JP3238811B2 - ポリイミド管状物の製造方法及び製造装置 - Google Patents

ポリイミド管状物の製造方法及び製造装置

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JP3238811B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はポリイミドフィルム又は
ポリイミド系樹脂フィルムからなるシームレス管状物の
製造方法及びその製造装置に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリイミド樹脂は優れた耐熱性、寸法安
定性、機械的特性及び化学的特性を有しており、その用
途は夫々の特性をいかしフィルム状、チューブ状、ロッ
ド、または形成物、塗料などの形態で市販されており、
フレキシブルプリント基板、耐熱電線絶縁材料、磁気テ
ープなど種々の用途に使用されている。また、そのシー
ムレス管状物は種々の新しい用途が期待されている。ポ
リイミド樹脂からなる管状物の使用例としてその代表的
なものは、弱電音響機器その他の機械の回転伝達用又
は、搬送ベルト、または複写機やレーザービームプリン
ターなどの熱定着用ベルトがあげられる。
【0003】ここで、複写機やレーザービームプリンタ
ーなどの熱定着用部材として使われているポリイミド管
状物を例に挙げて説明する。電子写真技術を利用した複
写機またはレーザービームプリンターにおいては、複写
紙や転写紙上に形成したトナー像を定着するための定着
装置として熱ローラー方式が、一般的に使用されてい
る。すなわち、加熱機構を有する定着ローラーとこれに
圧接した加圧ローラーの両ローラー間に、トナー像が形
成された複写紙を順次に送りこみながらトナーを加熱溶
融させ、トナー像を定着せしめるものである。
【0004】近年、この定着装置の技術開発が進み、前
述の熱定着ローラーに変わってポリイミド管状物の使用
が検討されている。この定着機構は、薄膜ポリイミド管
状物の内側に駆動ロールと、テンションロールと、ヒー
ターとを備え、外側にバックアップロールを備え、ヒー
ターを介してポリイミド管状物とバックアップローラー
間にトナー像を形成した複写紙を供給し、順次トナー像
を定着せしめる機構である。
【0005】この定着装置の特徴は、ヒーターを介して
薄膜ポリイミド管状物の表面で熱定着が行われるため、
熱定着ローラーのようにあらかじめ定着ローラーを予備
加熱する時間を必要とせず、電源スイッチを入れるとす
ぐに熱定着を開始できる利点がある。また、ヒーターの
容量が小さく、消費電力も少ない利点があり、注目され
ている技術である。
【0006】この管状物に要求される特性は、前述のよ
うに管状物の内側に設置したヒーターにより、ポリイミ
ド管状物の外表面を通過する複写紙上のトナー像を瞬時
に融着させる機構になっているため、ポリイミド管状物
の厚みにバラツキがあると均一にトナーの溶融が出来な
くなり、オフセット現象が発生する。従って管状物の厚
みのバラツキは出来るだけ小さくする必要がある。
【0007】また、管状物の周長差、すなわち管状物の
長さ方向における内径のバラツキは、薄膜管状物を2軸
又は3軸間で回転させる場合に、管状物の長さ方向への
蛇行を発生させることになる。従って管状物を、熱定着
用シームレスベルトとして使用する用途に対しては、精
度の高い円筒度が要求される。
【0008】そこで、一様の厚みの管状物を得るため、
内面が平滑なガラス管やステンレス管等の成形管の内面
に、ポリイミド酸溶液を流し込んだ後、この成形管を垂
直に保持して、この内面に弾丸状体や球状体などの走行
体を自重により落下させて、一定の厚みに形成し、その
後、加熱により乾燥及びイミド化し管状物とした後、成
形管から抜き出す方法が提案されている(特開昭62−
19437号公報)。
【0009】また本発明者等は、特開平3−18030
9号公報、特開平3−261518号公報において、芯
体の外面にポリアミド酸溶液のようなポリイミド前駆体
溶液を塗布し、加熱により乾燥及びイミド化した後、そ
の管状物として芯体から分離する方法を提案している。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記特
開昭62−19437号公報の方法では、1回の処理で
はきわめて薄い膜しか形成できないため、成形−乾燥−
加熱処理を複数回繰り返し、積層させなければならない
という問題がある。また、ガラス管やステンレス管等の
成形管の内面からポリイミド管状物を抜き取る作業が非
常に困難である。さらに、成形管の内側からポリイミド
管状物を取り出す方法であるため管状物の内径の小さい
ものを作ることが難しく、且つ長尺物を作ることも非常
に困難であるという問題もあった。また、原料溶液を繰
り返し使用すると、原料溶液中に気泡を抱き込み、高粘
度溶液であるため脱泡が困難であるという問題もあっ
た。
【0011】また特開平3−180309号公報、特開
平3−261518号公報に提案した方法においても、
実生産において前記同様原料溶液を繰り返し使用する
と、原料溶液中に気泡を抱き込み、高粘度溶液であるた
め脱泡が困難であるという問題があった。すなわち高粘
度溶液、例えばポリイミド前駆体溶液中などに発生した
気泡の除去の方法としては、一般的には減圧(または真
空)による脱泡方法が知られているが、50〜1000
0ポイズ程度の高粘度溶液中の気泡を生産ラインの中で
しかも短時間内に除去することはきわめて困難であっ
た。そして、ポリイミド管状物はトナーの熱溶融温度で
ある150〜200℃の高温度領域内で2軸又は3軸間
で張力がかけられ、回転すると同時に蛇行調整のめの
制御機構も加わり、これらの機械的なストレスにより、
ポリイミド管状物のフィルム中に気泡が含まれていると
熱定着中に前記管状物が破損してしまうという問題があ
った。
【0012】本発明は、前記従来の問題点を解決するた
め、高粘度のポリイミド前駆体溶液を繰り返し使用して
も、気泡を抱き込まずに均一な成形が可能で、その結果
製品歩留まりが高く、低コストで、しかも厚み精度の高
いポリイミド樹脂製の管状物の製造方法とその装置を提
供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するた
め、本発明のポリイミド管状物の製造方法は、ポリイミ
ド前駆体溶液を円筒状金型の表面に塗布し、次いで乾燥
後加熱してイミド転化反応を行わせて実質的にポリイミ
ドを主成分とするシームレス管状物を製造する方法であ
って、気泡を有する高粘度ポリイミド前駆体溶液中に円
筒状金型を浸漬し、かつ前記円筒状金型またはポリイミ
ド前駆体溶液槽を回転させて、前記円筒状金型の表面に
付着するポリイミド前駆体溶液中の気泡を除去し、しか
る後、外金型を用いて前記ポリイミド前駆体溶液を円筒
状金型の表面に均一厚さに塗布することを特徴とする。
【0014】前記構成においては、ポリイミド前駆体溶
液の粘度が50〜10000ポイズであることが好まし
い。また前記構成においては、円筒状金型の回転数が、
10〜1000rpmであることが好ましい。
【0015】また前記構成においては、ポリイミド前駆
体溶液の塗布厚み(円筒状金型外径と外金型内径のクリ
アランス)が、10〜1000μm範囲であることが好
ましい。
【0016】また前記構成においては、円筒状金型の外
表面にポリイミド前駆体溶液を実質的に均一厚さに付着
させる手段が、前記円筒状金型の外側に一定のクリアラ
ンスを有する外金型を配置させ、前記円筒状金型または
前記外金型のうち少なくとも一方を移動する方法である
ことが好ましい。
【0017】また前記構成においては、円筒状金型また
はポリイミド前駆体溶液槽の回転時間が、1〜60秒の
範囲であることが好ましい。次に本発明のポリイミド管
状物の製造装置は、ポリイミド前駆体溶液を円筒状金型
の表面に塗布し、次いで乾燥後加熱してイミド転化反応
を行わせて実質的にポリイミドを主成分とするシームレ
ス管状物を製造する装置であって、ポリイミド前駆体溶
液槽と、前記円筒状金型を気泡を有する高粘度ポリイミ
ド前駆体溶液中に浸漬するための前記ポリイミド前駆体
溶液槽または円筒状金型を相対的に上下させる手段と、
前記円筒状金型またはポリイミド前駆体溶液槽の少なく
とも一方を回転させて、前記円筒状金型の表面に付着す
るポリイミド前駆体溶液中の気泡を除去する手段と、前
記円筒状金型の外側に一定のクリアランスをもって配置
され、かつ移動される外金型とを少なくとも具備したこ
とを特徴とする。
【0018】
【作用】前記本発明方法の構成によれば、ポリイミド前
駆体溶液中に円筒状金型を浸漬し、かつ前記円筒状金型
またはポリイミド前駆体溶液槽を回転させて、前記円筒
状金型の表面に付着するポリイミド前駆体溶液中の気泡
を除去し、しかる後、外金型を用いて前記ポリイミド前
駆体溶液を円筒状金型の表面に均一厚さに塗布すること
により、高粘度のポリイミド前駆体溶液を繰り返し使用
しても、気泡を抱き込まずに均一な成形が可能で、その
結果製品歩留まりが高く、低コストで、しかも厚み精度
の高いポリイミド樹脂製の管状物の製造方法を実現でき
る。すなわち、円筒状金型を回転させることにより、驚
くべきことに、前記円筒状金型の表面に付着するポリイ
ミド前駆体溶液中の気泡をきわめて効率良く除去でき
る。表現を変えると、高粘度のポリイミド前駆体溶液を
繰り返し使用し、それ自体気泡を抱き込んでいても、円
筒状金型の表面に付着するポリイミド前駆体溶液中の気
泡をきわめて効率良く除去できる。この現象は、高粘度
溶液中で円筒状金型を回転させると、円筒状金型表面近
辺の溶液の剪断応力により、円筒状金型表面近辺のみ気
泡が排除されてしまうことに起因していると思われる。
【0019】また、ポリイミド前駆体溶液の粘度が50
〜10000ポイズであると、さらに前記脱泡作用を効
率良く発揮できる。また、円筒状金型の回転数が10〜
1000rpmであると、さらに前記脱泡作用を効率良
く発揮できる。
【0020】また、ポリイミド前駆体溶液の塗布厚み
が、10〜1000μm範囲であると、最終成形物であ
るポリイミド樹脂からなるシームレス管状物にとって好
ましい厚さのものとすることができる。
【0021】また、円筒状金型の外表面にポリイミド前
駆体溶液を実質的に均一厚さに付着させる手段が、前記
円筒状金型の外側に一定のクリアランスを有する外金型
を配置させ、前記円筒状金型または前記外金型のうち少
なくとも一方を移動する方法であると、効率良く均一厚
さのポリイミド樹脂からなるシームレス管状物を成形で
きる。
【0022】また、円筒状金型またはポリイミド前駆体
溶液槽の回転時間が、1〜60秒の範囲であると、脱泡
・除泡効率と処理時間の適正化による生産効率の点から
好ましい。すなわち、回転時間があまりに短いと脱泡・
除泡効果が発揮できず、また回転時間があまりに長いと
生産効率が低下することになる。
【0023】次に本発明のポリイミド管状物の製造装置
によれば、ポリイミド前駆体溶液槽と、その中に円筒状
金型を浸漬及び引き上げる手段と、前記円筒状金型を回
転させる手段と、前記円筒状金型の外側に一定のクリア
ランスをもって配置され、かつ移動される外金型とを少
なくとも具備したことにより、高粘度のポリイミド前駆
体溶液を繰り返し使用しても、気泡を抱き込まずに均一
な成形が可能で、その結果製品歩留まりが高く、低コス
トで、しかも厚み精度の高いポリイミド樹脂製の管状物
の製造装置を実現できる。
【0024】
【実施例】本発明の樹脂管状成形物製造装置を、その好
適な一実施例を示す図1、図2及び図3を用いて説明す
る。図1はこの実施例の構成を示す側面図である。図2
はこの実施例の動作を示す工程図である。図3は外金型
により円筒状金型の表面に付着した樹脂の膜厚を制御し
ている様子を示す斜視図である。
【0025】図1において、例えばポリイミド等の熱硬
化性樹脂の前駆体溶液(樹脂溶液)1は樹脂容器10に
収容され、樹脂容器10はリフト11により保持されて
いる。リフト11は、昇降装置40により、図中矢印A
で示すように垂直方向に上下される。昇降装置40は、
例えばねじ切り支柱41を回転させる手段からなる。ね
じ切り支柱41を回転させると、前記支柱41のねじに
噛み合うねじを持ち、かつリフト11に連結している係
合部42がガイド支柱43を摺動し、リフト11ととも
に上下動する。
【0026】外金型30は樹脂容器10の上に置かれて
いる。昇降装置(昇降機構)40の上方には円筒状金型
20、20’・・・を連続的に搬送するための搬送機構
50が設けられている。特に、リフト11の上方にはギ
ヤユニット61及びモーター62等で構成された回転機
構60が設けられており、外金型30、樹脂容器10等
と対向する円筒状金型20に係合し、図中矢印Bで示す
ように円筒状金型20を回転させる。回転数は10〜1
000r.p.mが好ましい。
【0027】次に、この実施例の動作を図2を参照しつ
つ説明する。図2において、(a)に示すように、図1
に示した搬送機構50を駆動し、図中矢印Cで示すよう
に円筒状金型20を搬送し、外金型30等と対向する位
置に停止させる。次に、(b)に示すように、図1に示
した昇降装置40を駆動し、図中矢印Dで示すように、
樹脂容器10を上昇させて円筒状金型20の先端20a
から円筒状金型20を樹脂液1に浸漬させる。樹脂容器
10は、成形しようとする管状成形物の長さを確保する
のに充分な深さまで円筒状金型20が浸るように、必要
な高さまで上昇される。次に、(b)に示すように、図
1に示した回転機構60を駆動し、円筒状金型20を好
ましくは10〜1000r.p.mの範囲で回転させ
る。これにより樹脂溶液中に存在する気泡を、円筒状金
型の近傍から取り除く。次に、(c)に示すように、樹
脂容器10を矢印Eで示す方向に下降させる。この時、
外金型30は樹脂1の粘性により、円筒状金型20と係
合したまま取り残される。そして、外金型30は重力の
作用により矢印Fの方向に自然落下し、その際、円筒状
金型20に付着した余分な樹脂を除去する。外金型30
により除去された余分な樹脂は、樹脂容器10に環流す
る。そして、(a)に示すように、最後に、外金型30
が外金型ホルダー31の上に落下して1つの円筒状金型
20に対する動作が完了する。その結果、円筒状金型2
0の表面には、円筒状金型20の外径部と外金型30の
内径部との隙間に対応した厚さの樹脂膜がキャスト形成
される。表面に樹脂膜がキャスト形成された円筒状金型
20は、図1に示した搬送機構50により次の乾燥工程
等へ搬送され、新たな円筒状金型20’が樹脂容器(樹
脂溶液槽)10等と対向する位置に搬送されてくる。
【0028】次に、外金型30が自然落下し、円筒状金
型20の表面にキャスト成形された樹脂膜1aが形成さ
れる様子を図3に示す。前述のように、円筒状金型20
を樹脂容器10から引き上げると、円筒状金型20の表
面に樹脂1が付着すると共に、樹脂1の粘性により外金
型30が円筒状金型20と係合したまま取り残される。
しかし、外金型30はその自重により、樹脂1を扱きつ
つゆっくりと下降する。ところで、外金型30の内径は
成形しようとする管状物の外径に相当し、また円筒状金
型20の外径は成形しようとする管状物の内径に相当す
る。従って、外金型30の内径と円筒状金型20の外径
との差は、成形しようとする管状物の厚さの2倍に相当
する。例えば、成形しようとする管状物の厚みを100
μmとすると、外金型30の内径と円筒状金型20の外
径との差は200μm、すなわち、0.2mmである。
外金型30が下降すると、円筒状金型20に付着した余
分な樹脂が除去され、円筒状金型20の表面には所定の
膜厚の樹脂膜1aがキャスト成形される。
【0029】本発明の場合、樹脂管状成形物の材料は、
例えばポリイミド前駆体等の熱硬化性樹脂であり、その
粘度は50〜10000ポイズ(好ましくは500〜5
000ポイズ)程度と高く、いわゆる蜂蜜状である。従
って、図3に示すように、円筒状金型20を樹脂容器1
0から引き上げると、大量の樹脂1が円筒状金型20の
表面に付着して、一緒に引き上げられる。外金型30が
自然落下する際に、この円筒状金型20の表面に付着し
た余分な樹脂1を扱き取る。そのため、外金型30は樹
脂1の粘性に打ち勝って落下し得るための重量が必要で
ある。外金型30に必要な重量は樹脂1の粘度及び形成
しようとする樹脂膜の厚さ等との兼合で決定されるた
め、具体的な数値は特定できないが、粘度が50〜10
000ポイズ(好ましくは500〜5000ポイズ)程
度の樹脂を用いた場合、外金型30の降下速度が2mm
/sec〜210mm/secの範囲内になるように外
金型の重量を設定すればよい。
【0030】次に図4は本発明の別の実施例を示す側面
図であり、円筒状金型20を上下動させる例である。図
4において、例えばポリイミド等の熱硬化性樹脂の前駆
体溶液(樹脂溶液)1は樹脂容器10に収容され、樹脂
容器10を固定台90の上に固定する。円筒状金型20
は、昇降装置70により、図中矢印Gで示すように垂直
方向に上下される。昇降装置70は、例えばモータ75
の回転をプーリ74,ベルト73,プーリ72で受け、
これによりねじ切り支柱71を回転させる手段からな
る。ねじ切り支柱71を回転させると、前記支柱71の
ねじに噛み合うねじを持つ係合部76が上下動し、実線
の位置から点線の位置まで移動する。これにより円筒状
金型20を上下動させる。また係合部76にはモータ8
1,ベルト82,プーリ83を含む円筒状金型20の回
転機構80が連結している。なお、外金型30はストッ
パー31で止められており、円筒状金型20が樹脂液3
に浸漬され、次いで回転機構80によって回転された
後、ストッパー31を解除して外金型20を自重で落下
させる。
【0031】本発明で使用できるポリイミド前駆体は、
例えば芳香族テトラカルボン酸成分と、芳香族ジアミン
成分とを有機極性溶媒中で反応させて得られるものであ
る。芳香族テトラカルボン酸成分としては特に制限はな
く、例えば、3,3´,4,4´−ビフェニルテトラカ
ルボン酸二無水物、2,3´,4,4´−ベンゾフェノ
ンテトラカルボン酸二無水物、ピロメリット酸二無水物
などがあり、これらのテトラカルボン酸類の混合物でも
よい。前記の芳香族ジアミン成分としては、特に制限は
なく、例えば3,3´−ジアミノフェニルエーテル、
3,3´−ジメトキシ−4,4´−ジアミノジフェニル
エーテル、4,4´−ジアミノフェニルエーテルなどの
ジフェニルエーテル系ジアミン、3,3´−ジフェニル
チオエーテル、4,4´−ジアミノジフェニルチオエー
テなどのジフェニチオエーテル系ジアミン、4,4´−
ジアミノベンゾフェノンなどのベンゾフェノン系ジアミ
ン、その他ジフェニルメタン系ジアミンパラフェニレン
ジアミン、メタフェニレンジアミンなどを挙げることが
できる。又、有機極性溶媒としては、N−メチル−2−
ピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトア
ミド、フェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、
p−クレゾール、ジメチルオキシド等が挙げられるが、
これらにとくに限定されるものではない。
【0032】以下具体的実施例によりさらに詳しく説明
する。 (実施例1)図1の装置を用いて実験を行った。外側直
径30mm、長さ500mmのアルミニウム製パイプの
外面に、無機コーティング剤(例えば酸化ケイ素系コー
ティング剤)を焼き付けて被膜を形成したものを円筒状
金型として使用した。
【0033】次いでポリイミド前駆体として粘度100
0ポイズの3,3´,4,4´−ビフェニルテトラカル
ボン酸2無水物と芳香族ジアミン(例えば4,4´−ジ
アミノジフェニルエーテル:4,4´-diaminodiphenyleth
er )を、N−メチル−2−ピロリドン中で反応させて
得られたポリイミド前駆体溶液を用意した。このポリイ
ミド前駆体溶液槽の中へ前記円筒状金型を、長さ600
mmまで浸漬し、その後150r.p.m.の回転数で
15秒間円筒状金型を回転させ、次いでポリイミド前駆
体溶液槽から引き上げた。しかるのち、円筒状金型上部
のポリイミド前駆体溶液の最上部付着部に内径直径31
mmの外金型を載置し、その自重によって落下させ、円
筒状金型の外表面に500μmの厚みでポリイミド前駆
体溶液の被膜を成形した。
【0034】その後、120℃の温度で40分、200
℃の温度で20分、さらに220℃の温度で40分、及
び400℃の温度で50分間加熱しイミド転化を完結さ
せ、その後常温まで冷却し、円筒状金型から管状物を分
離しポリイミド管状物を得た。この管状物の厚みは45
μmであり、この管状物を切り開きポリイミドフィルム
面の気泡を観察したところ、有害となる気泡は含まれて
いなかった。
【0035】なお上記ポリイミド前駆体溶液槽のポリイ
ミド前駆体溶液の状態は、溶液槽に投入時はほとんど気
泡は含まれていないが、円筒状金型を浸漬し管状物を成
形する回数が増えるに従って気泡の数も多くなり、回転
を行わない場合は、数10回の成形で使用不能になる。
【0036】(実施例2)図4の装置を用いて実験を行
った。実施例1と同じ円筒状金型を用い、ポリイミド前
駆体としてピロメリート酸2無水物と4,4´−ジアミ
ノジフェニルエーテルをN−メチル−2−ピロリドン中
で反応させて得られたポリイミド前駆体溶液を用意し
た。粘度は6000cpであった。そして、円筒状金型
を前記ポリイミド前駆体溶液に浸漬した後、回転数を3
0r.p.m.で回転させた。回転時間は50秒間であ
った。次に円筒状金型上部のポリイミド前駆体溶液の最
上部付着部に内径直径32mmの外金型を載置し、その
自重によって落下させ、円筒状金型の外表面に1000
μmの厚みでポリイミド前駆体溶液の被膜を成形した。
【0037】その後、100℃の温度で60分、180
℃の温度で10分、さらに250℃の温度で30分、及
び350℃の温度で50分間加熱しイミド転化を完結さ
せ、その後常温まで冷却し、円筒状金型から管状物を分
離しポリイミド管状物を得た。この管状物の厚みは10
0μmであり、この管状物を切り開きポリイミドフィル
ム面の気泡を観察したところ、有害となる気泡は含まれ
ていなかった。
【0038】なお上記ポリイミド前駆体溶液槽のポリイ
ミド前駆体溶液の状態は、溶液槽に投入時はほとんど気
泡は含まれていないが、円筒状金型を浸漬し管状物を成
形する回数が増えるに従って気泡の数も多くなり、回転
を行わない場合は、数10回の成形で使用不能になる。
【0039】なお上記実施例1〜2を通じて下記のこと
が判明した。 (a)回転数が早すぎるとポリイミド前駆体溶液中に気
泡が発生しやすい。 (b)回転時間が短いと気泡が取れにくい。 (c)塗布厚みが薄い場合には外金型を通過させること
により気泡が除却できる。 (d)ポリイミド前駆体溶液粘度、塗布厚み、回転数、
回転時間を実験的に求めることにより最適条件を得るこ
とが出来る。
【0040】
【発明の効果】以上説明した通り本発明によれば、高粘
度のポリイミド前駆体溶液を繰り返し使用しても、気泡
を抱き込まずに均一な成形が可能で、その結果製品歩留
まりが高く、低コストで、しかも厚み精度の高いポリイ
ミド樹脂製の管状物の製造方法を実現できる。
【0041】次に本発明のポリイミド管状物の製造装置
によれば、ポリイミド前駆体溶液槽と、その中に円筒状
金型を浸漬及び引き上げる手段と、前記円筒状金型を回
転させる手段と、前記円筒状金型の外側に一定のクリア
ランスをもって配置され、かつ移動される外金型とを少
なくとも具備したことにより、高粘度のポリイミド前駆
体溶液を繰り返し使用しても、気泡を抱き込まずに均一
な成形が可能で、その結果製品歩留まりが高く、低コス
トで、しかも厚み精度の高いポリイミド樹脂製の管状物
の製造装置を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示す側面図である。
【図2】本発明の一実施例の動作を示す工程図である。
【図3】本発明の一実施例の外金型により円筒状金型の
表面に付着したポリイミド樹脂前駆体溶液の膜厚を制御
している様子を示す斜視図である。
【図4】本発明の別の実施例を示す側面図である。
【符号の説明】
1 ポリイミド樹脂前駆体溶液 1a キャスト成形されたポリイミド樹脂前駆体溶液 10 ポリイミド樹脂前駆体溶液槽 11 リフト 20 円筒状金型 20a 円筒状金型の先端 21 ストッパー 30 外金型 40 昇降装置 41,71 ねじ切り支柱 42,76 係合部 50 搬送装置 60,80 回転機構 61 ギヤユニット 62,75 モーター 70 昇降装置 72,74,83 プーリ 73,82 ベルト 90 固定台
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平3−180309(JP,A) 特開 昭53−19363(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B29C 41/14 B29C 41/04

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリイミド前駆体溶液を円筒状金型の表
    面に塗布し、次いで乾燥後加熱してイミド転化反応を行
    わせて実質的にポリイミドを主成分とするシームレス管
    状物を製造する方法であって、気泡を有する高粘度 ポリイミド前駆体溶液中に円筒状金
    型を浸漬し、かつ前記円筒状金型またはポリイミド前駆
    体溶液槽を回転させて、前記円筒状金型の表面に付着す
    るポリイミド前駆体溶液中の気泡を除去し、 しかる後、外金型を用いて前記ポリイミド前駆体溶液を
    円筒状金型の表面に均一厚さに塗布することを特徴とす
    るポリイミド管状物の製造方法。
  2. 【請求項2】 ポリイミド前駆体溶液の粘度が50〜1
    0000ポイズである請求項1に記載のポリイミド管状
    物の製造方法。
  3. 【請求項3】 円筒状金型またはポリイミド前駆体溶液
    槽の回転数が、10〜1000rpmである請求項1に
    記載のポリイミド管状物の製造方法。
  4. 【請求項4】 ポリイミド前駆体溶液の塗布厚みが、1
    0〜1000μm範囲である請求項1に記載のポリイミ
    ド管状物の製造方法。
  5. 【請求項5】 円筒状金型の外表面にポリイミド前駆体
    溶液を実質的に均一厚さに付着させる手段が、前記円筒
    状金型の外側に一定のクリアランスを有する外金型を配
    置させ、前記円筒状金型または前記外金型のうち少なく
    とも一方を移動する方法である請求項1に記載のポリイ
    ミド管状物の製造方法。
  6. 【請求項6】 円筒状金型またはポリイミド前駆体溶液
    槽の回転時間が、1〜60秒の範囲である請求項1に記
    載のポリイミド管状物の製造方法。
  7. 【請求項7】 ポリイミド前駆体溶液を円筒状金型の表
    面に塗布し、次いで乾燥後加熱してイミド転化反応を行
    わせて実質的にポリイミドを主成分とするシームレス管
    状物を製造する装置であって、 ポリイミド前駆体溶液槽と、前記円筒状金型を気泡を有
    する高粘度ポリイミド前駆体溶液中に浸漬するための前
    記ポリイミド前駆体溶液槽または円筒状金型を相対的に
    上下させる手段と、 前記円筒状金型またはポリイミド前駆体溶液槽の少なく
    とも一方を回転させて、前記円筒状金型の表面に付着す
    るポリイミド前駆体溶液中の気泡を除去する手段と、 前記円筒状金型の外側に一定のクリアランスをもって配
    置され、かつ移動される外金型とを少なくとも具備した
    ことを特徴とするポリイミド管状物の製造装置。
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