JP3651881B2 - 液化ガス中の残渣分の除去方法および活性炭の再生方法 - Google Patents

液化ガス中の残渣分の除去方法および活性炭の再生方法 Download PDF

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、液化石油ガスなどの液化ガス中の残渣分を吸着剤(白金を担持した活性炭)に吸着させることによって除去する方法、および該吸着剤を再生させる方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
液化石油ガス(以下、「LPガス」ともいう。)は、ブタンなどを主成分とするものである。LPガス中に残渣分(油分)が含まれると、例えば変成ガスを生成反応させる際に、ニッケル触媒表面にススが付着し触媒を劣化させたり、タクシーのベーパーライザーを閉塞させたり、発電用タービン等のノズルを閉塞させたりして配管、機器内でのトラブルの要因にもなっている。そのため、従来からLPガスをガス化し、残渣分を分離してから再液化処理することにより、LPガス中の残渣分を除去していた。
【0003】
かかる除去方法として、例えば、LPガスなどの液化ガスを液相で活性炭に接触させ、残渣分を活性炭に吸着させて除去する方法が、経済的でかつ効率的な方法として報告されている(例えば、特願平7−83595号公報参照。)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、沸点350℃以上の残渣分を吸着した活性炭を再生するためには、オンサイトあるいはオフサイトのどちらの方法を採用するにしても、高温での再生処理が必要である。例えば、前記特願平7−83595号公報に記載のオフサイト再生処理方法においては、300℃〜600℃、通常500℃の再生ガスで再生処理を行っている。
【0005】
また、さらに活性炭の再賦活処理も行う必要があるため、活性炭にかかる負担は大きく、吸着剤の重量損失や強度低下、細孔径や細孔容積の変化に伴う吸着量低下など、吸着剤の物性変化や吸着性能の低下あるいは変化を引き起こす。
【0006】
例えば、通常の再生処理によって活性炭の約10%重量分が損失し、その分の活性炭を再使用時に追加する必要がある。また、この活性炭の追加に加えて、高温再生を行うために、再生設備コストや再生運転コストが嵩むことになる。
【0007】
従って、本発明の目的は、上記課題を解決するものであって、従来に比して低温で再生できる吸着剤を開発し、この吸着剤を用いる液化ガス中の残渣分の除去方法、および該吸着剤を再生する方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
かかる実情において、本発明者らは鋭意検討を行った結果、液化ガスを白金が担持された活性炭を充填した充填層に接触させ、活性炭に残渣分を吸着させれば、容易に液化ガス中の残渣分を除去できること、更に、活性炭に吸着された残渣分を酸素酸化すれば従来に比して低温で再生できることなどを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
【0010】
すなわち、本発明は、液化ガスを白金が担持された活性炭を充填した充填層に接触させることにより、液化ガス中の残渣分を該活性炭に吸着させ、前記活性炭に吸着した残渣分を酸素酸化させることで、前記活性炭を再生処理することを特徴とする吸着剤の再生方法を提供するものである。
【0011】
また、本発明は、液化ガスを白金が担持された活性炭を充填した充填層と接触させることにより、該液化ガス中の残渣分を前記活性炭に吸着させる液化ガス中の残渣分の除去工程と、前記活性炭に吸着した液化ガス中の残渣分を酸素酸化させることで、前記活性炭を再生処理する活性炭再生工程とを有し、これらの工程を連続的に繰り返し行う液化ガス中の残渣分の除去方法を提供するものである。
【0012】
本発明によれば、従来に比して低温で再生できる吸着剤を用いるLPガスなどの液化ガス中の残渣分除去方法、および該吸着剤を再生する方法が提供される。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明は、上述したように、(1)吸着剤として活性炭に酸化触媒として白金を担持したものを用いることを特徴とする液化ガス中の残渣分除去方法、(2)該残渣分を吸着した吸着剤を酸素酸化させて、吸着した残渣分のみを選択的に酸化反応で除去することを特徴とする吸着剤の再生方法、並びに(3)白金が担持された活性炭を用いて液化ガス中の残渣分を吸着・除去する工程と、該残渣分が吸着した活性炭を再生する工程を連続的に繰り返す液化ガス中の残渣分除去方法である。
【0014】
本発明を実施するための装置の一例を図1に概念図として示す。図1中、中央部に描かれるのは、吸着剤が充填された吸着塔1a、吸着塔1bを有する2塔式吸着塔で残渣分除去工程と吸着剤再生工程を同時に行うことができるものである。吸着塔1aにおいて、例えば、残渣分を含有するLPガスを吸着剤(白金が担持された活性炭)と接触させることにより、活性炭に残渣分を吸着させ、残渣分が除去されたLPガスを得ることができる(残渣分除去工程)。この時、吸着塔1bにおいて、残渣分を吸着した吸着剤に酸素混合ガスを所定温度で通し、残渣分のみを選択的に酸化除去することにより、活性炭を再生することができる(吸着剤再生工程)。即ち、この装置においては、上記の操作を互いに繰り返すことにより連続的に運転することができる。
【0015】
本発明に用いられる吸着剤としては、残渣分を吸着し、酸素酸化によって再生可能なものであればよい。本発明においては、かかる吸着剤として白金を担持した活性炭を用いる。活性炭の種類、大きさ、形状などは、白金を担持することができ、残渣分を吸着することできるならば、特に制限されるものではないが、吸着塔に充填し、LPガスと接触させて、LPガス中の残渣分を除去することを効率的に行うためには、残渣分の吸着量が多いものが好ましい。
【0016】
また、LPガスを円滑に通液させ、再生処理によって複数回使用することから、粉末状態よりはある程度破壊強度を持った固形物の方が好ましい。すなわち、ある程度以上の残渣分吸着量を持ち、残渣分吸着操作と活性炭再生操作に耐えられるのならば、その活性炭の物性(表面積や細孔容積、細孔分布)は何ら制限されるものではなく、一般に市販されている粒状あるいはペレット状などの活性炭を用いることができる。
【0017】
活性炭への白金の担持方法や金属源は、白金が担持されるならば、何ら制限されるものではない。通常、金属担持方法の操作性、安全性、コスト、活性炭への影響などを考慮すると、白金溶液(溶媒は水、あるいは有機溶媒を問わない)による含浸法が好ましい。かかる白金溶液としては、例えば、ビスアセチルアセトナト白金などの白金錯体、硝酸白金〔Pt(NO3 4 )などの白金塩の水溶液、あるいはアルコールなどの有機溶媒の溶液が挙げられる。
【0018】
白金を担持操作した後は乾燥処理が必要であるが、担体である活性炭に白金を担持するために用いた溶媒が取り除かれ、残渣分の吸着能がある程度以上確保されるならば、その方法は何ら制限されるものではない。また、白金を活性炭担体に固定化するための酸化処理や還元処理もその方法等に制限はない。
【0019】
白金の活性炭への担持量は、吸着した残渣分が酸化反応によって除去されるならば、何ら制限されるものではない。ただし、残渣分が活性炭に影響を与えないように低温で完全に除去されるには、ある程度十分な量の白金が活性炭全体に分散している必要がある。その反面、必要以上の白金担持は製造コストが嵩むことや、活性炭の表面積や残渣分吸着量の低下を引き起こす場合がある。したがって、白金を金属換算で、担持後の活性炭重量基準で0.01〜5質量%であるのが好ましく、0.03〜1質量%がより好ましく、0.05〜0.50 質量%がさらに好ましい。このような範囲の担持量であれば、白金を担持したことによる活性炭の残渣分吸着能力に影響は認められない。
【0020】
白金が担持された活性炭は、その表面積が1000〜2000m2 /gであり、細孔容積が0.1〜0.3Ncm3 /gであるのがそれぞれ好ましい。このような物性を有する白金担持活性炭を用いることにより、活性炭に吸着した残渣分のみを選択的に酸化・除去することができる。
【0021】
白金担持活性炭は吸着塔内に充填して用いるのが好ましい。吸着塔内にLPガスを送り込み、吸着塔内に充填した吸着剤と接触することにより、LPガス中の残渣分が吸着・除去される。吸着塔の大きさや形状には特に制限はない。
【0022】
LPガスと接触することによりLPガス中の残渣分を所定量吸着した活性炭は、吸着成分(残渣分)を選択的に酸素酸化することにより再生される。このときの推定反応式を次式に示す。
【0023】
n 2n+2+〔(3n +1)/2〕O2 →n CO2 +(n +1)H2 O+ΔQ
【0024】
再生ガスとして酸素混合ガスを用いる場合には、吸着した残渣分の脱着あるいは分解温度は、従来の再生ガスと同じく350℃以上、実質的には400℃以上である。これに対し、活性炭の燃焼開始温度は450〜460℃である。したがって、残渣分を吸着した活性炭を酸素混合ガスで再生することは、再生温度領域がわずか50℃しかなく、残渣分のみを選択的に酸化・除去することは困難である。
【0025】
一方、白金を担持した活性炭を酸素混合ガスで再生した場合においては、活性炭の燃焼開始温度は450〜460℃で変わらない。一方、吸着した残渣分は200℃〜400℃での酸化反応によって完全に取り除くことができる。これは、担持した白金が酸化触媒として働くことによって、残渣分のみを選択的により低い温度で酸化分解することができるものと考えられる。
【0026】
活性炭を酸素酸化により再生処理を行う前には、活性炭に吸着するなどにより吸着塔内に残存しているLPガスを窒素などの不活性ガスでパージし、事前に除去するのが好ましい。このようにすることで、酸素酸化の際の異常燃焼や異常発熱を防止し、塔内発熱量の抑制、再生ガス量およびブロワー等の装置出力のを抑制することができる。また、パージガスからLPガスを回収することも好ましい。
【0027】
酸素酸化は酸素混合ガスで行うのが一般的である。また、この反応は活性炭が充填された吸着塔でも行うことができるので、酸素酸化による再生は、オフサイト再生はもちろん、オンサイト再生も可能である。
【0028】
酸素酸化に酸素混合ガスを用いる場合、酸素混合ガスは、0℃、1気圧に換算した酸素含有量が0.01〜25容量%であるのが好ましく、0℃、1気圧の標準状態換算で0.1〜21(すなわち空気と同じ酸素濃度)容量%がより好ましい。前記(1)式の反応は発熱反応であるため、酸素が高濃度であると、局所的に活性炭燃焼温度になってしまう。一方、酸素濃度が希薄すぎると、再生時間が必要以上に要してしまうことになる。
【0029】
また酸素酸化の温度は、活性炭燃焼による発熱量は酸素流量に依存するため、再生ガス流量は再生ガス中の酸素濃度によって変化するが、200〜450℃のが好ましく、250〜400℃の温度範囲がより好ましい。このような酸素濃度、再生温度で行うことにより、活性炭に損失を与えることなく、吸着した残渣分のみを選択的に酸化除去することができる。
【0030】
さらに本発明では、活性炭をLPガスと接触させてLPガス中の残渣分を除去する工程と、活性炭に吸着した残渣分のみを選択的に酸化・除去する工程とを繰り返すことにより、LPガス中の残渣分を連続的に除去することが可能である。
【0031】
この再生方法においては、活性炭にはいかなる影響も見られない。最初の再生処理によって、活性炭に含まれる水分や金属担持での残留分(有機白金塩の有機分や無機白金塩の対イオン分)が除去されたり、活性炭の粉末分が除かれたことによって、数%、通常5%未満の少量の重量減少が起きる場合がある以外には、重量損失や残渣分の吸着能や表面積や細孔容積などの活性炭の物性低下は全く見られない。すなわち、物理的に化学的に100%の吸着剤の再生を行うことができる。
【0032】
【実施例】
次に、実施例によって本発明をさらに詳細に説明する。
(1)残渣分吸着能評価試験
(i)オートクレーブあるいは恒温振盪機を用いて、n−ヘキサンまたはLPガス溶液での回分吸着による平衡吸着能および吸着等温線を測定した。
(ii)活性炭を充填した固定床吸着塔へLPガス溶液を通液して、残渣分吸着除去実験を行った。
【0033】
(2)活性炭再生評価試験
(i)上記吸着能評価試験 (i)の方法であらかじめ残渣分を吸着させた活性炭の熱重量/示差熱分析(以下、「TG/DTA」という。)による再生評価試験を行った。指標にした残渣分吸着量は、残渣分平衡濃度がプロパンで約8質量ppm、ブタンで約80質量ppmのときの平衡吸着量である5質量(あるいは2.5質量)とした。これはLPガス(プロパンガス)中の残渣分除去をする際の想定値である。LPガスは常温では圧力が高いため、常温・常圧で液体であり、取扱いがLPガスより簡単なn−ヘキサン溶液で残渣分吸着処理を行った。しかし、n−ヘキサン溶液では活性炭への残渣分吸着量がLPガスに比べて減るので、各溶液の残渣分吸着等温線を求めて、同じ残渣分吸着量になるように残渣分濃度を調整した。例えば、n−ヘキサン溶液では、吸着前の初濃度1000質量ppm強と、残渣分濃度を高くしてプロパン溶液と同量の残渣分を吸着するようにした。
【0034】
(ii)上記(1)の吸着能評価 (i)の方法で、あらかじめ残渣分を吸着した活性炭を充填した固定床吸着塔での再生実験を行った。
(iii) 上記(1)の吸着能評価(ii)の方法で残渣分を吸着した活性炭の固定床吸着塔でのオンサイト再生実験を行った。
【0035】
1.吸着能の評価方法
(1)残渣分の平衡吸着量の測定方法
オートクレーブに、所定量の活性炭又は金属担持活性炭を入れ、任意の量の残渣分を含んだプロパン、ブタン、n−ヘキサン等の有機溶液を活性炭1g当たり100cm3 加え、24時間攪拌した後、溶液中の潤滑油の濃度変化量を測定することにより、平衡吸着量を測定した。
【0036】
(2)破過曲線の測定
吸着塔A(内径1.5cm、塔高さ70cm)、吸着塔B(内径2.5cm、塔高さ70cm) 、又は吸着塔C(内径5.3cm、塔高さ150cm) に吸着剤を充填し、通液線速度4〜25cm/minで潤滑油濃度を所定濃度に調製したプロパン又はブタンを用いて吸着塔に流し、その吸着塔出口の潤滑油濃度を測定することにより破過曲線を測定した。なお、潤滑油の濃度測定方法は上記方法と同様である。
【0037】
2.再生能の評価方法
(1)TG/DTA測定による吸着剤の再生能評価
上記1の(1)の方法で潤滑油を吸着させた活性炭又は金属担持活性炭を5〜10mgをサンプリングし、空気100Ncm3 /min、ヘリウム200Ncm3 /min、昇温速度15℃/minでTG/DTAを測定し、残渣分の分解、燃焼温度を比較することにより活性炭の再生能を評価した。残渣分の分解、燃焼温度が低いほど、また残渣分除去による重量変化量が残渣分吸着量と同じであるほど再生能は良いとして評価される。
【0038】
(2)活性炭の塔内再生温度測定による吸着剤の再生能の評価
吸着塔A( 内径1.5cm、塔高さ70cm) 、吸着塔B( 内径2.5cm、塔高さ70cm) 、吸着塔C( 内径5.3cm、塔高さ150cm) 、又は吸着塔D( 内径7.3cm、塔高さ100cm) に、上記1の(1)の方法を用いて、予め残渣分を所定濃度吸着させた活性炭を充填し、所定の再生温度、酸素濃度、ガス流量で塔内温度上昇がなくなるまで再生を続けたあと、吸着剤を抜き出し、上記1の(1)および2の(1)の方法で吸着剤の吸着能、再生能の評価及び物性の測定を行った。また、この工程を繰り返し行い、繰り返し再生による再生能の評価を行った。
【0039】
3.吸着剤物性の測定方法
(1)比表面積、平均細孔径、及び細孔容積等の測定方法
活性炭及び金属担持活性炭(以下、「吸着剤」という。)の多孔質物性(以下、「吸着剤物性」という。)は、高純度窒素(純度99.99995%以上)をプローブ分子に用いて、自動表面積、細孔径、細孔容積測定装置(Belsorp28、ベルジャパン社製)により測定した。吸着剤物性の測定では、比表面積、細孔径、及び細孔容積の測定に先立ち、まず前処理として試料吸着剤の減圧加熱処理を行い、所望の物性を測定した。
【0040】
試料吸着剤の減圧加熱処理では、100mgの試料を石英ガラス製試料管に入れて、10-1〜10-2mmHgの減圧状態を維持しながら、昇温速度6℃/minで室温から350℃まで昇温し、同温度で3時間保持した。その後、高純度ヘリウムガスによって常圧+5mmHgに保持しつつ、降温速度5℃/分で室温まで冷却し、測定用の試料を得た。得た試料重量を正確に秤量し、吸着剤物性の測定に供した。
【0041】
吸着剤物性の測定では、液化窒素温度(−196℃)に保持し、使用を高純度ヘリウムにて3回以上測定し、次いで減圧排気した後、プローブ分子(窒素)を導入して試料吸着剤への吸着、脱着測定を行い、その測定結果を基に吸着剤の比表面積、細孔容積、平均細孔径を算出した。
【0042】
実施例1
110℃で乾燥処理した表面積1535m2 /g、細孔容積0.247cm3 /gの粒状市販活性炭(以下、「AC」という。)20.0gを、0.04gのビス- アセチルアセトナト白金Pt(acac)2 を溶かした200cm3 のアセトン溶液に4時間含浸した。その後、室温で減圧にしてアセトン溶媒を取り除き、さらに室温での窒素パージ、150℃での窒素パージを行って白金担持活性炭を乾燥させた。表面積1533m2 /g、細孔容積0.246cm3 /gの粒状白金担持活性炭20.2gを得た。ICP法(誘導結合プラズマ法)による測定した結果、白金担持量は0.11質量%であった。以下、この白金担持活性炭をPt/AC−1とする。
【0043】
3.00gのPt/AC−1を所定量の潤滑油を溶かしたn−ヘキサン溶液300cm3 (活性炭1g当たり100cm3 )に入れ、室温にて攪拌しながら、24時間放置して平衡吸着状態にした。この回分吸着処理後、減圧してn−ヘキサン溶媒を除去し、活性炭を乾燥させた。溶液中の残渣分量の差から、Pt/AC−1に吸着した残渣分量は2.5質量%であった。なお、n−ヘキサン溶液の吸着前の残渣分濃度は、n−ヘキサン溶液の残渣分吸着等温線から求めた。
【0044】
TG/DTAで残渣分の除去挙動を調べた。残渣分を吸着させたPt/AC−1約5〜10mgをヘリウムガス200Ncm3 /min、空気100Ncm3 /minの混合ガス、すなわち酸素約7容量%の酸素混合ガス気流300Ncm3 /minで、15℃/minの昇温速度で30℃から700℃まで昇温した。図2にPt/AC−1のTG/DTA結果を示す。80〜100℃で溶媒に用いたn−ヘキサンあるいは水が脱離した後、残渣分は280℃をピークに250〜400℃で脱着あるいは酸化分解することが示された。また、約460℃以上で活性炭に帰属されるピークが現れた。TG/DTAから求めた残渣分の重量減少量は2.5質量%であり、吸着量と同じであった。
【0045】
実施例2
実施例1と同じ方法で、活性炭20.0gに、0.12gのビス- アセチルアセトナト白金で白金を担持し、表面積1520m2 /g、細孔容積0.235Ncm3 /gの粒状白金担持活性炭20.2gを得た。ICP法から求めた白金担持量は0.30質量%であった。以下、この白金担持活性炭をPT/AC−2とする。
【0046】
実施例1と同じ方法で残渣分吸着処理を行い、Pt/AC−2に残渣分2.4質量%を吸着させた。これを実施例1と同じ条件で、TG/DTAの測定を行った。測定結果を図2に示す。残渣分は270℃をピークに240〜400℃で脱着あるいは酸化分解することが示された。活性炭のピークは約460℃以上であった。TG/DTAから求めた残渣分の重量減少量は2.4質量%であり、吸着量と同じであった。
【0047】
実施例3
実施例1と同じ方法で、活性炭20.0gに0.20gのビス- アセチルアセトナト白金で白金を担持し、表面積1582m2 /g、細孔容積0.255Ncm3 /gの粒状白金担持活性炭20.2gを得た。ICP法から求めた白金担持量は0.49質量%であった。以下、この白金担持活性炭をPt/AC−3とする。
【0048】
実施例1と同じ方法で、残渣分吸着処理を行い、Pt/AC−3に残渣分2.5質量%を吸着させた。これを実施例1と同じ条件で、TG/DTAを行った。測定結果を図2に示す。残渣分は270℃をピークに240〜350℃で脱着あるいは酸化分解することが示された。活性炭のピークは約450℃以上であった。TG/DTAから求めた残渣分の重量減少量は2.5質量%であり、吸着量と同じであった。
【0049】
実施例4
実施例1と同じ方法で活性炭20.0gに、0.41gのビス- アセチルアセトナト白金で白金を担持し、表面積1524m2 /g、細孔容積0.250Ncm3 /gの粒状白金担持活性炭20.5gを得た。ICP法から求めた白金担持量は1.01質量%であった。以下、この白金担持活性炭をPt/AC−4とする。
【0050】
実施例1と同じ方法で残渣分吸着処理を行い、Pt/AC−4に残渣分2.6質量%を吸着させた。これを実施例1と同じ条件で、TG/DTAを行った。実施例3と同じく、残渣分は270℃をピークに240〜350℃で脱着あるいは酸化分解することが示された。活性炭のピークは約460℃以上であった。TG/DTAから求めた残渣分の重量減少量は2.6質量%であり、吸着量と同じであった。
【0051】
実施例5
実施例1と同じ方法で活性炭20.0gに、0.032gのビス- アセチルアセトナト白金で白金を担持し、表面積1554m2 /g、細孔容積0.255Ncm3 /gの粒状白金担持活性炭20.0gを得た。ICP法から求めた白金担持量は0.08質量%であった。以下、この白金担持活性炭をPt/AC−5とする。
【0052】
実施例1と同じ方法で、残渣分吸着処理を行い、Pt/AC−5に残渣分2.5質量%を吸着させた。これを実施例1と同じ条件で、TG/DTAを行った。測定結果を図2に示す。残渣分は300℃をピークに、240〜450℃で脱着あるいは酸化分解することが示された。活性炭のピークは約460℃以上であった。TG/DTAから求めた残渣分の重量減少量は2.5質量%であり、吸着量と同じであった。
【0053】
実施例6
実施例1と同じ方法で活性炭20.0gに、0.02gのビス- アセチルアセトナト白金で白金を担持し、表面積1501m2 /g、細孔容積0.236Ncm3 /gの粒状白金担持活性炭19.9gを得た。ICP法から求めた白金担持量は0.05質量%であった。以下、この白金担持活性炭をPt/AC−6とする。
【0054】
実施例1と同じ方法で、残渣分吸着処理を行い、Pt/AC−6に残渣分2.5質量%を吸着させた。これを実施例1と同じ条件で、TG/DTAを行った。側結果を図2に示す。残渣分は340℃をピークに250〜450℃で脱着あるいは酸化分解することが示された。活性炭のピークは約460℃以上であった。TG/DTAの測定から求めた残渣分の重量減少量は2.4質量%であり、吸着量とほぼ同じであった。
【0055】
実施例7
110℃で乾燥処理した実施例1の活性炭100.1gに、金属換算で白金を10.01質量%含む硝酸白金Pt(NO3 4 水溶液1.000gを80.0gの水で希釈した水溶液を少量ずつ滴下し、活性炭全体を十分に湿らせて一晩放置した。その後、40℃の温水浴で窒素パージして白金担持活性炭を乾燥させた後、空気気流下で室温から300℃まで30分の昇温を経て、300℃で3時間焼成することにより、表面積1480m2 /g、細孔容積0.233Ncm3 /gの粒状白金担持活性炭100.6gを得た。ICP法から求めた白金担持量は0.10質量%であった。以下、この白金担持活性炭をPt/AC−7とする。
【0056】
実施例1と同じ方法で、残渣分吸着処理を行い、Pt/AC−7に残渣分2.5質量%を吸着させた。これを実施例1と同じ条件で、TG/DTAを行い、残渣分は310℃をピークに260〜400℃で脱着あるいは酸化分解することが示された。活性炭のピークは約460℃以上であった。TG/DTA測定から求めた残渣分の重量減少量は2.5質量%であり、吸着量と同じであった。
【0057】
実施例8
実施例7と同じ方法で活性炭20.0gに、金属換算で白金を10.01質量%含む硝酸白金Pt(NO3 4 水溶液2.000gを16.0gの水で希釈した水溶液で白金を担持し、表面積1462m2 /g、細孔容積0.229Ncm3 /gの粒状白金担持活性炭20.8gを得た。ICP法から求めた白金担持量は0.99質量%であった。以下、この白金担持活性炭をPt/AC−8とする。
【0058】
実施例1と同じ方法で、残渣分吸着処理を行い、PT/AC−8に残渣分2.5質量%を吸着させた。これを実施例1と同じ条件で、TG/DTAを行った。その結果、残渣分は280℃をピークに250〜370℃で脱着あるいは酸化分解することが示された。活性炭のピークは約460℃以上であった。TG/DTAから求めた残渣分の重量減少量は2.5質量%であり、吸着量と同じであった。
【0059】
実施例9
実施例7と同じ方法で活性炭20.0gに、金属換算で白金を10.01質量%含む硝酸白金Pt(NO3 4 水溶液6.000gを16.0gの水で希釈した水溶液で白金を担持し、表面積1455m2 /g、細孔容積0.233Ncm3 /gの粒状白金担持活性炭21.3gを得た。ICP法から求めた白金担持量は3.02質量%であった。以下、この白金担持活性炭をPt/AC−9とする。
【0060】
実施例1と同じ方法で、残渣分吸着処理を行い、Pt/AC−9に残渣分2.4質量%を吸着させた。これを実施例1と同じ条件で、TG/DTAを行った。その結果、残渣分は270℃をピークに240〜370℃で脱着あるいは酸化分解することが示された。活性炭のピークは約460℃以上であった。TG/DTAの測定から求めた残渣分の重量減少量は2.5質量%であり、吸着量とほぼ同じであった。
【0061】
実施例10
先に得たPt/AC−3の14.80gに実施例1と同じ方法で5.20質量%の残渣分を吸着させ(残渣分吸着後の質量15.57g)、内径1.5cm、塔高さ70cmの吸着塔(以下、「吸着塔A」という。)に充填(充填層の高さ20cm)した。常圧で、流量200Ncm3 /minの窒素気流下で280℃までに昇温した後、その温度で流量100Ncm3 /minの空気気流に替えて、Pt/AC−3の酸素混合ガスによる1回目の再生処理を開始した。酸化反応による発熱で、塔内の温度は最高339℃まで上昇し、活性炭充填部の出口側の末端部分の温度が280℃まで下がった時点を再生終了とした。続けて、流量200Ncm3 /minの窒素気流に替え、室温まで塔温度を下げた。酸素混合ガス(空気)による再生所要時間は1.5時間で、1回目の再生処理後の活性炭の重さは13.70gであった。
【0062】
次いで、この活性炭13.70g全量に、実施例1と同じ方法で5.00質量%の残渣分を吸着させ、吸着塔Aに充填し、1回目の再生処理と同じ方法で、酸素混合ガスによる2回目の再生処理を行った。再生処理中の最高温度は338℃、再生所要時間は1.5時間、2回目の再生処理後の活性炭の重さは13.56gであった。
【0063】
以上のPt/AC−3の再生処理を、再生ガスである空気流量を様々変えながら繰り返し6回行った。その結果を表1にまとめた。
【0064】
【表1】
Figure 0003651881
【0065】
1回目の再生処理後の重量減少は、Pt/AC−3の含まれていた水分、n−ヘキサン、白金塩の対イオン(実施例10の場合、アセチルアセトナト)が脱離したためであった。それ以外の再生回数では、重量の変化、残渣分吸着量に大きな変化はなかった。
【0066】
実施例11
先に得られたPt/AC−1の750.0gに実施例1と同じ方法で5.00質量%の残渣分を吸着させ(残渣分吸着後の重量783.2g)、内径7.3cm、塔高さ100cmの吸着塔(以下、「吸着塔B」という。)に充填(充填層の高さ40cm)した。常圧下で、流量15Nl/minの窒素気流下で280℃までに昇温した後、その温度で常圧下で酸素濃度1.0容量%、流量8.0Nl/minの酸素混合ガスに替えて、Pt/AC−1の酸素混合ガスによる1回目の再生処理を開始した。酸化反応による発熱で、塔内の温度は360℃まで上昇した。360℃の塔内温度が、入口側から20cmの活性炭充填部分に到達したとき、再生ガス圧力を常圧から0.3MPaに、30cmに到達したとき、0.5MPaにそれぞれ上げた。圧力を高くしても、塔内温度はほぼ360℃で推移した。活性炭充填部の出口側の末端部分の温度が280℃まで下がった時点を再生終了とし、常圧下で流量15Nl/minの窒素気流に替え、室温まで塔温度を下げた。1回目の再生処理後の活性炭重量は685.2gであった。
【0067】
この活性炭685.2g全量に、実施例1と同じ方法で5.05質量%の残渣分を吸着させ、吸着塔B に充填し、1回目の再生処理と同じ操作で、酸素混合ガスによる2回目の再生処理を行った。再生条件を酸素混合ガスの酸素濃度を2 容量% 、流量を6.0Nl/minにし、圧力を活性炭充填部部分0〜20cmは常圧、〜30cmは0.3MPa、〜40cmは0.5MPaにして再生を行った。再生処理中の塔内温度は、圧力に関係なく、ほぼ380℃で推移した。2回目の再生処理後の活性炭重量は690.3gであった。
【0068】
この活性炭690.3g全量に、実施例1と同じ方法で5.05質量%の残渣分を吸着させ、吸着塔B に充填し、1回目の再生処理と同じ操作で、酸素混合ガスによる3 回目の再生処理を行った。再生条件を酸素混合ガスの酸素濃度を0.8容量%、流量を25.0Nl/minにし、圧力は全て常圧で再生を行った。再生処理中の塔内温度は、ほぼ340℃で推移した。3回目の再生処理後の活性炭重量は695.1gであった。
【0069】
この活性炭695.1g全量に、実施例1と同じ方法で4.99質量%の残渣分を吸着させ、吸着塔Bに充填し、1回目の再生処理と同じ操作で、酸素混合ガスによる4回目の再生処理を行った。再生条件を酸素混合ガスの酸素濃度を2容量%、圧力を常圧にし、流量を活性炭充填部部分0〜20cmは6.0Nl/min、〜40cmは8.0Nl/minで再生を行った。再生処理中の塔内温度は、流量によって変わり、それぞれ380℃、420℃で推移した。4回目の再生処理後の活性炭重量は694.8gであった。
【0070】
1回目の再生処理後の重量減少は、Pt/AC−1の含まれていた水分、n−ヘキサン、白金塩の対イオン(実施例11の場合、アセチルアセトナト)が脱離したためであった。それ以外の再生回数では、重量の変化、残渣分吸着量に大きな変化はなかった。
【0071】
実施例12
先に得られたPt/AC−1の31.60gを吸着塔Aに充填(充填層高40cm)し、常圧、室温、流量30.0Nl/hの窒素で吸着塔内を3時間パージした。その後、残渣分を含まないLPガスで塔内を十分に置換した後、90ppmの残渣分を含むLPガスを、11.0cm3 /minの通液流量で上流方向に20時間通液し、1回目のLPガス中の残渣分除去処理を行った。残渣分の出口濃度を測定し、図3にその経時変化、すなわち破過曲線を示す。残渣分の出口濃度/入口濃度が10%になる破過時間は、13.1時間であった。
【0072】
この残渣分除去処理の後、下流方向に常圧下で流量30.0Nl/hの窒素を流しながら室温から250℃に昇温し、吸着塔内のLPガスを除去した。続けて、250℃、常圧下で酸素濃度1容量%、流量30.0Nl/hの酸素混合ガスに切り替えて、酸素混合ガスによるPt/AC−1の再生処理を開始した。酸化反応による発熱で、塔内の温度は最高304℃まで上昇し、活性炭充填部の出口側の末端部分の温度が250℃まで下がった時点を再生終了とした。続けて、流量30.0Nl/hの窒素気流に切り替え、室温まで吸着塔温度を下げた。
【0073】
吸着塔内の活性炭を充填した状態で、再び上記と同じLPガスと条件で、2回目のLPガス中の残渣分除去処理を行い、破過曲線を図3に示す。破過時間は13.0時間でであり、1回目と同じ残渣分吸着能を示した。
【0074】
比較例1
実施例1と同じ方法で、残渣分吸着処理を行い、活性炭に残渣分2.5質量%を吸着させた。これを実施例1と同じ条件で、TG/DTAの測定を行った。その結果、残渣分は390℃をピークに350〜450℃で脱着することが示された。活性炭のピークは約460℃以上であった。TG/DTAの測定から求めた残渣分の重量減少量は1.4質量%と、吸着量より少なく、完全に残渣分が除去できなかった。
【0075】
比較例2
実施例1と同じ方法で、残渣分吸着処理を行い、Pt/AC−3に残渣分2.5質量%を吸着させた。これをヘリウムガス、すなわち酸素0容量%のガス気流300Ncm3 /minで、15℃/minの昇温速度で30℃から700℃まで昇温条件でTG/DTAを測定した。その結果、残渣分は400℃をピークに350〜450℃で脱着することが示された。活性炭のピークは約460℃以上であった。TG/DTAの測定から求めた残渣分の重量減少量は1.5質量%と、吸着量より少なく、完全に残渣分が除去できなかった。
【0076】
比較例3
実施例1と同じ方法で活性炭20.0gに、0.002gのビス- アセチルアセトナト白金で白金を担持し、表面積1548m2 /g、細孔容積0.257Ncm3 /gの粒状白金担持活性炭20.0gを得た。ICP法から求めた白金担持量は0.005質量%であった。以下、この白金担持活性炭をPt/AC−10とする。
【0077】
実施例1と同じ方法で、残渣分吸着処理を行い、Pt/AC−10に残渣分2.5質量%を吸着させた。これを実施例1と同じ条件で、TG/DTAの測定を行った。その結果、残渣分は350℃をピークに250〜450℃で脱着あるいは酸化分解することが示された。活性炭のピークは約460℃以上であった。TG/DTAの測定から求めた残渣分の重量減少量は2.0質量%と、吸着量より少なく、完全に残渣分が除去できなかった。
【0078】
比較例4
実施例1と同じ方法で活性炭20.0gに、2.80gのビス- アセチルアセトナト白金で白金を担持し、表面積1280m2 /g、細孔容積0.204Ncm3 /gの粒状白金担持活性炭21.9gを得た。ICP法から求めた白金担持量は6.40質量%であった。以下、この白金担持活性炭をPt/AC−11とする。
【0079】
実施例1と同じ方法で、残渣分吸着処理を行い、Pt/AC−11に残渣分2.1質量%を吸着させた。これを実施例1と同じ条件で、TG/DTAの測定を行った。実施例3と同じく、残渣分は270℃をピークに220〜330℃で脱着あるいは酸化分解することが示された。活性炭のピークは約460℃以上であった。TG/DTAから求めた残渣分の重量減少量は2.1質量%と、吸着量と同じであった。このとき、残渣分は完全に除去されたが、白金担持量が多すぎるため、表面積や細孔容積が低下し、残渣分吸着量も低下した。
【0080】
比較例5
実施例1と同じ方法で、実施例1記載の活性炭15.00gに5.00質量%の残渣分を吸着させた後、吸着塔Aに充填し、塔内圧力を減圧ポンプで1.3kPa(10Torr)に減圧しながら、250℃まで昇温した。その後、1.3kPa、250℃で4時間保持した。この再生処理後の活性炭重量は14.61gであった。再生処理後の活性炭に再び残渣分吸着処理をし、吸着量は1.02質量%であった。
【0081】
比較例6
実施例1と同じ方法で、実施例1記載の活性炭15.00gに、5.06質量%の残渣分を吸着させた後、吸着塔Aに充填し、塔内圧力を減圧ポンプで1.3kPa(10Torr)に減圧しながら、400℃まで昇温した。その後、1.3kPa、400℃で4時間保持した。この再生処理後の活性炭重量は14.33gであった。再生処理後の活性炭に再び残渣分吸着処理をし、吸着量は2.97質量%であった。
【0082】
比較例7
実施例1と同じ方法で、実施例1記載の活性炭15.00gに、5.06質量%の残渣分を吸着させた後、吸着塔Aに充填し、流量200Ncm3 /minの窒素気流下で250℃までに昇温した後、その温度で流量100Ncm3 /minのスチームパージに替えて、250℃で4時間保持した。この再生処理後の活性炭重量は14.70gであった。再生処理後の活性炭に再び残渣分吸着処理をし、吸着量は0.68質量%であった。
【0083】
比較例8
再生温度を変更して、実施例10と同じ再生操作を行った。14.90gのPt/AC−3に実施例1と同じ方法で、5.18質量%の残渣分を吸着させ、吸着塔A に充填した。流量200Ncm3 /minの窒素気流下で180℃までに昇温した。その後、その温度で流量100Ncm3 /minの空気気流に替えて、酸素混合ガスによる再生処理を開始した。塔内の温度は最高187℃まで上昇したが、温度上昇が小さく、活性炭充填部の出口側の末端部分の温度が180℃に下がった時点を再生終了とする見極めが不明確であったため、実施例10の1回目の再生処理時間と同じ1.5時間とした。再生処理後、流量200Ncm3 /minの窒素気流に替え、室温まで塔温度を下げた。再生処理後の活性炭の重さは14.80gであった。この活性炭14.80g全量に、実施例1と同じ方法で残渣分を吸着させたが、残渣分吸着量はわずか0.20質量%であった。
【0084】
比較例9
再生温度を変更して、実施例10と同じ再生操作を行った。14.90gのPt/AC−3に実施例1と同じ方法で、5.10質量%の残渣分を吸着させ、吸着塔Aに充填した。流量200Ncm3 /minの窒素気流下で360℃までに昇温した後、その温度で流量200Ncm3 /minの空気気流に替えて、酸素混合ガスによる再生処理を開始した。塔内の温度は最高493℃まで上昇し、活性炭充填部の出口側の末端部分の温度が360℃まで下がった時点を再生終了とした。流量200Ncm3 /minの窒素気流に替え、室温まで塔温度を下げた。酸素混合ガス(空気)による再生所要時間は0.9時間で、再生処理後の活性炭の重さは12.56gであった。再生処理後のPt/AC−3の表面積は1250m2 /g、細孔容積は0.183cm3 /gであった。活性炭の重量および物性は再生処理前に比べて大きく低下した。
【0085】
比較例10
実施例11の4回目の再生処理後の活性炭694.8g全量に、実施例1と同じ方法で5.10質量%の残渣分を吸着させ、吸着塔Bに充填し、1回目の再生処理と同じ操作で、酸素混合ガスによる再生処理を行った。再生条件を酸素混合ガスの酸素濃度を2容量%、圧力を常圧にし、流量を活性炭充填部部分0〜20cmは10.0Nl/min、〜40cmは12.0Nl/minで再生を行った。再生処理中の塔内温度は、流量によって変わり、それぞれ約460℃、約500℃で推移した。5回目の再生処理後の活性炭重量は670.7gであった。再生処理後のPt/AC−1の表面積は1150m2 /g、細孔容積は0.156cm3 /gであった。活性炭の重量および物性は再生処理前に比べて大きく低下した。
【0086】
比較例11
33.64gの活性炭を吸着塔Aに充填(充填層高40cm)し、実施例12と同じLPガス、処理条件で、1回目のLPガス中の残渣分除去処理を行った。破過時間は13.0時間であった。図3に破過曲線を示す。残渣分除去処理後の酸素混合ガスによる再生処理も、実施例12と同じ方法で行った。再生処理中の吸着塔内の温度は最高260℃であった。また、上記と同じLPガスと条件で、2回目のLPガス中の残渣分除去処理を行ったが、破過時間は7.8時間であり、1回目より残渣分吸着能は低下した。
【0087】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、従来に比して低温で再生できる吸着剤(白金を担持した活性炭)を用いる液化ガス中の残渣分の除去方法、および該吸着剤を再生する方法が提供される。また本発明によれば、液化ガス中の残渣分の除去と吸着剤の再生を繰り返すことが可能となり、液化ガス中の残渣分を連続的に除去することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を実施するための液化石油ガス(LPG)中の残渣分の除去および吸着剤の再生を連続的に行うことができる装置の一例である。
【図2】実施例1、2、3、5、6のPt/ACのTG/DTAの実験結果(測定結果)のチャート図である。図中、横軸は温度(℃)を、縦軸はDTGをそれぞれ表す。
【図3】実施例12および比較例11の1回目と2回目のPt/ACの残渣分除去効果の破過曲線を表す図である。図中、横軸は液化石油ガスの通液時間(h)を、縦軸は吸着処理された液化石油ガス中の残渣分の濃度(出口濃度)を吸着処理される前の液化石油ガス中の残渣分の濃度で割って得られる百分率(%)をそれぞれ示す。
【符号の説明】
1a、1b 吸着塔

Claims (5)

  1. 液化ガスを白金が担持された活性炭を充填した充填層に接触させることにより、液化ガス中の残渣分を該活性炭に吸着させ、前記活性炭に吸着した残渣分を酸素酸化させることで、前記活性炭を再生処理することを特徴とする吸着剤の再生方法。
  2. 液化ガスを白金が担持された活性炭を充填した充填層と接触させることにより、該液化ガス中の残渣分を前記活性炭に吸着させる液化ガス中の残渣分の除去工程と、前記活性炭に吸着した液化ガス中の残渣分を酸素酸化させることで、前記活性炭を再生処理する活性炭再生工程とを有し、これらの工程を連続的に繰り返し行うことを特徴とする液化ガス中の残渣分の除去方法。
  3. 白金を金属換算で、担持後の活性炭の重量基準で0.01〜5質量%担持させた活性炭を用いることを特徴とする請求項に記載の液化ガス中の残渣分の除去方法。
  4. 白金を金属換算で、担持後の活性炭重量基準で、0.01〜5質量%担持させた活性炭を吸着剤に用いることを特徴とする請求項に記載の活性炭の再生方法。
  5. 前記酸素酸化は、0℃、1気圧の標準状態換算で酸素含有量が0.01〜25容量%である混合ガスを用いて、200〜450℃の温度範囲で酸素酸化を行うことを特徴とする請求項1又は4に記載の活性炭の再生方法。
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