットからの信号変調度が低くなるために望ましくない。
本発明の光情報記録媒体では、上記光情報記録媒体の内側に位置する第1グルーブの基板表面からの深さをdgiで表わし、上記光情報記録媒体の外側に位置する第1グルーブの基板表面からの深さをdgoで表わしたときに、深さdgiと深さdgoとの比dgo/dgiが、1.00<dgo/dgi≦1.10であることが望ましい。dgo/dgi≦1.00であると、グルーブ部分に対応する記録層の窪み深さが光情報記録媒体の内側から外側にかけて浅くなる。これにより、媒体の外側ほどプッシュプル信号が低下し、媒体の内側と外側でバランスが崩れる。また、dgo/dgi>1.10であると、グルーブ部分に対応する記録層の窪み深さが光情報記録媒体の内側から外側にかけて深くなる。これにより、媒体の外側ほどプッシュプル信号が大きくなり、媒体の内側と外側でバランスが崩れる。さらに、dgo/dgi>1.10であると、媒体外側のグルーブ部分が深すぎるので、グルーブ部分の光の反射率は低下する。
また、本発明では、半値幅Wgiと半値幅Wgoとの比Wgo/Wgiが、1.03≦Wgo/Wgi≦1.10であることが望ましい。Wgo/Wgi<1.03であると、グルーブ部分に対応する記録層の窪み深さが光情報記録媒体の内側から外側にかけて浅くなるとともに窪みの幅が狭くなる。これにより、媒体の外側ほどプッシュプル信号が低下するとともに記録密度も低下し、媒体の内側と外側でバランスが崩れる。また、Wgo/Wgi>1.10であると、グルーブ部分に対応する記録層の窪み深さが光情報記録媒体の内側から外側にかけて深くなるとともに窪みの幅が広くなる。これにより、外側ほどプッシュプル信号が大きくなるとともに記録密度も大きくなり、媒体の内側と外側でバランスが崩れる。本発明では、グルーブ部分における記録層と反射層との界面の高さが光情報記録媒体全体で略同じとなるように、色素材料からなる記録層を形成することができる。
本発明では、上記ランド表面上の記録層と反射層との界面から上記光情報記録媒体の内側に位置する第1グルーブにおける記録層と反射層との界面までの記録層の窪み深さをTgiで表わし、上記ランド表面上の記録層と反射層との界面から上記光情報記録媒体の外側に位置する第1グルーブにおける記録層と反射層との界面までの記録層の窪み深さをTgoで表わし、上記ランド表面上の記録層と反射層との界面から第2グルーブにおける記録層と反射層との界面からの記録層の窪み深さをTgbで表わし、上記ランド表面上の記録層と反射層との界面から第3グルーブのピットにおける記録層と反射層との界面までの記録層の窪み深さをTpで表わし、上記ランド表面上の記録層と反射層との界面から第4グルーブのピットにおける記録層と反射層との界面からの記録層の窪み深さをTpbで表わしたときに、Tgi=Tgo<Tgb<Tpb<Tpであることが望ましい。これにより、ラジアルプッシュプル信号の乱れの低減が可能となる。
本発明では、上記グルーブの同一グルーブ内に形成されているピットが、第1ピットと、グルーブ方向の長さが第1ピットよりも長い第2ピットで構成されており、第1ピットにおける基板半径方向の最大幅をWで表わし、第2ピットにおける基板半径方向の最大幅をWで表わしたとき、1≦W/W<1.2であることが望ましい。
本発明では、上記有機色素材料がアゾ系色素材料であることが望ましい。
本発明の第6の態様に従えば、第5の態様の光情報記録媒体の製造方法であって、
原盤上に形成された感光性材料を原盤の内側から外側に向かって連続的に変化するような露光強度で照射することにより、該感光性材料に第1グルーブ、第3グルーブのグルーブ及び第4グルーブのグルーブに対応するパターンを露光するとともに、3種の異なる露光強度で照射することにより、該感光性材料に第2グルーブ、第3グルーブのピット及び第4グルーブのピットに対応するパターンを露光することと;
上記露光後に、原盤を現像及びRIEによるエッチングを行うことにより、第1グルーブ、第2グルーブ、ピット付き第3グルーブ及びピット付き第4グルーブに対応するパターンを形成することと;
上記パターンが形成された原盤を用いて、基板を成形することと;
該基板上に記録層及び反射層を形成することと;を含む光情報記録媒体の製造方法が提供される。
本発明の製造方法を用いることにより、本発明の第5の態様の光情報記録媒体を製造することができる。
本発明の光情報記録媒体の製造方法では、上記ピットに対応するパターンを露光する際の露光強度を、始めに第1の露光強度とし、次いで第1の露光強度よりも低い第2露光強度とし、さらに第1の露光強度に変更することが望ましい。これにより、ピット長が長いイングルーブピットを形成する場合においても、基板半径方向の幅の広がりを抑制することができる。これは、原盤露光時に、第2の露光強度で露光した間の積算露光量を低減することにより、ピットを通じてほぼ一定の積算露光量を与えることができるからである。また、光情報記録媒体を再生するときのクロック周期をTと表わしたときに、第1の露光強度で露光する期間をそれぞれ1T〜1.5Tに設定することが望ましい。さらに、上記原盤の露光の際に、上記露光強度に加えて露光強度を0にすることを含むことが望ましい。
本発明では、上記RIEによるエッチングを、上記原盤の内側と外側とでRIEに用いるガスの流量を変えて行うことが望ましい。これにより、RIEを用いて、原盤に形成されるグルーブに対応する部分を、原盤の内側から外側に向かって深くなるように形成することができる。
本発明では、上記態様の光情報記録媒体の製造方法に用いられる原盤であって、ガラスで形成されている原盤が提供される。また、本発明では、上記態様の光情報記録媒体の製造方法に用いられる原盤を用いて作製されたスタンパが提供される。
本発明の実施の形態を、図を用いて説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
[基板作製の為の原盤及びスタンパの作製方法]
本発明における光情報記録媒体の基板には、図7に示すように、基板1の内周側から順に、グルーブ領域71、境界ピット領域72、イングルーブピット領域73、境界ピット領域74及びグルーブ領域75が形成されている。この基板1を作製するための原盤及びスタンパの作製方法について、図2〜7を用いて説明する。図2(a)に示すように、直径200mm、厚さ6mmのガラス原盤50を用意した。次いで、図2(b)に示すように、ガラス原盤50の一方の表面50a上に、フォトレジスト52を、スピンコート法を用いて、厚さ200nmで均一に塗布した。次いで、フォトレジスト52が形成されたガラス原盤50を、不図示のカッティング装置に装着した。カッティング装置は、主に、波長351nmのレーザ光を発振するKrガスレーザ光源、音響光変調素子からなる光変調器、集光レンズ及びガラス原盤を回転させるための駆動装置等で構成されている。図2(c)に示すように、上記カッティング装置のレーザ光源(不図示)から出射されたレーザ光LSは、光変調器及び集光レンズを介して、ガラス原盤50上のフォトレジスト52に照射される。このとき、ガラス原盤50を、ガラス原盤50の中心軸AXを基準に、所定の回転数で回転させた。また、ガラス原盤50上のレーザ光LSの照射位置が、ガラス原盤50の半径方向に沿って、ガラス原盤50の内側から外側に向かって移動する(矢印AR2)。
上記のように、レーザ光LSをガラス原盤50上で移動させながら、ガラス原盤50に照射するレーザ光LSの露光強度を、上記光変調器を用いて変化させる。本実施例では、図3に示すように、レーザ光の露光強度を、低レベル、中レベル及び高レベルの3段階に変化させた。ガラス原盤の中心軸(AX)を基準として、半径19.0mm〜24.0mmの領域は、図7に示す基板1のグルーブ領域71に相当する(以下、第1グルーブ形成領域という)。また、半径24.0mm〜24.1mmの領域は、基板1のイングルーブピット領域73に相当する(以下、イングルーブピット形成領域という)。さらに、半径24.1mm〜58.9mmの領域は、ユーザデータ領域であり、基板1のグルーブ領域75に相当する(以下、第2グルーブ形成領域という)。図3に示すように、第1及び第2グルーブ形成領域における露光強度は、低レベル(以下、グルーブレベルという)に設定した。また、イングルーブピット形成領域における、イングルーブピットを形成するときの露光強度は高レベル(以下、イングルーブピットレベルという)に、それ以外のグルーブ部分の露光強度は、グルーブレベルに設定した。さらに、第1及び第2グルーブ形成領域とイングルーブピット形成領域との境界部に、それぞれ1トラック分に相当するイングルーブピットで形成された領域(以下、境界ピット形成領域という)を設けた。この境界ピット形成領域は、図7に示した基板1の境界ピット領域72及び74に相当する。この境界ピット形成領域のイングルーブピットを形成するときの露光強度は中レベル(以下、境界ピットレベルという)に、それ以外のグルーブ部分の露光強度はグルーブレベルに設定した。本実施例において、イングルーブピットレベルを100%とした場合、境界ピットレベルは90%、グルーブレベルは55%となるように設定した。また、境界ピット形成領域に形成される各イングルーブピットは、トラックの接線方向に、3T〜11T又は14T(T:クロック周期)のいずれかのチャネルビット長で形成される。1トラック内に形成される境界ピットのパターンはランダムパターンであればよい。また、最短チャネルビット長は、用いる再生装置に併せて調整可能である。さらに、本実施例では、露光中に露光強度を変化させる場合、図3に示したように、露光強度を切り替える毎に一時的にレーザ光の露光強度を0レベルにする期間を設けた。これにより、ガラス原盤のイングルーブピット形成領域及び境界ピット形成領域におけるイングルーブピット部分の加工精度が向上する。
次に、フォトレジストが感光されたガラス原盤をカッティング装置から取出し、現像処理を行った。これにより、図4(a)及び(b)に示すような、グルーブ形成部40、境界ピット形成部42及びイングルーブピット形成部44が、ガラス原盤50上に形成された。グルーブ形成部40は、断面がV字状の溝形状となるように形成される。また、境界ピット形成部42及びイングルーブピット形成部44では、現像処理によってガラス原盤50上のフォトレジスト52は除去され、図4(b)に示すように、ガラス原盤50の表面50aがそれぞれ露出部42a及び露出部44aとして現れる。露出部42aの、ガラス原盤半径方向における幅は、イングルーブピット形成部44の露出部44aの幅に比べて狭い。
次に、図5(a)に示すように、ガラス原盤50上に形成されているフォトレジスト52の表面を、不図示のRIE(リアクティブイオンエッチング)装置を用いて、Cのガス雰囲気中でエッチングした。これにより、イングルーブピット形成部44及び境界ピット形成部42は、それぞれガラス原盤50の表面50aから90nmの深さまでエッチングされる。次いで、図5(b)に示すように、グルーブ形成部40におけるガラス原盤50の表面50aを露出させるために、不図示のOによるレジストアッシング装置を用いて、フォトレジスト52を所定厚さだけ削った。これにより、グルーブ形成部40のガラス原盤表面50aを露出させた。さらに、図5(c)に示すように、ガラス原盤50のフォトレジスト52形成面に対して、再度Cのガス雰囲気中でRIEを行った。これにより、グルーブ形成部40は、ガラス原盤表面50aから170nmの深さまで、エッチングされた。同時に、イングルーブピット形成部44及び境界ピット形成部42は、それぞれ、ガラス原盤表面50aから260nmの深さまでエッチングされた。次いで、図5(d)に示すように、再度レジストアッシング装置(不図示)を用いて、ガラス原盤50上のフォトレジスト52を除去した。これにより、表面に所望のパターンが形成されたガラス原盤50を得た。
このガラス原盤50のパターン形成面に、メッキの前処理として無電解メッキを施した。さらに、このメッキ層を導電膜として用いることにより、厚さ0.29mmのNi層を、電鋳法によって形成した。次いで、ガラス原盤50上に形成したNi層の表面を研磨し、さらに、ガラス原盤から上記Ni層を剥離することにより、スタンパを得た。なお、上記メッキの前処理における導電膜形成を、スパッタ法や蒸着法を用いて行ってもよい。
[情報記録媒体の作製方法]
上記のスタンパを、既存の射出成形装置に装着し、射出成形により基板1を得た。基板1は、直径120mm、厚さ0.6mmのポリカーボネート製基板であり、図6に示すように、ガラス原盤に形成された凹凸パターン形状と同じ形状のパターンが、基板1の一方の面上に転写されている。前述の通り、基板1には、図7に示すようにグルーブ領域71、境界ピット領域72、イングルーブピット領域73、境界ピット領域74及びグルーブ領域(ユーザデータ領域)75が形成されている。この基板1のパタ−ン形成面上に、下記化学式(1)で表わされる、アゾ系色素1重量%の濃度を有する溶液を、スピンコート法により塗布した。このとき、上記溶液を、グルーブ部分で厚さ100nmとなるように塗布した。なお、上記色素溶液を塗布する際に、テトラフルオロプロパノールを溶媒として用いることによりアゾ系色素溶媒とし、フィルタで濾過して不純物を取り除いた。次いで、上記色素材料を塗布した基板1を70℃にて1時間乾燥させ、さらに、室温にて1時間冷却した。こうして、記録層2が基板1上に形成された(図8(b)参照)。
Figure 0003655296
さらに、図8(b)に示すように、記録層2上に、反射層3としてAg合金を厚さ160nmとなるように、スパッタ法を用いて形成した。次いで、反射層3上に、UV樹脂材料をスピンコート法により塗布し、さらに、その上に厚さ0.6mmのポリカーボネート製基板(ダミー基板)を載置した。この状態で、各層が形成された基板にUV照射を施すことにより、各層が形成された基板とダミー基板とを貼り合わせて光情報記録媒体を得た。
こうして得られた光情報記録媒体について、イングルーブピット領域73のイングルーブピット部分、境界ピット領域74の境界ピット部分及びグルーブ領域75のグルーブ部分の最大深さを、ディジタルインスツルメンツ社製AFMを用いて測定した。それらの深さは、図8(b)に示すように、基板のランド80の表面からの深さとした。グルーブ部分の最大深さdgは、170nmであった。境界ピット部分の最大深さdpbは、260nmであった。また、イングルーブピット部分の最大深さdpは、260nmであった。グルーブ部分の最大深さdg及びイングルーブピット部分の最大深さdpは、良好な信号変調度やジッター等の記録再生信号特性を得るために、1.4≦dp/dg≦1.7の条件を満たすことが望ましい。これは、本発明者らの実験に基づいて求められた条件であり、本実施例における光情報記録媒体においても、この条件を満たすようにした。また、ランド80の表面を基準として、イングルーブピット領域73のイングルーブピット部分の半値幅Wp、境界ピット領域74の境界ピット部分の半値幅Wpb及びグルーブ領域75のグルーブ部分における半値幅Wgを、それぞれディジタルインスツルメンツ社製AFMを用いて測定した。ここで、半値幅とは、ランド80の表面を基準面とし、各部分における最大深さの2分の1の深さ位置における、媒体の半径方向の溝幅又は穴の幅をいう。半値幅Wgは320nm、半値幅Wpbは350nm、半値幅Wpは400nmであった。これより、Wg≦Wpb<Wpの関係が成り立つことが分かる。また、半値幅Wpと半値幅Wpbとの比Wp/Wpb=1.14であり、1.05≦Wp/Wpb≦1.15の条件を満たすことが分かる。
さらに、図8(b)に示すように、得られた光情報記録媒体のイングルーブピット領域73のイングルーブピット部分、境界ピット領域74の境界ピット部分及びグルーブ領域75のグルーブ部分の記録層窪み深さを、ディジタルインスツルメンツ社製AFMを用いて測定した。ここで、記録層窪み深さとは、ランド80上に形成された記録層2の表面2aを基準としたときの記録層2の最大窪み量をいう。イングルーブピット領域73における記録層窪み深さTpは、170nmであった。境界ピット領域74における記録層窪み深さTpbは、135nmであった。また、グルーブ領域75の記録層窪み深さTgは、100nmであった。記録層窪み深さTp及び記録層窪み深さTgは、良好な信号変調度やジッタ−等の記録再生信号特性を得るために、1.6≦Tp/Tg≦2.0の条件を満たすことが望ましい。これは、本発明者らの実験に基づいて求められた条件であり、本実施例における光情報記録媒体においても、この条件を満たすようにした。なお、境界ピット領域74における記録層窪み深さTpbと、イングルーブピット領域73における記録層窪み深さTpまたはグルーブ領域75の記録層窪み深さTgとの条件については、境界ピット領域74の記録層窪み深さTpbがグルーブ領域75の記録層窪み深さTgとイングルーブピット領域73の記録層窪み深さTpの差を低減するという理由から、Tg<Tpb<Tpとなる。さらに、グルーブ部分の最大深さdgに対するイングルーブピット部分の最大深さdpの比率と記録層窪み深さTgに対する記録層窪み深さTpの比率が、dp/dg<Tp/Tgの条件を満たすことが望ましい。イングルーブピットの最大深さdpがグルーブ部分の最大深さdgに対して、十分な信号変調度やラジアルプッシュプル信号が得られるような条件でない場合でも、基板上に記録層として色素材料を塗布することにより、記録情報再生時においてグルーブ部におけるレーザ光の光路長とイングルーブピット部におけるレーザ光の光路長との差が拡大され、光路長差を大きくすることができる。これにより、十分な信号変調度やラジアルプッシュプル信号を得ることができる。
上記実施例で得た光情報記録媒体を、波長650nmのレーザ光及び開口数0.6のレンズを有する光ピックアップを用いて、イングルーブピット領域の記録信号の再生を行った。信号の検出及び再生は安定して行うことができ、また、このときの再生信号の信号変調度は61%、ジッターは7.2%であり、いずれも良好な結果を得ることができた。
なお、本実施例では、図8(a)に示すように、イングルーブピット73aと境界ピット74aとが隣り合う領域について述べたが、イングルーブピットと境界ピット領域におけるグルーブ部分が隣り合う領域でトラッキングしているときでも、以下の理由によりトラッキングエラーは生じない。光スポットがある程度のスポットサイズを有していることに加え、実際のトラッキングの際には光スポットがトラッキング方向に対して垂直ではなく緩やかな角度をなす方向に走査されるので、境界ピット領域をトラッキングした場合、光スポット内にいずれかの境界ピット部分が入ることになる。これにより、境界ピット領域から得られるラジアルプッシュプル信号は平均化され、グルーブとイングルーブピットのみ形成された光情報記録媒体に比べて、トラッキングの際のイングルーブピット領域とグルーブ領域との間のラジアルプッシュプル信号の乱れを抑制することができる。
比較例1
次に、上記実施例で作製した光情報記録媒体のラジアルプッシュプル信号出力と、従来のイングルーブピットを有する情報記録媒体のラジアルプッシュプル信号出力との比較結果を示す。図9(a)は、上記実施例で作製した光情報記録媒体の検出結果を示し、上段に、シーク時における光ピックアップの2分割ディテクタからの和信号saの出力を、下段に、差信号(ラジアルプッシュプル信号)ppaの出力を示している。図9(b)は、従来のイングルーブピットを有する光情報記録媒体の検出結果を示し、上段に、シーク時における和信号sbの出力を、下段に、差信号(ラジアルプッシュプル信号)ppbの出力を、それぞれ示している。図9(a)、図9(b)共に、和信号sa、sbの振幅レベルが大きく変化したところ(図9(a)中、符号9a及び図9(b)中、符号9bでそれぞれ表わされたところ)が、イングルーブピット領域とグルーブ領域との境界部となる。図9(a)の符号9aに対応する位置、即ち、上記実施例の光情報記録媒体における、イングルーブピット領域とグルーブ領域との境界部では、下段に示す差信号(ラジアルプッシュプル信号)ppaの乱れは殆ど見られない。一方、図9(b)の符号9bに対応する位置、即ち、従来のイングルーブピットを有する光情報記録媒体における、イングルーブピット領域とグルーブ領域との境界部では、下段に示す差信号(ラジアルプッシュプル信号)ppbの乱れが大きいことが確認できた。上述の通りDVD−R及びDVD−RWではこのラジアルプッシュプル信号を利用してトラッキングを行っており、イングルーブピット領域とグルーブ領域との境界部において、ラジアルプッシュプル信号の振幅のバランスが崩れる、即ち、振幅の中心がずれることにより、トラッキングエラーが生じ易くなる。
また、上記実施例で作製した光情報記録媒体では、グルーブ部におけるラジアルプッシュプル信号とイングルーブピット部におけるラジアルプッシュプル信号との間の変動量は、正常な状態におけるラジアルプッシュプル信号の振幅を100%とした場合、36%となる。DVD−R規格では特に規定されていないが、DVD−RW規格においては、グルーブ部におけるラジアルプッシュプル信号とプリピット部におけるラジアルプッシュプル信号の変動量は20%以上と規定されている。したがって、上記実施例の光情報記録媒体は、十分この規格を満たしており、トラッキング外れ(トラッキングエラー)を起すことはない。これに対し、従来のイングルーブピットを有する光情報記録媒体では、上記変動量が18〜20%程度となる。したがって、従来のイングルーブピットを有する光情報記録媒体は、DVD−RWの規格の下限値又はそれを下回ることになり、トラッキング外れ(トラッキングエラー)が生じやすい。
上記実施例の光情報記録媒体では、基板としてポリカーボネートを用いたが、ポリメチルメタクリレートやアモルファスポリオレフィン等を用いてもよい。また、上記実施例の光情報記録媒体では、基板上に記録層、反射層の順に、各層を形成したが、まず、基板上のパターン形成面に反射層を形成し、次いでその反射層上に記録層を形成することにより、各層を形成しても構わない。このような層構成で光情報記録媒体を作製した場合においても、上記実施例と同様な効果を得ることができる。
本発明における光情報記録媒体の別の実施例を、図10を用いて説明する。本実施例における光情報記録媒体は、記録層として、金属材料としてテルル(Te)を用いた以外は、実施例1と同様に構成した。この記録層は、AgInSbTeにより情報の記録及び再生が行われる。図10に示すように、ランド及びグルーブ並びにイングルーブピットを形成した基板1’面上に記録層2’として、Teを含む金属材料を、スパッタ法を用いて厚さ15nmとなるように形成した。さらに、実施例1と同様にして、記録層2’上に、スパッタ法を用いて、Ag合金を厚さ160nmで形成した。これにより、反射層3’を得た。記録層2’の材料として、AgInSbTeを用いることにより、基板1’のパターン形成面上に積層される記録層2’の厚みtrは、場所によらずほぼ一定となる。また、記録層2’上に積層される反射層3’の厚みtrも、場所によらずほぼ一定となる。したがって、媒体の各領域における記録層及び反射層の厚みを把握することが容易となり、その情報に基づき、積層する層の厚みを制御することができる。これにより、光情報記録媒体において、より安定した層形成が可能となる。
本発明の別の実施例を、図11及び12を用いて説明する。この実施例では、光情報記録媒体に用いる基板のグルーブ領域と境界ピット領域の間に、グルーブ領域におけるグルーブより幅の広いグルーブ(以下、境界グルーブという)を1トラック分形成した以外は、実施例1と同様に構成した。以下に、上記基板の作製に用いた原盤、スタンパ及び光情報記録媒体の作製方法について説明する。
本実施例では、実施例1と同様にして、レーザ光をガラス原盤上で移動させながら、ガラス原盤に照射するレーザ光の露光強度を、上記光変調器を用いて変化させる。本実施例では、図11に示すように、レーザ光の露光強度を、低い方から順にレベル1、レベル2、レベル3、レベル4の4段階に変化させた。本実施例における各レベルの比は、レベル4を100%とした場合、レベル3は90%、レベル2は60%、レベル1は55%となるように設定した。図11に示すように、第1及び第2グルーブ形成領域における露光強度は、レベル1に設定した。また、イングルーブピット形成領域における、イングルーブピット形成部分の露光強度はレベル4に、それ以外のグルーブ部分の露光強度は、レベル1に設定した。境界グルーブ形成領域のグルーブ形成部分の露光強度はレベル2に設定した。境界ピット形成領域におけるイングルーブピット形成部分の露光強度はレベル3に、それ以外のグルーブ部分の露光強度はレベル1に設定した。本実施例の光情報記録媒体では、境界グルーブを設けることにより、実施例1の場合に比べて境界ピットに形成されるピットを大きく形成しても、境界グルーブ領域から境界ピット領域にかけてのグルーブ幅の変化は緩やかとなるので、ラジアルプッシュプル信号のオフセットや乱れが生じにくくなる。これにより、境界ピットに形成されたイングルーブピットでも十分な変調度を得ることができる。したがって、境界ピットに形成されるイングルーブピットのパターンはダミー等のランダムパターンに限らず、ユーザ情報の記録信号パターンでもよい。これにより、原盤の境界ピット形成領域におけるイングルーブピット形成部分のパターンも、上記イングルーブピットに対応したパターンが形成される。
次に、フォトレジストが感光されたガラス原盤を、実施例1と同様にして現像処理を行い、残ったフォトレジストのパターンに従って、ガラス原盤をRIE装置等を用いてエッチングした。これにより、表面に所望の凹凸パターンを形成したガラス原盤を得た。なお、本実施例において、グルーブ形成部及び境界グルーブ形成部は、ガラス原盤表面から170nmの深さまで、イングルーブピット形成部及び境界ピット形成部は、ガラス原盤表面から260nmの深さまでエッチングした。また、境界グルーブ形成部はグルーブ形成部に比べて広く形成した。
また、本実施例では、実施例1と同様にして、露光中に露光強度を変化させる場合、露光強度を切り替える毎に一時的にレーザ光の露光強度を0レベルにする期間を設けた。さらに、本実施例では、イングルーブピット形成領域において、所定のピット長を有する各イングルーブピット形成部分の露光強度を以下のように制御しながら、原盤露光を行った。図11に示すように、露光開始から1T〜1.5T(T:クロック周期)の間はレベル4で露光し、次いで、所定の間露光強度をレベル4に対し70%のレベル(レベルA)に低下させて露光した。さらに、イングルーブピット形成部分の終了までの1T〜1.5Tの間、再びレベル4に露光強度を戻して露光した。これにより、各イングルーブピット形成部分の原盤半径方向の幅は、イングルーブピット形成部分のトラック方向における中間部付近で広がることが阻止される。なお、境界ピット形成領域におけるイングルーブピット形成部分の露光強度についても、同様に露光強度の制御を行ってもよい。
こうして得られた原盤を用いてスタンパを作製し、実施例1と同様にして射出成形法を用いて基板を作製した。次いで、図12(b)に示すように、実施例1と同様にして、記録層2、及び反射層3を形成した。得られた基板にダミー基板を光硬化性樹脂を介して貼付けすることにより、光情報記録媒体を得た。
こうして得られた光情報記録媒体について、実施例1と同様にして、イングルーブピット領域73のイングルーブピット部分、境界ピット領域74の境界ピット部分、境界グルーブ領域76のグルーブ部分、グルーブ領域75のグルーブ部分の最大深さを、ディジタルインスツルメンツ社製AFMを用いて測定した。図12(b)に示すように、グルーブ部分の最大深さdgは、170nmであった。境界グルーブ部分の最大深さdgbは、170nmであった。境界ピット部分の最大深さdpbは、260nmであった。イングルーブピット部分の最大深さdpは、260nmであった。なお、グルーブ部分の最大深さdg及びイングルーブピット部分の最大深さdpは、良好な信号変調度やジッター等の記録再生信号特性を得るために、1.4≦dp/dg≦1.7の条件を満たすことが望ましい。
また、ランド80の表面を基準として、イングルーブピット領域73のイングルーブピット部分の半値幅Wp、境界ピット領域74の境界ピット部分の半値幅Wpb、境界グルーブ領域76のグルーブ部分における半値幅Wgb、グルーブ領域75のグルーブ部分における半値幅Wgを、それぞれディジタルインスツルメンツ社製AFMを用いて測定した。半値幅Wgは320nm、半値幅Wgbは330nm、半値幅Wpbは360nm、半値幅Wpは400nmであった。これより、Wg≦Wgb≦Wpb<Wpの関係が成り立つことが分かる。また、半値幅Wpと半値幅Wpbとの比Wp/Wpb=1.11であり、1.05≦Wp/Wpb≦1.15の条件を満たすことが分かる。さらに、半値幅Wgbと半値幅Wgとの比Wgb/Wg=1.03であり、1.03≦Wgb/Wg≦1.15の条件を満たすことが分かる。
また、本実施例で得られた光情報記録媒体においては、図12(a)に示すように、前述のような露光スケジュールで露光した結果、イングルーブピット領域73のイングルーブピット73aのトラック方向中間部付近で基板半径方向の幅の広がりが抑制されている。これにより、イングルーブピットに隣接するランド部分77においても十分な面積のランド面を確保することができる。よって、この光情報記録媒体から安定したラジアルプッシュプル信号を得ることができる。
さらに、イングルーブピット73aの幅の広がり抑制効果を調整するために、イングルーブピット領域73において、最短チャネルビット長3Tを有するイングルーブピットの基板半径方向の幅及びそれよりも長いチャネルビット長を有するイングルーブピットの基板半径方向の幅を、それぞれディジタルインスツルメンツ社製走査型プローブ顕微鏡を用いて測定した。最短チャネルビット長3Tを有するイングルーブピットの最大幅は0.34μmであった。また、チャネルビット長11Tを有するイングルーブピットの最大幅は、0.38μmであった。さらに、チャネルビット長14Tを有するイングルーブピットの最大幅は、0.4μmであった。本発明者らによる実験から、最短チャネルビット長3Tを有するイングルーブピットの最大幅に対する最短チャネルビット長3Tよりも長いチャネルビット長を有するイングルーブピットの最大幅の割合は112〜118%の範囲内であり、最短チャネルビット長よりも長いイングルーブピットにおいて、基板半径方向の幅の広がりが抑制されていることが分かる。
さらに、実施例1と同様にして、得られた光情報記録媒体のイングルーブピット領域73のイングルーブピット部分、境界ピット領域74の境界ピット部分、境界グルーブ領域76及びグルーブ領域75のグルーブ部分の記録層窪み深さを、ディジタルインスツルメンツ社製AFMを用いて測定した。図12(b)に示すように、イングルーブピット領域73における記録層窪み深さTpは、170nmであった。境界ピット領域74における記録層窪み深さTpbは、135nmであった。境界グルーブ領域76の記録層窪み深さTgbは、110nmであった。また、グルーブ領域75の記録層窪み深さTgは、100nmであった。なお、記録層窪み深さTp及び記録層窪み深さTgは、実施例1と同様、良好な信号変調度やジッタ−等の記録再生信号特性を得るために、1.6≦Tp/Tg≦2.0の条件を満たすことが望ましい。
また、境界ピット領域74の記録層窪み深さTpbと、イングルーブピット領域73の記録層窪み深さTpと、境界グルーブ領域76の記録層窪み深さTgbと、グルーブ領域75の記録層窪み深さTgとの関係は、上記各領域のグルーブ半値幅の関係から、Tg<Tgb<Tpb<Tpとなる。
上記実施例で得た光情報記録媒体を、波長650nmのレーザ光及び開口数0.6のレンズを有する光ピックアップを用いて、イングルーブピット領域の記録信号の再生を行った。信号の検出及び再生は安定して行うことができ、また、このときの再生信号の信号変調度は61%、ジッターは7.2%であり、いずれも良好な結果を得ることができた。
本発明の更なる別の実施例を、図13及び14を用いて説明する。本実施例では、光情報記録媒体に用いる境界ピット領域を設けず、グルーブ領域とイングルーブピット形成領域との間に境界グルーブ領域のみ形成した以外は、実施例3と同様に構成した。以下、上記基板の作製に用いた原盤、スタンパ及び光情報記録媒体の作製方法について、説明する。
本実施例では、図13に示すように、レーザ光の露光強度を、実施例3で用いた露光強度のうちレベル1、レベル2、レベル4の3段階のレベルを用いて原盤露光を行った。本実施例における各レベルの比は、実施例3と同様に、レベル4を100%とした場合、レベル2は60%、レベル1は55%となるように設定した。図13に示すように、第1及び第2グルーブ形成領域における露光強度は、レベル1に設定した。また、イングルーブピット形成領域における、イングルーブピット形成部分の露光強度はレベル4に、それ以外のグルーブ部分の露光強度は、レベル1に設定した。また、境界グルーブ形成領域のグルーブ形成部分の露光強度はレベル2に設定した。
次に、フォトレジストが感光されたガラス原盤を、実施例1と同様にして現像処理を行い、残ったフォトレジストのパターンに従って、ガラス原盤をRIE装置等を用いてエッチングした。これにより、表面に所望の凹凸パターンを形成したガラス原盤を得た。なお、本実施例において、グルーブ形成部及び境界グルーブ形成部は、ガラス原盤表面から170nmの深さまで、イングルーブピット形成部は、ガラス原盤表面から260nmの深さまでエッチングした。また、境界グルーブ形成部はグルーブ形成部に比べて広く形成した。
また、本実施例では、実施例3と同様にして、露光中に露光強度を変化させる場合、露光強度を切り替える毎に一時的にレーザ光の露光強度を0レベルにする期間を設けた。また、図13に示すように、イングルーブピット形成領域において、所定のピット長を有する各イングルーブピット形成部分の露光強度を、実施例3と同様に制御して原盤露光を行った。
こうして得られた原盤を用いて、実施例3と同様にして射出成形法を用いて基板を作製した。次いで、図14(b)に示すように、実施例3と同様にして、記録層2、及び反射層3を形成した。得られた基板に、ダミー基板を光硬化性樹脂を介して貼付けすることにより光情報記録媒体を得た。
こうして得られた光情報記録媒体について、実施例3と同様にして、イングルーブピット領域73のイングルーブピット部分、境界グルーブ領域76のグルーブ部分、グルーブ領域75のグルーブ部分の最大深さを、ディジタルインスツルメンツ社製AFMを用いて測定した。図14(b)に示すように、グルーブ部分の最大深さdgは、170nmであった。境界グルーブ部分の最大深さdgbは、170nmであった。イングルーブピット部分の最大深さdpは、260nmであった。なお、グルーブ部分の最大深さdg及びイングルーブピット部分の最大深さdpは、良好な信号変調度やジッター等の記録再生信号特性を得るために、1.4≦dp/dg≦1.7の条件を満たすことが望ましい。
また、ランド80の表面を基準として、イングルーブピット領域73のイングルーブピット部分の半値幅Wp、境界グルーブ領域76のグルーブ部分における半値幅Wgb、グルーブ領域75のグルーブ部分における半値幅Wgを、それぞれディジタルインスツルメンツ社製AFMを用いて測定した。半値幅Wgは320nm、半値幅Wgbは350nm、半値幅Wpは400nmであった。これより、Wg<Wgb≦Wpの関係が成り立つことが分かる。さらに、半値幅Wgbと半値幅Wgとの比Wgb/Wg=1.09であり、1.05≦Wgb/Wg≦1.15の条件を満たすことが分かる。
また、図14(a)に示すように、前述のような露光スケジュールで露光した結果、イングルーブピット領域73のイングルーブピット73aのトラック方向中間部付近で基板半径方向の幅の広がりが抑制されている。これにより、イングルーブピットに隣接するランド部分77’においても十分な面積のランド面を確保することができる。よって、この光情報記録媒体から安定したラジアルプッシュプル信号を得ることができる。
さらに、イングルーブピット73aの幅の広がり抑制効果を調整するために、イングルーブピット領域73において、最短チャネルビット長3Tを有するイングルーブピットの基板半径方向の幅及びそれよりも長いチャネルビット長を有するイングルーブピットの基板半径方向の幅を、それぞれディジタルインスツルメンツ社製走査型プローブ顕微鏡を用いて測定した。最短チャネルビット長3Tを有するイングルーブピットの最大幅は0.34μmであった。また、チャネルビット長11Tを有するイングルーブピットの最大幅は、0.38μmであった。さらに、チャネルビット長14Tを有するイングルーブピットの最大幅は、0.4μmであった。本発明者らによる実験から、最短チャネルビット長3Tを有するイングルーブピットの最大幅に対する最短チャネルビット長3Tよりも長いチャネルビット長を有するイングルーブピットの最大幅の割合は100%〜118%の範囲内、好ましくは112〜118%の範囲内であり、最短チャネルビット長よりも長いイングルーブピットにおいて、基板半径方向の幅の広がりが抑制されていることが分かる。
また、実施例3と同様にして、得られた光情報記録媒体のイングルーブピット領域73のイングルーブピット部分、境界グルーブ領域76及びグルーブ領域75のグルーブ部分の記録層窪み深さを、ディジタルインスツルメンツ社製AFMを用いて測定した。図14(b)に示すように、イングルーブピット領域73における記録層窪み深さTpは、170nmであった。境界グルーブ領域76の記録層窪み深さTgbは、120nmであった。また、グルーブ領域75の記録層窪み深さTgは、100nmであった。なお、記録層窪み深さTp及び記録層窪み深さTgは、実施例1と同様、良好な信号変調度やジッタ−等の記録再生信号特性を得るために、1.6≦Tp/Tg≦2.0の条件を満たすことが望ましい。
また、イングルーブピット領域73の記録層窪み深さTpと、境界グルーブ領域76の記録層窪み深さTgbと、グルーブ領域75の記録層窪み深さTgとの関係は、上記各領域のグルーブ半値幅の関係から、Tg<Tgb<Tpとなる。
上記実施例で得た光情報記録媒体を、波長650nmのレーザ光及び開口数0.6のレンズを有する光ピックアップを用いて、イングルーブピット領域の記録信号の再生を行った。信号の検出及び再生は安定して行うことができ、また、このときの再生信号の信号変調度は61%、ジッターは7.2%であり、いずれも良好な結果を得ることができた。
実施例3及び4の原盤露光時に、イングルーブピット形成領域における所定のピット長を有するイングルーブピット形成部分の露光強度を、始めに第1の露光強度とし、次いで第1の露光強度よりも低い第2露光強度とし、さらに第1の露光強度に変更するように制御したが、実施例1及び2における原盤露光時においても、同様な露光強度制御を行ってもよい。
本発明の第5の実施形態を、図16〜19を用いて説明する。本実施例における光情報記録媒体では、図16に示すように、基板1のランド部分にランドプリピットLPPがトラック方向に所定の間隔で形成されているとともに、境界グルーブ領域176を除くグルーブが基板の内周(内側)から外周(外側)に向かって連続的に深く且つ広くなるように形成され、また、ランドプリピットLPPが基板の内周から外周に向かって連続的に深く且つ広く形成されている以外は、実施例3と同様に構成した。なお、ランドプリピットLPPは、媒体の位置情報等を光情報記録媒体に予め記録しておくために用いられる。以下、上記基板の作製に用いた原盤、スタンパ及び光情報記録媒体の作製方法について、説明する。
図17は、ガラス原盤のイングルーブピット形成領域付近のレーザ光の露光強度変化を示している。また、図18は、ガラス原盤全体のレーザ光の露光強度変化を示している。本実施例では、図17に示すように、レーザ光の露光強度を、実施例3で用いた露光強度レベル1、レベル2、レベル3及びレベル4の4段階のレベルを用いるとともに、図18に示すように、レベル1、即ちグルーブレベルの露光強度をガラス原盤の内周から外周の方向に連続的に変化させて原盤露光を行った。本実施例における各レベルの比は、レベル4を100%とした場合、レベル2は60%、レベル3は90%となるように設定した。また、レベル1は、図18に示すように、ガラス原盤の露光開始位置(ガラス原盤中心から半径19.0mmの位置)では55%、露光終了位置(ガラス原盤中心から半径58.9mmの位置)では60%となるように連続的に変化させた。このように、グルーブレベルの露光強度を連続的に強くなるよう変化させることによって、グルーブに対応するパターンの幅がガラス原盤の内側から外側に向って連続的に広くなるように、ガラス原盤上にグルーブに対応するパターンを形成することができる。
また、図17に示すように、第1及び第2グルーブ形成領域における露光強度は、それぞれレベル1に設定した。イングルーブピット形成領域における、イングルーブピット形成部分の露光強度はレベル4に、それ以外のグルーブ部分の露光強度は、レベル1に設定した。境界グルーブ形成領域のグルーブ形成部分の露光強度はレベル2に設定した。境界ピット形成領域におけるイングルーブピット形成部分の露光強度はレベル3に、それ以外のグルーブ部分の露光強度はレベル1に設定した。なお、本実施例においても、実施例3と同様にして、露光中に露光強度を変化させる場合、露光強度を切り替える毎に一時的にレーザ光の露光強度を0レベルにする期間を設けるとともに、イングルーブピット形成領域において、所定のピット長を有する各イングルーブピット形成部分の露光強度を一時的に低下させる(レベルAにする)ように制御して原盤露光を行った。なお、本実施例においては、露光強度レベルAの比を75%とした。
また、不図示ではあるが、基板のランド上に形成されるランドプリピットに対応する部分(以下、ランドプリピット形成部分という)を露光する際には、ランドプリピットの深さが隣接するグルーブの深さと略同じとなり且つ基板の内周から外周に向かって溝幅が基板の内周から外周に向かって連続的に広くなるように、上記の露光強度の制御方法と同様にして、レーザ光の露光強度を調整した。なお、ランドプリピット形成部分は、グルーブ形成部分やイングルーブピット形成部分等の露光に用いるレーザ光とは別のレーザ光を用いて露光した。
次に、フォトレジストが感光されたガラス原盤を、実施例3と同様にして、現像処理を行い、残ったフォトレジストのパターンに従ってガラス原盤をRIE装置やアッシング装置を用いてエッチングした。これにより、表面に所望の凹凸パターンを形成したガラス原盤(不図示)を得た。なお、本実施例では、トラック方向には均一な深さであり、ガラス原盤の内周から外周に向かって連続的に深くなるような溝を形成するために、RIE装置を以下のように制御した。
[RIE装置の制御方法]
図19にRIE装置の概略図を示す。RIE装置200は、主に密閉可能なチャンバ201、アノード203、カソード204、RF電源205、絶縁体部207、排気管209,210、ガス供給管211、冷却水供給管213,214で構成される。アノード203は、チャンバ201内の上方に、ガス供給管211及び冷却水供給管213とともに設置されている。カソード204は、チャンバ201内の下方に絶縁体部207を介して設置されており、カソード204の上面にエッチング対象の原盤が載置される。排気管209は、チャンバ201内の下面に、チャンバ201内と連通するように設けられている。排気管210は、チャンバ201の側壁にチャンバ201内と連通するように設けられており、排気管210の途中に設けたゲートバルブ215によりチャンバ201内の圧力調節を可能にする。
まず、RIE装置200のアノード203側に設置されている不図示のガス供給部からガス供給管211を介して所定量のプロセスガス(C)がチャンバ201内に供給される。このとき、チャンバ201内の圧力が常に一定となるように、排気管209を介して余分なプロセスガスが排気される。チャンバ201内がプロセスガスで充填した状態でRF電源205によってカソード204に電力を印加することにより、チャンバ201内がプラズマ状態となり、表面にパターニングされたフォトレジスト層が形成されたガラス原盤50がエッチングされる。
一般にRIEでは、チャンバ内のガスの流れが速い程エッチングレートが上がることが知られている。また、本発明者らは、RIEにおいてガス流量、圧力及び印加電力の条件を種々変更して検討した結果、原盤の内側と外側でそれぞれ形成される溝の深さに差を生じさせるためには、特にチャンバ内の圧力が大きく関係することが分かった。チャンバ内の圧力を高く設定するに従い、RIE装置のチャンバ内を流れるガスの流量に内外差が生じる。これにより、チャンバ内の中央に近ければ近い程ガスの流量が少なく、即ち、ガスの流れが遅く、チャンバ内壁に近ければ近い程ガスの流量が多く、即ち、ガスの流れが速くなる。よって、ガラス原盤の外側に近い程エッチングレートが上がり、ガラス原盤の内側から外側に向かって連続的に深くなるような溝が形成される。
本実施例では、RIE装置のガス流量と印加電力を固定とし、圧力のみを従来の圧力(条件1)を基準として、従来の2倍の圧力(条件2)、従来の4倍の圧力(条件3)、従来の8倍の圧力(条件4)及び従来の16倍の圧力(条件5)となるように種々変更してガラス原盤をエッチングし、ガラス原盤に形成される溝深さの内外差を比較した。その結果を表1に示す。また、表1には各条件におけるプラズマの安定性についても合わせて示した。プラズマの安定性は、エッチング中にプラズマが明滅、放電等の有無を調べたものである。表中の「〇」は問題とならないレベルを、「×」は放電の安定性を欠いており再現性をもって原盤加工することが困難と思われるレベルを、「△」はその中間のレベルを、それぞれ示している。表1の結果より、チャンバー内の圧力を高く設定するにつれて原盤の内側と外側の溝深さの差は大きくなるが、それとともにチャンバー内のプラズマの安定性も悪化していることが分かる。プラズマの安定性を保った状態で一定量の溝深さの差を得るためには、チャンバー内を条件3の圧力、即ち、従来の4倍の圧力に設定することが好適である。これにより、10nm程度の溝深さの内外差を得ることができる。
Figure 0003655296
本実施例において、境界グルーブ形成部は、ガラス原盤表面から170nmの深さまで、イングルーブピット形成部及び境界ピット形成部は、ガラス原盤表面から250nmの深さまでエッチングした。また、グルーブ形成部は、ガラス原盤の内周部(半径23.0mm)でガラス原盤表面から160nm、外周部(半径58.7mm)で170nmの深さまでエッチングした。さらに、ランドプリピット形成部分は、各ランドプリピット形成部分に隣接するグルーブ形成部の溝深さと同じとなるように、ガラス原盤の内周部でガラス原盤表面から160nm、ガラス原盤の外周部でガラス原盤表面から170nmの深さまでエッチングした。
このとき、グルーブ形成部の深さ半値の溝幅はガラス原盤の内周部(半径23.0mm)で310nm、外周部(半径58.7mm)で330nmであった。また、境界グルーブ形成部の深さ半値の溝幅は330mmであり、隣接するグルーブ形成部の幅に比べて広く形成されている。さらに、ランドプリピット形成部分の幅はガラス原盤の内周部で170nm、外周部で200nmであった。このとき、内周部におけるランドプリピット形成部分のトラック方向長さ(ピット長さ)は170nm、外周部におけるランドプリピット形成部分のトラック方向長さ(ピット長さ)は200nmであった。
こうして得られた原盤を用いて、実施例3と同様にして射出成形法を用いて基板を作製した。次いで、実施例3と同様にして、図16(b)に示すように、記録層2及び反射層3を形成した。得られた基板1に、ダミー基板を光硬化性樹脂を介して貼付けすることにより光情報記録媒体を得た。
この光情報記録媒体について、イングルーブピット領域のイングルーブピット部分、境界ピット領域の境界ピット部分、境界グルーブ領域のグルーブ部分における基板表面(ランド表面)からの最大深さ、グルーブ領域の内周部(半径23.0mm)及び外周部(半径55.0mm)のグルーブ部分の基板表面からの最大深さ、並びに、内周部(半径23.0mm)及び外周部(半径55.0mm)のランドプリピットにおける基板表面からの最大深さを、ディジタルインスツルメンツ社製AFMを用いて測定した。内周部のグルーブ部分の最大深さdgiは、155nmであった。外周部のグルーブ部分の最大深さdgoは、165nmであった。最大深さdgiと最大深さdgoとの比dgo/dgi=1.06であり、1.00<dgo/dgi≦1.10の条件を満たすことが分かる。また、境界グルーブ部分の最大深さdgbは、155nmであった。境界ピット部分の最大深さdpbは、245nmであった。イングルーブピット部分の最大深さdpは、245nmであった。なお、グルーブ部分の最大深さdg(dgi≦dg≦dgo)及びイングルーブピット部分の最大深さdpは、良好な信号変調度やジッター等の記録再生信号特性を得るために、1.4≦dp/dg≦1.7の条件を満たすことが望ましい。また、内周部のランドプリピットの最大深さdlpiは、155nmであり、外周部のランドプリピットの最大深さdlpoは、165nmであった。それぞれ隣接するグルーブ部分の溝深さと略同じ深さであった。グルーブ部分及びランドプリピットともに、媒体の内周部に比べて外周部の方が溝が深く形成されていることが分かる。
また、ランドの表面を基準として、イングルーブピット領域のイングルーブピット部分の半値幅Wp、境界ピット領域の境界ピット部分の半値幅Wpb、境界グルーブ領域のグルーブ部分における半値幅Wgb、グルーブ領域の内周部及び外周部におけるグルーブ部分における半値幅Wgi及びWgo、並びに内周部(半径23.0mm)及び外周部(半径55.0mm)のランドプリピットにおける底部の幅Wlpi及びWlpoを、それぞれディジタルインスツルメンツ社製AFMを用いて測定した。半値幅Wgiは325nm、半値幅Wgoは345nm、半値幅Wgbは345nm、半値幅Wpbは350nm、半値幅Wpは400nmであった。これより、Wgi<Wgo≦Wgb≦Wpb<Wpの関係が成り立つことが分かる。また、半値幅Wpと半値幅Wpbとの比Wp/Wpb=1.14であり、1.05≦Wp/Wpb≦1.15の条件を満たすことが分かる。さらに、半値幅Wgiと半値幅Wgoとの比Wgo/Wgi=1.06であり、1.03≦Wgo/Wgi≦1.10の条件を満たすことが分かる。また、底部の幅Wlpi及びWlpoは、それぞれ180nm、200nmであり、媒体の内周部に比べて外周部の方がランドプリピットの幅が広く形成されていることが分かる。
また、本実施例で得られた光情報記録媒体では、前述のような露光スケジュールで露光した結果、図16(a)に示すように、イングルーブピット領域173のイングルーブピット173aのトラック方向中間部付近で基板半径方向の幅の広がりが抑制されている。これにより、イングルーブピットに隣接するランド部177の表面には、十分な面積のランド面が確保される。これにより、このランド177面上には、安定した形状のランドプリピットLPPを形成することができる。よって、安定したラジアルプッシュプル信号を得ることができるとともに、ランドプリピットに記録されたデータを安定した状態で再生することができる。
さらに、得られた光情報記録媒体のイングルーブピット領域173のイングルーブピット部分173a、境界ピット領域174の境界ピット部分174a、境界グルーブ領域176及びグルーブ領域175のグルーブ部分の記録層窪み深さ、並びにランドプリピットの記録層窪み深さを、ディジタルインスツルメンツ社製AFMを用いて測定した。図16(b)に示すように、イングルーブピット領域173における記録層窪み深さTpは、170nmであった。境界ピット領域174における記録層窪み深さTpbは、135nmであった。境界グルーブ領域176の記録層窪み深さTgbは、115nmであった。また、グルーブ領域175の内周部(半径23.0mm)の記録層窪み深さTgi及び外周部(半径55.0mm)の記録層窪み深さTgoは、いずれも100nmであった。なお、記録層窪み深さTp及び記録層窪み深さTg(=Tgi=Tgo)は、良好な信号変調度やジッタ−等の記録再生信号特性を得るために、1.6≦Tp/Tg≦2.0の条件を満たすことが望ましい。さらに、ランドプリピットLPPの内周部(半径23.0mm)の記録層窪み深さTlpi及び外周部(半径55.0mm)の記録層窪み深さTlpoは、いずれも100nmであった。
また、境界ピット部分174aの記録層窪み深さTpbと、イングルーブピット部分173aの記録層窪み深さTpと、境界グルーブ領域176の記録層窪み深さTgbと、グルーブ領域175の内周部の記録層窪み深さTgi及び外周部の記録層窪み深さTgoとの関係は、上記各領域の溝の半値幅の関係及びスピンコートにより形成された記録層膜厚の内外周差から、Tgi=Tgo<Tgb<Tpb<Tpとなる。
本実施例で得た光情報記録媒体を、波長650nmのレーザ光及び開口数0.6のレンズを有する光ピックアップを用いて、イングルーブピット領域の記録信号の再生を行った。信号の検出及び再生は安定して行うことができ、また、このときの再生信号の信号変調度は64〜65%、ジッターは7.8〜7.5%程度に推移しており、いずれも良好な結果を得ることができた。また、媒体の記録再生領域における内外周の反射率変動は2%未満であり、上述の反射率変動に起因するプッシュプル信号の変動や記録再生信号の変調度変動を抑制することができた。
比較例2
以下に、本実施例の光情報記録媒体(以下、媒体Aという)と、光情報記録媒体の内周から外周に向かってグルーブの溝幅のみ連続的に広く形成した光情報記録媒体(以下、媒体Bという)と、媒体全体に亘ってグルーブの溝深さ及び溝幅がともに均一となるように形成した光情報記録媒体(以下、媒体Cという)についての各特性を比較した結果を表2に示す。表2から明らかなように、媒体B及びCに比べて、光情報記録媒体のどの特性においても媒体Aの内外周差(内周と外周との変動量)が小さい、即ち、媒体の半径位置によらず略均等な特性が得られることが分かる。
Figure 0003655296
本実施例では、境界ピット及び境界グルーブの両方を形成した光情報記録媒体について説明したが、本実施例における光情報記録媒体の製造方法を境界ピットのみを形成した光情報記録媒体または境界グルーブのみを形成した光情報記録媒体に適用することも可能である。これにより、本実施例と同様に、媒体の内側と外側で均一な特性を有する光情報記録媒体を得ることができる。
本発明の光情報記録媒体では、イングルーブピット領域とグルーブ領域との間に境界ピット領域を設けることにより、イングルーブピット領域とグルーブ領域との間で生じるトラッキングエラーを抑制することが可能となる。本発明の光情報記録媒体の製造方法は、本発明の光情報記録媒体を製造するのに有用である。
グルーブ形成領域と境界ピット形成領域との間に幅広のグルーブ(境界グルーブ)を設けることにより、境界ピットの変調度を良好な状態に維持しつつ、良好なトラッキング特性を得ることができる。また、境界ピット形成領域に代えて境界グルーブのみを設けた場合においても、安定したサーボ制御を行うことができる。
また、本発明におけるイングルーブピットが形成されるとともに有機色素材料からなる記録層が形成された光情報記録媒体では、媒体の内側(内周)から外側(外周)に向かってグルーブやランドプリピットが連続的に深く且つ広くなるように形成されている。これにより、グルーブ部分やランドプリピット部分に形成される記録層と反射層との界面高さが、それぞれ内外差を生じることなく一定となる。これにより、媒体の内周から外周に亘って安定したプッシュプル信号が得られるとともに、ランドプリピットに記録されたデータを安定して再生することができる。
(a)は、従来のイングルーブピットを有する光情報記録媒体の一部分を示した概略上面図であり、(b)は、(a)のA−A線断面図である。 実施例1におけるガラス原盤の作製方法を説明した図である。 実施例1におけるガラス原盤に照射するレーザ光の露光強度の時間変化を示した図である。 (a)は、実施例1において、フォトレジスト露光・現像直後のガラス原盤の一部分を示した概略上面図であり、(b)は、(a)のA’−A’線断面図である。 実施例1におけるガラス原盤の作製方法を説明した図である。 実施例1において得られた基板のパターン形成面の概略斜視図である。 実施例1において得られた基板の概略図である。 (a)は、実施例1における光情報記録媒体の、境界ピット領域付近の概略上面図を示し、(b)は(a)のC−C線断面を示した図である。 イングルーブピット領域とグルーブ領域との境界部付近の和信号及び差信号(ラジアルプッシュプル信号)を示した図であり、(a)は、実施例1で作成した情報記録媒体の、それらの各信号を示した図であり、(b)は、従来のイングルーブピットを有する情報記録媒体の、それらの各信号を示した図である。 実施例2における光情報記録媒体のイングルーブピット領域とグルーブ領域との境界部付近の概略断面図である。 実施例3におけるガラス原盤に照射するレーザ光の露光強度の時間変化を示した図である。 (a)は、実施例3における光情報記録媒体の、境界ピット領域付近の概略上面図を示し、(b)は(a)のD−D線断面を示した図である。 実施例4におけるガラス原盤に照射するレーザ光の露光強度の時間変化を示した図である。 (a)は、実施例4における光情報記録媒体の、境界ピット領域付近の概略上面図を示し、(b)は(a)のE−E線断面を示した図である。 グルーブ形成領域とイングルーブピット形成領域との境界部で起こるトラッキングエラーの発生原因について説明した図である。 (a)は、実施例5における光情報記録媒体の、境界ピット領域付近の概略上面図を示し、(b)は(a)のF−F線断面を示した図である。 実施例5において、ガラス原盤に照射するレーザ光の、イングルーブピット形成領域付近の露光強度の時間変化を示した図である。 実施例5において、ガラス原盤に照射するレーザ光の、ガラス原盤全体の露光強度の時間変化を示した図である。 実施例5で用いたRIE装置の概略図である。
符号の説明
1,1’,101 基板
2,2’,102 記録層
3,3’,103 反射層
40 グルーブ形成部
42 境界ピット形成部
44 イングルーブピット形成部
50 ガラス原盤
52 フォトレジスト
71,75 グルーブ領域
73 イングルーブピット領域
72,74 境界ピット領域
101a ランド面
105 グルーブ
107 イングルーブピット
sa,sb 和信号
ppa,ppb 差信号(ラジアルプッシュプル信号)
AX 中心軸
AX 中心軸

Claims (40)

  1. 複数のランド及びグルーブが形成された基板と、該基板上に有機色素を含有する記録層と反射層とを有する光情報記録媒体であって、
    上記グルーブが、第1グルーブと;
    ピットが形成されている第2グルーブと;
    第2グルーブのピットより幅の狭いピットが形成されている第3グルーブと;を含み、
    第3グルーブが、第1グルーブと第2グルーブとの間に配置され、
    第1グルーブ、第2グルーブのグルーブ及び第3グルーブのグルーブが、上記光情報記録媒体の内側から外側に向かって連続的に深くなるような溝深さで且つ連続的に広くなるような溝幅で形成されていることを特徴とする光情報記録媒体。
  2. 上記光情報記録媒体の内側に位置する第1グルーブの半値幅をWgiで表わし、上記光情報記録媒体の外側に位置する第1グルーブの半値幅をWgoで表わし、第2グルーブのピットにおける半値幅をWpで表わし、第3グルーブのピットにおける半値幅をWpbで表わしたときに、Wgi<Wgo≦Wpb<Wpであることを特徴とする請求項1に記載の光情報記録媒体。
  3. 半値幅Wpと半値幅Wpbとの比Wp/Wpbが、1.05≦Wp/Wpb≦1.15であることを特徴とする請求項2に記載の光情報記録媒体。
  4. 上記光情報記録媒体の内側に位置する第1グルーブの基板表面からの深さをdgiで表わし、上記光情報記録媒体の外側に位置する第1グルーブの基板表面からの深さをdgoで表わしたときに、深さdgiと深さdgoとの比dgo/dgiが、1.00<dgo/dgi≦1.10であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の光情報記録媒体。
  5. 半値幅Wgiと半値幅Wgoとの比Wgo/Wgiが、1.03≦Wgo/Wgi≦1.10であることを特徴とする請求項2〜4のいずれか一項に記載の光情報記録媒体。
  6. 上記ランド表面上の記録層と反射層との界面から上記光情報記録媒体の内側に位置する第1グルーブにおける記録層と反射層との界面までの記録層の窪み深さをTgiで表わし、上記ランド表面上の記録層と反射層との界面から上記光情報記録媒体の外側に位置する第1グルーブにおける記録層と反射層との界面までの記録層の窪み深さをTgoで表わし、上記ランド表面上の記録層と反射層との界面から第2グルーブのピットにおける記録層と反射層との界面からの記録層の窪み深さをTpで表わし、上記ランド表面上の記録層と反射層との界面から第3グルーブのピットにおける記録層と反射層との界面までの記録層の窪み深さをTpbで表わしたときに、Tgi=Tgo<Tpb<Tpであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の光情報記録媒体。
  7. 上記グルーブの同一グルーブ内に形成されているピットが、第1ピットと、グルーブ方向の長さが第1ピットよりも長い第2ピットで構成されており、第1ピットにおける基板半径方向の最大幅をWで表わし、第2ピットにおける基板半径方向の最大幅をWで表わしたとき、1≦W/W<1.2であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の光情報記録媒体。
  8. 上記有機色素材料がアゾ系色素材料であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の光情報記録媒体。
  9. 請求項1〜8のいずれか一項に記載の光情報記録媒体の製造方法であって、
    原盤上に形成された感光性材料を原盤の内側から外側に向かって連続的に変化するような露光強度で照射することにより、該感光性材料に第1グルーブ、第2グルーブのグルーブ及び第3グルーブのグルーブに対応するパターンを露光するとともに、2種の異なる露光強度で照射することにより、該感光性材料に第2グルーブのピット及び第3グルーブのピットに対応するパターンを露光することと;
    上記露光後に、原盤を現像及びRIEによるエッチングを行うことにより、第1グルーブ、ピット付き第2グルーブ及びピット付き第3グルーブに対応するパターンを形成することと;
    上記パターンが形成された原盤を用いて、基板を成形することと;
    該基板上に記録層及び反射層を形成することと;を含む光情報記録媒体の製造方法。
  10. 上記ピットに対応するパターンを露光する際の露光強度を、始めに第1の露光強度とし、次いで第1の露光強度よりも低い第2露光強度とし、さらに第1の露光強度に変更することを特徴とする請求項9に記載の光情報記録媒体の製造方法。
  11. 光情報記録媒体を再生するときのクロック周期をTと表わしたときに、第1の露光強度で露光する期間をそれぞれ1T〜1.5Tに設定することを特徴とする請求項10に記載の光情報記録媒体の製造方法。
  12. 上記原盤の露光の際に、上記露光強度に加えて露光強度を0にすることを含むことを特徴とする請求項9〜11のいずれか一項に記載の光情報記録媒体の製造方法。
  13. 上記RIEによるエッチングを、上記原盤の内側と外側とでRIEに用いるガスの流量を変えて行うことを特徴とする請求項9〜12のいずれか一項に記載の光情報記録媒体の製造方法。
  14. 複数のランド及びグルーブが形成された基板と、該基板上に有機色素を含有する記録層と反射層とを有する光情報記録媒体であって、
    上記グルーブが、第1グルーブと;
    第1グルーブより幅の広い第2グルーブと;
    ピットが形成されている第3グルーブと;を含み、
    第2グルーブが、第1グルーブと第3グルーブとの間に配置され、
    第1グルーブ及び第3グルーブのグルーブが、上記光情報記録媒体の内側から外側に向かって連続的に深くなるような溝深さで且つ連続的に広くなるような溝幅で形成されていることを特徴とする光情報記録媒体。
  15. 上記光情報記録媒体の内側に位置する第1グルーブの半値幅をWgiで表わし、上記光情報記録媒体の外側に位置する第1グルーブの半値幅をWgoで表わし、第2グルーブの半値幅をWgbで表わし、第3グルーブのピットにおける半値幅をWpで表わしたときに、Wgi<Wgo≦Wgb≦Wpであることを特徴とする請求項14に記載の光情報記録媒体。
  16. 上記光情報記録媒体の内側に位置する第1グルーブの基板表面からの深さをdgiで表わし、上記光情報記録媒体の外側に位置する第1グルーブの基板表面からの深さをdgoで表わしたときに、深さdgiと深さdgoとの比dgo/dgiが、1.00<dgo/dgi≦1.10であることを特徴とする請求項14または15に記載の光情報記録媒体。
  17. 半値幅Wgiと半値幅Wgoとの比Wgo/Wgiが、1.03≦Wgo/Wgi≦1.10であることを特徴とする請求項15または16に記載の光情報記録媒体。
  18. 上記ランド表面上の記録層と反射層との界面から上記光情報記録媒体の内側に位置する第1グルーブにおける記録層と反射層との界面までの記録層の窪み深さをTgiで表わし、上記ランド表面上の記録層と反射層との界面から上記光情報記録媒体の外側に位置する第1グルーブにおける記録層と反射層との界面までの記録層の窪み深さをTgoで表わし、上記ランド表面上の記録層と反射層との界面から第2グルーブにおける記録層と反射層との界面からの記録層の窪み深さをTgbで表わし、上記ランド表面上の記録層と反射層との界面から第3グルーブのピットにおける記録層と反射層との界面までの記録層の窪み深さをTpで表わしたときに、Tgi=Tgo<Tgb<Tpであることを特徴とする請求項14〜17のいずれか一項に記載の光情報記録媒体。
  19. 上記グルーブの同一グルーブ内に形成されているピットが、第1ピットと、グルーブ方向の長さが第1ピットよりも長い第2ピットで構成されており、第1ピットにおける基板半径方向の最大幅をWで表わし、第2ピットにおける基板半径方向の最大幅をWで表わしたとき、1≦W/W<1.2であることを特徴とする請求項14〜18のいずれか一項に記載の光情報記録媒体。
  20. 上記有機色素材料がアゾ系色素材料であることを特徴とする請求項14〜19のいずれか一項に記載の光情報記録媒体。
  21. 請求項14〜20のいずれか一項に記載の光情報記録媒体の製造方法であって、
    原盤上に形成された感光性材料を原盤の内側から外側に向かって連続的に変化するような露光強度で照射することにより、該感光性材料に第1グルーブ及び第3グルーブのグルーブに対応するパターンを露光するとともに、2種の異なる露光強度で照射することにより、該感光性材料に第2グルーブ及び第3グルーブのピットに対応するパターンを露光することと;
    上記露光後に、原盤を現像及びRIEによるエッチングを行うことにより、第1グルーブ、第2グルーブ及びピット付き第3グルーブに対応するパターンを形成することと;
    上記パターンが形成された原盤を用いて、基板を成形することと;
    該基板上に記録層及び反射層を形成することと;を含む光情報記録媒体の製造方法。
  22. 上記ピットに対応するパターンを露光する際の露光強度を、始めに第1の露光強度とし、次いで第1の露光強度よりも低い第2露光強度とし、さらに第1の露光強度に変更することを特徴とする請求項21に記載の光情報記録媒体の製造方法。
  23. 光情報記録媒体を再生するときのクロック周期をTと表わしたときに、第1の露光強度で露光する期間をそれぞれ1T〜1.5Tに設定することを特徴とする請求項22に記載の光情報記録媒体の製造方法。
  24. 上記原盤の露光の際に、上記露光強度に加えて露光強度を0にすることを含むことを特徴とする請求項21〜23のいずれか一項に記載の光情報記録媒体の製造方法。
  25. 上記RIEによるエッチングを、上記原盤の内側と外側とでRIEに用いるガスの流量を変えて行うことを特徴とする請求項21〜24のいずれか一項に記載の光情報記録媒体の製造方法。
  26. 複数のランド及びグルーブが形成された基板と、該基板上に有機色素を含有する記録層と反射層とを有する光情報記録媒体であって、
    上記グルーブが、第1グルーブと;
    第1グルーブより幅の広い第2グルーブと;
    ピットが形成されている第3グルーブと;
    第3グルーブのピットより幅の狭いピットが形成されている第4グルーブと;を含み、
    第1〜第4グルーブが、第1グルーブ、第2グルーブ、第4グルーブ、第3グルーブの順に配置され、
    第1グルーブ、第3グルーブのグルーブ及び第4グルーブのグルーブが、上記光情報記録媒体の内側から外側に向かって連続的に深くなるような溝深さで且つ連続的に広くなるような溝幅で形成されていることを特徴とする光情報記録媒体。
  27. 上記光情報記録媒体の内側に位置する第1グルーブの半値幅をWgiで表わし、上記光情報記録媒体の外側に位置する第1グルーブの半値幅をWgoで表わし、第2グルーブの半値幅をWgbで表わし、第3グルーブのピットにおける半値幅をWpで表わし、第4グルーブのピットにおける半値幅をWpbで表わしたときに、Wgi<Wgo≦Wgb≦Wpb<Wpであることを特徴とする請求項26に記載の光情報記録媒体。
  28. 半値幅Wpと半値幅Wpbとの比Wp/Wpbが、1.05≦Wp/Wpb≦1.15であることを特徴とする請求項27に記載の光情報記録媒体。
  29. 上記光情報記録媒体の内側に位置する第1グルーブの基板表面からの深さをdgiで表わし、上記光情報記録媒体の外側に位置する第1グルーブの基板表面からの深さをdgoで表わしたときに、深さdgiと深さdgoとの比dgo/dgiが、1.00<dgo/dgi≦1.10であることを特徴とする請求項26〜28のいずれか一項に記載の光情報記録媒体。
  30. 半値幅Wgiと半値幅Wgoとの比Wgo/Wgiが、1.03≦Wgo/Wgi≦1.10であることを特徴とする請求項27〜29のいずれか一項に記載の光情報記録媒体。
  31. 上記ランド表面上の記録層と反射層との界面から上記光情報記録媒体の内側に位置する第1グルーブにおける記録層と反射層との界面までの記録層の窪み深さをTgiで表わし、上記ランド表面上の記録層と反射層との界面から上記光情報記録媒体の外側に位置する第1グルーブにおける記録層と反射層との界面までの記録層の窪み深さをTgoで表わし、上記ランド表面上の記録層と反射層との界面から第2グルーブにおける記録層と反射層との界面からの記録層の窪み深さをTgbで表わし、上記ランド表面上の記録層と反射層との界面から第3グルーブのピットにおける記録層と反射層との界面までの記録層の窪み深さをTpで表わし、上記ランド表面上の記録層と反射層との界面から第4グルーブのピットにおける記録層と反射層との界面からの記録層の窪み深さをTpbで表わしたときに、Tgi=Tgo<Tgb<Tpb<Tpであることを特徴とする請求項26〜30のいずれか一項に記載の光情報記録媒体。
  32. 上記グルーブの同一グルーブ内に形成されているピットが、第1ピットと、グルーブ方向の長さが第1ピットよりも長い第2ピットで構成されており、第1ピットにおける基板半径方向の最大幅をWで表わし、第2ピットにおける基板半径方向の最大幅をWで表わしたとき、1≦W/W<1.2であることを特徴とする請求項26〜31のいずれか一項に記載の光情報記録媒体。
  33. 上記有機色素材料がアゾ系色素材料であることを特徴とする請求項26〜32のいずれか一項に記載の光情報記録媒体。
  34. 請求項26〜33のいずれか一項に記載の光情報記録媒体の製造方法であって、
    原盤上に形成された感光性材料を原盤の内側から外側に向かって連続的に変化するような露光強度で照射することにより、該感光性材料に第1グルーブ、第3グルーブのグルーブ及び第4グルーブのグルーブに対応するパターンを露光するとともに、3種の異なる露光強度で照射することにより、該感光性材料に第2グルーブ、第3グルーブのピット及び第4グルーブのピットに対応するパターンを露光することと;
    上記露光後に、原盤を現像及びRIEによるエッチングを行うことにより、第1グルーブ、第2グルーブ、ピット付き第3グルーブ及びピット付き第4グルーブに対応するパターンを形成することと;
    上記パターンが形成された原盤を用いて、基板を成形することと;
    該基板上に記録層及び反射層を形成することと;を含む光情報記録媒体の製造方法。
  35. 上記ピットに対応するパターンを露光する際の露光強度を、始めに第1の露光強度とし、次いで第1の露光強度よりも低い第2露光強度とし、さらに第1の露光強度に変更することを特徴とする請求項34に記載の光情報記録媒体の製造方法。
  36. 光情報記録媒体を再生するときのクロック周期をTと表わしたときに、第1の露光強度で露光する期間をそれぞれ1T〜1.5Tに設定することを特徴とする請求項35に記載の光情報記録媒体の製造方法。
  37. 上記原盤の露光の際に、上記露光強度に加えて露光強度を0にすることを含むことを特徴とする請求項34〜36のいずれか一項に記載の光情報記録媒体の製造方法。
  38. 上記RIEによるエッチングを、上記原盤の内側と外側とでRIEに用いるガスの流量を変えて行うことを特徴とする請求項34〜37のいずれか一項に記載の光情報記録媒体の製造方法。
  39. 請求項9、21または34に記載の光情報記録媒体の製造方法に用いられる原盤であって、ガラスで形成されている原盤。
  40. 請求項9、21または34に記載の光情報記録媒体の製造方法に用いられる原盤を用いて作製されたスタンパ。
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