JP3648858B2 - 主軸同期制御方法及びその装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は主軸同期制御方法及びその装置に係わり、更に詳しくは、自動旋盤等のメイン主軸とガイドブッシュ主軸の同期制御を行う主軸同期制御方法及びその装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
自動旋盤等のメイン主軸とガイドブッシュ主軸の同期制御を行う従来例としては、例えば特開昭62−199304号公報に記載されているように、メイン主軸を駆動する主軸モータとガイドブッシュを駆動する主軸モータとを同期モータとし、速度フィードバック制御を用いて両者を正確に同期させるものがある。しかしながら、このような方式では丸材ワークを切削している場合において、ガイドブッシュを駆動する主軸モータに負荷がかかり、負荷角が増えるなどして電流が増加し、結果的にガイドブッシュを加熱してしまうという問題点が生じていた。
【0003】
この点を更に他の例を用いて説明する。図33は自動旋盤のメイン主軸を駆動する主軸モータ(以下、メイン主軸モータという。)と、ロータリガイドブッシュを駆動する主軸モータ(以下、ガイドブッシュ主軸モータという。)の同期制御を行う数値制御装置の要部を示すブロック図である。図34は工作機械の一種である自動旋盤の構成図である。図35は図34で示したメイン主軸とロータリガイドブッシュの詳細な構成図である。図36はメイン主軸モータの回転・停止等を制御する要部の加工プログラムである。
【0004】
図において、1は数値制御装置、2は加工プログラム、3は加工プログラム解析処理部、4は補間処理部、5はラダー回路、6は機械制御信号処理部、7はメモリ、8はパラメータ設定部、9は画面表示部、10aはメイン主軸の軸制御部(以下、メイン軸制御部という。)、10bはロータリガイドブッシュ主軸の軸制御部(以下、ガイドブッシュ軸制御部という。)、11はデータ入出力回路、12aはメイン主軸の主軸アンプ(以下、メイン主軸アンプという。)、12bはロータリガイドブッシュ主軸の主軸アンプ(以下、ガイドブッシュ主軸アンプという。)、13aはメイン主軸の主軸モータ(以下、メイン主軸モータという。)、13bはロータリガイドブッシュ主軸の主軸モータ(以下、ガイドブッシュ主軸モータという。)である。
【0005】
又、1000は自動旋盤の機械の筐体、1001は後述のワークを切削するための工具、1002は工具1001を保持するホルダ、1003はバー材といわれる1本の長い丸い金属材料からなるワーク、1004はメイン主軸、1005はロータリガイドブッシュ、1006はガイドブッシュ主軸モータ13bの軸端に設けられたプーリ、1007はタイミングベルトである。
【0006】
次に、メイン主軸モータ13aとガイドブッシュ主軸モータ13bの主軸同期制御の動作について説明する。1本の長いワーク1003はメイン主軸1004のチャック(図示せず)とロ−タリガイドブッシュ1005で支持されている。そして、該ワーク1003はメイン主軸1004に対する回転指令で回転し、さらに右から左へ移動させられて、上下する工具1002によって旋削加工される。このとき、ロ−タリガイドブッシュ1005はメイン主軸1004に同期して回転するようにされている。ここで図34に示すように、自動旋盤の座標系は、通常左右方向にZ軸を上下方向にX軸を取っている。ホルダ1002はX軸方向のみ移動する構成となっている。
【0007】
本例では、図35に示すように、メイン主軸1004はメイン主軸モータ13a自身が主軸台を構成する形になっている。そして、ロ−タリガイドブッシュ1005はタイミングベルト1007を介してプーリ1008と連結され、ガイドブッシュ主軸モータ13bにより駆動される。
【0008】
図36に示す主軸モータを駆動する部分の加工プログラムは、指令M3がメイン主軸モータ13aの回転起動指令を、指令S1はメイン主軸モータ13aの回転速度指令(この場合は、1000rpmで回転する)を、そして指令M5はメイン主軸モータ13aの回転停止指令をそれぞれ表している。
【0009】
まず、メイン主軸モータ13aとガイドブッシュ主軸モータ13bは常に同期して回転することを予めパラメータ等で設定しておく。テープリーダ等から読み込まれた加工プログラム2はメモリ7に格納される。加工プログラム2を実行する際には、加工プログラム解析処理部3がメモリ7から1ブロックずつ加工プログラム2を読み出し、読み出された加工プログラム2は加工プログラム解析処理部3で処理される。
【0010】
図36の加工プログラム例で説明すると、まずメイン主軸モータ13aの回転起動指令M3と回転速度指令S1を加工プログラム解析処理部3がメモリ7から読み出す。次に読み出されたこれらの指令は、加工プログラム解析処理部3で切削油のオン・オフ等の機械制御信号の制御を記述するラダー回路5に通知すべき指令と判断されて、機械制御信号処理部6に解析結果を通知される。機械制御信号処理部6は通知された解析結果を機械制御信号に変換してラダー回路5に出力する。ラダー回路5はメイン主軸モータ13aが回転可能な状態かまたは回転起動指令M3が適正かどうか判定した後、回転可能な状態であれば回転起動信号を機械制御信号処理部6に出力し、回転速度指令S1が適正であれば、指令された回転速度信号を機械制御信号処理部6に出力する。
【0011】
機械制御信号処理部6に入力された回転起動信号と回転速度信号は補間処理部4に渡される。補間処理部4では回転速度信号からメイン主軸モータ13aの回転位置指令に換算する。また、メイン主軸モータ13aとガイドブッシュ主軸モータ13bは常に同期制御されることを予めパラメータ等で設定されているため、ガイドブッシュ主軸モータ13bに対してもメイン主軸モータ13aの回転速度信号からガイドブッシュ主軸モータ13bの回転位置指令を計算する。メイン主軸モータ13aとロ−タリガイドブッシュ主軸モータ13bの回転位置指令は、メイン軸制御部10aとガイドブッシュ軸制御部10bにそれぞれ出力される。
【0012】
これらの回転位置指令は、メイン軸制御部10aとガイドブッシュ軸制御部10bにおいて、あらかじめ指定された加減速パターンに従って加減速を考慮した単位時間あたりのサーボ位置指令に計算しなおされて、データ入出力回路11に出力される。これらのサーボ位置指令はデータ入出力回路11を介してメイン主軸アンプ12aとガイドブッシュ主軸アンプ12bそれぞれ送信される。
【0013】
メイン主軸アンプ12aとガイドブッシュ主軸アンプ12bは、受信したサーボ位置指令に従って、メイン主軸モータ13aとガイドブッシュ主軸モータ13bをそれぞれ位置制御しながら回転させる。ここで、メイン主軸用主軸モータ13aに対応するメイン軸制御部10aとガイドブッシュ主軸モータ13bに対応するガイドブッシュ軸制御部10bの加減速パターンが同じになるように調整されているため、メイン主軸1004にチャッキングされたワーク1003とロ−タリガイドブッシュ1005は回転速度が変化している場合でも同期して回転することができることになる。
【0014】
次に、メイン主軸の回転停止を意味する加工プログラム指令M5が実行されると、加工プログラム解析処理部3が解析結果を機械制御信号処理部6を通してラダー回路5に出力する。ラダー回路5では回転停止指令M5を受けて回転開始信号をオフする。機械制御信号処理部6が、回転開始信号がオフになったことを検出して補間処理部4に回転停止指令を通知する。補間処理部4ではメイン軸制御部10aとロ−タリガイドブッシュ軸制御部10bに回転速度指令0を指令する。
【0015】
この指令はこれらのメイン軸制御部10a,ガイドブッシュ軸制御部10bであらかじめ指定された加減速パターンに従って加減速を考慮したサーボ位置指令に計算しなおして、データ入出力回路11に出力される。そして、このサーボ位置指令はデータ入出力回路11を介してメイン主軸アンプ12aとガイドブッシュ主軸アンプ12bに送信される。これらのメイン主軸アンプ12a,ガイドブッシュ主軸アンプ12bは受信した指令に従ってメイン主軸モータ13aとガイドブッシュ主軸モータ13bを同期させながら減速停止させることになる。
【0016】
そこで、ガイドブッシュ主軸モータ13bの電流値が同期制御期間中にどのように変化するかを見てみると、図37の如くなる。即ち、ガイドブッシュ主軸モータ13bが一定の速度で回転している場合において、ワーク1003を切削する前においては、ロ−タリガイドブッシュ1005を回転させるために必要な電流として電流値I1がガイドブッシュ主軸モータ13bに流れている。
【0017】
時刻t1において切削が開始すると、ガイドブッシュ主軸モータ13bの電流は電流値I1から徐々に増加し電流値I2で一定になる。この電流値I2は切削が終了する時刻t2まで続く。そして切削終了後は再び電流値は減少し、ロ−タリガイドブッシュ1005を回転させるために必要な電流値I1に戻ることになる。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】
従来の主軸同期制御方法及びその装置では、ワーク1003が丸材ワークの場合には、ロ−タリガイドブッシュを駆動するガイドブッシュ主軸モータ13bに流れる電流が切削開始から切削終了するまでの間大きくなるため、ガイドブッシュ主軸モータ13bが発熱し、発生した熱がタイミングベルト1007または雰囲気を介してロ−タリガイドブッシュ1005に伝わり、ロ−タリガイドブッシュ1005が加熱され、ワーク1003の加工精度が悪化するなどの問題点があった。
【0020】
更に、メイン主軸モータ13aとガイドブッシュ主軸モータ13bは常に同期して回転しているため、各々の主軸モータを独立に最適に速度制御する場合に比べて加速時間や減速時間が余分にかかるという問題点があった。
【0021】
本発明は、上記のような問題点を解決するためになされたもので、メイン主軸を駆動するメイン主軸モータとロ−タリガイドブッシュを駆動するガイドブッシュ主軸モータの主軸同期制御方法及びその装置において、ワークが丸材と等価な形状の場合、ワーク切削時にロータリガイドブッシュを駆動する主軸モータに大きな電流が流れて発熱することがない主軸同期制御方法及びその装置を得ることを目的としている。
【0023】
更に、ワークが丸材と等価の場合、主軸モータの加速時間や減速時間を短縮できる主軸同期制御方法及びその装置を得ることを目的としている。
【0024】
【課題を解決するための手段】
本発明に係わる主軸同期制御方法においては、丸材ワークを保持するメイン主軸を駆動するメイン主軸モータと前記ワークをガイドするロータリガイドブッシュを駆動するガイドブッシュ主軸モータとの位置及び速度を同期制御する主軸同期制御方法において、前記ワークの外径(D1)と前記ロータリガイドブッシュの内径(D2)との間に生じるすきま量(D2−D1)に対応する前記ガイドブッシュ主軸モータの回転位置指令の補正量を算出し、この補正量を前記ガイドブッシュ主軸モータの回転位置指令に対し加算または減算したものを、前記ガイドブッシュ主軸モータの回転位置指令とするものである。
【0025】
又、パラメータ入力されたすきま量に基づいて、前記補正量を算出するものである。
【0026】
又、前記ガイドブッシュ主軸モータの電流が、前記ワークの切削開始により変化する時点から一定値になるまでの電流変化状態に基づいて、前記補正量を算出するものである。
【0027】
又、前記ガイドブッシュ主軸モータの回転位置指令の補正量として所定の補正量を与え、この補正量による前記ガイドブッシュ主軸モータの電流の応答状態に基づいて、前記補正量を算出するものである。
【0028】
又、前記メイン主軸と前記ロータリガイドブッシュの相対位置誤差が前記ワークの切削開始により変化する時点から一定値になるまでの相対位置誤差変化状態に基づいて、前記補正量を算出するものである。
【0029】
又、前記ワークの切削中に、前記ガイドブッシュ主軸モータの回転位置指令を前記メイン主軸モータの回転位置指令に対して所定の補正量だけ変化させ、この補正量に基づいて生成された前記ガイドブッシュ主軸モータの回転位置指令により駆動される前記ガイドブッシュ主軸モータの電流値が所定の値になったとき、前記変化させた所定の補正量を合計し、この合計したものを、前記補正量としたものである。
【0030】
又、前記メイン主軸モータと前記ガイドブッシュ主軸モータの速度が変化しているときは前記メイン主軸モータと前記ガイドブッシュ主軸モータの同期を解除し、前記メイン主軸モータと前記ガイドブッシュ主軸モータの速度が一定となりかつ一致したときに、前記メイン主軸モータと前記ガイドブッシュ主軸モータの同期制御を行うものである。
【0031】
又、主軸同期制御装置においては、丸材ワークを保持するメイン主軸を駆動するメイン主軸モータと前記ワークをガイドするロータリガイドブッシュを駆動するガイドブッシュ主軸モータとの位置及び速度を同期制御する主軸同期制御装置において、前記ワークの外径(D1)と前記ロータリガイドブッシュの内径(D2)との間に生じるすきま量(D2−D1)に対応する前記ガイドブッシュ主軸モータの回転位置指令の補正量を算出する同期補正量計算手段と、この同期補正量計算手段からの補正量を前記ガイドブッシュ主軸モータの回転位置指令に対し加算または減算したものを、前記ガイドブッシュ主軸モータの回転位置指令として生成する補間処理手段と、を備えたものである。
【0032】
又、パラメータ入力されたすきま量に基づいて、前記補正量を算出するものである。
【0033】
又、前記ガイドブッシュ主軸モータの電流が、前記ワークの切削開始により変化する時点から一定値になるまでの電流変化状態に基づいて、前記補正量を算出するものである。
【0034】
又、前記ガイドブッシュ主軸モータの回転位置指令の補正量として所定の補正量を与え、この補正量による前記ガイドブッシュ主軸モータの電流の応答状態に基づいて、前記補正量を算出するものである。
【0035】
又、前記メイン主軸と前記ロータリガイドブッシュの相対位置誤差が前記ワークの切削開始により変化する時点から一定値になるまでの相対位置誤差変化状態に基づいて、前記補正量を算出するものである。
【0036】
又、前記ワークの切削中に、前記ガイドブッシュ主軸モータの回転位置指令を前記メイン主軸モータの回転位置指令に対して所定の補正量だけ変化させ、この補正量に基づいて生成された前記ガイドブッシュ主軸モータの回転位置指令により駆動される前記ガイドブッシュ主軸モータの電流値が所定の値になったとき、前記変化させた所定の補正量を合計し、この合計したものを、前記補正量としたものである。
【0037】
又、前記メイン主軸モータと前記ガイドブッシュ主軸モータの速度が変化しているときは前記メイン主軸モータと前記ガイドブッシュ主軸モータの同期を解除する同期解除手段と、この同期解除手段により同期が解除された状態で駆動される前記メイン主軸モータの速度と前記ガイドブッシュ主軸モータの速度が一定となりかつ一致したときに前記メイン主軸モータと前記ガイドブッシュ主軸モータとを同期させる速度制御・位置制御切り替え手段と、を備えたものである。
【0038】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
図1〜図8に基づいて第1の実施の形態を説明する。図1はこの実施の形態による主軸同期制御装置を有する数値制御装置1aの要部を示すブロック図、図2は数値制御装置1aのパラメータ設定画面、図3は異形材信号を機械制御信号処理部6に出力するラダー回路図、図4はロ−タリガイドブッシュに丸材ワークが挿入された場合の両者の位置関係を示す断面図、図5はガイドブッシュ主軸モータ13bに流れる電流の時間的変化を示すタイムチャート、図6は加工前の作業者の手順を示すフローチャート、図7は切削開始前のガイドブッシュ主軸アンプ12bの電流値を読み出し記憶する手順を示すフローチャート、図8は丸材ワークの切削中にガイドブッシュ主軸モータ13bの回転位置指令に対して補正をかける手順を示したフローチャートである。
【0039】
図において従来例と同一符号は同一又は相当部分を示し、4aは補間処理部、20は従来の補間処理部4と同じ機能を有する補間処理手段、21は同期補正量計算手段、22は切削判定手段、6aは機械制御信号処理部、23は従来の機械制御信号処理部6と同じ機能を有する機械制御信号処理手段、24は異形材信号検出手段である。
【0040】
図2に示すパラメータ設定画面において、表示タイトルは「準備パラメータ」であり、データの設定は画面左下の「#( )データ( )」の部分で行う。画面の底部にはその画面の表示タイトルを選択するためのメニュー「基本1、基本2、準備パラ、原点復帰、サーボ」が用意されている。この画面では、2つのパラメータが表示されており、1つのパラメータの「ワーク外形寸法」のパラメータ値は「20」、他のパラメータの「ガイドブッシュ隙間量」のパラメータ値は「20」である。
【0041】
又図3に示すラダー回路において、接点信号Mxxがオフのときは異形材信号を表わす出力信号Y303は機械制御信号処理部6aに出力されず、接点信号Mxxがオンのときに出力信号Y303が機械制御信号処理部6aに出力されるものである。
【0042】
又図4に示すロ−タリガイドブッシュと丸材ワークの位置関係を示す断面図において、ロ−タリガイドブッシュの内径をD2、丸材ワークの外径をD1とすると、通常、ロ−タリガイドブッシュ1005と丸材ワーク1003との間には(D2−D1)のすきまが存在する。ここで、メイン主軸1004が丸材ワーク1003をチャックして矢印Aの方向に回転する場合、ロ−タリガイドブッシュ1005はメイン主軸1004にチャッキングされた丸材ワーク1003と同期して回転する。
【0043】
また、このときロ−タリガイドブッシュ1005の内径部と丸材ワーク1003の外形部とが接触して回転しているため、ロ−タリガイドブッシュ1005の内径部と丸材ワーク1003外径部との接触点Cは、ロ−タリガイドブッシュ1005と丸材ワーク1003の回転とともに移動していくことになる。ここで、ロ−タリガイドブッシュ1005の内径部と丸材ワーク1003の外径部と間にすべりがないと仮定した場合には、丸材ワーク1003が丁度一回転すると、ロ−タリガイドブッシュ1005の内径と丸材ワーク1003の外径に差すなわちすきまがあるため、ロ−タリガイドブッシュ1005と丸材ワーク1003との接触点は、π(D2−D1)だけ遅れたポイントDとなる。
【0044】
ここで、π(D2−D1)はポイントCとポイントDとの距離に相当する。しかしながら、実際はロ−タリガイドブッシュ1005と丸材ワーク1003との間にはすべりが発生するため、丸材ワーク1003が丁度一回転したときにロ−タリガイドブッシュ1005はポイントDではなくポイントCにいることになる。したがって、ロ−タリガイドブッシュ1005を回転させるのに必要な電流値は極めて小さくて良い状態でガイドブッシュ主軸モータ13bは回転することになる。
【0045】
しかしながら、旋削等によって丸材ワーク1003が切削負荷を矢印Eの方向から受けた場合、接触点Cの摩擦抵抗が大きくなり、ロ−タリガイドブッシュ1005と丸材ワーク1003がすべりにくくなる。このとき、丸材ワーク1003が丁度一回転すると、ロ−タリガイドブッシュ1005はポイントDにいることになる。ところが、ロ−タリガイドブッシュ1005に対する回転指令位置はポイントCであるため、ロ−タリガイドブッシュ主軸モータ13bは切削負荷による摩擦抵抗に打ち勝ってポイントCに位置決めしようとしてトルクを発生する。
【0046】
このように、メイン主軸モータ13aが一回転する度に、接触点Dは矢印Bの方向に移動し、指令位置Cとの差がどんどん大きくなっていくことになる。即ち、ロ−タリガイドブッシュ主軸モータ13bが大きなトルクを発生しなければならないようになる。ロ−タリガイドブッシュ主軸モータ13bがある程度トルクを発生すると、切削負荷による摩擦抵抗に打ち勝つので、ロ−タリガイドブッシュ1005と丸材ワーク1003との間にがすべりが発生し、これによって接触点が矢印Bの方向へ移動することはなくなる。すなわち、指令位置Cとロ−タリガイドブッシュ1005の内径部と丸材ワーク1003外径部との接触点が一定の差を保ちながら回転し続けることになる。
【0047】
したがって、ガイドブッシュ主軸モータ13bは切削負荷による摩擦抵抗に丁度打ち勝つだけのトルクを発生し続けることになる。このため、ガイドブッシュ主軸モータ13bが発生するトルクは切削開始後から切削終了するまで大きい値となってしまう。その結果、ガイドブッシュ主軸モータ13bには大きな電流が流れ、それによりガイドブッシュ主軸モータ13bが発熱していた。そこで、ガイドブッシュ主軸モータ13bに対する回転位置指令を補正し、実際のガイドブッシュ主軸モータ13bが存在する位置と一致させるように制御すれば、ガイドブッシュ主軸モータ13bがトルクを発生するのを防止することができる。
【0048】
即ち、図6に示す加工前の作業者の手順を示すフローチャートにおいて、まずステップS101において、作業者はゲージ等を使用して図4に示したロ−タリガイドブッシュ1005と丸材ワーク1003とのすきま量を測定する。次にステップS102において、ステップS101で測定したすきま量を図2に示した「準備パラメータ」のパラメータ設定画面の「ガイドブッシュ隙間量」の項目に設定する。この例では20[μm]である。又このとき、併せて「ワーク外形寸法」も設定する。この例では20[mm]である。ステップS103においては、作業者が異形材信号をオフまたは無効にする。
【0049】
この異形材信号は機械操作盤のスイッチに設けてもよいし、数値制御装置1aの設定画面で設定するようにしてもよい。この異形材信号を設ける理由は、ガイドブッシュ主軸モータ13bの回転位置指令に対して補正をかけた場合、メイン主軸とロ−タリガイドブッシュとの間に異形材ワークが挿入されていると、この補正により、メイン主軸モータ13aとガイドブッシュ主軸モータ13bとが反発し合うことになり、挿入された異形材ワークがねじれてしまう問題が生じる。従って、ロータリガイドブッシュに異形材ワークが挿入されているか、又は丸材ワークが挿入されているかを予め判断しておく必要があるためである。
【0050】
次に、図7のフローチャートに基づいて、切削開始前のガイドブッシュ主軸アンプ12bの電流値を読み出し記憶する手順について説明する。まずステップS201において、補間処理部4aの切削判定手段22が加工プログラム解析処理部3の解析結果から主軸回転速度が変更されるような指令が出されたかどうかをチェックする。ここで主軸回転速度(又は主軸速度)が変更されていなければ処理を終了する。もし変更されていた場合には、ステップS202において、切削判定手段22がメイン主軸モータ13aとガイドブッシュ主軸モータ13bの回転速度をメイン主軸アンプ12aとガイドブッシュ主軸アンプ12b、データ入出回路11、メイン軸制御部10aとガイドブッシュ軸制御部10bを介してそれぞれ読み出し、指令された回転速度と比較する。
【0051】
ここで、指令した回転速度に到達していない場合は、再びステップS201へ戻り前述の動作を実行する。もし指令した回転速度に到達した場合には、ステップS203において、切削判定手段22がガイドブッシュ主軸モータ13bの電流値を読み出して、メモリ7にこの電流値を書き込む。ここで、ガイドブッシュ主軸モータ13bの電流値は、ステップS202の場合と同様にして、ガイドブッシュ主軸アンプ12b、データ入出回路11、ガイドブッシュ軸制御部10bを介して読み出される。
【0052】
次に、図8のフローチャートを用いて、丸材ワーク1003を切削中に、ロ−タリガイドブッシュ主軸モータ13bの回転位置指令に対して補正をかける手順を説明する。まずステップS301において、切削判定手段22がラダー回路5からの異形材信号がオンかどうかをチェックする。ここで検出方法は、例えば次のようにして行う。図3に示したラダー回路において、ステップS103で作業者は異形材信号をオフする操作を行っているため、接点信号Mxxはオフの状態にあり、異形材信号Y303は機械制御信号処理部6aに出力されない。そして、機械制御信号処理部6aはこの状態を補間処理部4aの切削判定手段22に通知する。
【0053】
そこで、切削判定手段22は機械制御信号処理部6aからの異形材信号がオフ状態であるという通知を受けてステップS302へ進む。もし、異形材信号がオン状態であれば処理を終了する。ステップS302においては、切削判定手段22が加工プログラム解析処理部3の解析結果から切削指令が指令されたかどうかを判定し、切削指令が指令されている場合にはステップS303に進む。又指令されていない場合には処理を終了する。次にステップS303では、前述のステップS203と同様にして、ガイドブッシュ主軸モータ13bの電流値を読み出す。そしてステップS304において、切削判定手段22はステップS303で読み出した電流値が一定になったかどうかを判定する。
【0054】
ここで、ステップS304において、電流値が一定という状態は、図5におけるガイドブッシュ主軸モータの電流値がI1またはI2であることを示している。ステップS305では、切削判定手段22が、ステップS203でメモリ7に記憶したガイドブッシュ主軸モータ13bの設定電流値を読み出して、ステップS303で読み出された一定になった電流値と比較する。ステップS303で読み出された一定になった電流値がステップS203でメモリ7に記憶された設定電流値より大きい場合には、切削判定手段22が切削中と判定して同期補正量計算手段21に通知してステップS306に進む。一方、ステップS303で読み出された一定になった電流値がステップS203でメモリ7に記憶された設定電流値以下の場合には切削中でないと判断して処理を終了する。
【0055】
このことを更に図5のタイムチャートを用いて説明する。今メモリ7に記憶されたガイドブッシュ主軸モータ13bの第1の設定電流値をI1とI2の間に設定した電流値とすると、ステップS303で読み出された一定になった電流値がI1であれば、メモリ7に記憶された第1の設定電流値より小さいので、ここで処理を終了する。又ステップS303で読み出された一定になった電流値がI2であれば、ステップS306に進む。ステップS306では、同期補正量計算手段21が切削判定手段22からの切削中通知を受けて、図2のパラメータ設定画面で設定されたワーク外形寸法とガイドブッシュ隙間量の値から、ガイドブッシュ主軸モータ13bに対する回転位置指令の補正量を計算する。
【0056】
この補正量は、ワーク外径とロータリガイドブッシュ内径の比から計算するものであり、下式で表わされる。
回転位置指令の補正量=(単位時間回転位置指令)×(1−(ワーク外径寸 法)/(ロータリガイドブッシュ内径))
ここで、ロータリガイドブッシュ内径=(ワーク外径)+(すきま量)
である。
【0057】
例えば、具体的な数値例として、回転速度を1400rpm、一回転当りに発生する検出器のパルス数を4096パルス/回転、数値制御装置の補間周期や重み係数等を考慮した係数をk1、ワーク外径寸法を20mm,ロータリガイドブッシュ内径寸法(ワーク外径寸法+すきま量)を20.020mmとすると、
単位時間回転位置指令=4096×1400×k1(パルス)
となり、
Figure 0003648858
となる。
【0058】
次にステップS307では、補間処理手段20が、同期補正量計算手段21が算出した補正量に基づいて、ガイドブッシュ主軸モータ13bへの回転位置指令を次のように算出する。即ち、
回転位置指令=回転位置指令+(単位時間回転位置指令±補正量)
【0059】
ここで、補正量を加算するか減算するかはガイドブッシュ主軸モータ13bの電流値の変化する方向で判定する。図5のタイムチャートに示すように、切削開始後電流値が増加する場合は、ガイドブッシュ主軸モータ13bの位置がメイン主軸モータ13aの位置よりも遅れていると判定して、補正量を単位時間回転位置指令に加算する。また、切削開始後電流値が減少する場合は、補正量を単位時間回転位置指令から減算することになる。
【0060】
次にステップS308では、補間処理手段20から出力されたメイン主軸モータ13aとガイドブッシュ主軸モータ13bとに対する回転位置指令は、それぞれ対応するメイン軸制御部10aとガイドブッシュ軸制御部10b、データ入出力回路11を介してメイン主軸アンプ12aとガイドブッシュ主軸アンプ12bにそれぞれ送信され、メイン主軸モータ13aとガイドブッシュ主軸モータ13bを制御する。補正を開始すると、図5のタイムチャートに示す時刻t2で示す補正開始点から、ガイドブッシュ主軸モータ13bの電流値は補正開始点(時刻t2)を境にして減少に転じることになる。また、時刻t3は切削が終了した時点を示し、時刻t2において補正をしない場合には時刻t3から電流が減少し始める様子を一転鎖線で示している。
【0061】
また、この実施の形態では、切削判定手段22によって、切削判定を行ってから補正をかけていたが、切削判定を行わずに補正をかけてもよいケースがあれば切削判定を行わなくてもよい。
【0062】
以上説明したように、この実施の形態によれば、ガイドブッシュ主軸モータ13bへの回転位置指令を、下式に示すように、
回転位置指令=回転位置指令+(単位時間回転位置指令±補正量)
補正量=(単位時間回転位置指令)×(1−(ワーク外径寸法)/
(ロータリガイドブッシュ内径))
とし、ロータリガイドブッシュ内径とワーク外径との差であるすきま量に基づいて算出された補正量で補正するようにしたので、実際のガイドブッシュ主軸モータ13bが存在する位置とガイドブッシュ主軸モータ13bに対する回転位置指令による位置とが一致することになって、ガイドブッシュ主軸モータ13bが大きなトルクを発生する必要がなくなる。その結果、ガイドブッシュ主軸モータ13bに大きな電流が流れなくなって、ガイドブッシュ主軸モータ13bの発熱が機械の加工精度に影響を及ぼすことがなくなり、機械の加工精度を向上させることができる。
【0063】
実施の形態2.
図9〜図12に基づいて第2の実施の形態を説明する。図9はこの実施の形態による主軸同期制御装置を有する数値制御装置1bの要部を示すブロック図、図10はガイドブッシュ主軸モータ13bに流れる電流の時間的変化を示すタイムチャート、図11はガイドブッシュ主軸モータ13bに流れる電流の電流変化到達時間とすきま量推定値との関係を示すすきま量推定表、図12は切削開始後のガイドブッシュ主軸モータ13b電流変化からすきま量を推定し、これから丸材ワークを切削中にガイドブッシュ主軸モータ13bの回転位置指令を補正する手順を示したフローチャートである。
【0064】
図において、従来例及び実施の形態1と同一符号は同一又は相当部分を示し、4bは補間処理部、21aは同期補正量計算手段、29はすきま量推定手段、30は電流変化到達時間検出手段である。
【0065】
次に、この実施の形態の動作を説明する。図10は、丸材ワーク切削時にガイドブッシュ主軸モータ13bの切削直後の電流がロ−タリガイドブッシュとワークのすきま量の違いによってどのように変化するかを模式的に表したものである。ここで、時刻t1は切削開始点を、電流値I1は切削開始前のガイドブッシュ主軸モータ13bの電流値を、電流値I2は切削中のガイドブッシュ主軸モータ13bの電流値を表している。又、電流値変化Aはロ−タリガイドブッシュとワークのすきま量が小さい場合を表わし、電流値変化Bはすきま量が大きい場合を表わしている。
【0066】
(t2ーt1)及び(t3ーt1)は、切削開始後、ガイドブッシュ主軸モータ13bの電流値が増加して一定になるまでの時間である電流変化到達時間を示しており、すきま量が大きいほど電流変化到達時間は長くなる。即ち、この例では電流値変化Bの電流変化到達時間(t3ーt1)の方が、電流値変化Aの電流変化到達時間(t2ーt1)より大きくなっている。このような、すきま量によって電流変化到達時間が異なる現象は実際に確認されており、再現性のあるものである。
【0067】
図11は電流変化到達時間に対するすきま量推定値をテーブルにしたものであり、このテーブルは、すきま量を変えて切削開始後に電流値が一定になるまでの時間すなわち電流変化到達時間を実際に測定し、この測定結果をまとめたものである。ここで、これらの測定結果からすきま量と電流変化到達時間に相関関係が存在し、すきま量と電流変化到達時間を近似式で表現できる場合には、必ずしも図12に示すようなテーブルを用いる必要はない。
【0068】
次に、図12に示すフローチャートを用いて、すきま量の推定結果から丸材ワークの切削中に、ガイドブッシュ主軸モータ13bの回転位置指令に対して補正をかける手順を説明する。まずステップS401において、機械制御信号処理部6aがラダー回路5からの異形材信号を検出し、切削判定手段22に通知する。この切削判定手段22は機械制御信号処理部6aから通知された異形材信号の状態がオフ状態であれば、切削指令が実行中かどうかを確認するために加工プログラム解析手段3に対して解析結果の要求を行いステップS402に進む。もし、異形材信号がオン状態であれば処理を終了する。
【0069】
ステップS402では、切削判定手段22が加工プログラム解析手段3の解析結果から切削指令が実行中かどうかを判定し、切削指令が実行中と判定した場合にはステップS403に進む。一方、実行中でないと判断した場合には処理を終了する。ステップS403では、切削判定手段22がガイドブッシュ主軸モータ13bの電流値をガイドブッシュ主軸アンプ12b、データ入出回路11、ガイドブッシュ軸制御部10bを介して読み出す。ステップS404では、切削判定手段22がステップS403で読み出した電流値が一定になったかどうかを判定する。
【0070】
一定でない場合にはステップS403へ戻る。電流値が一定になった場合はステップS405に進み、切削判定手段22がステップS203でメモリ7に記憶したガイドブッシュ主軸モータ13bの設定電流値とステップS403で読み出された電流値と比較する。ステップS403で読み出された電流値がステップS203でメモリ7に記憶されたガイドブッシュ主軸モータ13bの設定電流値より大きい場合には、切削判定手段22が切削中と判定して、同期補正量計算手段21とすきま量推定手段29に通知してステップS406に進む。一方、ステップS403で読み出された電流値がステップS203でメモリ7に記憶された設定電流値以下の場合には切削中でないと判断して処理を終了する。
【0071】
ここで、電流変化到達時間検出手段30は一定の時間間隔でロ−タリガイドブッシュ主軸モータ13bの電流値をサンプリングして、ガイドブッシュ主軸モータ13bの電流値変化点を捉える。電流値変化開始点(図10における時刻t1)はサンプリングした電流値から所定の電流値を引いた値を監視し、この差分値が一定値を越えた場合に電流値変化開始点と判定している。又ガイドブッシュ主軸モータ13bの電流値のサンプリングはステップS403におけると同様の手順で読み出される。
【0072】
次に、電流変化到達時間検出手段30はサンプリングされた電流値から電流値が一定になる点(時刻)を判定する。たとえば前回サンプリングした電流値と今回サンプリングした電流値の差がほぼ0になったときを電流値が一定となった点(時刻)と判定する。図10においては、時刻t2と時刻t3が電流値一定ポイントとなる。ここですきま量が大きい程電流値が変化開始してから一定になるまでの時間は長くなっている。即ち、(t3−t1)の方が(t2−t1)より大きくなっている。この要因の一つとしては、すきま量が大きいほどロータリガイドブッシュとワークとの接触点での圧力が小さく滑り易いためと考えられる。
【0073】
すきま量推定手段29が切削判定手段22からの切削中通知と電流変化到達時間検出手段30から切削開始後電流値が変化開始してから一定になるまでの時間を読み取り、図11のすきま量推定表からすきま量を推定する。または、前述の如く、電流変化到達時間とすきま量の近似式が得られれば、この近似式からすきま量を推定することもできる。ステップS407では、同期補正量計算手段21aが切削判定手段22からの切削中通知を受けてステップS406で推定されたすきま量と予めパラメータ等で設定されたワーク外形寸法からガイドブッシュ主軸モータ13bに対する回転位置指令の補正量を計算する。この補正量は、実施の形態1で示した如く、ワーク外径とロータリガイドブッシュ内径の比から計算する。
【0074】
次に、ステップS408では、補間処理手段20が、実施の形態1でのステップS307におけると同様にして、ステップS407で計算された補正量をガイドブッシュ主軸モータ13bに対する指令に加算また減算する。又ステップS409では、補間処理手段20から出力されたメイン主軸モータ13aとガイドブッシュ主軸モータ13bに対する回転位置指令を、メイン軸制御部10aとガイドブッシュ軸制御部10b、及びデータ入出力回路11を介してメイン主軸アンプ12aとガイドブッシュ主軸アンプ12bにそれぞれ送信され、メイン主軸モータ13aとガイドブッシュ主軸モータ13bをそれぞれ制御することになる。
【0075】
以上詳述したように、この実施の形態によれば、電流変化到達時間とすきま量の関係を示すデータに基づいてすきま量を推定して回転位置指令の補正量を算出するので、丸材ワーク外径とロータリガイドブッシュ内径とのすきま量を作業者がわざわざ測定する必要がなく、効率良く回転位置指令の補正量設定ができ、かつ作業者の測定誤差を排除して補正量設定の信頼性も向上することができる。
【0076】
このように自動的に、実際のガイドブッシュ主軸モータ13bが存在する位置とガイドブッシュ主軸モータ13bに対する回転位置指令による位置とが一致するように制御でき、ガイドブッシュ主軸モータ13bが大きなトルクを発生する必要がなくなる。その結果、ガイドブッシュ主軸モータ13bに大きな電流が流れなくなって、ガイドブッシュ主軸モータ13bの発熱が機械の加工精度に影響を及ぼすことがなくなり、機械の加工精度を向上させることができる。
【0077】
実施の形態3.
図13〜図15に基づいて第3の実施の形態を説明する。図13はこの実施の形態による主軸同期制御装置を有する数値制御装置1cの要部を示すブロック図、図14はガイドブッシュ主軸モータ13bに流れる電流の時間的変化を示すタイムチャート、図15は丸材ワークの切削中にガイドブッシュ主軸モータ13bの回転位置指令に対して一定間隔で補正量を更新し、ガイドブッシュ主軸モータ13bの電流値が切削開始前の電流値になるまで補正量を更新し続ける手順を示したフローチャートである。図において、従来例及び実施の形態1、2と同一符号は同一又は相当部分を示し、4cは補間処理部、31は補正量決定手段である。
【0078】
次に、この実施の形態における動作を説明する。まず、図14のタイムチャートは、ワーク切削後のガイドブッシュ主軸モータ13bの電流値が補正開始後どのような変化を示すかを模式的に表したものである。時刻t1は切削開始ポイントを、I1は切削開始前のガイドブッシュ主軸モータ13bの電流値を、I2は切削開始後のガイドブッシュ主軸モータ13bの電流値を示している。時刻t2は補正開始点を示し、時刻t3は補正が完了して切削開始後のガイドブッシュ主軸モータ13bの電流値が切削開始前の電流値に等しくなった点を示している。また、時刻t2からt3における電流値の変化は、補正によってどのように電流値が変化するかをを表わしている。そして、Δtは補正量を更新する間隔を表している。
【0079】
次に、図15のフローチャートにおいて、まずステップS501では、機械制御信号処理部6aがラダー回路5からの異形材信号を検出し、切削判定手段22に通知する。切削判定手段22は、機械制御信号処理部6aから通知された異形材信号の状態がオフ状態であれば、切削指令が実行中かどうかを確認するために加工プログラム解析手段3に対して解析結果の要求を行い、ステップS502に進む。他方、異形材信号がオン状態であれば処理を終了する。
【0080】
ステップS502では、切削判定手段22が加工プログラム解析手段3の解析結果から切削指令が実行中かどうかを判定し、切削指令が実行中と判定した場合にはステップS503に進む。また実行中でないと判断した場合には処理を終了する。ステップS503では、電流検出手段を有する切削判定手段22がガイドブッシュ主軸モータ13bの電流値をガイドブッシュ主軸アンプ12b、データ入出回路11、ガイドブッシュ軸制御部10bを通して読み出す。ステップS504では、切削判定手段22がステップS503で読み出した電流値が一定になったかを判定する。一定でない場合には再びステップS503を実行する。電流値が一定になった場合はステップS505に進む。
【0081】
ステップS505では、切削判定手段22がステップS203でメモリ7に記憶したロ−タリガイドブッシュ主軸モータ13bの設定電流値をメモリ7から読み出してステップS503で読み出された電流値と比較する。ステップS503で読み出された電流値がステップS203でメモリ7に記憶された設定電流値より大きい場合には、切削判定手段22が切削中と判定して補正量決定手段31に通知してステップS506に進む。ステップS506では、第1の補正量決定手段を有する補正量決定手段31が切削判定手段22からの切削中の通知を受けて、予めパラメータ等で設定された補正量の初期値とオフセット量に基づいて、以下に示す式を用いて順次補正量を計算していく。
補正量=補正量初期値+オフセット量
【0082】
次にステップS507では、補間処理手段20が実施の形態1、2と同様にして、ステップS506で計算された補正量をガイドブッシュ主軸モータ13bに対する指令に加算また減算する。ステップS509では、補間処理手段20から出力されたメイン主軸モータ13aとガイドブッシュ主軸モータ13bに対する回転位置指令は、メイン軸制御部10aとガイドブッシュ軸制御部10b、及びデータ入出力回路11を介して、メイン主軸アンプ12aとガイドブッシュ主軸アンプに送られ、メイン主軸モータ13aとガイドブッシュ主軸モータ13bをそれぞれ制御開始する。図14の補正開始点である時刻t2がこの点に相当する。
【0083】
ステップS509では、ステップS503と同様にして、ガイドブッシュ主軸アンプ12bの電流値を読み出す。次にステップS510では、補正量決定手段31がステップS509で読み出した電流値と、ステップS203でメモリ7に記憶された設定電流値とを比較する。そして、ステップS509で読み出した電流値がメモリ7に記憶された設定電流値より大きければステップS506に戻り、以下ステップS507、ステップS508、ステップS509、ステップS510を再び実行する。このステップS506〜S510を実行する時間が図14に示すΔtに相当する。
【0084】
このように、ステップS507〜ステップS510を繰り返し実行することによって、ガイドブッシュ主軸モータ13bの電流値は、図14の時刻t2からt3の電流によって示すように、補正値を更新する度に減少していき、最後にステップS509で読み出された電流値と、ステップS203でメモリ7に記憶された設定電流値とがほぼ等しくなったときに処理を終了する。そして、第2の補正量決定手段を有する補正量決定手段31が、このときの補正量を正規の補正量として設定する。、即ち、ステップS509で読み出した電流値とステップS203でメモリ7に記憶された電流値との比較は、例えば設定電流値に一定値を加算また減算した値の範囲内に、ステップS509で読み出した電流値が入っているかどうかをチェックすることによって行うことができる。
【0085】
以上詳述したように、この実施の形態によれば、回転位置指令の補正量をわずかづつ徐々に変化させてガイドブッシュ主軸モータ13bの電流値をチェックし、この電流値がステップS203でメモリ7に記憶した設定電流値とほぼ等しくなれば補正量が正しく設定されたと判断して、この補正量を正規の補正量として設定するので、丸材ワーク外径とロータリガイドブッシュ内径とのすきま量を作業者がわざわざ測定して補正量を算出する必要がなく、効率良く回転位置指令の補正量制御ができ、かつ作業者の測定誤差に起因する補正量制御の信頼性も向上することができる。
【0086】
このようにフィードバック制御により、実際のガイドブッシュ主軸モータ13bが存在する位置とガイドブッシュ主軸モータ13bに対する回転位置指令による位置とが一致するように制御でき、ガイドブッシュ主軸モータ13bが大きなトルクを発生する必要がなくなる。その結果、ガイドブッシュ主軸モータ13bに大きな電流が流れなくなって、ガイドブッシュ主軸モータ13bの発熱が機械の加工精度に影響を及ぼすことがなくなり、機械の加工精度を向上させることができる。
【0087】
実施の形態4.
図16〜図19に基づいて第4の実施の形態を説明する。図16はこの実施の形態による主軸同期制御装置を有する数値制御装置1dの要部を示すブロック図、図17はガイドブッシュ主軸モータ13bに流れる電流の時間的変化を示すタイムチャート、図18及び図19はガイドブッシュ主軸モータ13bの回転位置指令に所定の補正量(補正量の初期値)をかけた後、ガイドブッシュ主軸モータ13bの電流値の変化量からワークとロ−タリガイドブッシュのすきま量を推定し、丸材ワークを切削中にロ−タリガイドブッシュ主軸モータ13bの回転位置指令に補正をかける手順を示したフローチャートである。図において、従来例及び実施の形態1〜3と同一符号は同一又は相当部分を示し、4dは補間処理部、21bは同期補正量計算手段、32は電流変化量検出手段である。
【0088】
次に、この実施の形態における動作を説明する。図17は丸材ワーク切削時のガイドブッシュ主軸モータ13bの電流値が、補正後にロ−タリガイドブッシュとワークのすきま量の違いによってどのように変わるかを示したものである。t1は切削開始点を、I1は切削開始前のガイドブッシュ主軸モータ13bの電流値を、I2は切削開始後のガイドブッシュ主軸モータ13bの電流値を示している。ΔI(L)及びΔI(S)は、補正開始後のガイドブッシュ主軸モータ13bの電流値の変化量を表わしており、ΔI(L)はロ−タリガイドブッシュとワークのすきま量が大きい場合を、ΔI(S)はロ−タリガイドブッシュとワークのすきま量が小さい場合を表わしている。
【0089】
ここで、すきま量が小さいほど電流変化量は大きくなっている。ガイドブッシュ主軸モータ13bの電流値の補正開始直後の変化がロ−タリガイドブッシュとワークのすきま量によって異なる現象は、実際に確認されており、再現性のあるものである。この理由の一つとしては、すきま量が大きいほど、ロ−タリガイドブッシュとワークとの接触点での圧力が小さく滑り易いため、電流変化量が小さくなると考えられる。
【0090】
図18及び図19のフローチャートにおいて、ステップS601では、機械制御信号処理部6aがラダー回路5からの異形材信号を検出し、切削判定手段22に通知する。切削判定手段22は機械制御信号処理部6aから通知された異形材信号の状態がオフ状態であれば切削指令が実行中かどうかを確認するために加工プログラム解析手段3に対して解析結果の要求を行いステップS602に進む。他方、異形材信号がオン状態であれば処理を終了する。ステップS602では、切削判定手段22が加工プログラム解析手段3の解析結果から切削指令が実行中かどうかを判定し、切削指令が実行中と判定した場合にはステップS603に進む。他方、実行中でないと判断した場合には処理を終了する。
【0091】
ステップS603では、切削判定手段22がガイドブッシュ主軸モータ13bの電流値をガイドブッシュ主軸アンプ12b、データ入出回路11、ガイドブッシュ軸制御部10bを介して読み出す。次にステップS604では、切削判定手段22がステップS603で読み出した電流値が一定になったかどうかを判定する。一定でない場合には再びステップS603へ戻る。電流値が一定になった場合はステップS605に進む。ステップS605では、切削判定手段22が、ステップS203でメモリ7に記憶したガイドブッシュ主軸モータ13bの設定電流値をステップS603で読み出した電流値と比較する。
【0092】
ステップS603で読み出した電流値がステップS203でメモリ7に記憶した設定電流値より大きい場合には、切削判定手段22が切削中と判定して電流変化量検出手段32と同期補正量計算手段21に通知しステップS606に進む。一方、ステップS603で読み出した電流値がステップS203でメモリ7に記憶した設定電流値以下の場合には、切削中でないと判断して処理を終了する。ステップS606では、切削判定手段22からの切削中の判定を受けて電流変化量検出手段32が予め決めた所定の同期補正量を補間処理手段20に通知する。補間処理手段20は電流変化量検出手段32から通知されたこの補正量をガイドブッシュ主軸モータ13bに対する指令に加算また減算する。
【0093】
次にステップS607では、補間処理手段20から出力されたメイン主軸モータ13aとガイドブッシュ主軸モータ13bに対する回転位置指令は、メイン軸制御部10aとガイドブッシュ軸制御部10b、及びデータ入出力回路11を介してメイン主軸アンプ12aとガイドブッシュ主軸アンプ12bに送られ、メイン主軸モータ13aとガイドブッシュ主軸モータ13bをそれぞれ制御する。
【0094】
次に、ステップS608では、電流変化量検出手段32がガイドブッシュ主軸モータ13bの電流値をガイドブッシュ主軸アンプ12b、データ入出回路11、ガイドブッシュ軸制御部10bを介して読み出し、ステップS603で読み出した電流値(補正量の初期値で補正する前の電流値)との差すなわち変化量を計算する。そしてこの計算結果をすきま量推定手段29に通知する。ステップS609では、すきま量推定手段29が電流変化量検出手段32から通知された電流変化量からロ−タリガイドブッシュとワークのすきま量を推定する。
【0095】
ここで、すきま量の推定は次のように行うものである。まず、基準すきま量を予め決めておき、このすきま量から計算された補正量でガイドブッシュ主軸モータ13bに補正をかけた場合の電流変化量を測定する。この電流変化量を基準電流変化量とし、ステップS608で読み出された電流変化量と基準電流変化量との比率からすきま量を推定する。図17においては、電流変化量ΔI(L)の場合はすきま量の推定値は大きなり、電流変化量ΔI(S)の場合はすきま量の推定値は小さくなる。
【0096】
次に、すきま量推定手段29は推定したすきま量を同期補正量計算手段21bに通知する。ステップS610では、同期補正量計算手段21bが、すきま量推定手段29がステップS609で推定したガイドブッシュすきま量と予めパラメータ等で設定されたワーク外形寸法から、ガイドブッシュ主軸モータ13bに対する回転位置指令の補正量を計算する。又ステップS611では、同期補正量計算手段21bが、ステップS610で計算した補正量を補間処理手段20に通知する。そして補間処理手段20は、同期補正量計算手段21bから通知された補正量をガイドブッシュ主軸モータ13bに対する指令に加算また減算する。
【0097】
そしてステップS612では、補間処理手段20から出力されたメイン主軸モータ13aとガイドブッシュ主軸モータ13bに対する回転位置指令が、メイン軸制御部10aとガイドブッシュ軸制御部10b、及びデータ入出力回路11を介してメイン主軸アンプ12aとガイドブッシュ主軸アンプ12bに送られ、メイン主軸モータ13aとガイドブッシュ主軸モータ13bをそれぞれ制御する。
【0098】
以上詳述したように、この実施の形態によれば、最初に任意に与えた所定の補正量に起因するガイドブッシュ主軸モータ13bの電流の変化量等の応答状態に基づいてすきま量を推定し、このすきま量に基づいて回転位置指令の補正量を算出するので、丸材ワーク外径とロータリガイドブッシュ内径とのすきま量を作業者がわざわざ測定する必要がなく、効率良く回転位置指令の補正量制御ができ、かつ作業者の測定誤差に起因する補正量制御の信頼性も向上することができる。
【0099】
このように自動的に、実際のガイドブッシュ主軸モータ13bが存在する位置とガイドブッシュ主軸モータ13bに対する回転位置指令による位置とが一致するように制御でき、ガイドブッシュ主軸モータ13bが大きなトルクを発生する必要がなくなる。その結果、ガイドブッシュ主軸モータ13bに大きな電流が流れなくなって、ガイドブッシュ主軸モータ13bの発熱が機械の加工精度に影響を及ぼすことがなくなり、機械の加工精度を向上させることができる。
【0100】
実施の形態5.
図20〜図24に基づいて第5の実施の形態を説明する。図20はこの実施の形態による主軸同期制御装置を有する数値制御装置1eの要部を示すブロック図、図21はメイン主軸モータ13aとガイドブッシュ主軸モータ13bの相対位置誤差を示すタイムチャート、図22はメイン主軸とロータリガイドブッシュの相対位置誤差を示す説明図、図23は切削開始前のガイドブッシュ主軸モータ13bとメイン主軸モータ13aの相対位置誤差を読み出し記憶する手順を示すフローチャート、図24は切削開始後のメインモータ13aとガイドブッシュ主軸モータ13bの相対位置誤差の変化量から補正量を決定し、この補正量をガイドブッシュ主軸モータ13bの回転位置指令に対して補正する手順を示したフローチャートである。
【0101】
図において、従来例及び実施の形態1〜4と同一符号は同一又は相当部分を示し、4eは補間処理部、33は位置誤差補正量計算手段、34は位置誤差検出手段、35は単位時間位置誤差変化量検出手段である。
【0102】
次に、この実施の形態における動作を説明する。図21では、ワーク切削直後において、メイン主軸モータ13aとガイドブッシュ主軸モータ13bの相対位置誤差が、ロ−タリガイドブッシュとワークのすきま量の違いによってどのような変化を示すかを表したものである。時刻t1は切削開始点を、Aはロ−タリガイドブッシュとワークのすきま量が小さい場合の相対位置誤差を、Bはすきま量が大きい場合の相対位置誤差を表わしている。メイン主軸モータ13aとガイドブッシュ主軸モータ13bの相対位置誤差の切削開始直後の変化がロ−タリガイドブッシュとワークのすきま量によって異なる現象は実際に確認されており、再現性のある現象である。
【0103】
次に、図22に基づいて相対位置誤差を説明する。図22はロ−タリガイドブッシュに丸材ワークが挿入された場合の断面図を表している。1003は丸材ワークを、1005はロ−タリガイドブッシュを表している。D、Cはそれぞれメイン主軸にチャッキングされた丸材ワーク1003とロ−タリガイドブッシュ1005の主軸同期中の特定の位置を表している。Cはロータリガイドブッシュ1005の特定の位置を、Dはメイン主軸にチャッキングされた丸材ワーク1003の特定の位置を表している。
【0104】
主軸同期中の場合にはロータリガイドブッシュ1005とメイン主軸にチャッキングされた丸材ワーク1003の相対的な位置は一致している。すなわち、C点とD点の相対的な位置は回転中は一致しており、一回転する度に同じ位置に戻って来る。今、たとえば、D点がE点にずれた場合を考えると、ロ−タリガイドブッシュ1005とメイン主軸にチャッキングされた丸材ワーク1003とは相対的な位置の差すなわち相対位置誤差としての距離DEを生じたことになる。
【0105】
図23のフローチャートにおいて、まずステップS701では、切削判定手段22が加工プログラム解析処理部3の解析結果から主軸回転速度が変更されるような指令が出されたかどうかをチェックする。主軸回転速度が変更されていなければ処理を終了する。一方、変更されていた場合にはステップS702で、切削判定手段22がガイドブッシュ主軸モータ13bの回転速度をガイドブッシュ主軸アンプ12b、データ入出回路11、ガイドブッシュ軸制御部10bを介して読み出し、指令された回転速度と比較する。ここで、指令した回転速度に到達していない場合は再びステップS702を実行する。
【0106】
他方、指令した回転速度に到達した場合にはステップS703で、位置誤差検出手段34がメイン主軸モータ13aとガイドブッシュ主軸モータ13bの相対位置誤差を算出して、これを第1の相対位置誤差(これは無負荷状態の相対位置誤差である。)としてメモリ7に書き込む。ここで、相対位置誤差は次のようにして算出する。まず、位置誤差検出手段34がメイン軸制御部10aとガイドブッシュ軸制御部10bに対して、各々の主軸モータの位置を読み込むようにリクエストする。各々の軸制御部10a、10bは各々の主軸アンプ12a、12bが読み出した各々の主軸モータ13a、13bの位置をデータ入出力回路11を介して取り込み、位置誤差検出手段34に返す。位置誤差検出手段34は、取り込んだこれらのデータから、メイン主軸モータ13aの位置とガイドブッシュ主軸モータ13bの位置の差(これは丸材ワーク1003とロータリガイドブッシュ1005との位置の差に等しい。)すなわち相対位置誤差を計算する。
【0107】
図21の例では相対位置誤差が正の値になっているので、メイン主軸モータ13aの位置がガイドブッシュ主軸モータ13bの位置より進んでいるか、または、ガイドブッシュ主軸モータ13bの位置がメイン主軸モータ13aの位置より遅れているかのどちらかである。
【0108】
図24のフローチャートにおいて、まずステップS801では、機械制御信号処理部6aがラダー回路5からの異形材信号を検出し、切削判定手段22に通知する。切削判定手段22は機械制御信号処理部6aから通知された異形材信号の状態がオフ状態であれば、切削指令が実行中かどうかを確認するために、加工プログラム解析手段3に対して解析結果の要求を行い、ステップS802に進む。もし、異形材信号がオン状態であれば処理を終了する。ステップS802では、切削判定手段22が加工プログラム解析手段3の解析結果から切削指令が実行中かどうかを判定し、切削指令が実行中と判定した場合には、ステップS803に進む。他方、実行中でないと判断した場合には処理を終了する。
【0109】
次に、ステップs803では、位置誤差検出手段34はステップS703と同様にしてメイン主軸モータ13aとガイドブッシュ主軸モータ13bの相対位置誤差を算出する。又ステップS804では、位置誤差検出手段34がステップS803で読み出した相対位置誤差が一定になったかどうかを判定する。一定でない場合には再びステップS803を実行する。相対位置誤差が一定になった場合はステップS805に進む。ステップS805では、位置誤差検出手段34が、ステップS703でメモリ7に記憶された第1の相対位置誤差とステップS803で算出された相対位置誤差の情報を切削判定手段22に渡し、切削判定手段22はこれらの相対位置誤差を比較する。
【0110】
ステップS803で算出された相対位置誤差がメモリ7に記憶された第1の相対位置誤差より大きい場合には、切削判定手段22が切削中と判定して、切削実行中であるという情報を位置誤差補正量計算手段33に通知してステップS806に進む。他方ステップS803で、メモリ7に記憶された第1の相対位置誤差以下の場合には切削中でないと判断して処理を終了する。
【0111】
次にステップS806では、単位時間位置誤差変化量検出手段35が一定の時間間隔でメイン主軸モータ13aとガイドブッシュ主軸モータ13bの位置をサンプリングして両者の相対位置誤差を算出し、メイン主軸モータ13aとガイドブッシュ主軸モータ13bの相対位置誤差の変化点を捉える。この相対位置誤差の変化点はサンプリングした相対位置誤差からメモリ7に記憶された第1の相対位置誤差を引いた値を監視し、この差分値が一定値を越えた場合に相対位置誤差の変化点と判定する。
【0112】
すなわち図21において、切削開始点である時刻t1が相対位置誤差の変化点に相当する。ここで、両方の主軸モータの相対位置誤差の算出はステップS803と同様の手順で行われる。次に単位時間位置誤差変化量検出手段35は算出された相対位置誤差から相対位置誤差が一定になる点(時刻)を判定する。たとえば前回算出した相対位置誤差と今回算出した相対位置誤差の差がほぼ0になったときを相対位置誤差が一定となる点(時刻)と判定する。図21の例では、時刻t2、t3がそれぞれA、Bの場合の相対位置誤差が一定となる点である。
【0113】
ここで、すきま量が大きい程、相対位置誤差が変化開始してから一定になるまでの時間は長くなる。すなわち相対位置誤差の変化量が小さくなる。図21の例では、すきま量が大きい場合が時刻t3に相当し、すきま量が小さい場合が時刻t2に相当する。位置誤差補正量計算手段33が切削判定手段22からの切削中であるという通知と単位時間位置誤差変化量検出手段35から相対位置誤差の変化量を読み取り、補正係数を算出する。
【0114】
次にステップS807では、位置誤差補正量計算手段33がガイドブッシュ主軸モータ13bに対する回転位置指令の補正量を補正係数を用いて、次の式で算出する。
補正量=相対位置誤差×補正係数
そして、補間処理手段20が、算出された補正量をガイドブッシュ主軸モータ13bに対する指令に加算また減算する。ステップS808では、補間処理手段20から出力されたメイン主軸モータ13aとガイドブッシュ主軸モータ13bに対する回転位置指令は、メイン軸制御部10aとガイドブッシュ軸制御部10b、及びデータ入出力回路11を介してメイン主軸アンプ12aとガイドブッシュ主軸アンプ12bに送られ、メイン主軸モータ13aとガイドブッシュ主軸モータ13bをそれぞれ制御する。
【0115】
以上詳述したように、この実施の形態によれば、メイン主軸モータ13aの位置とガイドブッシュ主軸モータ13bの位置の差、即ち丸材ワーク1003とロータリガイドブッシュ1005との位置の差、である相対位置誤差の変化量がすきま量に密接に関係があることに着目し、この相対位置誤差の変化量から補正係数を算出し、そしてこの補正係数に相対位置誤差を乗算することにより回転位置指令の補正量を算出したので、丸材ワーク外径とロータリガイドブッシュ内径とのすきま量を作業者がわざわざ測定する必要がなく、効率良く回転位置指令の補正量制御ができ、かつ作業者の測定誤差に起因する補正量制御の信頼性も向上することができる。
【0116】
このように自動的に、実際のガイドブッシュ主軸モータ13bが存在する位置とガイドブッシュ主軸モータ13bに対する回転位置指令による位置とが一致するように制御でき、ガイドブッシュ主軸モータ13bが大きなトルクを発生する必要がなくなる。その結果、ガイドブッシュ主軸モータ13bに大きな電流が流れなくなって、ガイドブッシュ主軸モータ13bの発熱が機械の加工精度に影響を及ぼすことがなくなり、機械の加工精度を向上させることができる。
【0117】
実施の形態6.
図25〜図28に基づいて第6の実施の形態を説明する。図25はこの実施の形態による主軸同期制御装置を有する数値制御装置1fの要部を示すブロック図、図26はガイドブッシュ主軸モータ13bの電流値と回転速度を示すタイムチャート、図27はロ−タリガイドブッシュに丸材ワークまたは異形材ワークが挿入された場合の断面図、図28は丸材・異形材判別手段36がロ−タリガイドブッシュに挿入されたワークが丸材か異形材かを判定する手順を示すフローチャートである。図において、従来例及び実施の形態1〜5と同一符号は同一又は相当部分を示し、4fは補間処理部、36は丸材・異形材判別手段、43は電流制限設定手段である。
【0118】
次に、この実施の形態における動作を説明する。図26はロ−タリガイドブッシュに丸材ワークが挿入されている場合で、ガイドブッシュ主軸モータ13bの電流値を徐々に増加させていき、丸材ワークとガイドブッシュ主軸モータ13bがすべってガイドブッシュ主軸モータ13bが回転を始めたときに、ガイドブッシュ主軸モータ13bの電流値と回転速度がどのように変化するかを表したものである。時刻t1は電流制限を開始した点を、時刻t2はガイドブッシュ主軸モータ13bが回転を開始した点を、電流値I1は回転中のロ−タリガイドブッシュを駆動する主軸モータ13の電流値を表している。電流値△Iは電流制限値を徐々に上げていったときの一回あたりの電流制限値の増分量を表している。また、回転速度N1はガイドブッシュ主軸モータ13bが回転する回転速度を表している。
【0119】
次に、図28に示すフローチャートにおいて、まずステップS901では、作業者が機械操作盤(図示せず。)の同期解除のスイッチをオンする。この同期解除信号は、ラダー回路5でメイン主軸モータ13aとガイドブッシュ主軸モータ13bの主軸同期解除条件をチェックし、OKならば、機械制御信号処理部6に同期解除信号を出力する。同期解除手段を有する機械制御信号処理部6は、ラダー回路5からの同期解除信号を受けて補間処理手段20に対して同期解除指示を行う。そして、補間処理手段20は、機械制御信号処理部6からの同期解除指示を受けて、メイン主軸モータ13aとガイドブッシュ主軸モータ13bに対する回転位置指令を、回転位置ではなく回転速度を指令する指令、すなわち速度制御指令に切り替える。また、メイン主軸モータ13aに対する回転速度指令から、ガイドブッシュ主軸モータ13bへの指令を計算することをやめる。
【0120】
これによって、メイン主軸モータ13aとガイドブッシュ主軸モータ13bの同期状態は解除される。そして、これ以降メイン主軸モータ13aとガイドブッシュ主軸モータ13bを別々に回転させることが可能となる。次にステップS902では、作業者が丸材ワークまたは異形材ワークをロ−タリガイドブッシュに挿入する。図27(a)はロ−タリガイドブッシュ1005ワーク1003として丸材ワークが挿入された場合の断面図を、図27(b)はロ−タリガイドブッシュ1005にワーク1003として異形材ワークが挿入された場合の断面図を示している。
【0121】
次にステップS903では、丸材・異形材判別手段36が、機械制御信号処理部6に対してメイン主軸のチャック閉のリクエスト信号を出す。そして、この丸材・異形材判別手段36からのチャック閉信号は、機械制御信号処理部6とラダー回路5を介して工作機械のリレー盤(図示せず。)のリレー等を制御することによってチャックを閉じる。次に、メイン主軸モータ13aの拘束手段を有する丸材・異形材判別手段36は、メイン主軸モータ13aに回転速度0の指令を出力する。この指令はメイン軸制御部10a、データ入出力回路11を介してメイン主軸アンプ12aに送られる。メイン主軸アンプ12aが「0」の回転速度指令を実行すると、メイン主軸モータ13aは停止したままで励磁される。
【0122】
次にステップS904では、丸材・異形材判別手段36からの指令で、電流制限設定手段43が、パラメータ等によりメモリ7に予め記憶された電流制限値の初期値を読み出して、ガイドブッシュ軸制御部10bに電流制限の実行リクエストを出す。一般に、電流制限値はガイドブッシュ主軸モータ13bの定格電流値の百分率で表される。このデータはガイドブッシュ軸制御部10b、データ入出力回路11を介してガイドブッシュ主軸アンプ12bに送られる。ガイドブッシュ主軸アンプ12bは、受けた電流制限値に従ってガイドブッシュ主軸モータ13bを制御する。
【0123】
ここで、ガイドブッシュ主軸モータ13bに電流制限をかける理由は、電流制限をかけないでガイドブッシュ主軸モータ13bを回転させると、ロ−タリガイドブッシュに異形材ワークが挿入されている場合、異形材ワークをねじってしまう可能性があるからである。次にステップS905では、速度指令手段を有する補間処理手段20がガイドブッシュ主軸モータ13bに対して回転指令を与える。この回転速度指令は100rpm程度を指令する。この回転速度指令はガイドブッシュ軸制御部10b、データ入出力回路11を介してガイドブッシュ主軸アンプ12bに送られ、ガイドブッシュ主軸アンプ12bはガイドブッシュ主軸モータ13bを100rpmで回転させようとする。
【0124】
しかしながら、ロ−タリガイドブッシュに異形材ワークが挿入されている場合でも、または丸材ワークが挿入されている場合でも、ロ−タリガイドブッシュとワークの接触面に摩擦抵抗があるため、電流制限によってガイドブッシュ主軸モータ13bの回転力が摩擦抵抗を下回るときには、ガイドブッシュ主軸モータ13bは回転しない。ステップS906では、丸材・異形材判別手段36が、ガイドブッシュ主軸アンプ12bからデータ入出力回路11、ガイドブッシュ軸制御部10bを介して、ガイドブッシュ主軸モータ13bの回転速度を読み出してそれが回転しているかどうか判定する。
【0125】
回転していない場合にはステップS907に進む。他方、ガイドブッシュ主軸モータ13bの回転力がロ−タリガイドブッシュと丸材ワークの接触面の摩擦抵抗を上回って回転した場合にはステップS910に進み、丸材・異形材判別手段36が丸材ワークと判定し、判定結果を切削判定手段22に通知する。図26では、回転が開始する点である時刻t2よりガイドブッシュ主軸モータ13bが回転速度N1で回転しているため、丸材・異形材判別手段36は丸材ワークと判定することになる。
【0126】
次にステップS907では、丸材・異形材判別手段36が、ガイドブッシュ主軸モータ13bに対する電流制限値の初期値に予め決めた所定値であるオフセット量を加算する。このオフセット量は、通常、主軸モータの定格電流値の1%程度にする。そしてステップS908では、丸材・異形材判別手段36がステップS907で設定した電流制限値が規定値を越えたかどうかチェックする。規定値を越えた場合には、ステップS909に進み、丸材・異形材判別手段36が異形材ワークと判定し、判定結果を切削判定手段22に通知する。一方、規定値を越えていない場合には、再びステップS906から実行する。
【0127】
ここで、電流制限値が規定値を越えたかどうかをチェックする理由は、規定値を設けず電流制限値を上げていくと、メイン主軸は励磁されてロック状態にあるため、ロ−タリガイドブッシュに異形材ワークが挿入されていた場合には、ロ−タリガイドブッシュが大きな力で回転しようとすると異形材ワークをねじってしまう可能性があるからである。また、この定値をワークの材質や外径によって変えることにより、より正確な判定を行うこともできる。
【0128】
以上詳述したように、この実施の形態によれば、メイン主軸モータ13aとガイドブッシュ主軸モータ13bの同期制御を解除して別々に回転可能にし、ワーク1003をメイン主軸1004とロータリガイドブッシュ1005とにセットし、メイン主軸モータ13aを励磁してワークを拘束させた状態で、ガイドブッシュ主軸モータ13bに低い速度指令を与えながら、ガイドブッシュ主軸モータ13bへ供給する電流を徐々に大きくすることにより、供給電流の大きさとガイドブッシュ主軸モータ13bの回転状態をチェックして、ワークが丸材ワークか異形材ワークかを自動的に判別するので、ワークが丸材ワークか異形材ワークかを作業者がわざわざ調べてパラメータとして設定する必要がなく、又機械の加工対象とするワークの形状を気にする必要もなく、加工の自動化を促進することができる。
【0129】
実施の形態7.
図29〜図32に基づいて第7の実施の形態を説明する。図29はこの実施の形態による主軸同期制御装置を有する数値制御装置1gの要部を示すブロック図、図30はロ−タリガイドブッシュに丸材ワークが挿入された場合の断面図、図31は加工プログラム2でメイン主軸モータ13aに対して回転速度を変更した場合におけるメイン主軸モータ13aの速度とガイドブッシュ主軸モータ13bの速度の変化を示すタイムチャート、図32はメイン主軸モータ13aに対して回転起動または回転速度変更等を指令した場合におけるメイン主軸モータ13a及びガイドブッシュ主軸モータ13bに対する速度制御/位置制御の切り替えの手順を示すフローチャートである。図において、従来例及び実施の形態1〜6と同一符号は同一又は相当部分を示し、4gは補間処理部、39は速度制御・位置制御切り替え手段である。
【0130】
次に、この実施の形態における動作を説明する。図30はロ−タリガイドブッシュに丸材ワークが挿入されている場合のロ−タリガイドブッシュと丸材ワークの位置関係を説明しているもので、A点は回転中のロ−タリガイドブッシュ1005のある時刻の位置を示し、B点はメイン主軸1004にチャッキングされた丸材ワーク1003のある時刻の位置を示している。今A点とB点とは一致している。また、C点は回転中のロ−タリガイドブッシュ1005の他の時刻の位置を示しており、このときはロータリガイドブッシュ1005は丸材ワーク1003に比べて角度θだけずれていることを示している。
【0131】
図31は、加工プログラム2でメイン主軸モータ13aの回転速度を変更した場合の、メイン主軸モータ13aの速度とガイドブッシュ主軸モータ13bの速度の変化を示したものである。ここで、(a)は異形材信号がオンの場合、(b)は異形材信号がオフの場合を示す。時刻t1はメイン主軸モータ13aに回転起動指令を与えた点を、時刻t2及び時刻t3はメイン主軸モータ13aに回転速度を変更する指令を与えた点を、時刻t4及び時刻t5はメイン主軸モータ13aに逆転指令を与えた点を、時刻t6及び時刻t7はメイン主軸モータ13aに与えた逆転指令をオフした点を示している。
【0132】
又、M1〜M8は、メイン主軸モータ13aとガイドブッシュ主軸モータ13bの主軸同期の動作モードを示している。M1、M3、M5、M7は回転位置指令すなわち主軸同期による動作モードを示し、この動作モードにおいては、メイン主軸モータ13aとガイドブッシュ主軸モータ13bとは、回転速度及び位置とも一致している。又M2、M4、M6、M8は速度制御による動作モードすなわち主軸同期が解除されている状態を表しており、加減速中は、メイン主軸モータ13aとガイドブッシュ主軸モータ13bとは、回転速度や位置は一致していない。
【0133】
さて、図32に示すフローチャートにおいて、まずステップS1001では、速度制御・位置制御切り替え手段39が加工プログラム解析処理部3の解析結果からメイン主軸モータ13aに対する回転速度指令が変更されたかどうかチェックする。この指令が変更されていない場合には処理を終了する。他方、この指令が変更されている場合にはステップS1002に進む。そしてステップS1002では、機械制御信号処理部6aがラダー回路5からの異形材信号を検出し、速度制御・位置制御切り替え手段39に通知する。この異形材信号の状態がオフ状態であればステップS1003に進む。もし、異形材信号がオン状態であれば処理を終了する。
【0134】
次にステップS1003では、補間処理手段20が、同期解除手段を有する速度制御・位置制御切り替え手段39からの同期解除通知を受けて、メイン主軸モータ13aとガイドブッシュ主軸モータ13bとに対する、回転位置指令すなわち位置制御による指令を回転速度のみの指令すなわち速度制御による指令に切り替える。又ステップS1004では、補間処理手段20がメイン主軸モータ13aとガイドブッシュ主軸モータ13bとに対する指令をメイン軸制御部10aとガイドブッシュ軸制御部10bとに与え、データ入出力手段11を介してメイン主軸アンプ12aとガイドブッシュ主軸アンプ12bとに送る。
【0135】
次にステップS1005では、それぞれの主軸モータ13a、13bは速度制御により駆動されるため、それぞれの主軸モータ13a、13bはそれぞれの主軸アンプ12a、12bの特性に従って加速または減速される。又ステップS1006では、速度制御・位置制御切り替え手段39がメイン主軸モータ13aとガイドブッシュ主軸モータ13bの回転速度を、メイン主軸アンプ12aとガイドブッシュ主軸アンプ12b、データ入出力回路11、及びメイン軸制御部10aとガイドブッシュ軸制御部10bを介して読みとる。
【0136】
そして速度制御・位置制御切り替え手段39は読み取った両主軸モータの回転速度が、ステップS1004で指令した回転速度と一致しているかどうかをチェックする。一致していない場合にはステップS1006を再び実行する。他方、一致した場合にはステップS1007に進む。ステップS1007では、速度制御・位置制御切り替え手段39がメイン主軸モータ13aとガイドブッシュ主軸モータ13bの制御を速度制御から位置制御に切り替える。
【0137】
ここで、メイン主軸モータ13aとガイドブッシュ主軸モータ13bが速度制御で回転中の場合に位置制御へ切り替える手順は以下のようにして行う。まず、速度制御・位置制御切り替え手段39が、速度制御で回転中のメイン主軸モータ13aとガイドブッシュ主軸モータ13bの位置を、メイン主軸アンプ12aとガイドブッシュ主軸アンプ12b、データ入出力回路11、及びメイン軸制御部10aとガイドブッシュ軸制御部10bを介して読みとる。
【0138】
次に、回転速度から単位時間あたりの指令位置を計算する。また、予めパラメータ等で設定された処理遅れを含む主軸モータの追従おくれを考慮して、主軸モータの回転位置指令を計算する。本計算を行う理由は主軸モータ13には指令に対する追従おくれが必ず存在するためである。ここで、回転位置指令の計算は以下のようにして行う。
回転位置指令=現在の主軸モータの位置+単位時間回転位置指令
+主軸モータの追従おくれ
【0139】
そして、速度制御・位置制御切り替え手段39は、これらの回転位置指令をメイン軸制御部10aとガイドブッシュ軸制御部10b、及びデータ入出力11を介して、それぞれメイン主軸アンプ12aとガイドブッシュ主軸アンプ12bに送る。これらの主軸アンプ12a、12bは、速度制御・位置制御切り替え手段39から送られた回転位置指令に基づいて、メイン主軸モータ13aとガイドブッシュ主軸モータ13bを位置制御に切り換える。
【0140】
又図31(b)に示すように、丸材ワークであり異形材信号がオフの場合は、加速区間M2、減速区間M4、M6、M8では、メイン主軸モータ13aとガイドブッシュ主軸モータ13bは各々の主軸アンプ12a、12bの特性に従って加速または減速されているため、すなわち速度制御されているため、メイン主軸モータ13aとガイドブッシュ主軸モータ13bの位置関係は保証されない。すなわち、図30に示すように、ある時刻において、メイン主軸モータ13aとガイドブッシュ主軸モータ13bとが特定の位置であるA点とB点にいたとしても、メイン主軸モータ13aが一回転した後の時刻では、ガイドブッシュ主軸モータ13bはC点の位置にきている場合があり、メイン主軸モータ13aとガイドブッシュ主軸モータ13bの位置関係は保証されない。
【0141】
他方図31(a)に示すように、異形材ワークであり異形材信号がオンの場合は、主軸モータが加減速中であろうと一定回転速度で回転していようと、回転位置指令で制御されているときすなわち位置制御されている場合には、図30に示すように、メイン主軸モータ13aが一回転した後の時刻においても、ガイドブッシュ主軸モータ13bの位置はA点にきている。すなわち、メイン主軸モータ13aとガイドブッシュ主軸モータ13bの位置関係は保証されていることになる。
【0142】
しかしながら、図31(a)の場合では、主軸モータの加速および減速中も回転位置指令で制御されているため、加減速中は速度制御に切り替えている場合に比べて、加速または減速に時間がかかる。その理由は次の通りである。即ち、回転位置指令で制御して加速または減速する場合は、両方の主軸モータの特性を満足するようにあらかじめ設定された加減速パターンに従って、この加減速特性を考慮したサーボ位置指令に計算しなおされるので、加速または減速の傾きは緩やかになってしまうためである。したがって、図31では、加減速中に速度制御に切り替えている図31(b)の方が、図31(a)の場合より、時間Δtだけ加工時間が短縮されることになる。
【0143】
以上詳述したように、この実施の形態によれば、ワークが丸材ワークであるか異形材ワークであるかをチェックし、丸材ワークの場合においては、加減速中の期間だけ、メイン主軸モータ13aとガイドブッシュ主軸モータ13bの同期制御を解除して別々に最短時間で加減速させ、両主軸モータの回転速度が一定になり一致したときに、両主軸モータの同期制御を行うので、常に同期制御を採用してメイン主軸モータ13aとガイドブッシュ主軸モータ13bを駆動する場合に比べて、加減速時間が短縮でき、しいては加工のサイクルタイムを短くすることができる。
【0144】
【発明の効果】
本発明は、以上説明したように構成されているので、以下に記載されるような効果を奏する。
【0145】
丸材ワークを保持するメイン主軸を駆動するメイン主軸モータと前記ワークをガイドするロータリガイドブッシュを駆動するガイドブッシュ主軸モータとの位置及び速度を同期制御する主軸同期制御方法において、前記ワークの外径(D1)と前記ロータリガイドブッシュの内径(D2)との間に生じるすきま量(D2−D1)に対応する前記ガイドブッシュ主軸モータの回転位置指令の補正量を算出し、この補正量を前記ガイドブッシュ主軸モータの回転位置指令に対し加算または減算したものを、前記ガイドブッシュ主軸モータの回転位置指令とするので、ガイドブッシュ主軸モータの実際に存在する位置と回転位置指令による位置とが一致してガイドブッシュ主軸モータが大きなトルクを発生する必要、即ちガイドブッシュ主軸モータに大きな電流を流す必要がなくなり、ガイドブッシュ主軸モータの発熱による機械の加工精度に及ぼす影響をなくし機械の加工精度を向上させる効果がある。
【0146】
又、前記ガイドブッシュ主軸モータの電流が前記ワークの切削開始により変化する時点から一定値になるまでの電流変化状態に基づいて前記補正量を算出するので、ワークとロータリガイドブッシュとのすきま量を作業者がわざわざ測定する必要がなくなり、効率の良い回転位置指令の補正量設定ができ、かつ作業者の測定誤差を排除して補正量設定の信頼性を向上する効果がある。
【0147】
又、前記ガイドブッシュ主軸モータの回転位置指令の補正量として所定の補正量を与え、この補正量による前記ガイドブッシュ主軸モータの電流の応答状態に基づいて前記補正量を算出するので、ワークとロータリガイドブッシュとのすきま量を作業者がわざわざ測定する必要がなくなり、効率の良い回転位置指令の補正量設定ができ、かつ作業者の測定誤差を排除して補正量設定の信頼性を向上し補正誤差を小さくする効果がある。
【0148】
又、前記メイン主軸と前記ロータリガイドブッシュの相対位置誤差が前記ワークの切削開始により変化する時点から一定値になるまでの相対位置誤差変化状態に基づいて前記補正量を算出するので、ワークとロータリガイドブッシュとのすきま量を作業者がわざわざ測定する必要がなくなり、効率の良い回転位置指令の補正量設定ができ、かつ作業者の測定誤差を排除して補正量設定の信頼性を向上し補正量の算出を簡単にする効果がある。
【0149】
又、前記ワークの切削中に、前記ガイドブッシュ主軸モータの回転位置指令を前記メイン主軸モータの回転位置指令に対して所定の補正量だけ変化させ、この補正量に基づいて生成された前記ガイドブッシュ主軸モータの回転位置指令により駆動される前記ガイドブッシュ主軸モータの電流値が所定の値になったとき、前記変化させた所定の補正量を合計し、この合計したものを、前記補正量とするので、ワークとロータリガイドブッシュとのすきま量から補正量をわざわざ算出する必要がなくなり、効率が良く信頼性の高い回転位置指令の補正量設定が自動的にでき、かつ補正誤差を小さくしかも早く補正を完了させる効果がある。
【0150】
又、前記メイン主軸モータと前記ガイドブッシュ主軸モータの速度が変化しているときは前記メイン主軸モータと前記ガイドブッシュ主軸モータの同期を解除し、前記メイン主軸モータと前記ガイドブッシュ主軸モータの速度が一定となりかつ一致したときに、前記メイン主軸モータと前記ガイドブッシュ主軸モータの同期制御を行うので、同期制御を必要としないときにはそれぞれの主軸モータを別々に最適に制御することになり、加減速時間の短縮ひいては加工サイクルタイムを短縮する効果がある。
【0151】
丸材ワークを保持するメイン主軸を駆動するメイン主軸モータと前記ワークをガイドするロータリガイドブッシュを駆動するガイドブッシュ主軸モータとの位置及び速度を同期制御する主軸同期制御装置において、前記ワークの外径(D1)と前記ロータリガイドブッシュの内径(D2)との間に生じるすきま量(D2−D1)に対応する前記ガイドブッシュ主軸モータの回転位置指令の補正量を算出する同期補正量計算手段と、この同期補正量計算手段からの補正量を前記ガイドブッシュ主軸モータの回転位置指令に対し加算または減算したものを、前記ガイドブッシュ主軸モータの回転位置指令として生成する補間処理手段と、を備えたので、ガイドブッシュ主軸モータの実際に存在する位置と回転位置指令による位置とが一致してガイドブッシュ主軸モータが大きなトルクを発生する必要即ちガイドブッシュ主軸モータに大きな電流を流す必要がなくなり、ガイドブッシュ主軸モータの発熱による機械の加工精度に及ぼす影響をなくし機械の加工精度を向上させる効果がある。
【0152】
又、前記ガイドブッシュ主軸モータの電流が前記ワークの切削開始により変化する時点から一定値になるまでの電流変化状態に基づいて前記補正量を算出するので、ワークとロータリガイドブッシュとのすきま量を作業者がわざわざ測定する必要がなくなり、効率の良い回転位置指令の補正量設定ができ、かつ作業者の測定誤差を排除して補正量設定の信頼性を向上させる効果がある。
【0153】
又、前記ガイドブッシュ主軸モータの回転位置指令の補正量として所定の補正量を与え、この補正量による前記ガイドブッシュ主軸モータの電流の応答状態に基づいて前記補正量を算出するので、ワークとロータリガイドブッシュとのすきま量を作業者がわざわざ測定する必要がなくなり、効率の良い回転位置指令の補正量設定ができ、かつ作業者の測定誤差を排除して補正量設定の信頼性を向上し補正誤差を小さくする効果がある。
【0154】
又、前記メイン主軸と前記ロータリガイドブッシュの相対位置誤差が前記ワークの切削開始により変化する時点から一定値になるまでの相対位置誤差変化状態に基づいて前記補正量を算出するので、ワークとロータリガイドブッシュとのすきま量を作業者がわざわざ測定する必要がなくなり、効率の良い回転位置指令の補正量設定ができ、かつ作業者の測定誤差を排除して補正量設定の信頼性を向上し補正量の算出を簡単にする効果がある。
【0155】
又、前記ワークの切削中に、前記ガイドブッシュ主軸モータの回転位置指令を前記メイン主軸モータの回転位置指令に対して所定の補正量だけ変化させ、この補正量に基づいて生成された前記ガイドブッシュ主軸モータの回転位置指令により駆動される前記ガイドブッシュ主軸モータの電流値が所定の値になったとき、前記変化させた所定の補正量を合計し、この合計したものを、前記補正量としたので、ワークとロータリガイドブッシュとのすきま量から補正量をわざわざ算出する必要がなくなり、効率が良く信頼性の高い回転位置指令の補正量設定が自動的にでき、かつ補正誤差を小さくしかも早く補正を完了させる効果がある。
【0156】
又、前記メイン主軸モータと前記ガイドブッシュ主軸モータの速度が変化しているときは前記メイン主軸モータと前記ガイドブッシュ主軸モータの同期を解除する同期解除手段と、この同期解除手段により同期が解除された状態で駆動される前記メイン主軸モータの速度と前記ガイドブッシュ主軸モータの速度が一定となりかつ一致したときに前記メイン主軸モータと前記ガイドブッシュ主軸モータとを同期させる速度制御・位置制御切り替え手段と、を備えたので、同期制御を必要としないときにはそれぞれの主軸モータを別々に最適に制御することになり、加減速時間の短縮しいては加工サイクルタイムを短縮する効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態1による主軸同期制御装置を有する数値制御装置の要部ブロック図である。
【図2】 本発明の実施の形態1による主軸同期制御装置を有する数値制御装置のパラメータ設定画面の説明図である。
【図3】 本発明の実施の形態1による異形材信号を機械制御信号処理部に出力するラダー回路図の説明図である。
【図4】 本発明の実施の形態1によるロ−タリガイドブッシュに丸材ワークが挿入された場合の両者の位置関係を示す断面図である。
【図5】 本発明の実施の形態1によるガイドブッシュ主軸モータに流れる電流の時間的変化を示すタイムチャートである。
【図6】 本発明の実施の形態1による加工前の作業者の手順を示すフローチャートである。
【図7】 本発明の実施の形態1による切削開始前のガイドブッシュ主軸アンプの電流値を読み出し記憶する手順を示すフローチャートである。
【図8】 本発明の実施の形態1による丸材ワークの切削中にガイドブッシュ主軸モータの回転位置指令に対して補正をかける手順を示したフローチャートである。
【図9】 本発明の実施の形態2による主軸同期制御装置を有する数値制御装置の要部ブロック図である。
【図10】 本発明の実施の形態2によるガイドブッシュ主軸モータに流れる電流の時間的変化を示すタイムチャートである。
【図11】 本発明の実施の形態2によるガイドブッシュ主軸モータに流れる電流の電流変化到達時間とすきま量推定値との関係を示すすきま量推定表である。
【図12】 本発明の実施の形態2による切削開始後のガイドブッシュ主軸モータの電流変化からすきま量を推定し、回転位置指令を補正する手順を示したフローチャートである。
【図13】 本発明の実施の形態3による主軸同期制御装置を有する数値制御装置の要部ブロック図である。
【図14】 本発明の実施の形態3によるガイドブッシュ主軸モータに流れる電流の時間的変化を示すタイムチャートである。
【図15】 本発明の実施の形態3によるガイドブッシュ主軸モータの回転位置指令を一定間隔で補正更新し、電流値が切削開始前の電流値になるまで補正更新する手順を示したフローチャートである。
【図16】 本発明の実施の形態4による主軸同期制御装置を有する数値制御装置の要部ブロック図である。
【図17】 本発明の実施の形態4によるガイドブッシュ主軸モータに流れる電流の時間的変化を示すタイムチャートである。
【図18】 本発明の実施の形態4によるガイドブッシュ主軸モータの回転位置指令に補正をかけた後、電流値の変化量からすきま量を推定し、回転位置指令に補正をかける手順を示したフローチャートである。
【図19】 本発明の実施の形態4によるガイドブッシュ主軸モータの回転位置指令に補正をかけた後、電流値の変化量からすきま量を推定し、回転位置指令に補正をかける手順を示したフローチャートである。
【図20】 本発明の実施の形態5による主軸同期制御装置を有する数値制御装置の要部ブロック図である。
【図21】 本発明の実施の形態5によるメイン主軸モータとガイドブッシュ主軸モータの相対位置誤差を示すタイムチャートである。
【図22】 本発明の実施の形態5による切削開始前のガイドブッシュ主軸モータとメイン主軸モータの相対位置誤差を読み出し記憶する手順を示すフローチャートである。
【図23】 本発明の実施の形態5による切削開始前のガイドブッシュ主軸モータとメイン主軸モータの相対位置誤差を読み出し記憶する手順を示すフローチャートである。
【図24】 本発明の実施の形態5による切削開始後のメインモータとガイドブッシュ主軸モータの相対位置誤差の変化量から補正量を決定し、回転位置指令に対して補正する手順を示したフローチャートである。
【図25】 本発明の実施の形態6による主軸同期制御装置を有する数値制御装置の要部ブロック図である。
【図26】 本発明の実施の形態6によるガイドブッシュ主軸モータの電流値と回転速度を示すタイムチャートである。
【図27】 本発明の実施の形態6によるロ−タリガイドブッシュに丸材ワークまたは異形材ワークが挿入された状態を示す断面図である。
【図28】 本発明の実施の形態6による丸材・異形材判別手段がロ−タリガイドブッシュに挿入されたワークが丸材か異形材かを判定する手順を示すフローチャートである。
【図29】 本発明の実施の形態7による主軸同期制御装置を有する数値制御装置の要部ブロック図である。
【図30】 本発明の実施の形態7によるロ−タリガイドブッシュに丸材ワークが挿入された状態を示す断面図である。
【図31】 本発明の実施の形態7による加工プログラムでメイン主軸モータに対して回転速度を変更した場合におけるメイン主軸モータの速度とガイドブッシュ主軸モータの速度の変化を示すタイムチャートである。
【図32】 本発明の実施の形態7によるメイン主軸モータ及びガイドブッシュ主軸モータに対する速度制御/位置制御の切り替えの手順を示すフローチャートである。
【図33】 従来の自動旋盤のメイン主軸を駆動する主軸モータと、ロータリガイドブッシュを駆動する主軸モータの同期制御を行う数値制御装置の要部ブロック図である。
【図34】 従来及び本発明の実施の形態1〜7による工作機械の一種である自動旋盤の構成図である。
【図35】 図34で示したメイン主軸とロータリガイドブッシュの詳細な構成図である。
【図36】 従来及び本発明の実施の形態1〜7によるメイン主軸モータの回転・停止等を制御する要部の加工プログラムである。
【図37】 従来のガイドブッシュ主軸モータの電流の同期制御期間中における変化を示すタイムチャートである。
【符号の説明】
4c、4d,4e、4f、4g 補間処理部、6、6a 機械制御信号処理部、13a メイン主軸モータ、13b ガイドブッシュ主軸モータ、
21、21a、21b 同期補正量計算手段、20 補間処理手段、22 切削判定手段、29 すきま量推定手段、30 電流変化到達時間検出手段、
31 補正量決定手段、32 電流変化量検出手段、33 位置誤差補正量計算手段、34 位置誤差検出手段、35 単位時間位置誤差変化量検出手段、
36 丸材・異形材判別手段、39 速度制御・位置制御切り替え手段、
43 電流制限設定手段、1003 ワーク、1004 メイン主軸、
1005 ロータリガイドブッシュ。

Claims (14)

  1. 丸材ワークを保持するメイン主軸を駆動するメイン主軸モータと前記ワークをガイドするロータリガイドブッシュを駆動するガイドブッシュ主軸モータとの位置及び速度を同期制御する主軸同期制御方法において、前記ワークの外径(D1)と前記ロータリガイドブッシュの内径(D2)との間に生じるすきま量(D2−D1)に対応する前記ガイドブッシュ主軸モータの回転位置指令の補正量を算出し、この補正量を前記ガイドブッシュ主軸モータの回転位置指令に対し加算または減算したものを、前記ガイドブッシュ主軸モータの回転位置指令とすることを特徴とする主軸同期制御方法。
  2. パラメータ入力されたすきま量に基づいて、前記補正量を算出することを特徴とする請求項1に記載の主軸同期制御方法。
  3. 前記ガイドブッシュ主軸モータの電流が、前記ワークの切削開始により変化する時点から一定値になるまでの電流変化状態に基づいて、前記補正量を算出することを特徴とする請求項1に記載の主軸同期制御方法。
  4. 前記ガイドブッシュ主軸モータの回転位置指令の補正量として所定の補正量を与え、この補正量による前記ガイドブッシュ主軸モータの電流の応答状態に基づいて、前記補正量を算出することを特徴とする請求項1に記載の主軸同期制御方法。
  5. 前記メイン主軸と前記ロータリガイドブッシュの相対位置誤差が前記ワークの切削開始により変化する時点から一定値になるまでの相対位置誤差変化状態に基づいて、前記補正量を算出することを特徴とする請求項1に記載の主軸同期制御方法。
  6. 前記ワークの切削中に、前記ガイドブッシュ主軸モータの回転位置指令を前記メイン主軸モータの回転位置指令に対して所定の補正量だけ変化させ、この補正量に基づいて生成された前記ガイドブッシュ主軸モータの回転位置指令により駆動される前記ガイドブッシュ主軸モータの電流値が所定の値になったとき、前記変化させた所定の補正量を合計し、この合計したものを、前記補正量としたことを特徴とする請求項1に記載の主軸同期制御方法。
  7. 前記メイン主軸モータと前記ガイドブッシュ主軸モータの速度が変化しているときは前記メイン主軸モータと前記ガイドブッシュ主軸モータの同期を解除し、前記メイン主軸モータと前記ガイドブッシュ主軸モータの速度が一定となりかつ一致したときに、前記メイン主軸モータと前記ガイドブッシュ主軸モータの同期制御を行うことを特徴とする請求項1に記載の主軸同期制御方法。
  8. 丸材ワークを保持するメイン主軸を駆動するメイン主軸モータと前記ワークをガイドするロータリガイドブッシュを駆動するガイドブッシュ主軸モータとの位置及び速度を同期制御する主軸同期制御装置において、前記ワークの外径(D1)と前記ロータリガイドブッシュの内径(D2)との間に生じるすきま量(D2−D1)に対応する前記ガイドブッシュ主軸モータの回転位置指令の補正量を算出する同期補正量計算手段と、この同期補正量計算手段からの補正量を前記ガイドブッシュ主軸モータの回転位置指令に対し加算または減算したものを、前記ガイドブッシュ主軸モータの回転位置指令として生成する補間処理手段と、を備えたことを特徴とする主軸同期制御装置。
  9. パラメータ入力されたすきま量に基づいて、前記補正量を算出することを特徴とする請求項8に記載の主軸同期制御装置。
  10. 前記ガイドブッシュ主軸モータの電流が、前記ワークの切削開始により変化する時点から一定値になるまでの電流変化状態に基づいて、前記補正量を算出することを特徴とする請求項8に記載の主軸同期制御装置。
  11. 前記ガイドブッシュ主軸モータの回転位置指令の補正量として所定の補正量を与え、この補正量による前記ガイドブッシュ主軸モータの電流の応答状態に基づいて、前記補正量を算出することを特徴とする請求項8に記載の主軸同期制御装置。
  12. 前記メイン主軸と前記ロータリガイドブッシュの相対位置誤差が前記ワークの切削開始により変化する時点から一定値になるまでの相対位置誤差変化状態に基づいて、前記補正量を算出することを特徴とする請求項8に記載主軸同期制御装置。
  13. 前記ワークの切削中に、前記ガイドブッシュ主軸モータの回転位置指令を前記メイン主軸モータの回転位置指令に対して所定の補正量だけ変化させ、この補正量に基づいて生成された前記ガイドブッシュ主軸モータの回転位置指令により駆動される前記ガイドブッシュ主軸モータの電流値が所定の値になったとき、前記変化させた所定の補正量を合計し、この合計したものを、前記補正量としたことを特徴とする請求項8に記載の主軸同期制御装置。
  14. 記メイン主軸モータと前記ガイドブッシュ主軸モータの速度が変化しているときは前記メイン主軸モータと前記ガイドブッシュ主軸モータの同期を解除する同期解除手段と、この同期解除手段により同期が解除された状態で駆動される前記メイン主軸モータの速度と前記ガイドブッシュ主軸モータの速度が一定となりかつ一致したときに前記メイン主軸モータと前記ガイドブッシュ主軸モータとを同期させる速度制御・位置制御切り替え手段と、を備えたことを特徴とする請求項8に記載の主軸同期制御装置。
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