JP3646816B2 - 円筒型液体封入式防振装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、円筒型の液体封入式防振装置に関するものであり、特に、円筒状の防振ゴム体を保持するブラケットを、プラスチック材にて形成するようにした円筒型液体封入式防振装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の円筒型液体封入式防振装置は、例えば、図6に示す如く、内筒10及び外筒20を有する円筒状の液体封入防振ゴム体90と、当該円筒状の液体封入防振ゴム体90を保持する金属製のブラケット50と、からなるものである。そして、当該ブラケット50は、筒状体からなる保持部510と、当該保持部510を支持する脚部550とからなるものである。また、円筒状の液体封入防振ゴム体90は、図5に示す如く、内筒10、及び当該内筒10をその中心部に有するインシュレータゴム30、更には当該インシュレータゴム30のところに設けられるものであって液体の封入される主室60、副室70、オリフィス80等を有する構成からなる防振ゴム体990と、当該防振ゴム体990を内部に有する外筒20とからなるものである。
【0003】
すなわち、上記構成からなる防振ゴム体(ゴム玉)990が、図5に示す如く、上記液室内に封入されることとなる液体の充填された容器内等にて、外筒20内に圧入されることによって液体封入防振ゴム体90が形成されるようになっているものである。そして、このようにして形成された液体封入防振ゴム体90の外筒20を絞り込むことによって、インシュレータゴム30の両端末部と外筒20との間の密着性、すなわち、上記液室60、70のシール性を向上させるようにしているものである。そして更に、このような構成からなる内外筒10、20付きの円筒状液体封入防振ゴム体90が、図6に示す如く、ブラケット50の筒状体からなる保持部510のところに圧入手段等により装着されることによって、円筒型の液体封入式防振装置が形成されるようになっているものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記従来のものは、金属製ブラケット50と、金属製の外筒20を有する円筒状の液体封入防振ゴム体90と、からなるものであるので、全体的に重量(質量)が重くならざるを得ないという問題点を有する。また、上記外筒20の絞り込み作業、及び上記ブラケット50の金属製保持部510への上記液体封入防振ゴム体90の圧入作業、更には、ブラケット50の製造等をも含めて、全体としての製造工程が煩雑になるという問題点を有する。このような問題点を解決するために、ブラケットをプラスチック材にて形成するとともに、上記円筒状の防振ゴム体を金属製の外筒を有しない構造とし、更に、上記ブラケットと上記円筒状防振ゴム体との一体化を接着剤を介して行なわせるようにした、円筒型の液体封入式防振装置を提供しようとするのが、本発明の目的(課題)である。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明においては次のような手段を講ずることとした。すなわち、請求項1記載のものにおいては、振動体側に連結される内筒、及び当該内筒を中心にしてその外側に設けられる弾性体からなるインシュレータゴム、更には当該インシュレータゴムのところに設けられる液室等からなる円筒状の防振ゴム体と、当該円筒状の防振ゴム体を保持するブラケットと、からなる円筒型の液体封入式防振装置に関して、上記円筒状の防振ゴム体を形成するインシュレータゴムの両端末部のところに、円周状に溝を設けるとともに、当該溝内に接着剤を充填し、一方、このような構成からなる防振ゴム体を保持するブラケットをプラスチック材にて形成し、更に、当該ブラケットと上記防振ゴム体とを上記接着剤を介して一体化し、更にその後、上記液室内に液体を充填するようにした構成を採ることとした。
【0006】
上記構成を採ることにより、本発明においては、次のような作用を呈することとなる。すなわち、液体封入式防振装置の一部を成すブラケットはプラスチック材からなるものであるので、その軽量化が図られることとなる。また、ブラケットと防振ゴム体との一体化を、防振ゴム体を形成するインシュレータゴムの両端末部に設けられた接着剤を介して行なわせるようにしたので、液体封入防振ゴム体を形成する外筒の絞り込み作業、更には液体封入防振ゴム体のブラケット保持部内への圧入作業等が省かれることとなり、本円筒型液体封入式防振装置の製造工程の簡略化が図られることとなる。
【0007】
次に、請求項2記載の発明においては、インシュレータゴムを主体とした円筒状の防振ゴム体と、当該防振ゴム体を保持するものであってプラスチック製のブラケットと、からなる円筒型液体封入式防振装置に関して、上記ブラケットの保持部のところに、上記防振ゴム体のインシュレータゴムの内部に形成される液室と連通する小孔を設けるとともに、このような構成からなるブラケットと上記防振ゴム体とを接着剤を介して一体化し、その後、上記小孔を通じて上記液室内に液体を注入し、その後更に、当該小孔をプラスチック材等からなるプラグにて密閉することとした構成を採ることとした。
【0008】
このような構成を採ることにより、本発明においては、上記請求項1記載の発明と同様、ブラケットのプラスチック化に基づく軽量化が図られることとなる。その外に、本発明においては、防振ゴム体から外筒が取り除かれたことにより、従来のものにおいて行なわれていた液体の満たされた容器内での外筒の組付け作業、更には、このような液体封入防振ゴム体の外筒部の絞り込み作業等が省略されることとなる。また、インシュレータゴムを主体とした防振ゴム体を上記プラスチック製ブラケットに装着し、しかる後に、上記小孔を通じて液室内に液体を注入し、更に、このように液体の注入された後に、上記液体注入口(小孔)をプラスチック製プラグ等にて封入すれば良いようにしたので、液体封入式防振装置全体の組付作業(組立作業)の簡略化が図られることとなる。すなわち、本発明にかかる円筒型液体封入式防振装置の製造効率の向上が図られることとなる。
【0009】
次に、請求項3記載の発明においては、インシュレータゴムを主体とした円筒状の防振ゴム体と、当該防振ゴム体を保持するものであってプラスチック製のブラケットと、からなる円筒型液体封入式防振装置に関して、上記ブラケットの保持部のところに、上記防振ゴム体のインシュレータゴムの内部に形成される液室と連通する小孔を設け、このような構成からなるブラケットと上記防振ゴム体とを一体化し、その後、上記小孔を通じて上記液室内に液体を充填し、更にその後、当該小孔の周りに形成されたブラケットの保持部の部分を熱溶融手段にて溶融させ、これによって上記小孔を密閉することとした構成を採ることとした。
【0010】
このような構成を採ることにより、本発明においては、上記請求項1記載の発明及び請求項2記載の発明と同様、ブラケットのプラスチック化による軽量化、及び防振ゴム体からの外筒の除去による組立工程の簡略化等が図られることとなる。そして、更に、本発明においては、上記液体充填用の小孔の密閉を、当該小孔の周りを形成するブラケット保持部の熱溶融にて行なわせるようにしたので、当該密閉作業がより簡単に行なわれることとなる。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態について、図1ないし図4を基に説明する。本発明の実施の形態に関する、その構成は、図1に示す如く、円筒状の形態からなるものであって、その内部に液室及びオリフィス等を有する防振ゴム体1と、プラスチック材からなるものであって上記円筒状の防振ゴム体1を保持するブラケット5と、からなることを基本とするものである。
【0012】
このような基本構成において、上記円筒状の防振ゴム体1は、図1ないし図4に示す如く、弾性体からなるインシュレータゴム15を基礎として形成されるものであって、その内径部側には円筒状の内筒11を有する構成からなるものである。そして、これら構成からなるインシュレータゴム15の内部には、図2に示すような主室2及び副室4からなる液室、更には、これら主室2及び副室4の間を連結するオリフィス3(図1参照)等が設けられるようになっているものである。そして、このような構成からなる円筒状の防振ゴム体1の主要部をなすインシュレータゴム15の外周部のところには、図1及び図2に示す如く、リセス溝(溝)155が設けられるようになっている。このリセス溝155は、具体的には上記円筒状インシュレータゴム15の両端末部であって、その円周上に設けられるようになっているものである。
【0013】
このような構成からなる防振ゴム体1を保持するブラケット5は、図1に示す如く、プラスチック材からなるものであって、円筒状の防振ゴム体1を保持する円筒状の保持部51と、当該保持部51と一体的に形成されるものであって、他の物体への取付部を成す脚部55とからなることを基本とするものである。そして、このような構成からなるブラケット5の保持部51のところに、図1に示す如く、円筒状の防振ゴム体1が装着されることによって、防振ゴム体1とブラケット5との一体化が成されるようになっている。ところで、この一体化に当っては、図2に示す如く、防振ゴム体1を形成する円筒状インシュレータゴム15の、その両端末部に設けられたリセス溝155内に充填された接着剤6にて、両者は結合されるようになっている。これによって、ブラケット5の保持部51とインシュレータゴム15との間に、図2に示す如く、主室2及び副室4等からなる液室が形成されることとなる。なお、本実施の形態のものにあっては、防振ゴム体1から外筒が取り除かれた構成となっているので、従来のものにおけるような外筒部を介してのブラケットへの圧入手段等は採られないようになっている。
【0014】
そして、このようにして上記ブラケット5と防振ゴム体1とが一体化された状態において、まず、上記ブラケット5の保持部51のところに設けられた小孔515から液体が注入される。これによって、上記主室2及び副室4等の液室内に液体が充填されることとなる。次に、このような状態において、図2に示す如く、上記ブラケット5の保持部51に設けられた小孔515のところにプラグ7が装着される。これによって、上記主室2及び副室4等からなる液室が密閉される。なお、このプラグ7の装着は、接着剤等を介して行なわれる場合と、上記プラグ7を熱可塑性のプラスチック材にて形成しておき、そして、このプラグ7を熱溶融手段等にて溶融させることによって、上記小孔515を密閉する場合とが考えられる。いずれにしても、これら密閉手段にて上記液室を密閉することによって、図3に示すような液体封入式の防振装置が形成されることとなる。
【0015】
なお、上記小孔515の密閉に当っては、上記プラグ7を用いる方式のものの外に、図4に示すような熱溶着手段によるものも考えられる。このものは、ブラケット5の保持部51に設けられる小孔515の周りに、図4の二点鎖線図示に示すような凸部516を予め設けておき、上記液室内への液体の注入が済んだ後に、上記凸部516の部分を熱溶融手段等にて部分的に溶融せしめ、この溶融プラスチック材にて上記小孔515を密閉するようにしているものである。すなわち、熱溶着部517を形成することによって上記小孔515を密閉し、これによって液体封入式防振装置を形成するようにしているものである。
【0016】
このような構成からなる本実施の形態のものに関する、その作用等について説明する。すなわち、本液体封入式防振装置の主要部を成すブラケット5は、プラスチック材からなるものであるので、軽量化が図られることとなる。また、当該ブラケット5に装着される防振ゴム体1も、従来のものにおいて採用されていた金属製の外筒が省略されていることより、軽量化が図られることとなる。従って、本液体封入式防振装置は、全体的に軽量化が図られることとなる。
【0017】
また、防振ゴム体1とブラケット5との一体化は、円筒状防振ゴム体1の両端末部のところに設けられたリセス溝155内に充填された接着剤6を介して行なわれるようになっているので、従来のものにおいて行なわれていた防振ゴム体1のブラケット5への圧入作業等も不要となる。従って、本円筒型液体封入式防振装置の製造工程の簡略化が図られることとなる。また、防振ゴム体1とブラケット5との一体化が行なわれた後に、当該ブラケット5の保持部51に設けられた小孔515を通じて液体の注入が行なわれるようにしたので、従来のものにおいて行なわれていた液体の満たされた容器内での液体封入式防振装置の組付け(組立て)作業等が不要となり、これによっても、本円筒型液体封入式防振装置の組立作業の効率化が図られることとなる。
【0018】
【発明の効果】
本発明によれば、振動体側に連結される内筒、及び当該内筒を中心にしてその外側に設けられる弾性体からなるインシュレータゴム、更には当該インシュレータゴムのところに設けられる液室等からなる円筒状の防振ゴム体と、当該円筒状の防振ゴム体を保持するブラケットと、からなる円筒型の液体封入式防振装置に関して、上記円筒状の防振ゴム体を形成するインシュレータゴムの両端末部のところに、円周状に溝を設けるとともに、当該溝内に接着剤を充填し、一方、このような構成からなる防振ゴム体を保持するブラケットをプラスチック材にて形成し、更に、当該ブラケットと上記防振ゴム体との一体化を上記インシュレータゴムの両端末部のところに設けられた接着剤を介して行なうようにした構成を採ることとしたので、ブラケットのプラスチック化及び金属製外筒の省略等により、液体封入式防振装置全体の軽量化が図られることとなった。また、ブラケットと防振ゴム体との一体化は、防振ゴム体を形成するインシュレータゴムの両端末部に設けられた接着剤を介して行なうようにしたので、液体封入防振ゴム体を形成する外筒の絞り込み作業、更には液体封入防振ゴム体のブラケット保持部内への圧入作業等が省かれることとなり、本円筒型液体封入式防振装置の製造工程の簡略化が図られるようになった。
【0019】
また、防振ゴム体とブラケットとの一体化の後に、液室内への液体の注入、更には液体注入用小孔の密閉等を行なうようにしたので、従来のものにおいて行なわれていた、液体の満たされた容器内での組立作業等が不要となり、これによって、液体封入式防振装置全体の組付作業(組立作業)の効率向上を図ることができるようになった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の全体構成を示す展開斜視図である。
【図2】本発明にかかる円筒型液体封入式防振装置の液室の密閉状態を示す一部破断面図である。
【図3】本発明にかかる円筒型液体封入式防振装置の全体構成を示す正面図である。
【図4】本発明にかかる円筒型液体封入式防振装置の液室の密閉構造についての他の実施例を示す図である。
【図5】従来例における防振ゴム体と外筒との間の構成を示す組付説明図である。
【図6】従来例の全体構成を示す展開斜視図である。
【符号の説明】
1 防振ゴム体
11 内筒
15 インシュレータゴム
155 溝(リセス溝)
2 主室
3 オリフィス
4 副室
5 ブラケット
51 保持部
515 小孔
516 凸部
517 熱溶着部
55 脚部
6 接着剤
7 プラグ
Claims (3)
- 振動体側に連結される内筒、及び当該内筒を中心にしてその外側に設けられる弾性体からなるインシュレータゴム、更には当該インシュレータゴムのところに設けられる液室等からなる円筒状の防振ゴム体と、当該円筒状の防振ゴム体を保持するブラケットと、からなる円筒型の液体封入式防振装置において、上記円筒状の防振ゴム体を形成するインシュレータゴムの両端末部のところに、円周状に溝を設けるとともに、当該溝内に接着剤を充填し、一方、このような構成からなる防振ゴム体を保持するブラケットをプラスチック材にて形成し、更に、当該ブラケットと上記防振ゴム体とを上記接着剤を介して一体化し、更にその後、上記液室内に液体を充填することとした構成からなることを特徴とする円筒型液体封入式防振装置。
- 請求項1記載の円筒型液体封入式防振装置において、上記ブラケットの保持部のところに、上記防振ゴム体のインシュレータゴムの内部に形成される液室と連通する小孔を設け、当該小孔を通じて上記液室内に液体を注入し、更にその後、当該小孔をプラグにて密閉することとした構成からなることを特徴とする円筒型液体封入式防振装置。
- 請求項1記載の円筒型液体封入式防振装置において、上記ブラケットの保持部のところに、上記防振ゴム体のインシュレータゴムの内部に形成される液室と連通する小孔を設け、当該小孔を通じて上記液室内に液体を充填し、更にその後、当該小孔の周りに形成された上記ブラケットの保持部の部分を熱溶融手段にて溶融させ、これによって上記小孔を密閉することとした構成からなることを特徴とする円筒型液体封入式防振装置。
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