JP3649875B2 - 低温ショーケース - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、低温ショーケースに係り、詳しくは、冷却器への着霜を抑制する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、スーパーマーケット等の大規模小売店舗では、精肉や鮮魚を始め、冷凍食品やアイスクリーム等、種々の食品が販売されている。これらの食品は、適切な温度管理を行いながら、顧客が容易に手にとれるように、冷蔵あるいは冷凍ショーケース(以下、低温ショーケースで総称する)内に収納・陳列される。
【0003】
低温ショーケースは、食品が収納されるショーケース本体と、圧縮機や減圧装置、凝縮器、冷却器等からなる冷凍機とを備えており、ショーケース本体内の食品に冷却器用送風機によって冷気が供給される構造になっている。
【0004】
この種の低温ショーケースでは、運転中における冷凍機の冷却器に着霜することがある。そのため、ホットガスや除霜ヒータを用いての除霜運転がおこなわれるが、スーパー等の開店時には、可能な限りこの除霜運転を行いたくないというユーザーからの要望がある。この要望に応えるため、冷却器を大型化し、除霜インターバルを可能な限り長くすることが行われている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の構成では、除霜インターバルを長くすることはできても、冷却器が大型化する分だけ、除霜運転に要する運転時間が長くなるという問題がある。そこで、例えば、大型化した冷却器を二分割し、この二分割した冷却器のそれぞれに除霜ヒータ等の除霜手段を付設して、除霜運転時間を短縮することが提案される。しかし、二つの冷却器を鉛直方向に延びる冷却ダクト内に上下直列に設置する場合、例えば下流側冷却器の霜や氷が上流側冷却器の上に落下し、上流側冷却器の除霜時間が長くなる等の問題がある。
【0006】
また、除霜インターバルを長くするため、冷却器の上流側のフィンピッチを粗く形成することが行われている。しかしながら、従来の構成では、液冷媒を冷却器の冷気の下流側に導入し、順に上流側に流して、冷却器の冷気の上流側から導出させるように構成しているので、冷却器の狭いフィンピッチの最も上流側に着霜し、冷却能力を低下させるという問題がある。
【0007】
本発明は、上記状況に鑑みなされたもので、複数の冷却器への着霜の均一化を図ると共に、除霜運転のインターバルを長くすることのできる低温ショーケースを提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、ショーケース本体の冷却ダクト内に複数の冷却器を直列に配置した低温ショーケースにおいて、上流側冷却器のフィンピッチを下流側冷却器のフィンピッチより粗く形成し、かつ液冷媒を上流側冷却器の上流側に導入し、その下流側から下流側冷却器の下流側に導入し、その上流側から導出させるように構成したものである。
【0009】
本発明では、上流側冷却器および下流側冷却器を通過した後の暖まった冷媒が、下流側冷却器の上流側から導出されるので、冷却器の狭いフィンピッチの最も上流側のフィン表面温度が上昇するので、この部分への着霜が抑制され、除霜インターバルを長くすることができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のいくつかの実施形態を図面に基づいて説明する。
【0017】
図1は、本発明の第1実施形態に係る冷蔵ショーケースの縦断面図である。本実施形態の冷蔵ショーケース1は、前面が開放された多段オープン型で、かつ、屋外に設置された冷却ユニットから液冷媒が供給される別置型となっている。ショーケース本体3は、その開口に4段の陳列棚5が設けられると共に、陳列棚5の前部には内層エアカーテン(その流れをA方向の矢印で示す)と、外層エアカーテン(その流れをB方向の矢印で示す)とが形成されている。
【0018】
ショーケース本体3には、陳列棚5を囲むかたちで冷却ダクト7が形成されており、冷却ダクト7の下部には冷却器用送風機9が、垂直部には下から順に上流側冷却器11と下流側冷却器13とが配置され、これらと冷気吸込口15および冷気吹出口17により冷却風循環供給手段が構成されている。
【0019】
また、ショーケース本体3には、冷却ダクト7を囲むかたちで送風ダクト21が形成されており、その内部には図示しないエアカーテン用送風機が配設され、これと空気吸込口23および空気吹出口25によりエアカーテン生成手段が構成されている。図中、31は上流側冷却器11の出口側温度を検出する第1出口側温度センサ(復帰温度検出センサ)であり、33は下流側冷却器13の出口側温度を検出する第2出口側温度センサ(復帰温度検出センサ)である。尚、上流側冷却器11は、その冷却フィンピッチが下流側冷却器13の冷却フィンピッチより粗く形成されている。
【0020】
本実施形態の場合、陳列棚5周辺の冷気は、冷却器用送風機9により冷気吸込口15から冷却ダクト7内に吸い込まれた後、両冷却器11,13を通過して所定の温度まで冷却され、冷気吹出口17から陳列棚5に向けて吹き出される。また、エアカーテンを生成する空気は、エアカーテン用送風機により空気吸込口23から送風ダクト21内に吸い込まれた後、空気吹出口25から空気吸込口23に向けて吹き出される。
【0021】
図2は第1実施形態の冷凍サイクルとその制御系統とを示す概略構成図である。同図に示したように、冷凍サイクルは、冷蔵ショーケース1側の両冷却器11,13やこれらに対応して設けられた第1,第2電動膨張弁37,39の他、冷却ユニット41側の圧縮機43、凝縮器45、受液器47等から構成されている。図中、49は冷却ユニット41内に設置された凝縮器用送風機であり、51〜58は液冷媒またはガス冷媒の流通に供される冷媒配管である。符号100は除霜手段を構成する。圧縮機43からのホットガスを凝縮器45をバイパスして両冷却器11,13に直接導き、このホットガスにより冷却器11,13に付着した霜を除去する。81,83は除霜用電動膨張弁である。
【0022】
冷蔵ショーケース1内には、冷却器用送風機9や第1,第2電動膨張弁37,39や除霜用電動膨張弁81,83等を駆動制御するショーケース側コントロールユニット(以下、ECUと記す)61が設置されている。ショーケース側ECU61は、CPUを始め、入出力インタフェースやROM,RAM,タイマカウンタ等から構成されており、その入力インタフェースには、第1,第2出口側温度センサ31,33を始めとして、種々のセンサ類が接続している。
【0023】
一方、冷却ユニット41内には、圧縮機43や凝縮器用送風機49等を駆動制御する冷却ユニット側ECU63が設置されている。冷却ユニット側ECU63は、CPUを始め、入出力インタフェースやROM,RAM,タイマカウンタ等から構成されている。また、ショーケース側ECU61と冷却ユニット側ECU63とは通信ライン65により接続されており、相互に信号の授受を行う。
【0024】
以下、第1実施形態の作用を述べる。冷蔵ショーケース1が冷却ユニット41に接続され、冷凍サイクルの運転が開始されると、図2に示すように、受液器47内のガス冷媒が実線矢印で示すように冷媒配管58を介して圧縮機43に吸引される。ガス冷媒は、圧縮機43内で圧縮されて高温・高圧となった後、冷媒配管51を介して凝縮器45に流入し、凝縮器45内を流通する間に凝縮・液化する。しかる後、液冷媒の一部は、冷媒配管52から冷媒配管53に分流し、冷媒配管53に介装された第1電動膨張弁37により減圧され、上流側冷却器11に流入する。また、液冷媒の残部は、冷媒配管52から冷媒配管55に分流し、冷媒配管55に介装された第2電動膨張弁39により減圧され、下流側冷却器13に流入する。液冷媒は、両冷却器11,13内で蒸発・気化した後、冷媒配管54,56,57を介して受液器47に環流し、受液器47に貯留された後、再び冷媒配管58を介して圧縮機43に吸引される。
【0025】
両冷却器11,13は、その表面温度が液冷媒の気化に伴う気化潜熱により氷点下となり、冷却フィンの間を通過する空気を冷却する。冷却された空気は、冷却器用送風機9によりショーケース本体3内をAの矢印(図1)で示すように循環し、陳列棚5上に陳列された商品を所定温度に冷却する。
【0026】
さて、この冷却運転が継続されると、両冷却器11,13には霜が付着するので、適当なインターバルで除霜運転が行われる。この除霜運転は、図2を参照して、第1,第2電動膨張弁37,39を閉じ、除霜用電動膨張弁81,83を開くことにより、点線矢印で示すようにホットガスを流して行われる。
【0027】
この実施形態では、前記除霜手段100による除霜運転は、復帰温度検出センサ31,33からの出力に従って停止される。下流側冷却器13の復帰温度検出センサ33の設定温度は、上流側冷却器11の復帰温度検出センサ31の設定温度よりも低く設定され、これによれば下流側冷却器13の除霜運転は、上流側冷却器11の除霜運転よりも早く復帰する。すなわち、下流側冷却器13の設定温度TS2は上流側冷却器11の設定温度TS1より所定値(例えば、3℃)だけ低く設定されているので、除霜手段100によるホットガスの流入により、下流側冷却器13の温度は設定温度TS2に早く到達する。すると、ショーケース側ECU61は復帰温度検出センサ33からの信号を受け、除霜用電動膨張弁83を閉じると共に、第2電動膨張弁39を開く。これによれば下流側冷却器13の除霜運転は早く終了し、かつ終了と同時に下流側冷却器13は冷却運転に復帰する。
【0028】
上流側冷却器11の設定温度TS1は所定値(例えば、3℃)だけ高いので、当該設定温度に到達するまで除霜手段100によるホットガスの流入が行われる。そして、設定温度に到達すると下流側冷却器13よりも遅れて除霜運転が終了される。この場合、ショーケース側ECU61は復帰温度検出センサ31からの信号を受け、除霜用電動膨張弁81を閉じると共に、第1電動膨張弁37を開く。これによれば全ての除霜運転が終了して冷却運転に復帰する。
【0029】
これによれば、上流側冷却器11の除霜運転時間は長く保たれるので、下流側冷却器13から比較的多量の霜や氷が上流側冷却器11に溶融・落下したとしても、上流側冷却器11をほぼ確実に除霜することができる。
【0030】
図3は、本発明の第2実施形態に係る冷蔵ショーケースの縦断面図であり、図4は冷凍サイクルとその制御系統とを示す概略構成図である。これらの図に示したように、第2実施形態の冷蔵ショーケース1も、その全体的構成は第1実施形態のものと略同様であるが、ホットガスによる除霜手段は除かれて、両冷却器11,13の下部(上流側)にはそれぞれ、ショーケース側ECU61により通電制御される除霜ヒータ71,73が付設されている。
【0031】
以下、第2実施形態の作用を述べる。
【0032】
本実施形態の場合、第1,第2出口側温度センサ31,33は、通常運転時には、第1実施形態と同様、両冷却器11,13の温度制御に供されるが、除霜時には復帰温度検出センサとして作用する。冷蔵ショーケース1が所定時間に亘って運転されると、ショーケース側ECU61は、内蔵したタイマの値に基づき両冷却器11,13の除霜を開始する。この除霜運転時には、圧縮機43の運転が停止されて、除霜ヒータ71,73が通電される。
【0033】
本実施形態の場合、両冷却器11,13間で復帰温度が異なっている。すなわち、下流側冷却器13の復帰温度TR2は上流側冷却器11の復帰温度TR1より所定値(例えば、3℃)だけ低く設定されている。従って、除霜ヒータ71,73への通電により、下流側冷却器13の温度は復帰温度TR2に早く到達する。すると、ショーケース側ECU61は復帰温度検出センサ33からの信号を受け、除霜ヒータ73への通電を断つと同時に、圧縮機43を駆動し、第1電動膨張弁37を閉じて、第2電動膨張弁39を開く。これによれば下流側冷却器13の除霜運転は早く終了し、終了と同時に下流側冷却器13は冷却運転に復帰する。
【0034】
上流側冷却器11の復帰温度TR1は所定値(例えば、3℃)だけ高いので、当該復帰温度に到達するまで除霜ヒータ71への通電が継続される。そして、復帰温度に到達すると下流側冷却器13よりも遅れて除霜運転が終了される。この場合、ショーケース側ECU61は復帰温度検出センサ31からの信号を受け、除霜ヒータ71への通電を断つと同時に、第1電動膨張弁37を開く。これによれば全ての除霜運転が終了して冷却運転に復帰する。
【0035】
これによれば、上流側冷却器11の除霜運転時間は長く保たれるので、下流側冷却器13から比較的多量の霜や氷が上流側冷却器11に溶融・落下したとしても、上流側冷却器11をほぼ確実に除霜することができる。
【0036】
図5は、本発明の第3実施形態に係る冷蔵ショーケースの縦断面図である。この図に示したように、第3実施形態の冷蔵ショーケース1は、その全体的構成が第2実施形態のものと略同様であるが、両冷却器11,13には出口側温度センサが付設されておらず、冷却ダクト7内の冷気吹出口17近傍に吹出温度センサ(主復帰温度検出センサ)81が配置され、下流側冷却器13の下流に補助復帰温度検出センサ83が配置されている。尚、これら温度センサ81,83は、ショーケース側ECU61の入力インタフェースに接続している。
【0037】
以下、第3実施形態の作用を述べる。
【0038】
本実施形態の場合、主復帰温度検出センサ81は、通常運転時における両冷却器11,13の温度制御に用いられる。上述したように、冷蔵ショーケース1が所定時間に亘って運転されると、ショーケース側ECU61は、両冷却器11,13の除霜を開始し、圧縮機43の運転を停止すると同時に、除霜ヒータ71,73に通電する。そして、ショーケース側ECU61は、補助復帰温度検出センサ83により検出された下流側冷却器13の下流温度が所定値に達すると、下流側冷却器13を除霜から通常運転に復帰させる。ついで、主復帰温度検出センサ81により検出された温度が所定値に達すると、上流側冷却器11を除霜から通常運転に復帰させる。この実施形態では、補助復帰温度検出センサ83の設定温度が主復帰温度検出センサ81の設定温度よりも低く設定される。このように冷却器11,13の温度を検出するセンサを用いずに、冷却ダクト7内を流れる空気の温度を検出することにより、制御することは可能である。
【0039】
次に、第4実施形態について述べるが、その構成は第3実施形態と同一であるため、図示は省略する。第4実施形態では、ショーケース側ECU61内に遅延タイマ(図示せず)が設けられており、下流側冷却器13が除霜から通常運転に復帰した後に所定時間が経過すると、上流側冷却器11も除霜から通常運転に復帰するように構成されている。これにより、第3実施形態と同様に、上流側冷却器11では、下流側冷却器13に較べて長時間に亘って除霜が行われるので、入口側冷却フィンに付着した比較的多量の霜や氷も確実に溶融・落下するので、冷却風が円滑に流通するようになる。
【0040】
図6は、本発明の第5実施形態に係る冷蔵ショーケースの縦断面図であり、図7は冷却器の正面図である。これらの図に示したように、第5実施形態の冷蔵ショーケース1では、冷却ダクト7の垂直部には単一の冷却器91が配設されている。冷却器91は、上流側冷却器93と下流側冷却器95とに分割されており、上流側冷却器93のフィンピッチは、下流側冷却器95のフィンピッチより粗く形成されている。また、冷媒管97による冷媒は、上流側冷却器93の上流側93aに導入し、その下流側93bから下流側冷却器95の下流側95aに導入し、その上流側95bから導出させるように構成される。
【0041】
図7の構成に従うと、フィンピッチが狭くなる下流側冷却器95の上流側に最も多くの霜が付着するのが一般的である。この部分に霜が付着すると、空気の流路を塞ぐことになる。この実施形態では、最も霜が付着するであろう下流側冷却器95の上流側に、図7に示すように、上流側冷却器93および下流側冷却器95を通過した後の暖まった冷媒が、冷媒管97を通じて流されるので、この部分のフィンの表面温度は上昇する。従ってこの部分への着霜は抑制されるので、除霜インターバルを長くすることができる。
【0042】
以上で具体的実施形態の説明を終えるが、本発明の態様はこの実施形態に限られるものではない。例えば、上記各実施形態は、本発明を多段オープン型の冷蔵ショーケースに適用したものであるが、ガラス扉等を備えた冷蔵あるいは冷凍ショーケース等に適用してもよい。また、第2〜第4実施形態では除霜手段として除霜ヒータを用いたが、ホットガスを冷却器に供給する等の方法を採ってもよい。その他、低温ショーケースの具体的構成や温度センサの配置等についても、本発明の主旨を逸脱しない範囲であれば、適宜変更可能である。
【0043】
【発明の効果】
本発明では、上流側冷却器および下流側冷却器を通過した後の暖まった冷媒が、下流側冷却器の上流側から導出されるので、冷却器の狭いフィンピッチの最も上流側のフィン表面温度が上昇するので、この部分への着霜が抑制され、除霜インターバルを長くすることができる等の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態に係る冷蔵ショーケースの縦断面図である。
【図2】第1実施形態における冷凍サイクルと制御系統とを示す概略構成図である。
【図3】本発明の第2実施形態に係る冷蔵ショーケースの縦断面図である。
【図4】第2実施形態における冷凍サイクルと制御系統とを示す概略構成図である。
【図5】本発明の第3および第4実施形態に係る冷蔵ショーケースの縦断面図である。
【図6】本発明の第5実施形態に係る冷蔵ショーケースの縦断面図である。
【図7】第5実施形態における冷却器の正面図である。
【符号の説明】
1 冷蔵ショーケース
3 ショーケース本体
7 冷却ダクト
9 冷却器用送風機
11 上流側冷却器
13 下流側冷却器
31,33 復帰温度検出センサ
61 ショーケース側ECU
71,73 除霜ヒータ
81 主復帰温度検出センサ
83 補助復帰温度検出センサ

Claims (1)

  1. ショーケース本体の冷却ダクト内に複数の冷却器を直列に配置した低温ショーケースにおいて、
    上流側冷却器のフィンピッチを下流側冷却器のフィンピッチより粗く形成し、かつ液冷媒を上流側冷却器の上流側に導入し、その下流側から下流側冷却器の下流側に導入し、その上流側から導出させるように構成したことを特徴とする低温ショーケース。
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