JP3651418B2 - 印刷配線板の製造法 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は印刷配線板の製造法に関する。更に詳しくはフォトレジストを用い、無電解めっきによって配線パターンを形成する印刷配線板の製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、印刷配線板の製造は、スルホール導通部を無電解薄付けめっきと電解めっきとを併用して形成し、配線パターン部をエッチングで形成するサブトラクティブ法により主に行われている。一方、スルホール導通部および配線パターン部を無電解めっきで形成するアディティブ法が実用化されており、微細配線や小径スルホールに適するため、今後の高密度印刷配線板の製造法として注目されている。
【0003】
このアディティブ法においては、高アルカリ性(通常pH11〜13.5)、高温度(通常60〜80℃)の無電解めっき液に長時間(通常4〜50時間)耐える無電解めっき用レジストが必要であり、また通常、150μm(線幅及び間隔)の微細配線を形成するためには、スクリーン印刷用レジストでは困難でありフォトレジストが適用される。
【0004】
アディティブ法用のフォトレジストの提案が、特開昭50−43468号公報、特開昭54−770号公報、特開昭58−100490号公報、特開昭58−199341号公報、特開昭59−12434号公報、特開昭60−101532号公報等でなされている。また、無電解銅めっき液の汚染が少なく、量産性に優れたフォトレジストが特開昭63−18692号公報でなされている。しかしながら、これらの提案されたフォトレジストは、いずれも現像液に1,1,1−トリクロロエタン等の有機溶剤を用いており、作業環境や処理コストの面で問題があった。さらに、最近の環境汚染の問題からハロゲン系有機溶剤の使用は規制される方向にあり、アディティブ法でも作業環境が良好であり、環境汚染の問題がない、すなわちハロゲン系有機溶剤を使用しない現像液を用いたフォトレジストによる、耐無電解銅めっき液性が良好で、めっき液の汚染がほとんどない印刷配線板の製造法が求められていた。
【0005】
1〜50vol%の有機溶剤を含有するアルカリ水溶液を現像液とするフォトレジストとして、特公昭47−39895号公報にはメタクリル酸及びメタクリル酸メチル共重合体、メタクリル酸メチル及びイタコン酸共重合体、又はスチレン及びイタコン酸共重合体を含有する感光性樹脂組成物が開示され、また同様の現像液を用いるものとして特願昭59−66289号公報には、メタクリル酸含有量が4〜12モル%、炭素数が3〜8のアルキル(メタ)アクリレートを共重合したポリマを含有した感光性樹脂組成物が開示されている。これらの樹脂組成物について調べたところ、メタクリル酸含有量を多くした場合には耐無電解銅めっき性が低下してレジストの一部が剥離したり、又めっき液を汚染してめっき速度が低下したり、あるいは析出しためっき銅の物性が低下し、メタクリル酸含有量が少ない場合には現像残りが生じたり、解像度が低下する等、メタクリル酸含有量の適正範囲が極めて狭いことが分かった。さらに永久レジストとして使用する場合の電気絶縁性やはんだ耐熱性等が不足するという問題のあることが分かった。
【0006】
アルカリ水溶液で現像可能な、無電解銅めっき用フォトレジストとして、特開平2−166452号公報には、無水マレイン酸とビニル基を有する芳香族炭化水素との共重合体にヒドロキシアルキレン(メタ)アクリレートを付加させた化合物と、カルボキシル基含有のエポキシアクリレートとを併せて含有するアルカリ現像型の樹脂組成物が開示されている。この樹脂組成物を用いて形成しためっきレジストは、塗膜硬度に優れるものの、可とう性が低いため無電解銅めっきの際にクラックが発生したり、感光性エレメントとして用いた場合、カッター等で切断すると、切断部周囲の感光層が飛び散るなどの問題があった。
【0007】
特開平2−230154号公報には、アルカリ水溶液で現像可能な銅のめっきレジスト材料として、スチレン及びマレイン酸モノ−iso−プロピルの2元共重合体にグリシジルメタクリレートを付加した化合物に代表される重合体並びにベンジルメタクリレート、メタクリル酸−2−ヒドロキシブチル及びメタクリル酸の3元共重合体に代表される重合体とを併せて含有する光重合性組成物が開示されている。この樹脂組成物を用いて形成しためっきレジストは、比較的良好な基板密着性を示すが、無電解銅めっきプロセスでは、めっきレジストの一部が剥離する問題があった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記の従来技術の問題点を解決した、作業環境の良好な現像液によって現像でき、解像度、耐めっき液性等に優れ、めっき銅の異常析出やめっき液汚染がなく、また永久レジストとして用いる場合には電気絶縁性、耐電食性等に優れたフォトアディティブ法による高精度の印刷配線板の製造法を提供するものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、(1)無電解めっき銅をその所要部分に析出させるべき基板の表面に、(A)一般式(I)
【化2】
〔式中、R1は2価の飽和脂肪族炭化水素基を表し、R2及びR3はそれぞれ独立に炭素原子数1〜4のアルキル基、炭素原子数1〜4のアルコキシ基又はハロゲン原子を表し、x及びyはそれぞれ独立に0〜4の整数である〕で示される繰り返し単位を有するポリヒドロキシエーテル樹脂中の水酸基に対して、飽和又は不飽和の多塩基酸無水物をモル比(酸無水物/水酸基)を0.15以上0.8未満の範囲として反応させて得られるカルボキシル基を有するポリヒドロキシエーテル樹脂化合物20〜90重量部、(B)末端にエチレン性不飽和基を少なくとも1個含有する光重合性不飽和化合物80〜10重量部((A)及び(B)の総量を100重量部とする)及び(C)活性光により遊離ラジカルを生成する光開始剤0.01〜20重量部を含有する感光性樹脂組成物の層を形成する工程、(2)像的な活性光照射および現像により前記基板の表面上に感光性樹脂組成物のネガティブパターンを形成する工程並びに(3)前記基板の表面上の該感光性樹脂組成物のネガティブパターンをめっきレジストとして無電解銅めっきにより配線パターンを形成する工程を経ることを特徴とする印刷配線板の製造法に関する。
【0010】
本発明の提案する印刷配線板の製造法について以下に詳細に説明する。本発明の印刷配線板の製造法は、無電解めっき銅をその所要部分に析出させるべき基板の表面に感光性樹脂組成物の層を形成する工程を含むものである。
【0011】
基板としては紙フェノール、ガラスエポキシ等の積層板、鉄ホウロウ基板、アルミ板等の両面にエポキシ樹脂絶縁層を形成した基板等の金属芯入り基板などが使用できる。これらの基板は、穴あけ後にめっき触媒を含む溶液に浸漬され、スルホール内壁にめっき触媒をつけることもできる。このようなめっき触媒溶液としては、日立化成工業(株)製増感剤HS−101B等が使用できる。基板の表面にはめっき触媒の付着を良好とするため、あるいは析出する無電解めっき銅の基板に対する密着性を良好とするため等のために接着剤層を塗布することが好ましい。
【0012】
接着剤としては、フェノール変性ニトリルゴム系接着剤等のアディティブ法用接着剤として知られているものが使用できる。接着剤中にめっき触媒となる化合物を含ませることもできる。めっき触媒の付着性を良好とするため、あるいは析出する無電解めっき銅の密着性を良好とするため、無電解めっき処理の前に接着剤層表面を粗化することが好ましい。粗化方法としては重クロム酸ソーダ、クロム酸等を含む酸性溶液等に浸漬する方法があるが、公知の通り、粗化工程は無電解銅めっき工程の前であれば、次に述べる感光性樹脂組成物の層を形成する前であっても、レジストパターン形成後であってもかまわない。
【0013】
この他、基板として、紙フェノール、ガラスエポキシ等の積層板、鉄ホウロウ基板、アルミ板等の両面にエポキシ樹脂絶縁層を形成した基板等の金属芯入り基板などの両面に銅箔を張り付けた銅張り基板を使用しても良い。これらの基板は、穴あけ後にめっき触媒を含む溶液に浸漬し、スルホール内壁にめっき触媒をつけることができる。また、めっきレジストと銅の密着性を改良するため、塩化第二銅等の酸化剤を含む酸性水溶液を用いて銅箔の表面をエッチングすることができる。銅張り基板を用いる場合、銅箔上に次に述べる感光性樹脂組成物のネガティブパターンを形成し、このパターンのない部分に無電解銅めっきによって配線パターンを形成し、レジストを除去した後回路間の銅箔をエッチングによって除去し、印刷配線板を得ることができる。また、銅箔をあらかじめエッチング配線パターンを形成した後、スルホールおよび必要なランド部分を除いて次に述べる感光性樹脂組成物のネガティブパターンを形成し、このパターンのない部分に無電解銅めっきを行って配線パターンを形成し、印刷配線板を得ることができる。
【0014】
本発明で使用する感光性樹脂組成物は、上記一般式(I)で示される繰り返し単位を有するポリヒドロキシエーテル樹脂中の水酸基に対して、飽和又は不飽和の多塩基酸無水物をモル比を0.15以上0.8未満の範囲として反応させて得られるカルボキシル基を有するポリヒドロキシエーテル樹脂化合物20〜90重量部を必須成分として含有する。
【0015】
一般式(I)で示される単位を有するポリヒドロキシエーテル樹脂は、例えばエピハロヒドリン約0.985〜約1.015モルと二価多核フェノール1モルとを、水酸化アルカリ金属、例えば、水酸化ナトリウムあるいは水酸化カリウム約0.6〜1.5モルと共に、通常、水性媒体中、温度10〜50℃、エピハロヒドリンの少なくとも約60モル%が消費されるまで混合することにより製造できる。このポリヒドロキシエーテル樹脂は、フィルム性付与、コールドフロー、現像性等の点から、重量平均分子量が5,000〜200,000であることが好ましく10,000〜150,000であることがより好ましく、40,000〜120,000であることが特に好ましい。
【0016】
ここで用いられる二価多核フェノールとしては、ビス(ヒドロキシフェニル)アルカン、例えば、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,4′−ジヒドロキシジフェニルメタン、ビス(2−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシ−2,6−ジメチル−3−メトキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−2−クロロフェニル)エタン、1,1−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,3−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−イソプロピル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(2−イソプロピル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシナフチル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、3,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘプタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキシルメタン、1,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,2−ビス(フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルプロパンなどが好ましい。
【0017】
特に好ましいポリヒドロキシエーテル樹脂としては、下記の構造式を有する2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン及びエピクロロヒドリンから誘導される縮合ポリマが挙げられる。このポリヒドロキシエーテル樹脂は、ユニオンカーバイド社からフェノキシ樹脂(商品名 UCAR Phenoxy PKHH、PKHJ又はPKFE)として市販されている。
【化3】
〔Pは50以上の整数を表す〕
【0018】
カルボキシル基含有ポリヒドロキシエーテル樹脂化合物は、ポリヒドロキシエーテル樹脂化合物をテトラヒドロフラン、モノグライム、ジオキサン、シクロヘキサノン等の不活性有機溶媒に溶解させ、触媒としてトリエチルアミン、トリ−n−ブチルアミン、ジエチルシクロヘキシルアミン、トリエチレンジアミン等の三級アミン、塩化ベンジルトリメチルアンモニウム、塩化ベンジルトリエチルアンモニウム等の四級アンモニウム塩などを用い、また、必要に応じて重合禁止剤としてハイドロキノン、p−メトキシフェノールなどを添加して、70〜110℃で、飽和又は不飽和の多塩基酸無水物を反応させることにより得られる。
【0019】
ポリヒドロキシエーテル樹脂中の水酸基に対して飽和又は不飽和の多塩基酸無水物をモル比(酸無水物/水酸基)を0.15以上0.8未満の範囲として反応させる必要がある。このモル比が0.15未満であると現像残りが生じ、0.8以上では耐無電解銅めっき性が低下する。
【0020】
上記のポリヒドロキシエーテル樹脂化合物中の水酸基に反応させる飽和又は不飽和の多塩基酸無水物としては、例えば、無水フタル酸、無水テトラヒドロフタル酸、無水ヘキサヒドロフタル酸、無水メチルテトラヒドロフタル酸、無水メチル2置換ブテニルテトラヒドロフタル酸、無水イタコン酸、無水コハク酸、無水シトラコン酸、無水アルケニル酸、無水ドデセニルコハク酸、無水トリカルバリル酸、無水マレイン酸、無水マレイン酸のリノレイン酸付加物、無水クロレンド酸、メチルシクロペンタジエンの無水マレイン酸付加物、無水アルキル化エンドアルキレンテトラヒドロフタル酸、無水トリメリット酸などを挙げることができる。
【0021】
このようにして得られた(A)成分の使用量は、(A)成分及び(B)成分の総量100重量部に対して20〜90重量部とする。20重量部未満では現像性、耐めっき液性が低下し、90重量部を超えると光感度が低く実用的でない。
【0022】
本発明で使用する感光性樹脂組成物は、上記(A)成分20〜90重量部に対し、末端にエチレン性不飽和基を少なくとも1個含有する光重合性不飽和化合物である(B)成分を10〜80重量部((A)及び(B)の総量を100重量部とする)含有する。(B)成分としては例えば、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート等、例えば、多価アルコールにα,β−不飽和カルボン酸を反応させて得られる化合物、例えば、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート(エチレン基の数が2〜14のもの)、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンエトキシトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンプロポキシトリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート(プロピレン基の数が2〜14のもの)、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等、ビスフェノールAポリオキシエチレンジ(メタ)アクリレート、例えば、ビスフェノールAジオキシエチレンジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAトリオキシエチレンジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAデカオキシエチレンジ(メタ)アクリレート等、グリシジル基含有化合物にα,β−不飽和カルボン酸を付加して得られる化合物、例えば、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテルトリアクリレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテルジアクリレート等、多価カルボン酸、例えば、無水フタル酸等と水酸基及びエチレン性不飽和基を有する物質、例えば、β−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等とのエステル化物、アクリル酸若しくはメタクリル酸のアルキルエステル、例えば、(メタ)アクリル酸メチルエステル、(メタ)アクリル酸エチルエステル、(メタ)アクリル酸ブチルエステル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシルエステル、トリレンジイソシアネートと2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリル酸エステルとの反応物やトリメチルヘキサメチレンジイソシアネートとシクロヘキサンジメタノールと2−ヒドロキシエチル
(メタ)アクリル酸エステルとの反応物等のウレタン(メタ)アクリレートなどを挙げることができる。
【0023】
光重合性不飽和化合物の分子内に水素原子と直接共有結合した窒素原子を有するものは、めっきにより析出させる銅の物性の低下を生じる場合が多いので、上記(B)成分において特に好ましい例としては、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAポリオキシエチレンジメタクリレート等の分子内に水素原子と直接共有結合した窒素原子を有しない化合物があげられる。これらの化合物は単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
【0024】
(B)成分の使用量は(A)成分及び(B)成分の総量100重量部に対して、10〜80重量部とする必要があり、10重量部未満では光感度が低下し、80重量部を超えると現像性、耐めっき液性が低下する。
【0025】
本発明で使用する感光性樹脂組成物は、上記(A)成分及び(B)成分の総量100重量部に対し、活性光により遊離ラジカルを生成する光開始剤((C)成分)を0.01〜20重量部含有する。光開始剤が0.01重量部未満では光感度が低く、20重量部を超えると形成されるネガティブパターンの形状が悪くなる。
【0026】
使用できる光開始剤としては、例えば、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインフェニルエーテル等のベンゾインエーテル類、ベンゾフェノン、N,N′−テトラメチル−4,4′−ジアミノベンゾフェノン(ミヒラーケトン)、N,N′−テトラエチル−4,4′−ジアミノベンゾフェノン等のベンゾフェノン類、ベンジルジメチルケタール(チバ・ガイギー社製、イルガキュア651)、ベンジルジエチルケタール等のベンジルケタール類、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、p−tert−ブチルジクロロアセトフェノン、p−ジメチルアミノアセトフェノン等のアセトフェノン類、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン等のキサントン類、あるいはヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(チバ・ガイギー社製、イルガキュア184)、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ビトロキシ−2−メチルプロパン−1−オン(メルク社製、ダロキュア1116)、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン(メルク社製、ダロキュア1173)等が挙げられ、これらは単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
【0027】
また、(C)成分として使用しうる光開始剤としては、例えば、2,4,5−トリアリルイミダゾール二量体と2−メルカプトベンゾオキサゾール、ロイコクリスタルバイオレット、トリス(4−ジエチルアミノ−2−メチルフェニル)メタン等との組み合わせも挙げられる。また、それ自体では光開始性はないが、前記物質と組み合わせて用いることにより全体として光開始性能のより良好な増感剤系となるような添加剤、例えば、ベンゾフェノンに対するトリエタノールアミン等の三級アミンを用いることができる。
【0028】
本発明の感光性樹脂組成物は、さらに他の副次的成分を含有してもよい。そのような副次的成分としては、例えば、熱重合防止剤、染料、顔料、塗工性向上剤、密着性向上剤等が挙げられ、これらの選択は、通常の感光性樹脂組成物と同様の考慮の下に行われる。副次的成分として、本発明の目的を損なわない範囲で少量のエポキシ樹脂を含有することもできる。
【0029】
本発明の印刷配線板の製造法は無電解めっき銅をその所要部分に析出させるべき基板の表面に上記で詳細に説明した感光性樹脂組成物の層を形成する工程を必ず含む。無電解めっき銅を析出させるべき絶縁性基板の表面に感光性樹脂組成物の層を形成する工程は常法で行える。たとえば感光性樹脂組成物をメチルエチルケトン、トルエン、塩化メチレン等の溶剤に均一に溶解又は分散させ、ディップコート法、フローコート法等で無電解めっき銅を析出させるべき絶縁性基板の表面上に塗布し、乾燥して行われる。感光性樹脂組成物の溶液を基板上に直接塗布せずに、この溶液を支持体フィルム上にナイフコート法、ロールコート法等公知の方法で塗布乾燥し、支持体フィルム上に感光性樹脂組成物の層を有する感光性エレメントを製造したのち、該感光性エレメントを無電解めっき銅を析出させるべき絶縁性基板表面に公知の方法で加熱、加圧積層して、該基板表面に感光性樹脂組成物の層を形成することもできる。支持体フィルムとしてはポリエステルフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリイミドフィルム、ポリスチレンフィルム等公知のフィルムを使用できる。感光性エレメントによる方法は塗布膜厚の均一化が容易であり、また耐溶剤性の低い接着剤も使用できる等の点が好ましい。
【0030】
本発明の印刷配線板の製造方法は像的な活性光を照射後現像して無電解めっき銅をその所要部分に析出させるべき絶縁性基板の表面上に感光性樹脂組成物のネガティブパターンを形成する工程を必ず含む。像的な活性光の照射は超高圧水銀灯、高圧水銀灯等の光源を用い、ネガマスクを通して像的に露光することで行える。また微小断面積に絞ったレーザ光線等を像的にスキャンして行うこともできる。
【0031】
現像は、1〜50容積%の有機溶剤を含有するアルカリ性水溶液を現像液として、像的に活性光の照射された感光性樹脂組成物の層を有する基板を侵積するか又は現像液をスプレーする等して行える。
【0032】
現像後に活性光を照射することは、感光性樹脂組成物の光硬化をさらに進め、耐めっき液性が向上し、めっき浴の汚染がさらに低減するなど好ましい。活性光の再照射は超高圧水銀灯、高圧水銀灯等の光源を用いて基板全面に照射することにより行える。
【0033】
本発明の印刷配線板の製造法は、上記方法で得られた感光性樹脂組成物のネガティブパターンをめっきレジストとして無電解銅めっきにより配線パターンを形成する工程を必ず含む。無電解めっき液としては銅塩、錯化剤、還元剤、pH調整剤等を含有するめっき液が使用できる。
【0034】
銅塩としては、例えば、硫酸銅、硝酸銅、ギ酸銅、塩化第2銅等が使用できる。錯化剤としては、例えば、エチレンジアミン四酢酸、N−ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸、N,N,N′,N′−テトラキス−2−ヒドロキシプロピルエチレンジアミン、ロッシェル塩等が使用できる。還元剤としてはホルマリンが好ましい。またpH調整剤としては通常、水酸化アルカリが使用され、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等がある。さらにめっき浴の安定性を増すため、あるいは析出する銅金層の特性を良くするため等の目的で各種の添加剤が加えられることもある。めっき浴の条件は、めっき浴の安定性、析出する銅金属の特性等から銅濃度1〜15g/l、pH10〜13.5、浴温度50〜90℃が好ましい。無電解銅めっきにあたっては、必要ならばめっき触媒の付着及び/あるいは活性化を行うことができる。
【0035】
無電解銅めっきによる配線パターン形成後に、めっきレジストとして用いた感光性樹脂組成物のネガティブパターンを剥離、除去してもいいし、これをそのまま永久レジストとして残してもよい。
【0036】
配線パターン形成後に、銅表面を酸化から保護するため、あるいはその部分が電機的接続部分となる場合は接触抵抗を低下させるため等の目的で、半田レベラー等で配線パターン全体あるいは所望部分に半田を被膜したり、あるいは金めっき、スズめっき等を行うことができる。銅表面を半田、金、スズ等の金属で覆った後、あるいは銅表面のまま基板上の必要な部分にソルダマスクを形成することができる。配線パターンの所望部分のみに半田等の被覆を行う為のレジストとしてこのソルダマスクを利用することもできる。ソルダマスクの形成は、エポキシ樹脂系インクをスクリーン印刷などで印刷し、硬化させて行うこともできるし、写真法で高精度のソルダマスクを形成することもできる。このようにして製造される印刷配線板は公知の方法で種々の応用が可能であり、例えば電子部品を半田付けする等して利用できるが、無電解銅めっき後の印刷配線板を多層印刷配線板の内層板として使用することもできる。
【0037】
【実施例】
次に、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれによって制限されるものではない。なお、実施例及び比較例中の「部」は、特に断わらない限り、「重量部」を示す。
【0038】
合成例1
【表1】
【0039】
温度計、撹拌装置、冷却管、乾燥空気導入管及び滴下器の付いた、加熱及び冷却可能な容積約1リットルの反応容器に表1の▲1▼を入れ、115℃に昇温し、反応温度を114〜116℃に保ちながら、N2ガス雰囲気下で▲2▼を添加した。▲2▼の添加後、▲3▼を滴下し反応系を115℃に保ちながら15時間反応せさた後、室温に冷却してカルボキシル基含有ポリヒドロキシエーテル樹脂化合物(A−1)の溶液を得た。なおモル比は(酸無水物/水酸基)=0.25である。
【0040】
合成例2合成例1において、▲2▼を無水コハク酸17.6部に代えて反応を行った以外は、合成例1と同様に操作することによりカルボキシル基含有ポリヒドロキシエーテル樹脂化合物(A−2)の溶液を得た。なおモル比は(酸無水物/水酸基)=0.5である。
【0041】
合成例3合成例1において、▲2▼を無水マレイン酸17.2部に代えて反応を行った以外は、合成例1と同様に操作することによりカルボキシル基含有ポリヒドロキシエーテル樹脂化合物(A−3)の溶液を得た。なおモル比は(酸無水物/水酸基)=0.5である。
【0042】
比較合成例1合成例1において、▲2▼を無水トリメリト酸6.8部に代えて反応を行った以外は、合成例1と同様に操作することによりカルボキシル基含有ポリヒドロキシエーテル樹脂化合物(A−4)の溶液を得た。なおモル比は(酸無水物/水酸基)=0.1である。
【0043】
比較合成例2合成例1において、▲2▼を無水トリメリト酸67.6部に代えて反応を行った以外は、合成例1と同様に操作することによりカルボキシル基含有フェノキシ樹脂化合物(A−5)の溶液を得た。なおモル比は(酸無水物/水酸基)=1.0である。
【0044】
実施例1〜4、比較例1〜2合成例1〜3及び比較合成例1〜2で得られた(A)成分、並びに(B)成分、(C)成分、染料及び有機溶剤を、それぞれ表2の配合及び表3に示した配合割合(重量部)で混合して感光性樹脂組成物の溶液を得た。
【0045】
【表2】
【0046】
次に、で示す装置を用いて上記配合の感光性樹脂組成物の溶液6を25μmの厚さのポリエチレンテレフタレートフィルム12上に均一に塗布し、80〜100℃の熱風対流式乾燥機7で約10分間乾燥した。感光性樹脂組成物の層の乾燥後の厚さは、約35μmであった。感光性樹脂組成物の層の上には、さらにに示したようにして厚さ約25μmのポリエチレンフィルム13をカバーフィルムとして張り合わせ、感光性エレメントを得た。なお、において1はポリエチレンテレフタレートフィルムくり出しロール、2、3及び4はロール、5はナイフ、8はポリエチレンフィルムくり出しロール、9及び10はロール並びに11は感光性エレメント巻き取りロールを示す。
【0047】
得られた感光性エレメントについて、現像性、レジスト形成後の耐無電解銅めっき性及びめっき液汚染性について以下の方法で試験した。その結果を表3に示した。
【0048】
(1)現像性日立化成工業社製アディティブ法用基板ACL−E−168(Pd系めっき触媒含有ガラスエポキシ積層板の両面に、めっき触媒を含有するフェノール変性ニトリルゴム系接着剤を約30μmの厚さに塗布した基板)を住友スリーエム社製スコッチブライトで研磨し、水洗し、80℃で15分乾燥した。この試験基板の両面に上記で得られた感光性エレメントを曙産業社製A−500型ラミネータを用いてポリエチレンのカバーフィルムをはがしながら積層した。次に、ポリエチレンテレフタレートフィルムをはがした後、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル200ml/リットル、Na2B4O7・10H2O 8g/リットルの溶液を現像液に用いて40℃で70秒間スプレー現像した。現像後、30倍に拡大して残存する樹脂を目視で現像性を評価した。評価の基準は次のとおりである。
○:現像性の良好なもの(基板表面上に樹脂が全く残らないもの)
×:現像性の不良なもの(基板表面上に樹脂が少し残るもの)
【0049】
(2)耐無電解銅めっき性前述の日立化成工業社製アディティブ法用基板ACL−E−168にNCドリルで直径0.8mmのスルホールを2.54mm間隔であけた試験基板を住友スリーエム社製スコッチブライトで研磨し、水洗し、80℃で15分加熱乾燥した。この試験基板の両面に得られた感光性エレメントを曙産業社製A−500型ラミネータを用いてポリエチレンカバーフィルムを剥しながら積層した後、に示す試験用ネガマスクをポリエチレンテレフタレートフィルムの上から密着させ、オーク製作所社製HMW−590型露光機を使用し、ステップタブレット段数7段が得られるように露光した。露光後、ネガマスクを剥離した後80℃で5分間加熱した。14はネガマクスの不透明部分、15はネガマスクの透明部分を示す。
【0050】
次に、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル200ml/リットル、Na2B4O7・10H2O 8g/リットルの溶液を現像液に用いて40℃で70秒間スプレー現像した。現像後、80℃で10分間加熱乾燥し、東芝電材社製紫外線照射装置を用いて1J/cm2の量で紫外線を再照射した。
【0051】
このようにしてレジスト像を形成した試験基板を42重量%のホウフッ化水素酸水溶液1リットルに重クロム酸ナトリウム20gを溶かした40℃の溶液に15分間浸漬し、接着剤層の露出部分を粗化し、水洗後、濃度3規定の塩酸に5分間浸漬し、水洗した。この試験基板をCuSO4・5H2O 15g/リットル、エチレンジアミン四酢酸30g/リットル、37重量%HCHO水溶液10ml/リットル及びシアン化ナトリウム25mg/リットルを含み、水酸化ナトリウムでpH12.5に調製した無電解銅めっき液に72℃で24時間浸漬し、水洗後80℃で10分間乾燥した。このような操作を行った後、レジスト像を30倍に拡大してレジストのクラックの有無を評価した。評価基準は、次のとおりである。
○:耐無電解銅めっき性が良好なもの(レジストにクラックや浮き、ハガレの発生が全く無いもの)
△:耐無電解銅めっき性がやや不良なもの(レジストの一部に浮き、ハガレの発生したもの)
×:耐無電解銅めっき性が不良なもの(レジスト全面にクラックや浮き、ハガレの発生したもの)
【0052】
(3)めっき液汚染性無電解銅めっきによって形成された銅パターンの銅厚を測定することにより、めっき液の汚染による銅の析出速度への影響を調べた。
【0053】
【表3】
【0054】
【発明の効果】
本発明の印刷配線板の製造法によってアディティブ法で、作業環境の良好な現像液を用いて現像でき、耐無電解銅めっき液性に優れ、まためっき浴の汚染がほとんどない高精度の印刷配線板が得られる。また本発明の印刷配線板の製造法によって、量産化が可能になる。また本発明で使用する感光性樹脂組成物は耐熱性に優れるため、無電解銅めっき後の印刷配線板を多層印刷配線板の内層板として好適に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例及び比較例で用いた感光性エレメントの製造装置の略図。
【図2】実施例及び比較例で用いた試験用ネガマスクを示す図。
【符号の説明】
1 ポリエチレンテレフタレートフィルムくり出しロール
2,3,4 ロール
5 ナイフ
6 感光性樹脂組成物の溶液
7 乾燥機
8 ポリエチレンフィルムくり出しロール
9,10 ロール
11 感光性エレメント巻き取りロール
12 ポリエチレンテレフタレートフィルム
13 ポリエチレンフィルム
14 ネガマスクの不透明部分
15 ネガマスクの透明部分
Claims (4)
- (1)無電解めっき銅をその所要部分に析出させるべき基板の表面に、(A)一般式(I)
- 感光性樹脂組成物の層を形成する工程が、感光性エレメントを積層する方法である請求項1記載の印刷配線板の製造法。
- 現像後にさらに活性光を再照射する工程を含む請求項1又は2記載の印刷配線板の製造法。
- (B)の末端にエチレン性不飽和基を少なくとも1個含有する光重合性不飽和化合物が、分子内に水素原子と直接共有結合した窒素原子を有しない化合物である請求項1、2又は3記載の印刷配線板の製造法。
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