JP3654967B2 - ローラの製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する分野】
本発明は、複写機、プリンタ等の電子写真装置や静電記録装置等に用いられるローラの製造方法に係り、特に帯電ローラ、現像ローラ、転写ローラ、定着ローラ、給紙ローラ、搬送ローラ等のローラに好適な製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、複写機、プリンター等の電子写真装置、静電記録装置等に装着されているローラでは、弾性層の材料としてゴム、ウレタン及び各種プラスチックが用いられている。また、これらのローラは、弾性層の基材の表面の汚れ、不具合点の修正、基材中に存在する可塑剤或いは未反応の不純物等のブルーミング現象を阻止又は導電性の調整、装置が作動した時の消音等を満足させるために表面に非汚染性の材料を被覆する等の処理を行う場合がある。
【0003】
このような被覆膜を形成する方法としては、押し出し方式、シュリンクチューブ方式等の乾式被覆法又はディップ法、ロールコータ法、スプレー法、転写法、カーテンコート法等の湿式塗布方法等があるが、作業性の点からディップ法による形成方法が主流となっている。
【0004】
しかし、このディップ法では、液だれ等により被覆膜の厚みが不均一になってしまったり、ローラの性能を満足させるため(表面平滑性、安定した電気特性、低騒音性)に被覆膜の厚みを比較的厚く(60μm〜)する場合、数回分けてディップする必要があり多大な工数がかかる等の欠点がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、極めて簡便に均一でかつ比較的被覆膜の厚いローラを得ることのできるローラの製造方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1は、シャフトと、その外周に設けた弾性層からなるローラの表面に被覆膜を形成するローラの製造方法において、前記被覆膜がローラ全体を被覆膜を形成し得る溶液にディップした後、ローラ全長の1/2以下の長さのみローラの軸方向に引き上げる工程(工程A)、次に、このローラを前記溶液中で一定時間(静止)停止させてディップする工程(工程B)、そして最後に、このローラ全体をローラの軸方向に引き上げる際、ある一定点から徐々に遅く引き上げる工程(工程C)により形成されることを特徴とする。
【0007】
さらに、本発明の請求項2は、上記弾性層の主材がウレタンであることを特徴とする。
【0008】
さらに、本発明の請求項3は、上記被覆膜の主材がウレタン変性アクリル樹脂であることを特徴とする。
【0009】
【発明の実施の形態】
即ち、本発明の請求項1のローラの製造方法において、工程A及び工程Cは液だれ等による被覆膜の不均一化、特に上端部の厚みが下端部のそれに比べて薄くなる等の欠点を改善できる。また、工程Bでは、ローラを溶液中に停止(静止)させることによって、工程Aに寄り得られた均一な被覆膜を成長させることができ、この際の停止(静止)時間を調整することにより、被覆膜の厚みを自由に調整可能となる。
【0010】
また、本発明の請求項2、3のローラの製造方法において、弾性層と被覆膜の主材として、ウレタン及びウレタン変性アクリル樹脂を用いることにより、弾性層と被覆層との相溶性が増し、弾性層中の未反応物質と被覆層との反応、例えば未反応のイソシアネート等との反応等が起こり易くために、被覆膜の成長が促進される。
【0011】
以下、本発明について図面を用いて詳細に説明する。
図1は、本発明のローラの被覆膜の形成方法の一例である。ここで、符号1はローラ、符号2は溶液である。ローラ1としては、特に限定されず、金属又は樹脂性等の材料からなるシャフトとその周りに少なくともゴム、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂もしくはこれらの発泡体とからなる弾性層を有する構成からなるもの及び樹脂磁石に金属製のスリーブを取りつけたもの等が挙げられるが、後述の被膜層との相溶性の点からウレタンが好ましい。また、溶液としては、特に限定されず、ウレタン系、エポキシ系、ナイロン系、アクリル系などの樹脂単独又は2種以上組み合わせたものが挙げられるが、前述の弾性層との相溶性の点からウレタン変性アクリル樹脂が好ましい。
【0012】
本発明のローラの製造方法としては、シャフトと、その外周に設けた弾性層からなるローラの表面に被覆膜を形成するローラの製造方法において、前記被覆膜がローラ全体を被覆膜を形成し得る溶液にディップした後〔図1(a)参照〕、ローラ全長の1/2以下の長さのみローラの軸方向に引き上げる〔図1(b)参照〕工程(工程A)、次に、このローラを前記溶液中で一定時間(静止)停止させてディップする〔図1(c)参照〕工程(工程B)、そして最後に、このローラ全体をローラの軸方向に引き上げる際、ある一定点から徐々に遅く引き上げる〔図1(d)参照〕工程(工程C)により形成される。この製造方法の中で、工程A及び工程Cは液だれ等による被覆膜の不均一化、特に上端部の厚みが下端部のそれに比べて薄くなる等の欠点を改善でき、また、工程Bでは、ローラを溶液中に停止(静止)させることによって、工程Aに寄り得られた均一な被覆膜を成長させることができ、この際の停止(静止)時間を調整することにより、被覆膜の厚みを自由に調整可能となる。
【0013】
なお、図1(b)で示したローラの引き上げる量は、ローラの全長により多少変化するが、一般にローラ下端部の被覆膜が厚くなることからローラの全長の1/2以下の長さであることが好ましい。
また、図1(d)で示したローラの引き上げる速度は、その他の目的に応じて、被覆膜の厚みを変化させ、例えば、ローラの中央部又は両端部のみを厚くするクラウン又は逆クラウン形状のローラも製造可能である。
【0014】
【実施例】
以下、実施例、比較例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明は下記実施例に制限されるものではない。なお、ここでは本発明のローラの製造方法の一例である帯電ローラの製造方法について例示する。
1.被覆膜の形成方法
[比較例1]金属製のシャフトの外周に導電性の弾性層(ウレタンフォーム)を有する帯電ローラ(全長=240mm、外径=12mm)にウレタン系塗料からなる被覆膜を形成する場合について検討した。なお、これらの実施例/比較例中における製造条件として、最初にディップする降下速度はすべて35mm/secとした。
まず、1ディップ法では、ローラ全体を被覆膜となるウレタン変性アクリル樹脂(商品名「EAU−53B」、亜細亜工業社製)にディップし〔図1(a)参照〕、次に、このローラをローラの上端から60mmの長さのみローラの軸方向に引き上げ〔図1(b)参照〕、最後に、ローラ全体をローラの軸方向に6mm/secの等速で引き上げる〔図1(d)参照〕ことにより、帯電ローラを得た。被覆膜の厚さを測定した結果を表1に示した。表1から明らかなように、ローラの被覆膜の厚さは不均一であった。
【表1】
Figure 0003654967
【0015】
[比較例2]
最後にローラ全体をローラの軸方向に引き上げる工程Cを初期26mm/sec、終期2mm/secの等加速度とした以外は、比較例1と同様にして、帯電ローラを得た。被覆膜の厚さを測定した結果を表1に示した。表1から明らかなように、ローラの被覆膜の厚さは比較的均一であった。
【0016】
[実施例1]
工程C前にローラを溶液で30sec一時停止(静止)させた以外は、比較例2と同様にして、帯電ローラを得た。この被覆膜の厚さを測定した結果を表1に示した。表1から明らかなように、ローラの被覆膜の均一さは比較例1に比べて非常に精度が良く、また、被覆膜の厚みは、比較例2に比べて40μm程度厚くすることができた。
【0017】
2.被覆膜の形成時間
次に、被覆膜の厚みが約80μmである場合、上記実施例1及び比較例2を用い、その形成時間を比較した。
[比較例2]
比較例2では、上記した形成方法で処理した後、約1時間風乾させると厚さ40μmの被覆膜が得られる。従って、80μmにするには、上記工程を2回繰り返さねばならず、塗装時間にかかる時間は約2時間であった。
【0018】
[実施例1]
実施例1では、上記した形成方法で処理すれば、1回の処理で80μmの被覆膜を得ることができるため、約1時間風乾させると厚さ80μmの塗膜層が得られる。
従って、本発明の製造方法によれば、被覆膜形成時間を短縮することができる。
【0019】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、シャフトと、その外周に設けた弾性層からなるローラの表面に被覆膜を形成するローラの製造方法において、前記被覆膜がローラ全体を被覆膜を形成し得る溶液にディップした後、ローラ全長の1/2以下の長さのみローラの軸方向に引き上げる工程(工程A)、次に、このローラを前記溶液中で一定時間(静止)停止させてディップする工程(工程B)、そして最後に、このローラ全体をローラの軸方向に引き上げる工程(工程C)より形成されることを特徴とするローラの製造方法としたことにより、極めて簡便に均一でかつ比較的被覆膜の厚いローラを得ることのできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のローラの被覆膜の形成方法の一例である。
【符号の説明】
1 ローラ
2 溶液

Claims (3)

  1. シャフトと、その外周に設けた弾性層からなるローラの表面に被覆膜を形成するローラの製造方法において、前記被覆膜がローラ全体を被覆膜を形成し得る溶液にディップした後、ローラ全長の1/2以下の長さのみローラの軸方向に引き上げる工程(工程A)、次に、このローラを前記溶液中で一定時間(静止)停止させてディップする工程(工程B)、そして最後に、このローラ全体をローラの軸方向に引き上げる際、ある一定点から徐々に遅く引き上げる工程(工程C)により形成されることを特徴とするローラの製造方法。
  2. 上記弾性層の主材がウレタンであることを特徴とする請求項1のローラの製造方法。
  3. 上記被覆膜の主材がウレタン変性アクリル樹脂であることを特徴とする請求項1又は請求項2記載のローラの製造方法。
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