JP3648486B2 - 無線通信システム及び無線端末装置及び無線基地局装置 - Google Patents

無線通信システム及び無線端末装置及び無線基地局装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、複数の無線基地局と複数の無線端末装置とから構成される無線通信システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
同一あるいは隣接する地域で、同一の無線周波数資源を使用して、無線基地局や無線端末間で通信を行なう場合、干渉により通信品質が劣化する。
【0003】
1つの無線基地局が作るエリア(セル)が複数集まって構成された無線通信システムを例に取り説明する。このような無線通信システム、例えば、セルラーシステムでは、通常、無線基地局から無線端末へ向けての通信リンクと無線端末から無線基地局へ向けての通信リンクは分けられており、前者を下りリンク、後者を上りリンクという。これらのリンクは周波数や時間によって分けられ、それぞれ周波数分割複信(FDD: Frequency Division Duplex)と時分割複信(TDD: Time Division Duplex)という。2つのセルが比較的近傍に位置し、同一の周波数が用いられる場合、無線基地局からそれと無線接続する無線端末へ向けて下りリンクの通信を行なう際に、もう一方の無線基地局と無線接続する無線端末も下りリンクにより受信状態にあってその信号が届く場合にその信号はその無線端末においては無線接続する無線基地局からの信号に対する干渉となる。これはセルでFDDを用いる場合でもTDDを用いる場合でも同様である。この例はセル間でリンクが同期が取れている場合であるが、TDDの場合にこの同期が取れていないと、セルの境界付近の無線端末での干渉の影響はさらに重篤となる。これはセルの境界付近にある無線端末がそれと無線接続する無線基地局から下りリンクで信号を受信している場合に、その無線端末の近傍にある他のセルに属する無線端末が上りリンクの信号を送信した場合には、前述の例の無線基地局よりも該無線端末での受信強度が高く、干渉量が多くなると予想されるからである。このような問題を解決するために、セルラーシステムでは、同一周波数を使用してもそれによる干渉量が所望信号の受信に影響を与えない程度にするため、同一周波数を利用するセルとセルを離して利用する。このセル配置はシステム設計の段階で定めることができるが、周囲の無線環境の変化やシステム自体の再編によって、設計当初の予想よりも干渉量が多くなってしまうことがある。このような場合にも対応できるように、無線基地局が干渉量の少ない周波数へ移行して問題を解決する方法がある。
【0004】
無線基地局が周囲の周波数利用状況に応じて周波数を移行する方法のことを動的周波数選択(DFS: Dynamic Frequency Selection)という。
【0005】
DFSはセルラーシステム以外にも無線LANなど無線通信システムで干渉対策用に広く利用される手法であり、またこれまでの例ではシステム内での干渉に対してのものを紹介したが、異なるシステム間での干渉に対する対処方としても使用される。
【0006】
ここで,周波数の変更と表現している部分については、周波数に留めず、無線資源に拡張できるものとし、チャネルとして認識するものとする。多元接続方式によってチャネルが指すものは異なる。周波数分割多元接続方式(FDMA: Frequency Division Multiple Access)の場合、チャネルとは周波数でよい。また、IEEE 802.11無線LANシステム (ISO/IEC 8802−11:1999(E) ANSI/IEEE Std 802.11、1999 edition)などで使用されるキャリア検出多元接続方式(CSMA: Carrier Sense Multiple Access)においても、同一周波数チャネルを無線基地局が複数の端末をカバーするセル(無線LANではこれをBSS: Basic Service Setという)で共有するため、チャネルとは周波数でよい。時分割多元接続方式(TDMA: Time Division Multiple Access)を用いる場合には、チャネルとは時間(タイムスロット)を表すことになり、符号分割多元接続方式(CDMA: Code DivisionMultiple Access)ではチャネルとは符号を表すことになる。TDMA及びCDMAでは基本的には同一周波数帯域を使用するため、チャネルが重なると干渉となる。またCDMAの場合には符号が異なってもある程度干渉は存在する特徴をもつ多元接続方式である。
【0007】
無線LANでのDFSの使用に関していえば、その一種であるETSI/BRANのHiperLAN/2では無線基地局間及び同一周波数帯を用いるレーダーシステムとの間の干渉対策として、DFSを使用しており、またERC (European Radiocommunications Committee)における規定(ERC/DEC/(99)2)によって欧州で米国の無線LANシステムの仕様であるIEEE 802.11無線LANを使用する場合にもDFSを入れなくてはならない。
【0008】
複数の無線基地局が独立にDFSを行ない、それぞれが干渉を検知して周波数(あるいはチャネル)を変更したものの、その変更した先の周波数(あるいはチャネル)がまた重なり、干渉となる場合が考えられる。このようになると、再びDFSを行って周波数(あるいはチャネル)を変更しなくてはならない。無線通信システムとして使用できる周波数(チャネル)が少ない場合にはこのようにDFSを行って変更した先の周波数(チャネル)が再び重なる確率は高くなり、いつまでも最適な周波数(チャネル)選択が行なえず、周波数(チャネル)切替を繰り返してしまう。
【0009】
一方で、DFSを使用する無線通信システムにおいて、無線基地局が干渉を検知し、使用する周波数(あるいはチャネル)を変更する際、無線接続する無線端末と周波数(あるいはチャネル)変更後にも無線接続できるように該無線基地局は無線接続する無線端末に変更先の周波数(チャネル)を通知する動作がある。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
以上説明したように、隣接する複数の無線通信エリアで同一周波数の通信チャネルを用いることにより生ずる干渉除去のためのチャネル切替を行なう際に、それぞれが別個独立にチャネル切替を行っていたため、それぞれがチャネル切替を行なうことにより、再び同じ周波数のチャネルに移行してしまう可能性があった。また、選択できるチャネル候補が少ない場合には、その可能性が増え、無線通信システムとしてチャネル割り当てが安定するのに時間を要することになる。
【0011】
このように、従来は、隣接する複数の無線通信エリアで同一周波数の通信チャネルを用いることにより生ずる干渉除去のためのチャネル切替を効率よく行なえないという問題点があった。
【0012】
そこで、本発明は、上記問題点に鑑み、隣接する複数の無線通信エリアで、それぞれの基地局が、他の無線通信エリア(の基地局)でのチャネル切替動作に関する情報を基に、効率よくチャネル切替が行なえる無線通信システム、無線基地局装置、無線端末装置を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明は、複数の無線基地局装置と、前記複数の無線基地局装置のいずれかに接続して無線通信を行なう複数の無線端末装置とから構成される無線通信システムにおいて、前記複数の無線端末装置のうちの1つである第1の無線端末装置は、前記複数の無線基地局のうちの1つである第1の無線基地局に接続しているとき、少なくとも、この第1の無線基地局とは異なる他の無線基地局としての第2の無線基地局における通信チャネルの切替動作を検知する検知手段と、少なくとも、前記検知手段で前記通信チャネルの切替を検知したことを通知するための通知フレームを前記第1の無線基地局に送信する送信手段とを具備し、前記第1の無線基地局は、前記複数の無線基地局装置のうちの他の無線基地局装置にて現在使われている通信チャネルからの影響度に応じて、現在接続している無線端末装置との間の無線通信に用いている通信チャネルを、他の通信チャネルに切り替えるチャネル切替手段と、前記第1の無線端末装置から、前記通知フレームを受信したとき、前記チャネル切替手段でのチャネル切替動作を延期または中断する手段と、を具備したことを特徴とする。
【0014】
本発明によれば、隣接する複数の無線通信エリアで、それぞれの基地局が、他の無線通信エリアでのチャネル切替動作に関する情報を基に、干渉除去のためのチャネル切替が効率よく行なえる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0016】
なお、以下の実施形態では、本発明をIEEE 802.11無線LANシステムに適用した場合について説明する。
【0017】
また、一般的に、動的周波数選択(DFS: Dynamic Frequency Selection)では、通常無線資源として周波数に着目しているが、ここでは、この意味を拡張し、周波数の他、時間、符号などの要素も取り入れた無線資源を動的に選択する手法としてとらえることとする。そこで、以下の説明において、チャネルと表現されるものは、無線資源として使用される要素のうち、使い分けることによって干渉を除去できる対象となるものを指すこととする。すなわち、干渉を除去するために、例えば、周波数、時間、符号などを変更することにより、チャネル切替を行なうということである。ここでは、干渉を除去するためのチャネル切替を、周波数を変更することで実現する場合を例にとり説明するが、もちろん、周波数以外の時間、符号などを変更してチャネル切替を行なう場合も基本的には、同様である。
【0018】
さらに、以下の実施形態では、IEEE 802.11無線LANの同一システム内に存在する無線基地局(アクセスポイント)及び無線端末(ステーション)に関して示してあるが、必ずしも同一システム内の無線基地局あるいは無線端末である必要はなく、あるシステムに属する無線基地局が、それとは異なるシステムに属する無線端末や基地局から、チャネル切替を検知した旨のフレーム(チャネル切替通知フレーム)やチャネル切替を指示するフレーム(チャネル切替指示フレーム)を受信する場合にも適用可能である。
【0019】
(1)基地局、無線端末の構成と処理動作
図1に示す通信システムでは、複数の(例えば、ここでは、2つの)無線端末STA101、STA102と無線接続する基地局AP1が1つのBSS(第1のBSS)を構成し、複数の(例えば、ここでは、2つの)無線端末STA201、STA202と無線接続する基地局AP2が1つのBSS(第2のBSS)を構成している。そして、第1のBSS(以下、簡単にBSS1と呼ぶ)と第2のBSS(以下、簡単にBSS2と呼ぶ)は隣接している。
【0020】
このような構成の場合、BSS1内で通信に用いているチャネルと、BSS2内で通信に用いているチャネルとが同一であると、干渉が生ずる。同じチャネルを用いているということは、同じ周波数帯を用いて通信を行っているということである。そこで、基地局AP1、AP2は、干渉除去のために、チャネル切替を行なうものとする。
【0021】
図2は、基地局AP1およびAP2の要部の構成例を示したものである。なお、以下の説明において、基地局AP1とAP2を区別する必要のないときは(両方に共通する説明の場合には)、単に基地局APあるいは基地局と呼ぶ。
【0022】
図2において、受信機11では、アンテナ20で無線端末からの送信信号が受信され、復調及び復号を含む処理によって受信信号が生成される。送信機12で、アンテナ20を介して端末へ送信すべき送信信号が生成され、これらの送信信号はアンテナ20に供給される。
【0023】
受信機11からの受信信号は、受信制御部13に入力され、例えば、IEEE802.11 (IEEE802.11a,IEEE802.11bも含む)に準拠した所定の受信処理などが行なわれる。
【0024】
送信制御部14は、無線端末へブロードキャスト、マルチキャスト、ユニキャストで送信するためのデータの生成等の、IEEE802.11 (IEEE802.11a,IEEE802.11bも含む)に準拠した所定の送信処理などを行なう。ここで生成されたデータは、送信機12を通じて送信信号として無線端末へ送信される。
【0025】
図3は、無線端末STA101、STA102、STA201,STA202の要部の構成例を概略的に示したものである。なお、以下の説明において、無線端末STA101、STA102、STA201,STA202を区別する必要のないときは(全ての無線端末に共通する説明の場合には)、単に無線端末STAあるいは、無線端末と呼ぶ。
【0026】
無線端末STAは、少なくとも、アンテナ100と受信部101と送信部107と情報処理部108から構成されている。
【0027】
情報処理部108で、例えば、ユーザの操作により送信データを作成したり、送信データの送信が指示されると(送信要求が生ずると)、これを受けて送信データを送信部107へ渡す。送信部107は、この送信データ(例えば、IPパケットであってもよい)をIEEE802.11で規定するMACフレームに変換し、ディジタルデータとしてのMACフレームを所定周波数の無線信号に変換した後、アンテナ100から電波として発信される。
【0028】
一方、アンテナ100で受信された信号は、受信部101でディジタルデータとしてのMACフレームに変換され、このMACフレーム中のデータフィールドから受信データを抽出して情報処理部108へ渡す。この場合、情報処理部108は、受信データをディスプレイに表示する等の処理を行なう。なお、情報処理部108は、上記以外にも各種情報処理を行なうようになっていてもよい。
【0029】
図1において、基地局AP1、AP2は、同一チャネル(例えば、ch.1)を使用しているとする。
【0030】
まず、図2に示した構成の基地局のチャネル切替処理動作について、図4に示すフローチャートを参照して説明する。ここでは、基地局AP1、AP2が、同一チャネル(例えば、ch.1)を使用している状態において、基地局AP2が基地局AP1より先に、この状態を検知して、チャネル切替を行なう場合について説明する。
【0031】
基地局AP2は、BSS2内の無線端末に対し、チャネル測定の要求を行なう(ステップS1)。
【0032】
チャネル測定要求は、例えば、IEEE802.11で規定されているMACフレームを用いて行ない、このチャネル測定要求のためのMACフレーム(チャネル測定要求フレーム)は、BSS2内の無線端末に対しブロードキャスト、マルチキャスト、ユニキャストされるものとする。
【0033】
IEEE802.11で規定されているMACフレームは、図5に示すように、各種制御情報が納められた最大30バイトのMACヘッダー、最大2312バイトのデータが収まるデータフィールド(フレーム・ボディ)、そしてデータが正しく送られたのかを調べるためのフレーム・チェック・シーケンス(FCS)で構成されている。
【0034】
MACフレームには、ビーコン(Beacon)やオーセンティケーション(Authentication)のフレーム、アソシエーション(Association)のフレームなどの管理用フレーム、RTS(Return To Send)やCTS(Clear To Send)、ACK(Acknowledgement)のようにアクセス制御で使う制御用フレーム、データ通信用のデータフレームという3種類があり、どの種類のMACフレームであるかはMACヘッダーにあるフレームコントロール中のタイプに示されている。さらに、同じくフレームコントロール中のサブタイプで、上記のようなMACフレームの種類をさらに細かく示している。
【0035】
チャネル測定要求フレームは、例えば、管理用フレームを用いて行なうものとする。管理用フレームのフレーム・ボディ中に、例えば、「測定対象とするチャネル」、「測定時間」、「測定開始のタイミング」、「測定結果の送信期限」などが書き込まれたものが、チャネル測定要求フレームである。このチャネル測定要求フレームが基地局AP2の送信制御部14で作成されて、送信器12,アンテナ20を経て送信される。
【0036】
無線端末では、受信部101でチャネル測定要求フレームを受信すると、当該フレームにて指定されたチャネルの受信電力、すなわち、RSSI(Received Signal Strength Indicator)を受信部101で測定する。測定結果の通知は、例えば、測定結果の通知用のMACフレーム(チャネル測定結果通知フレーム)で基地局AP1に送信される。
【0037】
なお、このようなチャネル測定は、無線端末だけでなく、基地局でも行なうようにしてもよい。
【0038】
チャネル測定結果通知フレームは、チャネル測定要求フレームと同様に、管理用フレームであり、測定結果は、そのフレーム・ボディ中に書き込まれて基地局AP2に送信されるものとする。
【0039】
基地局AP2では、例えば、無線端末STA201から上記チャネル測定結果通知フレームを受信すると(ステップS2)、受信制御部13では、このチャネル測定結果通知フレームから、例えば、基地局AP2の近傍でどのチャネルを用いている通信が行なわれているか、また、チャネル測定要求フレーム中の計測対象として指定したチャネルに対応するRSSIの測定結果から、基地局AP2の近傍の無線通信エリアからのBSS2への影響度がわかる。すなわち、チャネル測定要求フレーム中の計測対象として指定したチャネルが、現在BSS2内の通信に用いられている通信チャネル(例えば、ch.1)と同じで、しかも、そのチャネルに対応するRSSIの値が所定値以上であるとき(影響度が所定値以上であるとき)には、BSS2内の通信に影響を与える(干渉が生ずる)可能性があると判断できる。
【0040】
この場合、チャネル切替を行なうべく(ステップS3)、基地局AP2の例えば、受信制御部13は、いままで使用していた「ch.1」とは別のチャネル、例えば、「ch.2」を選択する(ステップS4)。さらに、この新たなチャネル「ch.2」に切り替えるタイミング(チャネル切替タイミング)を決定する(ステップS5)。チャネルの切替タイミングは、例えば、「2つ目のビーコンを受信した直後」などといったようにチャネルをBSS2内で一斉に切り替えるタイミングを端末側に通知するための情報である。
【0041】
そして、基地局AP2の送信制御部14では、新たなチャネルと、チャネル切替タイミングなどをBSS2内で基地局AP2に接続している無線端末STA201、STA202に対して通知するとともに、チャネルの切替を指示するためのチャネル切替指示フレームを作成して、送信(ブロードキャスト)する(ステップS6,ステップS7)。
【0042】
チャネル切替指示フレームは、例えば、IEEE802.11で規定されているMACフレームの管理用フレームとして定義されているビーコン(Beacon)フレームを用いてもよい。すなわち、ビーコンフレーム中のフレーム・ボディ内に新たな使用領域を設け、上記のような新たなチャネルと、チャネル切替タイミングなどを書き込んで、BSS2内にブロードキャストされる。
【0043】
BSS2内の無線端末STA201,STA202では、基地局AP2からの上記チャネル切替指示フレームを受信すると、そのフレームにて指示されたチャネル切替タイミングに従って、受信部101と送信部107において、基地局AP2との通信に用いるチャネルを「ch.1」から「ch.2」へ切り替えるようになっている。基地局AP2自身もチャネル切替タイミングになると、受信制御部13と送信制御部14において、通信に用いるチャネルを「ch.1」から「ch.2」へ切り替える。
【0044】
なお、無線端末や基地局自身がチャネル切替のために行なう詳細な動作は、本発明の要旨ではないので、説明は省略する。
【0045】
次に、図3に示した構成の無線端末STAの処理動作について、図6に示すフローチャートを参照して説明する。ここでは、基地局AP1に無線接続する無線端末STA101に着目し、この無線端末STA101の処理動作として説明するが、他の無線端末の処理動作も同様である。
【0046】
無線端末STA101は、図1からも明らかなように、基地局AP1に無線接続して、BSS1内の無線端末や基地局からの無線信号を受信することができるとともに、このBSS1に隣接するBSS2内の無線信号をも受信できる位置にある。
【0047】
無線端末STA101の属するBSS1内での通信チャネルは、「ch.1」であるので、無線端末STA101の受信部101では、「ch.1」で受信モードとなっている。このような状態において、無線端末STA101の受信部101でMACフレームを受信した場合の処理動作の概略について、図6に示したフローチャートを参照して説明する。
【0048】
無線端末STA101の受信部101では、受信したMACフレームのMACヘッダーから、当該フレームが基地局宛か、無線端末宛かをチェックする(ステップS21)。受信したフレームが基地局宛であるときは、ステップS22へ進み、無線端末STA101の送信部107では、BSS1内の他の無線端末からの電波との衝突を避けるために、送信待ち時間を設定する動作を行なう(IEEE802.11 (IEEE802.11a,IEEE802.11bも含む)に規定されたNAV(Network Allocation Vector)を設定する)。
【0049】
一方、ステップS21において、受信したMACフレームが無線端末宛であるときは、ステップS23へ進む。当該受信したフレームが、ビーコンフレームであるときはステップS24へ進み、ビーコンフレームでないときは、ステップS31へ進み、受信部101は、当該受信したフレームの種類に応じた通常の受信処理を行なうか、あるいは、送信部107は、自装置からのフレームの送信を抑制するための動作を行なう(NAVを設定する)。
【0050】
さて、ステップS24では、受信したビーコンフレームが無線端末STA101の属するBSS1の基地局AP1からのものであるときは、ステップS33へ進む。なお、ステップS24において、受信したビーコンフレームが、無線端末STA101の属するBSS1の基地局AP1からのものであるか否かは、当該ビーコンフレームのフレームコントロール内のアドレスフィールド(例えば、「アドレス2」など)に記述されているBSSID(Basic Service Set ID:BSSの識別子であって、通常は、基地局のMACアドレス)あるいは、ユーザにより設定され、通信を開始する際のやりとりして、お互いを認証するために用いたSSID(Service Set ID)などを基に判断するようにしてもよい。
【0051】
ステップS33において、当該ビーコンフレームが、上記のようなチャネル切替指示フレームであるときには、ステップS34へ進み、そのフレームにて指示されたチャネル切替タイミングに従って、受信部101と送信部107において、基地局AP1との通信に用いるチャネルを、上記チャネル切替指示フレームにて指示された新たなチャネルへ切り替えるようになっている。一方、ステップS33において、受信したビーコンフレームが、チャネル切替指示フレームではないときは、ステップS35へ進み、受信部101は、ビーコンフレームとしての通常の受信処理を行なう。
【0052】
一方、ステップS24において、受信したビーコンフレームが無線端末STA101の属するBSS1(の基地局AP1)以外の他のBSSからのものであるときは、ステップS25へ進む。そして、当該ビーコンフレームが、上記のようなチャネル切替指示フレームであるときには、ステップS26へ進む。
【0053】
本実施形態では、無線端末(例えば、無線端末STA101)で受信したビーコンフレームが当該無線端末の属するBSS(BSS1)とは異なる他のBSS(の基地局)からのものである場合に、そのビーコンフレームがチャネル切替指示フレームであるときには、当該無線端末(無線端末STA101)の受信部101は、当該受信したビーコンフレームの内容全て、あるいは、当該受信したビーコンフレーム中の予め定められた箇所に書き込まれているデータの内容を、自装置の属するBSS(BSS1)の基地局(基地局AP1)宛てに通知するようになっている。この無線端末が受信した、当該無線端末の属するBSSとは異なる他のBSSのチャネル切替指示フレームの内容を、自装置の属するBSSの基地局へ通知する際には、例えば、IEEE802.11で規定されているMACフレームのうちの例えば管理用フレームを用いて行なうものとする。この他のBSSにおけるチャネル切替を通知するための管理用フレームのMACフレームを、ここでは、チャネル切替通知フレームと呼ぶ。
【0054】
ステップS26では、例えば、無線端末STA101の受信部101は、基地局AP2から送信されてきたビーコンフレームを受信した場合に、それが、チャネル切替指示フレームであるときには、送信部107は、当該チャネル切替指示フレームの内容全て、あるいは、当該チャネル切替指示フレーム中の予め定められた箇所に書き込まれているデータの内容を基地局AP1に通知するために、チャネル切替通知フレームを作成する。このチャネル切替通知フレームは、例えば、受信したチャネル切替指示フレームのアドレスフィールドのいくつかあるいは全てを書き直したものであってもよい。例えば、受信したチャネル切替指示フレーム中の例えば、図5の「アドレス1」に書き込まれている宛先アドレスを基地局AP1のアドレスに書き直したものであってもよい。さらに、管理用フレームでは図5の「アドレス2」には、送信元の基地局AP2のアドレスが書き込まれているが、これを無線端末STA101のアドレスに書き直してもよい。また、「アドレス3」に書かれているBSSIDを、無線端末STA101の属するBSS(BSS1)のBSSIDに書き直してもよい。ステップS27では、例えば、受信したチャネル切替指示フレームの宛先アドレスを基地局AP1のアドレスに書き直すことにより生成されたチャネル切替通知フレームを、基地局AP1に送信する。
【0055】
例えば、チャネル切替通知フレームを作成する場合には、上記のように、単に受信したチャネル切替指示フレームの宛先アドレスを書き直すことにより生成するのではなく、チャネル切替指示フレームのフレーム・ボディに書き込まれている「新たなチャネル」、「チャネル切替タイミング」などを取り出して、それらが所定のフォーマットでフレームボディに書き込まれた、チャネル切替通知フレームを新たに作成するようにしてもよい。また、チャネル切替通知フレームを新たに作成することなく、他の用途に用いられるMACフレーム(の例えば、フレーム・ボディ中)に、チャネル切替指示フレームのフレーム・ボディに書き込まれている「新たなチャネル」、「チャネル切替タイミング」などを書き込んで、当該無線端末の属する基地局へ送信するようにしてもよい。
【0056】
ところで、ステップS25において、無線端末STA101が受信した、無線端末STA101の属するBSSとは異なるBSSのビーコンフレームがチャネル切替指示フレームでないときには、ステップS32へ進み、受信部101は、無線端末STA101の属するBSSとは異なるBSSからビーコンフレームを受信したときの所定の受信処理を行なう。この受信処理に基づき、必要に応じて、送信部107は、自装置からのフレームの送信を抑制するための動作を行なう(NAVを設定する)。
【0057】
なお、無線端末STA101の受信部101では、予め基地局AP1から指示のあったチャネル「ch.1」でのみ受信待機するようにしてもよいが、他のチャネルに自ら移行して受信待機するようにしてもよい。後者の場合、例えば、チャネル測定要求フレームにて基地局から指定されたチャネルへ以降して、チャネル測定を行なう場合とともに、そのまま、その受信モードで、図6に示したような処理動作を行なえばよい。
【0058】
さて、図4に示したフローチャートに従って、基地局AP2がチャネル切替指示フレームを送信したとき、無線端末STA101の受信部101が、図6のステップS26〜ステップS27において、基地局AP2から送信されたチャネル切替指示フレームを受信すると、送信部107は、当該チャネル切替指示フレームの内容を基地局AP1に通知するために、チャネル切替通知フレームを作成して、基地局AP1に送信することとなる。
【0059】
基地局AP1は、無線端末STA101からのチャネル切替通知フレームを受信すると、このチャネル切替通知フレームを受信したということによって、少なくとも「BSS1内の通信に対して影響を与え得る他のBSS(図1に示した通信形態では、BSS2だけであるので、BSS2)がチャネル切替を開始した」ことを知ることができる。
【0060】
さらに、基地局AP1が受信した、当該チャネル切替通知フレームが、無線端末STA101が「ch.1」でのみ受信待機していたときに送信したものであると、基地局AP1が把握できる場合には、「BSS1に対して影響を与え得る他のBSS(ここでは、BSS2)がチャネル切替を開始した」という情報以外に、「当該他のBSSが同一のチャネル「ch.1」を使用して、BSS1に干渉を及ぼしていたが、チャネル切替完了後には干渉を及ぼさなくなる」という情報も得られる。
【0061】
基地局AP1では、BSS1内の無線端末からのチャネル切替通知フレームを受信したときには、受信制御部13は、受信制御部13および送信制御部14における図4に示したようなチャネル切替動作を中断(中止)あるいは、延期するよう制御する。
【0062】
基地局AP1がチャネル切替動作を中断したり、延期したりすることにより、BSS1に隣接するBSS2内がチャネル切替という不安定な状況にある期間を避けて、(好ましくは、BSS1が新たなチャネルに以降して安定した状態になったころを見計らって)図4に示したようなチャネル切替を行なうか否かの判定と、その判定に基づくチャネル切替動作(以下の説明において、判定を含む図4で示すような一連の動作をチャネル切替動作と呼ぶこととする)を行なうことができるので、BSS1におけるチャネル切替が、効率よく行なえる。すなわち、隣接するBSS同士で別個独立に例えば、同じ時期にチャネル切替を行なうことによって、同じチャネルに切り替えてしまうといった不具合がなくなり、各BSS(の基地局)が効率よくチャネル切替が行なえるのである。
【0063】
例えば、基地局AP2のBSS2では、チャネル「ch.1」ではなく別のチャネル、例えば「ch.2」を使用していて、基地局AP1のBSS1では、「ch.1」を使用しているとする。この場合、無線端末STA101が、「ch.2」に移行して受信待機しているときに、基地局AP2からのチャネル切替指示フレームを受信したとする。すると、無線端末STA101からは、基地局AP2からのチャネル切替指示フレームに対応するチャネル切替情報通知フレームが基地局AP1宛に送信される。基地局AP1は、このチャネル切替情報通知フレームを受信すると、そのとき、図4に示したチャネル切替動作を行っているときには、そのチャネル切替動作を止める。図4に示したチャネル切替動作を行っていなければ、当該チャネル切替動作を延期する。このように制御することで、BSS1では、BSS2におけるチャネル切替動作が終了するまでの不安定な状況の間に、チャネル切替を行なうことがなくなる。BSS2におけるチャネル切替動作が終了するまでの不安定な状況の間に、チャネル測定を行っても、その測定結果は信頼性が低いのである。
【0064】
なお、基地局AP1では、チャネル切替通知フレームはいつでも受信し得る。例えば、基地局AP1が図4に示したチャネル切替動作を行なう以前にBSS1内の無線端末からチャネル切替通知フレームを受信した際には、図4に示したチャネル切替動作を所定時間延長するようにしてもよい。
【0065】
また、チャネル切替通知フレームは、基地局AP1が図4に示したチャネル切替動作を行っている最中であっても受信することができる。すなわち、基地局AP1が図4に示したどのステップにある状態であってもチャネル切替通知フレームを受信すれば、その処理動作を中断する。
【0066】
また、基地局AP1は、前述したように、図4のチャネル切替動作の過程において、ステップS1〜ステップS2に示したように、BSS1内の無線端末に対しチャネル測定を要求し、当該無線端末にチャネル測定を行わせることにより(あるいは、基地局AP1自身がチャネル測定を行なうようにしてもよい)、基地局AP1は、その近傍で行われている他の無線通信にて(例えば、この場合、基地局AP2のBSS2内の無線通信にて)、同一チャネルを使用していると把握することができた。この場合、図7に示すように、ステップS3において、チャネル切替を行なうと判断するが、さらに、ステップS10へ進み、上記のように、例えば、無線端末STA101からのチャネル切替通知フレームを受信していたときには、チャネル切替動作を中断するようにしてもよい。なお、図7に示したフローチャートでは、図4と同一部分には同一符号を付しており、図7では、ステップS3とステップS4の間にステップS10が追加されている点が図4と異なる。
【0067】
また、基地局AP1が現在のチャネル「ch.1」から他のチャネルに切り替えるためにチャネル切替指示フレームを送信した後(図4のステップS7)であっても、無線端末STA101からのチャネル切替通知フレームを受信すると、チャネル切替動作を中断するようにしてもよい。
【0068】
例えば、パワーセーブモードの無線端末で周期的にしかウェイクしない場合もあり、そのようなパワーセーブモードの無線端末にも着実に情報が伝達するように、チャネル切替指示フレームは、図4のステップS7において、複数回、繰り返して送信する必要がある。パワーセーブモードの無線端末が一旦このチャネル切替指示フレームを受信したら、その後はスリープモードに移行せず、アクティブにしているようにする。そして、チャネル切替タイミングもチャネル切替通知フレームを所定回数受信したときと指示されているものとする。無線端末では、一旦チャネル切替指示フレームを受信したら、その後はアクティブになっているので、受信したチャネル切替指示フレームをカウントすることができる。従って、基地局から、チャネル切替通知フレームの送信が止まれば、無線端末側での受信したチャネル切替通知フレームのカウントも所定時間以上停止するので、この場合には、無線端末は、基地局でチャネル切替動作が中止(中断)されたと判断するようにしてもよい。
【0069】
あるいは、基地局AP1では、図4のステップS7で、チャネル切替指示フレームを送信した後であっても、例えば、無線端末STA101からのチャネル切替通知フレームを受信すると、チャネル切替動作を中断する旨を無線端末に通知するための所定のMACフレーム(例えば、チャネル切替動作を中断する旨の情報をビーコンフレームに書き込んだものであってもよい)をBSS1内にブロードキャストして、チャネル切替動作を中断するようにしてもよい。チャネル切替動作を中断する旨のフレームを受信した無線端末では、図6のステップS34での処理は実行しない。すなわち、先にチャネル切替指示フレームにで指示されたチャネル切替タイミングになってもチャネルの切替は行わない。
【0070】
以上説明したように、上記実施形態に係る無線端末は、その無線端末が無線接続している基地局とは異なる基地局から送信されたチャネル切替指示フレームを受信したとき、それを棄却せず、当該受信したチャネル切替指示フレームの内容を自装置が無線接続している基地局に対し、チャネル切替通知フレームとして通知する。
【0071】
すなわち、無線端末の受信部101では、少なくとも、自装置が接続している基地局とは異なる他の基地局における通信チャネルの切替動作を検知する検知手段を有し、送信部107は、少なくとも、上記検知手段で通信チャネルの切替を検知したことを通知するための通知フレームを自装置が接続している基地局に送信する送信手段とを有している。
【0072】
一方、基地局側の受信制御部13と送信制御部14では、図4に示したような、他の基地局にて現在使われている通信チャネルからの影響度に応じて、現在接続している無線端末との間の無線通信に用いている通信チャネルを、他の通信チャネルに切り替える(チャネル切替動作)チャネル切替手段を有するとともに、受信制御部13は、自装置に現在接続している無線端末から、通知フレームを受信したとき、受信制御部13および送信制御部14における上記チャネル切替手段でのチャネル切替動作を延期または中断する手段を有している。
【0073】
チャネル切替通知フレームの宛先である基地局が当該チャネル切替通知フレームを受信することによって、当該基地局は、少なくとも、当該基地局とそれに無線接続する複数の無線端末との間の無線通信に影響を与えるような他の無線通信エリアが存在し、その他の無線通信エリアではチャネル切替を行なおうとしているということが検知できる。従って、当該チャネル切替通知フレームを受信した基地局では、この検知された他の無線通信エリアにおけるチャネル切替が終了するまでは(無線の伝搬環境が不安定である状況下で)、干渉除去のために敢えてチャネル切替を行なう必要もないので、チャネル切替の動作を中断あるいは延期することができるのである。
【0074】
このように、無駄なチャネル切替動作をすることがなくなるので、BSSのような互いに隣接し合った複数の無線通信エリアで、それぞれの基地局が、他の無線通信エリアでのチャネル切替動作に関する情報(チャネル切替指示フレーム内の情報)を基に、効率よくチャネル切替が行なえる。
【0075】
以上は、本発明の基本的な構成および処理動作について説明した。以下、上記の無線端末、無線基地局の構成や処理動作などの各種バリエーション、追加的な機能について説明する。
【0076】
(2)基地局における、受信したチャネル切替通知フレームに書き込まれている情報に基づく、チャネル切替動作の開始タイミングの決定手法
前述したように、図1における基地局AP1が、無線端末STA101から送信された基地局AP2に対応するチャネル切替通知フレームを受信したときには、基地局AP1は、図4に示したようなチャネル切替動作を中断したり、延期したりする。
【0077】
この基地局AP1は、チャネル切替動作を中断したり、延期したりする際には、受信したチャネル切替通知フレームに書き込まれている情報に基づいて、基地局AP2がチャネル切替を終了する時刻を判断(推定)して、図4に示したようなチャネル切替動作を開始するタイミングを決定するようにしてもよい。
【0078】
この場合、基地局APと無線端末STAの構成は、図2,図3と同様であるが、それらの処理動作と、MACフレームとして基地局と無線端末間でやりとりされる情報が多少異なる。
【0079】
チャネル切替指示フレームは、ここでは、前述したように、本来は、ビーコンフレームである。すなわち、チャネル切替指示フレームは、このビーコンフレーム中に新たな使用領域を設け、新たなチャネルとチャネル切替タイミングなどのチャネル切替の際に必要な指示データなどを書き込んだものである。
【0080】
チャネル切替指示フレーム中の「チャネルの切替タイミング」は、このチャネル切替指示フレームを受信した無線端末が、例えば、「当該フレームを受信後、n個目(nは正の整数)のビーコンフレームを受信したときにチャネルを切り替えるようにする」というような情報を表したものである。
【0081】
基本的には、基地局AP2が送信した、上記のようなチャネル切替指示フレームをBSS1内の無線端末STA101が受信し、この受信したチャネル切替指示フレームを基に、BSS1内の基地局AP1宛にチャネル切替通知フレームを作成して送信するようになっている。そこで、チャネル切替通知フレームに、受信したチャネル切替指示フレーム中の「チャネルの切替タイミング」が含まれていれば、当該チャネル切替通知フレームを受信した基地局AP1では、いつ頃基地局AP2がチャネル切替を終了するか、を判断することができる。
【0082】
すなわち、ここでは、チャネル切替通知フレームには、必ず、チャネルの切替タイミングが含まれているものとする。すなわち、無線端末は、自身が属するBSSとは異なるBSSの基地局が送信したチャネル切替指示フレームを受信した際には、図6のステップS26において、チャネル切替通知フレームを作成するが、このとき、作成されるチャネル切替通知フレームには、受信したチャネル切替指示フレーム中の少なくともチャネルの切替タイミングが含まれている。さらに、チャネル切替指示フレーム中にビーコン周期がある場合には、これもチャネル切替通知フレームに含めることが好ましい。このビーコン周期の情報をチャネル切替通知フレームに含めることによって、チャネル切替指示フレームを送信している基地局AP2の(BSS2での)ビーコン周期が分かり、基地局AP1で、BSS2がチャネル切替を行なうタイミングをより正確に判断(推定)することができる。なお、前述したように、無線端末STA101で作成するチャネル切替通知フレームが、受信したチャネル切替指示フレームをそのまま、その宛先アドレスを基地局AP1のアドレスに書き直したものであれば、当該チャネル切替通知フレームには「チャネルの切替タイミング」は必ず含まれている。またこの場合、BSS2でのビーコン周期も必ず含まれている。
【0083】
また、前述したように、基地局AP1では、チャネル切替通知フレームはいつでも受信し得る。
【0084】
このようなチャネル切替通知フレームを受信したときに着目した基地局の処理動作について、図8に示すフローチャートを参照して説明する。なお、ここでは、一例として、無線端末STA101が、基地局AP2が送信したチャネル切替指示フレームを受信し、この受信したチャネル切替指示フレーム中のチャネル切替タイミングを含むようなチャネル切替通知フレームを作成して、BSS1内の基地局AP1宛に送信した場合の、基地局AP1の動作として説明する。
【0085】
基地局AP1(の受信制御部13)は、BSS1内の無線端末STA101からのチャネル切替通知フレームを受信したとき(ステップS51)、図4に示したチャネル切替動作を行っている最中であるときには、チャネル切替動作を一旦中断し(ステップS52、ステップS53)、ステップS54へ進む。チャネル切替通知フレームを受信したときにチャネル切替動作を行っていなければ、そのままステップS54へ進む。
【0086】
ステップS54では、基地局AP1では、受信したチャネル切替通知フレームに含まれている「チャネルの切替タイミング」を基に、基地局AP2がチャネル切替を終了する時刻(終了時刻)を予測する。そして、この終了時刻の後には、基地局AP2のBSS2でのチャネルの使用状態が安定していると判断できるので、そのときには(ステップS55)、ステップS56へ進み、BSS1内の無線端末に対し、チャネル測定要求フレームの送信を開始して、図4に示したチャネル切替動作を開始する。
【0087】
なお、無線端末STA101からのチャネル切替通知フレームがACKフレームを要求する種類のフレーム、例えばユニキャストで送信された管理用フレームやデータフレームである場合には、ステップS52からの処理動作と平行して、受信したチャネル切替通知フレームに対するACKフレームの送信処理を行なう。
【0088】
ところで、ステップS55で、先に推定された終了時刻経過後に送信するチャネル測定要求フレームの送信先アドレスとしては、BSS1内の全ての無線端末に対するブロードキャストアドレスであってもよいし、BSS1内の一部の無線端末、例えば、無線端末STA101とSTA102のみを指定するマルチキャストアドレスにしてもよい。
【0089】
また、以前にチャネル切替通知フレームを送信したことのある無線端末STA101は、基地局AP1により構成される無線通信エリアの境界位置にいるか、あるいは干渉を測定するのに適切な位置にいると判断できる。そこで、基地局AP1は、BSS1内の無線端末のうち、チャネル切替通知フレームを以前に(好ましくは直前に)送信したことのある無線端末STA101のような無線端末をチャネル測定要求フレームの送信先として、優先的に選択するようにしてもよい。そして、この場合には、チャネル測定要求フレームを例えば無線端末STA101宛にユニキャストするようにしてもよい。なお、基地局がチャネル測定要求フレームの送信先としての無線端末を選択する方法としては、上記の他に、後述するチャネル切替通知フレームを送信する無線端末を選択する手法を適用することもできる。
【0090】
以上説明したように、基地局の受信制御部13は、自装置宛てのチャネル切替通知フレームを受信したとき、その中に含まれるチャネルの切替タイミングを基に、当該チャネル切替通知フレームにて通知されたチャネル切替の終了時刻を推定し、この終了時刻経過後に、自装置におけるチャネル切替動作を開始するよう制御することにより、当該基地局とそれに無線接続する複数の無線端末との間の無線通信に影響を与えるような他の無線通信エリアでのチャネル切替時の不安定な時期を避けて、チャネル切替後の安定した通信状態のときに、チャネル測定などのチャネル切替をするか否かを判断するための情報を収集することができる。従って、当該基地局とそれに無線接続する複数の無線端末との間の無線通信に影響を与えるような他の無線通信エリアでのチャネル切替中の通信状態が不安定な状態に、チャネル測定などを行って、無駄なチャネル切替動作を行わなくてもすむので、BSSのような互いに隣接し合った複数の無線通信エリアで、それぞれの基地局が、他の無線通信エリアでのチャネル切替動作に関する情報を基に、干渉除去のためのチャネル切替が効率よく行なえる。
【0091】
(3)チャネル切替時のチャネル選択手法
基地局APは、受信したチャネル切替通知フレームに書き込まれている情報を基に、当該基地局でチャネル切替を行なう際に、切り替える先のチャネルを選択するようにしてもよい。この場合の基地局APの構成例を図9に示す。
【0092】
図9に示すように、基地局APは、チャネルを選択する際に用いるチャネルテーブル21を有している点が図2に示した構成と異なる。また、無線端末STAの構成は、図3と同様であるが、基地局APと無線端末STAの処理動作と、MACフレームとして基地局と無線端末間でやりとりされる情報が多少異なる。
【0093】
チャネルテーブル21には、基地局APが選択することのできる少なくとも1つのチャネルが記録されている。このテーブル21は、例えば、RAMなどの書換可能な所定のメモリで構成されている。
【0094】
前述したように、基地局AP2が送信した、上記のようなチャネル切替指示フレームを、BSS1内の無線端末STA101が受信したときには、無線端末STA101は、この受信したチャネル切替指示フレームを基に、BSS1内の基地局AP1宛にチャネル切替通知フレームを作成して送信するようになっている。そこで、チャネル切替通知フレームに、受信したチャネル切替指示フレーム中のチャネル切替後の「新たなチャネル」が含まれていれば、当該チャネル切替通知フレームを受信した基地局AP1では、この「新たなチャネル」に対応するチャネルテーブル中のチャネルを選択しないようにすることができる。
【0095】
すなわち、ここでのチャネル切替通知フレームには、必ず、チャネル切替指示フレームに書き込まれていた、チャネル切替後の「新たなチャネル」が含まれているものとする。すなわち、無線端末は、自身が属するBSSとは異なるBSSの基地局が送信したチャネル切替指示フレームを受信した際には、図6のステップS26において、チャネル切替通知フレームを作成するが、このとき、作成されるチャネル切替通知フレームには、受信したチャネル切替指示フレーム中の少なくとも「新たなチャネル」が含まれている。なお、前述したように、無線端末STA101で作成するチャネル切替通知フレームが、受信したチャネル切替指示フレームの宛先アドレスを基地局AP1のアドレスに書き直したものであれば、当該チャネル切替通知フレームには「新たなチャネル」というデータは必ず含まれている。
【0096】
また、前述したように、基地局AP1では、チャネル切替通知フレームはいつでも受信し得る。
【0097】
このようなチャネル切替通知フレームを受信したときに着目した基地局の処理動作について、図10に示すフローチャートを参照して説明する。なお、ここでは、一例として、無線端末STA101が、基地局AP2が送信したチャネル切替指示フレームを受信し、この受信したチャネル切替指示フレーム中の少なくとも「新たなチャネル」を含むようなチャネル切替通知フレームを作成して、BSS1内の基地局AP1宛に送信した場合の、基地局AP1の動作として説明する。
【0098】
なお、図10において、図8と同一部分について同一符号を付している。
【0099】
基地局AP1(の受信制御部13)は、BSS1内の無線端末STA101からのチャネル切替通知フレームを受信したとき(ステップS51)、図4に示したチャネル切替動作を行っている最中であるときには、チャネル切替動作を一旦中断し(ステップS52、ステップS53)、ステップS61へ進む。チャネル切替通知フレームを受信したときにチャネル切替動作を行っていなければ、そのままステップS61へ進む。
【0100】
ステップS61では、受信したチャネル切替通知フレームから、その中に書き込まれている、チャネル切替後の新たなチャネル(例えば、ここでは、チャネル「ch.2」)を取り出す。そして、チャネルテーブル21中に、この取り出された「新たなチャネル」に対応するチャネル(すなわち、この場合「ch.2」)があるときには、当該「新たなチャネル」に対応するチャネルが選択されないように、チャネルテーブル21を更新する(ステップS62)。チャネルテーブル21を更新するには、例えば、チャネルテーブル21上の当該「新たなチャネル」に対応するチャネル「ch.2」の優先順位(選択順位)を下げるようにしてもよいし、優先順位を下げる代わりにチャネルテーブル21から「ch.2」を削除するという手法をとることとしてもよい。ここでは、まず、後者の場合について説明する。
【0101】
このように、基地局では、受信した切替通知フレームの中に書き込まれている、チャネル切替後の新たなチャネルに対応するチャネルは、チャネルテーブル21から削除することにより、図4に示したようなチャネル切替動作時にチャネルを選択する際の選択対象から予め除外しておく。こうすることで、後に基地局AP1がチャネル切替を行った場合に、基地局AP2のBSS2内の通信チャネルと再び同一のチャネルになって干渉を及ぼし合うのを防ぐことができる。
【0102】
なお、無線端末STA101からのチャネル切替通知フレームがACKフレームを要求する種類のフレーム、例えばユニキャストで送信された管理用フレームやデータフレームである場合には、ステップS52からの処理動作と平行して、受信したチャネル切替通知フレームに対するACKフレームの送信処理を行なうことは云うまでもない。
【0103】
ところで、ここでは、チャネル切替通知フレームにて通知されたチャネル(「新たなチャネル」)は、チャネルテーブル21から削除するようになっているため、このチャネルテーブル21には、1つのチャネルしか残っていない場合もある。この場合、このチャネルテーブル21にただ1つ残っているチャネルが、チャネル切替通知フレームにて「新たなチャネル」として通知されてきたときでも、チャネルテーブル21からは削除しないようにしてもよい。また、このチャネルテーブル21にただ1つ残っているチャネルが、チャネル切替通知フレームにて「新たなチャネル」として通知されてきたときには、そのチャネルを削除するとともに、もともとチャネルテーブル21には登録されているチャネルであって、図10に示した処理動作により削除されたチャネルを復帰させるようにしてもよい。
【0104】
さらに、図10のステップS62の次に、図8のステップS54〜ステップS56を追加して、基地局は、受信した自装置宛のチャネル切替通知フレームの中に含まれるチャネルの切替タイミングを基に、当該チャネル切替通知フレームにて通知されたチャネル切替の終了時刻を推定し、この終了時刻経過後に、自装置におけるチャネル切替動作を開始するようにしてもよい。
【0105】
以上説明したように、基地局は、現在接続している無線端末との間の無線通信に用いることのできる通信チャネルが記録されているテーブルを記憶する記憶手段(チャネルテーブル21)を有し、例えば、受信制御部13には、このテーブルを基に、チャネル切替の際に切り替え後の新たな通信チャネルを選択する選択手段と、チャネル切替通知フレームを受信したとき、上記選択手段で、当該フレームにて通知された通信チャネルが選択されないように、上記テーブルを更新する更新手段とを有している。
【0106】
基地局では、受信した切替通知フレームの中に書き込まれていた、チャネル切替後の新たなチャネルに対応するチャネルは、チャネルテーブル21から削除することにより、図4に示したようなチャネル切替動作時にチャネルを選択する際の選択対象から予め除外しておく。こうすることで、後に当該基地局がチャネル切替を行った場合に、他の基地局のBSS内の通信チャネルと再び同一のチャネルになって干渉を及ぼし合うのを防ぐことができるので、BSSのような互いに隣接し合った複数の無線通信エリアで、それぞれの基地局が、他の無線通信エリアでのチャネル切替動作に関する情報(チャネル切替指示フレーム内の情報)を基に、効率よくチャネル切替が行なえる。
【0107】
なお、上記説明では、基地局は、受信したチャネル切替通知フレームの中に書き込まれている、チャネル切替後の新たなチャネルに対応するチャネルをチャネルテーブル21から削除するようになっているが、この場合に限らない。例えば、チャネルテーブル21には、基地局が選択可能な複数のチャネルが登録されているとともに、それらのうちから1つを選択する際の優先順位(選択順位)が書き込まれていて、チャネル切替通知フレームを受信するたびに、この優先順位を更新するようにしてもよい。
【0108】
例えば、チャネルテーブル21には、4つのチャネル(例えば、ch.1〜ch.4)が登録されているとする。これら4つのチャネルch.1〜ch.4には、優先順位として1位〜4位がそれぞれ設定されている。
【0109】
このような状態において、例えば、基地局AP1が、図10のステップS61において、受信したチャネル切替通知フレームの中から、チャネル切替後の新たなチャネルとして「ch.1」が取り出せたとする。このとき、ステップS62では、チャネルテーブル21に登録されている「ch.1」の優先順位を1位から4位に下げ、ch.2からch.4の優先順位をそれぞれ1位〜3位に上げる。
【0110】
そして、基地局AP1では、図4のチャネル切替動作を行なう際には、ステップS4において、優先順位の1位のものから順に選択するようにすればよい。
【0111】
このように、基地局では、チャネルテーブル21に登録されているチャネルの優先順位を、チャネル切替通知フレームを受信するたびに更新することで、後に当該基地局がチャネル切替を行った場合に、他の基地局のBSS内の通信チャネルと再び同一のチャネルになることを避けるように柔軟に対応することができる。
【0112】
(4) 他の基地局から送信されたチャネル切替指示フレームを受信する基地局の処理動作
前述したように、無線端末は、自身が属するBSSとは異なる他のBSSでのチャネル切替指示フレームを受信したときには、それを自身が属するBSSの基地局に通知するようになっていた。しかし、基地局自身が他の基地局から送信されたチャネル切替指示フレームを受信するようにしてもよい。
【0113】
この場合の基地局APの構成は、図9と同様である。しかし、基地局APが他の基地局から送信されたチャネル切替指示フレームを受信するので、無線端末からチャネル切替通知フレームを受信しなくとも、他の基地局からのチャネル切替指示フレームを受信したときには、その受信したチャネル切替指示フレームに基づいて、チャネル切替動作を中断したり、延期したりといった処理動作を行なう点が異なる。
【0114】
すなわち、基地局の受信制御部13は、前述した機能の他に、さらに、以下に説明するような、基地局APが他の基地局から送信されたチャネル切替指示フレームを受信して、それに基づいて、チャネル切替動作を中断したり、延期したりといった制御機能を有している。
【0115】
以下、基地局の処理動作の一例として、図11に示したフローチャートを参照して説明する。
【0116】
ここでは、例えば、基地局AP1が基地局AP2から送信されたチャネル切替指示フレームを受信する場合の基地局AP1の動作として説明するが、基地局AP1と基地局AP2とを入れ替えても、全く同様である。
【0117】
基地局AP1は、基地局AP1により構成されるBSS1とは異なる他のBSS内のチャネル切替通知フレーム(ここでは、BSS2の基地局AP2から送信されるチャネル切替通知フレーム)を受信したとき(ステップS101)、図4に示したチャネル切替動作を行っている最中であるときには、チャネル切替動作を一旦中断し(ステップS102、ステップS103)、ステップS104へ進む。チャネル切替通知フレームを受信したときにチャネル切替動作を行っていなければ、そのままステップS104へ進む。
【0118】
なお、ステップS103において、チャネル切替動作を中断する場合の基地局の動作は第1の実施形態と同様に、図4に示したどのステップにおいても中断可能である。
【0119】
チャネル切替指示フレームには、チャネルの切替タイミングや、切替後の新たなチャネルなどが含まれている。
【0120】
ステップS104では、まず、この受信したチャネル切替指示フレームから切替後の「新たなチャネル」を取出し、前述したように、チャネルテーブル21中の当該「新たなチャネル」に対応するチャンネルの優先順位を下げる、あるいはチャネルテーブル21から削除する(ステップS105)。
【0121】
次に、受信したチャネル切替指示フレームに含まれている、「チャネルの切替タイミング」を基に、基地局AP2がチャネル切替を終了する時刻(終了時刻)を予測する(ステップS106)。そして、この終了時刻の後に(ステップS107)、BSS1内の無線端末に対し、チャネル測定要求フレームの送信を開始して、図4に示したチャネル切替動作を開始する(ステップS108)。
【0122】
このように、基地局において、他の基地局から送信されたチャネル切替指示フレームを受信して、チャネル切替の動作を中断あるいは延期したり、また、当該基地局がチャネルを選択する際には、当該他の基地局と同じチャネルを選択することが避けられるので、互いに隣接し合った複数のBSSのような無線通信エリアで、それぞれの基地局が、他の無線通信エリアでのチャネル切替動作に関する情報(チャネル切替指示フレーム内の情報)を基に、効率よくチャネル切替が行なえる。
【0123】
(5)指向性ビーム制御を有する基地局の処理動作
基地局は、指向性アンテナを用いて送受信を行なう場合も本発明は適用可能である。
【0124】
ここでは、図1に示した基地局APのうち、少なくとも基地局AP1が指向性アンテナを用いて送受信を行なう場合について説明するが、もちろん基地局AP2も基地局AP1と同様、指向性アンテナを用いて送受信を行なう場合も全く同様である。
【0125】
指向性アンテナを用いて送受信を行なう基地局AP(ここでは、例えば、基地局AP1)の構成例を図12に示す。
【0126】
基地局APは、指向性アンテナの1つである、アダプティブアレイアンテナ25を備えている。アダプティブアレイ25は複数の比較的狭い指向性パターン(指向性ビームあるいはアンテナビームという)を形成する。このようなアンテナビームによって、基地局APは複数の無線端末STAや、他の基地局との間で同一チャネルでの同時通信を行なうことが可能である。すなわち、基地局APは、空間分割多元接続方式(SDMA)で通信を行なうようになっている。なお、本実施形態では基地局APが3個のアンテナビームを形成して、空間分割多元方式の通信を行なう例について説明するが、アンテナビームの数及び同時通信を行なう端末数は、2以上の任意の数であればよい。
【0127】
図12に示すように、基地局APの受信機11−1〜11−3では、アダプティブアレイアンテナ25の各アンテナビームを介して無線端末や他の基地局からの送信信号を受信し、復調及び復号を含む処理によって受信信号RS1〜RS3が生成される。
【0128】
一方、送信機12−1〜12−3では、アダプティブアレイアンテナ25の各アンテナビームを介して無線端末や他の基地局へそれぞれ送信すべき送信信号TS1〜TS3を生成し、これらの送信信号TS1〜TS3はアダプティブアレイアンテナ25に供給される。
【0129】
受信機11−1〜11−3からの受信信号RS1〜RS3は、受信制御部13に入力され、所定の受信処理が行われる。
【0130】
送信制御部14は、無線端末、他の基地局へブロードキャスト、マルチキャスト、ユニキャストで送信するためのデータの生成等の送信処理を行なう。ここで生成されたデータは、送信機12−1〜12―3を通じて送信信号TS1〜TS3として無線端末や基地局へ送信される。
【0131】
図12に示した構成の基地局AP1は、アダプティブアレイアンテナ25を有することにより、通信相手としての他の基地局(例えば基地局AP2)や無線端末STA101,STA102のそれぞれに対し、それぞれに割り当てた(所定の方向に)指向性ビームを形成して通信を行なうことにより、無線端末側では、基地局AP1から自分以外の無線端末に向けた信号を受信する機会が減少し、したがって干渉が削減でき、基地局AP1に無線接続できる端末数すなわち基地局AP1のBSSでの通信容量を増加させることができる。
【0132】
さて、図12に示した構成の基地局AP1は、無線端末STA101から送信された基地局AP1宛のチャネル切替通知フレームを、第1の方向に形成された指向性ビームを介して受信すると、第1の方向に干渉の影響を受けるあるいは今後受ける恐れのあるBSSでのチャネル切替が行なわれることを検知することができる。また、第2の方向に形成された指向性ビームを介して、無線端末STA102から送信された基地局AP1宛のチャネル切替通知フレームを受信した場合も、第2の方向に干渉の影響を受けるあるいは今後受ける恐れのあるBSSでのチャネル切替が行なわれることを検知することができる。
【0133】
また、基地局AP1が送信においても指向性アンテナを用いる場合には、上記のような受信によって、指向性ビームの形成されている方向にあるBSSでの動作を検知することができ、その上で方向に応じて効率的にチャネル選択をすることができる。
【0134】
さらに、基地局AP1は、第1の方向に形成された第1の指向性ビームを介して、複数の無線端末STAのそれぞれから送信されたチャネル切替通知フレームを受信した場合には、その受信したチャネル切替通知フレーム内の情報(例えば、チャネルの切替タイミングや、切替後の「新たなチャネル」)を比較し、統計的に処理することもできる。
【0135】
例えば、第1の指向性ビームを介して受信された複数のチャネル切替通知フレームの多くに(例えば、所定数以上のチャネル切替通知フレームに)、チャネル切替後の新たなチャネルとして、「ch.2」が記述されている場合には、「ch.2」へのチャネル切替という情報は、信頼性のあるものとする。
【0136】
また、各無線端末STA101が、図6のステップS25において、自装置の属するBSSとは異なるBSSからのチャネル切替指示フレームを受信したとき、図6のステップS26において、そのときに測定された受信電力(の値、あるいは、レベル)も、チャネル切替通知フレームに書き込み、当該基地局の属するBSSの基地局へ送信するようにしてもよい。この場合、そのようなチャネル切替通知フレームを受信した基地局AP1では、その受信したチャネル切替通知フレーム内の受信電力の値(あるいはレベル)が大きいほど、BSS1内の通信に与える干渉量が多いと判断することができるので、この受信したチャネル切替通知フレーム内の受信電力の値(あるいはレベル)が所定値以上(所定レベル以上)である、チャネル切替通知フレーム内の情報は信頼性があり、かつ重要性のあるものと判定するようにしてもよい。
【0137】
また、受信した複数のチャネル切替通知フレームのそれぞれに含まれているチャネル切替後の新たなチャネルを、チャネル別に、それぞれのチャネル切替通知フレームに含まれている受信電力値(あるいはレベル)の平均値を求めて、この平均値が所定値以上である情報は信頼性があると判定するようにしてもよい。
【0138】
例えば、「ch.2」へのチャネル切替が検知されたことに対し、上記のようにして信頼性があると判定された場合に限り、基地局AP1のもつチャネルテーブル21上の「ch.2」の優先度を下げる(あるいは、チャネルテーブル21から削除する)ようにしてもよい。また、上記のようにして、信頼性があると判定された情報(例えば、「ch.2」へのチャネル切替など)のうち、その情報を通知したチャネル切替通知フレームの数や、その情報を通知したチャネル切替通知フレームに含まれている受信電力値(あるいはレベル)などに基づき、第4の実施形態で説明したように、基地局AP1のもつチャネルテーブル21上の「ch.2」の優先度を下げる(あるいは、チャネルテーブル21から削除する)ようにしてもよい。例えば、信頼性があると判定された情報のうち、例えば、「ch.2」へのチャネル切替を通知したチャネル切替通知フレームの数が最も多いときには、基地局AP1のもつチャネルテーブル21上の「ch.2」の優先度を下げる(あるいは、チャネルテーブル21から削除する)ようにする。また、信頼性があると判定された情報のうち、例えば、「ch.2」へのチャネル切替を通知したチャネル切替通知フレームに含まれる受信電力の平均値が最も大きいときには、基地局AP1のもつチャネルテーブル21上の「ch.2」の優先度を下げる(あるいは、チャネルテーブル21から削除する)ようにする。
【0139】
このようにすれば、基地局AP1における処理量が低減でき、より効率のよいチャネル切替動作を実現することができる。
【0140】
また、受信した複数のチャネル切替通知フレームのそれぞれに含まれているチャネル切替後の新たなチャネルを、チャネル別に、受信電力値(あるいはレベル)の平均値を求めて、この平均値が最も高いチャネルへの切替が検知されたと判定するようにしてもよい。また、上記のようにして、信頼性があると判定されたチャネル切替通知フレームのみに対し、そのそれぞれに含まれているチャネル切替後の新たなチャネルを、チャネル別に、受信電力値(あるいはレベル)の平均値を求めて、この平均値が最も高いチャネルへの切替が検知されたと判定するようにしてもよい。
【0141】
そして、チャネルテーブル21上の、この検知されたチャネルの優先度を下げる(あるいは、チャネルテーブル21から削除する)ようにすれば、上記同様、基地局AP1における処理量が低減でき、より効率のよいチャネル切替動作を実現することができる。
【0142】
さらに、上記のようにして信頼性があると判定されたチャネル切替通知フレームに対してのみ、そのチャネル切替通知フレーム中のチャネルの切替タイミングを基に、当該チャネル切替の終了時刻の推定を行なうようにしてもよい。このようにすれば、基地局AP1における処理量が低減できるとともに、より効率のよいチャネル切替動作を実現することができる。
【0143】
基地局AP1は、無線端末から送信されたチャネル切替通知フレームを受信したときの受信電力が所定値より低い場合には、そのフレームを送信した無線端末はBSS1の比較的端にあるか、あるいは基地局AP1に対して遮蔽物の陰にあると判断することができる。
【0144】
そこで、無線端末が、チャネル切替指示フレームを受信した際に、そのときの受信電力をチャネル切替通知フレームに書き込んで、基地局AP1に通知する場合、基地局AP1は、チャネル切替通知フレームを受信したときの受信電力の値と、その受信したチャネル切替通知フレームに書き込まれている(無線端末側でチャネル切替指示フレームを受信したときの)受信電力の値との関係を基に、例えば、図13に示すように、その受信したチャネル切替通知フレームの重要度(信頼度)を判定することができる。
【0145】
図13は、基地局AP1で受信したチャネル切替通知フレームの重要度を判定するための判定基準の一例をテーブル形式で表したものである。
【0146】
図13に示すように、基地局AP1で受信したチャネル切替通知フレームに書き込まれている(無線端末側でチャネル切替指示フレームを受信したときの)受信電力の値が予め定められた第1の基準値より低く、基地局AP1で当該チャネル切替通知フレームを受信したときの受信電力も予め定められた第2の基準値より低いときには、当該チャネル切替通知フレームの重要度は最も低く、「D」と判定する。また、基地局AP1で受信したチャネル切替通知フレームに書き込まれている受信電力の値が第1の基準値よりも高く、基地局AP1で当該チャネル切替通知フレームを受信したときの受信電力も第2の基準値より高いときには、当該チャネル切替通知フレームの重要度は最も高く、「A」と判定する。
【0147】
このようにして、基地局AP1は、受信したチャネル切替通知フレームの重要度を「A」〜「D」のいずれかにランク付けし、重要度の高いチャネル切替通知フレームにて通知された、チャネル切替後の新たなチャネルについては、チャネルテーブル21上の優先度を低く設定するようにしてもよい。
【0148】
なお、図13に示したような判定基準に基づき、基地局AP1が受信したチャネル切替通知フレームの重要度(信頼度)を判定して、チャネルテーブル21の優先度を更新する場合、基地局AP1は、図12に示したような構成でなくてもよく、図9に示した構成の基地局であっても適用可能である。
【0149】
以上説明したように、基地局が指向性アンテナを用いて送受信を行なう場合には、基地局は、指向性ビームを形成する方向に対応して、自装置宛のチャネル切替通知フレームを受信することができる。従って、その方向にある他の基地局から送信されるチャネル切替指示フレームを(当該基地局自身あるいは、当該基地局に無線接続する端末を介して)高精度に検知することができる。さらに、基地局は、指向性ビームを形成した方向から、当該基地局宛に複数の無線端末から複数のチャネル切替通知フレームを受信した場合に、その複数のチャネル切替通知フレームにて通知された情報(例えば、他の基地局にてチャネル切替を行なうこと、チャネルの切替タイミングや、切替後の新たなチャネルなど))の信頼性(重要性)を統計的に求めて、その結果を、当該基地局のチャネル切替動作における、チャネル選択の際(図4のステップS4)に反映させることで、より効率のよいチャネル切替動作を実現することができるとともに、指向性ビームを用いることにより増大する受信チャネル切替通知フレームに対する処理負荷を軽減することもできる。
【0150】
(6)チャネル切替通知フレームのフォーマット
無線端末から基地局へ送信するチャネル切替通知フレームは、チャネル測定結果通知フレームと同じフォーマットであってもよい。すなわち、例えば、図5に示すMACフレームにおいて、フレームコントロール中のタイプは、管理用フレームに対応し、サブタイプの値としては同じ値が入り、管理用フレームとしては、全く同じ種類のフレームである。しかも、図5に示すMACフレームのフレームボディ中のデータフォーマットが全く同じものであるとする。
【0151】
チャネル切替通知フレームとチャネル測定結果通知フレームとを同じフォーマットにすることによって、無線端末でのフレーム生成・送信処理及び基地局でのフレーム受信処理の一部をチャネル測定結果通知フレームと共通化し、処理効率を上げることができるのである。
【0152】
同じフォーマットにすることにより、これを受信した基地局AP1では、受信したフレームがチャネル測定結果通知フレームであるのかチャネル切替通知フレームであるのかを判別する必要がある。以下にその判別方法の一例を示す。但し、以下に示す基地局側での判別方法は必ずしも同一のフォーマットでなくても適用できるものである。
【0153】
なお、以下の説明において、チャネル測定結果通知フレームとチャネル切替通知フレームは同じ種類の同じフォーマットであるため、説明の簡単のため、これらを区別しないときは、通知フレームと呼ぶ。
【0154】
(第1の判別方法) 第1の実施形態で説明したように、例えば、基地局AP1は、チャネル切替を行なうか否かの判断材料を集めるために、BSS1内の無線端末に対し、チャネル測定要求フレームを送信し、それに対する無線端末からの応答として、チャネル測定結果通知フレームを受信する。
【0155】
そこで、基地局では、チャネル測定要求フレームを送信した後、予め定められた時間内に受信した通知フレームは、チャネル測定結果通知フレームと判定し、予め定められた時間経過後に、あるいは、その期間外に受信した通知フレームはチャネル切替通知フレームと判定する。
【0156】
(第2の判別方法) 通知フレームは、各チャネル毎に、そのチャネルの測定結果や、そのチャネルへのチャネル切替の検知の有無などのデータを書き込むように、各チャネルに対応して少なくとも1つのデータフィールドをもち、各チャネル対応に割り当てられたデータフィールドの数は同数であるとする。
【0157】
基地局は、受信した通知フレームの内容(フレーム・ボディ内の情報)をチェックし、1つのチャネルについてのみの情報である場合(他のチャネルについてのデータフィールドには、例えば、ヌル(null)コードが書き込まれている場合)には、その通知フレームは、チャネル切替通知フレームであると判定する。
【0158】
なお、この場合、チャネル測定結果通知フレームでは、複数のチャネルのそれぞれに対応するデータフィールドには、各チャネルについての測定値が書き込まれているが、測定できなかったときなどの場合には、例えば「FF」などのように、到底あり得ないような数値を書き込めば、チャネル切替通知フレーム中のヌル(null)コードと区別することができる。
【0159】
(第3の判別方法) 基地局では、複数の通知フレームを受信した場合、それぞれの内容(フレーム・ボディ内の情報)をチェックし、その通知フレーム中の各チャネルに対応するデータの並び方が示す傾向が類似するものが多くあれば、そのような通知フレームは、チャネル測定結果通知フレームであると判定する。各チャネルに対応するデータの並び方が示す傾向が類似し合う通知フレームが少ない場合には、そのような通知フレームは、チャネル切替通知フレームと判定する。
【0160】
(第4の判別方法) 通知フレームは、各チャネル毎に、そのチャネルの測定結果や、そのチャネルへのチャネル切替の検知の有無などのデータを書き込むように、各チャネルに対応して少なくとも1つのデータフィールドをもち、各チャネル対応に割り当てられたデータフィールドの数は同数であるとする。
【0161】
無線端末では、通知フレームをチャネル切替通知フレームとして送信する際には、チャネル測定結果通知フレームとして送信する場合にチャネル測定結果などの通知すべき意味のあるデータを書き込むデータフィールドであっても、チャネル切替通知フレームとして送信する際には意味のあるデータを書き込むことのないような少なくとも1つのデータフィールドに、チャネル切替情報通知フレームの識別情報として、例えば、チャネル測定結果の値としては到底あり得ない極端な値を書き込み、送信する。
【0162】
基地局は、受信した通知フレーム内の少なくとも1つのデータフィールド内に、上記のようなチャネル切替情報通知フレームの識別情報が記述されている場合には、その受信した通知フレームをチャネル切替通知フレームであると判定する。
【0163】
この場合、チャネル切替情報通知フレームの識別情報とは、例えば、データフィールドに記述することのできる最大値、例えば8ビット領域のデータフィールドに全て「1」を立てるようにするとか、逆に最小値、全て「0」を立てるようにするとかなどである。どのような値をどこのデータフィールドに書き込むかは、チャネル切替通知フレームを送信する機能を有する無線端末の仕様として予め定められていてもよいし、ユーザ入力などによって自由に設定可能であってもよい。また、チャネル切替通知フレームを送信する機能を有する無線端末がチャネル切替通知フレームを受信する機能を有する基地局とフレーム交換する過程でデータフィールドに記述する値を決めるようにしてもよい。
【0164】
(第5の判別方法) 基地局と無線端末が所定のフレーム(例えば、ここでは、MACフレーム)を交換することによって、無線端末側がチャネル切替通知フレームを送信することを基地局側に把握(通知)させるようにしてもよい。またはこのフレーム交換を介して、基地局が無線端末にチャネル切替通知フレームを送信させるように指示してもよい。
【0165】
チャネル切替通知フレームを送信する機能を持つ無線端末は、この機能識別用の所定の判別コードを、現在無線接続している、あるいはこれから無線接続しようとしている基地局に対し、無線接続開始の認証過程からチャネル切替通知フレームを実際に送信するまでのいずれかの間に少なくとも1回、何らかの送信フレーム内に書き込むことによって、接続先の基地局が当該無線端末にチャネル切替通知フレームの送信機能があることを把握させるようにすることもできる。
【0166】
このようにして、基地局は、自身に無線接続している当該無線端末がチャネル切替通知フレームを送信する機能を有すると把握したり、あるいは、基地局が、自身に無線接続している当該無線端末に、チャネル切替通知フレームを送信させるように指示したときには、その後に受信した通知フレームをチャネル切替通知フレームであると判定する。
【0167】
なお、上記のようにして、基地局と無線端末との間のフレーム交換により、基地局が、これからチャネル切替通知フレームを送信する無線端末を把握している場合には、その無線端末から送信された通知フレームに対してのみ、上記第1〜第4の判別方法のいずれかを、あるいはいくつかを組み合わせて適用するようにしてもよい。このようにすれば、基地局での通知フレームの判別に係る処理負荷を軽減できる。
【0168】
(第6の判別方法)
以上の第1〜第5の判別方法をいくつか組み合わせて用いて、基地局は、受信した通知フレームをチャネル切替通知フレームであると判定するようにしてもよい。
【0169】
(7) 基地局による、チャネル切替通知フレームを送信する無線端末の選別基地局は、その基地局に接続する複数の無線端末のうち、チャネル切替通知フレームを送信する無線端末を予め選別するようにしてもよい。
【0170】
基地局と無線端末が所定のフレーム(例えば、ここでは、MACフレーム)を交換することによって、無線端末側がチャネル切替通知フレームを送信することを基地局側に把握(通知)させるようにしてもよい。またはこのフレーム交換を介して、基地局が無線端末にチャネル切替通知フレームを送信させるように指示してもよい。
【0171】
一般的に、図1に示したような通信システムにおいて、例えば、基地局AP1は、BSS1内の無線端末との間では、チャネル切替通知フレームを受信するまでに、数多くのフレーム(例えば、この場合、MACフレーム)の送受信(フレーム交換)を行なう。
【0172】
このような無線端末とのフレーム交換の際に、基地局AP1は、BSS1内の無線端末から送信されたフレームを受信したときの受信電力レベルを計測し、この計測された受信電力レベルを基に、複数の無線端末の中から、チャネル切替通知フレームを送信する無線端末を選択するようにしてもよい。そして、その選択された無線端末に対し、所定のフレームを送信することにより、チャネル切替通知フレームの送信を指示するようにしてもよい。
【0173】
この場合の基地局は、図2や図9に示したような指向性アンテナを持たない構成のものであってもよいし、図12に示したような、指向性アンテナをもつ構成のものであってもよい。
【0174】
例えば、基地局AP1は、各無線端末について、その無線端末から送信されたフレームを受信した際の受信電力レベルの平均値を求め、その値が予め定められた値α以上の無線端末は、基地局AP1の近傍にいて、チャネルの測定結果が基地局AP1で測定されたものと類似しているので、チャネル切替通知フレームを送信する無線端末の候補から除く。また、受信電力レベルの平均値が予め定められた値β以下の無線端末は、基地局AP1から遠くにいるか、あるいは遮蔽物の陰にあるなどにより、基地局AP1とはチャネルの観測状況が異なると予想できる。従って、そのような無線端末は有用であるので、チャネル切替通知フレームを送信する無線端末の候補としてもよい。さらに、受信電力レベルの平均値が上記αよりも小さく上記βよりも大きい、例えば、αとβの中間付近の値である場合、そのような無線端末は、BSS1に対する平均的な干渉の影響を観測できるとして、チャネル切替情報通知フレームを送信する無線端末の候補としてもよい。
【0175】
このようにして、選択された候補の中から、例えば、受信電力レベルの平均値が値β以下のものの中から少なくとも1つ、受信電力レベルの平均値がαとβの中間付近であるものの中から少なくとも1つといったようにして、チャネル切替通知フレームを送信する無線端末を選択するようにしてもよい。
【0176】
以上のようにして、チャネル切替通知フレームを送信する無線端末として選択された無線端末も、移動することによって、あるいは移動しなくても周囲の環境が変わると、基地局AP1との間の伝搬環境が変わる。そこで、基地局AP1は、BSS1内の無線端末からの送信フレームを受信した際の受信電力レベルを周期的に観測する。そして、一旦チャネル切替通知フレームを送信する無線端末を選択した後も、その無線端末からの送信フレームを受信した際の受信電力レベルに対する上記のような基準が満足しなくなったと判断した場合には、上述のように再び複数の無線端末、あるいは無線端末の候補の中から選定し直すようにしてもよい。
【0177】
このように、基地局(の例えば、受信制御部13)は、チャンネル切替を行なう他の無線基地局を検知するために、最も適した無線端末を予め選択することにより、チャネル切替通知フレームの受信処理負荷を最低限に抑えることができるとともに、チャネル切替通知フレームの受信処理を効率よく行なえる。
【0178】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、隣接する複数の無線通信エリアで、それぞれの基地局が、他の無線通信エリア(の基地局)でのチャネル切替動作に関する情報を基に、効率よくチャネル切替が行なえる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る無線LANシステムの構成例を示した図。
【図2】基地局の構成例を概略的に示した図。
【図3】無線端末の構成例を概略的に示した図。
【図4】基地局のチャネル切替動作を説明するためのフローチャート。
【図5】IEEE802.11に規定されているMACフレームについて説明するための図。
【図6】無線端末の受信動作を説明するためのフローチャート。
【図7】基地局のチャネル切替動作の他の例を説明するためのフローチャート。
【図8】基地局が、チャネル切替通知フレームを受信したときの処理動作を説明するためのフローチャート。
【図9】基地局の他の構成例を示した図。
【図10】基地局が、チャネル切替通知フレームを受信したときの処理動作の他の例について説明するためのフローチャート。
【図11】基地局が、チャネル切替指示フレームを受信したときの処理動作の他の例について説明するためのフローチャート。
【図12】基地局の他の構成例を示した図。
【図13】基地局が受信したチャネル切替通知フレームの重要度(信頼度)の判定基準について説明するための図。
【符号の説明】
AP(AP1〜AP2)…基地局
11…受信機
12…送信機
13…受信制御部
14…送信制御部
20…アンテナ
21…チャネルテーブル
25…アダプティブアレイアンテナ
STA(STA101〜102,STA201〜STA202)…無線端末
100…アンテナ
101…受信部
107…送信部
108…情報処理部

Claims (17)

  1. 複数の無線基地局装置と、前記複数の無線基地局装置のいずれかに接続して無線通信を行なう複数の無線端末装置とから構成される無線通信システムにおいて、
    前記複数の無線端末装置のうちの1つである第1の無線端末装置は、
    前記複数の無線基地局のうちの1つである第1の無線基地局に接続しているとき、少なくとも、この第1の無線基地局とは異なる他の無線基地局としての第2の無線基地局における無線通信に用いられている通信チャネルの切替動作を検知する検知手段と、
    少なくとも、前記検知手段で前記通信チャネルの切替を検知したことを通知するための第1の通知フレームを前記第1の無線基地局に送信する送信手段と、
    を具備し、
    前記第1の無線基地局は、
    他の無線基地局装置にて現在使われている通信チャネルからの影響度に応じて、現在接続している無線端末装置との間の無線通信に用いている通信チャネルを、他の通信チャネルに切り替えるチャネル切替手段と、
    前記第1の無線端末装置から、前記第1の通知フレームを受信したとき、前記チャネル切替手段でのチャネル切替動作を延期または中断する手段と、
    を具備したことを特徴とする無線通信システム。
  2. 前記第1の無線基地局装置に現在接続している無線端末装置から当該第1の無線基地局装置に対し、前記第2の無線基地局装置にて現在使われている通信チャネルからの影響度の測定結果を通知するために送信される第2の通知フレームと、前記第1の通知フレームとのフレームフォーマットは同一であることを特徴とする請求項1記載の無線通信システム。
  3. 複数の無線基地局装置のいずれかに接続して無線通信を行なう無線端末装置において、
    前記複数の無線基地局のうちの1つの無線基地局である第1の無線基地局に接続しているとき、この第1の無線基地局とは異なる他の無線基地局としての第2の無線基地局における無線通信に用いられている通信チャネルの切替動作を検知する検知手段と、
    少なくとも、前記検知手段で前記通信チャネルの切替を検知したことを通知するための通知フレームを前記第1の無線基地局に送信する送信手段と、
    を具備したことを特徴とする無線端末装置。
  4. 複数の無線基地局装置と、前記複数の無線基地局装置のいずれかに接続して無線通信を行なう複数の無線端末装置とから構成される無線通信システムにおける前記複数の無線基地局装置のうちの1つとしての無線基地局装置であって、
    他の無線基地局装置にて現在使われている通信チャネルからの影響度に応じて、現在接続している無線端末装置との間の無線通信に用いている通信チャネルを、他の通信チャネルに切り替えるチャネル切替手段と、
    現在接続している前記無線端末装置から送信された、少なくとも、前記他の無線基地局装置における前記通信チャネルの切替動作を検知した旨の通知フレームを受信する受信手段と、
    前記通知フレームを受信したとき、前記チャネル切替手段でのチャネル切替動作を中止あるいは延期する手段と、
    を具備したことを特徴とする無線基地局装置。
  5. 前記通知フレームには、前記他の無線基地局装置において前記通信チャネルを切り替えるタイミングを示した第1の情報が含まれており、
    この第1の情報を基に、前記他の無線基地局装置における前記通信チャネルの切替動作の終了時を推定して、この終了時経過後に、前記他の無線基地局装置にて現在使われている通信チャネルからの影響度の計測を開始することを特徴とする請求項4記載の無線基地局装置。
  6. 現在接続している無線端末装置との間の無線通信に用いることのできる通信チャネルが記録されているテーブルを記憶する記憶手段と、
    前記チャネル切替手段でのチャネル切替動作の際に、前記テーブルを基に、前記他の通信チャネルを選択する選択手段と、
    前記通知フレームには、前記他の無線基地局装置における前記通信チャネルの切り替え後の新たな通信チャネルを示した第2の情報が含まれており、
    前記通知フレームを受信したとき、前記選択手段で、前記第2の情報により示された通信チャネルが選択されないように、前記テーブルを更新する更新手段と、
    をさらに具備したことを特徴とする請求項4記載の無線基地局装置。
  7. 前記更新手段は、前記テーブルから、前記第2の情報により示された通信チャネルを削除することを特徴とする請求項6記載の無線基地局装置。
  8. 前記テーブル上の通信チャネルには、前記選択手段で選択するときの選択順位が設定され、
    前記更新手段は、前記テーブル上の通信チャネルの選択順位を更新して、前記テーブル上の前記第2の情報により示された前記通信チャネルに対応する選択順位を下げることを特徴とする請求項6記載の無線基地局装置。
  9. 前記複数の無線基地局装置のうちの他の無線基地局装置における少なくとも前記通信チャネルの切替動作を検知する検知手段を、
    をさらに具備し、
    この検知手段で前記通信チャネルの切替動作を検知したとき、前記チャネル切替手段でのチャネル切替動作を中止あるいは延期することを特徴とする請求項4記載の無線基地局装置。
  10. 前記複数の無線基地局装置のうちの他の無線基地局装置における前記通信チャネルの切替動作を検知するとともに、少なくとも前記他の無線基地局装置において前記通信チャネルを切り替えるタイミングを検知する検知手段を、
    さらに具備し、
    この検知手段で検知された前記通信チャネルを切り替えるタイミングを基に、前記他の無線基地局装置における前記通信チャネルの切替動作の前記終了時を推定することを特徴とする請求項4記載の無線基地局装置。
  11. 前記複数の無線基地局装置のうちの他の無線基地局装置における前記通信チャネルの切替動作を検知するとともに、少なくとも当該他の無線基地局装置において前記通信チャネルの切り替え後の新たな通信チャネルを検知する検知手段と、
    をさらに具備し、
    前記更新手段は、前記検知手段で検知された通信チャネルが前記選択手段で選択されないように、前記テーブルを更新することを特徴とする請求項6記載の無線基地局装置。
  12. 前記更新手段は、前記テーブルから、前記検知手段で検知された通信チャネルを削除することを特徴とする請求項11記載の無線基地局装置。
  13. 前記テーブル上の通信チャネルには、前記選択手段で選択するときの選択順位が設定され、
    前記更新手段は、前記テーブル上の通信チャネルの選択順位を更新して、前記テーブル上の前記検知手段で検知された通信チャネルに対応する選択順位を低くすることを特徴とする請求項11記載の無線基地局装置。
  14. 前記受信手段は、指向性ビームを形成して前記通知フレームを受信することを特徴とする請求項4記載の無線基地局装置。
  15. 前記受信手段は、指向性ビームを形成して前記通知フレームを受信し、
    この受信手段で、前記指向性ビームの形成されている方向に存在する複数の無線端末装置から複数の前記通知フレームを受信したとき、この複数の通知フレームから、該複数の通知フレームのそれぞれに含まれている前記第2の情報についての統計量を求めて、その結果を基に、前記テーブルを更新することを特徴とする請求項6記載の無線基地局装置。
  16. 現在接続している複数の無線端末装置との間で所定のフレームを交換することにより、前記通知フレームを送信させる無線端末装置を選択し、前記受信手段は、当該選択された無線端末装置から送信された前記通知フレームを受信することを特徴とする請求項4記載の無線基地局装置。
  17. 現在接続している複数の無線端末装置のそれぞれから送信された所定のフレームを受信したときに測定される受信電力値を基に、前記通知フレームを送信させる無線端末装置を選択し、前記受信手段は、当該選択された無線端末装置から送信された前記通知フレームを受信することを特徴とする請求項4記載の無線基地局装置。
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