JP6607836B2 - ビーズ発泡体、及び、樹脂複合体 - Google Patents

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Description

本発明は、ビーズ発泡体と、ビーズ発泡体を芯材とした樹脂複合体とに関する。
従来、FRPなどと称される繊維強化樹脂材が、軽量で且つ高い機械的強度を有していることから広く用いられている。
そして、近年、該繊維強化樹脂材の強度と樹脂発泡体の軽量性とを併せ持つ素材を得るべく樹脂発泡体を芯材として該芯材をシート状の繊維強化樹脂材で被覆した樹脂複合体を形成することが検討されている(下記特許文献1参照)。
特開2001−353834号公報
樹脂複合体の芯材としては、3次元的な形状のものが比較的簡便に作製できることからビーズ発泡体が採用されたりしている。
樹脂複合体を作製する方法としては、繊維シートに樹脂が含浸担持されたプリプレグシートなどと称される繊維強化樹脂材でビーズ発泡体の表面に繊維強化樹脂層を形成させる方法が知られている。
樹脂複合体を作製するためのより具体的な方法としては、ビーズ発泡体と繊維強化樹脂材とを仮接着して一旦予備成形体を作製し、該予備成形体を熱プレスするなどして加熱環境下において加圧し、繊維強化樹脂材とビーズ発泡体とを積層一体化する方法が知られている。
このような樹脂複合体を作製するのにあたっては繊維強化樹脂材に担持されている樹脂がビーズ発泡体に入り込んで繊維強化樹脂層の表層部に樹脂不足が生じた樹脂複合体が形成されてしまうことがある。
その場合、得られる樹脂複合体の表面には多数のボイドが生じたり、場合によっては繊維が表面に大きく露出した部分ができたりすることがある。
このことを防止すべく予め繊維強化樹脂材に過剰な樹脂を担持させておくことも考え得るがその場合にはビーズ発泡体に入り込んだ樹脂によって樹脂複合体に不必要な質量増加を生じさせることになる。
即ち、従来の樹脂複合体においては、強度と軽量性とに優れ、且つ、外観美麗なものを作製することが難しいという問題を有している。
本発明は、このような点に着目してなされたもので強度と軽量性とに優れ、且つ、外観美麗な樹脂複合体を提供することを課題としている。
上記課題を解決するための本発明は、樹脂発泡体で形成された芯材と、該芯材を覆う繊維強化樹脂層とを備えた樹脂複合体の形成に用いられ、前記芯材として用いられるビーズ発泡体であって、前記繊維強化樹脂層で覆われる表面における透気抵抗度が10秒以上であるビーズ発泡体を提供する。
また、本発明は、樹脂発泡体で形成された芯材を備え、該芯材を覆う繊維強化樹脂層とを備えた樹脂複合体であって、前記芯材が上記のようなビーズ発泡体で形成されている樹脂複合体を提供する。
本発明によれば、優れた軽量性と美麗な外観とを樹脂複合体に付与しうる。
一形態の樹脂複合体を示した概略斜視図。 樹脂複合体の内部構造を示した概略断面図(図1のII−II線矢視断面図)。 繊維強化樹脂層の構造を示した概略断面図(図2のIII部拡大図)。
本発明の実施の形態について以下に説明する。
以下においては、樹脂複合体として、芯材となるビーズ発泡体が耐熱性に優れた樹脂で形成されている場合を主体として本発明の実施の形態を説明する。
図1は、樹脂複合体の一態様を例示した概略斜視図である。
図に示すように、本実施形態の樹脂複合体Aは、逆四角錐台(逆切頭四角錐)形状を有し、その上面側には逆四角錐台形状の凹入部Aaが形成されている。
言い換えると、本実施形態の樹脂複合体Aは、凹入部Aaの底部たる平面視矩形の部位を底面部とする角型トレー形状を有しており、前記底面部の外周縁から外広がりに立ち上がる矩形枠状の周側壁部を備えた形状を有している。
なお、以下においては、図1における横方向(矢印Xの方向)を“横方向”、“幅方向”、又は、“左右方向”と称し、奥行き方向(矢印Yの方向)を“縦方向”、“長さ方向”、又は、“前後方向”と称する場合がある。
また、以下においては、この横方向Xと奥行き方向Yとに平行する平面に沿った方向を“水平方向”と称し、前記平面に対して直交する方向(矢印Zの方向)を“厚み方向”、“上下方向”、“高さ方向”又は“垂直方向”などと称する場合がある。
図1〜3に示すように本実施形態の樹脂複合体Aは、ビーズ発泡体で形成された芯材A1を備え、該芯材A1が樹脂と繊維とを含むシート状の繊維強化樹脂材(FRP)で覆われており、該芯材上に前記繊維強化樹脂材によって繊維強化樹脂層A2が設けられている。
芯材A1を構成するビーズ発泡体A11は、発泡剤を含む予備発泡粒子を二次発泡させてなる樹脂発泡粒子100で構成されており、複数の樹脂発泡粒子100が互いに熱融着することにより形成されたものである。
より詳しくは、前記ビーズ発泡体A11は、非発泡状態の樹脂粒子(以下「原粒」ともいう)に発泡剤を含有させて発泡性樹脂粒子を調製し、該発泡性樹脂粒子を一旦発泡させて予備発泡粒子を得、該予備発泡粒子を使ってビーズ発泡されたものである。
前記原粒は、ガラス転移温度が180℃以上の樹脂を含む樹脂組成物によって構成されたものである。
即ち、前記原粒を出発材料とした前記予備発泡粒子、並びに、前記ビーズ発泡体A11は、ガラス転移温度が180℃以上の樹脂を含む樹脂組成物によって構成されたものである。
また、本実施形態におけるビーズ発泡体A11は、後述するように予備発泡粒子が含有する発泡剤をビーズ成形時に全て消費させないようにして作製されたものであり、ガラス転移温度が180℃以上の樹脂(以下「高耐熱性樹脂」ともいう)とともに発泡剤を含んだものとなっている。
しかも、本実施形態におけるビーズ発泡体A11は、有機系物理発泡剤を含有するものとなっている。
該有機系物理発泡剤は、その多くがビーズ発泡体A11の気泡(空孔)内ではなく、気泡の周囲の樹脂膜中に存在している。
そして、有機系物理発泡剤は、樹脂膜を構成している高耐熱性樹脂の分子間に存在して分子間力を低減させる。
そのことにより、ビーズ発泡体A11のガラス転移温度を測定した場合、本来であれば高耐熱性樹脂のガラス転移温度と同じ測定結果となるはずが、高耐熱性樹脂のガラス転移温度よりも低い温度となって観察される。
一般にビーズ発泡体を作製するための成形型には、直径1cm程度で長さ数mmの円筒体の内側に蒸気の通り道となるスリットを形成させたコアベントと呼ばれる部材が型の壁面を貫通するように数多く設けられており、コーナー部などのコアベントを設け難い箇所においては直径1mm以下のキリ孔が設けられて蒸気の通り道が確保されている。
そのため、ビーズ発泡体は、通常、コアベントやキリ孔に侵入した樹脂による微小な突起が表面に数多く形成されている。
さらに、ビーズ発泡体に用いる成形型では、通常、予備発泡粒子の供給口を成形時に閉塞するための蓋体や、成形後のビーズ発泡体を成形型から払い出すためのイジェクトピンの先端部が成形面を構成しているためにビーズ発泡体の表面にはこれらの痕が残った状態となる。
このようなビーズ発泡体の表面の突起は、繊維強化樹材との界面に隙間を形成させたり、繊維強化樹材の繊維の並びを乱したりする原因になるが本実施形態のビーズ発泡体は、発泡剤を含むことで高耐熱性樹脂のガラス転移温度よりも低い温度でこれらの突起を押し潰して表面を平坦なものとすることができる。
さらに、本実施形態のビーズ発泡体は、発泡剤を含有することで他の追加的な形状付与も容易に実施可能となっている。
なお、一般的にビーズ発泡体A11の表面や内部には、隣り合う樹脂発泡粒子100aどうしの間に隙間A11aなどが形成され易い。
また、隙間A11aの幾つかはビーズ発泡体A11の表面において開口した状態になっており、繊維強化樹脂層A2を構成する際に繊維強化樹材の樹脂が入り込み得るものとなっている。
そうすると最終の樹脂成形品である樹脂複合体は、繊維強化樹脂層A2に樹脂不足が生じたり、不要な質量増加を生じたものとなり得る。
従って、ビーズ発泡体A11には、このような隙間を形成させないことが好ましい。
繊維強化樹材を積層する前のビーズ発泡体は、繊維強化樹脂層A2で覆われる表面における透気抵抗度が高いことが好ましく、該表面において10秒以上の透気抵抗度を示すことが好ましい。
該透気抵抗度は複数個所について実施した平均値(平均透気抵抗度)として求められる。
具体的には、前記ビーズ発泡体の透気抵抗度は、ビーズ発泡体の表層部をスライスした複数のスライス片を使って測定される平均値が10秒以上であることが好ましい。
該平均透気抵抗度は、15秒以上であることがより好ましく、20秒以上であることがさらに好ましい。
ビーズ発泡体の表層部における透気抵抗度が低いということはビーズ発泡体の表面を形成している樹脂膜に薄い部分が形成されていることを意味する。
このような樹脂膜の薄い箇所が存在すると繊維強化樹脂層A2を形成すべく繊維強化樹材をビーズ発泡体の表面に積層した際に樹脂膜に破れが生じ易くなってビーズ発泡体に繊維強化樹材の樹脂が入り込み易くなる。
なお、ビーズ発泡体が、樹脂発泡粒子どうしの熱融着性が低いものである場合、樹脂膜の薄い部分から侵入した繊維強化樹材の樹脂が樹脂発泡粒子どうしの界面を伝って当該ビーズ発泡体のより深くにまで侵入するおそれを有する。
さらにビーズ発泡体が、連続気泡率の高いものであると樹脂膜の薄い部分から侵入した繊維強化樹材の樹脂が樹脂発泡粒子内により多く侵入し易くなる。
そのため、ビーズ発泡体は、透気抵抗度が高いことも重要であるが、さらに熱融着率が高く独立気泡性が高いことが好ましい。
尚、透気抵抗度は、以下のようにして求めることができる。
(透気抵抗度の測定方法)
透気抵抗度は、JIS P8117:2009に準拠して測定する。
まず、ビーズ発泡体の表層をスプリッティングマシン(例えば、フォーチュナ社製「AB−320D」)を用いて最表層から0.8mm以上1mm以下の深さでスライスし、0.8mm〜1mm厚みの試料を用意する。
試料は、50mm×50mmの大きさとし、ビーズ発泡体から少なくとも10枚の試料を採取する。
試料の両面の内、ビーズ発泡体の表面を構成していた面が上になるようにして、ガーレ試験機B型にセットし透気抵抗度を測定する。
そして、同様に計10枚の試料についてそれぞれ透気抵抗度を測定し、算術平均して平均透気抵抗度を求める。
また、前記ビーズ発泡体A11は、その熱融着率(樹脂発泡粒子どうしの熱融着率)が50%以上であることが好ましい。
ビーズ発泡体A11の熱融着率は、60%以上であることがより好ましく、70%以上であることがさらに好ましい。
ビーズ発泡体A11の熱融着率は、以下のようにして求めることができる。
(熱融着率の測定方法)
ビーズ発泡体の表面にカッターナイフで深さ約2mmの切り込み線を入れた後、この切り込み線に沿ってビーズ発泡体を二分割し、その破断面における樹脂発泡粒子について、100〜150個の任意の範囲で粒子内で破断している粒子の数(a)と粒子同士の界面で破断している粒子の数(b)とを数え、式[(a)/((a)+(b))]×100に代入して得られた値を融着率(%)とする。
なお、熱融着率の測定試料は、基本的に平板形状とし、厚み30mm程度、幅300mm程度、長さ400mm程度のものとし、前記切り込み線は、測定試料の長さ方向中央部を幅方向に向かって横断するように形成する。
ビーズ発泡体からこのような測定試料が採取できない場合、前記熱融着率は、ビーズ発泡体から採取し得る大きさの試料を用いて求めればよい。
ビーズ発泡体は、本実施形態における樹脂成形品(樹脂複合体A)に優れた軽量性を発揮させる上において、発泡倍率が3倍以上であることが好ましい。
ビーズ発泡体の発泡倍率は5倍以上であることがより好ましく、10倍以上であることがさらに好ましい。
ビーズ発泡体は、本実施形態における樹脂成形品(樹脂複合体A)に優れた強度を発揮させる上において、発泡倍率が60倍以下であることが好ましい。
ビーズ発泡体の発泡倍率は50倍以下であることがより好ましく、40倍以下であることがより好ましい。
ビーズ発泡体の発泡倍率は、ビーズ発泡体を構成している樹脂組成物の非発泡状態での密度(真密度)を、ビーズ発泡体の見掛け密度で除して求められる。
真密度は、ビーズ発泡体を熱プレスするなどして非発泡状態の試料を作製し、該試料の密度を測定して求めることができる。
このときの測定は、JIS K7112:1999「プラスチック−非発泡プラスチックの密度及び比重の測定方法」の水中置換法とすることができる。
ビーズ発泡体の見掛け密度の測定は、JIS K7222:2005「発泡プラスチック及びゴム−見掛け密度の求め方」に準じて測定することができる。
ビーズ発泡体は、樹脂成形品に優れた強度を発揮させる上において、連続気泡率が70%以下であることが好ましい。
ビーズ発泡体の連続気泡率は、60%以下であることがより好ましく、50%以下であることがさらに好ましい。
ビーズ発泡体の連続気泡率は、通常、1%以上とされる。
ビーズ発泡体の連続気泡率は、以下のようにして求めることができる。
(連続気泡率の測定方法)
測定に用いる試験片は、ビーズ発泡体から表皮を残さないように切り出し、さらに切断面表面をパンスライサーにて仕上げ、25mm×25mm×25mmの立方体状とする。
該試験片は、5つ作製する。
該試験片の連続気泡率は、試験片をJIS K7100−1999 記号23/50、2級の環境下で16時間状態調節した後、同環境下で見掛けの体積(cm)を測定するとともに空気比較式比重計で体積を測定することで求める。
見掛けの体積は、ミツトヨ社製「デジマチックキャリパ」を用いて、1/100mmの精度で外寸を測定して求める。
次に空気比較式比重計1000型(東京サイエンス(株)製)を使用して、1−1/2−1気圧法により測定試料の体積(cm)を求め、下記式により連続気泡率(%)を計算し、5つの試験片の連続気泡率の平均値を求める。
なお、空気比較式比重計は、標準球(大28.96cc 小8.58cc)にて補正を行ったものを用いる。

連続気泡率(%)=
100×(見掛け体積−空気比較式比重計での測定体積)/見掛け体積
本実施形態においては、上記のような良好な発泡状態を有し、且つ、樹脂発泡粒子どうしの融着性優れたビーズ発泡体を得る上において、ビーズ発泡体よりも発泡剤の含有率(質量%)が高い予備発泡粒子を用いてビーズ発泡体を作製し、最終的に得られるビーズ発泡体中に発泡剤を残存させることが好ましい。
しかしながら、ビーズ発泡体は、過度に発泡剤を含有していると熱歪みを発生させる原因ともなり得る。
そのため、ビーズ発泡体は、前記高耐熱性樹脂のガラス転移温度をTg(℃)とし、当該ビーズ発泡体のガラス転移温度をTg(℃)とした際に、下記関係式(1)を満たすことが好ましい。

0 < (Tg−Tg) ≦ 40℃ ・・・(1)
高耐熱性樹脂のガラス転移温度(Tg)と、ビーズ発泡体のガラス転移温度(Tg)との差(Tg−Tg)は、1℃以上であることが好ましく、2℃以上であることがより好ましく、3℃以上であることがさらに好ましい。
また、前記の差(Tg−Tg)は、30℃以下であることがより好ましく、25℃以下であることがさらに好ましい。

即ち、本実施形態においては、下記関係式(2)を満たすことがより好ましく、下記関係式(3)を満たすことがさらに好ましく、下記関係式(4)を満たすことがとりわけ好ましい。

1 ≦ (Tg−Tg) ≦ 40℃ ・・・(2)
2 ≦ (Tg−Tg) ≦ 30℃ ・・・(3)
3 ≦ (Tg−Tg) ≦ 25℃ ・・・(4)
高耐熱性樹脂やビーズ発泡体のガラス転移温度は、以下の方法で確認することができる。
(ガラス転移温度の求め方)
ガラス転移温度は、JIS K7121:1987、JIS K7121:2012「プラスチックの転移温度測定方法」に記載されている方法で測定する。
但し、サンプリング方法・温度条件に関しては以下の通りとする。
中間点ガラス転移温度は、(株)日立ハイテクサイエンス製「DSC7000X型」示差走査熱量計を用い、アルミニウム製簡易密閉容器の底にすきまのないよう試料を5.5±0.5mg充てんして、窒素ガス流量20mL/minのもと20℃/minの速度で30℃から−40℃まで冷却し、5分間保持後、−40℃から260℃まで昇温した時に得られたDSC曲線より、装置付属の解析ソフトを用いて算出する。
この時に基準物質としてはアルミナを用いる。
この中間点ガラス転移温度は前記の規格(9.3「ガラス転移温度の求め方」)より求める。
また、発泡体の測定試料は、コルクボーラーを用いて発泡体を厚み方向に打ち抜き、その打ち抜いた試料の中心より採取する。
前記ビーズ発泡体A11に含まれる高耐熱性樹脂としては、例えば、ポリエーテルイミド(PEI)樹脂、ポリエーテルスルホン(PESU)樹脂、ポリフェニルスルホン(PPSU)樹脂、ポリスルホン(PSU)樹脂などが挙げられる。
該高耐熱性樹脂は、過度にガラス転移温度が高いと、予備発泡をさせたり、型内成形によってビーズ発泡体を形成させたりすることが困難になるおそれを有する。
従って、前記高耐熱性樹脂は、ガラス転移温度が300℃以下であることが好ましく、260℃以下であることがより好ましい。
前記高耐熱性樹脂は、前記ビーズ発泡体A11に対して1種のものを単独で含有させる必要はなく、2種類以上のものをビーズ発泡体A11に含有させるようにしてもよい。
なお、ビーズ発泡体A11の形成に2種類以上の高耐熱性樹脂を用いる場合、前記のガラス転移温度についての関係は、ビーズ発泡体A11の主成分となっている樹脂について満たしていればよい。
ビーズ発泡体A11を構成する樹脂組成物に複数種類の高耐熱性樹脂を含む場合、「主成分」とは、樹脂組成物に含まれる樹脂の中で最も質量割合が多い高耐熱性樹脂を意味する。
前記ビーズ発泡体A11は、要すれば高耐熱性樹脂以外にガラス転移温度が180℃未満の樹脂を含有することも可能であるが、前記高耐熱性樹脂を80質量%以上含有していることが好ましく、85質量%以上含有していることがより好ましく、90質量%以上含有していることが特に好ましい。
前記発泡性樹脂粒子は、含有する樹脂が実質的に高耐熱性樹脂のみで構成されていることがとりわけ好ましい。
前記高耐熱性樹脂とともにビーズ発泡体A11に含有される有機系の物理発泡剤としては、例えば、高耐熱性樹脂のガラス転移温度よりも低い沸点を有する物質(炭化水素類、アルコール類、ジオール類、ケトン類、エーテル類やそのハロゲン化物など)が挙げられ、具体的には、ブタン、ペンタン、メタノール、エタノール、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、シクロノナノン、メチレンクロライド、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルクロライド、エチルクロライド、ジクロロメタン、ジクロロエタン、シクロヘキサノン、ジアセトンアルコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジクロルジフルオロメタン、ジクロルテトラフルオロエタン、トリクロルフルオロメタン、トリクロルトリフルオロエタンなどが挙げられる。
該有機系物理発泡剤は、単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
なお、予備発泡粒子などの作製時には、有機系物理発泡剤に加え、例えば、アルゴンや二酸化炭素などの無機系の物理発泡剤やアゾジカルボンアミド、p−トルエンスルホニルセミカルバジド、5−フェニルテトラゾールなどの熱分解型の化学発泡剤を利用しても良い。
なお、以下においては、特段の断りが無い限りにおいて、「発泡剤」との用語は、「有機系物理発泡剤」を意味する用語として用いる。
前記発泡剤としては、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、シクロノナノンなどのカルボニル基を有する有機化合物であることが好ましく下記式(A)で示される構造を有する有機化合物であることが好ましい。
(ただし、R、Rは、炭素数1〜6のアルキル基、又は、互いに結合してカルボニル基を形成している炭素原子とともに環をなす炭素数1〜6のアルキレン基である。R、Rは、炭素数が異なっていても共通していてもよい。)
なかでも、アセトンは本実施形態における発泡剤として好適である。
該発泡剤は、ビーズ発泡体中に0.05質量%以上含有されていることが好ましく、0.1質量%以上含有されていることがより好ましい。
ビーズ発泡体における発泡剤の含有量は、5質量%以下であることが好ましく、3質量%以下であることがより好ましく、2質量%以下であることがさらに好ましく1.5質量%以下であることがとりわけ好ましい。
ビーズ発泡体における発泡剤の含有量は、0.05質量%以上2質量%以下であることが好ましい。
ビーズ発泡体における発泡剤の含浸量(質量%)は、以下の方法で測定する。
試料約0.05gを20mLバイアルに精秤後、DEB(ジエチルベンゼン)入りDMF(ジメチルホルムアミド)1mLで溶解し、セプタム、アルミキャップをのせてアルミキャップ締め器で密閉する。
バイアルをYL社製「HT2000H型」ヘッドスペースオートサンプラーにセット後、90℃60min加熱して発生した揮発成分をガスタイトシリンジにて2mL採取し、これを(株)島津製作所製「GC2025AF」ガスクロマトグラフにて測定する。
なお、GC測定条件は下記に示す通りであり、得られたクロマトグラムを内部標準法により定量する。
<GC測定条件>
測定装置:(株)島津製作所製「GC2025AF」ガスクロマトグラフ、
カラム:PHENOMENEX社製「ZB−WAX」(φ0.25mm×30m(膜厚0.25μm)、
検出器:FID
GCオーブン昇温条件:初期温度 60℃(3min保持)第1段階昇温速度 20℃/min(100℃まで、3min保持)第2段階昇温速度 40℃/min(220℃まで)最終温度 220℃(0.5min保持)
注入口温度:150℃
検出器温度:250℃
測定試料液注入量:2mL
スプリット比=70:1
カラム流量=1.6mL/min
(He)ガス圧力=122kPa

<HS測定条件>
測定装置:YL社製「HT2000H型」ヘッドスペースオートサンプラー
加熱温度:90℃
加熱時間:60min
定量法:内部標準法=DEB

<算出条件>
標準試料:アセトン、
算出方法:
アセトンをDEB(ジエチルベンゼン)入DMF(ジメチルホルムアミド)溶液にて作製した標準液の濃度当りの面積係数を用いて算出する。
なお、測定用の試料は発泡体の表面より最も深い部分から採取する。
具体的には、成形品の最も厚みのある部分の中心部をコルクボーラー(8φ穴)で抜き取り採取したものを試料とする。
発泡性樹脂粒子や予備発泡粒子について発泡剤含有量を求める必要がある場合、以下のようにして求めることができる。
まず質量を測定したSUS製容器に試料を数g入れ、試料+容器の質量を測定する。
アルミホイルで容器に蓋をして260℃のオーブンで2時間加熱した後、室温まで冷却してから再び試料+容器の重量を測定し、下記式により発泡剤含浸量を算出する。

発泡剤含浸量(質量%)=
100×(加熱前の(試料+容器)質量(g)−加熱後の(試料+容器)質量(g))/(加熱前の(試料+容器)質量(g)−容器質量(g))
前記気泡調整剤としては、例えば、タルク、マイカ、シリカ、珪藻土、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、炭酸カリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸カリウム、硫酸バリウム、ガラスビーズなどの無機化合物からなる微粒子、ポリテトラフルオロエチレンなどの有機化合物からなる微粒子が挙げられる。
前記可塑剤としては、例えば、フタル酸エステル、アジピン酸エステル、トリメリット酸エステル、リン酸エステル、クエン酸エステル、エポキシ化植物油、セバシル酸エステル、アゼライン酸エステル、マレイン酸エステル、安息香酸エステル、スルホン酸エステル等が挙げられる。
前記フタル酸エステルとしては、例えば、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジイソノニル、フタル酸ジイソデシル、フタル酸ジブチル等が挙げられる。
前記アジピン酸エステルとしては、例えば、アジピン酸ジオクチル、アジピン酸ジイソノニル、アジピン酸ジイソブチル、アジピン酸ジブチル等が挙げられる。
前記トリメリット酸エステルとしては、例えば、トリメリット酸トリオクチル等が挙げられる。
前記リン酸エステルとしては、リン酸トリクレシル、リン酸トリアミル、リン酸トリブチル等が挙げられる。
前記クエン酸エステルとしては、例えば、アセチルクエン酸トリブチル、クエン酸トリエチル、アセチルクエン酸トリエチル等が挙げられる。
前記エポキシ化植物油としては、例えば、エポキシ化大豆油、エポキシ化亜麻仁油等が挙げられる。
前記スルホン酸エステルとしては、例えば、アルキルスルホン酸フェニルエステル等が挙げられる。
本実施形態のビーズ発泡体は、上記のような成分の他に各種添加剤を含有していてもよい。
上記ビーズ発泡体によって構成された芯材A1とともに樹脂複合体Aを構成する前記繊維強化樹脂層A2は、樹脂と繊維とを含むシート状の繊維強化樹脂材で形成されている。
本実施形態の繊維強化樹脂層A2は、第1繊維強化樹脂材A21と第2繊維強化樹脂材A22とによって形成された2層構造のものとなっている。
第1繊維強化樹脂材A21と第2繊維強化樹脂材A22とは、繊維と樹脂との割合や繊維や樹脂の種類が同じである必要は無く、これらを互いに異ならせていてもよい。
繊維強化樹脂層A2に含まれる前記繊維は、短繊維の状態であっても連続繊維の状態であってもよい。
繊維を連続繊維とする場合、該繊維は引き揃え糸や撚糸といった糸の状態で繊維強化樹脂層A2に含有され得る。
糸は、織物や編物となって繊維強化樹脂層A2に含有され得る。
織物は、平織物、綾織物、繻子織物などであってもよい。
前記繊維が短繊維の場合、該繊維は不織布のような状態で繊維強化樹脂層A2に含有され得る。
前記繊維としては、ガラス繊維、炭素繊維、炭化ケイ素繊維、アルミナ繊維、チラノ繊維、玄武岩繊維、ステンレス繊維、スチール繊維などの無機繊維;アラミド繊維、ポリエチレン繊維、ポリエステル繊維、ポリパラフェニレンベンズオキサドール(PBO)繊維などの有機繊維;ボロン繊維などが挙げられる。繊維は、一種単独で用いられてもよく、二種以上が併用されてもよい。
前記繊維強化樹脂層A2を上記繊維とともに構成する前記樹脂としては、熱可塑性樹脂であっても熱硬化性樹脂であってもよい。
繊維強化樹脂層A2の形成に用いることができる熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコン樹脂、マレイミド樹脂、ビニルエステル樹脂、シアン酸エステル樹脂、マレイミド樹脂とシアン酸エステル樹脂とを予備重合した樹脂などが挙げられる。
該熱硬化性樹脂は、耐熱性、衝撃吸収性、耐薬品性に優れていることから、エポキシ樹脂、ビニルエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、シアン酸エステル樹脂が好ましい。
前記熱可塑性樹脂としては、例えば、オレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、熱可塑性エポキシ樹脂、アミド系樹脂、熱可塑性ポリウレタン樹脂、サルファイド系樹脂、アクリル系樹脂などが挙げられる。
該熱可塑性樹脂は、接着性に優れていることから、ポリエステル系樹脂、熱可塑性エポキシ樹脂、熱可塑性ポリウレタン樹脂が好ましい。
前記エポキシ樹脂としては、エポキシ化合物同士の重合体又は共重合体であって直鎖構造を有する重合体や、エポキシ化合物と、このエポキシ化合物と重合し得る単量体との共重合体であって直鎖構造を有する共重合体が挙げられる。
具体的には、エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールフルオレン型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、環状脂肪族型エポキシ樹脂、長鎖脂肪族型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂などが挙げられる。
前記エポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールフルオレン型エポキシ樹脂が好ましい。
前記繊維強化樹脂層A2は、通常、0.1mm〜5mmの厚さとなるように形成される。
また、前記繊維強化樹脂層A2は、通常、前記繊維を10質量%以上90質量%以下の割合で含有するように形成される。
該繊維強化樹脂層A2の形成には、上記の樹脂や繊維以外に各種添加剤を用いてもよい。
本実施形態の樹脂複合体Aは、例えば、予め芯材A1となるビーズ発泡体を作製し、その後、ビーズ発泡体の表面を覆うように繊維強化樹脂材を貼り合せ、さらに、オートクレーブなどの加圧装置によって繊維強化樹脂材とビーズ発泡体とを加圧・加熱環境下で一体化させることで作製される。
ビーズ発泡体は、原粒に発泡剤を含有させて発泡性樹脂粒子を作製する発泡性樹脂粒子作製工程、作製された発泡性樹脂粒子を加熱して予備発泡(一次発泡)させて予備発泡粒子を作製する予備発泡工程、及び、該予備発泡粒子を成形型内で二次発泡させて前記成形型のキャビティ(成形空間)に対応した形状を有する成形品(ビーズ発泡体)を作製する成形工程を実施して作製することができる。
前記予備発泡工程では、発泡性樹脂粒子の発泡に利用した発泡剤を予備発泡粒子にある程度残存させておくことが好ましい。
そして、前記成形工程では、この発泡剤を含んだ予備発泡粒子を成形型内で加熱して発泡させ、当該予備発泡粒子を発泡させてなる樹脂発泡粒子を前記成形型内で熱融着させることにより前記ビーズ発泡体を形成させることが好ましい。
但し、本実施形態においては、前記樹脂のガラス転移温度をTg(℃)、前記ビーズ発泡体のガラス転移温度をTg(℃)とした際に、下記関係式(1)を満たすビーズ発泡体を作製するため、前記成形工程後には、ビーズ発泡体を少なくとも表面の温度が発泡剤の沸点以上となるように加熱し、ビーズ発泡体に含まれている発泡剤の一部を揮発除去する発泡剤除去工程を実施する。

0 < (Tg−Tg) ≦ 40℃ ・・・(1)
一般にビーズ発泡体を作製する際は、生産効率を考慮して高温短時間の加熱で予備発泡粒子を二次発泡させて樹脂発泡粒子どうしが熱融着した後は直ちにビーズ発泡体を水冷して成形型から払い出す方法が行われる。
しかしながら、このような方法では、ビーズ発泡体の表層部を構成する樹脂発泡粒子が大きく発泡する結果、当該樹脂発泡粒子の気泡を取り巻く樹脂膜が薄くなってしまったり、ピンホールを生じてしまったりして、前記のような平均透気抵抗度の高いビーズ発泡体を得られにくくなる。
さらに、一般的な方法でビーズ発泡体を作製すると成形型の壁面(成形面)の近くに位置する予備発泡粒子がいち早く二次発泡してビーズ発泡体の表層部となる部位に樹脂発泡粒子の壁を形成してしまい、平均透気抵抗度は高いが内部の発泡剤が抜けず、発泡体内に発泡剤が過剰に残存して前記関係式(1)を満たすビーズ発泡体が得られにくくなる。
そのため、本実施形態における成形工程では、成形面近くの予備発泡粒子が壁を作って成形空間の中心部までの熱媒(水蒸気)や発泡剤の流通経路が閉ざされてしまう前に成形空間の中心部に存在する予備発泡粒子を十分加熱し得るように加熱条件を比較的緩慢なものとすることが好ましい。
そして、成形工程では、このことによって成形空間の中心部に存在する予備発泡粒子に十分な発泡力を発現させるとともに当該発泡力を成形面近くの予備発泡粒子に作用させ、該予備発泡粒子を成形面に圧接させるための圧力へと前記発泡力を転化させることが好ましい。
但し、単に加熱を緩やかなものにしただけでは成形面近くにおいて樹脂発泡粒子間に隙間が残る可能性がある。
なお、予備発泡粒子を形成している樹脂を溶質、発泡剤を溶媒として見た場合、溶媒の温度が高い方が溶質の溶解度が高くなる。
言い換えると予備発泡粒子の気泡膜は、温度が高い方が発泡剤の受容性が向上する。
その一方で、発泡剤は、加熱されることで蒸気圧が高くなって予備発泡粒子から脱離して周囲に拡散し易くなる。
通常のビーズ発泡においては、後者の方が支配的なものとなるが加熱条件を緩慢なものにすると予備発泡粒子から発泡剤が十分に拡散せずにビーズ発泡体に発泡剤が多く残ることがある。
そのため、成形工程後には、得られたビーズ発泡体を再び加熱して余分な発泡剤を揮発除去する発泡剤除去工程を実施することが好ましい。
このことにより前記関係式(1)を満たすビーズ発泡体をより確実に得ることができる。
また、ビーズ発泡体が加熱されることでビーズ発泡体の表面に僅かながら熱溶融が生じてピンホールや樹脂発泡粒子間の隙間が閉塞され得る。
前記発泡剤除去工程は、成形工程に引き続き成形型内で実施してもよく、一旦、成形型から取り出したビーズ発泡体をオーブンなどに入れるなどして実施してもよい。
成形工程で得られるビーズ発泡体は、通常、成形型のコアベントやキリ孔などによる突起が表面に形成されている。
発泡剤除去工程を成形型から取り出したビーズ発泡体に対して実施することで当該ビーズ発泡体を芯材A1とした樹脂複合体Aを作製する前に、突起などの高さを低くして表面を平滑化させることができる。
例えば、成形型から取り出したビーズ発泡体を金属板の上に載せてオーブン中で加熱すれば金属板との接触面に存在する突起は軟化して突出高さが減少されることになる。
なお、本実施形態においては、加熱することでこれらの突起を容易に軟化させることができるので、そのまま繊維強化樹脂材を貼り合せても繊維強化樹脂層A2の表面に凹凸が生じたり、繊維強化樹脂層A2の繊維の並びに乱れが生じたりすることが抑制され得る。
また、本実施形態のビーズ発泡体は、熱歪みを生じ難いことから、繊維強化樹脂層A2の形成時に意図しない寸法変化が生じにくく、寸法精度に優れた樹脂複合体を得ることができる。
さらに、本実施形態のビーズ発泡体は、表層部の平均透気抵抗度が高いことから繊維強化樹脂層A2の形成時に繊維強化樹脂材の樹脂が内部に流入することが抑制される。
従って、本実施形態のビーズ発泡体を使って得られる樹脂複合体Aは、樹脂不足によって繊維強化樹脂層A2の表面に繊維が露出することが防止され、美麗な外観を有するものとなる。
以上のように本実施形態のビーズ発泡体は、美麗な外観を有し、且つ、寸法精度に優れた樹脂複合体を作製容易なものとし得る。
なお、本実施形態においては、高耐熱性樹脂で形成されたビーズ発泡体を例示しているが、本発明のビーズ発泡体は原料となる樹脂の種類が特に限定されるものではない。
高耐熱性樹脂以外に本発明のビーズ発泡体の原材料として利用可能な樹脂を挙げると、例えば、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、スチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂などが挙げられる。
なお、ここではこれ以上に詳細な説明を繰り返すことはしないが、本発明のビーズ発泡体や樹脂複合体については、上記例示に何等限定されるものではない。
次に実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
押出機を用いて直径φ1.0mm×長さ1.1mmのサイズにペレット化したポリエーテルイミド樹脂(SABIC Innovative Plastics社、Ultem(登録商標)1010)を攪拌羽を有する10Lの耐圧容器内にアセトンとともに収容した。
耐圧容器への仕込み量は、ポリエーテルイミド樹脂ペレット(PEIペレット)2kg、アセトン5kgとした。
この耐圧容器内を65℃に加熱してアセトンとPEIペレットとを14時間攪拌してPEIペレットにアセトンを含浸させた。
次いで、アセトンを含浸させたPEIペレットにムラなく送風ブロワーで気流を2時間当ててアセトンを12.9質量%含有するPEIペレット(発泡性樹脂粒子)を得た。
得られた発泡性樹脂粒子に140℃の熱風を60秒当てることで予備発泡粒子を作製し、該予備発泡粒子を300mm×400mm×20mmの内容積(成形空間)を有する成形型に充填した。
予備発泡粒子を充填した成形空間に0.4MPaの飽和蒸気を導入し、該飽和蒸気で30秒間の加熱を行い、蒸気加熱によって予備発泡粒子を2次発泡させる型内成形を実施し、ビーズ発泡体を得た。
このビーズ発泡体の密度は0.127g/cmであり、融着率は80%、連続気泡率は45%であった。
また、このビーズ発泡体の平均透気抵抗度を測定したところ22秒であった。
(樹脂複合体の製造)
前記ビーズ発泡体を厚みをそのままにして大きさを120mm×120mmにカットして芯材とした。
同じく120mm×120mmにカットしたカーボンFRPプリプレグを10枚用意し、この内5枚を前記芯材の上面側に外周縁が揃うように重ねた。
同じように残りの5枚を前記芯材の下面側に配置し予備成形体を作製した。
この予備成形体をオートクレーブで加熱しつつ加圧し、芯材の上下に繊維強化樹脂層が形成された樹脂複合体を作製した(下記条件)。
このときプリプレグより滲出したエポキシ樹脂は、予備成形体とともにオートクレーブに収容したブリーダークロスに吸い取らせた。
このブリーダークロスの使用前後の質量を測定し、その差から滲出したエポキシ樹脂の質量を特定した。
結果、余剰となったエポキシ樹脂の質量が1.86gであったことが判明した。
<複合体成形条件>
加熱条件:90℃/20分、130℃/60分
圧力条件:0.3MPa(+サンプルを真空状態)
プリプレグ:クロスプリプレグTR3523 381GMX(三菱レイヨン社製)
予備成形体の構成:プリプレグ5ply/芯材/プリプレグ5ply
(比較例)
芯材としてSABIC社製ポリエーテルイミドフォーム(ウルテムフォーム XP080)を採用したこと以外は、実施例1と同様にして樹脂複合体を作製した。
なお、使用した「ウルテムフォーム」の連続気泡率は95%で、平均透気抵抗度は3.3秒であった。
また、樹脂複合体作製の余剰エポキシ樹脂量は、0.26gであった。
即ち、芯材へのエポキシ樹脂の進入量は比較例の方が1.5g以上多いことが分かった。
このことからも本発明によれば強度と軽量性とに優れ、且つ、外観美麗な樹脂複合体が得られることがわかる。

Claims (2)

  1. 樹脂発泡体で形成された芯材と、該芯材を覆う繊維強化樹脂層とを備えた樹脂複合体の形成に用いられ、前記芯材として用いられるビーズ発泡体であって、
    ガラス転移温度が180℃以上の樹脂を含み、且つ、前記繊維強化樹脂層で覆われる表面における透気抵抗度が10秒以上であるビーズ発泡体。
  2. 樹脂発泡体で形成された芯材を備え、該芯材を覆う繊維強化樹脂層備えた樹脂複合体であって、
    前記芯材が請求項1記載のビーズ発泡体で形成されている樹脂複合体。
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