JP3650991B2 - 光通信用窓を備えた電子機器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、光通信用窓に光学レンズを備えた電子機器に係り、特に、光学レンズをケースと一体成形することにより、光学レンズの取り付け強度を高め、かつ組み付け工数を低減できる電子機器に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、工場のFA等では、物体の有無や位置を検出するために、光電センサ、近接センサ、超音波センサ等の種々のセンサが使用されるが、測定距離や検知精度の面で光電センサ、特に光ファイバー型光電センサが広く使用されている。
【0003】
本出願人が現在開発中(未公開)の光ファイバー型光電センサは、図10に示すように、制御盤に取り付けられるDINレール1に対して測定対象の異なる複数の光電スイッチ2a,2b,2c,2d…2nが多数密接させて整列配置されており、各光電スイッチ2には、この前端面に光ファイバー3,4が接続され、後端面には信号線や電力線を内蔵したケーブル5が接続されている。
【0004】
そして、各光電スイッチ2a,2b,2c,2d…2nは、光ファイバー3,4先端のセンサヘッド部3a,4aで物体の有無や位置を検出すれば、ケーブル5を通じて制御機器にその検出信号が送られる。
【0005】
この光ファイバー型光電センサ2は、図11に示すように、DINレール1に取り付けられるレール装着溝6aを備え、かつ上面に開口6bを設けた絶縁樹脂からなるセンサケース6と、このセンサケース6内に収容されるセンサ基板7、並びにセンサ基板7に実装される投・受光素子8,9と、センサ基板7及び投・受光素子8,9を保持する機能を備え、センサケース6の上面開口6bを介して内部に収容固定されるベース10と、投・受光素子8,9に光ファイバー3,4が対峙するように、センサケース6に取り付ける光ファイバーホルダ11とから構成されている。
【0006】
更に、センサ基板7を取り付けたベース10に対して、表示ユニット12や押しボタン13、スライドスイッチ14がベース10及びセンサ基板7の上縁に沿って取り付けられており、それらを覆うように開閉式カバー15がセンサケース6のヒンジ部に開閉自在に取り付けられている。また、光ファイバーホルダ11は、内部のクランプ機構により、光ファイバー3,4がクランプ保持されている。
【0007】
そして、この種の光ファイバー型光電センサ2は、図10に示す並列状に配置させた状態では、隣接するセンサ2間で投光素子8の投光タイミングに位相差を設定する必要があることから、センサ基板7に光通信用の投光素子16が実装され、この光通信用の投光素子16に対応してセンサケース6に光学レンズ17が嵌合固定され、光学レンズ17により収束した光は、隣接するセンサ2の受光素子18に送られる。すなわち、図12に示すように、投光素子16からの光信号は光学レンズ17aを通して隣接するセンサケース2の光学レンズ17bに入射して、隣接するセンサの受光素子18に送られ、各センサ2間での光信号のやり取りを行なっている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
上述の光ファイバー型光電センサ2においては、センサ2間の光通信用の投・受光素子16,18に対応して、センサケース6に光学レンズ17が嵌合固定されているが、従来この種光学レンズ17の嵌合作業は、光通信用窓をセンサケース6に開設し、窓と略同一形状の光学レンズ17を嵌め込み、接着剤を介して接着固定し、光学レンズ17の周縁に沿ってシール剤をパッキン処理することにより、シール性を付与しているのが実情である。
【0009】
従って、光学レンズ17の嵌合強度がそれ程強固なものではないため、長期使用により光学レンズ17がずれたりした場合には、センサ2間の光通信を行なう際の受光量が低下するという不具合が指摘されている。
【0010】
また、センサケース6の両側面にそれぞれ光学レンズ17を嵌め込む場合には、各窓毎に光学レンズ17の嵌合作業を必要とし、組み付け工数が嵩み、コストアップを招来するという不具合も指摘されている。
【0011】
すなわち、隣接させて使用する光電センサ等の電子機器において、電子機器間の通信に光通信を採用しようとする場合に、ケースの互いに対向する部分にレンズ付き光通信用窓を設けてこの窓を介して光通信を行うこととすれば、レンズの取り付け強度や取り付け工数の観点からいかなる構造とすべきかが課題であった。この発明は、このような課題を解決するためになされたもので、電子機器の内部に光通信用の投・受光素子を収容し、これら投・受光素子に対応する光通信用窓を形成したケースを備え、光通信用窓に光学レンズを組み込んで光通信を行う電子機器において、光学レンズの取り付け強度を強化でき、効率の良い光信号の送受を可能にするとともに、光学レンズの組み付け工数も簡素化できる電子機器を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本願発明の電子機器は、内部に光通信用の投光素子、受光素子の少なくとも一方側を実装した基板が収容され、上記投・受光素子に対応する光通信用窓が設けられているケースを備えた電子機器であって、上記ケースの成形時に光通信用窓に光学レンズがインサート成形により設けられていることを特徴とする。
【0013】
ここで、電子機器としては、光通信用の投光素子もしくは受光素子を内部に収容する機器であれば良く、例えば、DINレールに多数密接させて整列配置される光ファイバー型光電センサのように、隣接するセンサ間での光信号の送受を行なうものや、PLC(プログラマブルコントローラ)の各種ユニット等に適用できる。
【0014】
そして、このような構成によれば、ケースの成形時に光学レンズをインサート成形することでケースと光学レンズとを一体化するという構成であるため、ケースに対して光学レンズの強固な取り付け強度が得られ、かつ、防水性、防塵性等、良好なシール機能を達成でき、しかも、従来のように接着剤の塗布やパッキン処理等が不要とでき、ケースに光学レンズを一体化する工程を短縮化できる。
【0015】
また、この発明の一実施形態においては、電子機器は、ケースは、DINレールに多数整列配置されるセンサであって、隣接するセンサ間で光通信を行なう光通信用窓がケースの他機と隣接する両側面に設けられている。
【0016】
そして、このような構成によれば、単一の成形工程で、ケースの複数の面にそれぞれ設けられた光通信用の窓に光学レンズを同時に組み込むことができ、量産性に優れる。
【0017】
この発明において、光学レンズは、ケースの光通信用窓に対応する部分をシリンドリカルレンズで構成することができる。
【0018】
そして、このような構成によれば、シリンドリカルレンズの軸心方向を型抜き方向と一致させれば、レンズのインサート成形時における型抜きを円滑に行なえる。
【0019】
この場合に、光学レンズは、前記シリンドリカルレンズ部とケース内壁面に沿ってケースの両側面の前記シリンドリカルレンズ部を連結する連結部を備えるようにすることができる。
【0020】
そして、このような構成によれば、ケースの光通信用窓に対応する位置にシリンドリカルレンズ部が位置するように連結部によって一体化された光学レンズを成形金型内に位置決めして、インサート成形を行えば、シリンドリカルレンズ部の位置決めが精度良く行えるとともに、成形後は、ケース内壁面に沿って連結部がケースと一体化されることにより、取り付け強度を強化できる。光学レンズは、ケースの型抜き方向に対してアンダーカット部を有さない形状とするのが好ましい。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る電子機器用ケースの実施形態について、光ファイバー型光電センサのセンサケースに適用したものについて、添付図面を参照しながら詳細に説明する。
【0022】
図1は本発明に係るケースを光ファイバー型光電センサに適用した実施形態を示す側面図、図2は同光ファイバー型光電センサの分解斜視図、図3はセンサケースの側面図、図4はセンサケースの平面図、図5,図6はセンサケースの各断面図、図7はセンサケースの内壁面を示す斜視図、図8はプレートレンズの平面図、図9はプレートレンズの側面図である。
【0023】
図1,図2において、本発明を適用した光ファイバー型光電センサ20は、偏平で略直方形状のセンサケース30と、このセンサケース30内に収容固定される一体型ベース40と、一体型ベース40に支持されるセンサ基板41並びに投光素子42、受光素子43と、投光素子側および受光素子側光ファイバー3,4を一体型ベース40に保持させるためのクランプ機構50及び電力線,信号線を内蔵するケーブル5をセンサ基板41側に接続するためのコネクタ60と、センサ20間の光通信用としてセンサケース30に設けられるプレートレンズ70とから大略構成されている。
【0024】
更に詳しくは、センサケース30は、絶縁樹脂の射出成形体から構成され、図7に示すように、DINレール1にファイバー型光電センサ20を多数密接させて整列配置させる必要があるため、このセンサケース30の底面には、DINレール1に装着するためのレール装着溝31が設けられレール装着具31aが取り付けられている。更に、センサケース30の上面には、一体型ベース40を収容固定するための開口32が開設されるとともに、センサケース30の前端面30aには、光ファイバー3,4を挿通させるための挿通孔33,34が形成され、また、センサケース30の後端面30bには、コネクタ60を収容するための凹部35が設けられている。
【0025】
上記センサケース30の両側面30c,30dには、隣接する光電センサ20間で投光タイミングに位相差を設ける等の光通信を行なうための光通信用窓36が設けられており、かつセンサケース30の内壁面には、上下に延びる支持凸条37が設置されている。
【0026】
次に、センサケース30内部に収容固定される一体型ベース40は、これも絶縁樹脂の射出成形体から構成され、この一体型ベース40は、センサ基板41並びにLED(発光ダイオード)等の投光素子42、PD(フォトダイオード)等の受光素子43が取付固定されている。
【0027】
上記センサ基板41は、電源回路、遅延回路、タイミング制御回路、駆動回路等の各種回路や、投光素子42、受光素子43の各端子ピンが実装されているとともに、隣接する光電センサ20間での光通信を行なう光通信用投光素子44、光通信用受光素子45が実装されている。
【0028】
更に、一体型ベース40は、フロント側ブロック40aと、センサケース30の上面開口32を覆う上縁フランジ40bと、フロント側ブロック40aと上縁フランジ40b間に連接され、センサ基板41を支持する基板取付部40cとを備えており、フロント側ブロック40aの両側面には、センサケース30の支持凸条37と凹凸嵌合する受け凹条46が上下方向に沿って形成されており、また、フロント側ブロック部40aには、投光素子42、受光素子43、また、所望ならば、PD等からなるAPC(オートパワーコントロール)用受光素子(図示せず)をそれぞれ収容する素子収容スペース(図示せず)が形成されており、投光素子42と受光素子43に対峙するように、光ファイバー3,4の各挿通孔47a,47bが開設されている。
【0029】
次に、光ファイバー3,4のクランプ機構50としては、ファイバークランプ51とクランプレバー52とから構成されており、一体型ベース40のフロント側ブロック40aに設けられたスペース内にファイバークランプ51を挿入し、クランプレバー52を図2中矢印方向に操作することにより、ファイバークランプ51を下降させ、投光素子側光ファイバー3を円弧状爪部51aにより、また、受光側光ファイバー4を長円状孔51bの上縁部分でそれぞれクランプすることにより、光ファイバー3,4を強固にクランプ固定できる。
【0030】
また、センサ基板41に電力を供給するとともに、外部の制御機器との信号の入出力を行なうために、コネクタ60は、プラグ側コネクタ61とソケット側コネクタ62とから構成されており、プラグ側コネクタ61は、センサ基板41の端子ランド41aにプラグ側コネクタ61の各端子ピン61aが半田付け等により実装され、ソケット側コネクタ62は、センサケース30のリヤ側端面30bの凹部35に係止部材62aのバネ性により、着脱自在に装着され、プラグ側コネクタ61の端子ピン61aをソケット孔62bに挿入して、ソケット側コネクタ62内部の図示しない端子とケーブル5の電力線及び信号線が接続される。
【0031】
次に、本発明の特徴部分であるセンサケース30とプレートレンズ70との関係について、図3乃至図9を基に説明する。
【0032】
まず、センサケース30は、絶縁樹脂の射出成形体から構成されており、その両側面30c,30dにはそれぞれ対応する箇所に矩形状の光通信用窓36a,36bが設けられており、この光通信用窓36a,36bに嵌まり込むようにプレートレンズ70がインサート成形によりセンサケース30に一体化されている。
【0033】
上記プレートレンズ70は、図8で平面図、図9で側面図に示すように、センサケース30の両側面の光通信用窓36a,36bに対応するシリンドリカルレンズ部71a,71bと、シリンドリカルレンズ部71a,71bを連結するプレート状連結部72とから構成されている。プレート状連結部72は、センサケース30の内面に沿ったコの字型をしており、インサート成形後はセンサケース30と一体化される。上記プレートレンズ70の材質は、ポリカーボネート(商品名:PC ユーピロン S3000R W084(可視光カット))が使用されている。
【0034】
そして、センサケース30の射出成形時、射出成形金型(図示せず)にプレートレンズ70を所定箇所にインサートするが、図4乃至図6に示すように、センサケース30の光通信用窓36a,36bにプレートレンズ70のシリンドリカルレンズ部71a,71bが対応するようにインサートを行なう。
【0035】
このように、センサケース30の成形時にプレートレンズ70が一体成形される関係で、プレートレンズ70は従来のレンズの接着固定方法に比べ、接着剤塗布工程やパッキン処理工程を省略でき、組み付け工数を短縮化できるとともに、インサート成形であるため隙間が生じることがなく、しかも、プレート状連接部72もセンサケース30の内壁面に沿って当接されているため、プレートレンズ70の取付強度を強固なものにできる。
【0036】
更に、本発明のセンサケース30のように、2箇所の光通信用窓36a,36bに同時にシリンドリカルレンズ部71a,71bを一体化できるため、このことも工数削減に繋がる。
【0037】
また、プレート状連結部72は、図6中A矢印で示す型抜き方向に対してアンダーカット部を有さないため、型抜き上の問題がない。
【0038】
以上説明した実施形態は、光ファイバー型光電センサ20におけるセンサケース30に光通信用のプレートレンズ70を一体成形する実施形態について説明したが、プレートレンズ70以外の光学レンズをPLC(プログラマブルコントローラ)のケースに一体化することに適用できる等、電子機器用ケースと光学レンズとをインサート成形により一体化する構造であれば、広範囲に適用できる。
【0039】
【発明の効果】
以上説明した通り、本発明に係る電子機器は、ケースの光通信用窓に嵌装する光学レンズをケース成形時にケースとインサート一体化するという構成であるため、ケースに対する光学レンズの取り付け強度を強化でき、光信号の送受を長期に亘り円滑に行なうことができるとともに、従来の光学レンズの取り付け作業に比べ、工数も短縮化でき、製作コストの低減化を図ることができるという効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用した光ファイバー型光電センサを示す側面図である。
【図2】図1に示す光ファイバー型光電センサの構成を示す分解斜視図である。
【図3】図1に示す光ファイバー型光電センサにおけるセンサケースを示す側面図である。
【図4】図3に示すセンサケースの平面図である。
【図5】図4中V −V 線断面図である。
【図6】図4中VI−VI線断面図である。
【図7】図3に示すセンサケースの内壁面を示す斜視図である。
【図8】図3に示すセンサケースに一体化されるプレートレンズを示す平面図である。
【図9】図8に示すプレートレンズの側面図である。
【図10】光電センサを多数並列装着したセンサシステムを示す説明図である。
【図11】従来の光ファイバー型光電センサの大略構成を示す分解斜視図である。
【図12】従来の光ファイバー型光電センサにおけるレンズとセンサケースとの関係を示す説明図である。
【符号の説明】
1 DINレール
3,4 光ファイバー
5 ケーブル
20 光ファイバー型光電センサ
30 センサケース
36(36a,36b) 光通信用窓
40 一体型ベース
41 センサ基板
44 光通信用投光素子
45 光通信用受光素子
50 光ファイバー保持機構
60 コネクタ
70 プレートレンズ
71a,71b シリンドリカルレンズ部
72 プレート状連結部
Claims (1)
- 内部に光通信用の投光素子、受光素子の少なくとも一方側を実装した基板が収容され、上記投・受光素子に対応する光通信用窓が設けられているケースを備えた電子機器であって、上記ケースの成形時に光通信用窓に光学レンズがインサート成形により設けられており、
前記電子機器は、DINレールに多数整列配置されるセンサであって、隣接するセンサ間で光通信を行なう光通信用窓がケースの両側面に設けられており、
前記光学レンズは、ケースの光通信用窓に対応する部分がシリンドリカルレンズで構成されており、前記シリンドリカルレンズ部と、ケース内壁面に沿ってケースの両側面の前記シリンドリカルレンズ部を連結する連結部を備えており、
前記ケースの上面には、少なくとも前記光学レンズをインサート成型する工程においては開口が開設されており、
前記光学レンズ連結部はケース底面の内壁面に沿っていることを特徴とする電子機器。
Priority Applications (1)
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JP34140299A JP3650991B2 (ja) | 1999-11-30 | 1999-11-30 | 光通信用窓を備えた電子機器 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP34140299A JP3650991B2 (ja) | 1999-11-30 | 1999-11-30 | 光通信用窓を備えた電子機器 |
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Family Applications (1)
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- 1999-11-30 JP JP34140299A patent/JP3650991B2/ja not_active Expired - Lifetime
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