JP3652726B2 - 連続成形シートへの表面デポジット層形成方法および装置 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、例えば包装体、特に医薬品などのためPTP包装体のような連続成形シートに表面デポジット層を形成する方法および装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
多数個の錠剤やカプセル剤などの医薬品を収容するために、PTP(Press through pack)包装と呼ばれる包装体が広く知られている。PTP包装体は、図4および図5に示すように、多数のポケット状成形部2を一面側に有し熱可塑性合成樹脂からなる成形シート1と、各ポケット状成形部2内に収容された医薬品等の内容物を外気から遮断しかつポケット成形部2の開口を閉塞するように前記成形シート1の他面側に接合した閉塞シート3とから構成されている。
【0003】
この種PTP包装体の成形シートを構成する熱可塑性合成樹脂材料としては、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂などが使用され、また、閉塞シートの材料としては、典型的には、ヒートシール剤をコートしたアルミ箔、またはヒートシールフィルムをラミネートしたアルミ箔が使用されている。
【0004】
このようなPTP包装体においては、合成樹脂からなる成形シートの水蒸気、ガスの透過性が医薬品等の被包装物の安定性を左右することになる。したがって、水蒸気、ガス等の影響を受け易い被包装物のPTP包装体においては、より大きなバリア性を与えるために、成形シートにバリヤ性に優れたバリヤ層を施すことが行われる。バリア層としては、金属、セラミックス、金属酸化物の蒸着層が用いられることが多い。このようなバリア層の成形は、一般的にはPVD(Physical Vapor Deposition )法で行われている。
【0005】
従来行われている金属、セラミックス、金属酸化物等の蒸着法としては連続式巻取り蒸着法が過去に数例提案されている(例えば特開平4−154968号公報参照)。この従来法を図6について説明すると、同図において、真空処理室4内に冷却ロール5が矢印方向に回転可能に設けられ、前述のようなポケット成形部2を有する連続成形シート1が、真空処理室4内の巻出しロール6aから繰出され、ガイドロール7a、冷却ロール5、ガイドロール7bを経て真空処理室4内の巻取りロール6bに巻きとられるようになっている。冷却ロール5はその内部に冷却媒体が流通するようになっている。冷却ロール5の下方にはるつぼ8があり、このるつぼの中の蒸着原料M(例えば金属、セラミックス、金属酸化物)が加熱源9により加熱される。真空処理室4内の真空雰囲気中でるつぼ8から蒸発した原料Mは、図7に示すように冷却ロール5の下周面に接触して停止している連続成形シート1の表面に蒸着される。冷却ロール5は、蒸着時に高温になるシート1を冷却するために設けられている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
以上の構成をもつ従来の蒸着法では、まず真空処理室4内に連続成形シート1の巻出しロール6aを収容して、シート1を引出して冷却ロール5の周面を通って巻取りロール6bに巻き、次いで処理室4を減圧後、蒸着を行うが、巻出しロール6aおよび巻取りロール6bの最大時の直径は1m程度にもなり、そのため装置そのものが全体的に巨大になってしまう欠点がある。シート1はポケット成形部2を有するから、それを巻くと、図8に示すようにシート1の一巻き同士の間がポケット成形部2により占められるためロール6a,6bの径が大きくなるのであり、しかも2個のロール6a,6bをも収容するために真空処理室4自体も大きくなる。
【0007】
また、PVD法では、蒸着可能な真空度が10-6Torrと大きいために、大きな真空処理室4がその真空度に達するのにかなりの時間がかかり、また、一巻きのシート1の蒸着完了の度にその交換のために蒸着作業を中止しなければならず、しかもロール6a,6bが大きい割に巻き長さが短いため、ロール交換が頻繁になって、コストが増大する。さらに、真空処理室4が大きいと、その内部の真空度が変動し易く不安定になりがちで、そのため蒸着が不安定になって蒸着膜の均一性が失われ、製品の品質低下を招き易い。
【0008】
さらにまた、成形シート1は立体的形状をもつために、図7に示すように冷却ロール5に接しない部分(例えばポケット成形部2)があり、この部分は冷却を受けにくいために損傷を受けて蒸着膜が形成されないことがある。また、冷却ロール5と接しているシート1の部分には、ロール周方向の張力がかかるため、ポケット成形部2が変形したり、蒸着層にクラックが発生する可能性がある。そして、これを防ぐために張力を低くするとロールの巻取りが弛むという問題が生じ、しかも張力の低下により蒸着面に不平滑部ができて蒸着膜の質が低下する。
【0009】
本発明は、従来技術の上述の問題点を解決するためにされたもので、その目的は、真空処理室の容積を小さくすることができるため、装置の占有スペースを小さくすることが可能となるとともに、真空処理室内の所定の真空への到達時間を短くすることができ、かつ真空度の安定を保つことが可能であり、しかも冷却ロールによる冷却が不要なために、成形シートの熱損傷の問題がなく、また成形シートに特に大きな張力をかける必要がないために、成形部の変形やシートに特に大きな張力をかける必要がなく、このため成形部の変形や形成されるバリア層すなわちデポジット層のクラックの問題がなく、結果として、形成されるデポジット層の品質が優れ、しかもデポジット膜形成作業を短時間で効率よく行うことができる連続成形シートへの表面デポジット層形成方法および装置を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明による連続成形シートへの表面デポジット層成形方法は、複数のポケット状成形部を一側面に有する連続成形シートを送り、送りの途中部分で成形シートを真空処理室内に通し、真空処理室内にある成形シート部分の両端部を真空処理室壁部の対向する一対の縁部の間で気密に挟持した状態で、真空処理室内に前記成形シート部分を伸長させ、真空処理室内にデポジット層となる原料および反応ガスを送り込み、真空処理室内に放電を生じさせ、PCVD法により前記成形シート部分の表面にデポジット層を形成し、以上の工程を順次繰返して、前記成形シート部分に続く他の成形シート部分に連続的にデポジット層を形成する表面デポジット層成形方法において、センサにより、真空処理室壁部の一対の縁部の間に連続成形シートの平坦部分があることを検出し、センサからの検出信号に基づいて、制御器により、真空処理室内にある成形シート部分の両端部を真空処理室壁部の一対の縁部の間で気密に挟持するよう制御を行うことを特徴とする。
【0011】
また、本発明による連続成形シートへの表面デポジット層形成装置は、複数のポケット状成形部を一側面に有する連続成形シートの表面にデポジット層を形成する表面デポジット層形成装置において、第1の処理室部分および第2の処理室部分からなりこれらの処理室部分の間に真空領域を形成する開閉可能の真空処理室と、真空処理室外の一側の入口側に設けられた連続成形シートの巻出しロールと、真空処理室外の他側に設けられた連続成形シートの巻取りロールと、前記巻出しロールから送出される連続成形シートを、真空処理室内部を経て前記巻取りロールに巻取らせるように案内する案内手段と、真空処理室に設けられたPCVD装置と、真空処理室内にある成形シート部分の両端部を第1の処理室部分の当接縁部と第2の処理室部分の当接縁部との間で気密に挟持して、該成形シート部分を真空処理室内で不動状態で伸長させるように真空処理室に設けた成形シート部分両端部保持手段と、真空処理室外の入口近傍に設けられ、第1の処理室部分の当接縁部と第2の処理室部分の当接縁部との間に連続成形シートの平坦部分があることを検出するセンサと、センサからの検出信号に基づいて、第1の処理室部分および/または第2の処理室部分を移動させて真空処理室内にある成形シート部分の両端部を第1の処理室部分の当接縁部と第2の処理室部分の当接縁部との間で気密に挟持するよう制御を行う制御器とを備えることを特徴とする。
【0012】
さらに、本発明の連続成形シートへの表面デポジット層形成装置は、複数のポケット状成形部を一側面に有する連続成形シートの表面にデポジット層を形成する表面デポジット層形成装置において、入口および出口に一対の摺動可能なシャッタをそれぞれ有し開閉可能の真空処理室と、真空処理室外の一側の入口側に設けられた連続成形シートの巻出しロールと、真空処理室外の他側に設けられた連続成形シートの巻取りロールと、前記巻出しロールから送出される連続成形シートを、真空処理室内部を経て前記巻取りロールに巻取らせるように案内する案内手段と、真空処理室に設けられたPCVD装置と、真空処理室内にある成形シート部分の両端部を一対のシャッタの各当接縁部の間で気密に挟持して、該成形シート部分を真空処理室内で不動状態で伸長させるように真空処理室に設けた成形シート部分両端部保持手段と、真空処理室外の入口近傍に設けられ、一対のシャッタの各当接縁部の間に連続成形シートの平坦部分があることを検出するセンサと、センサからの検出信号に基づいて、一対のシャッタを閉じて真空処理室内にある成形シート部分の両端部を一対のシャッタの各当接縁部の間で気密に挟持するよう制御する制御器とを備えることを特徴とする。
【0013】
また、デポジットされる領域を生産コスト・PTPポケットの大きさ・ポケット毎のデポジット層の安定性の理由より変えたい場合は、真空処理室の大きさによって任意に変えることができる。
【0014】
前記成形シート部分両端部保持手段は、真空処理室の両側壁部により構成することができる。このためには、真空処理室を2つの処理室部分に分割し、それらの部分が真空処理室の閉鎖のために互いに近付いて当接する時に、それらの当接縁部間で成形シート部の両端を挟んで保持するようにする。または、真空処理室の両側壁に入口および出口を設け、これらの入口および出口をそれぞれ開閉する1対のシャッタが互いに近付いて閉じる時に、それらの当接縁部間で成形シート部分両端を挾持して保持してもよい。
【0015】
【作用】
真空処理室外一側すなわち入口側の巻出しロールから引出された連続成形シートを真空処理室の部分に通して、真空処理室外他側の巻取りロールに巻きとらせ、次いで真空処理室を閉じると、真空処理室の両側壁部で、真空処理室内にある連続成形シート部分の両端部が気密に保持され、連続成形シート部分は真空処理室内でその一側から他側にわたり伸長して張渡される。この状態で真空処理室内を排気して真空にし、かつ原料および反応ガスを真空処理室内に供給して、PCVD法により連続成形シート部分の表面にデポジット層を形成する。次いで、真空処理室を開き、連続成形シートを解放して先へ送った後、再び上述した工程を反復して連続成形シートの表面に順次デポジット層を形成していく。
【0016】
また、連続成形シートが真空処理室から出た後、巻取りロールで巻取らずにシートを所定の幅に裁断する場合もある。ポケット毎のデポジット層のバラツキを改善するため真空処理室の大きさを可変にして、デポジット領域を任意に設定することができる。
【0017】
【実施例】
以下、図面を参照して本発明の実施例を説明する。
【0018】
本発明によれば、ポケット成形部2のような成形部をもつ連続成形シート1へのバリア層、すなわちデポジット層の形成が、従来例のようなPVD(Physical Vapor Deposition )法ではなく、PCVD(Plasma Chemical Vapor Deposition)法により行われる。PCVD法は、PVD法で要求される真空度である10-6Torrよりはるかに低い真空度10-2Torrで、高周波グロー放電や低圧アーク放電を利用して反応ガスをイオンやラディカルに励起し、それらの化学反応によってデポジット層を形成する方法であって、化学反応に熱励起を行なわない方法である。この方法では、プラズマを発生させるために、10-2Torr以下の真空で一般的に直流あるいは高周波電界を印加する。
【0019】
図1は、本発明で用いるPCVD法によるデポジット層形成装置を示す。同図において、14は、第1の(上部)処理室部分14aおよび第2の(下部)処理室部分14bからなる真空処理室である。これらの処理室部分14a,14bは、いずれか一方、または両方が互いに近付く方向へ可動になっており、図2に示すように互いに最も近付いた時に一つの室を形成できるようになっている。両処理室部分14a,14bが互いに当接した時には、それらの当接縁部18a,18bが気密に接するように、シール部19a,19bを設けるのが望ましい。当接縁部18a,18bは成形シート1の両端部保持手段を構成する。
【0020】
第1処理室部分14aはその上壁内側にマグネットMgが取付けられており、このマグネットMgは、外部の電源20(例えば高周波電源)に接続されている。また、第1処理室部分14aにはその上壁部等に原料・反応ガス導入管21が設けられている。原料は原料タンク22に貯えられていて、蒸発装置23を通って蒸発させられ、原料ガスとして導入管21へ送り込まれる。また、反応ガスは、反応ガスボンベ24に貯えられていて、流量調節装置25により流量を調節されて導入管21へ送り込まれる。原料ガスと反応ガスの混合割合は、流量調節装置25の制御により変えられる。このようにして、原料ガスと反応ガスの混合物は導入管21を経て真空処理室14内に供給されるようになっている。また、第2処理室部分14bには、処理室14内を真空にする際に用いる真空ポンプ27をもつ吸引管28が接続されている。
【0021】
真空処理室14の外側の一側の入口側には、巻出しロール16aが、また他側の出口側には巻取りロール16bが設けられており、巻出しロール16aから送り出されたポケット成形部2をもつ連続成形シート1は、ガイドロール17aを経て図1に示すように1対の処理室部分14a,14bの間の空間を通され、次いでガイドロール17bを経て巻取りロール16bに巻取られるようになっている。
【0022】
真空処理室14の当接縁部14aまたは14bの近傍には、連続成形シート1の各ポケット成形部2を検出するためのセンサ26が設けられている。このセンサ26は接触式センサでもよいが、非接触式センサが好ましい。例えば、ポケット成形部2を光電的に検出するセンサとすることができる。ポケット成形部2の位置では、それがない平坦なシート部分よりも、センサ26の発光部から出て連続成形シート1で反射して受光部へ戻る光量が乱反射等のために少なくなるので、センサ26がそれを検出して信号を発するようにすることができる。この場合には、センサ26が成形部2を検出する位置で成形シート1の平坦部が当接縁部18a,18bに対向するようにセンサの位置設定をしておけばよい。センサ26からの検出信号は、巻取りロール16bを巻取りのために回転駆動するモータMtの制御器30へ入力する。
【0023】
次に、以上に述べたデポジット層成形装置の作用を説明する。
【0024】
本発明の方法で用いるデポジット層の材質は、金属、セラミックス、金属酸化物であるが、PCVD法により成膜できるものであれば、どの材料でもよい。しかし、透明セラミックスが好ましく、特に酸化ケイ素SiOx(x=1〜2)がよい。これは、成膜特性の点、およびPTPとして中味が良く見える点から考えられることである。
【0025】
まず、図4、図5のように予め成形された連続成形シート1を図8に示す形態で巻取りロール16aに巻きとっておく。この時、成形部2が潰れないように巻き張力を調整する。そして、図1のように真空処理室14が開放されている状態で、シート1をガイドロール17a,17b間に通したうえ、巻取りロール16bをモ−タMtで矢印方向に回転駆動する。そして、隣接する成形部2,2の間の平坦なシート面が当接縁部18a,18bに対向する位置に来た時に、成形部2が当接縁部18a,18bに対向していないことをセンサ26が検出して信号を出力し、それが制御器30に入力されて、モータMtが瞬時にて停止させられる。これによって、成形シート1の送りが停止する。
【0026】
一方、制御器30はそれへの入力に応じて真空処理室14の開閉用駆動機構29へ信号を送り、これにより、真空処理室14が閉鎖させられる。この閉鎖は、前述のように第1、第2の処理室部分14a,14bの双方または一方が移動することにより行われる。真空処理室14の閉鎖によって、その当接縁部18a,18bは図2に示すように閉鎖して、それらの間に成形シート1の平坦部分を挟んで保持する。これによって、真空処理室14内にある成形シート部分1aは図2のように両側の当接縁部間に直線状に張渡されるようになる。そして、真空処理室14は外部に対してシールされる。
【0027】
次いで、、真空ポンプ27を運転して室14内を、10-1から10-4Torrの成膜可能な真空度、好ましくは10-2Torrまで減圧する。原料は、モノシラン(SiH4)ガス、またはテトラメチルジシロキサン、またはヘキサメチルジシロキサンを用いることができる。また、反応ガスとしては、酸素、窒素、アルゴン等を用いることができる。そして、電源20を接続して真空処理室14内でグロー放電やECR放電を生起させると、PCVD法により、SiOx等のデポジット層が成形シート1の面に形成される。勿論、成形部2にもデポジット層が形成される。図2中、Pはプラズマプロセスが行われていることを示している。デポジット層の膜厚は、10〜3000オングストロームであり、好ましくは100〜400オングストロームである。
【0028】
デポジット層の形成後、図1に示すように真空処理室14を開放し、モータMtによって巻取りロール16bを駆動し、成形シート1を先へ送り、デポジット層の形成されていない成形シート部分を真空処理室14の領域に搬送し、前述したと同じプロセスを反復して行う。これによって、成形シート1の全域にわたりデポジット層が順次形成されたシートのロールが巻取りロール16b上に得られる。
【0029】
図3は、本発明によるデポジット層形成装置の他の実施例を示す。この実施例が図1および図2の実施例と異なる点は、真空処理室14Aが第1および第2の処理室部分に分割されておらず不動の1個の処理室からなり、処理室14Aの開閉を行うためと成形シート1を通すために、入口32aおよび出口32bが両側に設けられ、これらの入口および出口を開閉するように各1対のシャッタ33a、33bが設けられていることである。入口側および出口側の一対のシャッタ33a、33a、33b、33bは、それぞれ、専用の駆動源(例えば電磁ソレノイド)34a、34bに連結されており、入口32a、出口32bに沿って図3で上下方向に摺動可能である。この摺動のために、真空処理室14Aの側壁に適当な摺動ガイド(図示しない)を設けることができる。駆動源34a、34bは真空処理室14Aの外壁に支持することができる。真空処理室14Aのシールのために、対をなすシャッタ33a、33aおよび33b、33bの対向縁部に図1の場合と同様にシール部を設けることができる。シャッタ33a、33bの対向する当接縁部は成形シート端部の保持手段を構成する。以上に説明しなかった部分には、図1および図2と同じ符号を付して説明を省略する。これらは、図1および図2のものと均等の部分である。
【0030】
この実施例では、真空処理室14A内での成膜の際には、対をなすシャッタ333a、33a、33b、33bを互いに近付けて当接させることにより、真空処理室を閉鎖しかつ対をなすシャッタの対向縁部で成形シート1の平担部を挾んで保持する。また、対をなすシャッタ33a、33bを互いに離れる方向に摺動させると、入口32aおよび出口32bが開放されて、成形シート1を先へ送ることができる。この実施例では、真空処理室14Aの本体を開閉のたびに移動させる必要がないので、動作が安定する。なお、駆動源34a、34bは制御器30からの信号により作動する。
【0031】
図9は、もう一つの実施例を示す。この実施例が図1、図2および図3の実施例と異なる点は、連続成形シートをデポジット後にロール状に巻き取らずに所定の幅に裁断する点である。
【0032】
デポジットされた連続成形シートはシート送りロール35によって送られる。この送りロール35の断面は、図10(a),(b)に示すように外周面が38で示すように凹状になっており、ポケット成形部2が潰れないようになっている。図10(a)のように、凹部38を1つ持った構造でも良いし、図10(b)ような凹部38を複数個持った構造でも良い。また、ロール35の表面はゴムからなり、連続成形シートは滑らずに送られる。送りロール35はモーターMtによって回転し、所定の位置に送られたことをセンサ26が検出して信号を出力すると、それが制御器30に入力されて、モーターMtは瞬時に停止させられる。これによって、成形シート1の送りが停止する。
【0033】
図1,2の実施例の場合と同様の方法で成形シート1の表面にデポジット処理がなされ、真空処理室14から出て図9のようになった状態で、成形シート1はカッタ36により所定幅に裁断される。裁断された成形シートは取り除かれ、真空処理室14が開かれ連続成形シートはまた送りロール35によって所定の位置まで送られる。
【0034】
次に、本発明の具体的実施例を述べる。
【0035】
実施例
200μmのPET原反シートをプラグアシスト圧空成形方式により、包装用連続成形シートに成形した。これを、ロールに巻き取り、図1、図2のデポジット層形成装置によりSiOx膜を300オングストローム厚さで成膜した。原料は、テトラメチルジシロキサンを用い、反応ガスとして酸素、窒素、アルゴンを用いた成膜後SEMにより表面を観察し、均一にSiOx膜が成膜されていることを確認した。また、クラックは全く無かった。ポケットの潰れ、熱ダメージも全く無かった。
【0036】
評価には、1ポケット当たりの透湿度を測定した。測定方法は、JIS−Z−0208に基づく。
【0037】
比較例として、同一のPTP原反シートを通常の連続巻取り蒸着機によりSiOx膜を成膜した。
【0038】
【0039】
【発明の効果】
本発明による連続成形シートへの表面デポジット層形成方法および装置によれば、巻出しロールおよび巻取りロールが真空処理室外にあるので、真空処理室の容積が小さくなり、占有スペースが少なくてすみ、装置全体が小型になるとともに、真空処理室内の所定の真空への到達時間が短くかつ真空度の安定が保たれる。また、本発明では、PCVD法を用いることにより冷却ロール等による成形シートの冷却が不要で、成形シートの熱損傷の問題がなくなり、さらに冷却ロールが不要のため、成形シートに格別の張力を掛ける必要がなく、成形部の変形やデポジット層のクラックの発生がない。また、真空処理室の一部が、真空処理室内にある成形シート部分の両端を保持するので、成形シートが一定の位置に保持され、優れた品質のデポジット層が形成される。また、ロールの着脱を真空処理中に行うこともでき、作業能率が向上する。デポジット層の形成後に成形シートを所定幅に裁断すれば、成形シートは直ちに包装工程へ回すことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例の開放状態での縦断面略図。
【図2】図1の実施例の閉鎖状態での縦断面略図。
【図3】本発明の他の実施例の閉鎖状態での縦断面略図。
【図4】成形シートの一例の平面図。
【図5】図4の正面図。
【図6】従来の連続成形シートデポジット層形成装置の縦断面図。
【図7】図6の冷却ロール部の拡大図。
【図8】図6のロール部の拡大図。
【図9】本発明の他の実施例の閉鎖状態での縦断面略図。
【図10】図9の送りロールの変形例を示す図。
【符号の説明】
1 連続成形シート
1a 成形シート部分
2 ポケット成形部
3 閉塞シート
14,14A 真空処理室
14a 第1の処理室部分
14b 第2の処理室部分
16a 巻出しロール
16a 巻取りロール
18a,18b 当接縁部
19a,19b シール部
Mg マグネット
20 電源
21 原料・反応ガス導入管
22 原料タンク
23 蒸発装置
24 反応ガスボンベ
25 流量調節装置
26 センサ
27 真空ポンプ
28 吸引管
29 真空処理室開閉用駆動機構
Mt モータ
30 制御器
P プラズマプロセス
32a 入口
32b 出口
33,33b シャッター
34a,34b 駆動源
35 送りロール
36 カッター
Claims (3)
- 複数のポケット状成形部を一側面に有する連続成形シートを送り、送りの途中部分で成形シートを真空処理室内に通し、真空処理室内にある成形シート部分の両端部を真空処理室壁部の対向する一対の縁部の間で気密に挟持した状態で、真空処理室内に前記成形シート部分を伸長させ、真空処理室内にデポジット層となる原料および反応ガスを送り込み、真空処理室内に放電を生じさせ、PCVD法により前記成形シート部分の表面にデポジット層を形成し、以上の工程を順次繰返して、前記成形シート部分に続く他の成形シート部分に連続的にデポジット層を形成する表面デポジット層成形方法において、
センサにより、真空処理室壁部の一対の縁部の間に連続成形シートの平坦部分があることを検出し、
センサからの検出信号に基づいて、制御器により、真空処理室内にある成形シート部分の両端部を真空処理室壁部の一対の縁部の間で気密に挟持するよう制御を行うことを特徴とする連続成形シートへの表面デポジット層成形方法。 - 複数のポケット状成形部を一側面に有する連続成形シートの表面にデポジット層を形成する表面デポジット層形成装置において、
第1の処理室部分および第2の処理室部分からなりこれらの処理室部分の間に真空領域を形成する開閉可能の真空処理室と、
真空処理室外の一側の入口側に設けられた連続成形シートの巻出しロールと、
真空処理室外の他側に設けられた連続成形シートの巻取りロールと、
前記巻出しロールから送出される連続成形シートを、真空処理室内部を経て前記巻取りロールに巻取らせるように案内する案内手段と、
真空処理室に設けられたPCVD装置と、
真空処理室内にある成形シート部分の両端部を第1の処理室部分の当接縁部と第2の処理室部分の当接縁部との間で気密に挟持して、該成形シート部分を真空処理室内で不動状態で伸長させるように真空処理室に設けた成形シート部分両端部保持手段と、
真空処理室外の入口近傍に設けられ、第1の処理室部分の当接縁部と第2の処理室部分の当接縁部との間に連続成形シートの平坦部分があることを検出するセンサと、
センサからの検出信号に基づいて、第1の処理室部分および/または第2の処理室部分を移動させて真空処理室内にある成形シート部分の両端部を第1の処理室部分の当接縁部と第2の処理室部分の当接縁部との間で気密に挟持するよう制御を行う制御器とを備えることを特徴とする連続成形シートへの表面デポジット層形成装置。 - 複数のポケット状成形部を一側面に有する連続成形シートの表面にデポジット層を形成する表面デポジット層形成装置において、
入口および出口に一対の摺動可能なシャッタをそれぞれ有し開閉可能の真空処理室と、
真空処理室外の一側の入口側に設けられた連続成形シートの巻出しロールと、
真空処理室外の他側に設けられた連続成形シートの巻取りロールと、
前記巻出しロールから送出される連続成形シートを、真空処理室内部を経て前記巻取りロールに巻取らせるように案内する案内手段と、
真空処理室に設けられたPCVD装置と、
真空処理室内にある成形シート部分の両端部を一対のシャッタの各当接縁部の間で気密に挟持して、該成形シート部分を真空処理室内で不動状態で伸長させるように真空処理室に設けた成形シート部分両端部保持手段と、
真空処理室外の入口近傍に設けられ、一対のシャッタの各当接縁部の間に連続成形シートの平坦部分があることを検出するセンサと、
センサからの検出信号に基づいて、一対のシャッタを閉じて真空処理室内にある成形シート部分の両端部を一対のシャッタの各当接縁部の間で気密に挟持するよう制御する制御器とを備えることを特徴とする連続成形シートへの表面デポジット層形成装置。
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JP32217594A JP3652726B2 (ja) | 1994-12-26 | 1994-12-26 | 連続成形シートへの表面デポジット層形成方法および装置 |
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