JP3646721B2 - 化粧料用樹脂粉体およびこれを用いた化粧料 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、化粧料に用いられる化粧料用樹脂粉体、及びこれを用いた化粧料に関する。
【0002】
【従来技術】
従来より、ファンデーション、アイシャドウ、ベビーパウダー、乳液、制汗パウダー、ボディシャンプー等の化粧料には通常、樹脂粉体が含まれており、かかる樹脂粉体を構成する樹脂含有粒子の形状、粒径分布、表面状態、硬度、ガラス転移点、平均分子量等の物理化学的特性や、樹脂含有粒子を構成するモノマーと、その重量比率等が、主に塗布時の伸展性、塗布後における肌への適度な密着感等の使用性を大きく左右することから、これらの特性を改善する目的で、樹脂粉体について種々の改良が行われている。
【0003】
例えば特開2000−302828号公報では、化粧料における質感、伸展性、感触を向上させるとともに、化粧料の硬い感触やべたつき等の違和感の解消を図った板状有機シリコーン樹脂粉体が発明されている。
【0004】
【特許文献1】
特開2000−302828公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前述した従来の公報に記載の板状有機シリコーン樹脂粉体を含む化粧料は、以下に示す課題を有していた。
【0006】
即ち上記化粧料においては、板状有機シリコーン樹脂粉体が化粧料中に一般に含まれる油剤成分と十分になじまず、有機シリコーン樹脂粉体同士が凝集を起こす。このため、このような化粧料を皮膚に塗布する時に化粧料の伸展性が不十分となっていた。また上記のような化粧料を皮膚へ塗布した後における密着感も十分ではなかった。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、化粧料に対し、皮膚への塗布時における伸展性および塗布後における密着感を十分に向上させることができる化粧料用樹脂粉体及びこれを用いた化粧料を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた。その結果、本発明者等は、樹脂粉体の疎水化度、形状係数SF1を特定範囲とし、且つ、樹脂粉体の形状を特定の形状にすることにより上記課題を解決し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
即ち本発明の化粧料用樹脂粉体は、樹脂を含む樹脂含有粒子の集合体で構成される化粧料用樹脂粉体であって、
前記樹脂含有粒子の疎水化度が10%〜60%であり、下記式:
SF1=(ML2/A)×(π/4)×100 ・・・(1)
(上記式中、MLは前記樹脂含有粒子の最大長を、Aは前記樹脂含有粒子の投影面積を表す)
で定義される形状係数SF1の平均値が110〜140であり、
前記樹脂のガラス転移温度Tgが10〜100℃であり、且つ、
前記樹脂含有粒子の平面への投影面積が最大となる方向から見たときの長径をa、短径をb、厚さをcとしたとき、a,b,cが下記式:
0.5<b/a<1 ・・・(2)
0.4<c/b<0.8・・・(3)
を同時に満たす、
ことを特徴とする。
【0010】
この化粧料用樹脂粉体によれば、化粧料に対し、疎水化度、形状係数SF1、b/a又はc/bが上記範囲を外れた場合と比較して、より十分な伸展性および密着性を付与することができる。即ち本発明の化粧料用樹脂粉体は、疎水化度が上記範囲内にあると、化粧料に配合された場合に、化粧料に一般に含まれる油剤成分となじみやすくなり、化粧料における化粧料用樹脂粉体の分散性が向上する。また樹脂含有粒子の形状係数SF1、および形状を規定するパラメータであるb/a又はc/bが上記範囲内にあることにより、樹脂含有粒子の滑り性の低下が十分に防止されると同時に、樹脂含有粒子の皮膚への密着性が十分に向上する。このため、本発明の化粧料用樹脂粉体を化粧料に配合してその化粧料を皮膚に塗布すると、樹脂含有粒子の疎水化度、形状係数SF1、b/a又はc/bが上記範囲を外れた場合と比較して、より十分な伸展性が発揮される。そして、塗布後においては、疎水化度、形状係数SF1、b/a又はc/bが上記範囲を外れた場合と比較して、より適度な密着感を皮膚に与えることができる。なお、樹脂のガラス転移温度が10℃未満では、化粧料に配合して皮膚に塗布した場合に、塗布後において化粧料にサラサラ感を付与することが困難となる傾向があり、100℃を超えると、化粧料に対し、皮膚への適度な密着感を十分に持続させることができなくなる傾向がある。
【0011】
また本発明の化粧料は、樹脂粉体と油剤成分とを含む化粧料において、樹脂粉体が、上記化粧料用樹脂粉体であることを特徴とする。
【0012】
この化粧料によれば、樹脂含有粒子の疎水化度が10%〜60%であることにより、化粧料中に含まれる油剤成分と化粧料用樹脂粉体とがなじみやすく、化粧料において化粧料用樹脂粉体が十分に分散された状態にある。このため、本発明の化粧料によれば、疎水化度、形状係数SF1、b/a又はc/bが上記範囲を外れた場合と比較して、皮膚への塗布時において、より十分な伸展性が発揮される。そして、塗布後においては、疎水化度、形状係数SF1、b/a又はc/bが上記範囲を外れた場合と比較して、皮膚に対してより適度な密着感を与えることができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
【0014】
[化粧料用樹脂粉体]
まず本発明の化粧料用樹脂粉体(以下、単に「樹脂粉体」という)について説明する。
【0015】
本発明の樹脂粉体は、樹脂含有粒子の集合体で構成され、樹脂含有粒子の疎水化度が10%〜60%であり、下記式:
SF1=(ML2/A)×(π/4)×100 ・・・(1)
(上記式中、MLは樹脂含有粒子の最大長を、Aは樹脂含有粒子の投影面積を表す)
で定義される形状係数SF1の平均値が110〜140であり、且つ、樹脂含有粒子の平面への投影面積が最大となる方向から見たときの長径をa、短径をb、厚さをcとしたとき、a,b,cが下記式:
0.5<b/a<1 ・・・(2)
0.4<c/b<0.8・・・(3)
を同時に満たすことを特徴とする。
【0016】
この樹脂粉体によれば、化粧料に対し、疎水化度、形状係数SF1、b/a又はc/bが上記範囲を外れた場合と比較して、より十分な伸展性および密着性を付与することができる。即ち本発明の化粧料用樹脂粉体は、疎水化度が上記範囲内にあると、化粧料に配合された場合に、化粧料に一般に含まれる油剤成分となじみやすくなり、化粧料における樹脂粉体の分散性が向上する。また樹脂含有粒子の形状係数SF1および形状を規定するパラメータであるb/a又はc/bが上記範囲内にあることにより、樹脂含有粒子の滑り性の低下が十分に防止されると同時に、樹脂含有粒子の皮膚への密着性が十分に向上する。このため、本発明の樹脂粉体を化粧料に配合してその化粧料を皮膚に塗布すると、樹脂含有粒子の疎水化度、形状係数SF1、b/a又はc/bが上記範囲を外れた場合と比較して、より十分な伸展性が発揮される。そして、塗布後においては、疎水化度、形状係数SF1、b/a又はc/bが上記範囲を外れた場合と比較して、より適度な密着感を皮膚に与えることができる。
【0017】
本発明の樹脂粉体において、樹脂含有粒子の疎水化度とは、下記式:
疎水化度(%)=(メタノール濃度1(%)+メタノール濃度2(%))/2
に基づいて算出される値をいう。上記式中、メタノール濃度1とは、樹脂粉体をメタノール水溶液中に投入した場合に樹脂粉体の一部が沈降して懸濁を起こし始めるときのそのメタノール水溶液中のメタノール濃度(単位は体積%)を言う。またメタノール濃度2とは、樹脂粉体をメタノール水溶液中に投入した場合に樹脂粉体が液面上に浮遊することなく懸濁を起こすときのそのメタノール水溶液中のメタノール濃度(単位は体積%)のうち最低のメタノール濃度を言う。なお、メタノール水溶液が懸濁していない状態では、樹脂含有粒子は水面に浮かび、懸濁し始めると樹脂含有粒子の一部が水面下に沈み始め、全て懸濁すると樹脂含有粒子は完全に水面下に沈み、白濁する。
上記メタノール濃度1,2は例えば次のようにして求めることができる。即ち、まず複数個のビーカーを用意し、これらのビーカーに0から100%まで、10%毎に濃度の異なる複数のメタノール水溶液を60mlずつ入れる。そして、樹脂粉体0.1gを各水溶液に添加し、マグネットスターラーにて軽く攪拌を行い、ビーカー中の水溶液を観察する。この観察結果より、メタノール濃度1と、メタノール濃度2を求める。メタノール濃度の測定例と、観察結果を表1に示す。なお、表1中、○、△、×は下記基準に従って記載されたものである。
○・・・樹脂含有粒子が全て浮く
△・・・樹脂含有粒子の一部が懸濁する
×・・・樹脂含有粒子の全てが懸濁する
【表1】
表1に示す結果より、メタノール濃度1は20%であり、メタノール濃度2は30%であり、疎水化度は25%であることが分かる。
【0018】
なお、樹脂含有粒子の疎水化度が10%未満になると、化粧料に配合して皮膚に塗布した場合に、化粧料の伸展性が不十分となり、塗布後においては密着感が不十分となる。一方、樹脂含有粒子の疎水化度が60%を超えると、油剤成分とのなじみが悪化し粒子の凝集が起こり、塗布後のきめ細やかさが失われてしまう。樹脂含有粒子の疎水化度は、好ましくは20%〜50%であり、より好ましくは25%〜40%である。疎水化度が上記範囲内にあると、樹脂粉体を化粧料に配合して皮膚に塗布する時に、伸展性が特に十分に発揮され、塗布後は、化粧料により、皮膚に対し一層適度な密着感が与えられる。
【0019】
また上記形状係数SF1については、上記式(1)中、樹脂含有粒子の投影面積とは、平面に対向する樹脂含有粒子に対し、その平面に直交する光軸に沿って樹脂含有粒子側から光を照射したときに、その平面に投影される樹脂含有粒子像の面積を言う。この形状係数SF1は、100に近いほど樹脂含有粒子が真球に近いことを意味し、大きくなればなるほど、表面に凹凸が生じ、真球から遠ざかることを意味する。
【0020】
なお、上記式(1)で定義される形状係数SF1が110未満では、樹脂含有粒子の形状が真球に近くなり、化粧料において、塗布時の伸展性については十分に発揮させることができるものの、化粧料の塗布後に必要とされる適度な付着性ないしは密着感を付与することができなくなる。一方、上記形状係数SF1が140を超えると、樹脂含有粒子の表面に凹凸が生じるため、皮膚への付着性は向上するものの、塗布時の伸展性が不十分となる。
【0021】
上記形状係数SF1は、主に顕微鏡画像または走査電子顕微鏡画像を画像解析装置(ニコレ社製LUZEXIII)によって解析し、樹脂含有粒子の最大長ML、投影面積Aを測定して、これらを上記式に代入することによって算出される。
【0022】
上記形状係数SF1の上限は好ましくは130、より好ましくは120である。形状係数SF1が130以下の場合、樹脂含有粒子の形状が真球に近づき、皮膚表面での流動性が向上し、メークアップ化粧料等に配合した場合の塗布時の滑らかさがより向上し、皮膚上での均一な塗布が可能となる。
【0023】
上記樹脂含有粒子の形状は扁平球状である。即ち、樹脂含有粒子の形状は、いわゆる葉巻型や針状、盤状ではなく、円盤型やラグビーボール型のような球形をある程度保った楕円球状型である。このような形状は、上記式(2)及び(3)で概ね規定することができ、本発明の樹脂粒子を構成する樹脂含有粒子の平面への投影面積が最大となる方向は、電子顕微鏡により任意の樹脂含有粒子を選択し、この樹脂含有粒子が載っている観察ステージを多方向に回転させ、投影面積が最大となる方向を探しだすことにより決定することができる。また長径aは、任意に抽出した50個の樹脂含有粒子についての長径ai(iは1から50までの整数を表す)の平均値であり、長径aiとは、図1に示すように、樹脂含有粒子の平面への投影像1において、投影像1の縁上の2点A,Bを通る線分ABのうち最も長い線分の長さをいう。また短径bは、任意に抽出した50個の樹脂含有粒子のそれぞれについての短径bi(iは1から50までの整数を表す)の平均値であり、短径biとは、長径aiを表す線分ABに直交する線分のうち最も長い線分の長さをいう。また厚さcは、任意に抽出した50個の樹脂含有粒子についての厚さci(iは1から50までの整数を表す)の平均値であり、厚さciとは、上記長径ai、短径biを測定した後、樹脂含有粒子を載せた平面を長径ai又は短径biを表す線分を軸として60〜120度回転させ、当該樹脂含有粒子の平面への投影像2における回転軸Xに直交する線分のうち最も長い線分の長さが最小になるときの、該線分の長さをいう(図2参照)。上記長径ai、短径bi、厚さciは、樹脂含有粒子を電界放出型走査型電子顕微鏡(FE−SEM:Field Emission- Scanning Electron Microscope、製品名:日立製作所社製S−2700型)を用いて下記条件で観察したときの値である。
加速電圧 :20kV
倍率 :5,000倍
【0024】
なお、上記長径ai、短径bi、厚さciは通常、FE-SEMを利用した画像解析によって求めることができる。
【0025】
なお、b/a、c/bが上記式(2)又は(3)の範囲を外れると、樹脂含有粒子は滑らかさを失い、樹脂粉体を配合した化粧料を皮膚に塗布する時にその伸展性が著しく悪化する。b/aは、0.65〜0.85であることが好ましく、b/aをこの範囲とすることにより樹脂粉体を配合した化粧料を皮膚に塗布した時にその伸展性が、上記範囲を外れた場合に比べて一層向上する。c/bは0.33〜0.67であることが好ましく、c/bをこの範囲とすることにより、樹脂粉体を配合した化粧料を皮膚に塗布した時にその伸展性が、上記範囲を外れた場合に比べて一層向上する。
【0026】
上記aは通常、2〜20μmであり、bは通常、1〜10μmであり、cは通常、0.2〜8μmである。
【0027】
本発明の樹脂粉体においては、樹脂含有粒子の集合体の平均体積粒径が2〜20μmであることが好ましい。
【0028】
この場合、塗布時における化粧料の使用感(例えば塗布ムラに起因する化粧料の塗布厚さの均一性)に優れると共に、化粧料による皮膚の隠蔽力が向上する。逆に、平均体積粒径が20μmを超える場合は、化粧料の塗布時に異物感が発生して使用感(例えば塗布ムラに起因する化粧料の塗布厚さの均一性)が低下したり、はだ荒れの目立ちが顕著になったり、肌に対して過度な刺激が与えられることがある。更に樹脂含有粒子の持つ特性を制御することが困難となる傾向がある。一方、平均体積粒径が2.0μm未満では、小径の樹脂含有粒子の割合が増加する。このため、この樹脂粉体を化粧料に配合して皮膚に塗布する場合に、樹脂含有粒子が皮膚のしわに入り込み、塗布後の樹脂含有粒子の分布に偏りが生じて化粧料による皮膚の隠蔽力が低下することがある。
【0029】
なお、平均体積粒径は、使用感をより向上させると共に、化粧料に配合して皮膚に塗布した場合の化粧料による隠蔽力の低下をより十分に防止する観点からは、3.0〜15.0μmであることがより好ましい。
【0030】
本発明に用いられる樹脂含有粒子に含まれる樹脂のガラス転移温度Tgは、10〜100℃である。ここで、ガラス転移温度とは、示差走査熱量計(島津製作所社製、DSC−50)を用いて昇温速度10℃/minで測定したガラス転移温度をいう。樹脂のガラス転移温度が10℃未満では、化粧料に配合して皮膚に塗布した場合に、塗布後において化粧料にサラサラ感を付与することが困難となる傾向があり、100℃を超えると、化粧料に対し、皮膚への適度な密着感を十分に持続させることができなくなる傾向がある。
【0031】
なお、樹脂含有粒子に含まれる樹脂のガラス転移温度は、塗布後における化粧料のサラサラ感を高め、且つ適度な密着感をより十分に持続させる観点からは、30〜80℃であることがより好ましい。
【0032】
本発明の樹脂粉体は、下記式:
(表面性指標値)=(比表面積実測値)/(比表面積計算値) ・・・(4)
(比表面積計算値)=6Σ(n×R2)/{ρ×Σ(n×R3)}・・・(5)
で定義される表面性指標値が2.0以下であることが好ましい。
【0033】
上記式(5)中、nはコールターカウンター(日科機社製TAII)におけるチャンネル内の粒子数、Rはコールターカウンターにおけるチャンネル粒径(μm)、ρは樹脂含有粒子の集合体の密度(g/cm3)を表す。
【0034】
ここで、コールターカウンターにおけるチャンネル数は16であり、1.26μmから50.8μmまでの粒径範囲がlogスケールで0.1間隔となるように16個に分割され、分割された各粒径範囲が各チャンネルに割り当てられる。例えば1.26μm以上1.59μm未満の粒径範囲の粒子の数はチャンネル1によってカウントされ、1.59μm以上2.00μm未満の粒径範囲の粒子の数はチャンネル2によってカウントされ、2.00μm以上2.52μm未満の粒径範囲の粒子の数はチャンネル3によってカウントされる。なお、log1.26=0.1、log1.59=0.2、log2.00=0.3、・・・、log50.8=1.6であり、例えばチャンネル1については、1.26μm以上1.59μm未満の粒径範囲はlogスケールで0.1間隔となる。他のチャンネルについても、同様にlogスケールで0.1間隔となる。
【0035】
ここで、表面性指標値は、樹脂含有粒子の表面状態の指標になるものであり、1.0に近づくほど、樹脂含有粒子の表面がより平滑となり、1.0から遠ざかるほど、表面がより粗くなる。
【0036】
上記のように樹脂粉体の表面性指標値が2.0以下であると、樹脂の数平均分子量Mn及び表面性指標値が上記範囲を外れる場合に比べて密着感等の使用感がより向上する。
【0037】
樹脂含有粒子に含まれる樹脂の数平均分子量Mnは通常、5000〜100万である。ここで、数平均分子量とは、分子量測定器(東ソー社製HLC−8120)を用いて測定される数平均分子量のことをいう。かかる数平均分子量が5000未満では、樹脂粉体を化粧料に配合した場合に、樹脂含有粒子が凝集しやすくなり、化粧料が軟らかくなって、使用性、保存性等に支障をきたす傾向があり、100万を超えると、樹脂含有粒子が硬くなりすぎて、使用性、保存性等に支障をきたす(即ち樹脂粉体を化粧料に配合して化粧料を皮膚に塗布した場合に、皮膚への化粧料の密着感が減少し、更に化粧料塗布後に突っ張り感が生じる)傾向がある。
【0038】
樹脂の数平均分子量Mnは、使用性、保存性等をより向上させる観点からは、5,000〜20,000であることが好ましい。
【0039】
本発明の樹脂粉体に使用する樹脂含有粒子を構成する樹脂は、少なくとも疎水化度が上記範囲内にある樹脂であれば特に制限されない。かかる樹脂は、具体的には、主として、下記(A)成分のうちの1種類のモノマーの単独重合体、下記(A)成分を構成する2種以上のモノマー同士の共重合体、若しくはこれら単独重合体と共重合体との混合物によって構成される。
【0040】
上記(A)成分としては、スチレン、その誘導体、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、エチレン性不飽和酸モノマー、ビニルニトリル、ビニルエーテル、ビニルケトン又はオレフィンが挙げられる。スチレンの誘導体としては、例えばパラクロロスチレン、α−メチルスチレン等が挙げられ、アクリル酸エステルとしては、例えばアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸2−エチルヘキシル等が挙げられ、メタクリル酸エステルとしては、例えばメタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸2−エチルヘキシル等が挙げられる。またエチレン性不飽和酸モノマーとしては、例えばアクリル酸、メタクリル酸、スチレンスルフォン酸ナトリウム等が挙げられ、ビニルニトリルとしては、例えばアクリロニトリル、メタクリロニトリル等が挙げられ、ビニルエーテルとしては、例えばビニルメチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル等が挙げられ、ビニルケトンとしては、例えばビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルイソプロペニルケトン等が挙げられ、オレフィンとしては、例えばエチレン、プロピレン、ブタジエンなどが挙げられる。化粧料としての特性を付与するために配合される樹脂としては、上記樹脂のうち、上述の様な分子量、Tg、表面性制御指標等の制御性の点から、スチレン系共重合体が好ましく、疎水化度を最適な値に制御することが容易である点から、スチレン−アクリレート共重合体がより好ましい。
【0041】
上記樹脂は、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、ポリエーテル樹脂等、又は非ビニル縮合系樹脂を更に含んでも良い。あるいは、樹脂含有粒子は、これらエポキシ樹脂等の樹脂と、上記(A)成分の単独重合体又は(A)成分を構成する2種以上のモノマー同士の共重合体のうちのビニル系樹脂との混合物、又はこれらの共存下でビニル系モノマーを重合して得られるグラフト重合体等であってもよい。
【0042】
また本発明に用いる樹脂含有粒子は架橋構造を有してもよい。この架橋構造を有する樹脂含有粒子は、樹脂同士を架橋剤の存在下に架橋反応させることにより得ることができる。ここで、架橋剤の添加率は、樹脂100重量部に対して0.01〜5重量部であり、好ましくは0.1〜2重量部である。架橋剤の添加率が0.01重量部未満では、樹脂含有粒子の形状が不安定になりやすく、化粧料に配合した場合に、化粧料において樹脂含有粒子同士の凝集を発生させたり、化粧料のべたべた感を増大させたり、化粧料の清涼感を喪失させたりする傾向があり、5重量部を超えると、樹脂含有粒子の柔軟性が低下しやすく、化粧料の触感を悪化させたり、突っ張り感を増大させたりする傾向がある。
【0043】
上記架橋剤としては、上記樹脂との関係で好適なものを適宜選択すればよいが、中でも、架橋反応が迅速である点から、ホウ素化合物が好ましい。かかるホウ素化合物としては、例えば硼砂、ホウ酸、ホウ酸塩(例えばオルトホウ酸塩、InBO3、ScBO3、YBO3、LaBO3、Mg3(BO3)2、Co3(BO3)2)、二ホウ酸塩(例えば、Mg2B2O5、Co2B2O5)、メタホウ酸塩(例えば、LiBO2、Ca(BO2)2、NaBO2、KBO2)、四ホウ酸塩(例えば、Na2B4O7・10H2O)、五ホウ酸塩(例えば、KB5O8・4H2O、Ca2B6O11・7H2O、CsB5O5);ホルムアルデヒド、グリオキザール、メラミン・ホルムアルデヒド(例えばメチロールメラミン、アルキル化メチロールメラミン)、グルタールアルデヒド等のアルデヒド系化合物;ジアセチル、シクロペンタンジオン等のケトン系化合物;ビス(2−クロロエチル尿素)−2−ヒドロキシ−4,6−ジクロロ−1,3,5−トリアジン、2,4−ジクロロ−6−S−トリアジン・ナトリウム塩等の活性ハロゲン化合物;ジビニルスルホン酸、1,3−ビニルスルホニル−2−プロパノール、N,N’−エチレンビス(ビニルスルホニルアセタミド)、1,3,5−トリアクリロイル−ヘキサヒドロ−S−トリアジン等の活性ビニル化合物;ジメチロ−ル尿素、メチロールジメチルヒダントイン等のN−メチロール化合物;レゾール樹脂;ポリイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート等のイソシアネート系化合物;米国特許明細書第3,017,280号、同第2,983,611号に記載のアジリジン系化合物;米国特許明細書第3,100,704号に記載のカルボキシイミド系化合物;エポキシ樹脂、グリセロールトリグリシジルエーテル等のエポキシ系化合物;1,6−ヘキサメチレン−N,N’−ビスエチレン尿素等のエチレンイミノ系化合物;ムコクロル酸、ムコフェノキシクロル酸等のハロゲン化カルボキシアルデヒド系化合物;2,3−ジヒドロキシジオキサン等のジオキサン系化合物;クロム明ばん、カリ明ばん、硫酸ジルコニウム、酢酸クロム等である。なお、上記架橋剤は、単独で、又は2種以上組合せて用いてもよい。
【0044】
上記樹脂同士を架橋剤の存在下に架橋反応させる場合、架橋剤は通常、架橋剤を含む架橋剤溶液として用いられる。架橋剤溶液は、架橋剤を溶媒に溶解して調製される。この溶媒としては、一般に水が使用されるが、該水と混和性を有する有機溶媒を含む水系混合溶媒が用いられてもよい。あるいはこれらの溶媒のほか、有機溶媒を用いることもできる。有機溶媒としては、架橋剤を溶解することが可能なものであれば如何なるものでも使用することができ、例えばメタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、グリセリン等のアルコール;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン;酢酸メチル、酢酸エチル等のエステル;トルエン等の芳香族溶剤;テトラヒドロフラン等のエーテル類、又はジクロロメタン等のハロゲン化炭素系溶剤等を挙げることができる。
【0045】
本発明に用いる樹脂含有粒子は、上記樹脂のほか、目的に応じ、微粒子を含有させてもよい。この樹脂含有粒子によれば、樹脂含有粒子の集合体である樹脂粉体が化粧料に配合される場合に、樹脂含有粒子と微粒子とを別々に化粧料中に配合する場合に比べて樹脂含有粒子同士の再凝集防止効果に優れるだけでなく、樹脂含有粒子の樹脂が有する特性に基づく化粧料の使用性を保持しながら微粒子に起因する機能を発現させることができる。
【0046】
ここで、微粒子は樹脂表面に付着されていることが好ましい。微粒子が樹脂表面に付着される場合、微粒子が樹脂の内部に含まれる場合に比べて、上記再凝集防止効果等を顕著に発現させることができる。ここで、このような微粒子の平均体積粒径は、その化粧料への配合量及び樹脂含有粒子の平均体積粒径にも依存するが、3μm以下であることが好ましい。微粒子の平均体積粒径が3μmを超えると、微粒子が樹脂表面に付着される場合に、その付着強度が低下する傾向がある。
【0047】
上記樹脂含有粒子と微粒子の組み合せのうち特に好ましい組み合せは、(樹脂含有粒子の平均体積粒径)/(微粒子の平均体積粒径)が2以上となる組み合せである。また、樹脂含有粒子中の微粒子の含有率は、微粒子の粒径や配合する化粧料の種類等にも依存するが、通常、0.1〜20重量%である。
【0048】
上記微粒子としては、例えば顔料、色素、紫外線吸収剤、紫外線遮蔽剤、紫外線吸収剤、赤外線遮蔽剤、抗菌剤等の化粧料に一般に配合されるものが用いられる。上記微粒子として顔料を用いると均一かつ持続的な着色性が得られ、紫外線遮蔽剤を用いると紫外線遮蔽機能による均一かつ持続的な日焼け防止効果が得られ、赤外線遮蔽剤を用いると均一かつ持続的な赤外線遮蔽効果が得られる。
【0049】
顔料としては、化粧料に一般的に使用されるものであれば限定はなく、例えば酸化鉄、ケイ酸アルミニウム等の無機顔料、カーボンブラック等の有機顔料、タルク等の体質顔料などが挙げられ、紫外線遮蔽剤としては、例えば酸化チタン、酸化セリウムなどの無機化合物やベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系及びサリチル酸塩系等の有機化合物などが挙げられ、赤外線遮蔽剤としては、例えば酸化チタン、酸化ジルコニウム、炭化ケイ素又はこれらの化合物などが挙げられる。
【0050】
本発明に用いる樹脂含有粒子は、上記樹脂、又は上記樹脂に微粒子を含有させたものに対してシリコーン処理、金属石鹸処理、脂肪酸処理、界面活性剤処理、あるいは酸、アルカリ、無機塩類による処理、又はこれらの複合処理を行ったものであってもよい。
【0051】
[樹脂粉体の製造方法]
本発明の樹脂粉体は、樹脂含有微粒子を製造し(樹脂含有微粒子製造工程)、母体粒子を製造した後(母体粒子製造工程)、この母体粒子の整形処理を行う(整形工程)ことにより製造することができる。
【0052】
樹脂含有微粒子製造工程は、例えば乳化重合凝集法、懸濁重合法、分散重合法などを用いて行うことができるが、これらの中でも、乳化重合凝集法を用いて行うことが好ましい。
【0053】
乳化重合凝集法を用いて樹脂含有微粒子を製造する場合、まず、乳化重合により、上記樹脂含有微粒子に含まれる樹脂のモノマー、これを溶解する溶媒及びイオン性界面活性剤を用いて分散液を調製し、この分散液と、上記イオン性界面活性剤と反対極性のイオン性界面活性剤とを混合し、ヘテロ凝集を生じせしめることにより、目的とする粒径の樹脂含有微粒子を形成する。
【0054】
上記母体粒子製造工程は、上記樹脂含有微粒子製造工程の後、この樹脂含有微粒子を樹脂のガラス転移点以上まで加熱して一定時間(球形化時間)保持することにより樹脂含有微粒子を融合合一することにより行う。これにより母体粒子が得られる。このとき、球形化時間は、好ましくは4〜10時間であり、より好ましくは5〜7時間である。球形化時間が4時間未満ではSF1が大きくなり、化粧料に配合した場合に滑り性が悪くなる傾向があり、球形化時間が10時間を超えると、SF1がより100に近づき、化粧料に配合した場合に、密着性が悪くなる傾向がある。
【0055】
上記整形工程は、以下の2つの方法により行うことができる。
【0056】
1つの方法は、上記母体粒子製造工程で得られた母体粒子に対し、これを分散させた分散液中で熱と機械的剪断力を与える方法である。この方法により母体粒子を任意の形状に整形することができ、形状係数SF1、b/a及びc/bを所望の値とすることができる。
【0057】
もう1つの方法は、分散媒中に分散している母体粒子に物理的ストレスをかける方法である。
【0058】
ストレスをかけるには、上記母体粒子の分散した分散媒にガラスビーズ、サンドビーズ、ジルコニアビーズ、樹脂ビーズまたは樹脂被覆フェライトビーズ等のメディアを、好ましくは分散液量と同体積分を入れて混合撹拌すればよい。
【0059】
このようなメディアを用いる場合には、ビーズ径(D)は母体粒子の平均体積粒径(D50)と下記関係:
100<D/D50<2000
を満たしていることが好ましい。上記関係を満たさない場合、すなわちD/D50が100以下の場合は母体粒子に充分にストレスをかけることができず、一方、D/D50が2000以上の場合は母体粒子に対して均一にストレスを与えることが非常に困難であり、得られる樹脂粉体の厚みに相当なバラツキが生じることがある。尚、メディアの比重は、粉砕効率の向上の点から、1.0〜5.0であることが好ましい。なお、ビーズ径(D)は母体粒子の平均体積粒径(D50)と好ましくは下記関係:
200<D/D50<1000
を満たすことがより好ましい。この場合、効率的に粉砕が可能となる。
【0060】
撹拌混合は、母体粒子の構成樹脂が細かく粉砕されない程度の温度で行えばよいが、樹脂のガラス転移点付近で行うことが好ましい。ガラス転移点付近で、上記メディアを使用して混合撹拌を行うことにより、母体粒子を破壊することなく扁平形状に変形することが可能となる。
【0061】
上記混合撹拌に供される具体的な装置としては、例えばサンドミル、アイガーモーターミルを挙げることができる。
【0062】
また母体粒子に物理的ストレスを与えるためには、分散媒中に分散している母体粒子を高圧で均一面に衝突させてもよい。この均一面としては、金属等で作成された壁、または水面等を例示することができる。また、母体粒子のこの場合の圧力としては、粉砕粒径を適度な数値に制御するという理由から、20〜200MPaが好ましい。また、分散液中に分散させる母体粒子濃度は、粉砕粒径を適度な数値に制御するという理由から、1〜50重量%であることが好ましい。母体粒子の形状をさらに厳密に制御する場合は、上記整形工程を樹脂のガラス転移点以上で行うことが好ましい。この整形工程で使用される装置は、一般の高圧噴射装置と、平滑な壁面とを備えた装置であれば特に限定されず、具体的には、ナノマイザー(吉田機械興業社製)等を挙げることができる。
【0063】
なお、上記整形工程後に母体粒子溶液の温度を制御すれば、形状や表面を滑らかにすることができる。
【0064】
上記整形工程後、得られた樹脂含有粒子の集合体を洗浄し固液分離した後、乾燥して樹脂粉体を得る。洗浄後の固液分離は特に制限はないが、生産性の点から吸引ろ過、加圧ろ過等が好ましく用いられる。さらに、乾燥も、特に方法に制限はないが、生産性向上の点から、真空凍結乾燥、フラッシュジェット乾燥、流動乾燥、振動型流動乾燥等が好ましく用いられる。
【0065】
次に、上記樹脂粉体の製造方法の一連の工程の具体例について説明する。
【0066】
まず硫化重合凝集法により、分散媒中で、数平均粒子径10〜500nmの樹脂含有微粒子を作製する。
【0067】
次に、この樹脂含有微粒子に対し塩析工程及び融着工程を同時に行い、2次粒子を作製する。ここで、塩析工程は、具体的には、樹脂微粒子を凝集剤により塩析させ、余分な分散剤、界面活性剤等を除却する工程であり、融着工程は、加熱融着により樹脂粒子の大きさを調整する工程である。この塩析工程及び融着工程は、撹拌翼を有する撹拌機構付きの反応装置において行うことができる。
【0068】
そして、上記2次粒子を母体粒子として整形工程により母体粒子の整形処理を行う。具体的には、母体粒子を、加熱及び加圧された隘路を循環させる工程を2段階で行う。2段階のうち第2段階で使用する具体的な装置としては、例えばアニュラー型攪拌ミル、ゴーリン等を挙げることができる。
【0069】
こうして母体粒子が扁平化され、樹脂含有粒子の集合体が得られる。その後は、樹脂含有粒子の集合体を含む分散液を濾過し洗浄して分散安定剤等を除去した後、乾燥させる。こうして本発明の樹脂粉体が得られる。
【0070】
なお、樹脂及び微粒子を含む樹脂含有粒子を製造する場合、樹脂含有粒子に微粒子を含有させる必要がある。この樹脂含有粒子中に微粒子を含有させる方法としては、樹脂表面に微粒子を付着させたり、微粒子を樹脂の内部に含有させたり、樹脂表面に微粒子を外添したりする方法などが用いられる。
【0071】
樹脂表面に微粒子を付着させる方法としては、例えば乳化重合凝集法における凝集工程において母体となる凝集粒子を得た後、更に次の段階で上記微粒子(例えば機能性微粒子)の分散液を、凝集粒子を含む液と混合して混合液を調製する。そして、母体となる凝集粒子表面に機能性微粒子を付着させた後、これらを加熱して融合合一し、微粒子によるカプセル化された構造(表面に機能性微粒子を被覆させた構造)を形成する。このようにして樹脂表面に微粒子を析出させることができる。また、樹脂が極性基を有する場合には、樹脂の極性基に対し、金属超微粒子等の微粒子をイオンの状態でイオン交換又は配位させ、この樹脂を還元することにより、金属超微粒子を樹脂表面へ付着させることもできる。
【0072】
また微粒子を内部に含有する樹脂含有粒子を製造する方法としては、乳化重合凝集法の凝集工程において母体となる凝集粒子を得るときに、上記微粒子を分散液中のモノマーとともに分散させる方法が挙げられる。これにより、微粒子を内部に含有するカプセル構造の樹脂含有粒子を製造することができる。
【0073】
樹脂表面に微粒子を外添する方法としては、樹脂含有粒子の乾燥後、この樹脂含有粒子と微粒子を、Vブレンダー、ヘンシエルミキサー等の混合機を用いて乾式で表面に付着する方法、液体(例えば水)中に微粒子を分散させた後、この分散により得られたスラリーに添加し、乾燥させることにより微粒子を樹脂表面に付着する方法、乾燥樹脂粉体に上記スラリーをスプレーしながら乾燥させる方法などが挙げられる。
【0074】
[化粧料]
次に、本発明の化粧料の実施形態について説明する。
【0075】
本発明の化粧料は、上記樹脂粉体を含有するものであれば如何なる化粧料にも適用可能である。
【0076】
この化粧料によれば、上述した樹脂粉体を含有することにより、静摩擦係数と動摩擦係数との差の絶対値および形状係数SF1が上記範囲を外れた樹脂粉体を含有する化粧料と比較して、皮膚への塗布時においてより十分な伸展性を発揮し、塗布後においては、より適度な密着感が得られ、よりしっとりした感触が得られる。特に、化粧料が固形状又はローション状である場合には、塗布後において、静摩擦係数と動摩擦係数との差の絶対値および形状係数SF1が上記範囲を外れた樹脂粉体を含有する化粧料と比較して、十分なサラサラ感が得られる。
【0077】
このような化粧料としては、例えばファンデーション、フェイスパウダー、おしろい、口紅、パウダーリップ、リップグロス、頬紅、アイシャドウ、アイライナー、アイブロウ、マスカラ、ダスティングパウダー等のメイクアップ化粧料や、ベビーパウダー、シェービングローション、シェービングクリーム、カラミンローション、洗顔クリーム、洗顔パウダー、乳液、クリーム、軟こう、ピールオフパック、制汗剤、デオドラント剤、繊毛料、整髪料、ヘアートニック剤、育毛料、養毛料等が挙げられる。
【0078】
なお、化粧料の形態は、液状、ペースト状、O/W乳化状、W/O乳化状、ゲル状、粉末状、固形状等、如何なるものであっても構わない。
【0079】
また本発明の化粧料は、化粧料の用途に応じて、下記配合物群のうちから選択された配合物を含有することができる。
【0080】
上記配合物としては、例えば水、香料等のマスキング剤;汎用油剤;ジオルガノシロキサンオリゴマー、低級アルコール等の揮発性油剤;非イオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、カチオン系界面活性剤、両性界面活性剤、メントール、カンファー等の清涼剤;グリチルレチン酸ジカリウム、アラントイン、グアイアズレン等の消炎剤;ポリアクリル酸ソーダ、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、ベントナイト、ヘクトライト等の増粘剤;メチルパラベン、ブチルパラベン、プロピルパラベン等の防腐剤;分散剤、抗酸化剤、シリコーン類、金属キレ−ト剤、乳化剤、pH調整剤、顔料、着色料、色素、皮膜剤、収れん剤、保湿剤、各種薬効成分、美容成分、制汗剤、紫外線吸収剤、紫外線遮蔽剤、抗菌剤、殺菌剤、香料、又はその他の物質などが挙げられる。
【0081】
その他の物質としては、例えばタルク、セリサイト、マイカ、オトリドシリカ、カオリン、亜鉛華、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、ベントナイト、ヘクトライト、雲母、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸バリウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、マグネシウム、シリカ、ゼオライト、硫酸バリウム、リン酸カルシウム、シルク粉末、ポリエチレン樹脂粉末、ポリテトラフルオロエチレン粉末、アクリル樹脂粉末、ポリプロピレン樹脂粉末、ポリスチレン樹脂粉末、塩化ビニル樹脂粉末、セルロース粉末、ナイロン樹脂粉末、シリコーン樹脂粉末、ポリオフガノシルセスキオキサン粉末などを例示することができる。これらの物質は1種または2種以上を組み合せて使用することができる。また上記物質は、シリコーン処理、金属石鹸処理、脂肪酸処理、界面活性剤処理、あるいは酸、アルカリ、無機塩類による処理、さらにはこれらの複合処理を施されたものであっても良い。
【0082】
顔料は、化粧料用であれば特に制限されず、白色顔料又は着色顔料を用いることができる。白色顔料としては、例えば酸化チタン、酸化亜鉛などが挙げられ、着色顔料としては、酸化鉄、チタン酸鉄、黄酸化鉄、グンジョウ、コンジョウ、酸化クロム、カーボンブラック、低次酸化チタン、アルミニウムパウダー、カッパーパウダー、雲母チタン、オキシ塩化ビスマス、魚燐箔等のパール顔料、赤色3号、赤色104号、赤色106号、赤色201号、赤色202号、赤色204号、赤色205号、赤色220号、赤色226号、赤色227号、赤色228号、赤色230号、赤色405号、赤色505号、橙色204号、橙色205号、黄色4号、黄色5号、黄色202号、黄色203号、黄色205号、黄色401号、青色404号等の有機顔料、クロロフィル、βカロチン等を挙げることができる。これらの顔料は、1種または2種以上を選択して用いることができる。更に上記顔料は、シリコーン処理、金属石鹸処理、脂肪酸処理、界面活性剤処理、あるいは酸、アルカリ、無機塩類による処理、さらにはこれらの複合処理を予め施されたものであっても良い。
【0083】
上記油剤成分は、肌への良好な密着性を与え、肌上におけるしっとり感を得るために配合するものであり、上記油剤成分としては、一般の化粧料に使用されるものであれば制限はなく、油脂、ロウ、炭化水素、合成エステル、脂肪酸、高級アルコールなどが例示できる。油剤成分の具体例としては、椿油、オリーブ油、ホホバ油、ヒマシ油、ミンク油等の油脂類、カルナバ、ミツロウ、ラノリン、キャンデリラ等のロウ類、スクワラン、ワセリン、流動パラフィン、パラフィンワックス、マイクロクリスタンワックス等の炭化水素類、ステアリン酸、オレイン酸等の脂肪酸、セタノール、ステアリルアルコール、オレイルアルコール、ベヘニルアルコール等の高級アルコール、セチルイソオクタネート、ミリスチン酸イソプロピルエステル、トリオクタン酸グリセリル等のエステル類が、ラノリン誘導体、シリコーン類、フッ素系油剤類等を挙げることができる。これらの油剤成分は、1種単独で、または2種類以上を組み合せて使用することができる。これらは、ジオルガノシロキサンオリゴマー、低級アルコール等の揮発性油剤と組み合わせて用いても構わない。なお、本発明の化粧料は、油剤成分として脂肪酸類、高級アルコール類、エステル類などを配合した場合に特に有効である。この場合、本発明の樹脂粉体を用いた場合と、本発明の範囲に含まれない樹脂粉体との間で、塗布時における化粧料の伸展性及び塗布後の密着感に顕著な差があらわれる。この差は、本発明の樹脂粉体として、スチレンアクリレート共重合体を含む樹脂粉体を用いた場合に特に顕著となる。
【0084】
本発明の化粧料については、その製法は特に限定されるものではなく、一般的な化粧料の製法を用いることができる。
【0085】
例えば粉末状化粧料の一般的な製法は、次の通りである。即ちまず粉砕した上記樹脂粉体、体質顔料、着色顔料等を含む粉末原料を、リボンブレンダー、パウダーミキサー、ヘンシェルミキサー、ボールミル、サンドミル、ダイノミル等を用いて攪拌して顔料混合物を得る。次に、油剤成分を溶融し、これを顔料混合物に加えて均一に混合する。このとき、粉末原料は、油剤成分と混合した後に粉砕してもよい。
【0086】
続いて、この混合物を取り出し、篩に通して粒度をそろえた後、金皿などの容器に充填する。こうして粉末状の化粧料が得られる。
【0087】
また乳化化粧料についても、その一般に使用される方法で製造できる。この製法においては、まず精製水に保湿剤等の親水性成分を添加した水相部と、油剤成分に親油性成分を添加した油相部を調製する。なお、水相部及び油相部は別々の容器で調製する。次に、これら水相部および油相部をそれぞれ60℃以上に加熱し、徐々に混合して乳化を行う。乳化終了後、混合物を冷却して容器へ充填する。こうして乳化化粧料が得られる。
【0088】
なお、乳化化粧料の製造方法においては、上記油相と上記水相を混合して調製したエマルジョンが、油中水型(W/O型)であっても、水油中型(O/W型)であっても構わない。
【0089】
化粧料が制汗剤用組成物である場合も、その製法は特に限定されず、その制汗剤用組成物は、公知の方法により製造することができる。例えば乳化状の制汗剤用組成物を製造する場合は、一般に、まず精製水に親水性成分を添加した相を水相部とし、油剤成分に親油性成分を添加した相を油相部として、両者を徐々に混合して乳化を行う。このとき、樹脂含有粒子に含まれる樹脂は上記油相部に含まれる。乳化終了後は、冷却して容器へ充填する。こうして制汗剤用組成物が得られる。
【0090】
【実施例】
次に、実施例を比較例と共に挙げて、本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0091】
(製造例1)
まず、スチレン、n−ブチルアクリレート、アクリル酸及びドデカンチオール(以下、「DDT」と称する)を下記表2に示す配合量で混合溶解したものを、アニオン性界面活性剤ネオゲンR(第一工業製薬製ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム)13gをイオン交換水555gに溶解したものにフラスコ中で分散、乳化し10分間ゆっくりと混合しながら、過硫酸アンモニウム9gを溶解したイオン交換水42.8gをフラスコに投入し、窒素置換を行った。そののちフラスコを攪拌しながらオイルバスで内容物が70℃になるまで加熱し、6時間そのまま乳化重合を継続し、分散液1を得た。
【表2】
【0092】
次に、上記分散液1を用いて、以下のようにして樹脂粉体を製造した。
即ち先ず分散液520g、ポリ塩化アルミニウム10重量%水溶液(浅田化学製、PAC100W)4.2g及び0.02M硝酸38gを丸型ステンレス製フラスコ中に入れてホモジナイザー(LKA社製、ウルトラタラックスT50)で十分に混合・分散した後、加熱用オイルバスでフラスコを攪拌しながら60℃まで加熱した。60℃で30分間保持した後、分散液を緩やかに200g追加し、さらに加熱用オイルバスの温度を90℃まで上げてその温度で9時間保持して凝集粒子(樹脂含有微粒子)を得た。
【0093】
その後、フラスコに1N水酸化ナトリウムを52g追加した後、ステンレス製フラスコを密閉し、磁力シールを用いて攪拌を継続しながら96℃まで加熱し、7時間(球形化時間)保持して凝集粒子を融合させて融合粒子(母体粒子)を得た。融合粒子の体積平均粒子径(D50)をコールターカウンター(日科機社製、TAII)を用いて測定した。
【0094】
次に、上記融合粒子を分散させた分散液(融合粒子分散液)中に直径1mmのガラスビーズを添加し、攪拌速度3000rpmで20分間攪拌混合して融合粒子の整形処理を行った。このとき、撹拌混合は、55℃の液温で実施した。その後、この整形処理した融合粒子をpH6.5のイオン交換水で十分洗浄した後、凍結乾燥を行い、樹脂粉体を得た。
【0095】
こうして得られた樹脂粉体について、疎水化度、形状係数SF1、b/a、c/b、平均体積粒径、ガラス転移温度、表面性指標値を測定した。結果を表3に示す。
【0096】
なお、樹脂粉体の疎水化度は、メタノール濃度1及びメタノール濃度2を測定し、下記式:
疎水化度(%)=(メタノール濃度1(%)+メタノール濃度2(%))/2
に基づいて算出した。ここで、メタノール濃度1,2は、次のようにして求めた。即ち、まず複数個のビーカーを用意し、これらのビーカーに0から100%まで、10%毎に濃度の異なる複数のメタノール水溶液を60mlずつ入れた。樹脂粉体0.1gを各水溶液に添加し、マグネットスターラーにて軽く攪拌を行い、ビーカー中の水溶液を観察した。この観察結果より、メタノール濃度1と、メタノール濃度2を求めた。
【0097】
形状係数SF1についてはルーゼックス画像解析装置(ニコレ社製、LUZEXIII )を用いて測定した。
【0098】
b/a及びc/bについては、FE−SEM(日立製作所製S−2700型)を用いた画像解析により測定した。このとき、a,bの測定に際しては、該SEM装置のサンプルステージ台を多方向に回転させ、投影面積が最大となる方向を探し出し、測定した。また、cの測定に際しては、長径を軸にしてサンプルステージを回転させることにより測定を行った。
【0099】
平均体積粒子径(D50)についてはレーザー回折式粒度分布測定装置(堀場製作所製、LA−700)を用いて測定した。
【0100】
表面性指標値は、下記式に従って算出した。
(表面性指標値)=(比表面積実測値)/(比表面積計算値)
(比表面積計算値)=6Σ(n×R2)/{ρ×Σ(n×R3)}
(ただし、nはコールターカウンター(日科機社製、TAII)におけるチャンネル内の粒子数、Rは上記コールターカウンターにおけるチャンネル粒径、ρは樹脂含有粒子の集合体の密度を表す)
【表3】
【0101】
(製造例2)
製造例1で得られた融合粒子分散液を濾過し、融合粒子をpH6.5のイオン交換水で十分洗浄し、凍結乾燥を行い樹脂粒子を得た。得られた樹脂粒子30重量部と、アニオン性界面活性剤ネオゲンR(第一工業製薬製) 1重量部(樹脂粒子30重量部に対して)を水中に分散させ、160MPaでステンレスの平滑な壁面に衝突させ、樹脂粒子の整形処理を行った。このときの液温は150℃とした。またこの操作は、吉田機械興業社製ナノマイザーを使用して行った。
【0102】
そして、整形処理した融合粒子について、凍結乾燥を行い、樹脂粉体を得た。
【0103】
こうして得られた樹脂粉体について、製造例1と同様にして、疎水化度、形状係数SF1、b/a、c/b、平均体積粒径、ガラス転移温度、表面性指標値を測定した。結果を表3に示す。
【0104】
(製造例3)
製造例1で得られた融合粒子分散液を濾過し、融合粒子をpH6.5のイオン交換水で十分洗浄し、凍結乾燥を行い樹脂粉体を得た。
【0105】
こうして得られた樹脂粉体について、製造例1と同様にして、疎水化度、形状係数SF1、b/a、c/b、平均体積粒径、ガラス転移温度、表面性指標値を測定した。結果を表3に示す。
【0106】
(製造例4)
分散液1追加後の加熱用オイルバスでの保持時間を4時間とした以外は、製造例3と同様にして樹脂粉体を得た。
【0107】
こうして得られた樹脂粉体について、製造例1と同様にして、疎水化度、形状係数SF1、b/a、c/b、平均体積粒径、ガラス転移温度、表面性指標値を測定した。結果を表3に示す。
【0108】
(製造例5)
樹脂粉体として、市販の球形ナイロン樹脂を用い、これを製造例5とした。そして、この球形ナイロン樹脂について、製造例1と同様にして、疎水化度、形状係数SF1、b/a、c/b、平均体積粒径、ガラス転移温度、表面性指標値を測定した。結果を表3に示す。
【0109】
(製造例6)
樹脂粉体として、市販のスチレンアクリル樹脂を用い、これを溶融した後、粉砕装置(日本ニューマチック社製AFG400)を用いて粉砕し、これを製造例6とした。
【0110】
そして、このスチレンアクリル樹脂について、製造例1と同様にして、疎水化度、形状係数SF1、b/a、c/b、平均体積粒径、ガラス転移温度、表面性指標値を測定した。結果を表3に示す。
【0111】
実施例1
上記のようにして製造した製造例1の樹脂粉体を用いて、固形粉末ファンデーションを以下の処方で製造した。
【0112】
即ちまず、下記表4に示す(1)〜(7)の成分をホソカワミクロン社製ナウタミキサで混合し、下記表4に示す(8)〜(11)を加熱溶解した混合物を添加し、更に均一に混合した。これを篩に通し、金皿に充填して固形粉末ファンデーションを得た。
【0113】
こうして得られたファンデーションをパネル男女計20名の皮膚に塗布し、塗布時の伸展性、塗布後の密着感、化粧層の透明感、透明感の持続性について官能試験を行った。結果を表4に示す。
【0114】
なお、塗布後の密着感は、化粧料塗布直後の密着感とし、透明感の持続性については塗布後5時間の化粧料の外観を観察することにより判断した。また塗布時の伸展性、塗布後の密着感、化粧層の透明感、透明感の持続性についての評価基準は、以下のように設定した。表4中の数値は、パネラー20名による評価の平均値を示す。
大変よい …5
よい …4
普通 …3
悪い …2
非常に悪い…1
【表4】
【0115】
実施例2及び比較例1〜5
製造例1に係る樹脂粉体に代えて、製造例2〜6に係る樹脂粉体を用い又は用いなかった以外は実施例1と同様にして固形粉末ファンデーションを作製した。こうして得られた固形粉末ファンデーションについて、実施例1と同様にして塗布時の伸展性、塗布後の密着感、化粧層の透明感、透明感の持続性について官能試験を行った。結果を表4に示す。
【0116】
実施例3,4及び比較例6〜10
製造例1〜6の樹脂粉体を用い又は用いずに、以下のようにして固形粉末アイシャドウを製造した。
【0117】
即ちまず、下記表5に示す(1)〜(5)の成分を混合し、この混合物に対し、下記表5に示す(6)〜(9)の成分を加熱溶解した混合物を添加し、更に均一に粉砕混合した。これを篩に通し、容器に充填して固形粉末アイシャドウを得た。こうして得られた固形粉末アイシャドウについて、実施例1と同様にして官能試験を行った。結果を表5に示す。
【表5】
【0118】
実施例5,6及び比較例11〜15
製造例1〜6の樹脂粉体を用い又は用いずに、以下のようにしておしろいを製造した。
【0119】
即ちまず、下記表6に示す(1)〜(6)の成分を混合し、この混合物に対し、下記表6に示す(7)〜(9)の成分を加熱溶解した混合物を添加し、更に均一に混合した。これを篩に通し、容器に充填しておしろいを得た。こうして得られたおしろいについて、実施例1と同様にして官能試験を行った。結果を表6に示す。
【表6】
【0120】
実施例7,8及び比較例16〜20
製造例1〜6の樹脂粉体を用い又は用いずに、以下のようにして頬紅を製造した。
【0121】
即ちまず、下記表7に示す(1)〜(6)の成分を混合し、この混合物に対し、下記表7に示す(7)〜(9)の成分を加熱溶解した混合物を添加し、更に均一に混合した。これを篩に通し、容器に充填して頬紅を得た。こうして得られた頬紅について、実施例1と同様にして官能試験を行った。結果を表7に示す。
【表7】
【0122】
以上の表3〜表7に示す官能試験の結果より、実施例1〜8に係る化粧料は、比較例1〜20に係る化粧料に比べて、塗布時の伸展性に優れ、塗布後の肌への密着感がより良好となり、しっとりとした使用感を与えることが分かった。
【0123】
また、実施例1〜6の化粧料は、透明感に優れ、且つその持続効果が認められるのに対し、比較例1〜20の化粧料は、透明感が不十分であり、且つその持続性も不十分となることが分かった。
【0124】
【発明の効果】
以上説明したように本発明の化粧料用樹脂粉体によれば、化粧料に配合してその化粧料を皮膚に塗布すると、樹脂含有粒子の疎水化度、形状係数SF1、b/a又はc/bが上記範囲を外れた場合と比較して、より十分な伸展性が発揮される。そして、塗布後においては、疎水化度、形状係数SF1、b/a又はc/bが上記範囲を外れた場合と比較して、より適度な密着感を皮膚に与えることができる。
【0125】
また本発明の化粧料によれば、疎水化度、形状係数SF1、b/a又はc/bが上記範囲を外れた場合と比較して、皮膚への塗布時において、より十分な伸展性が発揮される。そして、塗布後においては、疎水化度、形状係数SF1、b/a又はc/bが上記範囲を外れた場合と比較して、皮膚に対してより適度な密着感を与えることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の樹脂粉体を構成する樹脂含有粒子の平面への投影像を概略的に示す平面図である。
【図2】図1の線分ABを軸として回転させたときの樹脂含有粒子の平面への投影像を概略的に示す平面図である。
【符号の説明】
1、2…投影像、A,B…投影像の縁上の点、X…回転軸。
Claims (5)
- 樹脂を含む樹脂含有粒子の集合体で構成される化粧料用樹脂粉体であって、
前記樹脂含有粒子の疎水化度が10%〜60%であり、下記式:
SF1=(ML2/A)×(π/4)×100 ・・・(1)
(上記式中、MLは前記樹脂含有粒子の最大長を、Aは前記樹脂含有粒子の投影面積を表す)
で定義される形状係数SF1の平均値が110〜140であり、
前記樹脂のガラス転移温度Tgが10〜100℃であり、且つ、
前記樹脂含有粒子の平面への投影面積が最大となる方向から見たときの長径をa、短径をb、厚さをcとしたとき、a,b,cが下記式:
0.5<b/a<1 ・・・(2)
0.4<c/b<0.8・・・(3)
を同時に満たす、
ことを特徴とする化粧料用樹脂粉体。 - 前記樹脂含有粒子の平均体積粒径が2〜20μmであることを特徴とする請求項1に記載の化粧料用樹脂粉体。
- 下記式:
(表面性指標値)=(比表面積実測値)/(比表面積計算値) ・・・(4)
(比表面積計算値)=6Σ(n×R2)/{ρ×Σ(n×R3)} ・・・(5)
(上記式(5)中、nはコールターカウンターにおけるチャンネル内の粒子数、Rはコールターカウンターにおけるチャンネル粒径(μm)、ρは前記樹脂含有粒子の集合体の密度(g/cm3)を表す)
で定義される表面性指標値が2.0以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の化粧料用樹脂粉体。 - 前記樹脂がスチレンアクリレート共重合体であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の化粧料用粉体。
- 樹脂粉体と油剤成分とを含む化粧料において、
前記樹脂粉体が、請求項1〜4のいずれか一項に記載の化粧料用樹脂粉体であることを特徴とする化粧料。
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