JP3649297B2 - 中空金属管体及び中空金属管体の製造方法 - Google Patents

中空金属管体及び中空金属管体の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は中空金属管体及び中空金属管体の製造方法に関する。本発明は例えば内燃機関に装備される排気系のマニホールド等の中空構造体に利用できる。
【0002】
【従来の技術】
特開昭51−8160号公報には、外管の内部に内管を略同軸的に配置した二重管を用い、内管と外管との間に水等の凍結可能な液体を注入し、二重管の軸長方向の両端部を密閉すると共に、その液体を凍結させ、その状態で二重管をベンダー等で曲げ加工し、その後に液体を排出して曲成2重管を製造する技術が開示されている。
【0003】
更に従来より、図12(A)(B)から理解できる様に、プレス型を用いて平板をプレス成形で曲げ加工して、曲成部100aをもつ板体100と、曲成部200aをもつ板体200とを成形し、その板体100、200をその厚み方向に複数枚重合する様に組付け、その後に板体100、200の一端部100c、200cを溶接で接合して溶接部300を形成すると共に、板体100、200の他端部100d、200dを溶接で接合して溶接部310を形成し、これにより内室401と外室402とを備えた中空金属管体400を形成する技術が知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記した特開昭51−8160号公報に係る冷凍式管曲成技術によれば、液体を凍結させる必要があり、冷凍装置を必要とする。
【0005】
ところで上記した図12に示す中空金属管体400の強度、耐久性の確保等を考慮すると、中空金属管体400を構成する板体100、200は、できるだけ均一肉厚であることが好ましい。
【0006】
この点図12に示す技術によれば、溶接部300、310で溶接する前の段階で、プレス型を用いて板体100、200をプレス成形する関係上、荷重が衝撃的に負荷されるプレス成形の際には溶接部300、310が存在せず、従ってプレス成形の際の衝撃によって溶接部300、310が破損することを防止できる。
【0007】
しかしながら図12に示す技術によれば、プレス成形の際に引張力が瞬時に衝撃的に板体に負荷されるため、引張力の局部的集中が生じる部位が発生する。よって板厚の減少率のばらつきが大きくなり、中空金属管体400の均一肉厚化には必ずしも充分ではない。
【0008】
即ち、図12に示す技術によれば、板厚減少率の最も大きな部位の板厚減少率をAmax 〔%〕とし、板厚減少率の最も小さな部位の板厚減少率をAmin 〔%〕としたとき、Amax 〔%〕−Amin 〔%〕=30%程度と大きくなる。よって図12に示す技術によれば、曲げ加工度が高い頂部である曲げ部100a、200aの曲げ外周領域側において過大な引張力が瞬時に負荷されるため、肉厚不均一になることがあった。
【0009】
換言すれば、内室401と外室402とを備えた図12(B)に示す中空金属管体400においては、横断面において溶接部300、310をつなぐ仮想線に沿う外室402の室内距離をD0 とし、仮想線に直交する向きの外室402の室内距離をD1 としたとき、(D0 /D1 )=0.7〜1.3に設定した場合には、曲げ加工度が大きくなるため、頂部である曲げ部100a、200aでは、過大な引張力が瞬時に負荷され、過剰減肉が生じることがあった。
【0010】
本発明は上記した実情に鑑みなされたものであり、請求項1の課題は、外室に係るD0 /D1 =0.7〜1.3の様に曲げ加工度を大きな値に規定した場合であっても、板体における板厚の局部的な過剰低減を抑え、これにより板厚減少率のばらつきを軽減し、強度及び耐久性の向上を図り得る中空金属管体を提供することにある。
【0011】
請求項2〜請求項の課題は、上記した板厚の均一化を図った請求項1に係る中空金属体を製造するのに適する製造方法を提供することにある。
【0012】
請求項2〜請求項に係る製造方法は、上記した請求項1に係る中空金属管体を製造するのに適するものであり、そればかりではなく、請求項1以外の要素を備えた他の中空金属管体をも製造できるものである。
【0013】
各請求項の個別の課題について、更に説明を加える。
【0014】
請求項2の課題は、液状物の液圧を利用することにより、成形圧の均一化を図り得、板体における板厚の局部的な過剰低減を抑え、強度及び耐久性の向上を図り得る中空金属管体の製造方法を提供することにある。
【0015】
請求項の課題は、液状物の液圧を利用した第1圧入操作及び第2圧入操作により、板体における板厚の局部的な過剰低減を抑え、強度及び耐久性の向上を図りつつ、第1中空室及び第2中空室を備えた中空金属管体を得る中空金属管体の製造方法を提供するにある。
【0016】
請求項の課題は、成形型面を備えた成形型を用い、液状物の圧力により膨出した板体を成形型の成形型面に張付けて成形することにより、中空金属管体の形状や寸法精度を規制し、中空金属管体の精度を向上し得る中空金属管体の製造方法を提供するにある。
【0017】
請求項の課題は、積層構造体のうち厚み方向に隣設する板体の間に差込体を差込むことにより、差込体の通路から液状物を送給して中空室の形成を容易にした中空金属管体の製造方法を提供するにある。
【0018】
【課題を解決するための手段】
○請求項1に係る中空金属管体は、液圧により曲げ変形された互いに対面する少なくとも2枚の内側の板体で構成された内室を区画する内管と、
内側の板体よりも外側に配置され液圧により曲げ変形された外側の板体で構成され内室よりも外側に配置された外室を区画する外管と、
外管を構成する外側の板体と内管を構成する内側の板体とを横断面の両端部で接合した接合部とで構成され、
横断面において外管を構成する内板体の端同士をつなぐ仮想線に沿う外室の室内距離をD0 とし、仮想線に直交する向きの外室の室内距離をD1 としたとき、D0 /D1 =0.7〜1.3に規定され、板体のうち板厚減少率の最も大きな部位の板厚減少率をAmax 〔%〕とし、板厚減少率の最も小さな部位の板厚減少率をAmin 〔%〕としたとき、Amax 〔%〕−Amin 〔%〕=23%以下に規定されていることを特徴とするものである。
【0019】
上記した請求項1によれば、板体における板厚減少率の最大値と最小値との差が小さいので、板厚減少率のばらつきが低減される。中空金属管体における均厚化を図り得、中空金属管体に強度のばらつきが軽減される。よって、外力が負荷された際における中空金属管体における耐久性が向上する。
請求項に係る中空金属管体の製造方法は、
少なくとも4枚の金属製の板体を接触状態または非接触状態で積層すると共に、横断面における板体の両端部を接合した積層構造体を得る積層工程と、
積層構造体を構成する板体のうち、厚み方向に隣設する板体の間に液状物を圧入し、液状物の圧力により少なくとも2枚の板体が積層したままその厚み方向に曲げて膨出成形し、第1中空室を形成する第1圧入操作と、
第1中空室に液状物を残した状態で、厚み方向に隣設する板体の間にさらに液状物を圧入し、液状物の液圧により板体を曲げてその厚み方向に膨出成形し、第2中空室を形成する第2圧入操作とを行い、第1中空室及び第2中空室を備えた中空金属管体を得る膨出工程と、
膨出した中空金属管体の第1中空室及び第2中空室から液状物を排出する排出工程とを順に実施することを特徴とするものである。
【0020】
上記した請求項に係る方法によれば、第1圧入操作により第1中空室が形成され、第2圧入操作により第1中空室とは別の第2中空室が形成される。
○請求項に係る中空金属管体の製造方法によれば、請求項2において、膨出工程において、キャビティを区画する互いに対面する成形型面を備えた成形型を用い、成形型のキャビティ内に積層構造体を配置し、液状物の圧力により膨出した板体を成形型の成形型面に張付けて成形することを特徴とするものである。
【0021】
上記した請求項に係る方法によれば、液状物の圧力により膨出した板体を成形型の成形型面に張付けて成形するため、板体の成形は成形型面で規定され、高精度となる。
○請求項に係る中空金属管体の製造方法によれば、請求項2または請求項のいずれかにおいて、積層工程において、積層構造体を構成する板体は平板状または予備成形された板体であることを特徴とするものである。
○請求項に係る中空金属管体の製造方法によれば、請求項2〜請求項のいずれかにおいて、膨出工程において、液状物が通過する通路を備えた差込体を用い、積層構造体のうち厚み方向に隣設する板体の間に差込体を差込み、差込体の通路から液状物を板体間に送給することを特徴とするものである。
【0022】
請求項に係る方法によれば、積層構造体のうち厚み方向に隣設する板体の間が狭い場合であっても、差込体を利用すれば、板体間の隙間を増大でき、その板体の間に液状物を送給するのに有利である。
【0023】
【発明の実施の形態】
本発明に係る中空金属管体によれば、横断面において外管を構成する外側の板体の端同士をつなぐ仮想線に沿う該外室の室内距離をD0 とし、仮想線に直交する向きの外室の室内距離をD1 としたとき、D0 /D1 =0.7〜1.3に規定されている。
【0024】
本発明に係る中空金属管体によれば、中空金属管体を構成する板体のうち板厚減少率の最も大きな部位の板厚減少率をAmax 〔%〕とし、板厚減少率の最も小さな部位の板厚減少率をAmin 〔%〕としたとき、Amax 〔%〕−Amin 〔%〕=23%以下に規定されている。
【0025】
この様に本発明に係る中空金属管体によれば、板体における板厚減少率の最大値と最小値との差が小さいので、中空金属管体における均厚化を図り得、中空金属管体に強度のばらつきが軽減され、外力が負荷される際等における耐久性が向上する。
【0026】
本発明方法に係る積層工程によれば、少なくとも枚の金属製の板体を接触状態または非接触状態で積層すると共に、横断面における板体の両端部を接合した積層構造体を得る。なお板体の材質としてはステンレス鋼板、炭素鋼板、アルミ系板等を採用できる。ステンレス鋼板としてはフェライト系、オーステナイト系でも良い。
【0027】
本発明方法に係る膨出工程によれば、積層構造体を構成する板体のうち、厚み方向に隣設する板体の間に液状物を圧入し、液状物の液圧により板体を曲げて厚み方向に膨出させ、中空室を備えた中空金属管体を得る。液状物としては水、作動油等の非圧縮性流体を採用するのが一般的である。
【0028】
【実施例】
(実施例1)
以下、図1〜図6を参照して本発明の実施例1を各工程に分けて説明する。
【0029】
(1)積層工程
まず本実施例に係る積層工程では、図1から理解できる様に比較的薄肉状で平板状をなす合計4枚のステンレス鋼製の板体1(第1板体1a、第2板体1b、第3板体1c、第4板体1d)を用い、各板体1をその厚み方向に重ねて接触状態で積層する。
【0030】
更に図1から理解できる様に横断面における各板体1の幅方向つまり矢印X1方向における一端部10同士を溶接で接合して、接合部としての溶接部20を形成すると共に、各板体1の幅方向つまり矢印X1方向における他端部11同士を溶接で接合して、接合部としての溶接部21を形成する。なお溶接手段としてはTIG溶接、MIG溶接を採用できる。
【0031】
本実施例によれば、積層方向における外側に位置する第1板体1a及び第4板体1dの肉厚は、積層方向における内側に位置する第2板体1b及び第3板体1cの肉厚よりも厚くされている。具体的には、第1板体1a及び第4板体1dの肉厚は1.2〜1.7mm程度、特に1.5mm程度であり、第2板体1b及び第3板体1cの肉厚は0.3〜0.6mm程度、特に0.6mm程度である。但し板厚はこれに限定されるものではない。
【0032】
更に図2から理解できる様に各板体1の長さ方向の一端部も溶接で接合して、溶接部22を形成する。これにより溶接部20、21、22を備えた積層構造体3が得られる。図1において積層構造体3の幅方向の寸法はL1で示される。
【0033】
(2)膨出工程
次に膨出工程を行う。膨出工程に係る第1圧入操作として、図2から理解できる様に、液状物が通過する通路40を備えた金属製の差込体4を用いる。そして、積層構造体3を構成する板体1の長さ方向つまり矢印Y1方向における一端部である差込端部3iのうち、厚み方向に隣設する第2板体1bと第3板体1cとの間に差込体4の先端部42を圧入操作等により差込む。
【0034】
差込体4の先端部42には、圧入容易性等を考慮して傾斜面43が形成されている。傾斜面43は、先端に向かうにつれて外径が小さくなる傾斜を備えている。
【0035】
図3から理解できる様に、差込体4につながる送給源5を作動させて、送給源5から差込体4の通路40に液状物Lを送給し、その液状物Lを第2板体1bと第3板体1cとの間に圧入する。これにより図3から理解できる様に第1板体1a及び第2板体1bが積層したままの状態で、その厚み方向につまり矢印A1方向に曲げられて膨出され、以て第1成形型71の第1成形面71nに張付られ、1次成形される。
【0036】
同様に図3から理解できる様に第3板体1c及び第4板体1dが積層したままの状態で、その厚み方向につまり矢印A2方向に曲げられて膨出され、第1成形型71の第1成形面71mに張付られ、1次成形される。
【0037】
この結果、図4から理解できる様に内室として機能する第1中空室61が形成される。横断面において第1中空室61は『略めがね形状』あるいは『横8の字形状』をなしている。第1圧入操作した後における積層構造体3に係る幅寸法は図4においてL2で示される。L2は前記したL1よりも小さくなっている(L2<L1)。第1成形型71の第1成形面71nの深さはH1で示されている。なお第1圧入操作における液圧P1は68〜90MPa程度とすることができる。液状物Lとしては水を採用する。
【0038】
また図4から理解できる様に第1成形型71は、溶接部20、21を抑える溶接押さえ部71xを備えている。溶接押さえ部71xの押さえ機能により、第1圧入操作の際における溶接部20、21の破損を抑えるのに有利である。
【0039】
次に膨出工程に係る第2圧入操作を行う。この操作では、差込体4を積層構造体3の差込端部3iから一旦離脱させる。離脱させた状態で、図5から理解できる様に板体1に注入孔1kをドリル等の加工具で形成する。
【0040】
再び、板体1の間に差込体4の先端部42を差込む。図5から理解できる様に第2圧入操作では、積層構造体3は第2成形型72のキャビティ内に配置されている。この状態で、再び送給源5が作動して、送給源5から差込体4の通路40に液状物Lを圧入する。すると、液状物Lが注入孔1kを通り、第1板体1aと第2板体1bとの間の空間に液状物Lが送給されると共に、第3板体1cと第4板体1dとの間の空間に液状物Lが送給され、これにより第2圧入操作が行われる。
【0041】
この第2圧入操作により、図6から理解できる様に第1板体1aがその厚み方向につまり矢印A1a方向に曲げられて膨出され、以て第2成形型72の第2成形面72nに張付られる。同様に、第4板体1dがその厚み方向につまり矢印A2a方向に曲げられて膨出され、以て第2成形型72の第2成形面72mに張付られる。この様な第2圧入操作により第2中空室62が第1中空室61の外側に形成される。
【0042】
よって図6から理解できる様に、『略めがね形状』あるいは『横8の字形状』の断面形状を備えた第1中空室61をもつ内管68及び第2中空室62をもつ外管69の双方を備えた中空金属管体6が得られる。
【0043】
図6において第2成形型72の第2成形面72nの深さはH2で示されており、H2は前記した第1成形型71に係るH1よりも深く設定されている(H2>H1)。図6において第2圧入操作した後における積層構造体3に係る幅寸法はL3で示される。L3は前記したL2よりも小さくなっている(L3<L2)。
【0044】
上記の様に液状物Lを圧入する第1圧入操作及び第2圧入操作によれば、板体1に負荷される成形圧は全体として均一化し易く、しかも成形圧は低速で負荷されるため、過剰な引張力の局部的集中を軽減、回避できる。従って中空金属管体6を構成する板体1における板厚の減少率のばらつきを軽減、回避できる。
【0045】
また本実施例によれば、上記の様な第2圧入操作の際には、第2板体1bと第3板体1cとの間の第1中空室61には液状物Lが収容されており、第1中空室61に液圧が残留している。そのため残留液圧により、第1中空室61を区画する第2板体1b及び第3板体1cの曲げ形状は維持される。
【0046】
また図6から理解できる様に第2成形型72は、溶接部20、21を抑える溶接押さえ部72xを備えている。溶接押さえ部72xの押さえ機能により、第2圧入操作の際における溶接部20、21の破損を抑えるのに有利である。
【0047】
なお上記した第2圧入操作における液圧P2は、第1圧入操作の液圧P1と同程度である。場合によっては第1圧入操作における液圧P1と第2圧入操作における液圧P2とを異なる大きさとしても良い。
【0048】
(3)排出工程
次に排出工程を行う。排出工程では、中空金属管体6を第2成形型72から離脱させると共に、膨出した中空金属管体6の第1中空室61及び第2中空室62から液状物Lを排出する。なお排出にあたり、重力を利用した自然落下やポンプによる吸引等を利用できる。
【0049】
(4)効果
上記した工程により、『略めがね形状』あるいは『横8の字形状』の第1中空室61をもつ内管68と、その外側を覆う第2中空室62をもつ外管69との双方を備えた中空金属管体6が得られる。
【0050】
本実施例では第1圧入操作及び第2圧入操作として液状物Lを圧入して液圧により板体1を成形する方法である。そのため成形圧が瞬時に負荷されるプレス成形の場合と比較して、成形圧の均一化に有利であり、しかも成形圧が低速で負荷される。そのため成形の際に板体1における引張力の局部的集中を軽減、回避するのに有利である。従って板厚減少率のばらつきを低減できる。
【0051】
即ち本実施例によれば、中空金属管体6の板体1のうち板厚減少率の最も大きな部位の板厚減少率をAmax 〔%〕とし、板厚減少率の最も小さな部位の板厚減少率をAmin 〔%〕としたとき、Amax 〔%〕−Amin 〔%〕=23%以下とされている。具体的にはマイクロメータで測定したところ、Amax 〔%〕−Amin〔%〕=20%以下であった。
【0052】
上記した中空金属管体6は、車両の内燃機関に装備される排気系部品に適用できる。この場合には、内燃機関から排出された高温の排気ガスが第1中空室61に流れる。
【0053】
ところで内燃機関の排気系には排気ガスを浄化するための触媒が装着されている。触媒では、一般的には排気ガスの温度が低下すると浄化率が低減すると言われている。そのため高温の排気ガスを温度低下させることなく触媒に搬送できることが好ましい。この点本実施例によれば、前述の様に高温の排気ガスが第1中空室61に流れ、且つ、外側の第2中空室62は空気断熱層として機能できるため、第1中空室61を流れる排気ガスの温度低下を抑えるのに有利であり、従って触媒の浄化率を確保するのに有利である。
【0054】
殊に排気ガスが流れる第1中空室61を区画する第2板体1b、第3板体1cは薄肉であるため、熱容量が小さい。そのため排気ガスが第2板体1b、第3板体1cに触れても、高温の排気ガスからの逃熱を抑えることができ、排気ガスの温度低下を抑え得る。
【0055】
なおこの中空金属管体6は上記した排気マニホールド等の用途の他に、水等の液体、ガス等の液体を流すため等の管体にも利用できるものである。
【0056】
(5)他の形態
上記した積層工程では、図1から理解できる様に平板状をなす合計4枚の板体1(第1板体1a、第2板体1b、第3板体1c、第4板体1d)を用い、各板体1を重ねて接触状態で積層しているが、これに限らず板体1は平板状に限らず、予備成形された曲げ部を備えたものでも良い。更に各板体1間に、隙間形成手段としてのスペーサを介在させ、各板体1を互いに非接触状態で積層することにしても良い。
【0057】
(実施例2)
図7に示す実施例2に係る方法は実施例1と基本的に同様の構成である。実施例2で製造した中空金属管体6は、第1中空室61及び第2中空室62を区画するために第1板体1aと第2板体1bと第3板体1cと第4板体1dとを備え、更に第2板体1bと第3板体1cとの間に中間板体1eが配置されている。従って第1中空室61は中間板体1eで仕切られている。
【0058】
(実施例3)
図8に示す実施例3に係る方法は実施例1と基本的に同様の構成である。実施例3で製造した中空金属管体6を図8に示す。
【0059】
図8から理解できる様に中空金属管体6は、『めがね形状』ではなく『円筒形状』とされた内管68と、内管68の外側に配置されている外管69とで構成されている。
【0060】
内管68は、液圧で曲げ変形された互いに対面する第2板体1b及び第3板体1cとで構成された内室としての円筒形状の第1中空室61を区画している。外管69は、外側に配置され液圧で曲げ変形された外室としての第2中空室62を区画している。
【0061】
本実施例においても、上記した液圧を加える第1圧入操作及び第2圧入操作を行うため、板体1に負荷される成形圧は均一化し易く、しかも衝撃的に成形されるプレス成形型に比較して成形圧は低速で負荷されるため、過剰な引張力の局部的集中を軽減、回避できる。従って中空金属管体6を構成する板体1の板厚の減少率のばらつきを軽減、回避できる。
【0062】
即ち本実施例によれば、図8から理解できる様に横断面において外管69を構成する第1板体1a及び第4板体1dの端同士をつなぐ仮想線に沿う第2中空室62の室内距離をD0 とする。更に、その仮想線に直交する向きの第2中空室62の室内距離をD1 とする。本実施例では(D0 /D1 )の比率=0.7〜1.3に規定されており、曲げ加工度は大きい。
【0063】
本実施例によれば、内管68を構成する板体1b、1cのうち板厚減少率の最も大きな部位の板厚減少率をAmax 〔%〕とする。更に、板厚減少率の最も小さな部位の板厚減少率をAmin 〔%〕とする。本実施例では、Amax 〔%〕−Amin 〔%〕=23%以下に規定されている。
【0064】
(実施例4)
図9に示す実施例4は実施例1と基本的に同様の構成である。実施例4で製造した中空金属管体6を図9に示す。
【0065】
図9から理解できる様に中空金属管体6は合計6枚の板体1a〜1fを備えており、第1内管67と第2内管68と外管69とで構成されている。第1内管67は、内管としての第1中空室61rを区画している。第2内管68は、内管としての第1中空室61sを区画している。外管69は、外管としての第2中空室62を区画している。
【0066】
(実施例5)
図10〜図11に示す実施例5は実施例1と基本的に同様の構成である。この積層構造体3も、複数枚の板体1をその厚み方向に積層した構成とされている。図10から理解できる様に、各板体1は、三股状をなす脚部1sと、脚部1sの一端部が合流した集合部1tとを備えた形状をなしている。
【0067】
積層工程では各板体1のうち差込端部3iを除く全周囲を溶接して、接合部としての溶接部25を形成し、積層構造体3を得る。即ち、差込体4を差し込む差込端部3iには溶接部25は形成されていない。従って積層構造体3の差込端部3iに差込体4を差し込み、前述同様に、液圧を加える第1圧入操作及び第2圧入操作を行う。
【0068】
図11(A)(B)は膨出工程における第2圧入操作を行っている形態を示す。即ち、図11(A)に示す様に第2成形型72のうち、脚部1s成形用の第2型面72s、72t間に積層構造体3の脚部1sを配置する。同様に、図11(B)に示す様に第2成形型72のうち、集合部1t成形用の第2型面72n、72m間に積層構造体3の集合部1tを配置する。
【0069】
上記の様な第1圧入操作及び第2圧入操作により、三股状の第1中空室61及びこれが合流した第2中空室62をもつ中空金属管体6が成形される。
【0070】
最終的には図10から理解できる様に切断装置等で三股状の脚部1sの先端部を切断線E1に沿って切断し、これにより軸長方向つまり矢印Y2方向に貫通する中空金属管体6を形成する。
【0071】
この中空金属管体6は、車両の内燃機関に装備される排気系の排気マニホールドに適用できる。この場合には、内燃機関から排出された高温の排気ガスは第1中空室61に流れる。排気ガスは、排気マニホールドの分野では周知の様に、複数個の脚部1sを通過し、集合部1tで集合する。
【0072】
前述した様に内燃機関の排気系には排気ガスを浄化するための触媒が装着されている。触媒では、一般的には排気ガスの温度が低下すると浄化率が低減すると言われている。この点本実施例によれば、前述の様に高温の排気ガスが第1中空室61に流れ、且つ、外室としての第2中空室62は空気断熱層を構成するため、第1中空室61を流れる排気ガスの温度低下を抑えるのに有利であり、従って触媒の浄化率を確保するのに有利である。
【0073】
なおこの例に係る脚部1sは三股状とされているが、三股状に限らず、四股状、五股状、6股状でも良いものである。
【0074】
【発明の効果】
請求項1に係る中空金属管体によれば、内室に係るD0 /D1 =0.7〜1.3の様に曲げ加工度を大きな値に規定した場合であっても、板体における板厚減少率のばらつきを軽減しているので、中空金属管体を構成する板体の均一肉厚化に有利であり、中空金属管体の強度及び耐久性の向上を図り得る。
【0075】
請求項2〜請求項に係る中空金属管体の製造方法によれば、液状物の液圧を利用することにより、成形圧の均一化を図り得、しかも成形圧を低速で負荷でき、従って中空金属管体を構成する板体における過剰な板厚減少を軽減し、板体における板厚減少率のばらつきを軽減でき、中空金属管体の強度及び耐久性の向上を図り得る。
【0076】
請求項に係る中空金属管体の製造方法によれば、液状物の液圧を利用した第1圧入操作及び第2圧入操作により、第1中空室及び第2中空室を備えた中空金属管体を得る。
【0077】
請求項に係る中空金属管体の製造方法によれば、成形型面を備えた成形型を用い、液状物の圧力により膨出した板体を成形型の成形型面に張付けて成形することにより、中空金属管体の形状や寸法精度を規制し、中空金属管体の精度を向上し得る。
【0078】
請求項に係る中空金属管体の製造方法によれば、積層構造体のうち厚み方向に隣設する板体の間に差込体を差込むことにより、差込体の通路から液状物を送給して中空室の形成を容易にできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】積層構造体の断面図である。
【図2】積層構造体に差込体を差し込んだ状態の構成図である。
【図3】積層構造体に差込体を差し込んだ状態で、第1圧入操作を行い第1中空室を成形している状態の要部の構成図である。
【図4】第1成形型を用いて積層構造体に第1中空室を成形している状態の構成図である。
【図5】積層構造体に差込体を差し込んだ状態で、第2圧入操作を行い第1中空室とは別の第2中空室を成形している状態の要部の構成図である。
【図6】第2成形型を用いて積層構造体に第1中空室とは別の第2中空室を成形している状態の構成図である。
【図7】実施例2に係る中空金属管体の断面図である。
【図8】実施例3に係る中空金属管体の要部の斜視図である。
【図9】実施例4に係る中空金属管体の要部の斜視図である。
【図10】実施例5に係る溶接部を備えた三股状の脚部を備えた積層構造体の要部の平面図である。
【図11】図10に示す積層構造体を用いて第1中空室とは別の第2中空室を成形している状態の断面図である。
【図12】従来技術に係る構成図である。
【符号の説明】
図中、1は板体、20、21は溶接部(接合部)、3は積層構造体、4は差込体、40は通路、6は中空金属管体、61は第1中空室(内室)、62は第2中空室(外室)、68は内管、69は外管を示す。

Claims (5)

  1. 液圧で曲げ変形された互いに対面する少なくとも2枚の内側の板体で構成された内室を区画する内管と、
    該内側の板体よりも外側に配置され液圧で曲げ変形された外側の板体で構成され該内室よりも外側に配置された外室を区画する外管と、
    該外管を構成する外側の板体と該内管を構成する内側の板体とを横断面の両端部で接合した接合部とで構成され、
    横断面において該外管を構成する板体の端同士をつなぐ仮想線に沿う該外室の室内距離をD0 とし、該仮想線に直交する向きの該外室の室内距離をD1 としたとき、D0 /D1 =0.7〜1.3に規定され、該板体のうち板厚減少率の最も大きな部位の板厚減少率をAmax 〔%〕とし、板厚減少率の最も小さな部位の板厚減少率をAmin 〔%〕としたとき、Amax 〔%〕−Amin 〔%〕=23%以下に規定されていることを特徴とする中空金属管体。
  2. 少なくとも4枚の金属製の板体を接触状態または非接触状態で積層すると共に、横断面における該板体の両端部を接合した積層構造体を得る積層工程と、
    該積層構造体を構成する板体のうち、厚み方向に隣設する板体の間に液状物を圧入し、液状物の圧力により少なくとも2枚の該板体が積層したままその厚み方向に曲げて膨出成形し、第1中空室を形成する第1圧入操作と、
    該第1中空室に液状物を残した状態で、厚み方向に隣設する板体の間に更に液状物を圧入し、液状物の液圧により該板体を曲げてその厚み方向に膨出成形し、第2中空室を形成する第2圧入操作とを行い、該第1中空室及び該第2中空室を備えた中空金属管体を得る膨出工程と、
    膨出した該中空金属管体の該第1中空室及び該第2中空室から該液状物を排出する排出工程とを順に実施することを特徴とする中空金属管体の製造方法。
  3. 膨出工程において、キャビティを区画する互いに対面する成形型面を備えた成形型を用い、成形型のキャビティ内に積層構造体を配置し、液状物の圧力により膨出した板体を該成形型の成形型面に張付けて成形することを特徴とする請求項2に記載の中空金属管体の製造方法。
  4. 積層工程において、積層構造体を構成する板体は平板状または予備成形された板体であることを特徴とする請求項2または請求項のいずれかに記載の中空金属管体の製造方法。
  5. 膨出工程において、液状物が通過する通路を備えた差込体を用い、積層構造体のうち厚み方向に隣設する板体の間に差込体を差込み、該差込体の通路から液状物を該板体間に送給することを特徴とする請求項2〜請求項のいずれかに記載の中空金属管体の製造方法。
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