JP3365905B2 - インクジェット方式画像形成装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、印字ヘッドからイ
ンクを吐出して記録紙などの記録媒体に画像を形成する
インクジェット方式画像形成装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】コンピュータやワークステーションの出
力装置の一つとして、インクを吐出して記録紙などの記
録媒体に画像を形成するインクジェット方式画像形成装
置が知られている。このインクジェット方式画像形成装
置は、例えば、インクが吐出するインク吐出口を有する
印字ヘッドと、この印字ヘッドを搭載して所定方向に往
復動するキャリッジと、この所定方向に直交する方向に
記録紙を搬送する記録媒体搬送装置とを備えている。

【０００３】記録紙に画像を形成する際は、記録媒体搬
送装置で搬送中の記録紙を一時的に停止させ、キャリッ
ジを上記の所定方向に往復動させながら、画像情報を担
持した画像信号に基づいてインク吐出口からインクを吐
出し、記録紙のうち、インク吐出口に向き合う画像形成
領域に位置する部分に１バンド分の画像を形成する。そ
の後、紙を１バンド分の幅だけ搬送して停止させ、再
び、キャリッジを上記した所定方向に往復動させなが
ら、画像信号に基づいてインク吐出口からインクを吐出
し、記録紙のうち、画像形成領域に新たに位置する部分
に画像を形成する。このような動作を繰り返すことによ
り、記録紙の全面に画像を形成する。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】このようなインクジェ
ット方式画像形成装置では、インクを吐出して記録紙に
画像を形成すると、インクを吸収した記録紙の繊維が部
分的に膨張し、膨張した部分やその周囲に凹凸が形成さ
れる現象（コックリング）が生じる。このコックリング
による凹凸は、インクが付着した画像形成の終了した部
分だけではなく、大きく成長し、次に画像が形成される
部分まで形成されることがある。この場合、記録紙の凸
部が、高速で所定方向に往復動しているキャリッジに搭
載している印字ヘッドに接触し、インク吐出口などの精
密に製造された部分が損傷するおそれがある。また、イ
ンク吐出口などに紙粉などが付着してインク吐出が不良
になり、画質が低下するおそれがある。

【０００５】本発明は、上記事情に鑑み、印字ヘッドの
損傷などを防止して画質を向上させたインクジェット方
式画像形成装置を提供することを目的とする。

【０００６】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
の本発明のインクジェット方式画像形成装置は、インク
が吐出するインク吐出口を有する印字ヘッドと、該印字
ヘッドを搭載して所定方向に往復動するキャリッジとを
備え、前記インク吐出口に向き合う画像形成領域に記録
媒体を搬送し、前記キャリッジを前記所定方向に往復動
させながら前記インク吐出口からインクを吐出して記録
媒体に画像を形成するインクジェット方式画像形成装置
において、前記インク吐出口よりも記録媒体搬送方向上
流側であって該インク吐出口の近傍に配置され、前記印
字ヘッドよりも記録媒体に接近した記録媒体浮上防止部
材を備えたことを特徴とするものである。

【０００７】ここで、前記記録媒体浮上防止部材が、該
記録媒体浮上防止部材のうち、記録媒体に向き合う部分
が滑らかに形成されてなるものであることが好ましい。

【０００８】また、前記記録媒体浮上防止部材が、ポリ
オキシメチレンもしくはフッ素入り樹脂から製造された
ものであることが好ましい。ポリオキシメチレンは、ポ
リアセタール樹脂とも呼ばれ、強靭なプラスチックであ
る。

【０００９】さらに、前記記録媒体浮上防止部材が、前
記印字ヘッドに形成されたものであってもよい。

【００１０】さらにまた、前記記録媒体浮上防止部材
が、前記キャリッジに形成されたものであってもよい。

【００１１】

【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明のイ
ンクジェット方式画像形成装置の実施形態を説明する。

【００１２】図１は、本発明のインクジェット方式画像
形成装置の一実施形態であるプロッタの概略構成を示す
斜視図である。

【００１３】プロッタ１は、キャスタ２ａ付きのスタン
ド２の上部に固定されている。プロッタ１は、このプロ
ッタ１を操作するための操作部３を備えており、この操
作部３に設置された各種のスイッチ等を操作することに
より、紙サイズ、オンライン／オフライン、コマンドな
どが指示される。矢印Ａ方向から記録媒体挿入口４に挿
入された記録紙は、操作部３からの指示に基づいて、プ
ロッタ１の内部に搬送され、画像が印字されて排出され
る。また、プロッタ１は、内部を覆うカバー５を備えて
いる。

【００１４】図２を参照して、記録紙の搬送経路と印字
（画像形成）工程を説明する。

【００１５】図２は、図１のプロッタを切り欠いて記録
紙の挿入から排出までの経路を示す斜視図である。

【００１６】プロッタ１では、記録媒体挿入口４から挿
入されたシート状の記録紙（カット紙）と、ロール状に
巻かれた記録紙（ロール紙）６に印字できる。ここで
は、記録媒体紙挿入口４から挿入されたカット紙の搬送
経路を説明する。

【００１７】ロール紙６のカバー７上で、例えば大判の
カット紙を整置して矢印Ａ方向から記録媒体挿入口４に
挿入する。挿入されたカット紙は、カバー７と上ガイド
８との間を通り、下搬送コロ支持板９に回転自在に固定
された紙搬送コロ１０ａ及び上搬送コロ支持板１１に回
転自在に固定された紙搬送コロ１０ｂ双方と駆動ローラ
１２とに挟持されながら、印字板１４の上方（本発明に
いう画像形成領域の一例である）に搬送される。印字板
１４の上方を通過したカット紙は、その後、排出ローラ
２０とその上方に位置する拍車２２とに挟持されて排出
される。なお、拍車２２は拍車板２１に回転自在に固定
されている。

【００１８】また、プロッタ１は、矢印Ｂ方向に往復動
するキャリッジ１６を備えている。このキャリッジ１６
はヘッドホルダ１８を備えており、このヘッドホルダ１
８には、４種類のカラーインク（例えば、シアン、マゼ
ンタ、イエロー、黒）それぞれが収容された４つの印字
ヘッド１９が装着されている。キャリッジ１６は、駆動
モータ（図示せず）に掛設されたベルト１７に固定され
ており、このベルト１７は、駆動モータの正逆回転によ
って矢印Ｂ方向に往復動する。ベルト１７が矢印Ｂ方向
に往復動すると、キャリッジ１６も案内レール２４に案
内されて矢印Ｂ方向に往復動する。

【００１９】カット紙は、矢印Ｂ方向に直交する方向
（本発明にいう記録媒体搬送方向の一例である）に断続
的に搬送される。カット紙に画像を形成するに当たって
は、カット紙を一時的に停止させ、キャリッジ１６を矢
印Ｂ方向に往復動させながら、入力された画像情報に基
づいて、印字ヘッド１９よりインクを吐出し、カット紙
のうち、画像形成領域に位置する部分に１バンド分の画
像を形成する。その後、所定長さだけカット紙を搬送し
て画像形成領域に新たに位置する部分に次のバンド分の
画像を形成する。この動作をカット紙の全長に亘って繰
り返す。これにより、カット紙にカラー画像が形成され
る。カラー画像が形成されたカット紙は、排出ローラ２
０と拍車２２とに挟持されながら排出ガイド２３に沿っ
て排出される。 図３を参照して、図２に示したキャリ
ッジ１６の詳細を説明する。

【００２０】図３は、キャリッジを切断して示す斜視図
である。

【００２１】キャリッジ１６は、４つの印字ヘッド１９
を着脱自在に保持するヘッドホルダ１８と、キャリッジ
１６を矢印Ｂ方向に往復動させるためのベアリング３
２，スライダ３４と、画像情報に基づいて印字ヘッド１
９を制御する電装部４０とを備えている。

【００２２】ベアリング３２は馬蹄形であり、電装部４
０の下方に設置されている。このベアリング３２には案
内レール２４が嵌め込まれており、キャリッジ１６が案
内レール２４に案内されることとなる。また、スライダ
３４はサブレール３６（図２では省略されている）に接
している。キャリッジ１６が矢印Ｂ方向に往復動する際
は、キャリッジ１６の下部に搭載されているリニアセン
サ（図示せず）でリニアスケール３８の目盛りを読み取
りながら、案内レール２４やサブレール３６に案内され
る。これにより、キャリッジ１６は、その位置が正確に
検出されながら往復動する。

【００２３】電装部４０は、ノイズの影響を受けにくく
するために印字ヘッド１９に近い位置に設置されてお
り、各種の電子部品４２が搭載されている。

【００２４】また、各印字ヘッド１９のインク吐出口よ
りも記録媒体搬送方向上流側であってこのインク吐出口
の近傍には、各印字ヘッド１９ごとに記録媒体浮上防止
部材５８が配置されている。この記録媒体浮上防止部材
５８は、キャリッジ１６に固定されており、印字ヘッド
１９よりも記録紙５２に接近している。また、記録媒体
浮上防止部材５８と記録紙５２との間には、空隙が確保
されている。また、この記録媒体浮上防止部材５８は、
ポリオキシメチレンもしくはフッ素入り樹脂から製造さ
れたものであり、強靭であって記録紙などの記録媒体に
対する摩擦係数は低い。このため、後述するように、記
録紙５２の凸部が記録媒体浮上防止部材５８に接触して
も、画像形成や記録紙５２の搬送に障害になるような摩
擦力は生じない。

【００２５】プロッタ１（図１参照）では、インク吐出
口からインクを吐出して記録紙５２に画像を形成する
と、上述したコックリングが生じて記録紙５２に凹凸が
形成されることがある。この凹凸の程度は、記録紙５２
の紙質や印字デューティ（単位面積当りのインク量）に
応じて変わる。凹凸の程度が激しい場合は、画像形成領
域まで成長した凸部が記録媒体浮上防止部材５８によっ
て押えられるので、この凸部が印字ヘッド１９に接触す
ることがない。この結果、印字ヘッドの損傷やインク吐
出口への紙粉の付着を防止でき、インクが正常に吐出さ
れるので画質を向上できることとなる。

【００２６】図４を参照して、記録媒体浮上防止部材５
８のうち、記録紙に向き合う部分の形状を説明する。

【００２７】図４は、記録媒体浮上防止部材のうち、記
録紙に向き合う部分の形状を示す斜視図である。

【００２８】記録媒体浮上防止部材５８のうち、矢印Ｂ
方向（長手方向）の端部５８ａは、丸みが形成されて滑
らかになっている。また、記録媒体浮上防止部材５８の
うち、矢印Ｃ方向（記録媒体搬送方向）の端部５８ｂ
も、丸みが形成されて滑らかになっている。このよう
に、記録媒体浮上防止部材５８のうち、記録紙５２に向
き合う部分は滑らかに形成されている。このため、記録
紙５２の幅方向の端部がカール状に浮き上がっても、キ
ャリッジ１６が矢印Ｂ方向に往復動する際に、記録紙５
２の浮き上がった部分に記録媒体浮上防止部材５８が引
っ掛かり、記録紙５２を破いたりすることが無い。

【００２９】なお、上記した実施形態では、各印字ヘッ
ド１９ごとに記録媒体浮上防止部材５８を形成したが、
矢印Ｂ方向に延びる一つの記録媒体浮上防止部材をキャ
リッジ１６に形成してもよい。また、上記した実施形態
では、キャリッジ１６に記録媒体浮上防止部材５８を形
成したが、印字ヘッド１９に記録媒体浮上防止部材を形
成してもよい。この場合、インク吐出口にいっそう近い
位置に記録媒体浮上防止部材を形成し易い。また、複数
の印字ヘッド１９の配置が多少ずれていても、この配置
に応じて記録媒体浮上防止部材を容易に配置できる。

【００３０】

【発明の効果】以上説明したように、本発明のインクジ
ェット方式画像形成装置によれば、記録媒体浮上防止部
材の下方やこの部材よりも記録媒体搬送方向上流側で記
録紙に凸部が形成されても、この凸部が記録媒体浮上防
止部材によって押えられるので、この凸部は印字ヘッド
に接触しない。この結果、印字ヘッドの損傷やインク吐
出口への紙粉の付着を防止でき、インクが正常に吐出さ
れるので画質を向上できる。

【００３１】ここで、記録媒体浮上防止部材が、この記
録媒体浮上防止部材のうち、記録媒体に向き合う部分が
滑らかに形成されてなるものである場合は、記録媒体浮
上防止部材が記録紙に接触する際に、記録紙に引っ掛か
って記録紙を破いたりすることが無い。

【００３２】また、記録媒体浮上防止部材が、ポリオキ
シメチレンもしくはフッ素入り樹脂から製造されたもの
である場合は、記録紙などの記録媒体に対する摩擦係数
は低いので、記録紙の凸部が記録媒体浮上防止部材に接
触しても、画像形成や記録紙の搬送に障害になるような
摩擦力が生じない。

【００３３】さらに、記録媒体浮上防止部材が、印字ヘ
ッドに形成されてなるものである場合は、インク吐出口
にいっそう近い位置に記録媒体浮上防止部材を形成し易
い。。また、複数の印字ヘッドの配置が多少ずれていて
も、この配置に応じて記録媒体浮上防止部材を容易に配
置できることとなる。

【００３４】さらにまた、記録媒体浮上防止部材が、キ
ャリッジに形成されてなるものである場合は、印字ヘッ
ドごとに記録媒体浮上防止部材を形成する必要がないの
で、その分コストを低減できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明のインクジェット方式画像形成装置の一
実施形態であるプロッタの概略構成を示す斜視図であ
る。

【図２】図１のプロッタを切り欠いて記録紙の挿入から
排出までの経路を示す斜視図である。

【図３】図２のキャリッジを切断して示す斜視図であ
る。

【図４】記録媒体浮上防止部材のうち、記録紙に向き合
う部分の形状を示す斜視図である。

【符号の説明】

１ プロッタ １６ キャリッジ １９ 印字ヘッド ５０ 画像形成領域 ５２ 記録紙 ５８ 記録媒体浮上防止部材

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 清原 直樹 東京都三鷹市下連雀６丁目３番３号 コ ピア株式会社内 (72)発明者 猪妻 権介 東京都三鷹市下連雀６丁目３番３号 コ ピア株式会社内 (72)発明者 行方 清一 東京都三鷹市下連雀６丁目３番３号 コ ピア株式会社内 (56)参考文献 特開 平４−219244（ＪＰ，Ａ) 特開 平６−293168（ＪＰ，Ａ) 特開 平５−330032（ＪＰ，Ａ) 特開 平３−288646（ＪＰ，Ａ) 特開 平４−369571（ＪＰ，Ａ) 特開 平５−221063（ＪＰ，Ａ) (58)調査した分野(Int.Cl.⁷，ＤＢ名) B41J 2/01 B41J 15/04

Claims (4)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 インクが吐出するインク吐出口を有す
   る印字ヘッドと、該印字ヘッドを搭載して所定方向に往
   復動するキャリッジとを備え、前記インク吐出口に向き
   合う画像形成領域に記録媒体を搬送し、前記キャリッジ
   を前記所定方向に往復動させながら前記インク吐出口か
   らインクを吐出して記録媒体に画像を形成するインクジ
   ェット方式画像形成装置において、 前記インク吐出口よりも記録媒体搬送方向上流側であっ
   て該インク吐出口の近傍に配置されると共に前記印字ヘ
   ッドよりも記録媒体に接近して配置された、記録媒体に
   形成された凸部を押える記録媒体浮上防止部材を備え、 該記録媒体浮上防止部材は、 前記キャリッジから前記画像形成領域に向かって突出す
   ると共に前記所定方向に延びる凸部が形成され、該凸部
   の端部には丸みが形成されたものであることを特徴とす
   るインクジェット方式画像形成装置。
2. 【請求項２】 インクが吐出するインク吐出口を有する
   印字ヘッドと、該印字ヘッドを搭載して所定方向に往復
   動するキャリッジとを備え、前記インク吐出口に向き合
   う画像形成領域に記録媒体を搬送し、前記キャリッジを
   前記所定方向に往復動させながら前記インク吐出口から
   インクを吐出して記録媒体に画像を形成するインクジェ
   ット方式画像形成装置において、 前記インク吐出口よりも記録媒体搬送方向上流側であっ
   て該インク吐出口の近傍に配置されると共に前記印字ヘ
   ッドよりも記録媒体に接近して配置された、記録媒体に
   形成された凸部を押える記録媒体浮上防止部材を備え、 該記録媒体浮上防止部材は、 前記印字ヘッドから前記画像形成領域に向かって突出す
   ると共に前記所定方向に延びる凸部が形成され、該凸部
   の端部には丸みが形成されたものであることを特徴とす
   るインクジェット方式画像形成装置。
3. 【請求項３】 前記印字ヘッドは、前記キャリッジに複
   数搭載されたものであり、 前記キャリッジの前記凸部は、前記複数の印字ヘッドご
   とに互いに離れて形成されたものであることを特徴とす
   る請求項１に記載のインクジェット方式画像形成装置。
4. 【請求項４】 前記記録媒体浮上防止部材は、 ポリオキシメチレンもしくはフッ素入り樹脂から製造さ
   れたものであることを特徴とする請求項１，２，又は３
   に記載のインクジェット方式画像形成装置。