JP3654486B2 - 防水腰壁の出隅における防水構造と出隅用水切り - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、建物のバルコニー床や屋上床(以下「外部床」という)の周縁から立ち上げられて、その上端が外壁パネルや開口部外枠などの外装材の下端に当接する防水腰壁の防水構造のうち、特に、防水腰壁の出隅における防水構造およびその防水構造に使用される出隅用水切りに関する。
【0002】
【従来の技術】
図11に示すように、外部床1の表面には、防水処理のため、通常、防水シート11や塩ビ鋼板等からなる防水層が敷設される。外部床1は、その周縁が立ち上げられて、上端が外壁や手摺壁等の表面を構成する外壁パネル、あるいは開口部外枠など各種の外装材2の下端に突き当てられている。そして、防水シート11等が立ち上がり部分の表面に延設され、その上端まで貼着されることにより、防水腰壁3が形成されている。この場合、防水腰壁3の表面は外装材2の表面よりもやや後退するように、換言すると、外装材2の表面が防水腰壁3の表面よりも外部床1側に張り出した状態となるように設けられている。
【0003】
このような防水腰壁3と外装材2との境界部分を止水するため、防水腰壁3の上端縁部には水切り4が取り付けられる。
【0004】
水切り4は、樹脂や金属板等の素材により長尺に形成され、シーリング受け部41と、その下端から前方に張り出して下方に垂下する水切り部42とを備えている。そして、シーリング受け部41の上端を外装材2の下端に当接させるようにして防水腰壁3の上端縁部に沿ってあてがわれ、シーリング受け部41に設けられた複数個の透孔43を通してビス51を打ち込むことにより防水腰壁3に固定される。次いで、シーリング受け部41の前面にバックアップ材が貼着され、これを下地として、シーリング材が外装材2の下端面と水切り部42の上面との間に充填される。こうして、防水腰壁3と外装材2との境界部分の止水が図られる。
【0005】
ところで、2面の防水腰壁3が出隅を形成する場合、この出隅に前記水切り4を取り付けるには、出隅両側の2面の防水腰壁3に、それぞれ水切り4をその一端が出隅の稜角部からはみ出すように取り付け、はみ出して重なる部分をそれぞれ斜めに切り落として「留め」の形に継ぎ合わせる、という方法によるのが一般的である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、防水腰壁3の出隅においては、通常、図12に示すように、外部床1の表面に敷設された防水層(この例では塩ビ鋼板10)の周縁を防水腰壁3の表面に沿って若干立ち上げ、その上に、外部床1の周縁から防水腰壁3の上部までを被う別の防水シート12を貼り重ね、さらにその上に、出隅の稜角部の形状に合わせて3面を一体に成形した防水部材13を貼着するなどして防水処理が施される。このような処理によれば、出隅の稜角部付近の表面には、貼り重ねられた防水部材13等による段差が形成されることになる。
【0007】
そのため、このような出隅において前記した水切り4を施工しようとすると、水切り4の端部が防水部材13等による段差に乗り上げてしまうので、水切り4の端部を稜角部に密着させて確実に固定することが困難になる。その結果、水切り4の出隅側端部の納まりが悪くなり、見栄えが損なわれるとともに、出隅における防水性能が低下して浸水を招くおそれがある。
【0008】
また、出隅両側の一対の水切り4を稜角部の前面で「留め」の形に継ぎ合わせる際には、継ぎ合わせ部分を高い精度で加工して隙間なく接合するという面倒な作業が必要になる。この手間を省いて所定の水密性を得るために、水切り4の継ぎ合わせ部分にシーリングを施したり防水テープを貼着するなどの処理がなされることも多く、これらによっても出隅の外観が見苦しくなってしまう。
【0009】
また、出隅の稜角部は、その形態上、歩行者や物品がぶつかって痛むことが多いため、防水腰壁3から水切り4が剥がれて浮き上がってきたり、水切り4の継ぎ合わせ部分に施されたシーリングや防水テープがめくれたりして、継ぎ合わせ部分の防水性能が徐々に劣化するおそれもある。
【0010】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、防水腰壁の出隅の表面に防水部材等が貼り重ねられている場合でも納まりよく施工することができ、防水腰壁と外装材との境界部分を確実に止水することができて、さらに耐久性にも優れる、防水腰壁の出隅における防水構造と、その防水構造に使用される出隅用水切りを提供することを目的としている。
【0011】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するため、本発明の請求項1に記載の防水腰壁の出隅における防水構造は、バルコニー床または屋上床の周縁から立ち上げられて出隅を形成する2面の防水腰壁と、各防水腰壁のそれぞれ上方に設けられ各防水腰壁の表面よりも前方に張り出して出隅を形成する2面の外装材との、境界部分の防水構造であって、出隅近傍の前記各外装材の下端にそれぞれ上縁が当接されるとともに、裏側に水密マットが重ねられて、出隅近傍の前記各防水腰壁の上端縁部にそれぞれ取り付けられ、表面に水切り面が形成された一対の水切りと、前記各水切りの出隅側の一端に両縁端部がそれぞれ各別に連結され、前記2面の外装材の下端に上縁が当接されるとともに、裏側に水密マットが重ねられて、前記2面の防水腰壁にわたって配置された出隅用ジョイナーと、前記2面の防水腰壁が形成する出隅に沿って継ぎ目なく連続する水切り面が表面に形成されるとともに、前記各水切りの出隅側の一端に水切り面同士がそれぞれ面一に連続するよう各別に連結されて、前記出隅用ジョイナーの前面を被覆する出隅用カバーと、から構成され、前記各水切りおよび前記出隅用カバーの各水切り面と前記2面の外装材の下端との間にシーリング材が充填されて、防水腰壁と外装材との境界部分が止水されたことを特徴としている。
【0012】
また、本発明の請求項2に記載の出隅用水切りは、バルコニー床または屋上床の周縁から立ち上げられて出隅を形成する2面の防水腰壁と、各防水腰壁のそれぞれ上方に設けられ各防水腰壁の表面よりも前方に張り出して出隅を形成する2面の外装材との、境界部分に設けられる防水腰壁の出隅用水切りであって、該出隅用水切りは、出隅近傍の前記各防水腰壁の上端縁部にそれぞれ取り付けられる一対の水切りに両端縁部をそれぞれ各別に連結される、出隅用ジョイナーと出隅用カバーとから構成され、前記出隅用ジョイナーは、前記2面の外装材の下端に上縁が当接されるとともに、裏側に水密マットが重ねられて前記2面の防水腰壁にわたって配置され、前記出隅用カバーは、前記2面の防水腰壁が形成する出隅に沿って継ぎ目なく連続する水切り面が表面に形成されるとともに、前記各水切りに水切り面同士がそれぞれ面一に連続するよう連結されて、前記出隅用ジョイナーの前面を被覆することを特徴としている。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
【0014】
まず、防水腰壁の一般部に取り付けられる水切りと、それを使用して施工される防水腰壁の防水構造について説明する。
【0015】
図8は、水切り6の構成を斜視図によって示し、図9は前記水切り6を構成する各部材の断面形状を示している。
【0016】
水切り6は、レール61、ブラケット62およびカバー63の3種類の部材から構成されている。レール61およびブラケット62は、それらが重ねられて防水腰壁にビス止めされるもので、カバー63は、ブラケット62に係合支持されてレール61を被覆するものである。
【0017】
レール61は、一様断面を有する長尺部材で、その下半部が基板部611、上半部がシーリング受け部612となされている。基板部611の上縁および下縁には、基板部611に直交する上側リブ613および下側リブ614がそれぞれ形成されている。シーリング受け部612は、上側リブ613の後縁から上方に立ち上げられている。また、上側リブ613の後縁には下向きのリップ615が形成され、下側リブ614の後縁には上向きのリップ616が形成されている。
【0018】
ブラケット62は、定寸の短尺部材で、レール押さえ部621と、その上縁および下縁からそれぞれ前方に延出された上側カバー被係合部622、下側カバー被係合部623とから形成されている。レール押さえ部621は、その高さ方向の外寸が、前記レール61の上側リブ613と下側リブ614との間にちょうど嵌合される寸法になされている。そして、上側カバー被係合部622の上面および下側カバー被係合部623の下面には、それぞれ爪形の凸条が形成されている。
【0019】
ブラケット62は、図8に示すように、共通の断面形状を有する2タイプのものが用意されている。一方は、そのレール押さえ部621の中央1か所にビス穴624が形成された一穴ブラケット62Sとなされ、他方は、その長さが一穴ブラケット62Sの長さのほぼ2倍で、レール押さえ部621の長手方向両端付近の2か所にビス穴624、624が形成された二穴ブラケット62Lとなされている。
【0020】
カバー63は、一様断面を有する長尺部材で、上面板631、前面板632および下面板633から形成されている。上面板631は、前方に向かって下り勾配となり、前面板632に連続している。前面板632の下縁は、下面板633の下方に突出して垂下している。そして、これら上面板631と前面板632とによって水切り面が形成されている。また、上面板631の後縁の下面および下面板633の後縁の上面には、それぞれ爪形の凸条が形成され、前記ブラケット62の上側カバー被係合部622および下側カバー被係合部623にそれぞれ係合される係合部634、635となされている。
【0021】
次に、この水切り6を用いて施工される、防水腰壁の一般部における防水構造について説明する。図10は、防水腰壁3に水切り6を取り付けた状態の縦断面を示しており、防水腰壁3の周辺部位のうち図11中に示したものと同じ部位には同一の符号を付している。
【0022】
水切り6の取り付けにあたっては、まず、1本のレール61を防水腰壁3の上端縁部に沿ってあてがい、シーリング受け部612の上縁を外装材2の下端に当接させる。このとき、レール61の基板部611の裏側には、水密マット52をレール61の長さ方向全体にわたって重ね、レール61と防水腰壁3との間に挟み込む。この水密マット52は、例えば、EPTなど、エチレンやプロピレンなどの重合体を基材とする合成ゴム系素材、あるいはその他の樹脂発泡体からなる可撓性の長尺部材で、レール61の裏側に形成された下向きのリップ615と上向きのリップ616との間に装着されうる上下幅を有し、基板部611の後方に延出された上側リブ613および下側リブ614の延出幅よりもやや厚く形成されたものである。
【0023】
そして、レール61の基板部611の表側には、一穴ブラケット62Sを重ね、基板部611の上側リブ613と下側リブ614との間に一穴ブラケット62Sのレール押さえ部621を嵌合させる。一穴ブラケット62Sは、レール61の1本の長さに応じた適当な位置に1個ないし複数個ずつ配設される。そして、それぞれの一穴ブラケット62Sのビス穴624にタッピングビス等のビス51を打ち込み、水密マット52を押圧しながら、一穴ブラケット62Sとレール61とを一緒に防水腰壁3の下地材に固定する。
【0024】
レール61を連設する際には、隣り合うレール61の端部同士が接する突き合わせ部に二穴ブラケット62Lを配設し、レール61の突き合わせ部を跨ぐようにしてそれぞれの基板部611に嵌合させ、二穴ブラケット62Lの2箇所のビス穴624からビスを打ち込む。これにより、隣り合うレール61が、それぞれの端部を同一直線状に揃えて連結され、防水腰壁3に固定される。
【0025】
こうして、レール61およびブラケット62を防水腰壁3に取り付けた後、各ブラケット62にカバー63を係合させる。前記したように、ブラケット62の上側カバー被係合部622および下側カバー被係合部623と、カバー63の上側および下側に形成された係合部634、635はそれぞれ爪形の凸条が互いに引っ掛かりあうように形成されている。そのため、カバー63は、ブラケット62に対し正面から押し込むだけで簡単にブラケット62に係合支持され、レール61の基板部611に打ち込まれたビス51の頭部を被覆する。カバー63を連設する際にも、隣り合うカバー63の端部同士が接する突き合わせ部を二穴ブラケット62Lの略中央に位置させる。
【0026】
カバー63を取り付けた後、各レール61のシーリング受け部612の表面にバックアップ材53を貼着する。そして、このバックアップ材53を下地として、外装材2の下端面とカバー63の上面板631との間にシーリング材54を充填する。以上により、防水腰壁3の上端と外装材2の下端との境界部分における防水処理が完了する。
【0027】
本発明の防水腰壁の出隅における防水構造は、前記した防水腰壁の一般部における防水構造と併用されるものであって、前記防水構造に連続するようにして防水腰壁3の出隅に設けられる。
【0028】
図1は、防水腰壁の出隅における防水構造の施工に使用される出隅用水切り7を示す。出隅用水切り7は、防水腰壁3の出隅にあてがわれる出隅用ジョイナー71と、その前面に取り付けられる出隅用カバー72とから構成されている。
【0029】
出隅用ジョイナー71は、本体部711と、連結部712と、カバー支承部713とを備える部材である。
【0030】
本体部711は、横長の板体を、出隅を形成する2面の防水腰壁3のなす平面角(以下「出隅角」という)と同一の角度に屈曲させたものである。本体部711の高さは、前記水切り6におけるレール61の高さと略同一になされている。
【0031】
連結部712は、前記本体部711の両端縁部からそれぞれ延出された平板状の部分で、本体部711の下半部に位置している。そして、連結部712の高さおよび厚みが、前記水切り6におけるレール61の基板部611の背面に形成された上側リブ613、下側リブ614と、上下のリップ615、616との間に嵌合される大きさに形成されている。
【0032】
カバー支承部713は、前記本体部711の前面に突設された横断面T字形またはL字型の凸条で、凸条を縦向きにして、本体部711の左右両側にそれぞれ3箇所づつ設けられている。
【0033】
一方、出隅用カバー72は、出隅両側の2面の防水腰壁3に沿って、前記出隅用ジョイナー71のカバー支承部713の前面にそれぞれあてがわれる一対の直線部721から形成されている。各直線部の長さ721は、前記出隅用ジョイナー71の本体部711の左右それぞれの長さよりもやや長く形成されている。左右両側の直線部721は、出隅角と同一の角度に屈曲し、表面が継ぎ目なく連続するようあらかじめ一体に成形されている。直線部721の断面形状は、図2に示すように、前記水切り6におけるカバー63と同一の外形を有し、前方に向う下り勾配を持つ上面板722と、上面板722の前縁から下方に垂下する前面板723とによって水切り面が形成されている。また、上面板722の後縁の下面および下面板724の後縁の上面には、それぞれ爪形の凸条による係合部725、726が形成されている。さらに、上面板722の前方寄りの下面および下面板724の前方寄りの上面には、それぞれ補強用のリブ727、728が設けられている。
【0034】
次に、この出隅用水切り7を使用し、防水腰壁の出隅における防水構造を施工する手順について説明する。
【0035】
防水腰壁3の出隅においては、図12に示したように、出隅の稜角部付近に貼り重ねられた防水部材13等による表面の段差が形成されている。
【0036】
そこで、まず、図4に示すように、出隅用ジョイナー71の一方の連結部712を、一方の水切り6のレール61の一端において基板部611の背面に嵌合させ、出隅用ジョイナー71とレール61とを連結する。これらを、出隅用ジョイナー71が防水腰壁3の出隅に位置するように、かつ、出隅用ジョイナー71およびレール61の上縁が外装材2の下端に当接するようにして、一方の防水腰壁3の上端縁部にあてがう。このとき、レール61および出隅用ジョイナー71の裏側には、前記した水密マット52を重ねて防水腰壁3との間に挟み込む。この水密マット52は、出隅両側の2面の防水腰壁3にわたって連続するよう、あらかじめ十分な長さのものを用いる。そして、レール61の基板部611にブラケット62を嵌合させ、ブラケット62のビス穴624からビス51を打ち込み、水密マット52を押圧しながら、レール61をブラケット62とともに一方の防水腰壁3に固定する。このとき、ブラケット62をレール61の端部に配設し、ブラケット62のビス穴624に打ち込まれるビス51が出隅用ジョイナー71の連結部712を貫通するようにビス止めしてもよい。さらに、出隅用ジョイナー71の他方の連結部712にも、他方の水切り6のレール61の一端を連結し、同様にして他方の防水腰壁3にビス止めする。こうして、図5に示すように、出隅用ジョイナー71が、両側のレール61に挟まれた状態で、防水腰壁3の出隅に取り付けられる。
【0037】
なお、ここで用いるブラケット62は、一穴ブラケット62S、二穴ブラケット62Lのいずれでもよい。また、ここで用いるレール61は、あまり長くないものの方が作業性がよい。
【0038】
続いて、図6に示すように、前記出隅用ジョイナー71および両側のレール61の出隅側の端部前面に、出隅用カバー72を取り付ける。出隅用カバー72は、前記したように、直線部721の背面に係合部725、726が形成されているため、出隅の稜角部の前面から左右のブラケット62に向かって押し込むことによりブラケット62に係合、連結される。
【0039】
こうして取り付けられた出隅用水切り7の両側に、さらにレール61およびブラケット62を連設し、カバー63を取り付ける。こうして、図7に示すように、出隅用水切り7から一般部用の水切り6に連続する水切り面が形成される。このとき、出隅用カバー72の両端部がいずれかのブラケット62の中央付近に位置するように直線部721の長さを設定することにより、出隅用カバー72と、これに連設される水切り6のカバー63との端部同士がブラケット62上で突き合わせられ、水切り面がきちんと揃い、見栄えや防水性が良くなる。
【0040】
バルコニーの全周に水切り6を取り付けた後、レール61のシーリング受け部612および出隅用ジョイナー71の本体部711の表面にバックアップ材53を貼着する。このバックアップ材53を下地として、外装材2の下端面と、カバー63の上面板631および出隅用カバー72の上面板722との間にシーリング材54を充填する。これで、防水腰壁3と外装材2との境界部の止水処理が完了する。
【0041】
本発明の防水腰壁の出隅における防水構造は、前記のように実施されることにより、以下の特長を有する。
【0042】
第一に、図3に示すように、出隅用ジョイナー71の裏側には、水切り6のレール61の裏側から連続する水密マット52が重ねられるため、この水密マット52が、レール61のビス止めにより圧縮されて防水腰壁3の表面に押し付けられ、防水部材13等によって防水腰壁3の表面に形成された段差を埋めるようにして、レール61および出隅用ジョイナー71と防水腰壁3との間に充填される。こうして、出隅用ジョイナー71およびレール61の取付位置が平坦化され、これらが納まりよく取り付けられるとともに、これらの裏側の水密性も確保されることとなる。
【0043】
第二に、この防水構造は、出隅用ジョイナー71の連結部712を水切り6のレール61に連結してその前面に出隅用カバー72を取り付ける構造となされている。そして、出隅用カバー72は、水切り6のカバー63と同一断面の水切り面を備え、出隅用ジョイナー71の前面でカバー支承部713に支承され、ブラケット62を介して水切り6のカバー63と端部同士を揃えて面一に連結されるようになされている。これらにより、出隅用水切り7と水切り6とが、ずれることなく正確に連続して取り付けられる。同時に、出隅用ジョイナー71の上縁およびレール61の上縁が、出隅の両側の外装材2の下端面に当接されるので、バックアップ材53およびシーリング材54が確実に受け止められる。こうして、施工後の見栄えが良くなるとともに、シーリング材54の充填作業の精度が上がり、高い水密性が得られる。
【0044】
なお、出隅用ジョイナー71は、カバー支承部713の本数を増減させたものでもよい。あるいは、カバー支承部713を本体部711の上縁まで延設せず、出隅用カバー72の背面の高さに揃えて本体部711の上部を平坦に形成することにより、シーリングを更にしやすくしてもよい。
【0045】
第三に、出隅用カバー72が、左右の直線部721を出隅角と同じ角度に屈曲させ、継ぎ目なく一体に成形されたものであるため、防水腰壁3の出隅に沿ってぴったりとあてがわれる。したがって、出隅の稜角部において両側の水切り4を継ぎ合わせる従来の防水構造に比べ、その施工がはるかに簡単になる。また、一体に成形された1つの部材で出隅の稜角部を被覆するため、良好な美観が得られるとともに、歩行者や物品がぶつかっても水切り面が損傷しにくくなり、稜角部における水密性を従来よりも長期にわたって確保することができる。
【0046】
なお、本発明の出隅用水切り7と併用される水切り6は、前記した図8および図9に示すものに限定されない。本発明の出隅用水切り7を構成する出隅用ジョイナー71および出隅用カバー72と合理的に連結されて連続しうる形状や構造を備えるものであればよく、例えば、レール61とブラケット62が一体的に形成されたもの、ブラケット62とカバー63との係合部の形状が異なるもの、レール61にブラケット62が摺動自在に係合されたもの、レール61にカバー被係合部が形成されてブラケット62を介さずにカバー63を係合支持しうるもの、などであってもよい。ただし、それらの形状、構造に応じて、出隅用水切り7の連結部712の位置や形状が多少変形される場合もある。
【0047】
ところで、以上の説明においては、防水腰壁3の出隅が直角(出隅角が270度)の場合を図示していたが、これに限らず、例えば出隅角が240度や225度などである場合にも、出隅用ジョイナー71や出隅用カバー72の形状をその出隅角にあらかじめ適合させて形成することにより、本発明を実施することは可能である。
【0048】
【発明の効果】
本発明の防水腰壁の出隅における防水構造によれば、出隅用ジョイナーの裏側には水密マットが重ねられるため、この水密マットが圧縮されて防水腰壁の表面に押し付けられ、防水部材等により防水腰壁の表面に形成された段差を埋めるようにして、出隅用ジョイナーと防水腰壁との間に充填される。こうして、出隅用ジョイナーの取付位置が平坦化され、出隅用ジョイナーが納まりよく取り付けられるとともに、その裏側の水密性も確保されることとなる。
【0049】
また、出隅用ジョイナーが、その上縁を外装材の下端に当接させ、さらに、出隅用カバーも、出隅両側の水切りと互いの水切り面を面一に連続させて連結されるので、出隅周辺が各部材により隙間なく被覆され、出隅におけるシーリングの施工性が向上する。
【0050】
さらに、出隅用カバーの表面が、防水腰壁の出隅に沿って継ぎ目なく連続するように成形されているので、良好な美観が得られるとともに、出隅の稜角部に水切り面を設ける作業が容易になり、その耐久性も向上する。
【0051】
これらにより、防水腰壁と外壁材との境界部分における水密性が高められ、出隅からの浸水を防止することができる。
【0052】
また、本発明の出隅用水切りによれば、前記した防水腰壁の出隅における防水構造の施工を、確実かつ効率的に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の出隅用水切りの構成を示す斜視図である。
【図2】前記出隅用水切りの、出隅用カバーの直線部の断面形状を示す縦断面図である。
【図3】本発明の防水腰壁の出隅における防水構造の横断面図である。
【図4】前記出隅における防水構造の施工手順を示す第一の斜視図である。
【図5】同じく第二の斜視図である。
【図6】同じく第三の斜視図である。
【図7】同じく第四の斜視図である。
【図8】防水腰壁の一般部における防水構造に使用される水切りの構成を示す斜視図である。
【図9】前記水切りを構成する各部材の断面形状を示す縦断面図である。
【図10】前記水切りを防水腰壁の上端縁部に沿って取り付けた状態を示す縦断面図である。
【図11】従来の防水腰壁の防水構造および従来の水切りを示す断面斜視図である。
【図12】防水腰壁の出隅における防水シート等の貼設状態を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 外部床(バルコニー床または屋上床)
2 外装材
3 防水腰壁
52 水密マット
54 シーリング材
6 水切り
7 出隅用水切り
71 出隅用ジョイナー
712 連結部
72 出隅用カバー
721 直線部
【発明の属する技術分野】
本発明は、建物のバルコニー床や屋上床(以下「外部床」という)の周縁から立ち上げられて、その上端が外壁パネルや開口部外枠などの外装材の下端に当接する防水腰壁の防水構造のうち、特に、防水腰壁の出隅における防水構造およびその防水構造に使用される出隅用水切りに関する。
【0002】
【従来の技術】
図11に示すように、外部床1の表面には、防水処理のため、通常、防水シート11や塩ビ鋼板等からなる防水層が敷設される。外部床1は、その周縁が立ち上げられて、上端が外壁や手摺壁等の表面を構成する外壁パネル、あるいは開口部外枠など各種の外装材2の下端に突き当てられている。そして、防水シート11等が立ち上がり部分の表面に延設され、その上端まで貼着されることにより、防水腰壁3が形成されている。この場合、防水腰壁3の表面は外装材2の表面よりもやや後退するように、換言すると、外装材2の表面が防水腰壁3の表面よりも外部床1側に張り出した状態となるように設けられている。
【0003】
このような防水腰壁3と外装材2との境界部分を止水するため、防水腰壁3の上端縁部には水切り4が取り付けられる。
【0004】
水切り4は、樹脂や金属板等の素材により長尺に形成され、シーリング受け部41と、その下端から前方に張り出して下方に垂下する水切り部42とを備えている。そして、シーリング受け部41の上端を外装材2の下端に当接させるようにして防水腰壁3の上端縁部に沿ってあてがわれ、シーリング受け部41に設けられた複数個の透孔43を通してビス51を打ち込むことにより防水腰壁3に固定される。次いで、シーリング受け部41の前面にバックアップ材が貼着され、これを下地として、シーリング材が外装材2の下端面と水切り部42の上面との間に充填される。こうして、防水腰壁3と外装材2との境界部分の止水が図られる。
【0005】
ところで、2面の防水腰壁3が出隅を形成する場合、この出隅に前記水切り4を取り付けるには、出隅両側の2面の防水腰壁3に、それぞれ水切り4をその一端が出隅の稜角部からはみ出すように取り付け、はみ出して重なる部分をそれぞれ斜めに切り落として「留め」の形に継ぎ合わせる、という方法によるのが一般的である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、防水腰壁3の出隅においては、通常、図12に示すように、外部床1の表面に敷設された防水層(この例では塩ビ鋼板10)の周縁を防水腰壁3の表面に沿って若干立ち上げ、その上に、外部床1の周縁から防水腰壁3の上部までを被う別の防水シート12を貼り重ね、さらにその上に、出隅の稜角部の形状に合わせて3面を一体に成形した防水部材13を貼着するなどして防水処理が施される。このような処理によれば、出隅の稜角部付近の表面には、貼り重ねられた防水部材13等による段差が形成されることになる。
【0007】
そのため、このような出隅において前記した水切り4を施工しようとすると、水切り4の端部が防水部材13等による段差に乗り上げてしまうので、水切り4の端部を稜角部に密着させて確実に固定することが困難になる。その結果、水切り4の出隅側端部の納まりが悪くなり、見栄えが損なわれるとともに、出隅における防水性能が低下して浸水を招くおそれがある。
【0008】
また、出隅両側の一対の水切り4を稜角部の前面で「留め」の形に継ぎ合わせる際には、継ぎ合わせ部分を高い精度で加工して隙間なく接合するという面倒な作業が必要になる。この手間を省いて所定の水密性を得るために、水切り4の継ぎ合わせ部分にシーリングを施したり防水テープを貼着するなどの処理がなされることも多く、これらによっても出隅の外観が見苦しくなってしまう。
【0009】
また、出隅の稜角部は、その形態上、歩行者や物品がぶつかって痛むことが多いため、防水腰壁3から水切り4が剥がれて浮き上がってきたり、水切り4の継ぎ合わせ部分に施されたシーリングや防水テープがめくれたりして、継ぎ合わせ部分の防水性能が徐々に劣化するおそれもある。
【0010】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、防水腰壁の出隅の表面に防水部材等が貼り重ねられている場合でも納まりよく施工することができ、防水腰壁と外装材との境界部分を確実に止水することができて、さらに耐久性にも優れる、防水腰壁の出隅における防水構造と、その防水構造に使用される出隅用水切りを提供することを目的としている。
【0011】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するため、本発明の請求項1に記載の防水腰壁の出隅における防水構造は、バルコニー床または屋上床の周縁から立ち上げられて出隅を形成する2面の防水腰壁と、各防水腰壁のそれぞれ上方に設けられ各防水腰壁の表面よりも前方に張り出して出隅を形成する2面の外装材との、境界部分の防水構造であって、出隅近傍の前記各外装材の下端にそれぞれ上縁が当接されるとともに、裏側に水密マットが重ねられて、出隅近傍の前記各防水腰壁の上端縁部にそれぞれ取り付けられ、表面に水切り面が形成された一対の水切りと、前記各水切りの出隅側の一端に両縁端部がそれぞれ各別に連結され、前記2面の外装材の下端に上縁が当接されるとともに、裏側に水密マットが重ねられて、前記2面の防水腰壁にわたって配置された出隅用ジョイナーと、前記2面の防水腰壁が形成する出隅に沿って継ぎ目なく連続する水切り面が表面に形成されるとともに、前記各水切りの出隅側の一端に水切り面同士がそれぞれ面一に連続するよう各別に連結されて、前記出隅用ジョイナーの前面を被覆する出隅用カバーと、から構成され、前記各水切りおよび前記出隅用カバーの各水切り面と前記2面の外装材の下端との間にシーリング材が充填されて、防水腰壁と外装材との境界部分が止水されたことを特徴としている。
【0012】
また、本発明の請求項2に記載の出隅用水切りは、バルコニー床または屋上床の周縁から立ち上げられて出隅を形成する2面の防水腰壁と、各防水腰壁のそれぞれ上方に設けられ各防水腰壁の表面よりも前方に張り出して出隅を形成する2面の外装材との、境界部分に設けられる防水腰壁の出隅用水切りであって、該出隅用水切りは、出隅近傍の前記各防水腰壁の上端縁部にそれぞれ取り付けられる一対の水切りに両端縁部をそれぞれ各別に連結される、出隅用ジョイナーと出隅用カバーとから構成され、前記出隅用ジョイナーは、前記2面の外装材の下端に上縁が当接されるとともに、裏側に水密マットが重ねられて前記2面の防水腰壁にわたって配置され、前記出隅用カバーは、前記2面の防水腰壁が形成する出隅に沿って継ぎ目なく連続する水切り面が表面に形成されるとともに、前記各水切りに水切り面同士がそれぞれ面一に連続するよう連結されて、前記出隅用ジョイナーの前面を被覆することを特徴としている。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
【0014】
まず、防水腰壁の一般部に取り付けられる水切りと、それを使用して施工される防水腰壁の防水構造について説明する。
【0015】
図8は、水切り6の構成を斜視図によって示し、図9は前記水切り6を構成する各部材の断面形状を示している。
【0016】
水切り6は、レール61、ブラケット62およびカバー63の3種類の部材から構成されている。レール61およびブラケット62は、それらが重ねられて防水腰壁にビス止めされるもので、カバー63は、ブラケット62に係合支持されてレール61を被覆するものである。
【0017】
レール61は、一様断面を有する長尺部材で、その下半部が基板部611、上半部がシーリング受け部612となされている。基板部611の上縁および下縁には、基板部611に直交する上側リブ613および下側リブ614がそれぞれ形成されている。シーリング受け部612は、上側リブ613の後縁から上方に立ち上げられている。また、上側リブ613の後縁には下向きのリップ615が形成され、下側リブ614の後縁には上向きのリップ616が形成されている。
【0018】
ブラケット62は、定寸の短尺部材で、レール押さえ部621と、その上縁および下縁からそれぞれ前方に延出された上側カバー被係合部622、下側カバー被係合部623とから形成されている。レール押さえ部621は、その高さ方向の外寸が、前記レール61の上側リブ613と下側リブ614との間にちょうど嵌合される寸法になされている。そして、上側カバー被係合部622の上面および下側カバー被係合部623の下面には、それぞれ爪形の凸条が形成されている。
【0019】
ブラケット62は、図8に示すように、共通の断面形状を有する2タイプのものが用意されている。一方は、そのレール押さえ部621の中央1か所にビス穴624が形成された一穴ブラケット62Sとなされ、他方は、その長さが一穴ブラケット62Sの長さのほぼ2倍で、レール押さえ部621の長手方向両端付近の2か所にビス穴624、624が形成された二穴ブラケット62Lとなされている。
【0020】
カバー63は、一様断面を有する長尺部材で、上面板631、前面板632および下面板633から形成されている。上面板631は、前方に向かって下り勾配となり、前面板632に連続している。前面板632の下縁は、下面板633の下方に突出して垂下している。そして、これら上面板631と前面板632とによって水切り面が形成されている。また、上面板631の後縁の下面および下面板633の後縁の上面には、それぞれ爪形の凸条が形成され、前記ブラケット62の上側カバー被係合部622および下側カバー被係合部623にそれぞれ係合される係合部634、635となされている。
【0021】
次に、この水切り6を用いて施工される、防水腰壁の一般部における防水構造について説明する。図10は、防水腰壁3に水切り6を取り付けた状態の縦断面を示しており、防水腰壁3の周辺部位のうち図11中に示したものと同じ部位には同一の符号を付している。
【0022】
水切り6の取り付けにあたっては、まず、1本のレール61を防水腰壁3の上端縁部に沿ってあてがい、シーリング受け部612の上縁を外装材2の下端に当接させる。このとき、レール61の基板部611の裏側には、水密マット52をレール61の長さ方向全体にわたって重ね、レール61と防水腰壁3との間に挟み込む。この水密マット52は、例えば、EPTなど、エチレンやプロピレンなどの重合体を基材とする合成ゴム系素材、あるいはその他の樹脂発泡体からなる可撓性の長尺部材で、レール61の裏側に形成された下向きのリップ615と上向きのリップ616との間に装着されうる上下幅を有し、基板部611の後方に延出された上側リブ613および下側リブ614の延出幅よりもやや厚く形成されたものである。
【0023】
そして、レール61の基板部611の表側には、一穴ブラケット62Sを重ね、基板部611の上側リブ613と下側リブ614との間に一穴ブラケット62Sのレール押さえ部621を嵌合させる。一穴ブラケット62Sは、レール61の1本の長さに応じた適当な位置に1個ないし複数個ずつ配設される。そして、それぞれの一穴ブラケット62Sのビス穴624にタッピングビス等のビス51を打ち込み、水密マット52を押圧しながら、一穴ブラケット62Sとレール61とを一緒に防水腰壁3の下地材に固定する。
【0024】
レール61を連設する際には、隣り合うレール61の端部同士が接する突き合わせ部に二穴ブラケット62Lを配設し、レール61の突き合わせ部を跨ぐようにしてそれぞれの基板部611に嵌合させ、二穴ブラケット62Lの2箇所のビス穴624からビスを打ち込む。これにより、隣り合うレール61が、それぞれの端部を同一直線状に揃えて連結され、防水腰壁3に固定される。
【0025】
こうして、レール61およびブラケット62を防水腰壁3に取り付けた後、各ブラケット62にカバー63を係合させる。前記したように、ブラケット62の上側カバー被係合部622および下側カバー被係合部623と、カバー63の上側および下側に形成された係合部634、635はそれぞれ爪形の凸条が互いに引っ掛かりあうように形成されている。そのため、カバー63は、ブラケット62に対し正面から押し込むだけで簡単にブラケット62に係合支持され、レール61の基板部611に打ち込まれたビス51の頭部を被覆する。カバー63を連設する際にも、隣り合うカバー63の端部同士が接する突き合わせ部を二穴ブラケット62Lの略中央に位置させる。
【0026】
カバー63を取り付けた後、各レール61のシーリング受け部612の表面にバックアップ材53を貼着する。そして、このバックアップ材53を下地として、外装材2の下端面とカバー63の上面板631との間にシーリング材54を充填する。以上により、防水腰壁3の上端と外装材2の下端との境界部分における防水処理が完了する。
【0027】
本発明の防水腰壁の出隅における防水構造は、前記した防水腰壁の一般部における防水構造と併用されるものであって、前記防水構造に連続するようにして防水腰壁3の出隅に設けられる。
【0028】
図1は、防水腰壁の出隅における防水構造の施工に使用される出隅用水切り7を示す。出隅用水切り7は、防水腰壁3の出隅にあてがわれる出隅用ジョイナー71と、その前面に取り付けられる出隅用カバー72とから構成されている。
【0029】
出隅用ジョイナー71は、本体部711と、連結部712と、カバー支承部713とを備える部材である。
【0030】
本体部711は、横長の板体を、出隅を形成する2面の防水腰壁3のなす平面角(以下「出隅角」という)と同一の角度に屈曲させたものである。本体部711の高さは、前記水切り6におけるレール61の高さと略同一になされている。
【0031】
連結部712は、前記本体部711の両端縁部からそれぞれ延出された平板状の部分で、本体部711の下半部に位置している。そして、連結部712の高さおよび厚みが、前記水切り6におけるレール61の基板部611の背面に形成された上側リブ613、下側リブ614と、上下のリップ615、616との間に嵌合される大きさに形成されている。
【0032】
カバー支承部713は、前記本体部711の前面に突設された横断面T字形またはL字型の凸条で、凸条を縦向きにして、本体部711の左右両側にそれぞれ3箇所づつ設けられている。
【0033】
一方、出隅用カバー72は、出隅両側の2面の防水腰壁3に沿って、前記出隅用ジョイナー71のカバー支承部713の前面にそれぞれあてがわれる一対の直線部721から形成されている。各直線部の長さ721は、前記出隅用ジョイナー71の本体部711の左右それぞれの長さよりもやや長く形成されている。左右両側の直線部721は、出隅角と同一の角度に屈曲し、表面が継ぎ目なく連続するようあらかじめ一体に成形されている。直線部721の断面形状は、図2に示すように、前記水切り6におけるカバー63と同一の外形を有し、前方に向う下り勾配を持つ上面板722と、上面板722の前縁から下方に垂下する前面板723とによって水切り面が形成されている。また、上面板722の後縁の下面および下面板724の後縁の上面には、それぞれ爪形の凸条による係合部725、726が形成されている。さらに、上面板722の前方寄りの下面および下面板724の前方寄りの上面には、それぞれ補強用のリブ727、728が設けられている。
【0034】
次に、この出隅用水切り7を使用し、防水腰壁の出隅における防水構造を施工する手順について説明する。
【0035】
防水腰壁3の出隅においては、図12に示したように、出隅の稜角部付近に貼り重ねられた防水部材13等による表面の段差が形成されている。
【0036】
そこで、まず、図4に示すように、出隅用ジョイナー71の一方の連結部712を、一方の水切り6のレール61の一端において基板部611の背面に嵌合させ、出隅用ジョイナー71とレール61とを連結する。これらを、出隅用ジョイナー71が防水腰壁3の出隅に位置するように、かつ、出隅用ジョイナー71およびレール61の上縁が外装材2の下端に当接するようにして、一方の防水腰壁3の上端縁部にあてがう。このとき、レール61および出隅用ジョイナー71の裏側には、前記した水密マット52を重ねて防水腰壁3との間に挟み込む。この水密マット52は、出隅両側の2面の防水腰壁3にわたって連続するよう、あらかじめ十分な長さのものを用いる。そして、レール61の基板部611にブラケット62を嵌合させ、ブラケット62のビス穴624からビス51を打ち込み、水密マット52を押圧しながら、レール61をブラケット62とともに一方の防水腰壁3に固定する。このとき、ブラケット62をレール61の端部に配設し、ブラケット62のビス穴624に打ち込まれるビス51が出隅用ジョイナー71の連結部712を貫通するようにビス止めしてもよい。さらに、出隅用ジョイナー71の他方の連結部712にも、他方の水切り6のレール61の一端を連結し、同様にして他方の防水腰壁3にビス止めする。こうして、図5に示すように、出隅用ジョイナー71が、両側のレール61に挟まれた状態で、防水腰壁3の出隅に取り付けられる。
【0037】
なお、ここで用いるブラケット62は、一穴ブラケット62S、二穴ブラケット62Lのいずれでもよい。また、ここで用いるレール61は、あまり長くないものの方が作業性がよい。
【0038】
続いて、図6に示すように、前記出隅用ジョイナー71および両側のレール61の出隅側の端部前面に、出隅用カバー72を取り付ける。出隅用カバー72は、前記したように、直線部721の背面に係合部725、726が形成されているため、出隅の稜角部の前面から左右のブラケット62に向かって押し込むことによりブラケット62に係合、連結される。
【0039】
こうして取り付けられた出隅用水切り7の両側に、さらにレール61およびブラケット62を連設し、カバー63を取り付ける。こうして、図7に示すように、出隅用水切り7から一般部用の水切り6に連続する水切り面が形成される。このとき、出隅用カバー72の両端部がいずれかのブラケット62の中央付近に位置するように直線部721の長さを設定することにより、出隅用カバー72と、これに連設される水切り6のカバー63との端部同士がブラケット62上で突き合わせられ、水切り面がきちんと揃い、見栄えや防水性が良くなる。
【0040】
バルコニーの全周に水切り6を取り付けた後、レール61のシーリング受け部612および出隅用ジョイナー71の本体部711の表面にバックアップ材53を貼着する。このバックアップ材53を下地として、外装材2の下端面と、カバー63の上面板631および出隅用カバー72の上面板722との間にシーリング材54を充填する。これで、防水腰壁3と外装材2との境界部の止水処理が完了する。
【0041】
本発明の防水腰壁の出隅における防水構造は、前記のように実施されることにより、以下の特長を有する。
【0042】
第一に、図3に示すように、出隅用ジョイナー71の裏側には、水切り6のレール61の裏側から連続する水密マット52が重ねられるため、この水密マット52が、レール61のビス止めにより圧縮されて防水腰壁3の表面に押し付けられ、防水部材13等によって防水腰壁3の表面に形成された段差を埋めるようにして、レール61および出隅用ジョイナー71と防水腰壁3との間に充填される。こうして、出隅用ジョイナー71およびレール61の取付位置が平坦化され、これらが納まりよく取り付けられるとともに、これらの裏側の水密性も確保されることとなる。
【0043】
第二に、この防水構造は、出隅用ジョイナー71の連結部712を水切り6のレール61に連結してその前面に出隅用カバー72を取り付ける構造となされている。そして、出隅用カバー72は、水切り6のカバー63と同一断面の水切り面を備え、出隅用ジョイナー71の前面でカバー支承部713に支承され、ブラケット62を介して水切り6のカバー63と端部同士を揃えて面一に連結されるようになされている。これらにより、出隅用水切り7と水切り6とが、ずれることなく正確に連続して取り付けられる。同時に、出隅用ジョイナー71の上縁およびレール61の上縁が、出隅の両側の外装材2の下端面に当接されるので、バックアップ材53およびシーリング材54が確実に受け止められる。こうして、施工後の見栄えが良くなるとともに、シーリング材54の充填作業の精度が上がり、高い水密性が得られる。
【0044】
なお、出隅用ジョイナー71は、カバー支承部713の本数を増減させたものでもよい。あるいは、カバー支承部713を本体部711の上縁まで延設せず、出隅用カバー72の背面の高さに揃えて本体部711の上部を平坦に形成することにより、シーリングを更にしやすくしてもよい。
【0045】
第三に、出隅用カバー72が、左右の直線部721を出隅角と同じ角度に屈曲させ、継ぎ目なく一体に成形されたものであるため、防水腰壁3の出隅に沿ってぴったりとあてがわれる。したがって、出隅の稜角部において両側の水切り4を継ぎ合わせる従来の防水構造に比べ、その施工がはるかに簡単になる。また、一体に成形された1つの部材で出隅の稜角部を被覆するため、良好な美観が得られるとともに、歩行者や物品がぶつかっても水切り面が損傷しにくくなり、稜角部における水密性を従来よりも長期にわたって確保することができる。
【0046】
なお、本発明の出隅用水切り7と併用される水切り6は、前記した図8および図9に示すものに限定されない。本発明の出隅用水切り7を構成する出隅用ジョイナー71および出隅用カバー72と合理的に連結されて連続しうる形状や構造を備えるものであればよく、例えば、レール61とブラケット62が一体的に形成されたもの、ブラケット62とカバー63との係合部の形状が異なるもの、レール61にブラケット62が摺動自在に係合されたもの、レール61にカバー被係合部が形成されてブラケット62を介さずにカバー63を係合支持しうるもの、などであってもよい。ただし、それらの形状、構造に応じて、出隅用水切り7の連結部712の位置や形状が多少変形される場合もある。
【0047】
ところで、以上の説明においては、防水腰壁3の出隅が直角(出隅角が270度)の場合を図示していたが、これに限らず、例えば出隅角が240度や225度などである場合にも、出隅用ジョイナー71や出隅用カバー72の形状をその出隅角にあらかじめ適合させて形成することにより、本発明を実施することは可能である。
【0048】
【発明の効果】
本発明の防水腰壁の出隅における防水構造によれば、出隅用ジョイナーの裏側には水密マットが重ねられるため、この水密マットが圧縮されて防水腰壁の表面に押し付けられ、防水部材等により防水腰壁の表面に形成された段差を埋めるようにして、出隅用ジョイナーと防水腰壁との間に充填される。こうして、出隅用ジョイナーの取付位置が平坦化され、出隅用ジョイナーが納まりよく取り付けられるとともに、その裏側の水密性も確保されることとなる。
【0049】
また、出隅用ジョイナーが、その上縁を外装材の下端に当接させ、さらに、出隅用カバーも、出隅両側の水切りと互いの水切り面を面一に連続させて連結されるので、出隅周辺が各部材により隙間なく被覆され、出隅におけるシーリングの施工性が向上する。
【0050】
さらに、出隅用カバーの表面が、防水腰壁の出隅に沿って継ぎ目なく連続するように成形されているので、良好な美観が得られるとともに、出隅の稜角部に水切り面を設ける作業が容易になり、その耐久性も向上する。
【0051】
これらにより、防水腰壁と外壁材との境界部分における水密性が高められ、出隅からの浸水を防止することができる。
【0052】
また、本発明の出隅用水切りによれば、前記した防水腰壁の出隅における防水構造の施工を、確実かつ効率的に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の出隅用水切りの構成を示す斜視図である。
【図2】前記出隅用水切りの、出隅用カバーの直線部の断面形状を示す縦断面図である。
【図3】本発明の防水腰壁の出隅における防水構造の横断面図である。
【図4】前記出隅における防水構造の施工手順を示す第一の斜視図である。
【図5】同じく第二の斜視図である。
【図6】同じく第三の斜視図である。
【図7】同じく第四の斜視図である。
【図8】防水腰壁の一般部における防水構造に使用される水切りの構成を示す斜視図である。
【図9】前記水切りを構成する各部材の断面形状を示す縦断面図である。
【図10】前記水切りを防水腰壁の上端縁部に沿って取り付けた状態を示す縦断面図である。
【図11】従来の防水腰壁の防水構造および従来の水切りを示す断面斜視図である。
【図12】防水腰壁の出隅における防水シート等の貼設状態を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 外部床(バルコニー床または屋上床)
2 外装材
3 防水腰壁
52 水密マット
54 シーリング材
6 水切り
7 出隅用水切り
71 出隅用ジョイナー
712 連結部
72 出隅用カバー
721 直線部
Claims (2)
- バルコニー床または屋上床の周縁から立ち上げられて出隅を形成する2面の防水腰壁と、各防水腰壁のそれぞれ上方に設けられ各防水腰壁の表面よりも前方に張り出して出隅を形成する2面の外装材との、境界部分の防水構造であって、
出隅近傍の前記各外装材の下端にそれぞれ上縁が当接されるとともに、裏側に水密マットが重ねられて、出隅近傍の前記各防水腰壁の上端縁部にそれぞれ取り付けられ、表面に水切り面が形成された一対の水切りと、
前記各水切りの出隅側の一端に両縁端部がそれぞれ各別に連結され、前記2面の外装材の下端に上縁が当接されるとともに、裏側に水密マットが重ねられて、前記2面の防水腰壁にわたって配置された出隅用ジョイナーと、
前記2面の防水腰壁が形成する出隅に沿って継ぎ目なく連続する水切り面が表面に形成されるとともに、前記各水切りの出隅側の一端に水切り面同士がそれぞれ面一に連続するよう各別に連結されて、前記出隅用ジョイナーの前面を被覆する出隅用カバーと、
から構成され、
前記各水切りおよび前記出隅用カバーの各水切り面と前記2面の外装材の下端との間にシーリング材が充填されて、防水腰壁と外装材との境界部分が止水されたことを特徴とする防水腰壁の出隅における防水構造。 - バルコニー床または屋上床の周縁から立ち上げられて出隅を形成する2面の防水腰壁と、各防水腰壁のそれぞれ上方に設けられ各防水腰壁の表面よりも前方に張り出して出隅を形成する2面の外装材との、境界部分に設けられる防水腰壁の出隅用水切りであって、
該出隅用水切りは、出隅近傍の前記各防水腰壁の上端縁部にそれぞれ取り付けられる一対の水切りに両端縁部をそれぞれ各別に連結される、出隅用ジョイナーと出隅用カバーとから構成され、
前記出隅用ジョイナーは、前記2面の外装材の下端に上縁が当接されるとともに、裏側に水密マットが重ねられて前記2面の防水腰壁にわたって配置され、
前記出隅用カバーは、前記2面の防水腰壁が形成する出隅に沿って継ぎ目なく連続する水切り面が表面に形成されるとともに、前記各水切りに水切り面同士がそれぞれ面一に連続するよう連結されて、前記出隅用ジョイナーの前面を被覆することを特徴とする出隅用水切り。
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