JP3653834B2 - 車両用空調装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は車両用空調装置であって、特に膜状部材によって通風状態を変更する、いわゆるフィルムダンパシステムを採用した車両用空調装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、車両用空調装置の小型化を達成するために、板状の切換ドアを切り換えて通風状態を変更することに代えて、膜状部材を移動させることで通風状態を変更する、いわゆるフィルムダンパシステムを採用するようになった。
【0003】
このフィルムダンパシステムは、例えば図5(a)(b)(c)に示すように、膜状部材100を空調ユニットの吹出開口部101に対向するように配置し、膜状部材100に形成された開口部102と吹出開口部101との重なり度合いによって、吹出開口部101の開口面積を調節するようにしたものである。この膜状部材100の一端側は、空調ユニットに回転自在に支持された巻取駆動軸103に固定されており、膜状部材100の他端側は、巻取駆動軸103の回転に応じて回転する巻取従動軸104に固定されている。
【0004】
巻取駆動軸103の軸方向先端部には、図示しないステップモータを連結して設け、このステップモータの駆動により巻取駆動軸103を回転させて、膜状部材100を巻取ったり送り出したりして巻取状態を変更させ、膜状部材100の開口部102の位置を移動させて通風状態を変更するものである。
【0005】
具体的には、巻取駆動軸103の軸方向先端部には、第1のプーリー105が設けてある。一方、巻取従動軸104の軸方向先端部には、テンションスプリング106を介して第2のプーリー107がこの巻取従動軸104と相対回転可能に設けてある。第1のプーリー105と第2のプーリー107とはケーブル108にて連結しており、このケーブル108によって第1のプーリー105の回転に同期して第2のプーリー107が回転するように構成している。
【0006】
なお、テンションスプリング106は、膜状部材100が巻取従動軸104に最大に巻取られた状態において最大に正方向にねじられた状態となり、膜状部材100が巻取駆動動軸103に最大に巻取られた状態において最大に負方向にねじられた状態となるように設定されている。また、ケーブル108は、膜状部材100が巻取従動軸104に最大に巻取られた状態において第1のプーリー105に最大に巻き込まれた状態となり、膜状部材100が巻取駆動軸103に最大に巻取られた状態において第2のプーリー107に最大に巻き込まれた状態となるように設定されている。さらに、ケーブル108が第1のプーリー105あるいは第2のプーリー107に最大に巻き込まれた状態にあっても第1のプーリー105および第2のプーリー107の各巻取径が等しくなるように第1のプーリー105および第2のプーリー107の各巻取面は広く形成されている。
【0007】
ついで、巻取駆動軸103の膜状部材100の巻取動作および送り出し動作について説明する。まず、図5(a)に示すように、巻取駆動軸103には膜状部材100は最小に巻取られた状態にあり、巻取従動軸104には膜状部材100は最大に巻取られた状態にあって、このときのテンションスプリング106は最大に正方向にねじられた状態にあって、この状態から巻取駆動軸103が巻取り動作を開始するものとする。したがって、この状態においてはテンションスプリング106は最大に正方向にねじられた状態となっているため、巻取駆動軸103が膜状部材100を巻取る操作力は最大になっている。
【0008】
この状態の膜状部材100を含む巻取駆動軸103の見かけ上の軸径をd、膜状部材100を含む巻取従動軸104の見かけ上の軸径をd+tMAXとすると、ステップモータを駆動させて巻取駆動軸103を正方向(図の実線矢印方向)に回転(以下、正回転という)させて膜状部材100を巻取ると、この巻取り動作に伴い第1のプーリー105も正回転して第1のプーリー105に巻き込まれたケーブル108(なお、図5(a)の状態の場合にはケーブル108は第1のプーリー105に最大に巻き込まれている)を送り出す。すると、巻取駆動軸103の巻取動作に伴い巻取従動軸104は正回転して、巻取従動軸104から膜状部材100が巻取駆動軸103に送り出されるとともに、第2のプーリー107も正回転して、第1のプーリー105から送り出されたケーブル108を巻取る。
【0009】
このとき、巻取駆動軸103が1回転すると、巻取駆動軸103は約2πdの膜状部材100を巻取る。これに伴って、第2のプーリー107は第1のプーリー105と同期して回転するため、第2のプーリー107も1回転する。一方、巻取駆動軸103の約2πdの膜状部材100の巻取り動作に伴って、巻取従動軸104から約2πdの膜状部材100が巻取駆動軸103に送り出されることとなるが、巻取従動軸104の見かけ上の軸径は巻取駆動軸103の見かけ上の軸径よりtMAXだけ大きいため、巻取従動軸104は1回転弱だけ回転することとなる。つまり、第2のプーリー107は1回転し、この第2のプーリー107と連結された巻取従動軸104は1回転弱だけ回転するため、第2のプーリー107の回転と巻取従動軸104の回転との間に回転差が生じ、巻取従動軸104は第2のプーリー107に対して相対的に図5(a)の時計方向に回転することとなる。
【0010】
この第2のプーリー107の回転と巻取従動軸104の回転との間の回転差は、テンションスプリング106(なお、テンションスプリング106は図5(a)の状態において最大に正方向にねじられた状態となっている)が緩むことにより吸収される。換言すると、テンションスプリング106は、膜状部材100のテンション(張力)が小さくなるように作用する。この結果、ステップモータが巻取駆動軸103を正回転させて膜状部材100を巻取操作する際に、テンションスプリング106が緩む方向に巻取駆動軸103を正回転駆動するため、テンションスプリング106は膜状部材100の操作力を減少させ、ステップモータの負荷を減少させる。
【0011】
この状態から、さらに巻取駆動軸103を回転駆動して膜状部材100を巻取操作すれば、図5(b)に示すように、膜状部材100を含む巻取駆動軸103の見かけ上の軸径はd+t1、膜状部材100を含む巻取従動軸104の見かけ上の軸径はd+t2(t2>t1)となり、t1が徐々に大きくなりt2が徐々に小さくなるにつれてテンションスプリング106が緩む方向に巻取駆動軸103は回転駆動して、テンションスプリング106は膜状部材100を撓ませるとなく膜状部材100の操作力を徐々に減少させるが、巻取駆動軸103の見かけ上の軸径と巻取従動軸104の見かけ上の軸径が等しくなるにつれて、見かけ上の軸径差(t2−t1)が徐々に小さくなるため、第2のプーリー107の回転と巻取従動軸104の回転との間の回転差は徐々に小さくなり、膜状部材100を含む巻取駆動軸103の見かけ上の軸径と膜状部材100を含む巻取従動軸104の見かけ上の軸径が等しく(t1=t2)なるとテンションスプリング106は最大に緩んだ状態となる。
【0012】
この状態から、さらに巻取駆動軸103を回転駆動して膜状部材100を巻取操作すると、今度は膜状部材100を含む巻取駆動軸103の見かけ上の軸径は、膜状部材100を含む巻取従動軸104の見かけ上の軸径より大きく(t1>t2)なる。このとき、巻取駆動軸103が1回転すると、巻取駆動軸103は約2π(d+t1)の膜状部材100を巻取る。これに伴って、第2のプーリー107は第1のプーリー105と同期して回転するため、第2のプーリー107も1回転する。
【0013】
一方、巻取駆動軸103の約2π(d+t1)の膜状部材100の巻取り動作に伴って、巻取従動軸104から約2π(d+t1)の膜状部材100が巻取駆動軸103に送り出されることとなるが、巻取従動軸104の軸径は巻取駆動軸103の軸径より(t1−t2)だけ小さいため、巻取従動軸104は1回転強だけ回転することとなる。つまり、第2のプーリー107は1回転し、この第2のプーリー107と連結された巻取従動軸104は1回転強だけ回転するため、第2のプーリー107の回転と巻取従動軸104の回転との間に回転差が生じ、巻取従動軸104は第2のプーリー107に対して相対的に図5(b)の反時計方向に回転することとなる。
【0014】
この第2のプーリー107の回転と巻取従動軸104の回転との間の回転差は、テンションスプリング106が負方向にねじられることにより吸収される。換言すると、テンションスプリング106は、膜状部材100のテンション(張力)が大きくなるように作用する。この結果、ステップモータが巻取駆動軸103を回転駆動して膜状部材100を巻取操作する際に、テンションスプリング106を負方向にねじるように巻取駆動軸103を回転駆動するため、テンションスプリング106は膜状部材100の操作力を徐々に増大させ、ステップモータの負荷を徐々に増加させる。
【0015】
そして、ステップモータが巻取駆動軸103をさらに正回転駆動して、図5(c)に示すように膜状部材100を巻取駆動軸103に最大に巻取ると、テンションスプリング106が負方向にねじられる作用により膜状部材100の操作力は最大となり、ステップモータの負荷は最大になる。
【0016】
一方、この膜状部材100の巻取駆動軸103の最大の巻取り状態から巻取従動軸104へ膜状部材100を送り出し、図5(c)の状態から図5(b)の状態をへて図5(a)の状態へ巻取従動軸104が膜状部材100を巻取る場合、まず、ステップモータを今までとは逆方向(図の点線矢印方向)に駆動させて巻取駆動軸103を逆方向に回転(以下、逆回転という)させて、第1のプーリー105を逆回転させると、第2のプーリー107に最大に巻取られたケーブル108を第1のプーリー105は巻取る。すると、巻取駆動軸103に最大に巻取られた膜状部材100は巻取従動軸104へ送り出され、巻取従動軸104は膜状部材100を巻取る。
【0017】
この第1のプーリー105のケーブル108の巻取動作に伴い第2のプーリー107も第1のプーリー105と同期して逆回転する。このとき、巻取従動軸104が1回転すると、巻取駆動軸103は約2πdの膜状部材100を送り出し、この巻取駆動軸103からの約2πdの膜状部材100の送り出し動作に伴って、巻取従動軸104は約2πdの膜状部材100を巻取ることとなるが、巻取駆動軸103の見かけ上の軸径は巻取従動軸104の見かけ上の軸径よりtMAXだけ大きいため、巻取従動軸104は1回転弱だけ回転することとなる。つまり、第2のプーリー107は1回転し、この第2のプーリー107と連結された巻取従動軸104は1回転弱だけ回転するため、第2のプーリー107の回転と巻取従動軸104の回転との間に回転差が生じ、巻取従動軸104は第2のプーリー107に対して相対的に図5(c)の反時計方向に回転することとなる。
【0018】
この第2のプーリー107の回転と巻取従動軸104の回転との間の回転差は、テンションスプリング106(なお、テンションスプリング106は図5(c)の状態において最大に負方向にねじられた状態となっている)が緩むことにより吸収される。換言すると、テンションスプリング106は、膜状部材100のテンション(張力)が小さくなるように作用する。この結果、ステップモータが巻取駆動軸103を逆回転駆動してケーブル108を巻取操作する際に、テンションスプリング106が緩む方向に巻取駆動軸103を逆回転駆動するため、テンションスプリング106は膜状部材100の操作力を減少させ、ステップモータの負荷を減少させる。
【0019】
この状態から、さらに巻取駆動軸103を逆回転駆動してケーブル108を巻取操作すれば、図5(b)に示すように、膜状部材100を含む巻取駆動軸103の見かけ上の軸径はd+t1、膜状部材100を含む巻取従動軸104の見かけ上の軸径はd+t2(t1>t2)となり、t2が徐々に大きくなりt1が徐々に小さくなるにつれてテンションスプリング106が緩む方向に巻取駆動軸103は回転駆動して、テンションスプリング106は膜状部材100を撓ませるとなく膜状部材100の操作力を徐々に減少させるが、巻取駆動軸103の軸径と巻取従動軸104の見かけ上の軸径が等しくなるにつれて、見かけ上の軸径差(t1−t2)が徐々に小さくなるため、第2のプーリー107の回転と巻取従動軸104の回転との間の回転差は徐々に小さくなり、膜状部材100を含む巻取駆動軸103の見かけ上の軸径と膜状部材100を含む巻取従動軸104の見かけ上の軸径が等しく(t1=t2)なるとテンションスプリング106は最大に緩んだ状態となる。
【0020】
この状態から、さらに巻取駆動軸103を回転駆動してケーブル108を巻取操作すれば、図5(b)に示すように、膜状部材100を含む巻取駆動軸103の見かけ上の軸径はd+t1、膜状部材100を含む巻取従動軸104の見かけ上の軸径はd+t2(t2>t1)となり、巻取駆動軸103を逆回転させてケーブル108を巻取ると、巻取駆動軸103から送り出されれる膜状部材100が巻取従動軸104に巻取られる
このとき、巻取駆動軸103が1回転すると、巻取従動軸104は約2π(d+t1)の膜状部材100を巻取る。これに伴って、第2のプーリー107は第1のプーリー105と同期して回転するため、第2のプーリー107も1回転する。一方、巻取従動軸104の約2π(d+t1)の膜状部材100の巻取り動作に伴って、巻取駆動軸103から約2π(d+t1)の膜状部材100が巻取従動軸104に送り出されることとなるが、巻取従動軸104の見かけ上の軸径は巻取駆動軸103の見かけ上の軸径よりt2−t1だけ大きいため、巻取従動軸104は1回転弱だけ回転することとなる。つまり、第2のプーリー107は1回転し、この第2のプーリー107と連結された巻取従動軸104は1回転弱だけ回転するため、第2のプーリー107の回転と巻取従動軸104の回転との間に回転差が生じ、巻取従動軸104は第2のプーリー107に対して相対的に図5(b)の反時計方向に回転することとなる。
【0021】
この第2のプーリー107の回転と巻取従動軸104の回転との間の回転差は、テンションスプリング106が正方向にねじられることにより吸収される。換言すると、テンションスプリング106は、膜状部材100のテンション(張力)が大きくなるように作用する。この結果、ステップモータが巻取駆動軸103を逆回転駆動してケーブル108を巻取操作する際に、テンションスプリング106を正方向にねじるように巻取駆動軸103を逆回転駆動するため、テンションスプリング106は膜状部材100の操作力を徐々に増大させ、ステップモータの負荷を徐々に増加させる。
【0022】
そして、ステップモータが巻取駆動軸103を逆回転駆動して、図5(a)に示すようにケーブル108を巻取駆動軸103に最大に巻取ると、テンションスプリング106が正方向にねじられる作用により膜状部材100の操作力は最大となり、ステップモータの負荷は最大になる。
【0023】
上述したように、第2のプーリー107と巻取従動軸104と間にテンションスプリング106を設けるようにすると、常に膜状部材100にある程度の張力を与えるようになる。そのため、必要以上に膜状部材100が撓むことがなくなって、膜状部材100が吹出開口部101の開口縁と圧接して吹出開口部101のシール性が確保されるようになり、膜状部材100が撓むことに起因して生じた、騒音、風漏れ、車室内温度の乱れ等の発生を防止できるようになる。
【0024】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述したようにテンションスプリング106を設けると、テンションスプリング106を設けなかった場合に生じた問題点が解決できるようになるが、膜状部材100を移動させる操作力に変動が生じる。
【0025】
即ち、図6に示すように、膜状部材100を含む巻取駆動軸103の見かけ上の軸径と膜状部材100を含む巻取従動軸104の見かけ上の軸径とが等しい(t1=t2)場合の巻取駆動軸103が膜状部材100を巻取る操作力および巻取駆動軸103から送り出された膜状部材100を巻取従動軸104が巻取る操作力を各々F0とすると、各見かけ上の軸径が等しい状態から巻取駆動軸103が膜状部材100を巻取る操作力はF0からFMAXまで増大する。一方、各見かけ上の軸径が等しい状態から巻取駆動軸103から送り出された膜状部材100を巻取従動軸104が巻取る操作力もF0からFMAXまで増大する。
【0026】
このように、各見かけ上の軸径が等しい状態から巻取駆動軸103に最大に膜状部材100を巻取るにつれてテンションスプリング106は負方向にねじられるように作用するため、最大に巻取駆動軸103が膜状部材100を巻取る状態において最大の操作力FMAXが必要となる。一方、各見かけ上の軸径が等しい状態から巻取駆動軸103から送り出された膜状部材100を巻取従動軸104が最大に巻取るにつれてテンションスプリング106は正方向にねじられるように作用するため、最大に巻取従動軸104が膜状部材100を巻取る状態において最大の操作力(この場合は、巻取駆動軸103がケーブル108を巻取る操作力)FMAXが必要となる。
【0027】
したがって、巻取駆動軸103および巻取従動軸104が膜状部材100を巻取って膜状部材100を移動できるようにするためには、最大の操作力FMAXを有するステップモータを用いる必要がある。ここで、例えば操作力がFMAXのステップモータは操作力がF0のステップモータに比べて大型になるとともに高価になるという問題を生じる。また、ステップモータが大型になると、この種の車両用空調装置も大型になるという問題を生じる。
そこで、本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、テンションスプリングの張力の状態変化を防止して、常に一定の張力が膜状部材に作用するようにすることにある。
【0028】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上課題を解決するため、空気通路をなすダクト1に形成された吹出用開口部7‐9と、前記ダクト内で前記吹出用開口部に対向するように配置された膜状部材200とを備え、前記膜状部材が前記吹出用開口部の開口縁と摺動可能に位置して前記ダクト内にて移動することにより前記吹出用開口部の開口面積が調節されるように構成した車両用空調装置において、前記ダクト1に回転自在に支持され、前記膜状部材200の一端部を固定するとともに同膜状部材を巻取ったり送り出す巻取駆動軸11と、該巻取駆動軸を正逆転駆動する駆動手段21と、前記巻取駆動軸11に設けた第1のプーリー18と、前記ダクトに回転自在に支持され、前記膜状部材200の他端部を固定するとともに前記巻取駆動軸11の前記膜状部材の送り出しに応じて同膜状部材を巻取るとともに前記巻取駆動軸の前記膜状部材の巻取りに応じて同膜状部材を送り出す巻取従動軸12と、該巻取従動軸に設けた第2のプーリー19と、前記巻取従動軸と前記第2のプーリーとの間に介在して前記膜状部材に常に張力を付与する張力付与手段24と、前記駆動手段による前記巻取駆動軸の回転に伴い回転する前記第1のプーリーの回転に略同期するように前記第2のプーリーを回転させるとともに前記張力付与手段を介して前記巻取従動軸を回転させる回転伝達手段20と、前記ダクトの一側面に配設したガイド溝28に沿って移動可能に嵌挿したプレート27を備えて、同プレートの前記ガイド溝に嵌挿されない一端部に前記回転伝達手段の中間部を巻取り可能に固定するとともに、同プレートが前記回転伝達手段の張力が増大しようとするとこの張力を減少させるように前記ガイド溝に沿って移動するように設置した軸間距離可変手段とを備えたことを特徴とする車両用空調装置を提供するものである。
【0029】
上記のように構成した車両用空調装置においては、駆動手段21によって巻取駆動軸11に膜状部材200を巻取るように回転させると、第1のプーリー18が回転するとともに、巻取駆動軸11の巻取り動作に伴い巻取従動軸12が回転して膜状部材200を送り出す。また、第1のプーリー18の回転に略同期するように第2のプーリー19も回転する。 このとき、膜状部材200を含む巻取駆動軸の見かけ上の軸径と膜状部材200を含む巻取従動軸の見かけ上の軸径が相違すると、第2のプーリー19の回転と巻取従動軸12の回転とに回転差を生じることとなるが、軸間距離可変手段27、28により回転伝達手段20の第1のプーリー18と第2のプーリー19との間の距離が変化するため、この距離変化により回転差は吸収されて、巻取従動軸12は第2のプーリー19と一体的に回転することとなり、巻取り動作に伴う膜状部材200の張力は常に一定となる。
【0030】
したがって、膜状部材200の張力は常に一定にすることが可能となって、駆動手段21による膜状部材200の巻取り動作に伴う操作力は常に一定となるため、適正の操作力を有する駆動手段21を用いることができるようになり、この種の車両用空調装置を小型、安価に製造できるようになる。
た、プレート27のガイド溝28に嵌挿されない一端部に回転伝達手段20の中間部を巻取り可能に固定するとともに、プレート27は回転伝達手段20の張力が増大しようとするとこの張力を減少させるようにガイド溝28に沿って移動するように配設しているので、巻取駆動軸11あるいは巻取従動軸12の巻取り動作時に、膜状部材200を含む巻取駆動軸11の見かけ上の軸径と膜状部材200を含む巻取従動軸12の見かけ上の軸径が相違しても、回転伝達手段20の張力が増大しようとするとプレート27は張力を減少させるようにガイド溝28に沿って移動するので、第2のプーリー19の回転と巻取従動軸12の回転とに回転差を生じることがなくなる。
【0031】
したがって、軸間距離可変手段27、28をダクトの一側面に配設したガイド溝28と、当該ガイド溝28に沿って移動可能に嵌挿されたプレート27により構成し、プレート27のガイド溝28に嵌挿されない一端部に回転伝達手段20の中間部を巻取り可能に固定するだけの簡単な構成により膜状部材200の張力は常に一定にすることが可能となって、駆動手段21による膜状部材200の巻取り動作に伴う操作力は常に一定となるため、適正の操作力を有する駆動手段21を用いることができるようになり、この種の車両用空調装置を小型、安価に製造できるようになる。
【0032】
【発明の実施の形態】
以下に、図に基づいて本発明の一実施の形態を説明する。図1は本発明の車両用空調装置の全体構成を示す概略図である。図1において、車両用空調装置は車室内に空気を導くための空気通路をなすダクト1を有している。このダクト1は、ポリプロピレン等の樹脂材にて形成されている。ダクト1の空気上流側部位には、ダクト1内に車室内に向かった空気流を発生させる送風機2が配設されている。なお、送風機2の空気上流側部位には、ダクト1内に取り入れられる空気を車室内の空気(内気)とするか、車室外の空気(外気)とするかを決定する内外気切換手段(図示しない)が配設されている。
【0033】
ダクト1内において、送風機2の空気下流側部位には、通過する空気を冷却するエバポレータ3が配設されている。このエバポレータ3は、車両に搭載された冷凍サイクル(図示しない)の冷媒蒸発器をなすものである。なお、この冷凍サイクルは、エンジンの駆動力により冷媒を圧縮することで高温高圧の気相冷媒とするコンプレッサーと、この気相冷媒を凝縮液化させるコンデンサと、この液化した冷媒を減圧膨張させる膨張弁と、この減圧させられた冷媒を蒸発させる上記エバポレータ3とを有する周知のものである。
【0034】
ダクト1内において、エバポレータ3内の空気下流側部位には、エバポレータ3にて冷却された空気を所定量加熱するヒータコア4が配設されている。このヒータコア4は、エンジン冷却水を熱源とした加熱用熱交換器である。また、ダクト1内には、エバポレータ3を通過した空気が上記ヒータコア4をバイパスするバイパス通路5が設けられている。
【0035】
このダクト1内で、ヒータコア4の空気上流側、かつバイパス通路5中には、エバポレータ3を通過した空気のうちバイパス通路5に送られる空気量と、ヒータコア4に送られる空気量との割合を調節する加熱量調節手段6が配設されている。つまり、この加熱量調節手段6にて決定される空気量割合によって、ヒータコア4及びバイパス通路5の下流側部位にて所望の空調吹出温度となるようにエアミックスされる。
【0036】
ダクト1の最下流側部位には、加熱量調節手段6によって温度調節された空調風を、車室内に吹き出させるための各開口部7、8、9が配設されている。具体的には、開口部には、乗員の上半身に向けて空調風を吹き出させるためのフェイス用開口部7と、乗員の下半身に向かって空調風を吹き出させるためのフット用開口部8と、車両のガラスの内面に向かって空気を吹き出させるためのデフロスタ用開口部9とから構成されている。
【0037】
これらの各開口部7、8、9は、吹出口切換装置10によってその開口面積を調節される。以下、この吹出口切換装置10を図2ないし図4に基づき説明する。図2は図1のA矢視図を示す。図3は吹出口切換装置10の概略斜視図を示す。図4は巻取状態を示す概略図である。この吹出口切換装置10は、巻取駆動軸11と、巻取従動軸12と、膜状部材200とから構成されている。
【0038】
巻取駆動軸11は、フェイス用開口部7の左側に配置されている。巻取駆動軸11は、その軸方向が図1中紙面上方と紙面裏側に向き、両端部がダクト1に支持され、回転自在となっている。巻取従動軸12は、フット用開口部8の右側に配置されている。巻取従動軸12は、その軸方向が図1中紙面上方と紙面裏側に向き、両端部がダクト1に支持され、回転自在となっている。
【0039】
膜状部材200は、可撓性のフィルム材にて形成されており、その外形が略長方形状を呈している。膜状部材200は、図1に示すようにフェイス用開口部7、デフロスタ用開口部9およびフット用開口部8に対向するように配置されている。膜状部材200の長手方向の両端部は、それぞれ巻取駆動軸11および巻取従動軸12に固定されている。
【0040】
そして、膜状部材200の長手方向における長さは、巻取駆動軸11と巻取従動軸12との距離より長くなっており、膜状部材200は、常時所定量巻取駆動軸11または巻取従動軸12の少なくとも一方に巻き付けられた状態となる。そして、膜状部材200は、巻取駆動軸11および巻取従動軸12が連動回転し、開口部15が移動する。具体的には、巻取駆動軸11が膜状部材200を巻取る場合は、巻取従動軸12が膜状部材200を送り出し、開口部15が図1中左方向に移動する。一方、巻取従動軸12が膜状部材200を巻取る場合は、巻取駆動軸11が膜状部材200を送り出し、開口部15が図1中右方向に移動する。なお、本実施の形態においては、膜状部材200をほぼ全域(一端側から他端側)にわたって使用することで吹出口モードの切換が可能となっている。
【0041】
また、実際には巻取駆動軸11と巻取従動軸12との間には、フェイス用開口部7、フット用開口部8およびデフロスタ用開口部9の配列に沿って、膜状部材100をくの字状に配置するために、中間シャフト13が設置されており、このシャフト13は巻取駆動軸11および巻取従動軸12に連動することになる。
【0042】
以後、説明の簡略化のためにフェイス用開口部7の開口面積を膜状部材200にて調節するものに置き換えて説明する。図2、図3および図4はこれに対応し、図2は巻取駆動軸11に最大限膜状部材200が巻きつけられた状態を表す。膜状部材200には、図1および図2に示すように吹出口モードを切り換えるための開口部15が形成されており、この開口部15を介して空調風がフェイス用開口部7に送風される。そして、膜状部材200には、所定パターンとなるように長手方向に沿って同様な開口部が形成されている。
【0043】
つまり、図1において、巻取駆動軸11および巻取従動軸12が連動回転すると、膜状部材200に形成された開口部15の位置が移動し、所望の吹出モードが選択される。たとえば、フェイスモード(フェイス用開口部7だけに空調風を送る吹出モード)においては、開口部15がフェイス用開口部7とラップするように配置される。一方、フット用開口部8およびデフロスタ用開口部9は、膜状部材200の開口部15が形成されていない部分にて塞がれる。
【0044】
ここで、単に開口したい吹出用開口部に、膜状部材200の開口部15を対向配置し、閉塞したい吹出用開口部に、膜状部材100の開口部が形成されていない部分を対向配置するだけでは、シール性を確保する事ができない。そこで、膜状部材200は、風圧によって撓むように構成されており、風圧によって膜状部材200が図1中上方に膨らみ、フェイス用開口部7の開口縁と圧接することでシール性が確保される。
【0045】
このような巻取駆動軸11および巻取従動軸12には、膜状部材200を移動させるための駆動装置17が連結されており、以下にこの駆動装置の説明をする。駆動装置17は、巻取駆動軸11および巻取従動軸12の軸方向一端側(図2および図3参照)に連結されており、第1、第2のプーリー18、19と、これら第1、第2のプーリー18、19を連結するケーブル20と、第1のプーリー18を駆動する駆動手段21(図2参照)とからなる。
【0046】
第1のプーリー18は、図3に示すように、リール状を呈しており、軸方向の一端側には嵌合部22が一体的に形成されている。第1のプーリー18と巻取駆動軸11とはこの嵌合部22が巻取駆動軸11の一端側に形成された嵌合穴23に嵌合される。そして、嵌合部22の形状が嵌合穴23に対して回り止め形状を呈していることから、第1のプーリー18と巻取駆動軸11とは一体的に回転する。
【0047】
第2のプーリー19も、第1のプーリー18とほぼ同様にリール状を呈しているが、軸方向の一端側には嵌合部24を有する図示しない結合シャフトとテンションスプリング26を介して接続されている。結合シャフトと巻取従動軸12とはこの嵌合部24が巻取従動軸12の一端側に形成された嵌合穴25に嵌合される。そして、嵌合部24の形状が嵌合穴25に対して回り止め形状を呈していることから、第2のプーリー19と巻取従動軸12とは連動的に回転する。
【0048】
そして、第2のプーリー19が第1のプーリー18と異なる点は、図2に示すように、第2のプーリー19と巻取従動軸12の間には、ばね部材であるテンションスプリング26が介在されている。このテンションスプリング26は、膜状部材200に張力を付与するためのものであり、一端側が第2のプーリー19に固定され、他端側が巻取従動軸12に固定されている。これにより、膜状部材200がどのような巻取り状態においてもテンションスプリング26によって膜状部材200に張力が与えられることとなる。
【0049】
ケーブル20は、両端部がそれぞれ第1、第2のプーリー18、19に固定され、膜状部材200の移動範囲に対応して第1、第2のプーリー18、19に所定量巻き付けられている。そして、このケーブル20によって、第2のプーリー19は第1のプーリー18の回転にほぼ同期して回転するようになっている。
なお、ケーブル20が第1のプーリー18あるいは第2のプーリー19に最大に巻き込まれた状態にあっても第1のプーリー18および第2のプーリー19の各巻取り径が等しくなるように第1のプーリー18および第2のプーリー19の各リール状の巻取面は広く形成されている。
【0050】
ここで、図4に示すように、ケーブル20の中間部はプレート27の一端部に巻取り可能に固定されている。また、このプレート27の他端部はダクト1の側壁に配設された略円弧状のガイド溝28に移動可能に嵌挿されている。そして、このプレート27はケーブル20の張力が増大しようとするとこの張力を減少させるようにガイド溝28に沿って移動するため、膜状部材200が巻取駆動軸11および巻取従動軸12に最大に巻取られた状態において、ガイド溝28の両端部に位置するように配設している。
【0051】
駆動手段21は、例えばステップモータ21にて構成されている。このステップモータ21は、第1のプーリー18の嵌合部23とは反対側の端面に連結されている。そして、ステップモータ21が所定のステップ駆動することで、第1のプーリー18が回転し、これに伴ってケーブル20を介して第2のプーリー19が第1のプーリー18の回転に同期して回転することとなる。
【0052】
なお、加熱量調節手段6(図1参照)も、上述の吹出口切換装置10とほぼ同様な構成をしており、詳しい説明は省略するが、簡単に説明すると、膜状部材300に形成された開口部の開口面積によってヒータコア4に送られる空気量とバイパス通路5に送られる空気量とが調節されることで、所望の空調風温度が得られる。
【0053】
次に、上述の吹出口切換装置10の動作を図3、図4に基づいて説明する。
まず、巻取駆動軸11には膜状部材200は最小に巻取られた状態にあり、巻取従動軸12には膜状部材200は最大に巻取られた状態にあって、このときのプレート27は図4(a)に示すように、ガイド溝28の左端部に位置しており、この状態から巻取駆動軸11が巻取り動作を開始するものとする。なお、この状態の膜状部材200を含む巻取駆動軸11の見かけ上の軸径はd、膜状部材200を含む巻取従動軸12の見かけ上の軸径はd+tMAXとする。
【0054】
ここで、ステップモータ21を駆動して巻取駆動軸11を正方向(図の実線矢印方向)に回転(以下、正回転という)させて膜状部材200を巻取ると、この巻取り動作に伴い第1のプーリー18も正回転して第1のプーリー18に巻き込まれたケーブル20(なお、図4(a)の状態の場合にはケーブル20は第1のプーリー18に最大に巻き込まれている)を送り出す。すると、巻取駆動軸11の巻取動作に伴い巻取従動軸12は正回転して、巻取従動軸12から膜状部材200が巻取駆動軸11に送り出されるとともに、第2のプーリー19も正回転して、第1のプーリー18から送り出されたケーブル20を巻取る。
【0055】
このとき、巻取駆動軸11が1回転すると、巻取駆動軸11は約2πdの膜状部材200を巻取る。これに伴って、第2のプーリー19は第1のプーリー18と同期して回転するため、第2のプーリー19も1回転しようとする。一方、巻取駆動軸11の約2πdの膜状部材200の巻取り動作に伴って、巻取従動軸12から約2πdの膜状部材200が巻取駆動軸11に送り出されることとなるが、巻取従動軸12の見かけ上の軸径は巻取駆動軸11の見かけ上の軸径よりtMAXだけ大きいため、巻取従動軸12は1回転弱だけ回転することとなる。つまり、第2のプーリー19が1回転し、この第2のプーリー19と連結された巻取従動軸12が1回転弱だけ回転すると、第2のプーリー19の回転と巻取従動軸12の回転との間に回転差が生じることとなる。
【0056】
しかしながら、ケーブル20はガイド溝28に沿って移動可能に嵌挿されたプレート27に固定されているため、ケーブル20の移動に伴い、プレート27が右下方に移動してケーブル20の見かけ上の長さが長くなることによりこの回転差が吸収される。即ち、第2のプーリー19も1回転弱だけ回転することとなる。このように、プレート27はケーブル20の見かけ上の長さを長くするように作用するため、テンションスプリング26による膜状部材200のテンション(張力)は常に一定になるように作用し、ステップモータ21が巻取駆動軸11を正回転させて膜状部材200を巻取操作してもステップモータ21の負荷は一定となる。
【0057】
この状態から、さらに巻取駆動軸11を回転駆動して膜状部材200を巻取操作すれば、図4(b)に示すように、膜状部材200を含む巻取駆動軸11の見かけ上の軸径はd+t1、膜状部材200を含む巻取従動軸12の見かけ上の軸径はd+t2(t2>t1)となり、t1が徐々に大きくなりt2が徐々に小さくなるにつれて、プレート27はさらに右下方に移動してケーブル20の見かけ上の長さをさらに長くするように作用するため、テンションスプリング26は膜状部材200を撓ませるとなく膜状部材200の操作力は常に一定となる。
【0058】
そして、巻取駆動軸11の見かけ上の軸径と巻取従動軸12の見かけ上の軸径が等しくなるにつれて、見かけ上の軸径差(t2−t1)が徐々に小さくなるため、第2のプーリー19の回転と巻取従動軸12の回転との間の回転差は徐々に小さくなり、膜状部材200を含む巻取駆動軸11の見かけ上の軸径と膜状部材200を含む巻取従動軸12の見かけ上の軸径が等しく(t1=t2)なるとプレート27はさらに最下方に移動してケーブル20の見かけ上の長さは最大となる。
【0059】
この状態から、さらに巻取駆動軸11を回転駆動して膜状部材200を巻取操作すると、今度は膜状部材200を含む巻取駆動軸11の見かけ上の軸径は、膜状部材200を含む巻取従動軸12の見かけ上の軸径より大きく(t1>t2)なる。このとき、巻取駆動軸11が1回転すると、巻取駆動軸11は約2π(d+t1)の膜状部材200を巻取る。これに伴って、第2のプーリー19は第1のプーリー18と同期して回転するため、第2のプーリー19も1回転しようとする。
【0060】
一方、巻取駆動軸11の約2π(d+t1)の膜状部材200の巻取り動作に伴って、巻取従動軸12から約2π(d+t1)の膜状部材200が巻取駆動軸11に送り出されることとなるが、巻取従動軸12の軸径は巻取駆動軸11の軸径より(t1−t2)だけ小さいため、巻取従動軸12は1回転強だけ回転することとなる。つまり、第2のプーリー19が1回転し、この第2のプーリー19と連結された巻取従動軸12は1回転強だけ回転すると、第2のプーリー19の回転と巻取従動軸12の回転との間に回転差が生じることとなる。
【0061】
しかしながら、上述したように、ケーブル20はガイド溝28に沿って移動可能に嵌挿されたプレート27に巻取り可能に巻き付けられているため、この第2のプーリー19の回転と巻取従動軸12の回転との間に回転差が生じると、ケーブル20の張力が大きくなるので、この張力の増大に伴いケーブル20はプレート27を上方に引っ張るように作用する。これにより、今度はプレート27は右上方に移動してケーブル20の見かけ上の長さが短くなることによりこの回転差が吸収される。即ち、第2のプーリー19も1回転強だけ回転することとなる。このように、プレート27はケーブル20の見かけ上の長さを短くなるように作用するため、テンションスプリング26による膜状部材200のテンション(張力)は常に一定になるように作用し、ステップモータ21が巻取駆動軸11を回転駆動して膜状部材200を巻取操作しても、テンションスプリング26は負方向にねじることなく、ステップモータ21の負荷は常に一定となる。
【0062】
そして、ステップモータ21が巻取駆動軸11をさらに正回転駆動して、図4(c)に示すように膜状部材200を巻取駆動軸11に最大に巻取ると、プレート27はケーブル20の見かけ上の長さをさらに短くなるように作用して、プレート27はガイド溝28の右端部に位置するように移動するが、テンションスプリング26による膜状部材200の張力は常に一定になるように作用するため、ステップモータ21が巻取駆動軸11を回転駆動して膜状部材200を巻取操作しても、テンションスプリング26は負方向にねじることなく、ステップモータ21の負荷は常に一定となる。
【0063】
一方、この膜状部材200の巻取駆動軸11の最大の巻取り状態から巻取従動軸12へ膜状部材200を送り出し、図4(c)の状態から図4(b)の状態をへて図4(a)の状態へ巻取従動軸12が膜状部材200を巻取る場合、まず、ステップモータ21を今までとは逆方向(図の点線矢印方向)に駆動させて巻取駆動軸11を逆方向に回転(以下、逆回転という)させて、第1のプーリー18を逆回転させると、第2のプーリー19に最大に巻取られたケーブル20を第1のプーリー18は巻取る。すると、巻取駆動軸11に最大に巻取られた膜状部材200は巻取従動軸12へ送り出され、巻取従動軸12は膜状部材200を巻取る。
【0064】
この第1のプーリー18のケーブル20の巻取動作に伴い第2のプーリー19も第1のプーリー18と同期して逆回転する。このとき、巻取従動軸12が1回転すると、巻取駆動軸11は約2πdの膜状部材200を送り出し、この巻取駆動軸11からの約2πdの膜状部材200の送り出し動作に伴って、巻取従動軸12は約2πdの膜状部材200を巻取ることとなるが、巻取駆動軸11の見かけ上の軸径は巻取従動軸12の見かけ上の軸径よりtMAXだけ大きいため、巻取駆動軸11は1回転弱だけ回転することとなる。つまり、第1のプーリー18が1回転弱だけ回転し、この第1のプーリー18と連結された第2のプーリー19が1回転弱だけ回転すると、第2のプーリー19の回転と巻取従動軸12の回転との間に回転差が生じることとなる。
【0065】
しかしながら、上述したように、ケーブル20はガイド溝28に沿って移動可能に嵌挿されたプレート27に巻取り可能に固定されているため、この第2のプーリー19の回転と巻取従動軸12の回転との間の回転差が生じると、ケーブル20の張力が大きくなるので、この張力の増大に伴ないケーブル20はプレート27を下方に引っ張るように作用する。これにより、プレート27は左下方に移動してケーブル20の見かけ上の長さを長くすることによりこの回転差が吸収される。即ち、第2のプーリーも1回転だけ回転することとなる。このように、プレート27はケーブル20の見かけ上の長さを長くするように作用するため、テンションスプリング26による膜状部材200の張力は常に一定になるように作用し、ステップモータ21が巻取駆動軸11を逆回転駆動してケーブル20を巻取操作してもステップモータ21の負荷は一定となる。
【0066】
この状態から、さらに巻取駆動軸11を逆回転駆動してケーブル20を巻取操作すれば、図4(b)に示すように、膜状部材200を含む巻取駆動軸11の見かけ上の軸径はd+t1、膜状部材200を含む巻取従動軸12の見かけ上の軸径はd+t2(t1>t2)となり、t2が徐々に大きくなりt1が徐々に小さくなるにつれて、プレート27はさらに左下方に移動してケーブル20の見かけ上の長さをさらに長くするように作用するため、テンションスプリング26は膜状部材200を撓ませるとなく膜状部材200の操作力は常に一定となる。
【0067】
そして、巻取駆動軸11の軸径と巻取従動軸12の見かけ上の軸径が等しくなるにつれて、見かけ上の軸径差(t1−t2)が徐々に小さくなるため、第2のプーリー19の回転と巻取従動軸12の回転との間の回転差は徐々に小さくなり、膜状部材200を含む巻取駆動軸11の見かけ上の軸径と膜状部材200を含む巻取従動軸12の見かけ上の軸径が等しく(t1=t2)なるとプレート27はさらに下方に移動してケーブル20の長さは最大となる。
【0068】
この状態から、さらに巻取駆動軸11を回転駆動してケーブル20を巻取操作すると、今度は、膜状部材200を含む巻取駆動軸11の見かけ上の軸径はd+t1、膜状部材200を含む巻取従動軸12の見かけ上の軸径はd+t2(t2>t1)となる。このとき、巻取駆動軸11が1回転すると、巻取従動軸12は約2π(d+t1)の膜状部材200を巻取る。これに伴って、第2のプーリー19は第1のプーリー18と同期して回転するため、第2のプーリー19も1回転しようとする。
【0069】
一方、巻取従動軸12の約2π(d+t1)の膜状部材200の巻取り動作に伴って、巻取駆動軸11から約2π(d+t1)の膜状部材200が巻取従動軸12に送り出されることとなるが、巻取従動軸12の見かけ上の軸径は巻取駆動軸11の見かけ上の軸径よりt2−t1だけ大きいため、巻取従動軸12は1回転弱だけ回転することとなる。つまり、第2のプーリー19が1回転し、この第2のプーリー19と連結された巻取従動軸12が1回転弱だけ回転すると、第2のプーリー19の回転と巻取従動軸12の回転との間に回転差が生じこととなる。
【0070】
しかしながら、上述したように、ケーブル20はガイド溝28に沿って移動可能に嵌挿されたプレート27に巻取り可能に固定されているため、この第2のプーリー19の回転と巻取従動軸12の回転との間の回転差が生じると、ケーブル20の張力が大きくなるので、この張力の増大に伴いケーブル20はプレート27を上方に引っ張るように作用する。これにより、今度は、プレート27は左上方に移動してケーブル20の見かけ上の長さが短くなるように作用するため、テンションスプリング26による膜状部材200の張力は常に一定になるように作用し、ステップモータ21が巻取駆動軸11を逆回転駆動してケーブル20を巻取操作しても、テンションスプリング26は正方向にねじられることなく、ステップモータ21の負荷は常に一定となる。
【0071】
そして、ステップモータ21が巻取駆動軸11を逆回転駆動して、図4(a)に示すようにケーブル20を巻取駆動軸11に最大に巻取ると、プレート27はケーブル20の見かけ上の長さをさらに短くなるように作用して、プレート27はガイド溝28の左端部に位置するように移動するが、テンションスプリング26による膜状部材200の張力は常に一定になるように作用するため、ステップモータ21の負荷は常に一定になる。
【0072】
上述したように、本発明の実施の形態においては、駆動手段21による巻取駆動軸11の回転に伴い回転する第1のプーリー18と、この第1のプーリー18の回転に略同期するように回転してテンションスプリング26を介して巻取従動軸12を回転させる第2のプーリー19との間にケーブル20を備えている。また、第1のプーリー18と第2のプーリー19との間のケーブル20の中間部をプレート27のガイド溝28に嵌挿されない一端部に巻取り可能に固定するとともに、プレート27はケーブル20の張力が増大しようとするとこの張力を減少させるようにガイド溝28に沿って移動するように配設している。
【0073】
これにより、巻取駆動軸11あるいは巻取従動軸12の巻取り動作時に、膜状部材200を含む巻取駆動軸11の見かけ上の軸径と膜状部材200を含む巻取従動軸12の見かけ上の軸径が相違しても、ケーブル20の張力が増大しようとするとプレート27は張力を減少させるようにガイド溝28に沿って移動するので、第2のプーリー19の回転と巻取従動軸12の回転とに回転差を生じることがなくなる。
【0074】
したがって、ダクト1の一側面に配設したガイド溝28と、当該ガイド溝28に沿って移動可能に嵌挿されたプレート27を設け、プレート27のガイド溝28に嵌挿されない一端部にケーブル20の中間部を巻取り可能に固定するだけの簡単な構成により膜状部材200の張力は常に一定にすることが可能となって、駆動手段による膜状部材200の巻取り動作に伴う操作力は常に一定となるため、適正の操作力を有する駆動手段を用いることができるようになり、この種の車両用空調装置を小型、安価に製造できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の車両用空調装置の全体構成を示す概略図である。
【図2】 図1のA矢視図である。
【図3】 本発明の吹出口切換装置の概略を示す斜視図である。
【図4】 本発明の吹出口切換装置の駆動装置の巻取り状態を示す図である。
【図5】 従来の吹出口切換装置の膜上部材の巻取り状態を示す図である。
【図6】 図5の巻取り状態と操作力の関係を示す図である。
【符号の説明】
1…ダクト、2…送風機、7〜9…吹出用開口部、11…巻取駆動軸、12…巻取従動軸、18…第1のプーリー、19…第2のプーリー、20…ケーブル(回転伝達手段)、21…ステップモータ(駆動手段)、24…テンションスプリング(張力付与手段)、27…プレート(軸間距離可変手段)、28…ガイド溝(軸間距離可変手段)、200、300…膜状部材

Claims (3)

  1. 空気通路をなすダクトに形成された吹出用開口部と、前記ダクト内で前記吹出用開口部に対向するように配置された膜状部材とを備え、
    前記膜状部材が前記吹出用開口部の開口縁と摺動可能に位置して前記ダクト内にて移動することにより前記吹出用開口部の開口面積調節されるように構成した車両用空調装置において
    前記ダクトに回転自在に支持され、前記膜状部材の一端部を固定するとともに膜状部材を巻取ったり送り出す巻取駆動軸と、
    巻取駆動軸を正逆転駆動する駆動手段と、
    前記巻取駆動軸に設けた第1のプーリーと、
    前記ダクトに回転自在に支持され、前記膜状部材の他端部を固定するとともに前記巻取駆動軸の前記膜状部材の送り出しに応じて膜状部材を巻取るとともに前記巻取駆動軸の前記膜状部材の巻取りに応じて膜状部材を送り出す巻取従動軸と、
    巻取従動軸に設けた第2のプーリーと、
    前記巻取従動軸と前記第2のプーリーとの間に介在して前記膜状部材に常に張力を付与する張力付与手段と、
    前記駆動手段による前記巻取駆動軸の回転に伴い回転する前記第1のプーリーの回転に略同期するように前記第2のプーリーを回転させるとともに前記張力付与手段を介して前記巻取従動軸を回転させる回転伝達手段と、
    前記ダクトの一側面に配設したガイド溝に沿って移動可能に嵌挿したプレートを備えて、同プレートの前記ガイド溝に嵌挿されない一端部に前記回転伝達手段の中間部を巻取り可能に固定するとともに、同プレートが前記回転伝達手段の張力が増大しようとするとこの張力を減少させるように前記ガイド溝に沿って移動するように設置した軸間距離可変手段とを備えたことを特徴とする車両用空調装置。
  2. 前記張力付与手段がその一端側を前記巻取従動軸に固定し、他端側を前記第1のプーリーに固定したばね部材であることを特徴とする請求項1に記載の車両用空調装置。
  3. 前記回転伝達手段がケーブル部材によって構成されていることを特徴とする請求項 1 又は 2 に記載の車両用空調装置。
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