JP3652114B2 - タイル取着構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はタイル取着構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、建物の外壁に設けられるタイル取着構造として、特開平5−39657号公報に記載のものがある。
【0003】
この従来技術では、上下に相隣るタイル間で、上位に設けられるタイルの下端部を、下位に設けられるタイルの上端部の表面側に重ね配置している。
【0004】
また、この従来技術では、タイルの裏面に備えたアリ溝を基板の凸条部に取着するに際し、タイルのアリ溝の一方の溝側面に沿わせる弾性金具をタイル取着部品として用いるものとし、タイルのアリ溝と基板の凸条部との間に弾性金具を弾発的に挟むことにてタイルを取着することとしている。
【0005】
【発明が解決使用とする課題】
しかしながら、従来技術には以下の問題点がある。
(1)建物の外壁に設けられる上位のタイルの下端部が下位のタイルの上端部の表面側に重ね配置されているから、外壁に吹き付けた雨水が、上位のタイルの表面から下位のタイルの表面に伝わり流れる。即ち、タイルの表面が雨水の流路となり、タイルの表面が汚れ易くなる。
【0006】
(2)タイルのアリ溝と基板の凸条部との間に弾発的に挟まれる弾性金具をタイル取着部品として用いるものであり、タイル取着構造が複雑となり、タイル取着作業性も悪い。
【0007】
本発明の課題は、タイル取着構造において、雨水の流れによるタイル表面の汚れを低減することにある。
【0008】
また、本発明の課題は、タイル取着構造を簡素にし、タイル取着作業性も簡易にすることにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
タイルが建物の外壁に設けられるタイル取着構造において、上下に相隣るタイル間で、上位に設けられるタイルの下端部が、下位に設けられるタイルの上端部の裏面側に重ね配置されており、前記タイルが取着される外壁下地材に防水層が形成されており、外壁に吹き付けた雨水が、上位のタイルの表面から下位のタイルの裏面側へと伝わり流れるようになっていることことを特徴とする。
【0010】
請求項2に記載の本発明は、請求項1記載のタイル取着構造であって、タイルを基板に取着するタイル取着構造において、基板側に係止部と衝合部を設け、係止部はタイルの一端側でその裏面に備えてあるアリ溝部の溝側面に係止し、衝合部はタイルの他端側の裏面に弾発的に衝合するように構成され、タイルは一端側でそのアリ溝部の溝側面を基板側の係止部に係止せしめられるとともに、該タイルの他端側で基板側の衝合部に衝合して反基板方向に弾発される他端部を、相隣る他のタイルの一端側でそのアリ溝部の溝側面を基板側の他の係止部に係止せしめられた一端部で保持せしめられてなるようにしたものである。
【0011】
請求項3に記載の本発明は、請求項2に記載の本発明において更に、前記基板が金属パネルからなり、前記係止部と衝合部が該金属パネルに切欠形成されてなるようにしたものである。
【0012】
請求項4に記載の本発明は、請求項1記載のタイル取着構造であって、タイルを基板に取着するタイル取着構造において、基板側に第1係止部と第2係止部を設け、第1係止部はタイルの一端側でその裏面に備えてあるアリ溝部の相対する溝側面のうちの一方の溝側面に係止し、第2係止部はタイルの他端側でその裏面のアリ溝部の他方の溝側面に係止するように弾発的に撓み変形するように構成され、タイルは一端側でそのアリ溝部の一方の溝側面を基板側の第1係止部に係止せしめられるとともに、該タイルの他端側を基板側の第2係止部に押し付けて第2係止部を弾発的に撓み変形させることにより、そのアリ溝部の他方の溝側面を第2係止部に係止せしめられてなるようにしたものである。
【0013】
【作用】
請求項1の本発明によれば下記(1)、(2)の作用がある。
(1)物の外壁に設けられる上位のタイルの下端部が下位のタイルの上端部の裏面側に重ね配置されているから、外壁に吹き付けた雨水は、上位のタイルの表面から下位のタイルの裏面側へと伝わり流れる。即ち、雨水はタイルの裏面側を流れるものとなり、タイルの表面の汚れを低減できる。
【0014】
(2)タイルが取着される外壁下地材に防水層が形成されているから、雨水が上記(1)によりタイルの裏面側を流れても、建物に害を及ぼさない。
【0015】
請求項2の本発明によれば下記(3)の作用がある。
(3)タイルの一端側の裏面のアリ溝部の溝側面を基板側の係止部に係止し、他端側の裏面を基板側の衝合部に衝合させるだけのタイル取着作業を、相隣るタイル毎に繰り返すことにより、それらのタイルを基板に取着できるものとなる。即ち、タイルは一端側でそのアリ溝部の溝側面を基板側の係止部に係止せしめられるとともに、該タイルの他端側で基板側の衝合部に衝合して反基板方向に弾発される他端部を相隣る他のタイルの一端側でそのアリ溝部の溝側面を基板側の他の係止部に係止せしめられた一端部で保持せしめられる。このタイル取着構造では、基板側に係止部と衝合部を設けておくだけで足り、他のタイル取着部品を必要としないから、タイル取着構造を簡素にし、タイル取着作業性も簡易となる。
【0016】
請求項3の本発明によれば下記(4)の作用がある。
(4)上記(3)の係止部と衝合部は、基板を構成する金属パネルに切欠形成にて設けることができ、タイル取着構造をより簡素にできる。
【0017】
請求項4の本発明によれば下記(5)の作用がある。
(5)タイルの裏面のアリ溝部の一方の溝側面を基板側の第1係止部に係止させ、そのアリ溝部の他方の溝側面を、基板側の第2係止部の弾発的な撓み変形を経て該第2係止部に係止させるだけのタイル取着作業により、タイルを基板に取着できる。このタイル取着構造では、基板側に第1係止部と第2係止部を設けておくだけで足り、他のタイル取着部品を必要としないから、タイル取着構造を簡素にし、タイル取着作業性も簡易となる。
【0018】
【発明の実施の形態】
図1は第1実施形態のタイル取着構造を示す模式図、図2は第1実施形態のタイル取着状態を示す模式図、図3は第2実施形態のタイル取着構造を示す模式図、図4は第2実施形態のタイル取着状態を示す模式図、図5は第2実施形態の変形例(参考例)を示す模式図である。
【0019】
(第1実施形態)(図1、図2)
第1実施形態は、建物10の外壁11にタイル20を設けるものである(図2)。このとき、タイル20は、図1、図2に示す如く、アリ溝部21(溝の開口幅が狭く、溝の奥幅が広くなるように溝側面21A、21Bが傾斜状をなしている溝)を裏面に備えている。
【0020】
しかるに、建物10の外壁下地材12には防水層13が設けられ、この防水層13の上に金属パネルからなる基板14が固定される。基板14は、ステンレス鋼板等からなり、上下方向に一定の間隔をなして、係止部15と衝合部16を切欠形成してある(図1(A))。係止部15は、上向きの舌片状をなし、タイル20の一端側でその裏面に備えてあるアリ溝部21の溝側面21Aに係止する。衝合部16は、下向きの舌片状をなし、タイル20の他端側の裏面に弾発的に衝合する。
【0021】
タイル20は、基板14の係止部15、衝合部16を用いて下記(1) 、(2) の如くに取着される(図1(B))。
(1) タイル20は一端側で、そのアリ溝部21の溝側面21Aを基板14の係止部15に上側から引っ掛けるように係止する。
【0022】
(2) タイル20の他端側で、基板14の衝合部16に衝合して反基板方向に弾発される下端部20Bを、下位にて相隣る他のタイル20の一端側でそのアリ溝部21の溝側面21Aを基板14の他の係止部15に係止せしめられた上端部20Aで上から押えて保持する。
【0023】
即ち、本実施形態のタイル20により構成される外壁11にあっては、図2に示す如く、上下に相隣るタイル20、20間で、上位に設けられるタイル20の下端部20Bが、下位に設けられるタイル20の上端部20Aの裏面側に重ね配置されるものとなる。
【0024】
従って、本実施形態によれば、以下の作用がある。
(1)建物10の外壁11に設けられる上位のタイル20の下端部20Bが下位のタイル20の上端部20Aの裏面側に重ね配置されているから、外壁11に吹き付けた雨水は、上位のタイル20の表面から下位のタイル20の裏面側へと伝わり流れる。即ち、雨水はタイル20の裏面側を流れるものとなり、タイル20の表面の汚れを低減できる。
【0025】
(2)タイル20が取着される外壁下地材12に防水層が形成されているから、雨水が上記(1)によりタイル20の裏面側を流れても、建物10に害を及ぼさない。
【0026】
(3)タイル20の一端側の裏面のアリ溝部21の溝側面21Aを基板14側の係止部15に係止し、他端側の裏面を基板14側の衝合部16に衝合させるだけのタイル20取着作業を、相隣るタイル20毎に繰り返すことにより、それらのタイル20を基板14に取着できるものとなる。即ち、タイル20は一端側でそのアリ溝部21の溝側面21Aを基板14側の係止部15に係止せしめられるとともに、該タイル20の他端側で基板14側の衝合部16に衝合して反基板14方向に弾発される他端部を相隣る他のタイル20の一端側でそのアリ溝部21の溝側面21Aを基板14側の他の係止部15に係止せしめられた一端部で保持せしめられる。このタイル取着構造では、基板14側に係止部15と衝合部16を設けておくだけで足り、他のタイル取着部品を必要としないから、タイル取着構造を簡素にし、タイル取着作業性も簡易となる。
【0027】
(4)記(3)の係止部15と衝合部16は、基板14を構成する金属パネルに切欠形成にて設けることができ、タイル取着構造をより簡素にできる。
【0028】
(5)タイル20が金属パネルからなる基板14に設けた係止部15、衝合部16に取着されるものであり、外壁下地材12に接着固定されるものでないから、建物躯体側との層間変位に対応できる。また、タイル20の目地調整等の専門工も不要となる。
【0029】
(第2実施形態)(図3、図4)
第2実施形態は、建物30の外壁31にタイル40を設けるものである(図4)。このとき、タイル40は、図3、図4に示す如く、アリ溝部41(溝の開口幅が狭く、溝の奥幅が広くなるように溝側面41A、41Bが傾斜状をなしている溝)を裏面に備えている。
【0030】
しかるに、建物30の外壁下地材32には防水層33が設けられ、この防水層33の上に、金属パネルからなる基板34が固定される。基板34は、ステンレス鋼板等からなり、上下方向に一定の間隔をなして穿設されている取着孔34Aに、金属プレートからなる係止部材35を、リベット36により固定して用いられる。係止部材35は、ステンレス鋼板等からなり、第1係止部35Aと第2係止部35Bが曲げ成形されている(図3(A)、(B))。第1係止部35Aは、タイル40の一端側で、その裏面に備えてあるアリ溝部41の相対する溝側面のうちの一方の溝側面41Aに係止する。第2係止部35Bは、タイル40の他端側で、その裏面側のアリ溝部41の他方の溝側面41Bに係止するように弾発的に撓み変形できる。
【0031】
タイル40は、係止部材35の第1係止部35A、第2係止部35Bを用いて下記(1) 、(2) の如くに取着される(図3(B))。
(1)タイル40は一端側で、そのアリ溝部41の一方の溝側面41Aを、基板34の側の係止部材35の第1係止部35Aに係止せしめられる。
【0032】
(2)タイル40の他端側を、基板34の側の係止部材35の第2係止部35Bに押し付けて該第2係止部35Bを弾発的に撓み変形させることにより、そのアリ溝部41の他方の溝側面41Bを第2係止部35Bに係止せしめる。
【0033】
このとき、本発明のタイル40により構成される外壁31にあっては、図4に示す如く、上下に相隣るタイル40、40間で、上位に設けられるタイル40の下端部40Bが、下位に設けられるタイル40の上端部40Aの裏面側に重ね配置されるものである。
【0034】
従って、本実施形態によれば、以下の作用がある。
(1)建物30の外壁31に設けられる上位のタイル40の下端部40Bが下位のタイル40の上端部40Aの裏面側に重ね配置されているから、外壁31に吹き付けた雨水は、上位のタイル40の表面から下位のタイル40の裏面側へと伝わり流れる。即ち、雨水はタイル40の裏面側を流れるものとなり、タイル40の表面の汚れを低減できる。
【0035】
(2)タイル40が取着される外壁下地材32に防水層33が形成されているから、雨水が上記(1)によりタイル40の裏面側を流れても、建物30に害を及ぼさない。
【0036】
(3)イル40の裏面のアリ溝部41の一方の溝側面41Aを基板34側の第1係止部35Aに係止させ、そのアリ溝部41の他方の溝側面41Bを、基板34側の第2係止部35Bの弾発的な撓み変形を経て該第2係止部35Bに係止させるだけのタイル取着作業により、タイル40を基板34に取着できる。このタイル取着構造では、基板34側に第1係止部35Aと第2係止部35Bを設けておくだけで足り、他のタイル取着部品を必要としないから、タイル取着構造を簡素にし、タイル取着作業性も簡易となる。
【0037】
(4)タイル40が金属パネルからなる基板34に備えた係止部材35に取着されるものであり、外壁下地材32に接着固定されるものでないから、建物躯体側との層間変位に対応できる。また、タイル40の目地調整等の専門工も不要となる。
【0038】
尚、第2実施形態にあっては、基板34の係止部材35に対するタイル40の取着姿勢を、図5に示す如く、図3、図4に対する上下逆方向としても良い。(参考例)即ち、基板34の係止部材35に取着されて上下に相隣るタイル40、40間で、上位に設けられるタイル40の下端部が、下位に設けられるタイル40の上端部の表面側に重ね配置されるものであっても良い。(参考例)
【0039】
以上、本発明の実施の形態を図面により詳述したが、本発明の具体的な構成はこの実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても本発明に含まれる。例えば、本発明のタイル取着構造は、タイルを基本的には接着剤を用いない乾式工法により取着するものであるが、このタイルの取着に一部接着剤を併用することもできる。
【0040】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、タイル取着構造において、雨水の流れによるタイル表面の汚れを低減することができる。
【0041】
また、本発明によれば、タイル取着構造を簡素にし、タイル取着作業性も簡易にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は第1実施形態のタイル取着構造を示す模式図である。
【図2】図2は第1実施形態のタイル取着状態を示す模式図である。
【図3】図3は第2実施形態のタイル取着構造を示す模式図である。
【図4】図4は第2実施形態のタイル取着状態を示す模式図である。
【図5】図5は第2実施形態の変形例を示す模式図である。
【符号の説明】
10、30 建物
11、31 外壁
12、32 外壁下地材
13、33 防水層
14、34 基板
15 係止部
16 衝合部
20、40 タイル
20A、40A 上端部
20B、40B 下端部
21、41 アリ溝部
21A、21B、41A、41B 溝側面
35 係止部材
35A 第1係止部
35B 第2係止部
Claims (4)
- タイルが建物の外壁に設けられるタイル取着構造において、上下に相隣るタイル間で、上位に設けられるタイルの下端部が、下位に設けられるタイルの上端部の裏面側に重ね配置されており、
前記タイルが取着される外壁下地材に防水層が形成されており、
外壁に吹き付けた雨水が、上位のタイルの表面から下位のタイルの裏面側へと伝わり流れるようになっていることを特徴とするタイル取着構造。 - 上記タイルが基板に取着され、基板側に係止部と衝合部を設け、係止部はタイルの一端側でその裏面に備えてあるアリ溝部の溝側面に係止し、衝合部はタイルの他端側の裏面に弾発的に衝合するように構成され、
タイルは一端側でそのアリ溝部の溝側面を基板側の係止部に係止せしめられるとともに、該タイルの他端側で基板側の衝合部に衝合して反基板方向に弾発される他端部を、相隣る他のタイルの一端側でそのアリ溝部の溝側面を基板側の他の係止部に係止せしめられた一端部で保持せしめられてなることを特徴とする請求項1記載のタイル取着構造。 - 前記基板が金属パネルからなり、前記係止部と衝合部が該金属パネルに切欠形成されてなる請求項2記載のタイル取着構造。
- 上記タイルが基板に取着され、基板側に第1係止部と第2係止部を設け、第1係止部はタイルの一端側でその裏面に備えてあるアリ溝部の相対する溝側面のうちの一方の溝側面に係止し、第2係止部はタイルの他端側でその裏面のアリ溝部の他方の溝側面に係止するように弾発的に撓み変形するように構成され、
タイルは一端側でそのアリ溝部の一方の溝側面を基板側の第1係止部に係止せしめられるとともに、該タイルの他端側を基板側の第2係止部に押付けて第2係止部を弾発的に撓み変形させることにより、そのアリ溝部の他方の溝側面を第2係止部に係止せしめられてなることを特徴とする請求項1記載のタイル取着構造。
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JPH11324272A JPH11324272A (ja) | 1999-11-26 |
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1998
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JPH11324272A (ja) | 1999-11-26 |
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