JP3652549B2 - 化粧料 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、分散状態の気泡を安定的に含有する化粧料に関し、更に詳細には、気泡の安定性に優れ、手に取ったときの軽さや、肌に塗布した際の使用感等において、従来にない新規な感触を有する気泡含有化粧料に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、気泡を含有する食品として、ホイップクリームやホイップドマーガリン等が知られている。
また、気泡を含有する化粧料としては、特定油剤を配合し、気体をオーバーランさせて処理したホイップド化粧料(特公昭63−23962号公報)や、界面活性剤の存在下で起泡化したゲル状パック料(特開平5−32523号公報)、20μ未満の気泡を安定に配合した化粧品組成物(特表平8−503936号公報)等が提案されている。
さらに、気泡を配合し、実際に商品化されている化粧料として、エアゾールのように使用時に液体化粧料に気泡を巻き込ませる機構のもの等が知られている。
【0003】
しかしながら、高融点ワックスを配合してホイップ処理した油中水型のホイップド化粧料では、使用時の感触が重くなり、気泡が入っていても、その特徴を使用感に反映し難く、せっかく気泡を含有しているにも関わらず、その特性が発揮されないという問題を有していた。
【0004】
また、特定の水溶性高分子等を組み合わせて気泡化したゲル状パック料は、気泡の安定性が充分なものではなく、気泡を含有させた感触的な特徴も少ないものであった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、気泡を安定に、且つ均一に含有させ、気泡の特性(感触のやわらかさ、ふわりとした軽さ、肌に塗布した時の軽快なのび等)を十分に生かした良好な使用感を有する化粧料を提供することをその課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記実情に鑑み、本発明者は鋭意研究の結果、特定の多糖類を用いることにより、化粧料中に気泡を安定且つ均一に分散させることができるため、気泡の特性を生かした全く新しい使用感を有する化粧料が得られることを見出し、本発明を完成するに到った。
【0007】
すなわち本発明は、一般式(1)
【化3】
Figure 0003652549
(式中、nは整数を示す)
で示される繰り返し単位からなるネイティブジェランガムを含有し、化粧料内部に気泡が安定的に分散されている気泡含有化粧料である。
【0008】
また本発明は、上記一般式(1)のネイティブジェランガムを含有する化粧料中に気泡を分散させることを特徴とする気泡含有化粧料の製造方法である。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明で化粧料中の気泡を安定的に保持するために使用するネイティブジェランガムは、前記一般式(1)で示される糖の繰り返し単位を有する天然の多糖類であり、例えば微生物であるシュードモナス・エロディア(Pseudomonas eodea)を発酵させたときに菌体外に産出する多糖類を分離精製したガムである。
【0010】
上記ネイティブジェランガムとしては、例えばケルコゲルLT100(ケルコ社製)等の市販品を有利に利用できる。
【0011】
本発明化粧料におけるネイティブジェランガムの含有量はとくに限定されるものではないが、好ましくは0.1〜1重量%、より好ましくは0.3〜0.8重量%である。
【0012】
本発明化粧料に含有する気泡の量(気泡内包率)は、5体積%〜90体積%の範囲が好ましく、ふわっとした感触で指にとれ、のびが軽く、肌等に対する気泡独特の良好な感触を得る上で、15〜70体積%の範囲がより好ましい。
また、化粧料中の気泡の径は、およそ1〜5000ミクロン程度の範囲が好ましく、平均径が10〜100ミクロンの範囲であればより好ましい。
【0013】
本発明の化粧料は、ゲル化剤として上記ネイティブジェランガム用い、化粧料中に気泡を分散させる以外は常法に従い製造することができる。化粧料に気泡を分散させる方法は特に限定されるものではなく、例えば化粧料の製造中に空気や不活性ガスをバブリングしながら混合攪拌する方法や、気泡を巻き込み易い構造を有した攪拌ミキサー等を用いる方法、また、起泡剤を用いて気泡を生じさせる方法等が挙げられる。
【0014】
本発明では、化粧料中に分散させた気泡は、そのままの状態で安定的に保たれる。すなわち、化粧料が流通、保管される通常の温度、圧力、振動、衝撃等の条件下で、化粧料中の気泡が系外へ放出されることによりその数が著しく減少したり、気泡同士が融合して気泡の大きさにばらつきが生じたりすることなく、ほぼ一定の気泡数と大きさが維持される。また経時的にも、通常の流通、保管および使用期間において安定的な分散状態が維持される。
【0015】
本発明化粧料には、任意成分として界面活性剤を配合することが好ましい。界面活性剤を配合することにより、系中に気泡を分散させた時、より系を安定に保つことができる。界面活性剤は、通常化粧品に用いられるものであればよく、非イオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤等が挙げられる。本発明では目的に応じてこれらの一種又は二種以上を適宜選択して使用することができる。これらの中でも両性界面活性剤が好ましく、特にリン脂質がより好ましい。
【0016】
界面活性剤の含有量は特に限定はされないが、含有させた気泡を安定化する上で、好ましくは0.05〜10重量%であり、より好ましくは0.1〜5重量%である。
【0017】
本発明化粧料のベ−スは、主として水性であり、上記成分に加え、さらに通常の化粧料に用いられる成分、例えば、油剤、粉体、水溶性高分子、多価アルコール、低級アルコール、紫外線吸収剤、酸化防止剤、殺菌剤、防腐剤、香料、着色料、美容成分等を本発明の効果を損なわない範囲で使用することができる。
【0018】
本発明のゲル状化粧料は、例えばスキンケア化粧料として、化粧水、乳液、クリーム、洗顔料、クレンジング等、メーキャップ化粧料として、ファンデーション、アイシャドウ、口紅等、頭髪化粧料として、シャンプー、リンス、ヘアコンディショナー等の用途に使用することができる。
【0019】
【作用】
従来、ゲル化剤または安定化剤として食品、化粧品等に配合されてきた脱アセチル化ジェランガムと異なり、本発明に用いるネイティブジェランガム(アセチル基含有ジェランガム)は脱アセチル化されていない構造を有する。この構造の違いにより、従来の脱アセチル化ジェランガムの水溶液が固く脆いゲルを形成するのに対し、本発明で用いるネイティブジェランガムは弾力性に優れる為、温度変化により生じる内包気泡の体積変化による気泡の合一を防ぐことができ、又、pHの影響を受け難いという特徴を有している。従って、従来の脱アセチル化ジェランガムを用いても、本発明の化粧料に良好な気泡安定性を付与することができない。
【0020】
【実施例】
次に、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらによりなんら制約されるものではない。
【0021】
実施例1〜5および比較例1〜5
表1に示す組成および以下に示す製造方法に従ってスキンクリームを調製した。得られたスキンクリームについて、安定性および官能評価を行った。その結果を併せて表1に示す。
【0022】
【表1】
Figure 0003652549
【0023】
<製造方法>
A:1〜7、8の一部、9〜12、16の一部を加温溶解し、攪拌して泡立てる(ホイッピング処理)。
B:8の残部と13〜15、16の残部を加温溶解する。
C:AとBを混合し、冷却する。
【0024】
<気泡安定性の評価>
表1の各化粧料を40℃で1ヶ月間保管した後、次式に基づき気泡安定性のスコアを算出し、下記判断基準に従って評価を行った。
【0025】
【数1】
気泡安定性スコア=(A/B)×100
A:1ケ月後の気泡内包率
B:製造直後の気泡内包率
【0026】
(判定基準)
安定性スコア
90以上 ; ◎
80以上90未満 ; ○
80未満 ; ×
【0027】
<ゲル安定性評価>
40℃で1ケ月保管後に目視にて、化粧料表面に分離した液状物(排液)の有無を確認した。
【0028】
(判定基準)
排液していない ; ○
排液している ; ×
【0029】
<官能評価>
実施例1〜5および比較例1〜5の各化粧料について、女性専門パネル10名により、下記の項目に関する評価をしてもらい、以下の基準に従って判定を行った。
【0030】
(評価項目)
・とる時にふんわりとした軽いとれを感じるか(+)、否か(−)
・肌上で伸ばす時にのびが軽いと感じるか(+)、否か(−)
・使用後はさらっとしていると感じるか(+)、否か(−)
【0031】
(判定基準)
8名以上が+と感じる ; ◎
6〜7名が+と感じる ; ○
3〜5名が+と感じる ; △
2名以下が+と感じる ; ×
【0032】
実 施 例 6
気泡含有ファンデーション:
< 成 分 > 配合量(重量%)
1.ネイティブジェランガム 0.5
2.プロピレングリコール 3
3.1,3-ブチレングリコール 12
4.グリセリン 3
5.水添レシチン 2
6.流動パラフィン 5
7.タルク 12
8.酸化チタン 8
9.黄色酸化鉄 1.0
10.ベンガラ 0.2
11.黒色酸化鉄 0.05
12.パラベン 0.1
13.香料 0.05
14.精製水 残 部
【0033】
<製造方法>
A:1、2、5の一部、14を加温溶解し、攪拌して泡立てる(ホイッピ ング処理)。
B:成分3、4、5の残部、6〜12を混練処理する。
C:AにBを加え、冷却し、13を添加する。
【0034】
<結 果>
得られた気泡含有ファンデ−ションは、気泡内包率30体積%で、経時安定性に優れ、軽い使用感をもつ、優れたファンデ−ションであった。
【0035】
実 施 例 7
気泡含有クレンジング:
< 成 分 > 配合量(重量%)
1.ネイティブジェランガム 0.7
2.プロピレングリコール 5
3.ジプロピレングリコール 10
4.水添レシチン 3
5.モノオレイン酸ポリオキシエチレン(15EO)ソルビタン 1
6.香料 0.02
7.精製水 残 部
【0036】
<製造方法>
A:1〜5、7を加温溶解する。
B:Aをゆっくりと冷却しながら、空気を送り込む(バブリング処理)。
C:Bに6を添加する。
【0037】
<結 果>
得られた気泡含有クレンジングは、気泡内包率55体積%で、経時安定性に優れ、軽い使用感をもつ、優れたクレンジング料であった。
【0038】
実 施 例 8
気泡含有ヘアクリーム:
< 成 分 > 配合量(重量%)
1.ネイティブジェランガム 0.3
2.プロピレングリコール 5
3.1,3-ブチレングリコール 10
4.グリセリン 10
5.ポリオキシエチレン(20EO)硬化ヒマシ油 2
6.トリオクタン酸セチル 3
7.ワセリン 5
8.水添レシチン 2
9.香料 0.2
10.精製水 残 部
【0039】
<製造方法>
A:5〜8を加温溶解する。
B:1〜4、10を加温溶解する。
C:AにBを加え、乳化する。
D:Cをゆっくりと冷却しながら、攪拌して泡立てる(ホイッピング処理)。
E:Dに9を添加する。
【0040】
<結 果>
得られた気泡含有ヘアクリ−ムは、気泡内包率5体積%で、経時安定性に優れ、軽い使用感をもつ、優れたヘアクリ−ムであった。
【0041】
【発明の効果】
本発明の気泡含有化粧料は、化粧料中に分散した気泡が安定的に保持される結果、気泡の持つ特性が十分に発揮され、従来にない新規で良好な使用感を得ることができる。すなわち、非常に軽く、ふわっとした感触で指にとれ、肌等へ塗布する際ののびも軽く、気泡がスム−ズに壊れるという、これまでの化粧料にはない独特の良好な感触が得られるものである。
以 上

Claims (5)

  1. 一般式(1)
    Figure 0003652549
    (式中、nは整数を示す)
    で示される繰り返し単位からなるネイティブジェランガムを . 3〜0 . 8重量%含有し、化粧料内部に気泡が安定的に分散されてなる気泡含有化粧料。
  2. 化粧料中の気泡内包率が5体積%〜90体積%である請求項1記載の気泡含有化粧料。
  3. さらに界面活性剤を . 1〜5重量%含有する請求項1または2記載の気泡含有化粧料。
  4. 界面活性剤が、両性界面活性剤である請求項第3項記載の気泡含有化粧料。
  5. 一般式(1)
    Figure 0003652549
    (式中、nは整数を示す)
    で示される繰り返し単位からなるネイティブジェランガムを含有する化粧料中に気泡を分散させることを特徴とする気泡含有化粧料の製造方法。
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