JP3648417B2 - パワー半導体モジュール及び電力変換装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ(IGBT)などのスイッチング素子やダイオード素子などを絶縁パッケージ内に収納したパワー半導体モジュールと、それらを用いて構成される電力変換装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
高性能かつ高効率に電力を変換する電力変換装置には、高速スイッチングの可能なIGBTなどのスイッチング素子をパッケージ内に収納したパワー半導体モジュールが使用されている。これらの電力変換装置には、大容量化・高性能化と同時に、小形化・信頼性向上のニーズがある。そのため、様々なモジュール構成、回路構成及び変換装置構成が用いられている。従来のパワー半導体モジュールと変換装置の構成について、図11ないし図16を参照して説明する。
【0003】
図11は、中性点クランプ方式3レベルインバータ回路の1相分を示したものである。このインバータ回路は、主回路を構成する4個のIGBTモジュール1a,1b,1c,1dと、中性点クランプ用の2個のダイオードモジュール2a,2bを用いて構成されている。IGBTモジュールは通常、複数のIGBTチップを内蔵し、それらのIGBTチップを内部で並列接続し、大電流化を図っている。同時に複数の還流用ダイオードチップを内蔵して、各IGBTチップに対し逆並列に接続している。同様に、ダイオードモジュールも複数のダイオードチップからなり、内部で並列接統されている。
【0004】
IGBTチップ及びダイオードチップは、1チップあたりの電圧や電流の定格に制限があり、大容量の装置を構成するために、多数のチップを並列接続して電流定格の大きいモジュールを構成したり、チップを高耐圧化して電圧定格の大きいモジュールを構成したりしている。
【0005】
図12は、IGBTモジュールの外観を示した図である。べ一ス7と絶縁パッケージ3によって外囲器を構成し、その中にIGBTチップ及びダイオードチップが収納される。このIGBTモジュールはベース7を取付穴8に通した取付ボルトにより図示していない絶縁基板に取り付けた状態で実装される。各チップの絶縁基板は熱伝導率の大きい材料を用いて製作され、IGBTチップ及びダイオードチップから発生する熱をベース7に伝導する。パッケージ3には、コレクタ端子4、エミッタ端子5、及びゲート端子6が設けられており、回路構成上必要な配線部材を接続することができるようにしている。なお、ここではコレクタ端子4とエミッタ端子5を各々2個ずつ設けている。
【0006】
なお、ダイオードモジュールは図示していないが、IGBTモジュールとほぼ同等の構成を持っており、IGBTチップのコレクタ端子4の部分をカソード端子とし、エミッタ端子5の部分をアノード端子としたものに相当する。ただし、ゲート端子6の部分は存在しない。
【0007】
図13は、図12に示したIGBTモジュール及び図示していないダイオードモジュールを用いた3レベルインバータ回路一相分の構造例を示すものである。IGBTモジュール1a,1b,1c,1d及びダイオードモジュール2a,2bが冷却器9上に搭載されている。IGBTモジュール1dの部分に例示したように、ベース7に設けられた取付穴8に通したモジュール取付ボルト11により各モジュールを冷却器9に固定している。なお、冷却器9には所定数のネジ穴を形成しているが、図示は省略している。
【0008】
IGBTモジュールのコレクタ端子及びエミッタ端子、並びにダイオードモジュールのカソード端子及びアノード端子には、3レベルインバータ回路を構成するのに必要な導体10a,10b,10c,10d,10e及び10fが接続される。同様にIGBTモジュール1dの部分に例示したように、各導体は導体取付ボルト12により各端子に機械的に固定され電気的に接続される。なお、各モジュールの端子部分にもネジ穴を形成している。IGBTモジュール1a,1b,1c,1dのゲート端子には、図示していないゲート回路基板が被覆電線などの配線材を介して接続され、それによりゲート駆動用の信号が供給される。
【0009】
図14は、6個のIGBTモジュール1a,1b,1c,1d,1e,1fを用いて構成された三相インバータ回路を示したものである。図15は、4個のIGBTモジュール1a,1b,1d,1eを用いて構成された単相インバータ回路を示したものである。また、図16は、図14に示した三相インバータ回路、又は図15に示した単相インバータ回路の1相分を示したものである。ここに示したインバータ回路の1相分は、正側アーム及び負側アームにおいてそれぞれ各々3個のIGBTモジュール1a、1b,1cないし1d,1e,1fをそれぞれ並列に接続したものである。いずれの場合も、最終的には図11の中性点クランプ方式3レベルインバータ回路の場合と同様な回路構成にして用いられる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
従来のパワー半導体モジュールと電力変換装置の構造を図12及び図13を参照して検討する。
【0011】
(1) 図13において、IGBTモジュール1a〜1d及びダイオードモジュール2a,2bを相互接続する導体は、パッケージ3(図12)を部分的に覆うような形で配置される。そのため、故障などによりモジュールを交換する必要が生じた場合、まずモジュール上に覆い被さっている導体を取り外すことが必要になる。たとえば、IGBTldを交換する場合、導体10d,10eを取り外す必要がある。モジュールの交換後は、逆に導体10d,10eを取付ける作業を必要とする。そのため、モジュールの交換作業には相当の時間がかかり、短時間に保守作業を行うことは難しい。
【0012】
(2) 一部の導体はモジュール取付ボルト11を覆うような位置に配置されるので、導体接続後はモジュール取付ボルト11の締め直しをすることが困難である。このため、モジュール取付ボルト11の増し締めを行うような場合、一部の導体を取り外す必要が生じ、同様に短時間の保守作業が困難となる。
【0013】
(3) 各導体はモジュールの端子部分で保持されるため、各導体の自重や外部から受ける振動により端子に外力が加わり、端子自体やモジュール内部の接合部に応力が加わる。これによりモジュールの信頼性上、好ましくない影響が生じる。
【0014】
(4) 各導体から発生する熱により温度が上昇し、モジュールの絶縁パッケージ3や、モジュールの直近に配置されている図示していないスナバ回路用コンデンサなどの温度を上昇させる。その結果、各部材の長期信頼性上、好ましくない影響が生じる。
【0015】
(5) 複数のモジュールを相互接続する関係上、各導体の長さが長くなり、それに応じて主回路の配線インダクタンスが大きくなる。その結果、インダクタンスに応じて発生するサージ電圧が大きくなり、サージ電圧分をディレーティングして通電する必要が生じる。逆に、所定容量の装置を構成する場合、モジュール定格を大きくする必要が生じるので、装置が大形化する。
【0016】
(6) 各モジュールは導体がパッケージを部分的に覆うような位置に配置されるので、ゲート信号供給用の基板を各モジュールの直近に配置することができない。そのため、各モジュールから離れた位置にゲート回路基板を配置し、被覆電線などの配線材を介してゲート端子6(図12)に接続することになる。その結果、ゲート回路の配線インピーダンスが大きくなり、高速のスイッチングが困難になる。
【0017】
従って、本発明の目的は、モジュールの交換作業を容易にし、主回路のインダクタンスを低減し、導体の温度上昇を抑制し、ゲート配線のインピーダンスを小さくすることであり、それにより、装置の保守性向上、小形化、高性能化、及び信頼性の向上を実現することである。
【0018】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明は、次のように構成されている。
請求項1記載の発明は、べースとその上に配置された絶縁パッケージとで構成された外囲器の中に半導体チップを収納し、前記絶縁パッケージ上に複数の主端子を配設したパワー半導体モジュールにおいて、前記複数の主端子をそれぞれ前記べースに平行に配置した状態で前記パッケージの外部に突出させ、各主端子に形成した導体取付ボルト用の貫通穴をボルトの軸心方向から見て前記パッケージの外部に位置させるとともに、前記各主端子を相互に絶縁した上、積層構造にして導出したことを特徴とする。
【0023】
請求項2に係る発明は、複数のスイッチングモジュールと複数のダイオードモジュールにより中性点クランプ方式3レベルインバータ回路を構成した電力変換装置において、各スイッチングモジュール及び各ダイオードモジュールをそれぞれべースとその上に配置された絶縁パッケージとで構成した外囲器の中に個々に収納し、パッケージ上に配設した複数の主端子をそれぞれべースに平行に配置した状態でパッケージの外部に突出させ、各端子に形成した導体取付ボルト用の貫通穴をボルトの軸心方向から見てパッケージの外部に位置させ、各スイッチングモジュール及び各ダイオードモジュールを共通の冷却器上に配置し、各モジュールの端子を、絶縁シートを介して積層した複数の導体を介して冷却器の側方に導出したことを特徴とする。
【0024】
請求項3に係る発明は、複数のスイッチングモジュールによりインバータ回路を構成した電力変換装置において、各スイッチングモジュールをそれぞれべースとその上に配置された絶縁パッケージとで構成した外囲器の中に個々に収納し、パッケージ上に配設した複数の主端子をそれぞれべースに平行に配置した状態でパッケージの外部に突出させ、各主端子に形成した導体取付ボルト用の貫通穴をボルトの軸心方向から見てパッケージの外部に位置させ、複数のスイッチングモジュールを共通の冷却器上に配置し、各モジュールの端子を、絶縁シートを介して積層した複数の導体を介して冷却器の側方に導出したことを特徴とする。
【0025】
請求項4に係る発明は、請求項3に記載の電力変換装置において、インバータ回路の1相分を構成するスイッチングモジュールごとに共通の冷却器上に配置したことを特徴とする。
【0026】
請求項5に係る発明は、請求項2又は3に記載の電力変換装置において、絶縁シートを熱伝導性絶縁シートによって構成したことを特徴とする。
【0027】
【発明の実施の形態】
<実施の形態1>
本発明の第1の実施の形態について図1を用いて説明する。図1に示すパワー半導体モジュールにおいては、べース7とその上に配置された絶縁パッケージ3とで構成された外囲器の中に半導体チップを収納し、パッケージ3上に複数の主端子、すなわちコレクタ端子4とエミッタ端子5を、それぞれベース7に対して平行にした状態でパッケージ3の外部に突出させ、各主端子4,5に形成した導体取付ボルト用の貫通穴4h,5hをボルトの軸心方向から見てパッケージ3の外部に位置させている。各主端子4,5は、ベース7に設けた取付穴8と干渉しないように位置決めされている。パッケージ3上には、主端子4,5とは反対側に制御端子すなわちゲート端子6も配設されている。
【0028】
この実施の形態によれば、このモジュールを用いて構成された電力変換装置のモジュールを交換する場合、後述のごとく導体を取り外すことなしに交換することができるので、作業に要する時間を短縮することができ、保守性を向上させることができる。
【0029】
<実施の形態2>
次に本発明の第2の実施の形態について図2を参照して説明する。図2は、図11に示した回路構成の中性点クランプ式3レベルインバータにおける1相分を構成する4個のIGBTモジュール1a,1b,1c,1d及び2個のダイオードモジュール2a,2bを共通の冷却器9上に配設した例を示すものである。各IGBTモジュールは図1に示した構造のものを用いる。ダイオード2a,2bは、外形的には図1のIGBTと同様であるが、それから制御端子すなわちゲート端子を省略した形のものが用いられる。各IGBTモジュール及びダイオードは、インバータの直流電源側から見て正側モジュール1a,1b,2aの主端子4,5と負側モジュール1c,1d,2bの主端子4,5とが対向するように配置される。冷却器9上には、各主端子が位置する正側モジュールと負側モジュールとの対向部に、外部端子用の6枚の端子導出導体10a,10b,10c,10d,10e,10fをそれぞれ図示していない絶縁板を介して積層状態で固定し、各導体の端末部が露出するように最上層の導体は短く、最下層の導体は長く階段状に形成している。これらの導体を用いて各モジュール相互間の相互結線も行われる。図示の場合、最下層の導体10cはモジュール1b,1cの相互接続と交流端子ACの導出用として用いられ、以下同様に、導体10dはモジュール1a,1b,2aの相互接続と必要に応じて外部端子用として用いられ、導体10bはモジュール1c,1d,2bの相互接続と必要に応じて外部端子用として用いられ、導体10eはモジュール1dから導出された直流負端子N用として用いられ、導体10aはモジュール1aから導出された直流正端子P用として用いられ、最後に導体10fはモジュール2a,2bの相互接続と中性点端子C用として用いられる。
【0030】
ダイオードモジュール2bの部分に例示したように、各モジュールはそれぞれのベース7に形成した取付穴8を通して取付ボルト11により冷却器9に固定し、モジュールの各端子は導体取付ボルト12により図示していないネジ穴を形成した各導体のネジ穴にねじ込むことにより機械的に固定すると共に電気的にも接続する。ここでは、導体取付ボルト12はダイオードモジュール2bのアノード端子5と導体10dとを接続する様子を示している。
【0031】
このような構成によれば、各モジュールと各導体とは互いに干渉しないような位置関係となり、導体は冷却器9に固定されるので、各モジュールを交換する場合、導体を取り外すことなしに交換することができ、交換作業に要する時間を短縮し、保守性を向上させることができる。各導体はモジュール取付ボルト11の位置と重ならないように設置しているので、導体取付後もモジュール取付ボルト11の増し締めをすることが容易であり、同様に保守性が向上する。
【0032】
また、各導体は冷却器9に固定されているので、導体の自重により各端子に外力が加わることがなく、また、振動による影響も小さくなるので端子自体やモジュール内の接合部への影響が小さくなり、装置の信頼性が向上する。
【0033】
さらに、各導体の配線長を短くし、絶縁板を介して積層するため各導体を近接して配置することができるので、導体部分の配線インダクタンスを小さくすることができる。その結果、インダクタンスに比例して発生するサージ電圧が小さくなり、所定容量の装置を構成する場合、モジュール定格を低減し、装置を小形化することができる。
【0034】
<実施の形態3>
次に本発明の第3の実施の形態について図3を参照して説明する。図3は、図1に示した形態の6個のIGBTモジュール1a,1b,1c,1d,1e,1fを用いて図14に示されている三相インバータ回路を冷却器9上に構成したものである。このインバータ回路では、図14からも分かるように、計5個の端子導体、すなわち2個の直流端子P,N及び3個の交流端子U,V,Wがそれぞれ導体10a〜10eによって導出されている。モジュール1a,1b,1cのコレクタを共通接続する導体10cによって直流正端子Pが導出され、モジュール1d,1e,1fのエミッタを共通接続する導体10eによって直流負端子Nが導出され、モジュール1a,1dを共通接続する導体10bによって交流端子Uが導出され、モジュール1b,1eを共通接続する導体10aによって交流端子Vが導出され、モジュール1c,1fを共通接続する導体10dによって交流端子Wが導出される。このような構成においても、図2に示した実施の形態と同様の効果を奏することができる。
【0035】
<実施の形態4>
図4は本発明の第4の実施の形態を示すものである。この実施の形態は、図1に示した構成の4個のIGBTモジュール1a,1b,1d,1eを用いて図15に示した単相インバータ回路を冷却器9上に構成したものである。このインバータ回路では、図15からも分かるように、計4個の端子導体、すなわち2個の直流端子P,N及び2個の交流端子U,Vがそれぞれ導体10a〜10dによって導出される。モジュール1a,1bのコレクタを共通接続する導体10aによって直流正端子Pが導出され、モジュール1d,1eのエミッタを共通接続する導体10dによって直流負端子Nが導出され、モジュール1a,1dを共通接続する導体10bによって交流端子Uが導出され、モジュール1b,1eを共通接続する導体10cによって交流端子Vが導出される。このような構成においても、図2に示した実施の形態と同様の効果を奏することができる。
【0036】
<実施の形態5>
図5は本発明の第5の実施の形態を示すものである。この実施の形態は、図1に示した構成の6個のIGBTモジュール1a,1b,1c,1d,1e,1fを用いて図16に示すような、三相インバータ回路の一相分又は単相インバータ回路の一相分を冷却器9の上に構成したものである。並列接続された3個のモジュール1a,1b,1cが正側アームを、並列接続された3個のモジュール1d,1e,1fが負側アームを構成している。モジュール1a,1b,1cのコレクタを共通接続する導体10aによって直流正端子Pが導出され、モジュール1d,1e,1fのエミッタを共通接続する導体10cによって直流負端子Nが導出され、モジュール1a,1bの共通接続点、モジュール1b,1eの共通接続点、及びモジュール1c,1fの共通接続点を接続し、かつ、それらの共通接続点を相互に接続する導体10bによって交流端子ACが導出される。このような構成においても、図2に示した実施の形態と同様の効果を奏することができる。
【0037】
<実施の形態6>
図6は本発明の第6の実施の形態を示すものである。図6は図2に示した冷却器9及び導体10a〜10fの部分側面図である。図6において、冷却器9及び導体10a,10b,10c,10d,10e,10fの相互間にそれぞれ熱伝導性絶縁シート13を介挿して相間を電気絶縁した様子を示している。この構成によれば、各導体から発生する熱が熱伝導性絶縁シート13を介して冷却器9に効率的に伝導され各モジュールとともに冷却されるので、各導体の温度上昇を抑制することができる。その結果、モジュールの絶縁パッケージ3や、モジュールの直近に配置された図示していないスナバ回路用コンデンサなどの温度上昇も抑制することができるので、それらの部材の長期にわたる信頼性を向上させることができる。
【0038】
<実施の形態7>
次に本発明の第7の実施の形態について図7を用いて説明する。本実施の形態は、図1に示したパワー半導体モジュールにおいて、パッケージ3上にゲート信号供給用のゲート回路基板14を配置したものである。ゲート回路基板14に設けた接続端子15をモジュールのゲート端子6に被覆電線などの配線材を介さずに直接接続している。このような構成によれば、ゲート回路基板14をパッケージ3の直近に設置することができ、配線材を介さずに接続するので、ゲート回路の配線インピーダンスを小さくし、高速スイッチングを可能にすることができる。
【0039】
<実施の形態8>
図8は本発明の第8の実施の形態を示すものである。この実施の形態は、図1のパワー半導体モジュールにおいて、コレクタ端子4とエミッタ端子5を、相互に絶縁した上で積層配置したものである。導体取付ボルト12が貫通する穴4h,5hはベース7の取付穴8と互いに干渉しないように位置決めされる。このような構成によれば、コレクタ端子4とエミッタ端子5の部分の有するインダクタンスを小さくすることができ、装置構成時の回路インダクタンスをさらに小さくすることができる。
【0040】
<実施の形態9>
次に本発明の第9の実施の形態について図9を用いて説明する。この実施の形態は、図1のパワー半導体モジュールにおいて、パッケージ3にモジュール取付ボルト11を予め組込んだものである。この構成によれば、モジュール取付ボルト11を緩めた状態ではモジュール取付ボルト11がパッケージ3に付属しているので、モジュールとモジュール取付ボルト11とを一つの部品として取り扱うことができる。そのため、モジュール交換の作業性が良くなり、保守に要する作業時間をさらに短縮することができる。
【0041】
<実施の形態10>
図10は本発明の第10の実施の形態を示すものである。この実施の形態は、図1のパワー半導体モジュールにおいて、コレクタ端子4とエミッタ端子5に、それぞれ導体取付ボルト12を予め組込んだものである。この構成によれば、導体取付ボルト12を緩めた状態でも、導体取付ボルト12がコレクタ端子4及びエミッタ端子5から完全に外れることがなく、モジュールと導体取付ボルト12を一つの部品として取り扱うことができる。そのため、モジュール交換の作業性が向上し、保守に要する作業時間をさらに短縮することができる。
【0042】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、モジュールの交換作業を容易にし、主回路のインダクタンスを低減し、導体の温度上昇を抑制することができ、それにより装置の保守性向上、小形化、高性能化、及び信頼性の向上を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態におけるパワー半導体モジュールの斜視図。
【図2】本発明の第2の実施の形態における電力変換装置の分解斜視図。
【図3】本発明の第3の実施の形態における電力変換装置の分解斜視図。
【図4】本発明の第4の実施の形態における電力変換装置の分解斜視図。
【図5】本発明の第5の実施の形態における電力変換装置の分解斜視図。
【図6】本発明の第6の実施の形態における冷却器及び端子接続導体の断面図。
【図7】本発明の第7の実施の形態におけるパワー半導体モジュールの分解斜視図。
【図8】本発明の第8の実施の形態におけるパワー半導体モジュールの斜視図。
【図9】本発明の第9の実施の形態におけるパワー半導体モジュールの斜視図。
【図10】本発明の第10の実施の形態におけるパワー半導体モジュールの斜視図。
【図11】公知の中性点クランプ方式3レベルインバータの回路結線図。
【図12】従来のIGBTモジュールの斜視図。
【図13】従来の3レベルインバータの端子接続導体の配置状態を説明するための分解斜視図。
【図14】公知の三相インバータ回路の結線図。
【図15】公知の単相インバータ回路の結線図。
【図16】公知の三相インバータ回路の1相分を示す結線図。
【符号の説明】
1a〜1f IGBTモジュール
2a,2b ダイオードモジュール
3 パッケージ
4 主端子(コレクタ端子又はカソード端子)
5 主端子(エミッタ端子又はアノード端子)
6 制御端子(ゲート端子)
7 べース
8 取付穴
9 冷却器
10a〜10f 端子接続導体
11 モジュール取付ボルト
12 導体取付ボルト
13 熱伝導性絶縁シート
14 ゲート回路基板
Claims (5)
- べースとその上に配置された絶縁パッケージとで構成された外囲器の中に半導体チップを収納し、前記絶縁パッケージ上に複数の主端子を配設したパワー半導体モジュールにおいて、
前記複数の主端子をそれぞれ前記べースに平行に配置した状態で前記パッケージの外部に突出させ、各主端子に形成した導体取付ボルト用の貫通穴をボルトの軸心方向から見て前記パッケージの外部に位置させるとともに、前記各主端子を相互に絶縁した上、積層構造にして導出したことを特徴とするパワー半導体モジュール。 - 複数のスイッチングモジュールと複数のダイオードモジュールにより中性点クランプ方式3レベルインバータ回路を構成した電力変換装置において、
各スイッチングモジュール及び各ダイオードモジュールをそれぞれべースとその上に配置された絶縁パッケージとで構成した外囲器の中に個々に収納し、前記パッケージ上に配設した複数の主端子をそれぞれ前記べースに平行に配置した状態で前記パッケージの外部に突出させ、各端子に形成した導体取付ボルト用の貫通穴をボルトの軸心方向から見て前記パッケージの外部に位置させ、各スイッチングモジュール及び各ダイオードモジュールを共通の冷却器上に配置し、各モジュールの端子を、絶縁シートを介して積層した複数の導体を介して前記冷却器の側方に導出したことを特徴とする電力変換装置。 - 複数のスイッチングモジュールによりインバータ回路を構成した電力変換装置において、
各スイッチングモジュールをそれぞれべースとその上に配置された絶縁パッケージとで構成した外囲器の中に個々に収納し、前記パッケージ上に配設した複数の主端子をそれぞれ前記べースに平行に配置した状態で前記パッケージの外部に突出させ、各主端子に形成した導体取付ボルト用の貫通穴をボルトの軸心方向から見て前記パッケージの外部に位置させ、複数のスイッチングモジュールを共通の冷却器上に配置し、各モジュールの端子を、絶縁シートを介して積層した複数の導体を介して前記冷却器の側方に導出したことを特徴とする電力変換装置。 - 請求項3に記載の電力変換装置において、
前記インバータ回路の1相分を構成するスイッチングモジュールごとに共通の冷却器上に配置したことを特徴とする電力変換装置。 - 請求項2又は3に記載の電力変換装置において、
前記絶縁シートを、熱伝導性絶縁シートによって構成したことを特徴とする電力変換装置。
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