JP3650629B2 - 潤滑油組成物 - Google Patents
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【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は新規な潤滑油組成物、さらに詳しくは、耐NOx酸化性に優れ、特にメインテナンスの軽減化が可能な長寿命のガスエンジンヒートポンプ用エンジン油として好適な潤滑油組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ガスエンジンヒートポンプ(以下、GHPと略記することもある)は、1980年代の前半頃からガス冷房普及促進施策の一貫として研究開発が開始され、ガスエンジンヒートポンプエアコンなどとして実用化されている。しかしながら、装置の普及に伴い、保守点検作業が増大していることから、点検の簡素化や保守作業間隔の延長化など、メインテナンスの改善が重要課題となり、そして特にエンジン油の更油期間の延長がメインテナンス改善の鍵となっている。
一方、GHP用潤滑油組成物は、装置の構造上及び燃焼温度が高いことから、ブローバイガス中の濃度の高いNOxとの接触により急速に劣化されるという難点があり、したがって、該GHP用潤滑油組成物に対し、その品質として、特に(1)耐NOx性能に優れていること、(2)高温安定性に優れていること及び(3)残渣を油中に分散できること、などが要求されている。
しかしながら、従来提案されているGHP用エンジン油は上記の要求される品質すべてを満足しうるものではなく、2年間又は4000時間を大幅に超えるロングライフ化が要望されているのが実状である。
GHP用エンジン油は、主としてブローバイガス中のNOxとの接触によるNOx酸化により劣化していくため、耐NOx酸化性を向上させることができれば、GHP用エンジン油として長寿命化が達成できる。該エンジン油の劣化については、NOxがエンジン油基油及び添加剤を攻撃して反応性の強いラジカルを生成し、その後、NOx、酸素及び熱により劣化が進行していくものと推定されている。生成したスラッジには、基油とNOxとの反応物(RONO2、R:炭化水素基)、添加剤とNOxとの反応物、基油の酸化劣化物(RCOOH、R:炭化水素基)及びエンジン油成分が含有されていることが報告されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような事情のもとで、特にメインテナンスの軽減化が可能な長寿命のGHP用エンジン油として好適な耐NOx酸化性に優れた潤滑油組成物を提供することを目的としてなされたものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記の好ましい性質を有する潤滑油組成物を開発すべく鋭意研究を重ねた結果、特定の無灰清浄分散剤と特定の構造のジアリールアミン類と特定の構造のヒンダードフェノール類とを組み合わせ、それらを所定の割合で潤滑油基油に配合させて成る組成物により、その目的を達成しうることを見い出した。本発明はかかる知見に基づいて完成したものである。
すなわち、本発明は、潤滑油基油に対して、組成物全重量に基づき、(A)ポリアルケニルこはく酸イミドのホウ素誘導体4〜10重量%、(B)一般式
【0005】
【化6】
【0006】
(式中のR1、R2、R3、及びR4はそれぞれ水素原子又は炭素数1〜18の炭化水素基であり、それらはたがいに同一でも異なっていてもよい)
及び一般式
【0007】
【化7】
【0008】
(式中のR5及びR6はそれぞれ水素原子又は炭素数1〜18の炭化水素基であり、それらはたがいに同一でも異なっていてもよい)
で表されるジアリールアミン類をそれぞれ重量比10:90〜90:10の割合で0.7〜1.5重量%、並びに(C)一般式
【0009】
【化8】
【0010】
(式中のR7、R8及びR9はそれぞれ炭素数3〜18の炭化水素基であり、それらはたがいに同一でも異なっていてもよい)
及び/又は一般式
【0011】
【化9】
【0012】
(式中のR10、R11、R12及びR13はそれぞれ炭素数3〜18の炭化水素基であり、それらはたがいに同一でも異なっていてもよく、Xは−S−又は
【0013】
【化10】
【0014】
であり、R’及びR”は水素原子又はアルキル基であり、kは1〜5の整数である。)
で表されるヒンダードフェノール類0.7〜1.5重量%を配合させて成るガスエンジンヒートポンプ用潤滑油組成物を提供するものである。
以下、本発明を詳細に説明する。
【0015】
本発明組成物において用いられる潤滑油基油については特に制限はなく、従来潤滑油の基油として慣用されているもの、例えば鉱油や合成油が使用される。鉱油としては、フェノール、フルフラール、N−メチルピロリドンなどを用いる溶剤精製又は水素化処理による例えば軽質ニュートラル油、中質ニュートラル油、重質ニュートラル油、ブライトストックなどが挙げられる。一方、合成油としては、例えばポリα−オレフィンオリゴマー、ポリブデン、アルキルベンゼン、ポリオールエステル、ポリグリコールエステル、二塩基酸エステルなどが挙げられる。これらの基油はそれぞれ単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよく、また鉱油と合成油とを混合使用してもよい。
これらの基油は、温度100℃における動粘度が3.5〜20mm2/s、好ましくは4〜10.5mm2/sの範囲にあるものが好適であり、特にGHP用潤滑油基油としては、温度100℃における動粘度が3.5〜6.5mm2/s、好ましくは4.5〜6mm2/sの範囲にあるものが好適である。この動粘度が上記範囲より低いと焼付が発生しやすいし、高いと低温始動性及び低燃費化に悪影響を与え、好ましくない。
特に鉱油として水素化処理油を使用することが、本発明の目的を達成する上で好ましい。この水素化処理は、通常飽和炭化水素含有量が90重量%以上、芳香族炭化水素含有量が2重量%以下、極性化合物含有量が0.5重量%以下及び臭素価が1以下のものである。炭化水素の組成はゲルクロマトグラフィーによるカーボンタイプ分析法で求めることができ、また臭素価はJIS K-2605を用いて測定することができる。このような水素化処理油は、飽和炭化水素含有量が80重量%以下で、かつ芳香族炭化水素含有量が10重量%以上である溶剤精製油に比べて、耐NOx酸化性において顕著な効果を示す。
本発明組成物においては、(A)成分の無灰清浄分散剤として、ポリアルケニルこはく酸イミド及び/又はそのホウ素誘導体が用いられる。
前記ポリアルケニルこはく酸イミドとしては、例えば一般式
【0016】
【化11】
【0017】
(式中のR14は炭素数30以上のオレフィンオリゴマー残基、R15は炭素数2〜4のアルキレン基、mは1〜10の整数である)
で表されるモノポリアルケニルこはく酸イミド、及び一般式
【0018】
【化12】
【0019】
(式中のR16及びR17はそれぞれ炭素数30以上のオレフィンオリゴマー残基であり、それらはたがいに同一でも異なっていてもよく、R18及びR19はそれぞれ炭素数2〜4のアルキレン基であり、それらはたがいに同一でも異なっていてもよく、nは0又は1〜10の整数である)
で表されるビスポリアルケニルこはく酸イミドなどを挙げることができる。
これらのポリアルケニルこはく酸イミドは、通常ポリオレフィンと無水マレイン酸との反応で得られるポリアルケニルこはく酸無水物を、ポリアルキレンポリアミンと反応させることによって製造することができる。この際、該ポリアルケニルこはく酸無水物とポリアルキレンポリアミンとの反応比率を変えることにより、モノポリアルケニルこはく酸イミド又はビスポリアルケニルこはく酸イミドあるいはそれらの混合物が得られる。
該ポリアルケニルこはく酸イミドの製造において、原料として用いられるポリオレフィンとしては、炭素数2〜6のオレフィンを重合して得られる炭素数が30以上、好ましくは40以上で、その平均分子量が500〜20,000、好ましくは700〜5,000のものが用いられる。また、ポリオレフィンを形成するオレフィンとしては、例えばエチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブチレン、1−ヘキセン、2−メチルペンテン−1、1−オクテンなどの炭素数2〜8のα−オレフィンを好ましく挙げることができる。好ましいポリオレフィンはポリプロピレン及びポリイソブチレンである。
一方、ポリアルキレンポリアミンとしては、一般式
【0020】
【化13】
【0021】
(式中のR15及びmは前記と同じ意味をもつ)
で表されるものや、一般式
【0022】
【化14】
【0023】
(式中のR18、R19及びnは前記と同じ意味をもつ)
で表されるものが用いられる。
このようなポリアルキレンポリアミンとしては、例えばポリエチレンポリアミン、ポリプロピレンポリアミン、ポリブチレンポリアミンなどが挙げられるが、これらの中でポリエチレンポリアミンが好適である。
【0024】
本発明においては、ポリアルケニルこはく酸イミドとして、モノ体又はビス体のいずれも用いることができるが、これらの混合物が好適である。モノポリアルケニルこはく酸イミドとビスポリアルケニルこはく酸イミドとの混合割合は、重量比で好ましくは80:20ないし20:80、より好ましくは60:40ないし40:60の範囲である。該混合割合が前記範囲を逸脱すると十分な酸化安定性が得られないおそれがある。
さらに、該(A)成分として、前記ポリアルケニルこはく酸イミドにホウ素化合物を反応させて得られたホウ素誘導体を用いることができる。特に、モノポリアルケニルこはく酸イミドとビスポリアルケニルこはく酸イミドとの混合物のホウ素誘導体を用いるのが有利である。
本発明組成物においては、前記(A)成分のポリアルケニルこはく酸イミド及び/又はそのホウ素誘導体は、組成物全重量に基づき4〜10重量%、好ましくは4〜8重量%、より好ましくは4.5〜6.5重量%の範囲で配合することが必要である。この配合量が4重量%未満では耐NOx酸化性に劣り、本発明の目的が達せられないし、10重量%を超えるとその量の割には効果の向上がみられない。
本発明組成物においては、(B)成分として、一般式
【0025】
【化15】
【0026】
及び/又は一般式
【0027】
【化16】
【0028】
で表されるジアリールアミン類が用いられる。
前記一般式[1]及び[2]において、R1〜R6は、それぞれ水素原子又は炭素数1〜18の炭化水素基である。該炭化水素基としては、例えば炭素1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、炭素数6〜18のシクロアルキル基などが挙げられ、該アルキル基やアルケニル基は直鎖状であってもよいし、分岐鎖状であってもよい。また、R1、R2、R3及びR4はたがいに同一であっても異っていてもよく、R5及びR6はたがいに同一であっても異っていてもよい。具体的には、p,p'−ジブチルジフェニルアミン、p,p'−ジペンチルジフェニルアミン、p,p'−ジヘキシルジフェニルアミン、p,p'−ジヘプチルジフェニルアミン、p,p'−ジオクチルジフェニルアミン、p,p'−ジノニルジフェニルアミン、モノオクチルジフェニルアミン、モノノニルジフェニルアミン、テトラブチルジフェニルアミン、テトラヘキシルジフェニルアミン、テトラオクチルジフェニルアミン、テトラノニルジフェニルアミン、炭素数4〜9の混合アルキルジフェニルアミン、フェニル−α−ナフチルアミン、フェニル−β−ナフチルアミン、ブチルフェニル−α−ナフチルアミン、ブチルフェニル−β−ナフチルアミン、ペンチルフェニル−α−ナフチルアミン、ペンチルフェニル−β−ナフチルアミン、ヘキシルフェニル−α−ナフチルアミン、ヘキシルフェニル−β−ナフチルアミン、ヘプチルフェニル−α−ナフチルアミン、ヘプチルフェニル−β−ナフチルアミン、オクチルフェニル−α−ナフチルアミン、オクチルフェニル−β−ナフチルアミン、ノニルフェニル−α−ナフチルアミン、ノニルフェニル−β−ナフチルアミン等が挙げられる。
前記一般式[1]で表されるジアリールアミン類の好ましいものとしては、p,p'−ジオクチルジフェニルアミンを挙げることができ、一方前記一般式[2]で表されるジアリールアミン類の好ましいものとしては、フェニル−α−ナフチルアミンやアルキルフェニル−α−ナフチルアミンを挙げることができる。
【0029】
本発明組成物においては、該(B)成分として、前記一般式[1]で表されるジアリールアミン類を1種用いてもよいし、2種以上組み合わせて用いてもよく、また前記一般式[2]で表されるジアリールアミン類を1種用いてもよいし、2種以上組み合わせて用いてもよいが、一般式[1]で表されるジアリールアミン類1種以上と一般式[2]で表されるジアリールアミン類1種以上とを組み合わせて用いると耐NOx酸化性がさらに向上するので有利である。該一般式[1]で表されるジアリールアミン類と一般式[2]で表されるジアリールアミン類は、重量比10:90ないし、90:10好ましくは20:80ないし80:20の割合で混合して用いるのが望ましい。好適な具体例は、p,p'−ジオクチルジフェニルアミンとフェニル−α−ナフチルアミンとの重量比30:70の組合せである。
本発明組成物においては、該(B)成分のジアリールアミン類は、組成物全重量に基づき0.7〜1.5重量%、好ましくは0.8〜1.2重量%の範囲で配合することが必要である。この配合量が0.7重量%未満では耐NOx酸化性の改善効果が十分に発揮されないし、1.5重量%を超えるとその量の割には効果の向上がみられない。
本発明組成物においては、(C)成分として、一般式
【0030】
【化17】
【0031】
及び/又は一般式
【0032】
【化18】
【0033】
で表されるヒンダードフェノール類が用いられる。
【0034】
前記一般式[3]及び[4]において、R7〜R13はそれぞれ炭素数3〜18の炭化水素基であり、該炭化水素基としては、炭素数3〜18のアルキル基、炭素数3〜18のアルケニル基、炭素数6〜18のシクロアルキル基、炭素数6〜18のアリール基、炭素数7〜18のアルキルアリール基、炭素数7〜18のアリールアルキル基などが挙げられ、該アルキル基やアルケニル基は直鎖状であってもよいし、分岐鎖状であってもよい。また、R7、R8及びR9はたがいに同一でも異っていてもよく、R10、R11、R12及びR13はたがいに同一でも異っていてもよい。さらに、一般式[4]において、Xは−S−又は
【0035】
【化19】
【0036】
R'及びR"は、水素原子又はアルキル基、特にメチル基であり、kは1〜5の整数である。
具体的には、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、2,4−ジメチル−6−t−ブチルフェノール、4,4'−メチレンビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)、4,4'−イソプロピリデンビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)、4,4'−ブチリデンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4'−チオビス(2−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4'−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)等を挙げることができる。
前記一般式[3]で表されるヒンダードフェノール類の好ましいものとしては、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾールを挙げることができ、前記一般式[4]で表されるヒンダードフェノール類の好ましいものとしては、4,4'−メチレンビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)、4,4'−メチレンビス(6−t−ブチル−o−クレゾール)を挙げることができる。
本発明組成物においては、該(C)成分として、前記一般式[3]で表されるヒンダードフェノール類を1種用いてもよいし、2種以上組み合わせて用いてもよく、また前記一般式[4]で表されるヒンダードフェノール類を1種用いてもよいし、2種以上組み合わせて用いてもよい。さらに一般式[3]で表されるヒンダードフェノール類1種以上と一般式[4]で表されるヒンダードフェノール類1種以上とを組み合わせて用いてもよい。
本発明組成物においては、該(C)成分のヒンダードフェノール類は、組成物全重量に基づき0.7〜1.5重量%、好ましくは0.8〜1.2重量%の範囲で配合することが必要である。この配合量が0.7重量%未満では耐NOx酸化性の改善効果が十分に発揮されないし、1.5重量%を超えるとその量の割には効果の向上がみられない。
【0037】
本発明の潤滑油組成物には、本発明の目的が損なわれない範囲で従来潤滑油に慣用されている各種添加剤、例えば金属清浄剤、摩擦低減剤、摩耗防止剤、粘度指数向上剤、流動点降下剤、防錆剤、腐食防止剤、消泡剤、他の酸化防止剤などを適宜添加することができる。
金属清浄剤としては、例えばカルシウムスルホネート、マグネシウムスルホネート、バリウムスルホネート、カルシウムフェネート、バリウムフェネートなどが挙げられ、これらは、通常0.1〜5重量%の割合で使用され、また摩擦低減剤としては、例えばモリブデン系、アミン系、りん酸エステル系などがあり、これらは通常0.05〜5.0重量%の割合で使用される。
摩耗防止剤としては、例えばジチオりん酸金属塩(Zn、Pb、Sb、Moなど)、ジチオカルバミン酸金属塩(Znなど)、硫黄化合物、りん酸エステル、亜りん酸エステル、りん酸エステルのアミン塩、亜りん酸エステルのアミン塩などを挙げることができ、これらは、通常0.05〜5.0重量%の割合で使用され、また粘度指数向上剤としては、例えばポリメタクリレート系、ポリイソブチレン系、エチレン−プロピレン共重合体系、スチレン−ブタジエン水添共重合体系などが挙げられ、これらは、通常、0.5〜35重量%の割合で使用される。
流動点降下剤としては、例えばポリメタクリレートなどが、防錆剤としては、例えばアルケニルこはく酸やその部分エステルなどが、腐食防止剤としては、例えばベンゾトリアゾールやベンゾイミダゾールなどが、消泡剤としては、例えばジメチルポリシロキサンやポリアクリレートなどが挙げられ、これらは適宜添加することができる。
【0038】
【実施例】
次に実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例によってなんら限定されるものではない。
実施例1(参考例)
基油としての10W−30水素化処理油(100℃動粘度5.5mm2/s)、及び(A)成分としてのポリブテニルコハク酸イミド(ビス体70〜90重量%含有、残りはモノ体、ポリブテニル基:平均分子量;1,100)のホウ素誘導体6.0重量%、(B)成分としてのフェニル−α−ナフチルアミン1.0重量%、(C)成分としてのヒンダードフェノール[4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)]1.0重量%、Ca−スルホネート系金属洗浄剤4.5重量%、ジチオりん酸亜鉛系耐摩耗剤1.5重量%、ポリメタクリレート系粘度指数向上剤5.5重量%、ポリメタクリレート系流動点降下剤0.1重量%、ポリシロキサン系消泡剤0.002重量%を含有する潤滑油組成物を調製した。
この潤滑油組成物について、NOx酸化試験を行い、全酸価上昇値を測定したところ、6.6mgKOH/gであった。
【0039】
実施例2
実施例1において、(A)成分としてポリブテニルこはく酸イミドホウ素誘導体5.0重量%、及び(B)成分としてフェニル−α−ナフチルアミンとp,p'−ジオクチルジフェニルアミンとの組合せ(重量比70:30)1.0重量%を用いた以外は、実施例1と同様にして潤滑油組成物を調製した。
この潤滑油組成物について、NOx酸化試験を行い、全酸価上昇値を測定したところ、7.1mgKOH/gであった。
比較例1
実施例1において、(A)成分としてポリブテニルこはく酸イミドホウ素誘導体3.5重量%を用いたこと以外は、実施例1と同様にして潤滑油組成物を調製した。
この潤滑油組成物について、NOx酸化試験を行い、全酸価上昇値を測定したところ、8.2mgKOH/gであった。
比較例2
実施例1において、(B)成分としてフェニル−α−ナフチルアミン0.6重量%を用いたこと以外は、実施例1と同様にして潤滑油組成物を調製した。
この潤滑油組成物について、NOx酸化試験を行い、全酸価上昇値を測定したところ、12.0mgKOH/gであった。
比較例3
実施例1において、(C)成分としてヒンダードフェノール[4,4'−メチレンビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)]0.6重量%を用いたこと以外は、実施例1と同様にして潤滑油組成物を調製した。
この潤滑油組成物について、NOx酸化試験を行い、全酸価上昇値を測定したところ、8.5mgKOH/gであった。
【0040】
比較例4
実施例1において、(B)成分としてフェニル−α−ナフチルアミン2.0重量%を用い、かつ(C)成分を用いなかったこと以外は、実施例1と同様にして潤滑油組成物を調製した。
この潤滑油組成物について、NOx酸化試験を行い、全酸価上昇値を測定したところ、11.0mgKOH/gであった。
実施例3(参考例)
実施例1において、基油として水素化処理油の代わりに10W−30フェノール溶剤精製油を用いたこと以外は、実施例1と同様にして潤滑油組成物を調製した。
この潤滑油組成物について、NOx酸化試験を行い、全酸価上昇値を測定したところ、7.9mgKOH/gであった。
比較例5
実施例1において、(A)成分としてポリブテニルコハク酸イミドホウ素誘導体3.5重量%及び(C)成分としてヒンダードフェノール[4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)]0.3重量%を用い、かつ(B)成分を用いなかったこと以外は、実施例1と同様にして潤滑油組成物を調製した。
この潤滑油組成物について、NOx酸化試験を行い、全酸価上昇値を測定したところ、10.7mgKOH/gであった。
比較例6
比較例5において、基油として水素化処理油の代わりに10W−30フェノール溶剤精製油を用いた以外は、比較例5と同様にして潤滑油組成物を調製した。この潤滑油組成物について、NOx酸化試験を行い、全酸価上昇値を測定したところ、12.2mgKOH/gであった。
【0041】
【発明の効果】
本発明の潤滑油組成物は、耐NOx酸化性に優れており、特にメインテナンスの軽減化が可能な長寿命のガスエンジンヒートポンプ用エンジン油として好適に用いられる。
【産業上の利用分野】
本発明は新規な潤滑油組成物、さらに詳しくは、耐NOx酸化性に優れ、特にメインテナンスの軽減化が可能な長寿命のガスエンジンヒートポンプ用エンジン油として好適な潤滑油組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ガスエンジンヒートポンプ(以下、GHPと略記することもある)は、1980年代の前半頃からガス冷房普及促進施策の一貫として研究開発が開始され、ガスエンジンヒートポンプエアコンなどとして実用化されている。しかしながら、装置の普及に伴い、保守点検作業が増大していることから、点検の簡素化や保守作業間隔の延長化など、メインテナンスの改善が重要課題となり、そして特にエンジン油の更油期間の延長がメインテナンス改善の鍵となっている。
一方、GHP用潤滑油組成物は、装置の構造上及び燃焼温度が高いことから、ブローバイガス中の濃度の高いNOxとの接触により急速に劣化されるという難点があり、したがって、該GHP用潤滑油組成物に対し、その品質として、特に(1)耐NOx性能に優れていること、(2)高温安定性に優れていること及び(3)残渣を油中に分散できること、などが要求されている。
しかしながら、従来提案されているGHP用エンジン油は上記の要求される品質すべてを満足しうるものではなく、2年間又は4000時間を大幅に超えるロングライフ化が要望されているのが実状である。
GHP用エンジン油は、主としてブローバイガス中のNOxとの接触によるNOx酸化により劣化していくため、耐NOx酸化性を向上させることができれば、GHP用エンジン油として長寿命化が達成できる。該エンジン油の劣化については、NOxがエンジン油基油及び添加剤を攻撃して反応性の強いラジカルを生成し、その後、NOx、酸素及び熱により劣化が進行していくものと推定されている。生成したスラッジには、基油とNOxとの反応物(RONO2、R:炭化水素基)、添加剤とNOxとの反応物、基油の酸化劣化物(RCOOH、R:炭化水素基)及びエンジン油成分が含有されていることが報告されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような事情のもとで、特にメインテナンスの軽減化が可能な長寿命のGHP用エンジン油として好適な耐NOx酸化性に優れた潤滑油組成物を提供することを目的としてなされたものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記の好ましい性質を有する潤滑油組成物を開発すべく鋭意研究を重ねた結果、特定の無灰清浄分散剤と特定の構造のジアリールアミン類と特定の構造のヒンダードフェノール類とを組み合わせ、それらを所定の割合で潤滑油基油に配合させて成る組成物により、その目的を達成しうることを見い出した。本発明はかかる知見に基づいて完成したものである。
すなわち、本発明は、潤滑油基油に対して、組成物全重量に基づき、(A)ポリアルケニルこはく酸イミドのホウ素誘導体4〜10重量%、(B)一般式
【0005】
【化6】
【0006】
(式中のR1、R2、R3、及びR4はそれぞれ水素原子又は炭素数1〜18の炭化水素基であり、それらはたがいに同一でも異なっていてもよい)
及び一般式
【0007】
【化7】
【0008】
(式中のR5及びR6はそれぞれ水素原子又は炭素数1〜18の炭化水素基であり、それらはたがいに同一でも異なっていてもよい)
で表されるジアリールアミン類をそれぞれ重量比10:90〜90:10の割合で0.7〜1.5重量%、並びに(C)一般式
【0009】
【化8】
【0010】
(式中のR7、R8及びR9はそれぞれ炭素数3〜18の炭化水素基であり、それらはたがいに同一でも異なっていてもよい)
及び/又は一般式
【0011】
【化9】
【0012】
(式中のR10、R11、R12及びR13はそれぞれ炭素数3〜18の炭化水素基であり、それらはたがいに同一でも異なっていてもよく、Xは−S−又は
【0013】
【化10】
【0014】
であり、R’及びR”は水素原子又はアルキル基であり、kは1〜5の整数である。)
で表されるヒンダードフェノール類0.7〜1.5重量%を配合させて成るガスエンジンヒートポンプ用潤滑油組成物を提供するものである。
以下、本発明を詳細に説明する。
【0015】
本発明組成物において用いられる潤滑油基油については特に制限はなく、従来潤滑油の基油として慣用されているもの、例えば鉱油や合成油が使用される。鉱油としては、フェノール、フルフラール、N−メチルピロリドンなどを用いる溶剤精製又は水素化処理による例えば軽質ニュートラル油、中質ニュートラル油、重質ニュートラル油、ブライトストックなどが挙げられる。一方、合成油としては、例えばポリα−オレフィンオリゴマー、ポリブデン、アルキルベンゼン、ポリオールエステル、ポリグリコールエステル、二塩基酸エステルなどが挙げられる。これらの基油はそれぞれ単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよく、また鉱油と合成油とを混合使用してもよい。
これらの基油は、温度100℃における動粘度が3.5〜20mm2/s、好ましくは4〜10.5mm2/sの範囲にあるものが好適であり、特にGHP用潤滑油基油としては、温度100℃における動粘度が3.5〜6.5mm2/s、好ましくは4.5〜6mm2/sの範囲にあるものが好適である。この動粘度が上記範囲より低いと焼付が発生しやすいし、高いと低温始動性及び低燃費化に悪影響を与え、好ましくない。
特に鉱油として水素化処理油を使用することが、本発明の目的を達成する上で好ましい。この水素化処理は、通常飽和炭化水素含有量が90重量%以上、芳香族炭化水素含有量が2重量%以下、極性化合物含有量が0.5重量%以下及び臭素価が1以下のものである。炭化水素の組成はゲルクロマトグラフィーによるカーボンタイプ分析法で求めることができ、また臭素価はJIS K-2605を用いて測定することができる。このような水素化処理油は、飽和炭化水素含有量が80重量%以下で、かつ芳香族炭化水素含有量が10重量%以上である溶剤精製油に比べて、耐NOx酸化性において顕著な効果を示す。
本発明組成物においては、(A)成分の無灰清浄分散剤として、ポリアルケニルこはく酸イミド及び/又はそのホウ素誘導体が用いられる。
前記ポリアルケニルこはく酸イミドとしては、例えば一般式
【0016】
【化11】
【0017】
(式中のR14は炭素数30以上のオレフィンオリゴマー残基、R15は炭素数2〜4のアルキレン基、mは1〜10の整数である)
で表されるモノポリアルケニルこはく酸イミド、及び一般式
【0018】
【化12】
【0019】
(式中のR16及びR17はそれぞれ炭素数30以上のオレフィンオリゴマー残基であり、それらはたがいに同一でも異なっていてもよく、R18及びR19はそれぞれ炭素数2〜4のアルキレン基であり、それらはたがいに同一でも異なっていてもよく、nは0又は1〜10の整数である)
で表されるビスポリアルケニルこはく酸イミドなどを挙げることができる。
これらのポリアルケニルこはく酸イミドは、通常ポリオレフィンと無水マレイン酸との反応で得られるポリアルケニルこはく酸無水物を、ポリアルキレンポリアミンと反応させることによって製造することができる。この際、該ポリアルケニルこはく酸無水物とポリアルキレンポリアミンとの反応比率を変えることにより、モノポリアルケニルこはく酸イミド又はビスポリアルケニルこはく酸イミドあるいはそれらの混合物が得られる。
該ポリアルケニルこはく酸イミドの製造において、原料として用いられるポリオレフィンとしては、炭素数2〜6のオレフィンを重合して得られる炭素数が30以上、好ましくは40以上で、その平均分子量が500〜20,000、好ましくは700〜5,000のものが用いられる。また、ポリオレフィンを形成するオレフィンとしては、例えばエチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブチレン、1−ヘキセン、2−メチルペンテン−1、1−オクテンなどの炭素数2〜8のα−オレフィンを好ましく挙げることができる。好ましいポリオレフィンはポリプロピレン及びポリイソブチレンである。
一方、ポリアルキレンポリアミンとしては、一般式
【0020】
【化13】
【0021】
(式中のR15及びmは前記と同じ意味をもつ)
で表されるものや、一般式
【0022】
【化14】
【0023】
(式中のR18、R19及びnは前記と同じ意味をもつ)
で表されるものが用いられる。
このようなポリアルキレンポリアミンとしては、例えばポリエチレンポリアミン、ポリプロピレンポリアミン、ポリブチレンポリアミンなどが挙げられるが、これらの中でポリエチレンポリアミンが好適である。
【0024】
本発明においては、ポリアルケニルこはく酸イミドとして、モノ体又はビス体のいずれも用いることができるが、これらの混合物が好適である。モノポリアルケニルこはく酸イミドとビスポリアルケニルこはく酸イミドとの混合割合は、重量比で好ましくは80:20ないし20:80、より好ましくは60:40ないし40:60の範囲である。該混合割合が前記範囲を逸脱すると十分な酸化安定性が得られないおそれがある。
さらに、該(A)成分として、前記ポリアルケニルこはく酸イミドにホウ素化合物を反応させて得られたホウ素誘導体を用いることができる。特に、モノポリアルケニルこはく酸イミドとビスポリアルケニルこはく酸イミドとの混合物のホウ素誘導体を用いるのが有利である。
本発明組成物においては、前記(A)成分のポリアルケニルこはく酸イミド及び/又はそのホウ素誘導体は、組成物全重量に基づき4〜10重量%、好ましくは4〜8重量%、より好ましくは4.5〜6.5重量%の範囲で配合することが必要である。この配合量が4重量%未満では耐NOx酸化性に劣り、本発明の目的が達せられないし、10重量%を超えるとその量の割には効果の向上がみられない。
本発明組成物においては、(B)成分として、一般式
【0025】
【化15】
【0026】
及び/又は一般式
【0027】
【化16】
【0028】
で表されるジアリールアミン類が用いられる。
前記一般式[1]及び[2]において、R1〜R6は、それぞれ水素原子又は炭素数1〜18の炭化水素基である。該炭化水素基としては、例えば炭素1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、炭素数6〜18のシクロアルキル基などが挙げられ、該アルキル基やアルケニル基は直鎖状であってもよいし、分岐鎖状であってもよい。また、R1、R2、R3及びR4はたがいに同一であっても異っていてもよく、R5及びR6はたがいに同一であっても異っていてもよい。具体的には、p,p'−ジブチルジフェニルアミン、p,p'−ジペンチルジフェニルアミン、p,p'−ジヘキシルジフェニルアミン、p,p'−ジヘプチルジフェニルアミン、p,p'−ジオクチルジフェニルアミン、p,p'−ジノニルジフェニルアミン、モノオクチルジフェニルアミン、モノノニルジフェニルアミン、テトラブチルジフェニルアミン、テトラヘキシルジフェニルアミン、テトラオクチルジフェニルアミン、テトラノニルジフェニルアミン、炭素数4〜9の混合アルキルジフェニルアミン、フェニル−α−ナフチルアミン、フェニル−β−ナフチルアミン、ブチルフェニル−α−ナフチルアミン、ブチルフェニル−β−ナフチルアミン、ペンチルフェニル−α−ナフチルアミン、ペンチルフェニル−β−ナフチルアミン、ヘキシルフェニル−α−ナフチルアミン、ヘキシルフェニル−β−ナフチルアミン、ヘプチルフェニル−α−ナフチルアミン、ヘプチルフェニル−β−ナフチルアミン、オクチルフェニル−α−ナフチルアミン、オクチルフェニル−β−ナフチルアミン、ノニルフェニル−α−ナフチルアミン、ノニルフェニル−β−ナフチルアミン等が挙げられる。
前記一般式[1]で表されるジアリールアミン類の好ましいものとしては、p,p'−ジオクチルジフェニルアミンを挙げることができ、一方前記一般式[2]で表されるジアリールアミン類の好ましいものとしては、フェニル−α−ナフチルアミンやアルキルフェニル−α−ナフチルアミンを挙げることができる。
【0029】
本発明組成物においては、該(B)成分として、前記一般式[1]で表されるジアリールアミン類を1種用いてもよいし、2種以上組み合わせて用いてもよく、また前記一般式[2]で表されるジアリールアミン類を1種用いてもよいし、2種以上組み合わせて用いてもよいが、一般式[1]で表されるジアリールアミン類1種以上と一般式[2]で表されるジアリールアミン類1種以上とを組み合わせて用いると耐NOx酸化性がさらに向上するので有利である。該一般式[1]で表されるジアリールアミン類と一般式[2]で表されるジアリールアミン類は、重量比10:90ないし、90:10好ましくは20:80ないし80:20の割合で混合して用いるのが望ましい。好適な具体例は、p,p'−ジオクチルジフェニルアミンとフェニル−α−ナフチルアミンとの重量比30:70の組合せである。
本発明組成物においては、該(B)成分のジアリールアミン類は、組成物全重量に基づき0.7〜1.5重量%、好ましくは0.8〜1.2重量%の範囲で配合することが必要である。この配合量が0.7重量%未満では耐NOx酸化性の改善効果が十分に発揮されないし、1.5重量%を超えるとその量の割には効果の向上がみられない。
本発明組成物においては、(C)成分として、一般式
【0030】
【化17】
【0031】
及び/又は一般式
【0032】
【化18】
【0033】
で表されるヒンダードフェノール類が用いられる。
【0034】
前記一般式[3]及び[4]において、R7〜R13はそれぞれ炭素数3〜18の炭化水素基であり、該炭化水素基としては、炭素数3〜18のアルキル基、炭素数3〜18のアルケニル基、炭素数6〜18のシクロアルキル基、炭素数6〜18のアリール基、炭素数7〜18のアルキルアリール基、炭素数7〜18のアリールアルキル基などが挙げられ、該アルキル基やアルケニル基は直鎖状であってもよいし、分岐鎖状であってもよい。また、R7、R8及びR9はたがいに同一でも異っていてもよく、R10、R11、R12及びR13はたがいに同一でも異っていてもよい。さらに、一般式[4]において、Xは−S−又は
【0035】
【化19】
【0036】
R'及びR"は、水素原子又はアルキル基、特にメチル基であり、kは1〜5の整数である。
具体的には、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、2,4−ジメチル−6−t−ブチルフェノール、4,4'−メチレンビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)、4,4'−イソプロピリデンビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)、4,4'−ブチリデンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4'−チオビス(2−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4'−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)等を挙げることができる。
前記一般式[3]で表されるヒンダードフェノール類の好ましいものとしては、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾールを挙げることができ、前記一般式[4]で表されるヒンダードフェノール類の好ましいものとしては、4,4'−メチレンビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)、4,4'−メチレンビス(6−t−ブチル−o−クレゾール)を挙げることができる。
本発明組成物においては、該(C)成分として、前記一般式[3]で表されるヒンダードフェノール類を1種用いてもよいし、2種以上組み合わせて用いてもよく、また前記一般式[4]で表されるヒンダードフェノール類を1種用いてもよいし、2種以上組み合わせて用いてもよい。さらに一般式[3]で表されるヒンダードフェノール類1種以上と一般式[4]で表されるヒンダードフェノール類1種以上とを組み合わせて用いてもよい。
本発明組成物においては、該(C)成分のヒンダードフェノール類は、組成物全重量に基づき0.7〜1.5重量%、好ましくは0.8〜1.2重量%の範囲で配合することが必要である。この配合量が0.7重量%未満では耐NOx酸化性の改善効果が十分に発揮されないし、1.5重量%を超えるとその量の割には効果の向上がみられない。
【0037】
本発明の潤滑油組成物には、本発明の目的が損なわれない範囲で従来潤滑油に慣用されている各種添加剤、例えば金属清浄剤、摩擦低減剤、摩耗防止剤、粘度指数向上剤、流動点降下剤、防錆剤、腐食防止剤、消泡剤、他の酸化防止剤などを適宜添加することができる。
金属清浄剤としては、例えばカルシウムスルホネート、マグネシウムスルホネート、バリウムスルホネート、カルシウムフェネート、バリウムフェネートなどが挙げられ、これらは、通常0.1〜5重量%の割合で使用され、また摩擦低減剤としては、例えばモリブデン系、アミン系、りん酸エステル系などがあり、これらは通常0.05〜5.0重量%の割合で使用される。
摩耗防止剤としては、例えばジチオりん酸金属塩(Zn、Pb、Sb、Moなど)、ジチオカルバミン酸金属塩(Znなど)、硫黄化合物、りん酸エステル、亜りん酸エステル、りん酸エステルのアミン塩、亜りん酸エステルのアミン塩などを挙げることができ、これらは、通常0.05〜5.0重量%の割合で使用され、また粘度指数向上剤としては、例えばポリメタクリレート系、ポリイソブチレン系、エチレン−プロピレン共重合体系、スチレン−ブタジエン水添共重合体系などが挙げられ、これらは、通常、0.5〜35重量%の割合で使用される。
流動点降下剤としては、例えばポリメタクリレートなどが、防錆剤としては、例えばアルケニルこはく酸やその部分エステルなどが、腐食防止剤としては、例えばベンゾトリアゾールやベンゾイミダゾールなどが、消泡剤としては、例えばジメチルポリシロキサンやポリアクリレートなどが挙げられ、これらは適宜添加することができる。
【0038】
【実施例】
次に実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例によってなんら限定されるものではない。
実施例1(参考例)
基油としての10W−30水素化処理油(100℃動粘度5.5mm2/s)、及び(A)成分としてのポリブテニルコハク酸イミド(ビス体70〜90重量%含有、残りはモノ体、ポリブテニル基:平均分子量;1,100)のホウ素誘導体6.0重量%、(B)成分としてのフェニル−α−ナフチルアミン1.0重量%、(C)成分としてのヒンダードフェノール[4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)]1.0重量%、Ca−スルホネート系金属洗浄剤4.5重量%、ジチオりん酸亜鉛系耐摩耗剤1.5重量%、ポリメタクリレート系粘度指数向上剤5.5重量%、ポリメタクリレート系流動点降下剤0.1重量%、ポリシロキサン系消泡剤0.002重量%を含有する潤滑油組成物を調製した。
この潤滑油組成物について、NOx酸化試験を行い、全酸価上昇値を測定したところ、6.6mgKOH/gであった。
【0039】
実施例2
実施例1において、(A)成分としてポリブテニルこはく酸イミドホウ素誘導体5.0重量%、及び(B)成分としてフェニル−α−ナフチルアミンとp,p'−ジオクチルジフェニルアミンとの組合せ(重量比70:30)1.0重量%を用いた以外は、実施例1と同様にして潤滑油組成物を調製した。
この潤滑油組成物について、NOx酸化試験を行い、全酸価上昇値を測定したところ、7.1mgKOH/gであった。
比較例1
実施例1において、(A)成分としてポリブテニルこはく酸イミドホウ素誘導体3.5重量%を用いたこと以外は、実施例1と同様にして潤滑油組成物を調製した。
この潤滑油組成物について、NOx酸化試験を行い、全酸価上昇値を測定したところ、8.2mgKOH/gであった。
比較例2
実施例1において、(B)成分としてフェニル−α−ナフチルアミン0.6重量%を用いたこと以外は、実施例1と同様にして潤滑油組成物を調製した。
この潤滑油組成物について、NOx酸化試験を行い、全酸価上昇値を測定したところ、12.0mgKOH/gであった。
比較例3
実施例1において、(C)成分としてヒンダードフェノール[4,4'−メチレンビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)]0.6重量%を用いたこと以外は、実施例1と同様にして潤滑油組成物を調製した。
この潤滑油組成物について、NOx酸化試験を行い、全酸価上昇値を測定したところ、8.5mgKOH/gであった。
【0040】
比較例4
実施例1において、(B)成分としてフェニル−α−ナフチルアミン2.0重量%を用い、かつ(C)成分を用いなかったこと以外は、実施例1と同様にして潤滑油組成物を調製した。
この潤滑油組成物について、NOx酸化試験を行い、全酸価上昇値を測定したところ、11.0mgKOH/gであった。
実施例3(参考例)
実施例1において、基油として水素化処理油の代わりに10W−30フェノール溶剤精製油を用いたこと以外は、実施例1と同様にして潤滑油組成物を調製した。
この潤滑油組成物について、NOx酸化試験を行い、全酸価上昇値を測定したところ、7.9mgKOH/gであった。
比較例5
実施例1において、(A)成分としてポリブテニルコハク酸イミドホウ素誘導体3.5重量%及び(C)成分としてヒンダードフェノール[4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)]0.3重量%を用い、かつ(B)成分を用いなかったこと以外は、実施例1と同様にして潤滑油組成物を調製した。
この潤滑油組成物について、NOx酸化試験を行い、全酸価上昇値を測定したところ、10.7mgKOH/gであった。
比較例6
比較例5において、基油として水素化処理油の代わりに10W−30フェノール溶剤精製油を用いた以外は、比較例5と同様にして潤滑油組成物を調製した。この潤滑油組成物について、NOx酸化試験を行い、全酸価上昇値を測定したところ、12.2mgKOH/gであった。
【0041】
【発明の効果】
本発明の潤滑油組成物は、耐NOx酸化性に優れており、特にメインテナンスの軽減化が可能な長寿命のガスエンジンヒートポンプ用エンジン油として好適に用いられる。
Claims (1)
- 潤滑油基油に対して、組成物全重量に基づき、(A)ポリアルケニルこはく酸イミドのホウ素誘導体4〜10重量%、(B)一般式
及び一般式
で表されるジアリールアミン類をそれぞれ重量比10:90〜90:10の割合で0.7〜1.5重量%、並びに(C)一般式
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