JP4665520B2 - コークス炉炭化室の補修方法 - Google Patents

コークス炉炭化室の補修方法 Download PDF

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Description

本発明は稼動中のコークス炉の炭化室の補修方法に関する。
コークス炉は石炭を乾留してコークスを製造する炉である。この炉では、石炭を装入する炭化室と加熱ガスを発生させる燃焼室が炉壁を介して交互に配置されている。石炭の乾留に際しては、まず、常温の石炭が炭化室の上部に設けられた装入口から装入される。この常温の石炭の装入によって、炭化室側の炉壁が冷却されるが、燃焼室側から炉壁を通じて炭化室側へ熱が伝わり、炭化室側は再び昇温し、石炭に熱が伝えられる。そして、石炭の熱分解が起こり、乾留が進行する。乾留が終了すると、押し出し機側とコークス側の炉蓋が外され高温のコークスが押出機によりコークス側へ排出される。このようなプロセスの繰り返しにより、炉壁および炉底の加熱と冷却が繰り返される。
炉壁および炉底には、通常、珪石煉瓦が使用されている。この珪石煉瓦はクリストバライトとトリジマイトを主構成結晶相とし、18〜22%の開気孔を有している。炉壁および炉底は加熱、冷却の繰り返しにより、煉瓦間の目地や煉瓦本体に亀裂が発生する。これらの損傷が炭化室側から燃焼室側に進展して炉壁を貫通した状態になると、芳香族炭化水素を含む乾留ガスが炭化室から燃焼室へ漏洩するので、石炭の乾留は困難となりコークスを製造することができない。また、炭化室側の炉壁面および炉底面には、熱的スポーリング、コークス押し出しによる機械的な磨耗、カーボンの付着成長等による凹凸が発生する。この凹凸が大きくなると、コークスを押し出す際の圧力が過大になって炉壁煉瓦に割れが発生し、破片が脱落する。そして、脱落により凹凸がさらに大きくなる。また、乾留ガスが煉瓦の気孔に侵入して炭素を析出し、これを起点として炭素が成長して突起を形成する現象も起きる。これらの要因が重なって、押し出し機にかかる押圧が上昇し、状況によってはコークスの押し出しが不能になりコークスの生産に支障を来す。このため、炉壁および炉底の凹凸を補修して、平坦化する必要がある。
炉壁および炉底の補修方法については、幾つかの方法が公知である。例えば、空にした炭化室へ焼結性の耐火物粉末を気流輸送し、貫通亀裂部の閉塞を図るドライシール法が知られている。この方法による場合、一時的にガス漏れを減少させることは可能であるが、その効果を長続きさせることはできない。これは、貫通亀裂部を閉塞させた耐火物粉末が焼結した際に収縮するので、再び空隙が発生することは避けられず、この部位からガスが流通して、焼結片が飛散し、再び亀裂が拡大する。また、施工時に粉末が貫通亀裂部を通って反対側の燃焼室まで到達し、堆積すると、別の問題が生じる。すなわち、燃焼室から粉末を除去することは困難であり、これを放置すると、燃焼空間が狭まり、燃焼性能が低下する。
また、他の補修方法として、湿式吹き付け法が知られている。この方法は耐火性粉末に無機バインダーと水を加えて混合し、損傷部に吹き付ける方法である。
また、さらに、他の補修方法として、溶射法が知られている。溶射法には、耐火物粉末を酸素と燃料ガスからなる火炎中に投入する火炎溶射による方法(例えば、特許文献1参照。)、あるいは耐火物粉末に金属粉末を混合して炉内に噴射し、金属の燃焼によって火炎を形成するテルミット反応による方法(例えば、特許文献2参照。)などがある。
湿式吹き付け法や溶射法は乾留ガスの炭化室から燃焼室への漏洩の抑制に顕著な効果があるが、これらはいずれも補修部位に補修材を肉盛りする方法であり、補修前の凹凸を軽減することはできても平滑な面に修復することは原理的に困難である。このため、得られる補修層は、依然として表面に凹凸を有しており、前記の操業上の困難は解消されないという問題がある。また、湿式吹き付け方法においては水分の蒸発の吸熱が発生し、溶射法においては急激な局所加熱が不可避であり、施工にあたって熱衝撃の発生が避けられない。このため、補修部位に局所的な熱衝撃が加わり、煉瓦の劣化を引き起こすという問題もある。
また、前記のドライシール法、湿式吹き付け法、溶射法においては、補修に使用した耐火材料の一部が飛散して炉底に溜まり損失となる。このようなリバウンドロスが不可避であるという問題もある。
これに対して、平滑な補修面を形成することが可能なコークス炉の炉壁の修補修方法が知られている(例えば、特許文献3、特許文献4参照。)。特許文献3に記載の方法は、空窯になった際の高温の炉壁の表面に、平均組成でSiO2を40〜95wt%、B23、Na2O、K2Oの中から選ばれる酸化物を合計で5〜30wt%含有するセラミックシートを加圧密着させるものである。また、特許文献4に記載の方法は、セラミックシートと軟質金属フォイルの2層からなる補修シートを炉壁に加圧密着させるものである。セラミックシートの実施様態として、セラミッククロスや、セラミッククロスとこのセラミッククロスに担持させたセラミック粉末で形成されたものが記載されている。
上記のセラミックシートを用いる方法(セラミックシート圧着法)は、良好な平滑面を提供し、熱衝撃を加えないことにより煉瓦を痛めない等の長所を有している。また、煉瓦面のみならずドライシール法、湿式吹き付け法、溶射法を施した補修面の凹凸をも施工対象として平滑面に修復することができる。すなわち、他の補修方法で補修済みの部位を含めて、炭化室の炉壁全体の平滑化に適用可能である。
特公平3−9185号公報 特公昭62−15508号公報 特開平11−50057号公報 特開2000−34485号公報
しかし、上記のセラミックシート圧着法において、セラミックシートとして、セラミッククロスや、セラミッククロスとこのセラミッククロスに担持させたセラミック粉末で形成されたものを用いると、炉壁の凹凸が軽微である場合には十分な密着性を示し、良好な平滑面を形成可能であるが、炉壁の凹凸が大きい、例えば局所的に深い損傷がある場合などには、密着が不完全となり、セラミッククロスの補修層が剥離しやすくなるという問題がある。
したがって本発明の目的は、このような従来技術の課題を解決し、コークス炉の炭化室内の炉壁面および炉底面に発生した凹凸面をシート状のセラミックの圧着により補修する方法であって、高低差の大きい凹凸面に対しても優れた密着性を示し、平滑な補修面を形成することができるコークス炉の炭化室の補修方法を提供することにある。
このような課題を解決するための本発明の特徴は以下の通りである。
(1)コークス炉炭化室の構造体の表面に生じた凹部に、焼結性セラミック原料を前記凹部の形状とほぼ同型に成形した成形体を加圧密着させることにより、前記構造体の表面を平滑面とすることを特徴とするコークス炉炭化室の補修方法。
(2)構造体の表面に生じた凹部の型を作製し、該凹部の型の反転型を作製し、該反転型を用いて焼結性セラミック原料を成形し、成形体とすることを特徴とする(1)に記載のコークス炉炭化室の補修方法。
本発明によれば、コークスの押し出し操作時に抵抗となる大きな凹部を耐久性のある平滑面に修復することができる。このため、コークスの押し出しが容易となり、炉壁面および炉底面を傷めることがない。従って、補修後の平滑な炉壁面および炉底面を維持することができ、長期間にわたって安定したコークス炉の操業が可能となる。
本発明で補修対象とするのはコークス炉の炭化室の内面全体であり、炉壁(側壁)面、天井、炉底面に加えて、その他の珪石煉瓦部分や、過去に補修が行われ、補修材等が珪石煉瓦の表面を覆っている部分をも含み、これらを総称して、以下炭化室の構造体と呼ぶものとする。該構造体に発生した凹部を平滑面に修復するために、本発明が用いられる。
特許文献3等に記載の従来のセラミックシート圧着法は、例えば最大3mmの深さの凹部を有する凹凸のような、比較的軽微な凹凸に適しており、大きな凹凸、例えば高低差が10mmを越える凹凸に対処するのは困難である場合がある。これは、従来のセラミックシート圧着法で用いられているセラミックシートの実施形態は2つあり、ひとつはセラミッククロス、もうひとつはセラミッククロスとこのセラミッククロスに担持させたセラミック粉末で形成されたものであるが、いずれにしろセラミックシートとしてセラミッククロスを用いる場合、セラミッククロスは伸縮性に乏しく、高低差の大きい凹凸面においては加圧によって接触できる凹凸面上の面積割合は限られることに起因している。セラミッククロスを用いると、セラミックシートは炉壁との限られた接触部位から急速に加熱されて軟化し、溶融して溶融物となり、この過程で溶融物が炉壁表面の主たる接触部位である凸部から非接触部位である凹部へ流れ込み凹部を埋める工程が不完全となり、接着が不十分となる場合があるのである。一方で、セラミッククロスに担持させるセラミック粉末の量を増やすことも考えられるが、補修材料の量が多すぎると、補修後にバリ取り作業が発生するため手間がかかりコスト高となる。
本発明者らは、このような問題は炭化室の構造体の損傷状況に合わせて補修材料の量を適量とすることにより解決されると考え、さらに、補修材料を損傷パターンに合わせて成形し、シート状の成形体として加圧補修に供することが最も効果的であることを見出し、下記の本発明を完成した。すなわち、コークス炉炭化室の構造体の表面に生じた凹部に、焼結性セラミック原料を前記凹部の形状とほぼ同型に成形した成形体を加圧密着させることにより、前記構造体の表面を平滑面とすることを特徴とするものである。焼結性セラミック原料を構造体の表面に生じた凹部の形状とほぼ同型の成形体を予め成形するには、構造体の表面に生じた凹部の型を作製し、凹部の型の反転型を作製し、反転型を用いて焼結性セラミック原料を成形することが望ましい。また、コークス炉炭化室の構造体の表面に生じた凹部に、焼結性セラミック原料の成形体を加圧密着させるためには、加圧治具により焼結性セラミック原料を加圧し、該焼結性セラミック原料の焼結が進行したのちに前記加圧治具を除去することが望ましい。
本発明ではコークス炉炭化室の構造体の補修材料に焼結性セラミック原料を用いている。焼結性セラミック原料は、稼働中のコークス炉の炭化室構造体から供給された熱により焼結が進行して緻密になり焼結体となるセラミック原料である。このような焼結性セラミック原料を用いて、構造体の表面に生じた凹部の形状とほぼ同型の成形体を成形する方法について説明する。炉壁の損傷形状を転写して成形した補修材料である焼結性セラミック原料の成形体を炉壁の損傷部位に圧着させるためには、下記(a)〜(d)の工程により行なうことが望ましい。
(a)構造体の表面に生じた凹部を転写し型取りする(補修部分の型取り)。
(b)転写した型をもとに反転型を作製する(反転型の作製)。
(c)反転型を用いて凹部の形状が転写された、補修材料の成形体を作製する(成形体の作製)。
(d)成形体を炉壁損傷部位に圧着させ補修する(加圧補修)。
以下、上記の(a)〜(d)の工程を詳しく説明する。
(a)補修部分の型取り:構造体損傷部の型取りの一実施形態を図1に示す。図1(イ)において、炭化室炉壁1の表面の損傷部(凹部)には深い損傷部2があり、型材料3を流出防止用のガラスフェルト枠4に嵌め込んで加圧プレート5に装着し、これを炉壁に対して加圧して接触させ、ガラスフェルト枠4を炉壁に密着させてシールした後に、型材料を膨張させて損傷による欠落空間を埋め、硬化させることで型取りを行なう(図1(ロ))。ついで、加圧プレートの加圧を解除し(図1(ハ))、型6を回収する(図1(ニ))。型6には炉壁の損傷パターンが転写されており、これにより補修材料の適正量と損傷形状に関する情報を得ることができる。型材料としては、炉壁からの伝熱により発泡して体積膨張し、壁面に接触してその凹部の凹凸形状を転写するために高発泡性を有するものが望ましい。しかし、破泡収縮は回避されることが望ましく、これを防止するためには高延性を有することが望ましい。さらに体積膨張したまま硬化すること、出来上がった型が炉壁から容易に離型できるような硅石煉瓦への難付着性、さらに次工程の反転型作製に耐えられる保形強度を有することが望ましい。
(b)反転型の作製:(a)で作製した「型」により得られる構造体損傷部の欠損量と損傷形状に関する情報を有する「反転型」を作製する。図2を用いて反転型を作製する一実施形態を説明する。図2(イ)において、まず、炉壁から回収された型6の炉壁損傷部転写面に撥水剤を塗布して熱風等を用いて乾燥する。これにより後工程における反転型の離型が容易になる。次に、型6に粘土状の反転型材料7を押し付けて損傷形状の転写を行なう(図2(ロ))。その後、再度、熱風等を用いて反転型材料7を適度に乾燥させる。反転型材料7の外面が硬化し内面はまだ弾力性を有する程度に乾燥させることが望ましい。次に、粘着テープ等8で反転型材料7の外面を覆って補強し(図2(ハ))。型6から反転型7を剥離させ、反転型7を得る(図2(ニ))。反転型材料は、型に固着しない難付着性を有すること、次工程の成形体作製の負荷に耐えられる保形強度を有すること、成形体作製時に反転型が容易に衝撃破壊できる脆性を有すること、が望ましい。
(c)成形体の作製:損傷部の形状が転写された成形体作製の一実施形態を図3に示す。まず、(b)で得られた反転型7に焼結性セラミック原料9を充填する(図3(イ))。充填終了後、反転型7を除去し、成形体10を回収する。成形体10は、プラスチック袋等の可燃性袋11を用いて真空包装し、形状の保持を図るとともに包装面への糊付けにより加圧プレートへの固定を可能にすることが望ましい。可燃性袋としては、ビニル、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリ乳酸等の可燃性樹脂からなる袋を用いることが望ましい。焼結性セラミック原料9は、成形後の搬送に耐えられる保形強度、珪石煉瓦と強固に結合する接合強度、およびコークス製造に耐えられる焼成後の材料強度を有することが望ましく、具体的にはドライモルタルとウエットモルタルとセラファイバーと水との混練物とする。
(d)加圧補修:(c)で作製した成形体10を用いて炉壁を補修する一実施形態を、図4を用いて説明する。図4(イ)において、成形体10を加圧プレート5に固定する。成形体10が真空包装されていると、補強されるとともに加圧プレート5への糊付けが容易である。次に、炉壁の型取りをした損傷部分に、成形体10を炉壁の損傷部(凹部)2に嵌め合わせるように設置して、炉壁1に成形体10を加圧接触させて密着させて、成形体10が硬化するまで所定時間保持する。成形体10は炉壁との接触部位から急速に加熱されて軟化し、溶融して溶融物となり、高低差の大きな凹部全体に密着し、焼結の進行によって強度と接着力を発現する。成形体10の硬化後に加圧プレート5を除去することで炉壁面の平滑化補修が完成する(図4(ロ))。
加圧プレートによる加圧は、空気圧駆動の加圧装置等により加圧プレートを補修部分に押し付けて荷重を加える等の方法により行なうことができる。
加圧プレートの押圧面は平滑面であることが好ましい。また、加圧プレートの平滑面は耐熱材料で構成することが好ましく、セラミックスまたは金属を用いることが望ましい。例えば、珪石煉瓦、炭化珪素、窒化珪素、安定化ジルコニア、ニッケル合金、コバルト合金、耐熱鋼等が好適である。
加圧プレートの平滑面を直接、成形体と接触させると、焼結の進行に伴う収縮を該平滑面が阻害することにより成形体の焼結体に亀裂が発生したり、加圧プレートの平滑面に固着して加圧プレートの除去に支障をきたす場合がある。この問題は難焼結性セラミックシートを加圧プレートと成形体との間に挟んだ状態で成形体を加圧して補修を行うことで解決できる。難焼結性セラミックシートは成形体の加圧プレートへの固着を防止し、かつ、成形体の焼結に伴う収縮に追従することにより亀裂の発生を防止する。難焼結性セラミックシートの形態としてセラミックフェルト、セラミッククロス、セラミックペーパー、セラミックボードが好適である。また、これらを組み合わせてもよい。これらは熱膨張する加圧プレートと焼結収縮する成形体の双方にそれ自身の変形により追従できる。これらを構成する繊維材料としてシリカ、アルミナ、シリカ−アルミナ、ムライト等が好適である。難焼結性セラミックシートは難焼結性を発現するためにLi2O、Na2O、K2O、CaO、B23、Fe23等の融点降下をもたらす成分を低減する必要があり、これらの成分を合計で、好ましくは10mass%以下、さらに好ましくは5mass%以下とする。加圧処理後、加圧プレートを取り除くと難焼結性セラミックシートは成形体側に付着残留する。難焼結性セラミックシートはコークス炉の操業再開後の早い段階で製品コークスとともに排出されて消失し、平滑面を有する焼結体、すなわち補修層が残留する。
本発明のより具体的な実施形態として、例えば以下のようにコークス炉構造体の補修を行なうことができる。
ケイ酸ソーダと隣状黒鉛の混練物を型材料として、シリカクロスとガラスフェルトで作製した矩形の型枠に装入する。コークス炉の炉壁損傷部に型材料を押し当てて、型材料を型枠ごと加圧し型を作製する。型材料のケイ酸ソーダはコークス炉の熱(300〜600℃)を受けて脱水し硬化する。
型の表面に離型剤を塗布した後、反転型材料で型を被覆・乾燥して分離し、補修部分の形状の反転型を作製する。
反転型の材料はドライモルタルとウエットモルタルとセラファイバーとを適量の水で混練することにより調整する。ドライモルタルは1〜6mmの粗粒と、1mm以下の微粒をそれぞれ40mass%、60mass%で配合する。セラファイバーはSiO2とAl23からなるセラミックペーパーを細片に切断したものであり、微粒モルタルの加熱流動を抑制する働きがあり、強度維持の効果がある。
反転型の凹部に焼結性セラミック原料を充填し、反転型を除去して成形体を作製する。炉枠面を基準として凹部に焼結性セラミック原料を充填するが、例外的に煉瓦面が炉枠面より飛び出している場合は煉瓦面を基準とする。型取りを行なった補修箇所に、損傷の形状に合わせて成形体をセットして加圧し、補修を行ない、構造体表面を平滑化する。
本発明を用いると、構造体の補修部分に対して補修材料の流入不足による接合不良に起因する補修材料の剥離の発生を防止することが可能であり、また、補修材料が過多の場合に発生する補修後のバリ取り作業も発生しない。このような方法で、コークス炉の構造体の高低差10mmを越える凹部であっても、高低差1mm以下の平滑面に修復することができる。
なお、上記では稼働中のコークス炉での実施形態を示したが、コークス炉は停止後や休止中であってもよい。補修のために炉壁や炉底の凹部に充填した補修材料が焼結する程度の炉温を維持した状態であれば稼働中、休止中を問わずに本発明を実施可能である。
稼働中のコークス炉において、コークス側窯口の炉壁煉瓦に炉枠に沿って狭い切れ込みが生じ、損傷幅は200〜250mmであり、深さが数10mm程度の部分を有する凹部が形成されていた。コークス側窯口の炉壁煉瓦は燃焼室からの伝熱によって最高1240℃まで上昇する部位である。この部位を平滑化する補修を行なった。
(a)型取り:ガラスフェルト(300×500mm、厚さ20mm)に250×330mmの開口部を設け、スプレー糊を用いてシリカクロス(300×500mm)に接着し、ガラスフェルトの枠部がシリカクロスで裏打ちされた矩形の型枠を作製した。
コンクリートミキサーを用いてケイ酸ソーダと鱗状黒鉛の混練物(ケイ酸ソーダ65mass%、鱗状黒鉛35%)を型材料として製造した。この混練物をポリエチレンの袋に入れ約220×320×25mmの平板に形状を整え型取りセットとした。
上記の型取りセットを用いて損傷部分の型取りを行なった。エアシリンダーにより加圧プレートを炉壁に対して押し付ける機構を有する加圧装置を用意し、型取りセットを、加圧プレート上部と下部の2箇所で加圧プレートに固定し、型材料を損傷部に押し付けるように、加圧プレートが炉壁に平行になるように維持して加圧した。加圧保持時間は20分とした。加圧開始から20分経過後、加圧を終了して加圧プレートを炉内から引き出した。
回収した型の損傷の転写精度は極めて良好であり、型の転写面には、炉壁の鋭い切れ込みに対応する約40mm高さの部分が形成されていた。
(b)反転型の作製:反転型材料としてウエットモルタルを用いた。この粘土状の材料を直接「型」に接触させると固着して離型不能となるので、離型剤として撥水剤を転写面に刷毛で塗布し、熱風循環式乾燥器に入れて110℃で1時間加熱し乾燥し、転写面に撥水作用を付与した。型材料の転写面にウエットモルタルを少量ずつ分割して押しつけ転写面を覆った。これを熱風循環式乾燥器に入れて110℃で加熱し乾燥硬化させ、反転型とした。
離型時の負荷で反転型が破損したときの形状修復を容易にするため、乾燥硬化させた反転型の外面を布製粘着テープで覆い補強した。型を反転型から剥離させ反転型を得た。
(c)成形体の作製:補修材料である焼結性セラミック原料は、ドライモルタル100質量部、水2質量部、ウエットモルタル30質量部、セラファイバー1.8質量部で配合した。セラファイバーはSiO2(47mass%)、Al23(53mass%)からなるセラミックペーパーを2mm×2mm×16.5mmの細片に切断したものである。これをコンクリートミキサーに投入して混合し、混練物を得た。得られた混練物は塑性加工が容易で、その成形品は離型ができハンドリングに耐える保形強度を有するものであった。
補修後の補修面が炉枠面と同じ高さになるように炉枠面を基準として、反転型の凹部に焼結性セラミック原料を充填した。空隙が生じないように充填した焼結性セラミック原料を押しつけ、染み出した水分を除去した。反転型を上にして粘着テープを剥がしてから、マイナスドライバーを槌打して反転型に多数の亀裂を生じさせてから破片として反転型を取り除き成形体を取り出した。
真空包装用プラスチック袋に成形体を挿入し、卓上真空包装機を使用して真空脱ガスを行い、プラスチック袋に加熱溶融シールを施し真空封入した。真空封入により成形体が崩れないように維持された。真空封入された成形体を幅300mm×高さ500mm×厚さ20mmのガラスフェルトにスプレー糊で炉枠部分を避けて固定した。
(d)加圧補修:加圧プレート上部と下部の2ヶ所で成形体を固定した。炭化室に加圧装置を挿入し、型取りのときと同一位置に加圧プレートを設置して、成形体を加圧した。加圧時間は20分とした。加圧後、炉壁に付着していたガラスフェルトを取り除いたところ、良好な平滑面を得ることができた。保形強度は得られたが、補修直後には成形体の内部はまだ凝固しておらず、炉蓋を閉じて放置することで実用強度を付与した。補修部の一部にシリカクロスが残留して付着していたが、炉蓋を閉じた後に炉壁から脱落し、補修前の40mm深さに及ぶ煉瓦の損傷を平滑化することができた。
実施例1と同様に、但し、型取りの際の加圧保持時間を15分として炉壁煉瓦の補修を行なった。加圧保持時間20分の場合には容易に一体で剥離回収出来たが、加圧保持時間15分の場合には、一体回収ができずに、型材料に割れが発生したり、深い切れ込み損傷部分に残った型材料が回収できない場合があった。加圧保持時間20分の場合には回収した型の損傷の転写精度は極めて良好であったが、加圧保持時間15分の場合には、加圧保持時間20分の場合と色が異なり焼成が不十分であった。
実施例1と同様に、但し、炉壁損傷部へ加圧プレートを用いて成形体を加圧する際の加圧時間を15分とした。補修後ガラスフェルトを除去したところ、ガラスフェルトに伴って補修材料が垂れ下がり未凝固であり、炉壁を平滑に補修することができなかった。
構造体損傷部の型取りの一実施形態の説明図。 反転型を作製する一実施形態の説明図。 成形体作製の一実施形態の説明図。 成形体を用いて炉壁を補修する一実施形態の説明図。
符号の説明
1 炭化室炉壁
2 深い損傷部
3 型材料
4 ガラスフェルト枠
5 加圧プレート
6 型
7 反転型材料
8 粘着テープ
9 焼結性セラミック原料
10 成形体
11 可燃性袋

Claims (2)

  1. コークス炉炭化室の構造体の表面に生じた凹部に、焼結性セラミック原料を前記凹部の形状とほぼ同型に成形した成形体を加圧密着させることにより、前記構造体の表面を平滑面とすることを特徴とするコークス炉炭化室の補修方法。
  2. 構造体の表面に生じた凹部の型を作製し、該凹部の型の反転型を作製し、該反転型を用いて焼結性セラミック原料を成形し、成形体とすることを特徴とする請求項1に記載のコークス炉炭化室の補修方法。
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