JP3654390B2 - 記録媒体搬送装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、記録紙などの記録媒体のうち、画像が形成される画像形成領域に位置する部分に画像を形成する画像形成装置における、画像形成領域に記録媒体を搬送する記録媒体搬送装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
コンピュータやワークステーションの出力装置の一つとして、インクを吐出して記録紙に画像を形成するインクジェット方式画像形成装置が知られている。このインクジェット方式画像形成装置は、例えば、インクが吐出する印字ヘッドと、この印字ヘッドを搭載して所定方向に往復動するキャリッジと、この所定方向に直交する方向に記録紙を搬送する記録媒体搬送装置とを備えている。
【0003】
記録紙に画像を形成する際は、記録媒体搬送装置で搬送中の記録紙を一時的に停止させ、キャリッジを上記の所定方向に往復動させながら、画像情報を担持した画像信号に基づいて印字ヘッドからインクを吐出し、記録紙のうち、画像が形成される画像形成領域に位置する部分に1バンド分の画像を形成する。その後、紙を1バンド分の幅だけ搬送して停止させ、再び、キャリッジを上記した所定方向に往復動させながら、画像信号に基づいて印字ヘッドからインクを吐出して、記録媒体のうち、画像形成領域に新たに位置する部分に画像を形成する。このような動作を繰り返すことにより、記録紙に画像を形成する。
【0004】
上記の記録媒体搬送装置としては、例えば、記録紙搬送方向に直交する方向に延びる駆動ローラ軸を中心に回転する駆動ローラと、この駆動ローラの外周面を押圧して従動回転する従動ローラとを備えたものが知られている。これら駆動ローラと従動ローラとが記録紙を挟持して、駆動ローラの外周面に記録紙を張り付けるようにして画像形成領域に搬送する。
【0005】
記録紙を画像形成領域に搬送するに当って、記録紙を円滑に搬送できずに記録紙の一部が盛り上がるなどすると、記録紙は、その一部が盛り上がったままの状態で画像形成領域に搬送されることがある。記録紙の一部が画像形成領域でも盛り上がったままであると、この盛り上がりの頂上と斜面及び底部とでは印字ヘッドとの距離が相違する。この場合、この距離の相違に応じて記録紙にインクが付着する位置(着弾位置)がずれることとなり、このため、記録紙に形成された画像の画質が低下する。したがって、記録紙のうち、画像形成領域に位置する部分と印字ヘッドとの距離を常に一定に保つ必要がある。
【0006】
記録紙のうち、画像形成領域に位置する部分と印字ヘッドとの距離を一定に保つために、画像形成領域よりもやや記録紙搬送方向上流側に、この記録紙搬送方向に直交する方向に延びて記録紙を押さえる記録紙押え板を配置しておき、一部の盛り上がった記録紙が搬送されて来ても、この記録紙押え板でその盛り上がった部分を押えて、画像形成領域には盛り上がりの無い記録紙を搬送しようとする技術が知られている。
【0007】
しかし、記録紙の盛り上がりを確実に押さえるために記録紙押え板を記録紙に近付け過ぎると、記録紙と記録紙押え板とが接触し過ぎて記録紙搬送の障害となるおそれがある。このため、記録紙押え板を、記録紙からある程度離れた距離に配置しなければならず、記録紙の盛り上がった部分を十分に押えることができない場合がある。
【0008】
そこで、上記の記録紙押え板に加え、この記録紙押え板よりもやや記録紙搬送方向上流側に、上記の駆動ローラを押圧してこの駆動ローラと共に記録紙を挟持しながら搬送する複数の従動ローラを所定間隔離して配置しておき、一部の盛り上がった記録紙が搬送されて来ても、この従動ローラでその盛り上がった部分を押えながら搬送すると共に、上記の記録紙押え板でも盛り上がった部分を押え、画像形成領域には盛り上りの無い記録紙を搬送しようとする技術が知られている。しかし、記録紙のうち、互いに隣接する従動ローラの間の部分が盛り上がることがあり、この盛り上がりを記録紙押え板で十分に押えることができない場合がある。
【0009】
そこで、記録紙のうち、互いに隣接する従動ローラの間の部分の盛り上がりを無くすために、隣接する従動ローラ間の間隔をほとんど無くすように従動ローラを密に配置したり、記録紙の幅とほぼ同じ程度の長い幅をもつ従動ローラを配置したりする技術が考えられる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、複数の従動ローラを密に配置すると、従動ローラが記録紙を押える圧力が従動ローラの個数分だけ増加することとなり、このため、例えば搬送途中で詰まって紙詰まり(ジャム)を生じた記録紙を取り除きにくいという問題がある。また、各従動ローラの駆動ローラへの当接圧がバラツクと記録紙の搬送力に差が生じ、記録紙が正しい搬送方向に対して斜めに搬送される(斜行する)おそれがあるので、1個1個の当接圧の管理が必要となり、組立作業性が悪い。
【0011】
また、長い幅の従動ローラを配置する場合、幅方向の各位置で従動ローラの直径を均一にして均一な圧力で記録紙を押えるようにしなければ、記録紙が斜行するおそれがある。このような、斜行を防止するためには、この従動ローラの回転軸として、長くて真っ直ぐなものが必要とされる。このため、これらを精密な金型を用いて製造する必要があり、この分、金型に費用がかかりコストが上昇するという問題がある。
【0012】
本発明は、上記事情に鑑み、低コストで記録媒体の盛り上がりを防止した記録媒体搬送装置を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための本発明の記録媒体搬送装置は、記録媒体のうち、画像が形成される画像形成領域に位置する部分に画像を形成する画像形成装置における、前記画像形成領域に記録媒体を搬送する記録媒体搬送装置において、
(1)記録媒体搬送方向に交差する交差方向に延びる駆動ローラ軸を中心に回転する駆動ローラ
(2)前記画像形成領域よりも前記記録媒体搬送方向上流側で前記交差方向に所定間隔離れて配置され、前記駆動ローラとともに記録媒体を挟持して該駆動ローラの回転に従動して回転することにより記録媒体を前記画像形成領域に搬送する従動ローラ
(3)該従動ローラに隣接して該従動ローラと同軸に配置された、該従動ローラの外径よりも小さい外径を有する補助ローラ
を備えたことを特徴とするものである。
【0014】
ここで、記録媒体搬送装置が、
(4)前記従動ローラ及び前記補助ローラと前記画像形成領域との間に配置され、前記交差方向に延びる、記録媒体を前記画像形成領域に案内するガイド部
を備えることが好ましい。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の記録媒体搬送装置の実施形態を説明する。
【0016】
図1は、本発明の記録媒体搬送装置が用いられているプロッタの概略構成を示す斜視図である。
【0017】
プロッタ1は、キャスタ2a付きのスタンド2の上部に固定されている。プロッタ1は、このプロッタ1を操作するための操作部3を備えており、この操作部3に設置された各種のスイッチ等を操作することにより、紙サイズ、オンライン/オフライン、コマンドなどが指示される。矢印A方向から記録媒体挿入口4に挿入された記録紙は、操作部3からの指示に基づいて、プロッタ1の内部に搬送され、画像が印字されて排出される。また、プロッタ1は、内部を覆うカバー5を備えており、このカバー5を開くことにより、後述する印字ヘッド19(図2参照)やこの印字ヘッド19を搭載して矢印B方向に往復動するキャリッジ16(図2)を見ることができる。
【0018】
図2を参照して、記録紙の搬送経路と印字(画像形成)工程を説明する。
【0019】
図2は、図1のプロッタを切り欠いて記録紙の挿入から排出までの経路を示す斜視図である。
【0020】
プロッタ1では、記録媒体挿入口4から挿入されたシート状の記録紙(カット紙)と、ロール状に巻かれた記録紙(ロール紙)6に印字できる。ここでは、記録媒体紙挿入口4から挿入されたカット紙の搬送経路を説明する。
【0021】
ロール紙6のカバー7上で、例えば大判のカット紙を整置して矢印A方向から記録媒体挿入口4に挿入する。挿入されたカット紙は、カバー7と上ガイド8との間を通り、搬送コロ支持板9に回転自在に固定された紙搬送コロ10a及びローラ支持板11に回転自在に固定された従動ローラ10b双方と駆動ローラ12とに挟持されながら、印字板14の上方(本発明にいう画像形成領域の一例である)に搬送される。また、プロッタ1には、従動ローラ10bとともに矢印B方向に一列に並び、従動ローラ10bの回転軸25に取り付けられた補助ローラ13が、駆動ローラ12に近接して配置されている。この補助ローラ13は、記録紙の盛り上がった部分を押えてこの盛り上がりを無くすものであり、このため、盛り上がりが無くて全面が平らな記録紙が画像形成領域に搬送される。印字板14の上方を通過したカット紙は、その後、排出ローラ20とその上方に位置する拍車22とに挟持されて排出される。なお、拍車22は拍車板21に回転自在に固定されている。
【0022】
また、プロッタ1は、矢印B方向に往復動するキャリッジ16を備えている。このキャリッジ16はヘッドホルダ18を備えており、このヘッドホルダ18には、4種類のカラーインク(例えば、シアン、マゼンタ、イエロー、黒)それぞれが収容された4つの印字ヘッド19が装着されている。キャリッジ16は、駆動モータ(図示せず)に掛設されたベルト17に固定されており、このベルト17は、駆動モータの正逆回転によって矢印B方向に往復動する。ベルト17が矢印B方向に往復動すると、キャリッジ16も案内レール24に案内されて矢印B方向に往復動する。
【0023】
カット紙は、矢印B方向に直交する方向(本発明にいう記録紙搬送方向の一例である)に断続的に搬送される。カット紙に画像を形成するに当たっては、カット紙を一時的に停止させ、キャリッジ16を矢印B方向に往復動させながら、印字ヘッド19に入力された画像情報に基づいてインクを吐出し、カット紙のうち、画像形成領域に位置する部分に1バンド分の画像を形成する。その後、所定長さだけカット紙を搬送して画像形成領域に新たに位置する部分に次のバンド分の画像を形成する。この動作をカット紙の全長に亘って繰り返す。これにより、カット紙に画像が形成される。画像が形成されたカット紙は、排出ローラ20と拍車22とに挟持されながら排出ガイド23に沿って排出される。
【0024】
図3を参照して、従動ローラ10bと補助ローラ13とを説明する。
【0025】
図3は、ローラ支持板11とこのローラ支持板11に回転自在に固定された従動ローラ10b及び補助ローラ13を示す斜視図である。
【0026】
ローラ支持板11は、従動ローラ10bを回転自在に支持した回転軸25を保持する従動ローラ用支持板40を備えている。従動ローラ10bと補助ローラ13は、回転軸25に回転自在に固定されている。これにより、従動ローラ10bと補助ローラ13とが矢印B方向に一列に並ぶ。なお、ここでは、従動ローラ用支持板40に1個の従動ローラ10bを取り付け、この従動ローラ10bを挟むようにして2個の補助ローラ13を取り付けた例を示したが、プロッタ1で使用される記録媒体のサイズなどに応じて、これらローラ10b,13の個数を変更し、補助ローラ13を従動ローラ10bの両側でなく、片側に1個だけ配置してもよい。
【0027】
従動ローラ支持板40には、上述したように従動ローラ10bが回転自在に支持されており、この従動ローラ10bよりも記録媒体搬送方向下流側にガイド部44が形成されている。このガイド部44は、従動ローラ10bと駆動ローラ12とに挟持されて搬送されてきた記録紙を画像形成領域に案内するものであり、このガイド部44によって記録紙がスムーズに搬送される。従動ローラ10bを挟んでガイド部44とは反対側には、従動ローラ10bに並行に延びるヒンジ部46が形成されている。また、このヒンジ部46を挟んで従動ローラ10bとは反対側に延びるカムレバー(図示せず)が形成されている。このカムレバーの先端部にはコイルばね48の一端が接続されており、コイルばね48の他端48aは、プロッタ1の本体に固定された搬送軸支持板50に接続されている。これにより、従動ローラ10bは、従動ローラ支持板40のヒンジ部46を回転中心にして駆動ローラ12の外周面を押圧するように付勢される。したがって、従動ローラ10bと駆動ローラ12とで記録紙を挟持し、駆動ローラ12の回転に伴って従動ローラ10bが回転することにより記録紙が画像形成領域に搬送される。また、コイルばね48の付勢力に逆らうようにカムレバーを動かすと、従動ローラ支持板40がヒンジ部46を中心にして回動し、従動ローラ10bが駆動ローラ12の外周面から離れる。
【0028】
搬送コロ支持板9の先端部には、従動ローラ10bの回転軸にほぼ平行に突出したスライドカム軸9aが形成されている。従動ローラ10bが駆動ローラ12の外周面から離れるようにカムレバーを動かすと、スライドカム軸9aが従動ローラ支持板40のカム面40aを滑り、搬送コロ支持板9(図2参照)が駆動ローラ12から遠ざかる方向に移動し、紙搬送コロ10aが駆動ローラ12の外周面から離れる。このように従動ローラ10bが駆動ローラ12の外周面から離れると、紙搬送コロ10aも駆動ローラ12の外周面から離れ、ジャム処理を容易に行える。
【0029】
従動ローラ10bの近傍に配置された補助ローラ13は従動ローラ回転軸25に取り付けられ、かつ、その外径は従動ローラ10bの外径よりも小さい。このため、従動ローラ10bが駆動ローラ12に当接した際、従動ローラ10bと同軸の補助ローラ13は必ず駆動ローラ12との間に隙間を形成する。このため、例えば、従動ローラ10bと補助ローラ13の外径差を0.8mmとすると、補助ローラ13と駆動ローラ12との間には0.4mmの隙間を保証できる。上記のことから、駆動ローラ12と従動ローラ10bとに挟持されて搬送されてきた記録紙が盛り上がっても、この補助ローラ13がその盛り上り部分を押さえるので、画像形成領域には盛り上がりの無い平らな全面の記録紙が搬送されることとなる。また、補助ローラ13よりも記録媒体搬送方向下流側にガイド部44が形成されている。このガイド部44は、従動ローラ10bと駆動ローラ12とに挟持されて搬送されてきた記録紙を画像形成領域に案内するものであり、このガイド部44によって記録紙がスムーズに搬送される。
【0030】
このように、補助ローラ13によって記録紙の盛り上り部分を押さえ、さらに、ガイド部44によって記録紙がスムーズに搬送されるので、画像形成領域には盛り上がりの無い全面の平らな記録紙がスムーズに搬送される。この結果、画像形成領域においては、印字ヘッドと記録紙との距離が一定となり、記録紙にインクが付着する位置にずれが無く、記録紙に形成された画像の画質の低下を防止できる。また、補助ローラ13は駆動ローラ12を押圧していないので、ジャムを生じてもローラ支持板11の解除力は小さくて済み、容易に記録紙を取り除くことができる。さらに、従動ローラ10bは駆動ローラ12の全域には配置されておらず、その数が少ないため各従動ローラ10bが駆動ローラ12を押える力を均一にし易いので、記録紙の斜行も防止できる。さらにまた、従動ローラ10bは比較的幅が短いので、この従動ローラ10bを製造する金型は小さくて済み、その分、コストを低下できる。
【0031】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の記録媒体搬送装置によれば、記録媒体搬送方向に交差する交差方向に、従動ローラに隣接して従動ローラと同軸に補助ローラが配置されており、補助ローラの外径は従動ローラの外径よりも小さく、補助ローラは駆動ローラにわずかな隙間をもって近接している。このため、隣り合う従動ローラの間で記録媒体が盛り上がっても、補助ローラがその盛り上がった部分を押さえて記録紙の盛り上がりを無くす。この結果、画像形成領域においては、印字ヘッドと記録紙との距離が一定となり、記録紙にインクが付着する位置のずれが無く、記録紙に形成された画像の画質の低下を防止できる。また、補助ローラは駆動ローラに当接せずに従動ローラのみが駆動ローラに当接するので、搬送性に影響する当接圧の管理に関しては従動ローラについてのみ管理すればよい。
【0032】
ここで、従動ローラ及び補助ローラと画像形成領域との間に配置され、交差方向に延びる、記録媒体を画像形成領域に案内するガイド部を備えた場合は、記録媒体をスムーズに画像形成領域に搬送でき、画像形成領域において、いっそう確実に印字ヘッドと記録媒体との距離を一定にできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の記録媒体搬送装置が用いられているプロッタの概略構成を示す斜視図である。
【図2】図1のプロッタを切り欠いて記録紙の挿入から排出までの経路を示す斜視図である。
【図3】ローラ支持板とこのローラ支持板に回転自在に固定された従動ローラ及び補助ローラを示す斜視図である。
【符号の説明】
1 プロッタ
10b 従動ローラ
13 補助ローラ
12 駆動ローラ
16 キャリッジ
19 印字ヘッド
44 ガイド部

Claims (1)

  1. 記録媒体のうち、画像が形成される画像形成領域に位置する部分に画像を形成する画像形成装置における、前記画像形成領域に記録媒体を搬送する記録媒体搬送装置において、
    記録媒体搬送方向に交差する交差方向に延びる駆動ローラ軸を中心に回転する駆動ローラと、
    前記画像形成領域よりも前記記録媒体搬送方向上流側で前記交差方向に所定間隔離れて配置され、前記駆動ローラとともに記録媒体を挟持して該駆動ローラの回転に従動して回転することにより記録媒体を前記画像形成領域に搬送する従動ローラと、
    該従動ローラに隣接して該従動ローラと同軸に配置されると共に、該従動ローラが前記駆動ローラに当接しても該駆動ローラとの間に隙間を形成して該隙間での記録媒体の盛り上りを押える補助ローラとを備えたことを特徴とする記録媒体搬送装置。
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