JP3653319B2 - 発泡粒子、その型内成形体、該成形体と熱硬化性樹脂との積層体、及び該積層体の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリオレフィン系樹脂に、スチレン−ジエン共重合体及び脂肪族ポリエステルからなる高分子流動化剤を配合した混合樹脂の架橋粒子からなる発泡粒子、その型内成形体、該成形体と熱硬化性樹脂との積層体、及び該積層体の製造方法に関する。
【0002】
【従来技術】
ポリオレフィン樹脂の単体による発泡体は、該樹脂の有する表面濡れ性等の低さから、繊維強化熱硬化性樹脂との接着性に劣る。この問題を解決するために、ポリオレフィン樹脂にスチレンモノマー等をグラフト重合した架橋発泡粒子からなる型内発泡成形体が提案されている。確かにこの様な発泡成形体は繊維強化された熱硬化性樹脂との接着性に優れたものであった。
しかしながら、この様な発泡成形体の製造工程は、▲1▼ポリオレフィン樹脂のペレタイズ(発泡に適した大きさにする)工程、▲2▼樹脂ペレットの架橋工程、▲3▼樹脂ペレットへのスチレンモノマー等によるグラフト重合工程、▲4▼発泡粒子製造工程、及び▲5▼型内発泡成形体製造工程からなり、ペレタイズ後、グラフト重合工程が必要であった。このため、その様な発泡成形体は、必然的にコストの高いものであった。
【0003】
そこで、本発明者等は、市場に安価な型内発泡成形体を提供すること目的として、ポリオレフィン樹脂に、無水マレイン酸変性ポリオレフィン樹脂を配合した発泡粒子からなるものをすでに提案した。その様な発泡成形体は、上記変性剤の含有量に応じて繊維強化熱硬化性樹脂との接着性が向上されるという関係にある。
しかしながら、発泡成形体に対して繊維強化熱硬化性樹脂を強固に接着させる場合には、上記変性剤の含有量を多量にしなければならないが、その含有量が高められた発泡粒子を使用して型内成形すると成形金型に成形体が付着しやすくなり、金型からの離型そのものが困難となったり、離型できても金型内に成形体の一部又は多くが付着して取り残されてしまうといった不具合があった。一方、そのような不具合の発生しない低変性剤含有量の型内成形体では、その表皮部においては、繊維強化熱硬化性樹脂との強固な接着性が発揮されない。そのため、成形体表皮を剥ぎ落としてその接着性を高める手段が採用されていた。しかしながら、型内成形の最たる利点は異形の成形体を提供できる点にあるが、異形成形体の場合には、成形体表皮を剥ぎ落とした形で提供することが困難であり、その解決が切望されていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前記従来技術に鑑みてなされたものであり、ペレタイズ後にグラフト工程を必要とせず、且つ表皮部において繊維強化熱硬化性樹脂との接着強度に優れた型内成形体を提供することを目的とする。また、本発明は、該型内成形体を製造するに適した発泡粒子、該型内成形体と繊維強化熱硬化性樹脂との積層体及び該積層体の製造方法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は前記課題を解決するために鋭意研究した結果、ポリオレフィン系樹脂に、特定の、ポリマー及び流動化剤を混合して得た架橋発泡粒子からなる型内成形体が、その表皮部においても繊維強化熱硬化性樹脂との接着強度に優れていることを見い出し、本発明を完成するに至った。
【0006】
即ち、本発明によれば、ポリオレフィン系樹脂(A)に、スチレン−ジエン共重合体(B)及び脂肪族ポリエステルからなる高分子流動化剤(C)を配合した混合樹脂の発泡粒子であって、煮沸トルエン中で5時間還流後の不溶解成分が3〜70重量%であることを特徴とする発泡粒子が提供され、特に、前記ポリオレフィン系樹脂(A)がポリプロピレン系樹脂であること、或いは、前記スチレン−ジエン共重合体が、ハイインパクトポリスチレンであることをそれぞれ特徴とする前記発泡粒子が提供され、また、前記ポリオレフィン系樹脂(A)と前記スチレン−ジエン共重合体(B)と上記高分子流動化剤(C)との混合比率が、(A)成分と(B)成分と(C)成分の総和を100重量%とした場合、(A)成分が50重量%以上、(B)成分が5〜49重量%、(C)成分が1〜15重量%であることを特徴とする前記発泡粒子が提供される。また、本発明によれば、前記発泡粒子を型内で成形してなる型内成形体が提供される。更に、本発明によれば、前記型内成形体と繊維強化熱硬化性樹脂との積層体が提供され、特に、前記繊維強化熱硬化性樹脂がガラス繊維強化不飽和ポリエステルである前記積層体が提供される。更にまた、本発明によれば前記型内成形体の表面に、繊維を配すると共に、液状の熱硬化性樹脂を接触させながら該樹脂を反応硬化させることを特徴とする前記積層体の製造方法が提供され、特に、前記型内成形体の表面に、ガラス繊維を配すると共に、液状の不飽和ポリエステル樹脂を接触させながら該樹脂を反応硬化させることを特徴とする前記積層体の製造方法が提供される。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明におけるポリオレフィン系樹脂(A)の具体例としては、プロピレン単独重合体、プロピレン−エチレンランダム共重合体、プロピレン−エチレンブロック共重合体、プロピレン−ブテンランダム共重合体、プロピレン−ブテンブロック共重合体、プロピレン−エチレン−ブテンランダム共重合体等のプロピレン系(共)重合体、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、エチレンとα−オレフィン(炭素数4以上)の共重合体である直鎖状低密度ポリエチレン等のエチレン系(共)重合体、ポリブテン単独重合体、または上記(共)重合体の無水マレイン酸モノマーやアクリル酸系モノマーに基くグラフト共重合体等が挙げられ、これらの(共)重合体のうち1または2以上を組み合わせて使用することができる。更に、上記した(共)重合体にエチレン−プロピレン系ゴム、エチレン−プロピレン−ジエン系ゴム等のゴムを混合して使用してもかまわない。これらの樹脂であればどのような組み合わせであっても良好な発泡体を製造することが可能であるが、特にポリプロピレン(共)重合体が耐熱性及び機械的強度に優れる点で好ましく、更にその中でもプロピレン−オレフィンランダム共重合体が発泡性が良好である点で好適である。
【0008】
本発明におけるスチレン−ジエン共重合体(B)としては、(1)スチレン−ジエンランダム共重合体、(2)スチレン−ジエンブロック共重合体、及び(3)スチレン−ジエングラフト共重合体が挙げられ、これらのうちから選ばれた1または2以上の共重合体が使用される。このようなスチレン−ジエン共重合体中のジエンの比率が5〜80重量%であれば本発明の目的に合致する良好な発泡粒子及びその成形体が得られるが、更に好ましくは10〜60重量%がよい。また、スチレン−ジエン共重合体のジエンについてはその共重合体中のジエン部分にビニル基に相当する官能基を導入しうるものであればどのようなものでもかまわないが、例えば、1,2−ブタジエン、1,4−ブタジエン、イソプレン等が好適である。
本発明で用いるスチレン−ジエン共重合体の具体例としては、スチレン−ブタジエンランダム共重合体、スチレン−ブタジエンブロック共重合体、ハイインパクトポリスチレン等が挙げられる。
特に、この中でもハイインパクトポリスチレンは、ポリオレフィン系樹脂と混合して架橋する場合、その架橋効率を高めると共に、ポリオレフィン系樹脂(特にポリプロピレン系樹脂)の主鎖の分解を抑えることができ、この点で最も望ましい。
【0009】
本発明における脂肪族ポリエステルからなる高分子流動化剤(C)は、スチレン−ジエン共重合体(B)の溶融混練時における流動性を高めるために配合される化合物であり、その具体例としては、ポリカプロラクトン、ポリエチレンアジペート等の脂肪族ポリエステルが挙げられ、これらは1種又は2種以上の混合物として配合される。脂肪族ポリエステルは、スチレン−ジエン共重合体(B)の前記流動性の向上効果に優れる。また、脂肪族ポリエステルの中でも、数平均分子量が5000〜70000、特に10000〜50000のものは、前記流動性の向上効果を一層高めることができるので特に好ましく使用される。
【0010】
本発明の発泡粒子は、前記ポリオレフィン系樹脂(A)、前記スチレン−ジエン共重合体(B)及び上記高分子流動化剤(C)とからなる溶融混合樹脂を基材とするものであるが、(A)成分、(B)成分、(C)成分の総和を100重量%とした場合、ポリオレフィン系樹脂(A)が50重量%以上、スチレン−ジエン共重合体(B)が5〜49重量%及び高分子流動化剤(C)が1〜15重量%配合されているのが好ましい。(A)成分の配合量が50重量%未満の場合又は(B)成分の配合量が49重量%より多い場合は、得られる発泡粒子からなる型内成形体は、繊維強化熱硬化性樹脂との積層接着の際に、積層部における型内成形体の表面が溶解して大きく収縮しやすくなるので好ましくない。また、(B)成分の配合量が5重量%未満では、得られる型内成形体と繊維強化熱硬化性樹脂との接着性の改良効果が不充分となりやすい。この接着性のより大きな向上を目的とする場合は、スチレン−ジエン共重合体の上記配合量は20重量%以上が望ましい。また、上記高分子流動化剤(C)成分の配合量が1重量%未満では、前記流動化作用が十分発揮されにくくなり、後記する本発明の発泡粒子を得ることができない。また15重量%より多いと、型内成形体の機械的強度の低下が大きくなるため好ましくない。
【0011】
本発明の発泡粒子を得るためには、第一段階として、ポリオレフィン系樹脂(A)に、スチレン−ジエン共重合体(B)及び脂肪族ポリエステルからなる高分子流動化剤(C)を配合し、溶融混練し、次いでペレット化して混合樹脂粒子(以下、単に「混合樹脂粒子」ということもある。)を形成させるが、該粒子(ペレット)の大きさは、発泡するのに支障のない大きさであればよく、好ましくは1個の粒子(ペレット)重量は、0.1〜20mgを満たしていればよい。このような混合樹脂粒子を得る方法については特に規定するものではなく、混合樹脂粒子を得る方法としては、押出機を用いて溶融混練した後に押出機先端に取付けた微小穴を有する口金より糸状に押出し、引取機を備えた切断機で適宜大きさに切断し粒子化する方法、及び、ニーダー、ミキサー等と称される樹脂混練機により混練し、粉砕機により粉砕し粒子化する方法等がある。
【0012】
本発明においては、ポリオレフィン系樹脂(A)にスチレン−ジエン共重合体(B)と上記高分子流動化剤(C)を配合した混合樹脂粒子は、次いで架橋させた後発泡させて架橋発泡粒子とする。このような架橋発泡粒子からは、繊維強化熱硬化性樹脂との高接着性に優れた型内発泡成形体が得られる。本発明の型内成形体がその表皮部においても、繊維強化熱硬化性樹脂との接着性に優れる理由は、(A)成分と(B)成分とを溶融混練する際に、同時に上記高分子流動化剤(C)が存在することにより、スチレン−ジエン共重合体(B)成分の流動性が高まりその結果、繊維強化熱硬化性樹脂との接着性に優れる(B)成分が、混合樹脂粒子の外側、つまり表面側へより多く移動してその表面に露出する割合が高まり、そして、そのような混合樹脂粒子から得られる発泡粒子も更にはその型内成形体も、その製造過程で溶融混練されることがないので、その混合樹脂粒子の特性が引き継がれるからであると考えられる。例えば発泡粒子を製造するに適した市販のプロピレン−エチレンランダム共重合体のメルトフローレート:MFR(JIS
K7210の条件8)は、通常10g/10分以上であり、一方、市販のハイインパクトポリスチレンのMFR(JIS K7210の条件8)は、通常1〜8g/10分であるがこれらを単に溶融混練して得た混合樹脂からなる発泡粒子では、発泡粒子表面部におけるハイインパクトポリスチレンの比率を充分高めることができないが、両成分に更に上記高分子流動化剤(C)を配合して溶融混練して得た混合樹脂からなる発泡粒子では、発泡粒子表面部におけるハイインパクトポリスチレンの比率を充分高めることが可能となる。(C)成分を含有しない発泡粒子に対する(C)成分を含有する発泡粒子の表面部におけるスチレン−ジエン共重合体(B)比率の向上は、各発泡粒子の内部と表皮部の示差走査熱分析による重量当たりの融解熱量の絶対値の差を比較する(測定方法等については後記の表3の欄外に示す。)ことによって確認することができる。尚、この融解熱量はポリオレフィン系樹脂(A)の存在量を示す指標となるが、その絶対値が小さい程その存在量が少ないということ、すなわち(B)成分の存在量が多いということを示している。本発明の発泡粒子では、上記した、その内部における融解熱量の絶対値と表皮部における融解熱量の絶対値の差は3ジュール/g以上、好ましくは4ジュール/g以上、より好ましくは4.5ジュール/g以上、更に望ましくは5ジュール/g以上である。この差が大きいほど、その型内成形体の表皮部と繊維強化熱硬化性樹脂との高接着強度が容易に実現可能となる。尚、表皮部において(B)成分の比率がより高められた発泡粒子を効率良く安定して製造するためには、(B)成分と(C)成分とを先行して溶融混練した後、これに(A)成分を配合して更に溶融混練して得た混合樹脂粒子を使用することが重要である。このように混合樹脂粒子を得る方法としては、(B)成分と(C)成分とを溶融混練して一旦ペレット化してから、このペレットと(A)成分とを溶融混練して粒子化する方法、或いは(B)成分と(C)成分とを先行して溶融混練し、それからその溶融状態の混練物に(A)成分を添加して更に溶融混練して粒子化する方法等が挙げられる。このように(B)成分と(C)成分とを先行して溶融混練しておけば、(B)成分の前記流動性を確実に向上させることができる。(B)成分と(C)成分との溶融混練物又はそのペレットと、(A)成分とを溶融混練するに当たっては、使用される(A)成分の前記MFR(MFRAと略す。)に対する(B)成分と(C)成分との溶融混練物又はそのペレットの前記MFR(MFRBと略す。)比(MFRB/MFRA)が0.85以上好ましくは1.00以上、望ましくは1.10以上となるように、(B)成分と(C)成分の種類、その配合量、その溶融混練度合い、及び使用される(A)成分の種類等を考慮することが望まれる。尚、上記MFRB/MFRA比が大きい程、前記融解熱量差を大きくすることができ、その結果、それから製造される型内成形体は繊維強化熱硬化性樹脂との接着性により優れたものとなる。
【0013】
本発明において、架橋された混合樹脂粒子を発泡させた発泡粒子を、煮沸キシレン溶媒中で5時間還流させた場合、不溶解成分が3〜70重量%であることが必要である。
この不溶解成分は、発泡粒子の架橋度を示す指標となり、その数値が大きいほど架橋度が大きいということを意味する。
該発泡粒子の該不溶解成分が上記範囲のものでない場合は、混合樹脂粒子を架橋させ、架橋の度合いを調整することにより、上記範囲のものにすることができる。
該不溶解成分が3重量%より少ないと、その様な発泡粒子からなる型内成形体の表面に、液状の熱硬化性樹脂を接触させつつ反応硬化させようとすると、該成形体の接触表面が溶解して大きく収縮しやすいので好ましくない。その様な収縮量低減の観点からすると、該不溶解成分は15重量%以上が望ましい。
また該不溶解成分が70重量%より多いと、その様な混合樹脂粒子からでは、高発泡倍率の発泡粒子が得られにくいばかりか、その様な発泡粒子は、型内成形時の二次発泡性に劣り、発泡粒子間の空隙を十分に埋めることができず、得られる成形体はおこし状となってしまい、好ましくない。
【0014】
混合樹脂粒子の架橋方法としては、密閉容器に混合樹脂粒子と水性媒体と過酸化物などの架橋剤等とを配合し、架橋剤を混合樹脂粒子中に含浸させた後、架橋剤の分解温度に昇温させることによって架橋混合樹脂粒子を得る方法等がある。この場合、架橋剤としては、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、ジクミルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、n−ブチル−4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)バレード、α,α´−ビス(t−ブチルパーオキシ)−m−ジイソプロピルベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、ベンゾイルパーオキサイド、m−トルオイルパーオキサイド、t−ヘキシルパーオキシ−2−エチルヘキサネート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルへキサネート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、1−シクロヘキシル−1−メチレシルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート等が挙げられる。
また上記架橋方法以外の例としては、混合樹脂粒子に放射線を照射させる方法等が挙げられる。
【0015】
架橋された混合樹脂粒子(以下、「架橋混合樹脂粒子」ということもある。)を得る場合、混合樹脂組成物中に、前記分子中に2以上のビニル基を有するポリエン化合物からなる架橋助剤を更に配合させておくと効率よく架橋混合樹脂粒子を得ることができる。
【0016】
本発明において、架橋助剤として配合しうる、分子中に2以上のビニル基を有するポリエン化合物としては、1,2−ポリブタジエン、1,4−ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリクロロプレン等の重合体系架橋助剤、及びジビニルベンゼン、2−メチル−ジビニルベンゼン、ジビニルシクロヘキサン、イソプレン、クロロプレン、ブタジエン等の単量体系架橋助剤が挙げられる。また架橋助剤の配合量は、ポリオレフィン系樹脂、スチレン−ジエン共重合体、高分子流動化剤及び架橋助剤の総和を100重量%とした場合、30重量%以下が好ましい。
【0017】
本発明に係る発泡粒子は、ポリオレフィン系樹脂にスチレン−ジエン共重合体及び高分子流動化剤、好ましくは更に架橋助剤を配合した架橋混合樹脂粒子に、物理発泡剤または分解型発泡剤を配合して、粒子状に発泡させることにより製造することができる。
【0018】
発泡剤としては、分解型発泡剤または物理発泡剤のうち1種または2種以上を組み合わせて用いる。
分解型発泡剤については樹脂の発泡温度で分解してガスを発生するものであれば何れのものも使用できる。分解型発泡剤の具体例としては、例えば重炭酸ナトリウム、炭酸アンモニウム、アジド化合物、アゾビスイソブチロニトリル、ジアゾアミノベンゼン、ベンゼンスルホニルヒドラジド、p−トルエンスルホニルヒドラジド、または該温度で反応して炭酸ガスを発生する酸−アルカリの組み合わせ、例えば、クエン酸のモノアルカリ金属塩と炭酸のアルカリ金属塩、クエン酸のモノアルカリ金属塩と重炭酸のアルカリ金属塩等が挙げられる。
【0019】
また、物理発泡剤としては、不活性ガス、飽和脂肪族炭化水素、飽和脂環族炭化水素、芳香族炭化水素、ハロゲン化炭化水素、エーテル、ケトン等であり、その具体例としては、例えばメタン、エタン、プロパン、ノルマルブタン、イソブタン、ノルマルペンタン、イソペンタン、ネオペンタン、シクロペンタン、ノルマルヘキサン、2−メチルペンタン、3−メチルペンタン、2,2−ジメチルブタン、2,3−ジメチルブタン、メチルシクロプロパン、1,1−ジメチルシクロプロパン、シクロヘキサン、メチルシクロペンタン、エチルシクロブタン、1,1,2−トリメチルシクロプロパン、ベンゼン、塩化メチル、フロン142b、フロン124、フロン134a、ジメチルエーテル、2−エトキシエタノール、アセトン、エチルメチルケトン、アセチルアセトン、二酸化炭素、窒素、空気、などが挙げられる。
【0020】
更に、前記発泡粒子を製造するための架橋混合樹脂粒子の中には発泡核剤として、タルク、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、クレー、天然ケイ酸、酸化チタン、シラス、石膏、ゼオライト、食塩、硼砂、水酸化アルミなどの無機化合物、またはカーボン、燐酸系核剤、フェノール系核剤、アミン系核剤等の有機系化合物を含有させてもよい。
【0021】
以下に前記発泡粒子を得る方法の一例である分散媒発泡方法について以下に詳細に説明する。例えば1個当りの粒子重量が0.1〜20mg、好ましくは0.2〜10mgに調整された混合樹脂粒子を用意し、先に示した方法により架橋した後、それら架橋混合樹脂粒子を、密閉し開放できる圧力容器に分散媒、分散剤、物理発泡剤と共に撹拌下、圧力容器の外部または内部からの加熱で昇温し発泡剤が樹脂に有効に含浸する温度まで圧力容器内部の温度を上げ一定時間保持した後、圧力容器内部の圧力よりも低圧の雰囲気に圧力容器を開放して圧力容器内容物を容器外に放出することにより発泡ビーズを得ることができる。前記分散媒は臨界温度が80℃以上であり、且つ該架橋混合樹脂粒子の分散媒への100℃での溶解度が0.1g/g以下であれば特に問題はないが、好ましくは水がよい。また、分散剤としては、該架橋混合樹脂粒子の容器内での融着防止のために用いられるものであり、分散媒への溶解が少ない、無機又は有機の高融点物であり、具体例としては、例えば、酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛、燐酸カルシウム、カオリン、マイカ、タルクが挙げられる。この中では燐酸カルシウム、カオリンが好ましい。また、必要に応じて、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムや、オレイン酸ナトリウム等の界面活性剤を分散媒に添加してもよい。
【0022】
本発明において、容器内容物を高圧帯域から低圧帯域へ放出させる場合の内容物に含まれる発泡粒子には、二次結晶を含有させてもよい。この二次結晶の存在する発泡粒子は、型内成形性の良好な発泡粒子である。なお、発泡粒子中における二次結晶の存在は、発泡粒子の示差走査熱量測定によって得られるDSC曲線によって判定することができる。この場合、樹脂発泡粒子の示差走査熱量測定によって得られるDSC曲線とは、発泡粒子1〜3mgを示差走査熱量測定装置によって10℃/分の昇温速度で220℃まで昇温したときに得られるDSC曲線であり、例えば、測定試料を室温から220℃まで10℃/分の昇温速度で昇温したときに得られるDSC曲線を第1回のDSC曲線とし、次いで220℃から10℃/分の降温速度で40℃まで降温し、再度10℃/分の昇温速度で220℃まで昇温したときに得られるDSC曲線を第2回のDSC曲線とし、これら2つののDSC曲線から固有ピーク、高温ピークを求めることができる。また、この場合、固有ピークとは、発泡粒子を構成するポリオレフイン系樹脂の、いわゆる融解時の吸熱によるものであると考えられる。この固有ピークは第1回目と第2回目のDSC曲線にも現われ、ピーク頂点の温度は第1回目と第2回目で多少異なる場合があるが、その差は5℃未満、通常は2℃未満である。
一方、高温ピークとは、第1回目のDSC曲線にのみ上記固有ピークより高温側に現われる吸熱ピークである。発泡粒子中における二次結晶の存在は、発泡粒子のDSC曲線にこの高温ピークが現われるか否かで判定され、実質的な高温ピークが現われない場合には、発泡粒子中に二次結晶が存在しないものと判定される。
【0023】
発泡粒子中の上記二次結晶は、通常、上記分散媒発泡方法における加熱処理により生成される。二次結晶を生成させるための加熱処理は、使用する発泡剤とその量によっても異なるが、有機揮発性発泡剤使用の場合、架橋混合樹脂粒子の融点(上記2回目のDSC曲線に現われる固有ピークの頂点温度と実質的に同じ)より約20℃低い温度とその融解終了温度との間の適宜温度で止めてその温度にて5〜90分間、好ましくは15〜60分間保つと架橋混合樹脂粒子に二次結晶を形成させることができる。また、二酸化炭素、窒素、空気といった無機ガス系発泡剤を使う場合には、架橋混合樹脂粒子の融点とその補外融解終了温度(JIS K7121に規定されている温度)との間の適宜温度で止めてその温度にて上記した通りの時間保てば、架橋混合樹脂粒子に二次結晶を形成させることができる。そして、該密閉容器内容物を低圧部に放出すれば二次結晶を持つ発泡粒子が得られる。また、無機ガス系発泡剤使用の場合、放出前の架橋混合樹脂粒子中に充分大量の二次結晶があれば、放出時の温度(発泡温度)が架橋混合樹脂粒子の補外融解終了温度以上であっても、前記高温ピークの頂点温度以下の場合には二次結晶の存在する型内成形性の良い発泡粒子が得られる。
【0024】
上記分散媒発泡方法における最適発泡温度は、架橋混合樹脂粒子の融点並びに発泡剤の種類及び使用量により異なる。例えば、架橋混合樹脂粒子を、無機ガス系発泡剤で発泡させる場合は、発泡温度を架橋混合樹脂粒子の融点を基準とし、その融点より約5℃低温から約15℃高温の範囲、好ましくは約3℃低温から約10℃高温の範囲にするのが望ましい。そして、分散媒中の架橋混合樹脂粒子を発泡温度まで昇温させる際の昇温時における昇温速度は1〜10℃/分、好ましくは2〜5/℃分とするのが望ましい。なお、発泡させるために容器内容物を放出する際の低圧部は大気圧以下でも良いが、通常はコスト的に有利な大気圧下に放出される。
前記の方法で製造された発泡粒子は、平均気泡径が10〜500μm程度である。また、発泡粒子の嵩比重は発泡剤使用量等で異なるが0.009〜0.3g/cm3程度である。
【0025】
発泡粒子中のポリオレフィン系樹脂としてポリプロピレン系樹脂を使用した場合、その発泡粒子の上記高温ピーク融解吸熱量は0.1〜15J/g、且つ前記した煮沸トルエン中での還流後の不溶解成分は3〜40重量%であることが好ましく、15〜40重量%が更に望ましい。この不溶解成分が3重量%未満の場合には、前記した通り、その発泡粒子からなる型内成形体の表面に、液状の熱硬化性樹脂を接触させつつ反応硬化させようとすると、該成形体の接触表面が溶解して大きく収縮しやすくなるので好ましくない。その様な収縮の更なる安全性の観点から15重量%以上とすることが望ましい。また、その不溶解成分を40重量%超にしようとすると、ポリプロピレン系樹脂の主鎖が分解しやすくなり、機械的物性の低下につながり、好ましくない。そして、この様な不溶解成分範囲内で、上記高温ピーク融解熱量が0.1J/g未満であると、独立気泡率の低下した発泡粒子が得られ易くなり、その後の型内成形時に悪影響を与える虞がある。一方、この様な不溶解成分範囲内で、上記高温ピーク融解吸熱量が15J/g超であると、発泡粒子間が充分に埋まらない粒子間ボイドの大きい不良な型内成形体が得られ易くなるので好ましくない。
特に、ポリオレフィン系樹脂としてポリプロピレン系樹脂を採用した場合には、ポリエチレン系樹脂を採用した場合と比べ、高発泡倍率の型内成形体であっても後述の繊維強化熱硬化性樹脂との積層接着性に優れるという利点がある。
【0026】
上記の方法で得られた発泡粒子を、型内に充填し、型内に加熱媒体を導入して発泡粒子を加熱融着させる型内成形方法を採用することにより、本発明の型内成形体を得ることができる。
上記型内成形においては、通常、上記架橋混合樹脂粒子の融点と該融点より25℃低温との間の任意の温度に発泡粒子を加熱して成形体にする。本発明の発泡粒子は前記したようにその表皮部の(B)成分比率が高いため、粒子間の相互融着性にも優れ、前記温度で丈夫な型内成形体が得られる。
【0027】
そして、本発明の型内成形体は、前記したように発泡粒子を加熱して得られるものであるが、該発泡粒子は、前記したようにその表皮部の前記(B)成分比率が高められているため、それから得られる型内成形体の表皮部も(B)成分比率が高められたものとなる。
また、該方法で成形した本発明の型内成形体は、その表面が薄い又は厚い表皮に覆われて気泡が閉じているが、型内成形体の表皮部も(B)成分比率が高いため、繊維強化熱硬化性樹脂との積層接着性に優れている。
【0028】
本発明における型内成形体の表面に繊維を含有させた熱硬化性樹脂層、例えば繊維強化不飽和ポリエステル樹脂層を設けた、型内樹脂発泡成形体/繊維強化不飽和ポリエステル樹脂積層体は、従来公知の方法で製造することができる。例えば、レジンインジェクションモールディング法(レジントランスファーモールディング法)に従って所望形状の金型内に形状対応の型内成形体を挿入後、金型の液注入口から液状の不飽和ポリエステル樹脂を注入し、型内成形体の表面と金型内表面間の空隙部に不飽和ポリエステル樹脂液を充満させ、これを反応硬化させる方法で製造することができる。この際に、型内成形体の表面と金型内表面間の空隙部にガラス繊維等の強化材を入れておき樹脂層を強化する。また、積層用の不飽和ポリエステル樹脂液にはこの種の積層に使われる公知樹脂液を使えば良く、通常は硬化用触媒と不飽和ポリエステル樹脂を架橋用ビニルモノマーに溶解した液が使われる。或いは不飽和ポリエステルプリプレグを用い型内成形体表面を覆い次いで硬化させることによっても積層体を製造することができる。なお、不飽和ポリエステル樹脂の硬化反応は発熱反応なので加熱は不要であるが、硬化反応終了後に金型を60〜100℃に5〜60分間保持して硬化物を強制養生させても良く、強制養生で繊維強化不飽和ポリエステル樹脂層、ひいては積層体の強度を更に高めることができる。そして、硬化終了後は積層体を金型から取出して製品とするれば良い。
以上のほか、本発明の積層体はハンドレイアップ法やスプレイアップ法で製造しても良い。これらの場合は、板状等に成形された型内成形体の片面又は両面に補強繊維材を含む不飽和ポリエステル樹脂層を設け、これを硬化させれば良い。
本発明の型内成形体はその表皮部においても繊維強化熱硬化性樹脂との接着性に優れているため、従来のように、型内成形体の不飽和ポリエステル樹脂との積層面に当たる表皮をスライス等して気泡を開放させておくようなことは必要としない。
【0029】
上記においては、強化繊維としてガラス繊維を、熱硬化性樹脂として不飽和ポリエステル樹脂を例に説明してきたが、他の強化繊維としては、石綿、ビニロン、テトロン等の合成繊維や合成繊維の不織布等が例示され、他の熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂が例示される。
しかしながら、その中でもガラス繊維と不飽和ポリエステル樹脂との組み合わせが最も望ましい。なぜならば、ガラス繊維が耐熱性、寸法安定性、低吸水性に優れ、伸びが小さいものであり、不飽和ポリエステル樹脂が本発明の型内成形体と最も接着強度に優れているので、ガラス繊維強化不飽和ポリエステル樹脂が積層された本発明の積層体では、積層接着面の剥がれにくい高強度の積層体となるからである。
【0030】
【実施例】
次に、本発明を実施例及び比較例によって更に具体的に説明するが、本発明はこの実施例によって限定されるものではない。なお、以下に示す部及び%はいずれも重量基準のものである。
使用したポリマーの種類及び物性について表1に示し、配合処方を表2に示す。
【0031】
参考例1、実施例2、3、比較例1、2
【0032】
[ハイインパクトポリスチレン(HIPS)の流動調整]
表1に示す樹脂No.H−2のHIPSと、流動パラフィン、高分子量PCL、又は低分子量PCLを表2に示す割合で二軸押出機に供給し、200℃で溶融混練後、押出機先端に設けられた口径2mmφ×5穴のダイスよりストランド状に押出して引き取ってカットして1個当たり約20mgのペレットとすることにより表2に示す流動調整されたHIPSを製造した。
【0033】
[混合樹脂粒子の製造]表1に示すプロピレン−エチレンランダム共重合体(PP)と、表1又は表2に示すHIPSと、更に1,2−ポリブタジエンとを、表3に示す通りの配合割合とし、この配合100重量部当たり水酸化アルミニウム粉体を0.05重量部の割合で単軸押出機に供給し、190℃で溶融混練後、押出機先端に設けられた口径2mmφ×16穴のダイスよりストランド状に押出して引き取ってカットして1個当たり約2mgのミニペレット(混合樹脂粒子)を製造した。
[混合樹脂粒子の架橋及び発泡粒子の製造]上記ミニペレット100重量部に対し、水(分散媒)300重量部、カオリン(分散剤)1重量部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(界面活性剤)0.02重量部、ベンゾイルパーオキサイド(架橋剤)1.2重量部及びジビニルベンゼン(架橋助剤)0.5重量部を耐圧容器内に投入し、密閉した後、耐圧容器内に二酸化炭素ガス(発泡剤)7重量部を圧入し、次いで、200r.p.mでの撹拌下で、約2℃/分の昇温速度で容器内容物を100℃まで昇温し、その温度で30分間保持した後、再び約2℃/分の昇温速度で容器内容物を146℃まで(実施例2、実施例3及び比較例2)又は149℃まで(参考例1及び比較例1)昇温し、その温度で15分間保持した後、更に約2℃/分の昇温速度で容器内容物を151℃まで(実施例2、実施例3及び比較例2)又は154℃まで(参考例1及び比較例1)昇温し、その温度で15分間保持した。それから加圧空気の導入により耐圧容器内を40kg/cm2Gに保ちながら、容器内容物を容器外に放出して架橋発泡粒子を得た。得られた発泡粒子の嵩発泡倍率、架橋度(本発明でいう不溶解成分含有量)、高温ピークの融解吸熱量、及び発泡粒子内部と発泡粒子表皮部の融解熱量差を併せて表3に示した。
【0034】
[型内成形体の製造及び繊維強化熱硬化性樹脂との積層]
次に得られた発泡粒子を300×300×60mmの内寸法を持つ成型用金型に充填し、3.4kg/cm2Gの蒸気で加熱して型内成形体を得た。この際、金型への樹脂の付着物は観察されなかった。得られた成形体を60℃のオーブンで24時間乾燥し、常温まで徐冷した後、繊維強化熱硬化性樹脂と型内成形体とを次の操作により積層した。
まず、型内成形体を200mm(縦)×150mm(横)×10mm(厚み)にスライスする。ただし、200mm×150mm面の一方は成形時の表皮部をそのまま残しておく。
次に、ポリテトラフロロエチレン(テフロン)を表面にコーティングしたアルミニウムからなる平板を用意し、日本ユピカ株式会社製不飽和ポリエステル樹脂4072APT−3に硬化剤としてメチルエチルケトンパーオキサイドを添加し、これをハンドレイアップ法にてその平板のテフロン面に塗布し、次にその塗布面に、200mm×150mmサイズのガラス繊維からなるチョップドストランドマット(坪量450g/m2)を配し、その上から上記したものと同じ硬化剤を添加した不飽和ポリエステル樹脂をハンドレイアップ法にて塗布含浸させ、直ちにこの上に型内成形体の200mm×150mm面をのせ、続いて型内成形体上面に上記したものと同じ硬化剤を添加した不飽和ポリエステル樹脂をハンドレイアップ法にて塗布し、更にその上に上記したものと同じチョップドストランドマットをのせ、その上から上記したものと同じ硬化剤を添加した不飽和ポリエステル樹脂をハンドレイアップ法にて塗布含浸させた。その後直ちにテフロンコートしたアルミニウム平板(重量1kg)をのせ、放置して不飽和ポリエステル樹脂を反応硬化させた。反応硬化後、アルミニウム平板を剥がし、ガラス繊維強化不飽和ポリエステル樹脂硬化体(FRP)/型内成形体/ガラス繊維強化不飽和ポリエステル樹脂硬化体(FRP)からなる積層体(FRP積層品)を得た。このFRP積層品については、積層部の接着性を評価した。その結果を表3に示す。
【0035】
【表1】
【0036】
【表2】
【0037】
【表3】
【0038】
【発明の効果】
従来技術での、繊維強化された熱硬化性樹脂との接着性に優れた型内発泡成形体に使用されるポリオレフィン樹脂を主成分とする発泡粒子では、(1)ポリオレフィン樹脂のペレタイズ(発泡に適した大きさにする)工程、(2)樹脂ペレットの架橋工程、(3)樹脂ペレットへのスチレンモノマー等によるグラフト重合工程、及び(4)発泡粒子製造工程が採用されており、ペレタイズ後にグラフト重合工程が必要であり、そのため、その様な発泡粒子ひいてはその型内発泡成形体は、必然的にコストの高いものであった。一方、本発明の発泡粒子は、ポリオレフィン系樹脂に対してスチレン−ジエン共重合体及び脂肪族ポリエステルからなる高分子流動化剤を混合してペレタイズしたものに対し架橋を行い、これを発泡させるだけで得られるものであるから、従来の様なグラフト重合工程を必要としないのでコスト的に有利である。そして本発明の発泡粒子は、その表皮部におけるスチレン−ジエン共重合体比率が、粒子内部に比べより高く、従って、このような発泡粒子から得られる型内成形体は、その表皮部においても、繊維強化熱硬化性樹脂との積層接着強度が極めて大きく、また該型内成形体の繊維強化熱硬化性樹脂積層面の収縮が小さく、更に、この様な発泡粒子からなる型内成形体は、衝撃吸収性、圧縮又は衝撃後の回復性、耐熱性及び耐薬品性にも優れており。その用途において非常に有益である。その様な積層体は、ユニットバスの浴槽又は防水パン、プール、浄化槽、船の甲板、船室の壁や床や天井といった用途に好適に使用される。また、該スチレン−ジエン共重合体としてハイインパクトポリスチレンを使用すると、混合樹脂の架橋効率が高まり、且つ架橋時に混合樹脂中のポリオレフィン系樹脂(特にポリプロピレン系樹脂)の主鎖の分解が抑えられた良好な発泡粒子が提供できる。また、該ポリオレフィン系樹脂としてポリプロピレン系樹脂を使用すると、独立気泡率が高く、型内成形時の二次発泡性に優れ、しかも、このような発泡粒子からなる高発泡型内成形体は高発泡であっても繊維強化熱硬化性樹脂との積層接着強度に優れる。また、高分子流動化剤として脂肪族ポリエステルを使用すると、少量の添加で、スチレン−ジエン共重合体の溶融混練時における流動性を効率良く高めることができるので、それから得られる発泡粒子及びその型内成形体等の機械的物性の低下を小さくすることができる。また、請求項4の発泡粒子は、型内成形時の二次発泡性が極めて良好であるため、発泡粒子間が充分に埋まった発泡粒子間の融着強度に優れた型内成形体を容易に得ることができるという利点がある。また、その様な発泡粒子からなる型内成形体は、繊維強化熱硬化性樹脂との積層接着強度にいっそう優れる。更に、請求項4の発泡粒子は、型内成形時における加熱後の冷却時間を大きく短縮することができる。具体的には、従来のポリオレフィン樹脂発泡粒子を使用する場合に比べ、30〜60%の短縮が可能となる。よって、型内成形体を得る際の生産効率に優れるという効果も奏する。また、繊維強化熱硬化性樹脂における熱硬化樹脂として不飽和ポリエステル樹脂を使用すると、本発明の型内成形体との接着性に最も優れる。また強化繊維としてガラス繊維を使用すると寸法安定性及び耐熱性が高く、吸水性が無く、且つ伸びが小さい。従って、ガラス繊維強化不飽和ポリエステル樹脂が積層された本発明の積層体は、積層面の剥がれにくい高強度のものとなる。更に、本発明の積層体の製造方法は、型内成形体と繊維強化熱硬化性樹脂との最も効率的な積層方法である。しかも両層間の接着性に最も優れるという利点もある。
【図面の簡単な説明】
【図1】積層品の剥離強度の測定方法の説明図。
Claims (9)
- ポリオレフィン系樹脂(A)に、スチレン−ジエン共重合体(B)及び脂肪族ポリエステルからなる高分子流動化剤(C)を配合した混合樹脂の発泡粒子であって、
煮沸トルエン中で5時間還流後の不溶解成分が3〜70重量%であることを特徴とする発泡粒子。 - 前記ポリオレフィン系樹脂(A)が、ポリプロピレン系樹脂であることを特徴とする請求項1記載の発泡粒子。
- 前記スチレン−ジエン共重合体(B)が、ハイインパクトポリスチレンであることを特徴とする請求項1記載の発泡粒子。
- 前記ポリオレフィン系樹脂(A)とスチレン−ジエン共重合体(B)と脂肪族ポリエステルからなる高分子流動化剤(C)との混合比率が、(A)成分と(B)成分と(C)成分の総和を100重量%とした場合、(A)成分が50重量%以上、(B)成分が5〜49重量%、(C)成分が1〜15重量%であることを特徴とする請求項1記載の発泡粒子。
- 請求項1乃至4のいずれか記載の発泡粒子を型内で成形してなる型内成形体。
- 請求項5記載の型内成形体と繊維強化熱硬化性樹脂との積層体。
- 繊維強化熱硬化性樹脂がガラス繊維強化不飽和ポリエステル樹脂である請求項6記載の積層体。
- 請求項5記載の型内成形体の表面に、繊維を配すると共に、液状の熱硬化性樹脂を接触させながら該樹脂を反応硬化させることを特徴とする請求項6記載の積層体の製造方法。
- 請求項5記載の型内成形体の表面に、ガラス繊維を配すると共に、液状の不飽和ポリエステル樹脂を接触させながら該樹脂を反応硬化させることを特徴とする請求項7記載の積層体の製造方法。
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