JP3654039B2 - 溶鉱炉出銑口の形成方法および耐火れんが接合体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、溶鉱炉出銑口の形成方法および溶鉱炉出銑口の形成に使用される耐火れんが接合体に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に溶鉱炉出銑口を形成するには、形状寸法の異なるシャモットれんがや高アルミナ質れんが等の耐火れんがを数10個組み合わせて使用する。すなわち出銑口用耐火れんがを単体で溶鉱炉内へ搬入した後、築炉工が出銑口用耐火れんがに耐火モルタルを塗布して、出銑口用耐火れんがを接着しながら形成する。耐火モルタルを適正な厚さで塗布するため、および組み立て後に出銑口となる円柱状の空洞が真っ直ぐに形成できることを確認するために、耐火れんがの組み立ての際に溶鉱炉内で空目地による仮組みを行なっている。このため出銑口形成作業に多くの時間を費やしている。
【0003】
特開平5-71880 号公報には、形状の比較的簡単な溶鉱炉の炉底用の複数種類のカーボンれんがが一体的に構成されたカーボンブロックが開示されている。しかし出銑口で使用されるような耐火れんがについては開示されておらず、出銑口の形成については上記の従来通りの方法で行なっている。
溶鉱炉出銑口のライニング作業の工期を短縮するためには、出銑口用耐火れんがを大型化する方法が効果的と考えられる。しかし大型の耐火れんがを製造するためには膨大な設備投資が必要である。また大型の耐火れんがを用いて溶鉱炉出銑口の形成を行なうと目地部が減少するため、目地部が有する応力緩和機能も減少し、耐火れんがの耐用年数が短縮される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記のような問題を解決するべく、耐火れんがの耐用年数を短縮させることなく、溶鉱炉出銑口の形成作業の工期を短縮する方法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、溶鉱炉の出銑口を耐火れんがで形成する溶鉱炉出銑口の形成方法において、複数の耐火れんがを互いに、耐火モルタルに珪酸ソーダおよび/または酸化珪素質耐火物を硬化剤として加えた接着剤により接着して所定の形状の接合体とし、接合体を 100℃以上の雰囲気下で乾燥した後、その接合体を用いて溶鉱炉出銑口を形成する溶鉱炉出銑口の形成方法である。
【0006】
また本発明は、複数の耐火れんがが互いに、耐火モルタルに珪酸ソーダおよび/または酸化珪素質耐火物を硬化剤として加えた接着剤で所定の形状に接合され、 100℃以上の雰囲気下で乾燥されて、乾燥後の曲げ強度が 10MPa 以上である形成用耐火れんが接合体である。
【0007】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の方法で形成した溶鉱炉出銑口の例を模式的に示す模式図である。溶鉱炉の炉底部はカーボンれんが2で形成されており、出銑口1の周辺部は一体的に接着されて乾燥された出銑口用耐火れんが接合体3で形成される。
溶鉱炉出銑口を形成するに先立って出銑口用耐火れんがを下記の手順で接着および乾燥して、耐火れんが接合体を製造する。すなわち、単体の出銑口用耐火れんがを所定の形態・大きさに加工して、耐火れんがの接着面に接着剤を塗布して、耐火れんがを各々接着しつつ組み立てる。接合部から溢れ出た接着剤を取り除いた後、目地押しを行なう。接着剤の耐食性が耐火れんがに比べて低いため、接着剤の厚さが 2.5mmを越えると、接着剤が耐火れんがより先に溶損し、炉寿命が短縮される。一方、接着剤の厚さが1mm未満では、耐火れんがの熱膨張に対する応力緩和機能が低下するため、耐火れんがに亀裂を生じる。したがって接着材の厚さは1〜 2.5 mmの範囲が望ましい。
【0008】
出銑口用耐火れんがの接着および組み立てが終了すると、一体的に接着された耐火れんが接合体を乾燥炉で乾燥する。 100℃未満の温度で乾燥すると、乾燥が十分でなく、十分な接着強度が得られない。一方、1200℃を越える温度で乾燥すると、れんがの膨張および収縮によって接着部に空隙を生じる可能性がある。したがって耐火れんが接合体の乾燥温度は 100〜1200℃の範囲が望ましい。乾燥コストを過大にしないためには、通常 100〜200 ℃程度の範囲で乾燥するのが望ましい。
【0009】
こうして接着および乾燥された耐火れんが接合体は、必要に応じて研磨・加工され、所定の寸法・形状に仕上げられる。
次に接着剤について説明する。接着剤の特性として、乾燥後の曲げ強度が10 Mpa以上であれば、運搬やライニング時の荷重や振動に耐えられる。また通気率が 3.5×10-3cm2/s cmAq以下であれば、シール性を維持できるので溶鉱炉の操業に問題は生じない。
【0010】
従来は耐火れんがを接着する際に粘土質の硬化剤を含有する接着剤を使用している。しかし従来の接着剤では、十分な接着強度を得るためには1200℃以上の乾燥温度が必要であり、接着部に空隙を生じる可能性がある。
樹脂系の硬化剤を含有する接着剤は、乾燥のための加熱によって接着剤が酸化して、気孔率が増加する。また溶鉱炉の出銑口として形成された後、操業中に炭素分が酸化され、脆弱化する可能性がある。
【0011】
したがって接着剤は無機質の材料を使用する。含有される硬化剤も有機系(すなわちカーボン質)のものは除き、無機質の材料を使用する。以上に述べた理由によって、接着剤として耐火モルタルを使用し、珪酸ソーダおよび/または酸化珪素質耐火物(例えばSiO2ゾル)を含有する硬化剤を使用する。
【0012】
【実施例】
表1に示すような3種類の組み合わせの接着剤主成分と硬化剤を用いて、シャモットれんがを接着し、接着部の曲げ強度を調査した。まず室温でシャモットれんがを接着したものをサンプルAとし、接着した後にシャモットれんが接合体を 105℃で24時間乾燥したものをサンプルBとした。また接着したものを1200℃で3時間乾燥したものをサンプルCとした。接着剤の厚さは2mmであった。
【0013】
こうして得られたシャモットれんが接合体の接着部の曲げ強度を調査した。
サンプルA:室温で接着したシャモットれんが接合体
サンプルB: 105℃で24時間乾燥したシャモットれんが接合体
サンプルC:1200℃で3時間保持したシャモットれんが接合体
その結果を図2に示す。発明例1および発明例2は乾燥処理を行なったサンプルB,Cで、曲げ強度が10 Mpa以上であり、耐火れんが接合体を一体でハンドリングするのに十分な強度を有することが分かる。
【0014】
次に、表1に示すような3種類の組み合わせの接着剤主成分および硬化剤を用いて、室温でシャモットれんがを接着した後、 105℃で24時間乾燥し、乾燥後の接着部の通気率を調査した。その結果は図3に示す通りであり、いずれも通気率が 3.5×10-3cm2/s cmAq以下であり十分な通気率が得られており、出銑口耐火物として十分使用できる。
【0015】
【表1】
【0016】
以上の結果から、発明例2の接着剤主成分と硬化剤を用いてシャモットれんがを接着し、 105℃で24時間乾燥して得られたシャモットれんが接合体を用いて溶鉱炉出銑口をライニングした。本発明の方法でライニングすると、従来の施工方法と比較して1/3の工数で施工できた。
【0017】
【発明の効果】
本発明のライニング方法では、耐火れんがの接着部の曲げ強度、通気率を十分に維持し、かつ施工時間の大幅な短縮が可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の方法でライニングした溶鉱炉出銑口の例を示す模式図である。
【図2】曲げ強度の測定結果を示すグラフである。
【図3】通気率の測定結果を示すグラフである。
【符号の説明】
1 出銑口
2 カーボンれんが
3 耐火れんが接合体
4 溶鉱炉鉄皮
5 ステーブ
6 耐火れんが
Claims (2)
- 溶鉱炉の出銑口を耐火れんがで形成する溶鉱炉出銑口の形成方法において、複数の耐火れんがを互いに、耐火モルタルに珪酸ソーダおよび/または酸化珪素質耐火物を硬化剤として加えた接着剤により接着して所定の形状の接合体とし、前記接合体を 100℃以上の雰囲気下で乾燥した後、前記接合体を用いて溶鉱炉出銑口を形成することを特徴とする溶鉱炉出銑口の形成方法。
- 複数の耐火れんがが互いに、耐火モルタルに珪酸ソーダおよび/または酸化珪素質耐火物を硬化剤として加えた接着剤で所定の形状に接合され、 100℃以上の雰囲気下で乾燥されて、乾燥後の曲げ強度が 10MPa 以上であることを特徴とする溶鉱炉出銑口の形成用耐火れんが接合体。
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Applications Claiming Priority (1)
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JP2000282120A JP2000282120A (ja) | 2000-10-10 |
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- 1999-03-30 JP JP08760999A patent/JP3654039B2/ja not_active Expired - Fee Related
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