JP2001162175A - 窒素酸化物除去用触媒の製造方法およびその製造装置 - Google Patents

窒素酸化物除去用触媒の製造方法およびその製造装置

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JP2001162175A
JP2001162175A JP34647299A JP34647299A JP2001162175A JP 2001162175 A JP2001162175 A JP 2001162175A JP 34647299 A JP34647299 A JP 34647299A JP 34647299 A JP34647299 A JP 34647299A JP 2001162175 A JP2001162175 A JP 2001162175A
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gas
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Satoshi Omura
聡 大村
Hideji Fujii
秀治 藤井
Mio Nozaki
未央 野崎
Masazumi Taura
昌純 田浦
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Mitsubishi Heavy Industries Ltd
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Mitsubishi Heavy Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 室温から120℃程度の低温でのNOの還元
(分解)を高効率に行うことが可能な窒素酸化物除去用
触媒の製造方法を提供しようとするものである。 【解決手段】 炭素繊維を二酸化炭素および水蒸気から
選ばれる少なくとも1つの賦活ガスで処理して前記炭素
繊維表面の比表面積を増大させる工程と、前記賦活処理
された炭素繊維を還元処理して前記賦活処理により表面
に導入された含酸素官能基を除去し、活性点であるC=
C基を増加させる工程とを具備したことを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、一酸化窒素(N
O)を、還元剤を用いて還元し窒素ガスとするための窒
素酸化物除去用触媒の製造方法およびその製造装置に関
する。
【0002】
【従来の技術】火力発電用ボイラ等の固定排出源から出
される排ガス中のNOx (窒素酸化物)の除去には、ア
ンモニアを還元剤とした乾式還元法が多く適用されてい
る。現在実用化されているこの方法は、250℃以上の
温度雰囲気下、チタニア−バナジウム系の組成をベース
にした板状またはハニカム状の触媒上で、アンモニアに
よりNOx を窒素と水蒸気とに分解する選択接触還元法
(SCR)が主流となっている。
【0003】近年の環境規制から排ガス中のNOx濃度
を1ppm以下程度に除去するよう求められているが、
前述した従来のSCRによる脱硝処理では一旦温度が下
がったガスを再び触媒作動温度まで加熱する必要がある
ため、装置の巨大化等コストがかかる。低温での脱硝が
可能になれば、再加熱装置や断熱材等が不要になり、ス
リム化を図ることが可能になる。
【0004】このようなことから、NOxの除去手段と
して活性炭素繊維(ACF)に吸着させる方法も知られ
ている。例えば、特開平1−85137号公報、特開平
2−69311号公報、特開平2−253844号公報
には、炭素材の表面積を増加させることによりNOに対
する吸着性能を高めることが開示されている。特開昭6
4−85137号公報には、炭素繊維表面に、銅、ニッ
ケル、コバルト等の金属水酸化物、銅又はニッケルの酸
化物を担持させた吸着材が開示されている。
【0005】しかしながら、これらの吸着材はNOx
長期にわたり除去することが困難であり、飽和吸着量に
達する毎に、交換もしくは再生する等、吸着したNOx
をいかに処理するかの問題が残る。
【0006】一方、ACFを再度700℃以上で加熱処
理して再賦活することにより、アンモニアを用いた一酸
化窒素(NO)の還元反応が100℃以下で起こること
が見出されている。しかしながら、加熱処理したACF
は乾燥雰囲気では90%程度の脱硝率を示すものの、水
分共存下では脱硝率が極端に低下する問題がある
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、室温から1
20℃程度の低温でのNOの還元(分解)を高効率に行
うことが可能な窒素酸化物除去用触媒の製造方法を提供
するものである。
【0008】本発明は、室温から120℃程度の低温、
更には水分共存条件でのNOの還元(分解)を高効率に
行うことが可能な窒素酸化物除去用触媒の製造方法を提
供するものである。
【0009】本発明は、前述した特性を有する窒素酸化
物除去用触媒を容易に製造し得る装置を提供するもので
ある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明に係る窒素酸化物
除去用触媒の製造方法は、炭素繊維を二酸化炭素および
水蒸気から選ばれる少なくとも1つの賦活ガスで処理し
て前記炭素繊維表面の比表面積を増大させる工程と、前
記賦活処理された炭素繊維を還元処理して前記賦活処理
により表面に導入された含酸素官能基を除去し、活性点
であるC=C基を増加させる工程とを具備したことを特
徴とするものである。
【0011】本発明に係る窒素酸化物除去用触媒の製造
方法は、炭素繊維を二酸化炭素および水蒸気から選ばれ
る少なくとも1つの賦活ガスで処理して前記炭素繊維表
面の比表面積を増大させる工程と、前記賦活処理後の炭
素繊維に金属を担持させた後、還元処理して前記賦活処
理により表面に導入された含酸素官能基を除去し、活性
点であるC=C基を増加させる工程とを具備したことを
特徴とするものである。
【0012】本発明に係る窒素酸化物除去用触媒の製造
装置は、炭素繊維が設置される反応装置と、前記反応装
置に二酸化炭素および水蒸気から選ばれる少なくとも1
つの賦活ガスを供給するための賦活ガス供給手段と、前
記反応装置に還元性ガスを供給するための還元性ガス供
給手段と、前記各供給手段からの賦活ガスおよび還元性
ガスをそれぞれ前記反応装置に供給するための切替手段
とを具備したことを特徴とするものである。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係る窒素酸化物除
去用触媒の製造方法を図1に示す製造装置を参照して詳
細に説明する。
【0014】図1は、本発明に係る窒素酸化物除去用触
媒の製造装置を示す概略図である。例えば二酸化炭素を
供給するための賦活ガス供給装置1および還元性ガスを
供給するための還元性ガス供給装置2は、それぞれ反応
装置、例えば流通式の電気炉3に隣接して配置されてい
る。
【0015】前記賦活ガス供給装置1は、前記電気炉3
のガス入口に第1配管4および合流配管5を通して接続
されている。第1開閉弁6は、前記第1配管4に介装さ
れている。
【0016】前記還元性ガス供給装置2は、前記電気炉
3のガス入口に第2配管7および前記合流配管5を通し
て接続されている。第2開閉弁8は、前記第2配管7に
介装されている。
【0017】なお、本発明に係る窒素酸化物除去用触媒
の製造装置において、前記賦活ガス供給装置は二酸化炭
素を前記電気炉に供給する形態に限らず、例えばヘリウ
ムのような不活性ガスの供給源と、前記第1配管に水を
滴下する水滴下部材と、前記第1配管および合流配管の
外側に巻装され、前記水滴下部材から滴下された水を1
00℃以上に加熱するためのヒータのような加熱部材と
から構成し、賦活ガスとして水蒸気を前記電気炉に供給
する形態にしてもよい。
【0018】本発明に係る窒素酸化物除去用触媒の製造
装置において、前記反応装置は電気炉に限らず、バーナ
ーによる燃焼炉を用いてもよい。また、反応装置は流通
式に限らず回分式(バッチ式)であってもよい。
【0019】次に、前述した図1の窒素酸化物除去用触
媒の製造装置を用いて窒素酸化物除去用触媒の製造方法
を説明する。
【0020】まず、炭素繊維を図1に示す電気炉3内に
設置し、前記炭素繊維を所望温度に加熱し、第1開閉弁
6を開き、第2開閉弁8を閉じた状態で賦活ガス供給装
置1から例えば二酸化炭素ガスを第1配管4および合流
配管5を通して前記電気炉3内に供給し、この中の炭素
繊維を賦活処理する。この時、前記炭素繊維表面が多孔
質化されてその比表面積が増大するとともに、賦活ガス
として例えば二酸化炭素ガスを用いた場合には前記炭素
繊維の表面にCOOH基のような含酸素官能基が導入さ
れる。
【0021】なお、前記賦活ガス供給装置1から水蒸気
をへリウムのような不活性ガスと一緒に前記電気炉3に
供給した場合には前記炭素繊維表面の比表面積が増大す
るとともに、前記炭素繊維の表面にOH基のような含酸
素官能基が導入される。
【0022】次いで、前記賦活ガス供給装置1からの二
酸化炭素ガスの供給を停止し、前記電気炉3内の賦活処
理された炭素繊維を所望の温度に加熱し、第1開閉弁6
を閉じ、第2開閉弁8を開いた後、必要に応じて窒素、
ヘリウムのような不活性ガスにより前記電気炉3内の二
酸化炭素ガスのような残留ガスをパージする。つづい
て、還元性ガス供給装置2から還元性ガスを第2配管7
および合流配管5を通して前記電気炉3内に供給し、こ
の中の賦活された炭素繊維を還元処理する。このような
還元処理により前記炭素繊維表面のCOOH基,(また
はOH基)のような含酸素官能基が除去されるため、表
面に占める活性点であるC=C基が増加され、かつ比表
面積が増大された窒素酸化物除去用触媒が製造される。
【0023】前記賦活ガスによる処理時において前記電
気炉で炭素繊維を加熱する温度は、賦活ガスの種類を問
わず800〜1000℃にすることが好ましい。
【0024】前記還元処理に用いられる還元性ガスは、
特に限定されないが、水素単独、もしくは窒素、ヘリウ
ムのような不活性ガスが水素を希釈した水素含有ガスが
好ましい。
【0025】前記還元処理時の温度は、250〜500
℃であることが好ましく、その処理時間は2時間以上に
することが望ましい。還元処理時の温度を250℃未満
にすると、炭素繊維表面のCOOH基(またはOH基)
のような含酸素官能基を除去し、活性点であるC=C基
を増加させることが困難になる。一方、還元処理時の温
度が500℃を超えると炭素繊維表面の官能基および比
表面積が大幅に変化して触媒としての反応性が低下する
虞がある。
【0026】次に、本発明に係る別の窒素酸化物除去用
触媒の製造方法を前述した図1の窒素酸化物除去用触媒
の製造装置を用いて詳細に説明する。
【0027】まず、前述した方法により炭素繊維を賦活
処理する。つづいて、この賦活処理された炭素繊維に金
属を担持させる。
【0028】前記担持する金属は、他成分の存在に影響
されずにNO分子を吸着する効果がある。このような金
属は、NOを吸着するものであればいかなるものでもよ
いが、特に分子状吸着しやすいパラジウム(Pd)が好
ましい。
【0029】前記金属の担持方法としては、例えば含浸
法、イオン交換法、CVD法、イオン注入法等を採用す
ることができる。
【0030】前記担持する金属の濃度は、特に限定され
ないが、賦活処理された炭素繊維表面での炭素原子数に
対する割合で0.1〜2%にすることが好ましい。
【0031】次いで、前記金属が担持され、賦活処理さ
れた炭素繊維を図1に示す電気炉3内に設置し、前記金
属担持賦活処理炭素繊維を所望温度に加熱し、第1開閉
弁6を閉じ、第2開閉弁8を開いた状態で還元性ガス供
給装置2から還元性ガスを第2配管7および合流配管5
を通して前記電気炉3内に供給し、前記金属担持賦活処
理炭素繊維を還元処理する。このような還元処理によっ
て、前記賦活処理により前記金属担持賦活処理炭素繊維
表面に導入されたのCOOH基,(またはOH基)のよ
うな含酸素官能基が除去されるため、表面に占める活性
点であるC=C基が増加され、かつ比表面積が増大され
た窒素酸化物除去用触媒が製造される。
【0032】前記還元処理に用いられる還元性ガスは、
特に限定されないが、水素単独、もしくは窒素、ヘリウ
ムのような不活性ガスが水素を希釈した水素含有ガスが
好ましい。
【0033】前記還元処理時の温度は、250〜500
℃であることが好ましく、その処理時間は2時間以上に
することが望ましい。還元処理時の温度を250℃未満
にすると、金属担持賦活処理炭素繊維表面のCOOH基
(またはOH基)のような含酸素官能基を除去し、活性
点であるC=C基を増加させることが困難になる。一
方、還元処理時の温度が500℃を超えると金属担持賦
活処理炭素繊維表面の官能基および比表面積が大幅に変
化して触媒としての反応性が低下する虞がある。
【0034】以上説明したように本発明によれば、所望
の温度、アンモニアの存在下での脱硝プロセスに適用し
た場合、高い脱硝効率を示す窒素酸化物除去用触媒の製
造方法を提供できる。
【0035】すなわち、本発明者らは上記課題を鋭意検
討した結果、炭素材によるNO還元機構について、
(1)C=CやC=Oのような不飽和結合を持つ官能基
が脱硝反応の活性点である、(2)この活性点上でNO
と雰囲気中のO2からNO2が生成し、このNO2にアンモ
ニアが反応し、ニトロソアミン(−N−N=O)の結合
を経て、脱硝反応が生じる、という知見を得た。
【0036】本発明のように、炭素繊維を二酸化炭素お
よび水蒸気から選ばれる少なくとも1つの賦活ガスで処
理して前記炭素繊維表面を多孔質化し、その比表面積を
増大させ、この賦活処理がなされた炭素繊維を還元処
理、好ましくは水素還元処理することによって、前記賦
活処理により炭素繊維表面に導入された含酸素官能基を
除去でき、表面に占める活性点であるC=C基を増加で
きる。その結果、表面性状および表面の官能基が改質さ
れた窒素酸化物除去用触媒を製造できる。したがって、
この触媒を所望の温度、アンモニアの存在下での脱硝プ
ロセスに適用することによって、前記(1),(2)の
知見および比表面積の増大、つまり反応面積の増大によ
り高い脱硝効率を実現できる。
【0037】また、別の本発明によれば所望の温度、ア
ンモニアの存在下での脱硝プロセスに適用した場合、水
分が共存しても高い脱硝効率を示す窒素酸化物除去用触
媒の製造方法を提供できる。
【0038】すなわち、本発明者らは炭素材によるNO
還元機構について、前述した(1),(2)の知見に加
えて(3)水は活性点でのNO2の生成を阻害し、脱硝率
を低下させるという知見を得た。
【0039】本発明の別の方法のように、炭素繊維を二
酸化炭素および水蒸気から選ばれる少なくとも1つの賦
活ガスで処理して前記炭素繊維表面を多孔質化してその
比表面積を増大させ、この賦活処理がなされた炭素繊維
に金属を担持させた後、金属担持賦活処理炭素繊維を還
元処理、好ましくは水素還元処理することによって、前
記賦活処理により表面に導入された含酸素官能基を除去
でき、表面に占める活性点であるC=C基を増加でき
る。その結果、表面性状および表面の官能基が改質され
る他に、金属の担持により水のような他成分の存在に影
響されずにNO分子を吸着する効果を示す表面状態に改
質された窒素酸化物除去用触媒を製造することができ
る。したがって、この触媒を所望の温度、アンモニアの
存在下での脱硝プロセスに適用することによって、前記
(1)〜(3)の知見および比表面積の増大、つまり反
応面積の増大により水分が共存してもNO2の生成を低
下させずに高い脱硝効率を実現できる。
【0040】さらに、本発明に係る窒素酸化物除去用触
媒の製造装置によれば高い脱硝効率を示す窒素酸化物除
去用触媒や、水分が共存してもNO2の生成を低下させ
ずに高い脱硝効率を示す窒素酸化物除去用触媒を製造す
ることができる。
【0041】
【実施例】以下、好ましい実施例を前述した図1の窒素
酸化物除去用触媒の製造装置を参照して詳細に説明す
る。
【0042】(実施例1)まず、ピッチ系炭素繊維8g
を図1に示す電気炉3内に仕込み、第1開閉弁6を開
き、第2開閉弁8を閉じた状態で賦活ガス供給装置1か
ら二酸化炭素ガスを第1配管4および合流配管5を通し
て前記電気炉3内に1L/minの流量で2時間ないし
3時間供給してピッチ系炭素繊維を賦活処理を行なっ
た。この時の前記炭素繊維の加熱温度を900℃に設定
した。
【0043】次いで、前記賦活ガス供給装置1からの二
酸化炭素ガスの供給を停止し、第1開閉弁6を閉じ、第
2開閉弁8を開いた状態で窒素パージで前記電気炉3内
のガスを置換した後、還元性ガス供給装置2から水素が
1容積%の濃度で含有される窒素バッファを第2配管7
および合流配管5を通して前記電気炉3内に200mL
/minの流量で6時間供給して賦活された炭素繊維4
gを還元処理した。この時の賦活処理されたピッチ系炭
素繊維の加熱温度を350℃に設定した。
【0044】賦活処理および水素還元処理を施した実施
例1のピッチ系炭素繊維と賦活処理のみを施したピッチ
系炭素繊維(比較例1)の表面状態の変化を見るため
に、XPS測定を行った。図2は、C1sスペクトルの
結果であり、図3はO1sスペクトルの結果である。
【0045】図2から明らかなように賦活処理および水
素還元処理を施した実施例1のピッチ系炭素繊維と賦活
処理のみを施した比較例1のピッチ系炭素繊維とでは、
290.9eVのピークに差が見られる。このピーク
は、炭素グラファイト構造のπ−π*のシェークアップ
に由来し、実施例1のピッチ系炭素繊維は比較例1のピ
ッチ系炭素繊維に比べて強度が増加していることがわか
る。つまり、実施例1のピッチ系炭素繊維ではC=C基
が増えていることを示している。
【0046】また、図3では比較例1、実施例1とも、
533.3eVと531eVにピークが存在するが、5
33.3eVのピークは高温まで安定なエーテル結合に
由来し、531eVのピークは他のOH基,COOH基
のような含酸素官能基に由来する。実施例1では、53
1eVのピーク強度の低下がはっきり現れており、含酸
素官能基が減少したことがわかる。
【0047】<脱硝効率の評価>前述した賦活処理およ
び水素還元処理を施した実施例1のピッチ系炭素繊維と
賦活処理のみを施した比較例1のピッチ系炭素繊維をそ
れぞれ固定床流通型装置を用いて下記条件下でNO消費
率を測定した。その結果を下記表1に示す。
【0048】(脱硝条件) 試料量;全量2g(W/F=5×10-3g・min/c
c)、 反応温度;20℃、 ガス全流量;400cc/min(Arバッファー)、 酸素濃度;10%、 No濃度;10ppm、 アンモニア濃度;20ppm。
【0049】
【表1】
【0050】前記表1から明らかなように賦活処理およ
び水素還元処理を施した実施例1のピッチ系炭素繊維
(窒素酸化物除去用触媒)は、反応開始から16時間以
降において、比較例1(賦活処理のみを施したピッチ系
炭素繊維を触媒として利用)に比べてNO消費率が高
く、脱硝率が向上されていることがわかった。
【0051】すなわち、表面官能基とその近傍の反応で
C=C基は酸素共存下のNOによりNO2基やC=O基
を生じ、少なくとも生成したニトロ基はアンモニアと反
応し、ニトロソアミン(−N−N=O)の結合を経て脱
硝反応を起こす。C=O基には、NOが配位し、C−O
−NOのような構造を作る。C=O基により生成したC
−O−NOが、新たに酸化活性点となって、さらにNO
とO2の反応を促進する。従って、C=O基の存在は、C
−O−NOの生成を経由して、NO及びO2が存在する
ときは、酸化活性点となり、更なるNo2を生じさせる。
さらにアンモニアが存在すると、C−O−NOにより生
じたNO2、あるいはC−O−NO自体と反応すること
で、C=O基は脱硝反応の活性点となる。実施例1では
OH基やCOOH基といった含酸素官能基を減少させ、
活性点となるC=C基を増加させたことで、一酸化窒素
をより効率よく除去できる。
【0052】(実施例2)まず、実施例1と同様な方法
により賦活処理したピッチ系炭素繊維5gを、Pd塩化
物水溶液1Lに浸し、5日間放置した後、引き上げて、1
Lの純水を4回にわけて濾過洗浄した。含浸液は、Pd
Cl2を1M塩酸水溶液を用いて溶解した5mMのPd
塩化物水溶液を用いた。つづいて、50℃の空気中で2
4時間乾燥させた。
【0053】次いで、得られたPd担持賦活処理ピッチ
系炭素繊維を図1に示す電気炉3内に仕込み、第1開閉
弁6を閉じ、第2開閉弁8を開いた状態で還元性ガス供
給装置2から水素が1容積%の濃度で含有される窒素バ
ッファを第2配管7および合流配管5を通して前記電気
炉3内に200mL/minの流量で6時間供給して賦
活された炭素繊維4gを還元処理した。この時の賦活処
理されたピッチ系炭素繊維の加熱温度を350℃に設定
した。
【0054】得られた賦活処理および水素還元処理が施
されたPd担持ピッチ系炭素繊維の表面状態の変化を見
るために、XPS測定を行った。その結果を図4(Pd
3dスペクトル)に示す。
【0055】図4から明らかなようにメインピーク(3
35.3eV)とスピン軌道相互作用による分裂ピーク
(341eV付近)が観測され、メインピークの結合エ
ネルギー値から、Pdは金属状態(335.1eV)で
あり、酸化されていないことがわかった。また、表面での
炭素原子数との比、Pd/Cは0.1%であった。
【0056】水の有無による前記賦活処理および水素還
元処理が施されたPd担持ピッチ系炭素繊維のNOx
吸着量変化をさらに詳細に調べるために、NO+O2(+
2O)の流通後、TPD試験を実施した。前述した比較
例1の結果を図5に、実施例2の結果を図6にそれぞれ
示す。NO2(M/Z=46)のTPD挙動は、NOと
ほぼ同じであった。図5および図6から明らかなように
実施例2の賦活処理および水素還元処理が施されたPd
担持ピッチ系炭素繊維の脱離挙動は、賦活処理のみを施
したピッチ系炭素繊維(比較例1)と大きく異なる。す
なわち、図6に示す実施例2では、NOの脱離ピークが、
150℃と240℃に観測されるが、図5に示す比較例
1では150℃のピークしか見られないことがわかる。
よって、240℃のピークはPdに吸着した窒素酸化物
によるもので、水が共存すると150℃のピーク強度は
減少するが、240℃のピーク強度はほとんど変わらな
い。水の共存下でも強度が減少しないことから、Pdへの
窒素酸化物の吸着は水に阻害されないことがわかる。 <脱硝効率の評価>前述した実施例2の賦活処理および
水素還元処理が施されたPd担持ピッチ系炭素繊維およ
び比較例1の賦活処理のみを施したピッチ系炭素繊維を
それぞれ水が共存された固定床流通型装置を用いて下記
条件下でNO消費率を測定した。その結果を下記表2に
示す。
【0057】(脱硝条件) 試料量;全量2g(W/F=5×10-3g・min/c
c)、 反応温度;20℃、 相対湿度;50%、 ガス全流量;400cc/min(Arバッファー)、 酸素濃度;10%、 No濃度;10ppm、 アンモニア濃度;20ppm。
【0058】
【表2】
【0059】前記表2から明らかなように実施例2の賦
活処理および水素還元処理が施されたPd担持ピッチ系
炭素繊維(窒素酸化物除去用触媒)は、比較例1(賦活
処理のみを施したピッチ系炭素繊維を触媒として利用)
に比べては高いNO消費率を維持していることがわか
る。
【0060】これは、賦活処理および水素還元処理が施
されたピッチ系炭素繊維上に担持したPdが他成分の存
在に影響されずにNO分子を吸着する効果があり、NO
2の生成が水に阻害されないためである。
【0061】
【発明の効果】以上詳述したように本発明によれば、室
温から120℃程度の低温でのNOの還元(分解)を高
効率に行うことが可能な窒素酸化物除去用触媒の製造方
法を提供できる。
【0062】また、本発明によれば室温から120℃程
度の低温、更には水分共存条件でのNOの還元(分解)
を高効率に行うことが可能な窒素酸化物除去用触媒の製
造方法を提供できる。
【0063】さらに、本発明によれば前述した特性を有
する窒素酸化物除去用触媒を容易に製造することが可能
な窒素酸化物除去用触媒の製造装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る窒素酸化物除去用触媒の製造装置
を示す概略図。
【図2】炭素のグラファイト化(C=C基の増加)が進
むことを説明するめの、実施例1と比較例1のC1sX
PSスペクトル図。
【図3】含酸素官能基(OH基及びCOOH基)の減少
を説明する為の、実施例1と比較例1のO1sXPSス
ペクトル図。
【図4】実施例2のPdが酸化されていない事を説明す
るためのPd3dのXPSスペクトル図。
【図5】比較例1の水分がある時と無いときでのNO脱
離特性を示すための昇温脱離測定スペクトル図。
【図6】実施例2の水分がある時と無いときでのNO脱
離特性を示すための昇温脱離測定スペクトル図。
【符号の説明】
1…賦活ガス供給装置、 2…還元性ガス供給装置、 3…電気炉、 6,8…開閉弁。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C01B 31/10 B01D 53/36 102F D06M 11/76 D06M 11/00 B 11/83 (72)発明者 野崎 未央 神奈川県横浜市金沢区幸浦一丁目8番地1 三菱重工業株式会社基盤技術研究所内 (72)発明者 田浦 昌純 神奈川県横浜市金沢区幸浦一丁目8番地1 三菱重工業株式会社基盤技術研究所内 Fターム(参考) 4D048 AA06 AB02 BA05X BA05Y BA31X BB08 BD02 BD03 4G046 HA07 HC09 HC10 4G069 AA01 AA08 BA08A BA08B BA08C BC72B CA08 CA13 EA03X EA03Y FA01 FA08 FB44 FB79 4L031 AA27 AB01 BA04 CA03 CA06 DA00

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 炭素繊維を二酸化炭素および水蒸気から
    選ばれる少なくとも1つの賦活ガスで処理して前記炭素
    繊維表面の比表面積を増大させる工程と、 前記賦活処理された炭素繊維を還元処理して前記賦活処
    理により表面に導入された含酸素官能基を除去し、活性
    点であるC=C基を増加させる工程とを具備したことを
    特徴とする窒素酸化物除去用触媒の製造方法。
  2. 【請求項2】 炭素繊維を二酸化炭素および水蒸気から
    選ばれる少なくとも1つの賦活ガスで処理して前記炭素
    繊維表面の比表面積を増大させる工程と、 前記賦活処理後の炭素繊維に金属を担持させた後、還元
    処理して前記賦活処理により表面に導入された含酸素官
    能基を除去し、活性点であるC=C基を増加させる工程
    とを具備したことを特徴とする窒素酸化物除去用触媒の
    製造方法。
  3. 【請求項3】 炭素繊維が設置される反応装置と、 前記反応装置に二酸化炭素および水蒸気から選ばれる少
    なくとも1つの賦活ガスを供給するための賦活ガス供給
    手段と、 前記反応装置に還元性ガスを供給するための還元性ガス
    供給手段と、 前記各供給手段からの賦活ガスおよび還元性ガスをそれ
    ぞれ前記反応装置に供給するための切替手段とを具備し
    たことを特徴とする窒素酸化物除去用触媒の製造装置。
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