JP3652280B2 - 脱穀装置のシーブケース構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
脱穀装置の選別部に配備されるシーブケースの構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
小型の脱穀装置に装備されるシーブケースとしては、ケース周壁部、受網から漏下した処理物を比重選別するグレンパン、グレンパン上での処理物の偏りを是正する寄せ板、等を樹脂成形により一体形成したものが知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
樹脂成形により一体化したシーブケースは、軽量化、部品点数および組立て工数の節減、などを図る上で有用であるが、型抜き上の制約からオーバーハングしたグレンパンの成形などが困難であるとともに、脱穀装置のサイズや能力に対応して仕様の異なるシーブケースが必要となる場合、専用の金型が必要となって製作コストが高くなってしまうおそれがあった。
また、小型の樹脂成形シーブケースは十分な強度が確保できるのであるが、サイズが大きくなると強度上には不十分であり、中型あるいは大型の脱穀装置用のシーブケースには適用が困難であった。
【0004】
本発明はこのような点に着目してなされたものであって、その目的は、グレンパンと一体形成するシーブケースの樹脂形成を容易に行うとともに、上位機種から下位機種まで大きさの異なる脱穀装置に幅広く利用できるシーブケースを提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
〔請求項1に係る発明の構成、作用、および、効果〕
【0006】
請求項1に係る発明の脱穀装置のシーブケース構造は、受網より漏下した脱穀処理物を受けて一方向へ移送するように、処理物移送方向での上手側に位置させた前部グレンパンと、その前部グレンパンよりも処理物移送方向の下手側で低位に配置された後部グレンパンとを樹脂成形により一体形成してシーブケースを構成するとともに、
前記シーブケースとは別体に形成した板金構造の延長グレンパン部分を、前部グレンパ ンの後方箇所において、シーブケースの左右の側壁間に亘って架設し、
該延長グレンパン部分の前端側を前部グレンパンの後端側に重ね合わせ状態で支持させるとともに、その延長グレンパン部分の後端側を前部グレンパンと後部グレンパンとにわたる前壁部分に支持させてあることを特徴とする。
【0007】
上記構成によると、例えば、最低限必要なグレンパンの範囲をシーブケースと一体形成し、グレンパンの選別距離が長く必要な脱穀装置や、グレンパンの選別距離が比較的短くてよい脱穀装置に対して、その必要となるグレンパンの残りの範囲を延長グレンパン部分として後付けすることによって、グレンパンの選別距離が異なる複数種類の脱穀装置に対して、グレンパンを一体形成したシーブケースは一種類だけ用意すればよい。また、シーブケースの左右側壁間に亘って架設する金属製の延長グレンパン部分は剛性が高く、シーブケースを補強する機能を発揮する。
【0008】
従って、請求項1の発明によると、サイズや能力の異なる複数種類の脱穀装置に対して、一体形成したグレンパンのサイズが異なるシーブケースをそれぞれ用意する必要がなくなり、製作コストを低減させることができる。また、分割したグレンパン部分を板金製に構成することによってシーブケースの強度も高くなり、小型機のみならず中型機や大型機への適用も可能となる。
【0009】
〔請求項2に係る発明の構成、作用、および、効果〕
【0010】
本発明の請求項2にかかる特徴構成は、請求項1に記載のものにおいて、前部グレンパン上の処理物を傾斜案内する樹脂製の寄せ板を、前部グレンパン上に一体的に立設するとともに、延長グレンパン部分上に延長寄せ板部分を立設し、延長グレンパン部分をシーブケースに装着した状態において、延長寄せ板部分の前端部を前部グレンパン上の前記寄せ板の後端部に形成したスリットに差し込み連結してある点にある。
【0011】
上記構成によると、寄せ板の繋ぎ部位は差込み連結構造となっているので、大きい振動や外力が作用しても差込み連結が外れてしまうようなことはなく、また、差込み連結は、搬送上手の寄せ板後端部に形成したスリットに延長寄せ板部分の前端部を差し込む構造とすることで、繋ぎ部位に処理物が引っ掛かることがなく、処理物の流動を円滑に行わせることができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は、本発明を適用したコンバイン搭載用の脱穀装置を示している。この脱穀装置は、図2にも示すように、フィードチェーン1によって挟持搬送されてきた刈取穀稈を脱穀処理する扱胴2を扱室3に軸支し、脱穀した処理物を扱胴2の下方で漏下処理する受網4を張設する脱穀部Aと、脱穀処理物を後方に揺動移送しながら揺動選別ならびに風選別処理して、選別処理物を一番物(穀粒)と二番物とに分けて回収する選別部Bとを備えて構成している。
【0013】
選別部Bは、一定ストロークで前後方向に揺動駆動するように構成して脱穀部Aからの処理物を穀粒とわら屑とに選別するシーブケース5と、このシーブケース5から漏下してくる穀粒を回収して穀粒タンク(図示せず)に搬出する一番物回収部7と、シーブケース5の後部から落下する刺さり籾や枝付き籾等の二番物を二番物還元装置9を介して選別上手側に還元して再処理させる二番物回収部8とを備えるとともに、シーブケース5上に浮遊する塵埃を吸引して機外に排出する排塵ブロア21を備えてある。
【0014】
そして、図3〜図6に示すように、シーブケース5は、シーブケース5の側壁23と、受網4の前部から漏下した処理物を穀粒とわら屑とに比重選別しながら後方へ移送する前部グレンパン(グレンパンに相当)11と、この前部グレンパン11の後下方に位置して前壁24によって前部グレンパン11と連設してある後部グレンパン12と、前部グレンパン11上にシーブケース5の右側の側壁23から前部グレンパン11の後端まで斜め配置して処理物の後方への搬送に伴って前部グレンパン11底部の処理物を機体左側に移送させる寄せ板16とを、樹脂成形によって一体形成して構成してある。
【0015】
シーブケース5には、板金製の延長グレンパン部分17、前部グレンパン11や受網4からの処理物を篩い選別する粗選別用のチャフシーブ13、穀粒を篩い選別するとともに唐箕6からの選別風で風選別処理する精選別用のグレンシーブ14、扱室後端から排出された処理物をわら屑と回収可能な処理物とに選別処理するストローラック15、等を設けてあるとともに、シーブケース5の後端部において偏芯駆動機構10によって揺動駆動し、その前端部に備えたガイドローラを前後方向に往復移動可能に案内支持している。また、シーブケース5の前面と左右側面との三面がなす側壁23のそれぞれ上端に後述するシール材26を備えるとともに、シーブケース5の後端には、ボルトによって上下に移動調節可能な排塵調節板22を設けてある。
【0016】
また、選別物搬送方向に所定の長さを有する板金製の延長グレンパン部分17の後端部には篩い線18を備えるとともに、延長グレンパン部分17の上面には、後方への搬送に伴って処理物を機体左側に移動させる板金製の延長寄せ板部分19を、延長グレンパン部分17の前端部から後端部にかけて立設してある。そして、寄せ板16の後端面に形成したスリット20に延長寄せ板部分19の前端部を挿入して寄せ板16と延長寄せ板部分19とを一直線上に位置させた状態で、延長グレンパン部分17をシーブケース5左右の側壁23間に亘って架設するとともに、延長グレンパン部分17の後端部を前記前壁24に支持してある。
【0017】
つまり、大きさの異なる複数の脱穀装置に対して装備可能なシーブケースに寄せ板と前部グレンパンとを一体形成するとともに、脱穀装置の大きさの違いには格別に構成した延長グレンパンを後付けして対応することによって、シーブケースに寄せ板を備えたグレンパンを一体形成したものでありながら、大きさの異なる複数種類の脱穀装置に兼用することができ、製作コストを抑えることができるものとなっているのである。
【0018】
次に、シーブケース5の側壁23と脱穀装置の外殻ケースを構成する内壁部25との間隙を塞ぐシール構造について説明する。図6〜図9に示すように、シーブケース5の前面と左右側面との三面がなす側壁23のそれぞれの上端に、シート状に形成した合成樹脂製のシール材26の下部基端側を、その上部遊端側がシーブケース外方側に屈曲するように当て板27を介して上向き片持ち状に取付け、このシール材26の遊端側がシーブケース5の前後揺動によって脱穀装置の内壁部25に摺動するように構成してある。
【0019】
そして、図8に示すように、シーブケース5の左右側壁23に支持したシール材26の後端部26bを折り曲げて、後端部26bが前記排塵調節板22の前面側に接当するように位置させてある。これによって、シーブケース5の左右側壁23に支持したシール材26と排塵調節板22との隙間を略塞ぐことができ、この隙間からの穀粒のこぼれ落ちを抑えることができる。
【0020】
また、シーブケース5の左右側壁23に支持したシール材26の前端部26aを、前後中間部から前端に向けてシール材26の片持ち部分の幅を徐々に狭くなる形状に形成してあり、シーブケース5の前後揺動によるシール材26の前端の持ち上がりに対しても前端部26aの遊端側を下方に逃げやすくすることで、前端部26aの遊端側は撓みにくくなり、シール材26の前端部26aにおける遊端側と内壁部25とに隙間を生じ難くしてある。
【0021】
〔別実施の形態〕
上記実施の形態では、シール材26の後端部26bを排塵調節板22の内面側に単に折り曲げたが、図9に示すように、シール材26の後端部を26bを、排塵調節板22の外面側に折り曲げるとともに排塵調節板22にネジ連結して、排塵調節板22の上下調節に伴ってシール材26の後端部26bが上下に移動するように構成してもよい。
【0022】
上記実施の形態では、延長グレンパン部分17に備える延長寄せ板部分19を板金により形成したが、金属加工以外に樹脂成形等により形成し、樹脂製の延長寄せ板部分19を延長グレンパン部分17上に立設させたものでもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】 脱穀装置の縦断側面図
【図2】 脱穀装置の要部を示す縦断正面図
【図3】 シーブケースの前半部を示す平面図
【図4】 シーブケースの前半部を示す縦断側面図
【図5】 寄せ板と延長寄せ板部分との連設部分を示す横断平面図
【図6】 シーブケースの前半部を示す斜視図
【図7】 シーブケースの前半要部を示す一部切欠き平面図
【図8】 シーブケースの後端部を示す斜視図
【図9】 別実施の形態におけるシーブケースの後端部を示す斜視図
【符号の説明】
4 受網
5 シーブケース
11 前部グレンパン
12 後部グレンパン
16 寄せ板
17 延長グレンパン部分
19 延長寄せ板部分
20 スリット
23 側壁
24 前壁
Claims (2)
- 受網より漏下した脱穀処理物を受けて一方向へ移送するように、処理物移送方向での上手側に位置させた前部グレンパンと、その前部グレンパンよりも処理物移送方向の下手側で低位に配置された後部グレンパンとを樹脂成形により一体形成してシーブケースを構成するとともに、
前記シーブケースとは別体に形成した板金構造の延長グレンパン部分を、前部グレンパンの後方箇所において、シーブケースの左右の側壁間に亘って架設し、
該延長グレンパン部分の前端側を前部グレンパンの後端側に重ね合わせ状態で支持させるとともに、その延長グレンパン部分の後端側を前部グレンパンと後部グレンパンとにわたる前壁部分に支持させてあることを特徴とする脱穀装置のシーブケース構造。 - 前部グレンパン上の処理物を傾斜案内する樹脂製の寄せ板を、前部グレンパン上に一体的に立設するとともに、前記延長グレンパン部分上に延長寄せ板部分を立設し、
前記延長グレンパン部分をシーブケースに装着した状態において、前記延長寄せ板部分の前端部を前部グレンパン上の前記寄せ板の後端部に形成したスリットに差し込み連結してある請求項1記載の脱穀装置のシーブケース構造。
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