JP3649128B2 - Idタグ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、リーダライタから磁気的な作用により電力用磁気信号が供給されることによりリーダライタとの間で通信を行うIDタグに関する。
【0002】
【従来の技術】
図9は、磁気的な作用を利用したIDタグシステムにおけるリーダライタのコイル1とIDタグ2との送受信原理を示している。
リーダライタは、離れた位置に存在する金属製のコンテナ3の外面に付されるIDタグ2の制御回路4の記憶部4a中のデータを読みこみコンテナ3の中身(図示せず)を把握したり、逆にIDタグ2の制御回路4の記憶部4aにデータを書きこみコンテナ3の中身を管理するものである。金属に貼付する用途に使用されるIDタグ2は、そのコンテナ3の外部に貼付されて、IDタグ2の外部からリーダライタのコイル1によりデータが送受信されることにより、リーダライタで管理を行う物品管理システムがある。
【0003】
このとき、IDタグ2内部に設置されるアンテナコイル5は、制御回路4に対して最大限の電力用磁気信号を供給するように整合される必要がある。すなわち制御回路4は、アンテナコイル5から供給される電力が低下すると、その性能が変化して正常に動作させられなくなることがあるため、アンテナコイル5から制御回路4に供給する電力を増大させることがIDタグ2を動作させる上で、不可欠な技術的要素となっている。
【0004】
一方、アンテナコイル5をコンテナ3等の金属製の被装着体に直接貼付すると、金属にリーダライタから発せられる磁力線が吸収されるため、IDタグ2のアンテナコイル5に十分な起電力を生じなくなることがあり、確実に通信することができなくなることもある。そこで、図9に示すように、アンテナコイル5の内部に強磁性体製の磁気コア6を挿入してアンテナコイル5を貫く磁束を向上させる。これにより、アンテナコイル5から制御回路4に供給する電力を増大させることができる。さらに、強磁性体製のフランジ部6aを磁気コア6の外周部に設けて、その上部に制御回路4を搭載することにより、磁束は、図9中の矢印に示すように強磁性体製の磁気コア6の上面部6bからフランジ部6aに向けて主体として導かれ、リーダライタとIDタグ2との通信を行うことができる。尚、図9に示す横断側面図における磁気コア6は、リーダライタ側から見ると、円筒状をなしている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来構成におけるIDタグ2は、薄型化,小型化を図る上で次のような技術的課題があった。
IDタグ2を貼り付ける相手方となるコンテナ3は、内容物を移動させるべく運ばれて用いることを前提としており、その移動の際には様々なものに衝突や接触する可能性があることから、そのような場合でも、IDタグ2が破損したり、故障することのないように薄型化,小型化を図る必要がある。
【0006】
磁気コア6の円柱状のコア部6cは、電力用磁気信号を効率的に通過させるために設けるものであるため、その径を小さくすることで全体の小型化を図ろうとすると電力を十分に制御回路4に供給できなくなる懸念がある。そこで、径方向に小型化を図るために、フランジ部6aの外径を制御回路4のプリント配線基板の外径より短くすることを考えると、これに伴って制御回路4の配設場所が問題となる。すなわち、磁気コア6の上面部6bに制御回路4を配置する場合には、磁束の流れの中に設置することになり、リーダライタのコイル1からアンテナコイル5に鎖交する磁束が、制御回路4上に搭載されるICのパッケージや制御回路基板に阻まれることになり、リーダライタのコイル1は、電力用磁気信号を制御回路4に対して効率良く供給することができなくなる問題がある。
【0007】
また、制御回路4を設置する場所が磁気コア6の上面部6bに必要となり、最終的に製品となるIDタグ2の厚さが増すことから好ましくない。
【0008】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、その目的は、金属に貼り付けて使用できるようにアンテナコイルの内部に強磁性体製の磁気コアを挿入して電力用磁気信号を効率的に通過させる構成のもとで、リーダライタからIDタグの制御回路に供給する電力用磁気信号を維持しながら、小型化を実現したIDタグを提供するにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明によれば、次のように作用する。すなわち、コア部の他端部(上面部)側のリーダライタから供給される磁束が、強磁性体製のコア部からアンテナコイルに鎖交して、強磁性体製のフランジ部を介してコア部の他端側に向けて放射されリーダライタに導かれる。従って、IDタグを金属に貼付しても、その金属に導かれる磁束は少なく、強磁性体製のフランジ部を介してリーダライタに導かれる磁束は多い。スリットは、コア部やフランジ部の断面積に比較して非常に狭い領域に形成され、磁気コア及びフランジ部に鎖交する磁束の経路を妨げないようになり、また、制御回路は、コア部の一端部(すなわち、コンテナ装着側)の凹部に収容されるため、コア部の他端部側のリーダライタから供給される磁束の経路を妨げることはないため、リーダライタからIDタグの制御回路に供給する電力用磁気信号を維持しながら、IDタグを薄型化、小型化を図ることができる。
【0010】
さらに、コア部の一端部の凹部に収容された制御回路は、上記したスリットを介してアンテナコイルと接続することができるので、アンテナコイルと制御回路との接続に要する配線を短くできると共に、あらかじめ制御回路とアンテナコイルとを接続した状態のままで磁気コアに取りつけることができ、組立容易性,生産性を向上させることができる。
【0011】
請求項2の発明によれば、次のように作用する。すなわち、リーダライタからIDタグに供給される磁束の大部分が、コア部を介してアンテナコイルに鎖交し、コア部の高さよりも低く形成されているフランジ部の溝部を形成する部分を介して再びリーダライタに導かれる。これにより、IDタグは、IDタグに供給された磁束を有効利用することができる。すなわち、フランジ部の外径が小さくなり、IDタグの外径が小さくなったとしても、IDタグは、アンテナコイルを鎖交する磁束を効率良くリーダライタに導くことができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
(第1の実施の形態)
以下、本発明の第1の実施の形態を図1ないし図7を参照して説明する。
図2は、金属製のコンテナ3に貼付されたコイン型形状のIDタグ11とリーダライタ12との送受信時の位置関係を概略的に示している。IDタグ11は、リーダライタ12から発生される電力用磁気信号を正面から受信することにより、リーダライタ12との通信を行うように構成されている。
【0013】
図1は、IDタグ11の構成の縦断側面図である。
IDタグ11は、上面が開口された扁平な円筒状をなすプラスチック容器製のケース13と、この上面開口部を閉塞する蓋14と、ケース13内に収容される強磁性体製の磁気コア15と、この磁気コアの中央部に立設された円柱状のコア部15aに巻回されるアンテナコイル16と、コア部15aの下面側に形成された凹部15b内に収容される通信用の制御回路17等から構成されている。
【0014】
上記構成において、ケース13の外径寸法は、例えば直径が20〜30mm程度で厚さ寸法が3〜5mm程度である。ケース13内部に収容する磁気コア15は、中央に位置する直径10mm程度のコア部15aと、この一端部の外周部に形成されたフランジ部15cとを強磁性体により一体に形成したものである。コア部15aの一端部すなわち下面側には上述の制御回路17を収容するための凹部15bが形成されている。またフランジ部15cの外周部には全周にわたってコア部15aの上面部15eに向けて立設部が一体に形成されており、これにより磁路を形成している。尚、フランジ部15cとコア部15aとにおいて溝部15dが形成されており、このフランジ部15cの立設部の高さ寸法は、アンテナコイル16を収容した状態でそれよりも高い寸法で且つコア部15aの高さ寸法よりも低くなるように設定されている。そして、フランジ部15cには、コア部15aの中心から外周方向に向けて放射状にスリット18が形成されており、またコア部15aにはスリット18に対応する位置に高さ方向に溝が形成されている。
【0015】
アンテナコイル16は、例えば線径が0.1〜0.15mmφの銅線を100回程度巻回してなるもので、リーダライタ12との間で通信を行う際に必要な共振周波数となるようにインダクタンスが調整されている。なお、アンテナコイル16の共振周波数は、磁気コア15に実装した状態ではインダクタンスが変化するので、その変化したときのインダクタンスが、予定している共振周波数となるようにあらかじめ設定されている。
【0016】
制御回路17は、図3にも示すようにプリント基板に実装した制御用IC19,平滑用コンデンサ20及び共振用コンデンサ21から構成されるもので、アンテナコイル16との間を電気的に接続した状態で設けられている。尚、アンテナコイル16と制御回路17とを電気的に接続する際の配線は、磁気コア15のスリット18の部分を介してなされている。これは、後述するように組み立て上での作業性の向上を図ることができる構成となっている。磁気コア15は、アンテナコイル16及び制御回路17を実装した状態でケース13内に収容されており、その状態で空間部分に図示しない樹脂が充填されて蓋14が装着されて構成されている。
【0017】
図4は、IDタグの電気的構成を示すものである。制御回路17に装着される制御用IC19は、電力用磁気信号から動作用電力を直流電力として得る整流部22と、通信制御動作を制御するMPU(Micro Processing Unit)23と、送受信する信号を変調及び復調する変復調部24と、メモリ部25とをワンチップ化した半導体素子であり、共振用コンデンサ21の両端子がアンテナコイル16と端子17a,17aにおいて並列に接続された状態として構成されている。
【0018】
このとき、上記構成において、アンテナコイル16及び制御回路17は以下のようにして磁気コア15に装着される。図5に示すように、アンテナコイル16の巻回された部分が磁気コア15のコア部15aに嵌められ、制御回路17は、スリット18を介してアンテナコイル16と接続された状態で、磁気コア15の一端部に形成された凹部15bに設置される。
【0019】
図6及び図7は、制御回路17が磁気コア15の下面部に装着された状態を示している。
アンテナコイル16は、上述したように、共振用コンデンサ21と並列に接続されて共振回路26を構成しており、制御用IC19に接続されている。制御用IC19の整流部22は、共振回路26から送信されてきた電力用磁気信号を整流、平滑化し且つ一定電圧の直流電力(動作用電力)にしてMPU23などに供給するようになっている。メモリ部25にはあらかじめ所定のタグ情報が書きこまれていたり、タグ情報が適宜書きこまれるようになっている。このタグ情報は、コンテナ3内部の物品等の内容が記憶されている。尚、リーダライタ12は、IDタグ11からタグ情報を入手することによりコンテナ3内部の物品を管理するようになっている。
【0020】
次に上記構成の作用について説明する。
リーダライタのコイル12aから所定の周波数の電力用磁気信号が磁気的な作用で送信されてくると、起電力を発生して整流部22に送信する。コイル12aから送信されてくるデータなどの信号は、電力用磁気信号の電波信号に重畳して送信され、その信号は、変復調部24により復調されてMPU23に与えられる。MPU23は、メモリ部25が有する図示しないROMに記憶された動作プログラムに従って動作して,変復調部24から入力される信号に応じた処理を実行し、受信したデータをメモリ部25が有する図示しないEEPROMなどの消去可能な不揮発性メモリに書き込んだり、メモリ部25からデータを読み出して変復調部24により変調し、アンテナコイル16から電力用磁気信号として送信する。
【0021】
このとき、リーダライタのコイル12aから所定の周波数の電力用磁気信号が磁気的な作用で送信される際に、一般的に磁束は、透磁率の高い部位に磁束が導かれる。横断面積が広い部分が多く形成されたコア部15aは磁気抵抗が小さい。このため、強磁性体製のコア部15aの他端部たる上面部15e側から供給される磁束は、プラスチック製の蓋14を通過して、コア部15aをコンテナ3に対して略垂直に導かれる。すなわち、磁束は、コア部15aに巻回されたアンテナコイル16を鎖交する。また、この磁束は、強磁性体製のフランジ部15cを介してコア部15aの他端側に向けて放射され充填材,蓋14を介して、リーダライタのコイル12aに再び導かれる。
【0022】
同様に、強磁性体製のコア部15aの上面部15e側から供給される磁束は、フランジ部15c及びコア部15aを介してリーダライタのコイル12aに導かれることにもなる。しかしながら、コア部15aは、磁気コア15のフランジ部15cより高く形成されるため、コア部15aを介してフランジ部15cへ鎖交する磁束の量は、その逆の経路で生じる磁束の量に比較して多くなる。
【0023】
このとき、スリット18がコア部15aの一部及びフランジ部15cに形成されているが、発明者らの実験によれば、スリット18は、磁束が導かれる方向を横切らないように形成されている場合、スリット18が形成されていてもいなくとも、アンテナコイル16に誘起される起電力にほとんど変化は無いことが確認されている。すなわち、スリット18は、コア部15aやフランジ部15cの横断面積に比較して非常に狭い領域にあると共に、磁束が導かれる方向を横切らないように形成されているため、アンテナコイル16に生じる起電力にほとんど変化を生じない。また、制御回路17は、コア部15aの一端部の凹部15bに収容されるため、IDタグ11全体は薄く形成されることになる。このとき、コア部15aの上面部15e側のリーダライタのコイル12aから供給される磁束の経路を妨げることはない。
【0024】
このような第1の実施の形態によれば、制御回路17は、コア部15aの一端部の凹部15bに収容されるため、コア部15aの上面部15e側のリーダライタのコイル12aから供給される磁束の経路を妨げることはなく、リーダライタからIDタグ11の制御回路17に供給する電力用磁気信号を維持しながら、薄くしながら小型化を実現することができる。
【0025】
また、制御回路17は、コア部15aやフランジ部15cの横断面積に比較して非常に狭い領域に形成されるスリット18を介してアンテナコイル16と接続されるため、アンテナコイル16と制御回路17との接続に要する配線を短くできると共に、あらかじめ制御回路17とアンテナコイル16とを接続した状態のままで磁気コア15に取りつけることができ、組立容易性,生産性を向上させることができる。
【0026】
さらに、リーダライタのコイル12aから供給される磁束が、コア部15aを介してアンテナコイル16に鎖交し、フランジ部15cを介して再びコイル12aに導かれることになる。これにより、フランジ部15cが小さくなり、IDタグ11の外径が小さくなったとしても、IDタグ11は、アンテナコイル16を鎖交する磁束を効率良くリーダライタのコイル12aに導くことができる。
【0027】
また、IDタグ11をコンテナ3等の金属製の被装着体に装着しても、リーダライタのコイル12aから供給される磁束は、強磁性体製の磁気コア15に効率良く通過する。これにより、IDタグ11の共振周波数を強磁性体を含めた系で所定の最適周波数となるように設定することで、IDタグ11のアンテナコイル16と制御回路17との整合をとり、IDタグ11に対する電力用磁気信号の供給を効率良く行うことができ、また、リーダライタ及びIDタグ11間の通信が良好に行われる。
【0028】
(第2の実施の形態)
図8は、第2の実施の形態を示すIDタグ31の縦断側面図である。
尚、第1の実施の形態と同様の部分に付いては、その説明を省略する。
【0029】
コア部15aに設けられたスリット32は、高さ方向に設けているが、図8に示すように、フランジ部15cのスリット32に沿ってコア部15aとフランジ部15cとの接続部分にアンテナコイル16が通る程度の第2凹部33が設けられていても良い。これにより、IDタグ31の組立時にケース13とコア部15aの第2凹部33とによって形成される孔を通してアンテナコイル16が制御回路17と接続され、上述した効果を損なうことなく、コア部15aの磁気抵抗を更に下げることができ、リーダライタのコイル12aに効率良く磁束を導くことができる。また、第2凹部33が狭く作られているので、アンテナコイル16の位置を固定することができ、組立容易性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態を示すIDタグの縦断面側面図
【図2】IDタグとリーダライタとの位置関係を使用状態で示す外観斜視図
【図3】制御回路及びアンテナコイルの実体的構成図
【図4】電気的構成図
【図5】制御回路及びアンテナコイルを磁気コアに装着する方法を示す縦断面側面図
【図6】制御回路及びアンテナコイルを磁気コアに装着した状態で示す外観斜視図
【図7】制御回路及びアンテナコイルを磁気コアに装着した状態で示す上面図
【図8】本発明の第2の実施の形態を示すIDタグの図1相当図
【図9】従来例を示す図1相当図
【符号の説明】
3はコンテナ、11,31はIDタグ、15は磁気コア、15aはコア部、15cはフランジ部、15dは溝部、16はアンテナコイル、17は制御回路、18,32はスリット、27は共振回路である。
Claims (3)
- 一端部に凹部を設けたコア部とこのコア部の一端部の外周に形成されたフランジ部とこのフランジ部に前記コア部の他端側に向けて開放するように設けられた溝部とを備えた強磁性体製の磁気コアと、
前記磁気コアの溝部内に装着するアンテナコイルと、
前記コア部の凹部内に収容する制御回路とを備え、
前記磁気コアは、前記フランジ部に前記コア部の中心から外周方向に向けてスリットが形成され、このスリットを介して前記アンテナコイルと前記制御回路とが電気的に接続されていることを特徴とするIDタグ。 - 前記磁気コアのフランジ部は、前記溝部を形成する部分の高さが前記コア部の高さよりも低く形成されていることを特徴とする請求項1記載のIDタグ。
- 前記アンテナコイルは、前記磁気コアに装着した状態でその共振周波数が所定の最適周波数となるように設定されていることを特徴とする請求項1または2記載のIDタグ。
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