JP3655136B2 - 車体組立装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、左右のサイドパネルを他の車体構成部材たるフロアとルーフと車体後部に横設するリヤトレイやリヤルーフレール等のリヤクロスメンバとに溶接結合して自動車車体を組立てる車体組立装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、車体組立装置として、特公昭63−53073号公報により、セットステーションと車体組立ステーションとの間に往復動自在なセット台車を備え、自動車車体の構成部材たるフロアと左右のサイドパネルとルーフとをセットステーションにおいてセット台車上にセットして車体組立ステーションに搬送し、車体組立ステーションにおいて各サイドパネルをフロアとルーフとに溶接結合して自動車車体を組立てるものは知られている。
【0003】
このものでは、ドロップリフタ型のサイドパネルセット装置とクレーン型のルーフセット装置とを用いてセット治具上にサイドパネルとルーフとをセットしている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来例のものでは、サイドパネル用やルーフ用のセット装置が大掛りな設備となり、スペース効率が悪くなると共に、セット装置の動きの自由度が少なく、そのため、セット装置に対するワークの供給位置が限定され、ワークの物流に関する設計の自由度が制約される不具合がある。
【0005】
この場合、セットステーションの左右の各外側部に多関節ロボットから成るサイドパネル用のセットロボットを配置すると共に、セットステーションの左右一方の外側部にサイドパネル用のセットロボットに隣接させて多関節ロボットから成るルーフ用のセットロボットを配置し、これらセットロボットでセット台車上にサイドパネルとルーフとをセットするように構成すれば、スペース効率が向上すると共に、サイドパネルやルーフの物流に関する設計の自由度が増す。
【0006】
ところで、車種によっては、リヤトレイやリヤルーフレール等のリヤクロスメンバを、ルーフやフロアに予め組付けずに、独立した部材としてサイドパネルやルーフと共にセット台車上にセットすることがある。この場合、リヤクロスメンバ専用のセットロボットを設けることも考えられるが、これではコストが高くなる。
【0007】
本発明は、以上の点に鑑み、ルーフ用のセットロボットによりリヤクロスメンバのセット作業も行い得られるようにした車体組立装置を提供することを課題としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決すべく、本発明は、セットステーションと車体組立ステーションとの間に往復動自在なセット台車を備え、自動車車体の構成部材たるフロアと左右のサイドパネルとルーフと車体後部に横設するリヤクロスメンバとをセットステーションにおいてセット台車上にセットして車体組立ステーションに搬送し、車体組立ステーションにおいて各サイドパネルをフロアとルーフとリヤクロスメンバとに溶接結合して自動車車体を組立てる車体組立装置であって、セットステーションの左右の各外側部に多関節ロボットから成るサイドパネル用の第1セットロボットを配置して、各第1セットロボットによりセット台車上に各サイドパネルをセットするものにおいて、セットステーションの車体後方側の端部の左右一方の外側部に多関節ロボットから成る第2セットロボットを配置し、第2セットロボットの動作端にルーフを保持するルーフ用保持具を取付けると共に、ルーフ用保持具のルーフの前端寄りの端部に、ルーフ用保持具の背面側に位置させて、リヤクロスメンバの下面がルーフの前方を向くようにリヤクロスメンバを保持するリヤクロスメンバ用保持具を取付け、ルーフ用保持具をリヤクロスメンバ用保持具が下方を向く起立姿勢にした状態でリヤクロスメンバのセット作業を行い、ルーフ保持具を水平姿勢にした状態でルーフのセット作業を行うようにしている。
【0009】
ルーフ用保持具を上記起立姿勢にすると、ルーフ用保持具に保持されるルーフはリヤクロスメンバ用保持具に保持されるリヤクロスメンバよりも車体後方にオフセットした位置で起立し、かくて、セット台車上に第1セットロボットでセットされるサイドパネルに対するルーフの干渉を生ずることなく車体後部の所定のセット位置にリヤクロスメンバをセットすることができる。次に、ルーフ用保持具を水平姿勢に姿勢変更しつつ左右のサイドパネル間の上方位置に移動し、両サイドパネルの上縁間にルーフをセットする。このように、第2セットロボットでリヤクロスメンバとルーフとのセット作業を連続して能率良く行うことができ、ルーフ用とリヤクロスメンバ用の各別のセットロボットを設けるものに比し、設備費を低減できる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、図17に示すフロアW1とルーフW2とダッシュボードアッパW3とリヤトレイW4とに左右のサイドパネルW5,W5を溶接結合して自動車車体Wを組立てる車体組立装置に本発明を適用した実施形態について説明する。
【0011】
車体組立装置は、図1及び図2に示す如く、上流側から順に、セットステーションST1と車体組立ステーションST2と払出しステーションST3とを配置した前後方向に長手の直線ラインで構成されている。ライン上には、ライン全長に亘って左右1対のガイドレール1,1が敷設されており、ガイドレール1,1上に、セットステーションST1と車体組立ステーションST2との間で往復動するセット台車2と、車体組立ステーションST2と払出しステーションST3との間で往復動する払出し台車3とを載架している。そして、セットステーションにおいてセット台車2上にフロアW1、ルーフW2、ダッシュボードアッパW3、リヤトレイW4及び左右のサイドパネルW5を車体前部がライン前方を向く前向き姿勢でセットし、次に、セット台車2を車体組立ステーションST2に往動させ、該ステーションST2においてフロアW1、ルーフW2、ダッシュボードアッパW3及びリヤトレイW4に左右のサイドパネルW5,W5を溶接結合し、かくて組立てられた自動車車体Wを払出し台車3により払出しステーションST3に搬送し、該ステーションST3から図外の搬送装置により自動車車体Wを増打ちラインに搬出するようにしている。
【0012】
セットステーションST1の左右の外側部にはサイドパネルW5用の1対の第1セットロボット4,4が配置されており、更に、セットステーションST1の車体後方(ライン後方)側の端部の左右一方の外側部にルーフW2及びリヤトレイW4用の第2セットロボット5を配置すると共に、セットステーションST1の車体前方(ライン前方)側の端部の左右一方の外側部にダッシュボードアッパW3用の第3セットロボット6を配置している。そして、セット台車2がセットステーションST1に復動されたとき、セット台車2上に、図外のトランスファ装置でライン後方からフロアW1をセットすると共に、第1乃至第3セットロボット4,5,6でサイドパネルW5とリヤトレイW4とルーフW5とダッシュボードアッパW3とをセットするようにしている。
【0013】
各セットロボット4,5,6は、図3に明示する如く、鉛直軸線回りに旋回自在な旋回台4a,5a,6aと、旋回台に揺動自在に連結した第1ロボットアーム4b,5b,6bと、第1ロボットアームの先端に揺動自在に連結した第2ロボットアーム4c,5c,6cと、第2ロボットアームの先端に連結した3軸構造の手首4d,5d,6dとを有する6軸の多関節ロボットで構成されている。
【0014】
第1セットロボット4の動作端たる手首4dにはサイドパネル用保持具4eが取付けられており、第1セットロボット4の配置部の周囲やセットステーションST1の上方といった適当な供給位置に搬入されるサイドパネルW5をサイドパネル用保持具4eで保持し、セット台車2上に第1セットロボット4によりサイドパネルW5をセットするようにしている。
【0015】
第3セットロボット6の動作端たる手首6dにはダッシュボードアッパ用保持具6eが取付けられており、第3セットロボット6の配置部の周囲の適当な供給位置に搬入されるダッシュボードアッパW3をダッシュボードアッパ用保持具6eで保持し、セット台車2上に左右1対の第1セットロボット4,4でセットされる左右のサイドパネルW5,W5間の所定のセット位置に第3セットロボット6によりダッシュボードアッパW3をセットするようにしている。
【0016】
第2セットロボット5の動作端たる手首5dには、ルーフW2を保持するルーフ用保持具5eが取付けられている。そして、ルーフ用保持具5eのルーフW2の前端寄りの端部に、ルーフ用保持具5eの背面側に位置させて、リヤトレイW4をその下面がルーフW2の前方を向くように保持するリヤトレイ用保持具5fを取付けている。そして、第2セットロボット5の配置部の周囲の適当な供給位置に搬入されるルーフW2とリヤトレイW4とを、夫々、ルーフ用保持具5eとリヤトレイ用保持具5fとで保持した後、先ず、ルーフ用保持具5eを図4(A)に示す如くリヤトレイ用保持具5fが下方を向く起立姿勢にし、この状態でリヤトレイW4をセット台車2上にセットされる左右のサイドパネルW5,W5の後部上縁間の所定のセット位置にセットする。この際、ルーフW2はリヤトレイW4よりも車体後方(ライン後方)にオフセットした位置で起立することになり、サイドパネルW5に対するルーフW2の干渉を生ずることなくリヤトレイW4をセットすることができる。次に、ルーフ用保持具5eを図4(B)に示す如く水平姿勢に姿勢変更し、左右のサイドパネルW5,W5の上縁間にルーフW2をセットする。このように、第2セットロボット5によりリヤトレイW4とルーフW2とのセット作業を行うことでロボットの使用台数を少なくし、設備費を低減できる。
【0017】
車体組立ステーションST2の左右の各外側部には、図1、図2及び図5に示す如く、固定台7a上のガイドレール7bに沿って横方向に移動自在で、モータ7cにより送りねじ7dを介して横方向内方の作業位置(図5の右半部の位置)と横方向外方の待機位置(図5の左半部の位置)とに進退される架台7が配置されており、架台7の上部に固定した前後方向に長手の上部フレーム70に、サイドパネルW5を位置決めして保持する治具8を横方向内方を向く内向き姿勢で搭載している。また、車体組立ステーションST2には、セット台車2の下面に形成した複数の位置決め孔に嵌合する複数の位置決めピン9aを立設した、モータ9bによりラックピニオン機構9cを介して昇降される昇降台9が設けられている。そして、車体組立ステーションST2にセット台車2を往動させた後、昇降台9の上昇でセット台車2を位置決めしてガイドレール1から持上げ、この状態で架台7を作業位置に移動して、セット台車2上の各サイドパネルW5をフロアW1、ルーフW2、ダッシュボードアッパW3及びリヤトレイW4に組合わせた状態で治具8に受取らせるようにしている。
【0018】
また、車体組立ステーションST2の左右の各側部には、治具8より下方に位置する前後方向に長手の固定フレーム10が配置されており、この固定フレーム10と架台7の上部フレーム70とに夫々4台の溶接ロボット11,12を搭載し、治具8に保持されるサイドパネルW5を固定フレーム10に搭載した溶接ロボット11によりフロアW1に溶接結合すると共に、サイドパネルW5を上部フレーム70に搭載した溶接ロボット12によりルーフW2とダッシュボードアッパW3とリヤトレイW4とに溶接結合するようにしている。
【0019】
各溶接ロボット11,12は、固定フレーム10や上部フレーム70に固定したガイドレール10a,70aに沿って前後方向に移動自在なロボット本体11a,12aと、ロボット本体に揺動自在に連結した第1ロボットアーム11b,12bと、第1ロボットアームの先端に揺動自在に連結した第2ロボットアーム11c,12cと、第2ロボットアームの先端に連結した3軸構造の手首11d,12dとを有する6軸ロボットで構成されており、手首11d,12dに取付けた溶接ガンGをサイドパネルW5とフロアW1等の他の車体構成部材とを結合する各所定の打点部に移動してスポット溶接を行う。
【0020】
架台7は、上部フレーム70の前後方向長さに比し下部71の前後方向長さを短くしたT字状に形成されており、架台7の下部71の前方及び後方に固定フレーム10に達する空きスペースを確保している。かくて、これら空きスペースに臨む固定フレーム10の前部と後部とに固定フレーム10上の溶接ロボット11を寄せ集めることにより、固定フレーム10上の全ての溶接ロボット11に対し溶接ガンGのチップドレッシングといったメンテナンス作業を空きスペースにおいて作業性良く行うことができる。
【0021】
セット台車2には、図6に明示する如く、フロアW1を前後4箇所で位置決めして支持する夫々左右1対の前後4組のフロア用支持部材201,202,203,204と、フロアW1と各サイドパネルW5との接合部分たるサイドシル部を前後2箇所で受ける夫々左右1対の前後2組のサイドシル用受け部材211,212と、左右のサイドパネルW5,W5をフロントピラー部分とリヤホイールハウス部分とで横方向外方から押圧する夫々左右1対の前後2組のサイドパネル用押圧部材221,222とが設けられており、サイドパネル用押圧部材221,222により左右のサイドパネルW5,W5をフロアW1に押し付けると共に、両サイドパネルW5,W5間にルーフW2、ダッシュボードアッパW3及びリヤトレイW4を挟持する。
【0022】
フロア用支持部材201〜204は、フロアW1に形成した孔に嵌合するピン状部材で構成されている。ここで、フロアW1を車室部分の前端部で支持するフロア用支持部材202は、セット台車2上の固定フレーム23に立設されていてセット台車2に対し不動であるが、残りのフロア用支持部材211,203,204は、夫々、3軸構造のクロステーブルユニット24により前後・左右・上下に位置調整自在とし、車種変更に対処し得るようにしている。クロステーブルユニット24は、前後動する第1テーブル24a上に上下動する第2テーブル24bを設け、第2テーブル24b上に横方向に接近・離間する左右1対の第3テーブル24c,24cを搭載して成るもので、第3テーブル24c上に各フロア用支持部材201,203,204を立設している。
【0023】
各サイドシル用受け部材211,212も、車種変更に対処し得るように、前後・上下に位置調整自在としている。即ち、前後動する可動枠25上にモータ26aにより送りねじ機構26bを介して昇降される昇降枠26を設け、この昇降枠26に各サイドパネル用受け部材211,212を取付けている。また、各サイドシル用受け部材211,212は、図7に明示する如く、シリンダ21aによりトグルリンク機構21bを介して上下方向に揺動されるように昇降枠26に取付けられている。図7で斜線を付した領域は、固定フレーム10上の溶接ロボット11が溶接作業中であるときの該溶接ロボット11に対する干渉領域であり、各サイドパネル用受け部材211,212を下方に揺動させることで、各サイドシル用受け部材211,212を溶接作業中の溶接ロボット11との干渉を生じない図7に仮想線で示す退避位置に引き込むようにしている。
【0024】
サイドパネルW5のフロントピラー部分を押圧する左右1対の第1サイドパネル用押圧部材221,221は、図8及び図9に示す如く、横方向に移動自在な左右1対のスライド枠221a,221aに、夫々、シリンダ221bで前後方向に起伏動作されるように取付けられている。両スライド枠221aは、図外のモータによりベルトを介して同期駆動される左右1対の送りねじ221c,221cにより横方向内方と外方とに同期して移動される。かくて、両第1サイドパネル用押圧部材211,211を起立させた状態で両スライド枠221a,221aを横方向内方に移動することにより左右のサイドパネルW5,W5を横方向外方から押圧することができる。また、第1サイドパネル用押圧部材221を車体前方(ライン前方)に倒伏させた状態でスライド枠221aを図8に仮想線で示す横方向内方端位置に移動することにより、第1サイドパネル用押圧部材221を溶接作業中の溶接ロボット11との干渉を生じない退避位置に引き込むようにしている。
【0025】
サイドパネルW5のリヤホイールハウス部分を押圧する左右1対の第2サイドパネル用押圧部材222,222は、図10及び図11に示す如く、前後方向の位置調整で車種変更に対処し得るよう、前後動する可動枠27に搭載されている。可動枠27上には、横方向に移動自在な左右1対のスライド枠222a,222aが前後にオフセットして設けられており、各スライド枠222aに各第2サイドパネル用押圧部材222をシリンダ222bにより横方向に起伏動作されるように取付けている。可動枠27上には、両スライド枠222a,222aに夫々連結される前後1対の送りねじ222c,222cが軸支されており、両送りねじ222c,222cをその一端でギア222dを介して連結し、一方の送りねじ222cを可動枠27に搭載したモータ222eでベルト駆動することにより両スライド枠222a,222aが横方向内方と外方とに同期して移動されるようにしている。かくて、両第2サイドパネル用押圧部材222,222を起立させた状態で両スライド枠222a,222aを横方向内方に移動することにより左右のサイドパネルW5,W5を横方向外方から押圧することができる。また、各第2サイドパネル用押圧部材222はシリンダ222fで伸縮されるように構成されている。そして、第2サイドパネル用押圧部材222を横方向外方に倒伏させた状態でスライド枠222aを横方向内方に移動すると共に、第2サイドパネル用押圧部材222を収縮させることにより、第2サイドパネル用押圧部材222を溶接作業中の溶接ロボット11との干渉を生じない図10に仮想線で示す退避位置に引き込むようにしている。
【0026】
かくて、車体組立ステーションST2において、セット台車2上のサイドパネルW5をフロアW1等の他の車体構成部材と共に治具5に受取らせた後、直ちに溶接ロボット1による溶接作業を開始しても、サイドシル用受け部材211,212とサイドパネル用押圧部材221,222とを上記の如く退避位置に引き込むことにより、セット台車2を溶接ロボット11との干渉を生ずることなくセットステーションST1に復動させることができる。そのため、車体組立ステーションST2での溶接作業をセット台車1のセットステーションST1への復動を待たずに開始することができ、サイクルタイムの短縮を図れる。
【0027】
ところで、架台7に搭載する治具8は車種毎に専用化されており、車種変更に際し治具8の交換が必要となる。そこで、払出しステーションST3の左右の各外側部に、架台7の前方に隣接させて治具交換装置13を配置し、架台7と治具交換装置13との間で治具8を入れ換え自在としている。
【0028】
架台7の上部フレーム70には治具8用の支持枠72が設けられており、該支持枠72に、図12乃至図14に示す如く、治具8の背面側に取付けた上下方向に対向する上下1対のガイドレール8a,8aが係合する上側と下側のガイド部材たる複数のローラユニット73を取付け、治具8がガイドレール8a,8aとローラユニット73とを介して支持枠72に内向き姿勢のまま前後方向に移動自在に支持されるようにしている。
【0029】
また、支持枠72は、上部フレーム70に対しシリンダ72aにより前後1対のガイドバー72b,72bを介して横方向に接離自在に支持されている。そして、上部フレーム70に、上下方向の位置決め部材74と、前後方向の位置決め部材75とを設け、支持枠72を上部フレーム70側に引き寄せたとき、治具8の背面に設けた上下方向の位置決め用係合部材8bと前後方向の位置決め用係合部材8cとが夫々対応する位置決め部材74,75に係合して、治具8が上部フレーム70に対し上下方向及び前後方向に位置決めされるようにしている。上部フレーム70には、更に、治具8をその背面が上部フレーム70に固定した横方向の位置決め基準となる受座76に密着するようにクランプする、スイング式のクランプロッド77aを有するクランプ部材77が設けられている。かくて、支持枠72を上部フレーム70側に引き寄せてクランプ部材77を作動させれば、治具8が上部フレーム70に三次元的に位置決めされた状態で固定される。
【0030】
治具交換装置13は、図15及び図16に示す如く、基台130上に前後方向の軸線回りに回転自在に軸支した回転体131を備えている。回転体131の前端には円形のホイール131aが固定されており、ホイール131aの外周に巻付けたチェーン131bに噛合する出力軸上のスプロケット131cを有するモータ131dを基台130に取付け、モータ131dにより回転体131を回転し得るようにしている。
【0031】
回転体131は前後方向に長手の長方形に枠組みされた枠体で構成されており、治具8用のストック枠132を回転体131の両側面に取付けて、回転体131の回転により両ストック枠132,132の任意の1個を横方向内方の交換位置に選択自在としている。各ストック枠132には、治具8の上下1対のガイドレール8a,8aが係合する上側と下側のガイド部材たる複数のローラユニット133が設けられており、かくて、治具8はガイドレール8a,8aとローラユニット133とを介してストック枠132に前後方向に移動自在に支持される。
【0032】
前記交換位置は、架台7を待機位置に移動して支持枠72を上部フレーム70から横方向内方に離間させたときに、支持枠72上のローラユニット73と交換位置に存するストック枠132上のローラユニット133とが前後方向の一直線上に整列するように設定されており、かくて、交換位置に選択されたストック枠132と支持枠72との間で治具8をローラユニット133,73に案内させて内向き姿勢のまま移し換えることができる。
【0033】
また、ストック枠132には、上側と下側のローラユニット133,133の間隔を狭めて各ガイドレール8aから各ローラユニット133を離脱させる離脱機構134が設けられている。かくて、ストック枠132に、ガイドレール8aとローラユニット133との係合を解いて別の治具8を乗せ換えることができる。離脱機構134は、ストック枠132に固定のレール134aに支持される上下1対のスライド板134b,134bと、両スライド板134b,134bをトグルリンク134cを介して接近・離間させるシリンダ134dとで構成され、両スライド板134b,134bに、夫々、上側と下側のローラユニット133,133を取付けて、両スライド板134b,134bの接近動作により上側と下側のローラユニット133,133の間隔を狭めるようにしている。
【0034】
基台130には、更に、交換位置に存するストック枠132と支持枠72との間で治具8を前後方向に搬送する搬送機構135が設けられている。搬送機構135は、基台130上のガイドレール135aに前後動自在に支持される走行体135b上に、治具8の前端に垂下した引掛け部8dに係合可能なフック135cをシリンダ135dにより起伏動作されるように取付けて構成される。走行体135には、基台130に固定したチェーン135eに噛合する出力軸上のスプロケット135fを有するモータ135gが搭載されており、モータ135gにより走行体135がガイドレール135aに沿って自走する。
【0035】
また、回転体131には、1対のストック枠132,132に対応させて、前端に1対のストッパ136,136と、後端にシリンダ137aで開閉動作される1対のクランプ部材137,137とが設けられており、各ストック枠132に支持される治具8を各クランプ部材137によって各ストッパ136との間に挟み込むことができるようにしている。
【0036】
治具交換に際しては、架台7を待機位置に移動し、クランプ部材77をアンクランプした後、支持枠72を上部フレーム70から横方向内方に離間させて、上下方向や横方向の位置決め用係合部材8b,8cを対応する位置決め部材74,75から離脱させると共に、走行体135bを後方に移動してフック135cを起立させ、支持枠72に支持されている用済みの治具8の引掛け部8dにフック135cを係合させる。次に、走行体135bを前方に移動して、用済みの治具8を支持枠72から交換位置に存する一方のストック枠132に移し換える。この移し換えが完了すると、当該一方のストック枠132用のクランプ部材137を閉じると共にフック135cを倒伏させ、次いで回転体131を回転させて、次の車種用の治具8を支持している他方のストック枠132を交換位置に選択する。次に、フック135cを起立させて、他方のストック枠132に支持されている治具8の引掛け部8dにフック135cを係合させると共に、他方のストック枠132用のクランプ部材137を開く。次いで、走行体135bを後方に移動して、次の車種用の治具8を他方のストック枠132から支持枠72に移し換え、次に、支持枠72を上部フレーム70側に引き寄せると共にクランプ部材77で治具8をクランプし、治具交換を完了する。尚、治具交換の完了後は、フック135cを倒伏させた状態で走行体135bを前方に移動し、次の治具交換までこの位置に待機させる。
【0037】
尚、上記実施形態では、回転体131の周囲2面にストック枠132を設けたが、回転体131を断面三角形や四角形の角柱状に形成し、回転体131の周面に3個以上のストック枠132を設けることも可能である。
【0038】
また、上記実施形態では、架台7の上部フレーム70に車体上部の溶接を行う溶接ロボット12を搭載したが、車体組立ステーションST2の左右の各側部の上方に固定フレームを配置して、この固定フレームに複数の溶接ロボットを吊下げ、これら溶接ロボットにより車体上部の溶接を行うようにしても良い。更に、治具8を多数の溶接ガンを搭載した溶接治具で構成し、サイドパネルW5をフロアW1等の他の車体構成部材にこれら溶接ガンで溶接結合して、溶接ロボット11,12を省略することも可能である。
【0039】
また、上記実施形態は、車体後部に横設するリヤクロスメンバとしてリヤトレイW4を設けた自動車車体Wの組立に本発明を適用したものであるが、ハッチバック型の自動車のようにリヤクロスメンバとしてリヤルーフレールを設ける車体の組立にも同様に本発明を適用できる。
【0040】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、共通のセットロボットでリヤクロスメンバとルーフとのセット作業を連続して能率良く行うことができ、ルーフ用とリヤクロスメンバ用の各別のセットロボットを設けるものに比し、設備費を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明を適用した車体組立装置の一例の平面図
【図2】 図1の矢印II方向から見た車体組立装置の側面図
【図3】 図2のIII-III線から見たセットステーションの正面図
【図4】 (A)第2セットロボットによるリヤトレイのセット作業時の状態を示す側面図、(B)第2セットロボットによるルーフのセット作業時の状態を示す側面図
【図5】 図2のV-V線から見た車体組立ステーションの正面図
【図6】 セット台車の斜視図
【図7】 図6のVII-VII線から見たサイドシル用受け部材の正面図
【図8】 図6のVIII-VIII線から見た第1サイドパネル用押圧部材の正面図
【図9】 図8の左側面図
【図10】 図6のX-X線から見た第2サイドパネル用押圧部材の正面図
【図11】 第2サイドパネル用押圧部材の平面図
【図12】 架台上部の横方向内方から見た側面図
【図13】 図12のXIII-XIII線截断平面図
【図14】 図12のXIV-XIV線拡大截断面図
【図15】 治具交換装置の横方向内方から見た側面図
【図16】 図15のXVI-XVI線截断面図
【図17】 車体構成部材を示す斜視図
【符号の説明】
W1 フロア
W2 ルーフ
W4 リヤトレイ(リヤクロスメンバ)
W5 サイドパネル
ST1 セットステーション
ST2 車体組立ステーション
2 セット台車
5 第1セットロボット
6 第2セットロボット
5e ルーフ用保持具
5f リヤトレイ用保持具
Claims (1)
- セットステーションと車体組立ステーションとの間に往復動自在なセット台車を備え、
自動車車体の構成部材たるフロアと左右のサイドパネルとルーフと車体後部に横設するリヤクロスメンバとをセットステーションにおいてセット台車上にセットして車体組立ステーションに搬送し、車体組立ステーションにおいて各サイドパネルをフロアとルーフとリヤクロスメンバとに溶接結合して自動車車体を組立てる車体組立装置であって、
セットステーションの左右の各外側部に多関節ロボットから成るサイドパネル用の第1セットロボットを配置して、各第1セットロボットによりセット台車上に各サイドパネルをセットするものにおいて、
セットステーションの車体後方側の端部の左右一方の外側部に多関節ロボットから成る第2セットロボットを配置し、
第2セットロボットの動作端にルーフを保持するルーフ用保持具を取付けると共に、ルーフ用保持具のルーフの前端寄りの端部に、ルーフ用保持具の背面側に位置させて、リヤクロスメンバの下面がルーフの前方を向くようにリヤクロスメンバを保持するリヤクロスメンバ用保持具を取付け、
ルーフ用保持具をリヤクロスメンバ用保持具が下方を向く起立姿勢にした状態でリヤクロスメンバのセット作業を行い、ルーフ保持具を水平姿勢にした状態でルーフのセット作業を行う、
ことを特徴とする車体組立装置。
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