JP3649260B2 - ダイナミックダンパの製造方法 - Google Patents
ダイナミックダンパの製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP3649260B2 JP3649260B2 JP19692196A JP19692196A JP3649260B2 JP 3649260 B2 JP3649260 B2 JP 3649260B2 JP 19692196 A JP19692196 A JP 19692196A JP 19692196 A JP19692196 A JP 19692196A JP 3649260 B2 JP3649260 B2 JP 3649260B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- annular mass
- hub
- mass body
- outer peripheral
- peripheral edge
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Images
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば自動車のプロペラシャフト等、駆動系の回転軸に取り付けられて、この軸に生じる主に捩り方向の振動を共振により吸収するダイナミックダンパの製造技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車のプロペラシャフトに回転に伴って主に捩り方向(回転方向)に生じる振動を吸収するダイナミックダンパ(ティルガ)は、従来、基本的には前記プロペラシャフトに取り付けられるハブと、このハブの外周側に近接配置された環状質量体とを、円周方向複数箇所でエラストマからなる弾性連結体を介して弾性的に連結した構造を有し、前記環状質量体と弾性連結体からなるダンパ本体部が、ハブを介して入力されるプロペラシャフトの捩り振動の振動変位の位相と逆の位相で共振することによって、動的吸振効果を発揮するものである。この種のダイナミックダンパは、前記共振によってハブと環状質量体の相対的振動変位量が大きくなると、その間に介在されたエラストマからなる弾性連結体が過大変形によって破損される恐れがあり、また、ハブと環状質量体に僅かでも偏心を生じると、軸回転数の上昇に伴ってハブに対する環状質量体の径方向の振れが大きくなるため、このような不具合を防止する目的で、ハブの外周面と環状質量体の内周面に円周方向交互に突出部を設け、この突出部によって捩り方向あるいは半径方向に対するハブと環状質量体の相対変位を制限するようにしている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来技術によると、次のような問題が指摘される。
(1)ハブと環状質量体の径方向相対変位量を小さくしてストッパとしての機能を向上させるには、ハブの外周面又は環状質量体の内周面に形成した突出部とその対向面との間のクリアランスを極力小さくする必要があるが、この場合は、ハブと環状質量体の間に弾性連結体を一体的に加硫成形(加硫接着)するに際して、ハブの外周面及び環状質量体の内周面に廻り込ませた成形材料の一部によって前記クリアランス部分を埋めるようなバリが形成され、このバリによってダンパの固有振動数が著しく上昇してしまうため、前記クリアランスをそれほど小さくすることができない。
(2)環状質量体の内周面の突出部は切削加工又は冷間鍛造等により形成する必要があるため、製作に相当の工数を要する。
【0004】
本発明は、上記のような事情のもとになされたもので、その技術的課題とするところは、ハブの外周面あるいは環状質量体の内周面に設けた突出部とその対向面との間のクリアランスを極力小さくして、ハブと環状質量体の相対変位を制限するストッパ機能を向上させることにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
【0006】
【0007】
上述した技術的課題を有効に解決するための第一の手段として、本発明に係るダイナミックダンパの製造方法は、軸方向に屈曲形成された外周縁部及びこの外周縁部に周方向所定間隔で形成された複数の外径方向突出部を有するハブの外周側に環状質量体を同心的に配置し、前記外周縁部のうち前記各外径方向突出部の間の部分と前記環状質量体との対向面間にエラストマからなる弾性連結体を一体的に加硫成形し、この加硫成形後、前記各外径方向突出部を塑性加工することによって前記環状質量体の内周面に近接させるものである。この方法によれば、エラストマからなる弾性連結体の加硫成形後に、前記各径方向突出部と前記環状質量体の内周面とのクリアランスを縮小するため、予め前記クリアランスを所望の値まで小さく設定しておく必要はなく、このため前記加硫成形工程に際して、前記クリアランスを埋めるようなバリが形成されるようなことがない。
【0008】
また、第二の手段として、本発明に係るダイナミックダンパの製造方法は、軸方向に屈曲形成された外周縁部及びこの外周縁部に周方向所定間隔で形成された複数の外径方向突出部を有するハブの前記各外径方向突出部の軸方向一部を塑性加工することによって、その外周に同心的に配置される環状質量体の内周面に近接するコンボリューション部を形成し、前記外周縁部のうち前記各外径方向突出部の間の部分と前記環状質量体の内周面の間にエラストマからなる弾性連結体を一体的に加硫成形し、前記各外径方向突出部のコンボリューション部と前記環状質量体の内周面との間に形成されたエラストマからなる薄膜状のバリを、前記ハブと環状質量体とを強制的に相対変位させることによって破断するものである。この方法によれば、ハブの外径方向突出部と環状質量体との間のクリアランスは、前記コンボリューション部においてのみ縮小されているため、弾性連結体の加硫成形工程においては、前記クリアランスには前記コンボリューション部に沿ってバリが薄膜状に形成される。したがってこのバリは、前記ハブと環状質量体とを強制的に相対変位させることによって、容易に破断することができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明に係るダイナミックダンパの製造方法の第一の実施形態を説明するためのダイナミックダンパの正面図、図2は図1におけるC−C’線上で切断した断面図で、これらの図における参照符号1は内周孔11において自動車のプロペラシャフト(図示省略)の軸周に装着されるハブ、2はこのハブ1の外周側に配置された環状質量体、3はハブ1と環状質量体2を弾性的に連結するエラストマからなる弾性連結体である。金属板をプレス成形したハブ1には、その外周に沿って、軸方向に屈曲形成された外周縁部12が形成されており、この外周縁部12は、正面形状が正方形の各頂点部分をアール状に湾曲させた形状を呈するものであって、このアール状の各頂点部分をそれぞれ外径方向突出部12aとしている。
【0010】
【0011】
【0012】
【0013】
【0014】
【0015】
【0016】
この実施形態においては、エラストマからなる弾性連結体3をハブ1の外周縁部12における各外径方向突出部12aの間の平坦部分12bと環状質量体2の内周面との間に一体的に加硫成形した後、前記各外径方向突出部12aを内周側から部分的に加圧して図中一点鎖線で示すような形状に塑性変形させ、環状質量体2の内周面に近接させることによって所要の径方向クリアランスδを設定したものである。
【0017】
なお、この実施形態においては、各外径方向突出部12aと共にハブ1の外周縁部12全周を図2に一点鎖線で示すような外径側への膨出形状に塑性変形(キャリブリーレン)させる。すなわち、このようにすれば、エラストマからなる弾性連結体3にその加硫成形過程の体積収縮により生じた引っ張り応力を除去することができる。
【0018】
図3は、本発明に係るダイナミックダンパの製造方法の第二の実施形態を説明するためのダイナミックダンパの半断面図である。この実施形態においては、図1と同様の形状のハブ1の外周縁部12における各外径方向突出部12aに、予めその軸方向中央部が外径側へ膨出した形状のコンボリューション部12cを形成する。次に、ハブ1の外周側に環状質量体2を同心的に配置し、前記ハブ1の外周縁部12における平坦部分12bの中央部と、これに対向する環状質量体2の内周面の間に、エラストマからなる弾性連結体3を一体的に加硫成形する。この加硫成形工程においては、金型内の成形用材料の一部をハブ1の外周縁部12の外周面全面及び環状質量体2の内周面全面に廻りませることによってエラストマ膜31,32が形成されるが、ハブ1の各外径方向突出部12aと環状質量体2との対向面間においては、エラストマ膜31,32がコンボリューション部12cに沿って繋がった薄膜状のバリ33が形成される。
【0019】
すなわち、ハブ1の各外径方向突出部12aをその全体が環状質量体2の内周面と近接対向する形状に形成した場合は、従来技術において説明したように、この外径方向突出部12aと環状質量体2の対向面間のクリアランスを埋めるようなバリが形成され、このバリによってダンパの固有振動数が著しく上昇してしまうことになるが、本実施形態によれば、前記クリアランスはコンボリューション部12cにおいてのみ狭まっているため、バリ33はこのコンボリューション部12cに沿って薄膜状に形成される。したがって、前記バリ33は、この弾性連結体3を介して互いに連結されたハブ1と環状質量体2を軸方向もしくは捩り方向へ強制的に相対変位させることによって、容易に破断することができる。
【0020】
なお、本発明は、図示の実施形態によって限定的に解釈されるものではない。例えば、第一及び第二の実施形態では弾性連結体3の一端が環状質量体2の内周面に加硫成形されるが、これを環状質量体2の内周面に圧入嵌着されるスリーブに加硫成形しても良い。
【0021】
【発明の効果】
本発明によると、次のような効果が実現される。
(1)ハブの外径方向突出部と環状質量体との間のクリアランスを小さくして、ハブと環状質量体の相対変位に対するストッパ機能を向上させることができる。
(2)弾性連結体の加硫成形に際して、ハブの外径方向突出部と環状質量体との間に形成されるバリを、前記外径方向突出部のコンボリューションによって薄膜状とすることができるので、このバリを容易に破断することができ、バリによる捩り方向固有振動数の上昇を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係るダイナミックダンパの製造方法の第一の実施形態を説明するためのダイナミックダンパの正面図である。
【図2】 図1におけるC−C’線上で切断した断面図である。
【図3】 本発明に係るダイナミックダンパの製造方法の第二の実施形態を説明するためのダイナミックダンパの半断面図である。
【符号の説明】
1 ハブ
12 外周縁部
12a 外径方向突出部
12b 平坦部分
2 環状質量体
3 弾性連結体
31,32 エラストマ膜
33 バリ
Claims (2)
- 軸方向に屈曲形成された外周縁部(12)及びこの外周縁部(12)に周方向所定間隔で形成された複数の外径方向突出部(12a)を有するハブ(1)の外周側に環状質量体(2)を同心的に配置し、
前記外周縁部(12)のうち前記各外径方向突出部(12a)の間の部分(12b)と前記環状質量体(2)との対向面間にエラストマからなる弾性連結体(3)を一体的に加硫成形し、
この加硫成形後、前記各外径方向突出部(12a)を塑性加工することによって前記環状質量体(2)の内周面に近接させることを特徴とするダイナミックダンパの製造方法。 - 軸方向に屈曲形成された外周縁部(12)及びこの外周縁部(12)に周方向所定間隔で形成された複数の外径方向突出部(12a)を有するハブ(1)の前記各外径方向突出部(12a)の軸方向一部を塑性加工することによって、その外周に同心的に配置される環状質量体(2)の内周面に近接するコンボリューション部(12c)を形成し、
前記外周縁部(12)のうち前記各外径方向突出部(12a)の間の部分と前記環状質量体(2)の内周面の間にエラストマからなる弾性連結体(3)を一体的に加硫成形し、
前記各外径方向突出部(12a)のコンボリューション部(12c)と前記環状質量体(2)の内周面との間に形成されたエラストマからなる薄膜状のバリ(33)を、前記ハブ(1)と環状質量体(2)とを強制的に相対変位させることによって破断することを特徴とするダイナミックダンパの製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP19692196A JP3649260B2 (ja) | 1996-07-09 | 1996-07-09 | ダイナミックダンパの製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP19692196A JP3649260B2 (ja) | 1996-07-09 | 1996-07-09 | ダイナミックダンパの製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH1026183A JPH1026183A (ja) | 1998-01-27 |
JP3649260B2 true JP3649260B2 (ja) | 2005-05-18 |
Family
ID=16365891
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP19692196A Expired - Fee Related JP3649260B2 (ja) | 1996-07-09 | 1996-07-09 | ダイナミックダンパの製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3649260B2 (ja) |
Families Citing this family (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2015086907A (ja) * | 2013-10-29 | 2015-05-07 | Nok株式会社 | ダイナミックダンパ |
CN104329409A (zh) * | 2014-09-29 | 2015-02-04 | 上汽通用五菱汽车股份有限公司 | 一种汽车传动系统用扭转减振器 |
JP6652408B2 (ja) * | 2016-03-04 | 2020-02-19 | 株式会社Ijtt | トーショナルダンバー |
JP7103206B2 (ja) * | 2018-12-21 | 2022-07-20 | トヨタ自動車株式会社 | 車両用ダイナミックダンパ |
JP7152326B2 (ja) * | 2019-01-23 | 2022-10-12 | Nok株式会社 | 動吸振器 |
-
1996
- 1996-07-09 JP JP19692196A patent/JP3649260B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH1026183A (ja) | 1998-01-27 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
US5887859A (en) | Suspension bushing | |
JP6867138B2 (ja) | 防振ブッシュ | |
JP3541793B2 (ja) | 筒型ダイナミックダンパ | |
JPH07198027A (ja) | ダンパプーリの製造方法 | |
JPH0781583B2 (ja) | 軸受及びその製造方法 | |
JP2017219143A (ja) | ギアダンパ及びその製造方法 | |
JP3649260B2 (ja) | ダイナミックダンパの製造方法 | |
JP2004144288A (ja) | ダイナミックダンパ | |
JP2004156674A (ja) | 中空回転軸用ダイナミックダンパ | |
JP4171095B2 (ja) | ゴムブッシュの外筒の絞り方法 | |
JP5003882B2 (ja) | トーショナルダンパ | |
KR101285815B1 (ko) | 아이솔레이션 댐퍼풀리의 제조방법 | |
JP4029338B2 (ja) | ダイナミックダンパ | |
JPH0337450A (ja) | ダイナミックダンパ | |
JP2007002916A (ja) | ダンパ付きプーリおよびその製造方法 | |
JP4511438B2 (ja) | 防振装置及びその製造方法 | |
JPH0411090B2 (ja) | ||
JP3534131B2 (ja) | ダンパの製造方法 | |
JP2002054622A (ja) | プロペラシャフトの中空管部およびその製造方法 | |
JPH036381B2 (ja) | ||
JPH0231623Y2 (ja) | ||
JP3700237B2 (ja) | 筒型マウントおよびその製造方法 | |
JPH0544597Y2 (ja) | ||
JPH08177980A (ja) | トーショナルダンパー及びその製造方法 | |
JPH11230269A (ja) | ダンパおよびその製造方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20040720 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20040804 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20040930 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20050126 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20050208 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080225 Year of fee payment: 3 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090225 Year of fee payment: 4 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090225 Year of fee payment: 4 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100225 Year of fee payment: 5 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100225 Year of fee payment: 5 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110225 Year of fee payment: 6 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120225 Year of fee payment: 7 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130225 Year of fee payment: 8 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140225 Year of fee payment: 9 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |