JP3645760B2 - 粒子径分布解析方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、溶媒中に分散された粒子の粒子径分布を算出するための粒子径分布解析方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、溶媒中に離散する粒子に対してレーザ光を照射し、粒子に当たって散乱した散乱光を検出器に入射して、検出した散乱光をカウントすることにより、粒子の粒子径分布を測定すること(一般に、単一光子相関法と呼ばれている)が行われている。ところが、この単一光子相関法によれば、粒子径の範囲を予め幾つか定めて粒子のカウントを行う必要があり、粒子径の範囲に制限が生じていた。また、測定レンジを広く取るためには、長時間の間安定した状態を保ったままで測定を行う必要があった。加えて、単一光子相関法では散乱光が互いに重なりあわないように、希釈した状態で粒子径分布を測定する必要があった。
【0003】
このため、近年ではブラウン運動する粒子に照射したレーザ光のドップラーシフトにより生じる散乱光による干渉光を検出し、干渉光の検出信号をフーリエ変換して周波数解析することにより、測定した光強度の周波数特性を求めて、この周波数特性から粒子径分布の測定(デコンボリューション)を行うことが提案されている。また、従来のデコンボリューションは、線型法によって容易に反転することができるコンボリューション積分の形に変換した後に、その反転によって行なっていた。この時、周波数は対数周波数で、粒子径サイズは対数粒子径サイズで扱い、周波数特性を変換し、また、無次元で対数周波数軸でシフトバリアントな応答関数を作ることでコンボリューション積分を実現していた。
【0004】
第1種フレドホルム積分方程式の解を求める逆演算の一般的な方法は、たとえば、測定範囲をm個の対数的に区切った演算・表示区分が予め定められており、この演算・表示区分の代表粒子径の粒子の数を表わす粒子径分布F(j)(j=1〜m)を光強度の周波数特性Gから求めることによって行われる。すなわち、周波数特性G(j)(j=1〜m)と前記粒子径分布F(j)との関係は、応答関数Pを用いてG=FPの行列式で表すことができ、前記応答関数Pの逆行列P-1を求めて、F=P-1Gの演算をすることにより、粒子径分布F(j)を求めることが一般的な逆演算の方法である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述の方法では、測定範囲をm個の対数的に区切った演算・表示区分が予め定められており、この演算・表示区分はそれぞれの装置の検出器区分数や計算条件によって定められるものである。そして、前記装置の検出器区分数や計算条件は固定的に定められるので、利用者によって演算・表示区分を変更することができなかった。すなわち、利用者は必要に応じて粒子径分布の演算・表示幅を細くして、必要とする精度の粒度分布を得たり、演算に用いる区分幅を広くして、演算速度を速くするなどの変更もできなかった。
【0006】
また、前記演算・表示区分を定める明確な基準がないので、一般的に演算・表示区分の幅や数は装置ごとに異なっている場合が多く、この点で統一性を持たせることができなかった。さらに、前記演算結果の表示は、横軸目盛をリニアに表示する場合だけでなく、対数表示する場合などの表示形態も機器ごとに異なっており、利用者はこの表示形態を選択することもできなかった。つまり、利用者は異なる機器が出力した粒子径分布の表示を比較することが全くできなかった。
【0007】
本発明は、上述の事柄を考慮に入れてなされたものであって、その目的とするところは、利用者が任意に表示範囲内の演算・表示区分の分割数を変更したり表示幅を変更可能とする粒子径分布解析方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、第1発明の粒子径分布解析方法は、溶媒中に分散しブラウン運動する粒子にレーザ光を照射して、前記粒子による散乱光のドップラーシフトによって生じた干渉光を電気的な検出信号に変換し、この検出信号を逆演算して粒子径分布を算出する粒子径分布解析方法において、粒子径分布の演算・表示範囲を使用者が選択する適宜の分割幅を有する区分に分割して各区分の代表粒子径を定め、各代表粒子径の粒子数を仮定の粒子径分布として予め設定する一方、前記検出信号の周波数特性を計算して、これを実測周波数特性とすると共に、前記代表粒子径に対応する検出信号の周波数特性を各々計算して、これらを演算周波数特性とし、これら演算周波数特性を基に粒子径に対する光強度を示す応答関数を計算して、この応答関数を重みとして前記仮定の粒子径分布による仮定値に基づく周波数特性を計算すると共に、仮定値に基づく周波数特性と実測周波数特性との相違の割合に応じて前記仮定の粒子径分布の補正を順次繰り返して、仮定値に基づく周波数特性と実測周波数特性との相違の割合が所定の範囲内になったときの仮定の粒子径分布を真の粒子径分布とし、各代表粒子径の粒子数を表示することを特徴としている。なお、本明細書でいう逆演算とは、周波数特性と応答関数と粒子径分布の関係式である第1種フレドホルム積分方程式から粒子径分布を求めることをいうのであって、コンボリューション積分から粒子径分布を求めるデコンボリューションとは異なるものである。
【0009】
したがって、使用者は測定対象に応じて、粒子径分布を適宜の分割幅を選択して分割区分し、これを演算に用いることが可能となる。例えば、高分解能が必要な場合には、区分数を増やすことが可能であり、高分解能を必要としない場合には区分を減らし、演算の収束を速めることができる。また、他の装置などで測定した結果とも容易に比較ができる。加えて、従来は複雑で実行不可能とされていた非線形関数である第1種フレドホルム積分方程式を逆演算することが可能となる。
【0010】
第2発明の粒子径分布解析方法は、溶媒中に分散しブラウン運動する粒子にレーザ光を照射して、前記粒子による散乱光のドップラーシフトによって生じた干渉光を電気的な検出信号に変換し、この検出信号を逆演算して粒子径分布を算出する粒子径分布解析方法において、粒子径分布の演算・表示範囲を使用者が選択する適宜の分割幅を有する区分に分割して各区分の代表粒子径を定め、各代表粒子径の粒子数を仮定の粒子径分布として予め設定する一方、前記検出信号の自己相関関数を計算して、これを実測自己相関関数とすると共に、前記代表粒子径に対応する検出信号の自己相関関数を各々計算して、これらを演算自己相関関数とし、これら演算自己相関関数を基に粒子径に対する光強度を示す応答関数を計算して、この応答関数を重みとして前記仮定の粒子径分布による仮定値に基づく自己相関関数を計算すると共に、仮定値に基づく自己相関関数と実測自己相関関数との相違の割合に応じて前記仮定の粒子径分布の補正を順次繰り返して、仮定値に基づく自己相関関数と実測自己相関関数との相違の割合が所定の範囲内になったときの仮定の粒子径分布を真の粒子径分布とし、各代表粒子径の粒子数を表示することを特徴としている。
【0011】
したがって、上述した第1発明と同様に使用者の必要に応じて区分数を増減可能であり、他の装置などで測定した結果とも容易に比較できる表示を行うことができる。さらに、検出信号を自己相関関数に変換することにより、検出信号に含まれるノイズ成分を容易に取り除くことができ、粒子径分布の解析精度を向上させることができる。
【0012】
また、各区分の分割幅と分割数と表示幅とをテーブル化して記憶させ、このテーブルの中から選択した分割数と分割幅に従って、前記応答関数の演算と仮定の粒子径分布の補正を行い、前記選択した表示幅に従って各代表粒子径の粒子数を表示する場合には、分割幅と分割数と表示幅の選択を簡単に行うことができ、操作性を良くすることができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
図1は本発明の第1実施例として、粒子径分布の測定装置1の構成を示す図である。図1において、2は溶媒2aと測定対象の粒子2bを収容するセル、3は前記粒子2bにレーザ光Lを照射する光源、4は前記レーザ光Lをセル2内に集光させるレンズである。5は前記粒子2bによる散乱光のドップラーシフトによって生じた干渉光Liを反射するビームスプリッタ、6は前記干渉光Liを集光するレンズ、7は偏光板である。
【0014】
8は前記干渉光Liを電気的な検出信号D(t)に変換する検出器、9はこの検出信号D(t)を増幅するアンプ、10はフィルタ、11は検出信号D(t)をデジタル信号に変換するAD変換器、12は検出信号D(t)をデータ処理して粒子径分布F0 (j)を求めるデータ処理装置、13は求められた粒子径分布F0 (j)を表示する表示装置である。
【0015】
前記データ処理装置12は、例えば干渉光の検出信号D(t)をフーリエ変換して周波数特性S(f)を求める演算部(以下、FFTという)14と、求めた周波数特性S(f)から粒子径分布F0 (j)を求める処理部15と、処理部15を操作する装置操作部16とを有している。また、装置操作部16は内部に後述するテーブルTを記憶する記憶部16aを有している。
【0016】
上記構成により、レーザ光源3から出たレーザ光Lは、ビームスプリッタ5およびレンズ4を通過してセル2内に集光する。このとき、図1の拡大図に示すように、一部のレーザ光は壁面2cを通過し、通過したレーザ光Lpは溶媒2aに分散されたブラウン運動する粒子2bに当たり、このブラウン運動によってドップラーシフトしたレーザ光Ls(拡散光)が散乱する。一方、一部のレーザ光はセル2の壁面2cで反射(非散乱光)して、もとの周波数のレーザ光Lが逆方向に進む。両光L,Lsは互いに干渉し合って干渉光Liとなり、レンズ3、ビームスプリッタ5、レンズ6および偏光板7を通って検出器8上に集光する。
【0017】
すなわち、入射するレーザ光Lに対する干渉光Liの角度αは180°である。偏光板7はビームスプリッタ5によって反射された以外の光を偏光方向を利用してカットする。そして、干渉光Liは、検出器8で電気的な検出信号D(t)に変換され、アンプ9で増幅され、フィルタ10によりフィルタリングされた後にA/D変換器11でデジタル値に変換される。なお、壁面2cで反射拡散したレーザ光Lや拡散したレーザ光Lsも検出器8に集光されるが、その影響が検出信号D(t)に現れることはない。
【0018】
図2は検出信号D(t)の処理方法を立体的なグラフにして図示する斜視図である。図2において、h方向は光強度、i方向は検出信号の周波数、j方向は粒子径の大きさを示している。以下、図2を図1と共に参照しながら、本発明における粒子径分布解析方法の一例を説明する。
【0019】
本例においては、例えば粒子径分布を8種類の代表粒子径D1 〜D8 に類別している。そして、S1 〜S8 はそれぞれ代表粒子径D1 〜D8 の粒子2bによる干渉光Liの検出信号を周波数変換して生じる周波数特性の演算値(演算周波数特性)を示している。なお、本例の説明において、代表粒子径D1 〜D8 は内容を分かりやすくするために、演算・表示範囲を分割幅dの等間隔で分割する8区分に設定された例を示しており、各代表粒子径D1 〜D8 の8種類の演算周波数特性S1 〜S8 のみを表示しているが、実際の計算では精度を上げるために分割幅dをもっと狭く設定し、多くの演算周波数特性を計算している。
【0020】
また、前記分割幅dや分割数8は前記演算周波数特性を計算する前に、装置操作部16を介して使用者が任意に設定可能であり、例えば、この分割幅dや分割数8の幾つかの型を装置操作部16の記憶部16aに記憶されている。すなわち、使用者は装置操作部16を介して用意されたテーブルTの中から必要とする分解能を有するものを選択することにより、粒子径分布解析の精度を容易に選択できる。なお、必要な場合には、各代表粒子径D1 〜D8 の大きさや分割数を個別に設定してもよい。
【0021】
前記各代表粒子径D1 〜D8 のときの粒子の演算周波数特性S1 〜S8 は、測定時の条件に合わせて求めることができる。すなわち、前記演算周波数特性S1 〜S8 は以下の式(1)に示すストークスアインスタインの式をもちいて算出される拡散係数Dcと、式(2)に示す関係式を用いて計算される係数Kを用いて求められるものであり、各演算周波数特性S1 〜S8 は半値幅DcK2 を持つローレンツ分布を示す曲線である。
Figure 0003645760
但し、kはボルツマン定数、Tは絶対温度、Cはカニンガムのすべり補正項、μは溶媒の粘性係数、dは粒子径、λは前記レーザ光Lの波長、nは溶媒の屈折率である。なお、本例の場合はαが180°であるから、上述の式(2)はK=4πn/λとなる。
【0022】
上述のようにして、各代表粒子径D1 〜D8 の粒子2bから生じる干渉光Liの演算周波数特性S1 〜S8 を演算し、この演算周波数特性S1 〜S8 をh−i平面に表わす。
【0023】
次に、前記特性のh−j平面に注目すると、これは粒子の大きさに対する光強度を表わす粒子径−光強度特性曲線P1 〜Pn である。この粒子径−光強度特性曲線P1 〜Pn は、周波数が低いときは粒子径が大の位置においてピークを有し、周波数が高いときは粒子径が小の位置においてピークを有する曲線である。なお、上述のようにして求めた粒子径−光強度特性曲線P1 〜Pn は、それぞれの形、およびサイズが同じである必要のないものである。
【0024】
そして、粒子径−光強度特性曲線P1 〜Pn を基にして、各周波数f1 〜fn 毎に各代表粒子径D1 〜D8 の粒子2bの大きさに対する光強度の相対強度を表わす応答関数を計算する。なお、本例では説明しやすいように粒子径−光強度特性曲線P1 〜Pn を計算する周波数f1 〜fn の間隔を大きく表示しているが、実際の演算は細かく区切って行っており、この区切りを細かくするほど測定精度を向上できることは言うまでもない。また、この応答関数を求めるときの周波数f1 〜fn の分割間隔や分割数nを、装置操作部16で選択できるようにしてもよい。
【0025】
図3は上述のようにして求めた応答関数P(i,j)を示す図である。図3においてF(j)は仮定の粒子径分布、F0 (j)は真の粒子径分布を示している。本例において、仮定の粒子径分布F(j)の初期設定は、例えば仮想線に示すように、全粒子径分布の範囲にわたって一定の値を有する。なお、図3は本発明を理解しやすいように、簡略化して示した模試図であり、実際の値を示すものではない。したがって、各応答関数P(i,j)は、その大きさおよび形が同一のように開示しているが、実際には同一(シフト不変の関数)ではない。
【0026】
次に、図4に示すように、前記仮定の粒子径分布F(j)を用いて仮定値に基づく周波数特性Sc(f)を以下の式(3)の演算によって求める。すなわち、前記仮定値に基づく光強度の周波数特性Sc(f)を各周波数ごとに演算し、仮定の粒子径分布F(j)に応答関数P(1,j)を重みとしてかけ合わせて積分することにより、まず周波数f1 の時の光強度Sc(f1 )を計算する。
Sc(f1 )=∫P(1,j)×F(j)dj … 式(3)
【0027】
そして、上述のように計算した仮定の粒子径分布F(j)に基づく光強度Sc(f1 )を、実測周波数特性S(f)の光強度S(f1 )と比較し、この比r0 =S(f1 )/Sc(f1 )を基に、補正した仮定の粒子径分布F1 (j)を以下の式(4)によって計算し、仮定の粒子径分布F(j)をF1 (j)に補正する。
1 (j)={1+(r0 −1)P(1,j)}F(j) … 式(4)
【0028】
上述した演算処理を、各周波数f1 ,f2 …fn に対応する応答関数P(2,j)…P(n,j)に順に変えて繰り返し行うことにより、仮定の粒子径分布Fの値を順次補正してゆく。また、最後の応答関数P(n,j)を用いた計算が終わると、もう一度始めの応答関数P(1,j)にもどって再び上記演算を繰り返す。
【0029】
そして、全ての周波数f1 ,f2 …fn に対応する応答関数P(i,j)(i=1〜n)に関して、前記仮定値の粒子径分布F(j)に基づく周波数特性Sc(f)の光強度Sc(fi )と、実測周波数特性S(f)の光強度S(fi )の比r0 が、1に対してある決められた一定範囲内に近づいたとき、仮定粒子径分布F(j)を真の粒子径分布F0 (j)として、表示装置13に表示する。このとき、演算して求めた真の粒子径分布F0 (j)の表示幅d’は、上述した装置操作部16を介して使用者が定めた幅で表示される。
【0030】
図5は表示装置13に表示された状態の粒子径分布F0 (j)の例を示す図である。図5(A)は前記分割幅dを高分解能となる幅d1 の等間隔に設定して、分割数を多くし、かつ、表示幅d’がリニアとなるように設定した場合の表示である。この例のように、分割幅d1 を狭くすることにより粒子径分布解析をより詳細に行うことができ分解能を高くすることができる。
【0031】
また、図5(B)のように、分割幅dを広い幅d2 の等間隔に設定して、分割数を少なくし、かつ、表示幅d’がリニアとなるように設定してもよい。このようにした場合には、分割数が少ないので上述した粒子径分布解析にかかる時間を抑えることができ、高い分解能を必要としない場合に有用である。
【0032】
さらに、図5(C)は、分割幅dを対数的に変化させ、かつ、表示幅d’を等間隔にした場合の粒子径分布F0 (j)の表示例であり、図5(D)は、分割幅dも、表示幅d’も共に対数的に変化させた間隔にした場合の粒子径分布F0 (j)の表示例である。この例のように、対数を用いて分割幅dまたは表示幅d’を変化させることにより、粒子径分布解析にかかる時間を抑えながら、必要とする分解能の出力を得ることができるので、粒子径分布解析に有用である。
【0033】
本例では、上述した例のような粒子径分布解析の演算・表示範囲の分割幅d、分割数、表示幅d’の設定はテーブルTとして、前記装置操作部16に設定されている。したがって、使用者はテーブルTとして用意された設定の中から必要とする分解能を有し、見やすい表示となるものを選択するだけで、各分割幅d、分割数、表示幅d’の設定を個々に行う必要がなくなり、設定を簡単にすることができる。
【0034】
また、図5(A)〜(D)には代表的な分割幅d、分割数、表示幅d’の設定を例示しているが、本発明はテーブルTの設定数に制限を加えるものではなく、他機種の分解能に合わせた設定や、より詳細な粒子径分布解析を行なう設定など、多くのテーブルTを記憶させることができる。
【0035】
特に、本発明の粒子径分布解析方法は、使用者によって任意に定められた分割幅d、分割数、表示幅d’の設定に合わせて、粒子径分布解析に用いる応答関数P(i,j)を求める演算を行なっている。また、この応答関数P(i,j)によって仮定の粒子径分布F(j)に基づく周波数特性Sc(f)を演算し、実測周波数特性S(f)と比較しながら仮定の粒子径分布F(j)の補正を繰り返すことにより、真の粒子径分布F0 (j)を求める方法を採用している。この特徴により、本発明の粒子径分布解析は演算・表示範囲を任意の分割幅d、分割数で区分して演算することができるので、使用者が分解能と演算速度を選択することが可能となる。
【0036】
加えて、前記粒子径分布の演算に用いる要となる応答関数P(i,j)を毎回の測定条件に合わせて演算により求めているので、測定時の状態に合わせていつでも高精度の測定を行うことができる。
【0037】
そして、前記演算・表示範囲の分割幅d、分割数、表示幅d’を任意に設定可能とすることにより、従来は不可能であった分解能のことなる他機種との測定値の比較が可能となるので、過去の測定データとの比較をするときなどに有用である。なお、上述の例では、演算・表示範囲の分割幅d、分割数、表示幅d’をテーブル化することにより、設定をより簡単にしているが、各代表粒子径間の分割幅d、分割数、表示幅d’を個々に変更できるようにすることも可能である。
【0038】
さらに、上述の例においては、応答関数P(i,j)を粒子径に対応する周波数特性S0 〜S7 から計算する例を示しているが、本発明はこれに限られるものではなく、応答関数P(i,j)を粒子径に対応する自己相関関数によって求めることも可能である。
【0039】
この場合、前記式(1),式(2)によって求められる時定数1/DK2 の指数関数を演算自己相関関数S1 〜S8 として演算することができる。また、前記実測した周波数特性S(f)を逆フーリエ変換することにより、検出信号D(t)に基づく自己相関関数(実測自己相関関数)を算出することができる。
【0040】
本例のように、検出信号D(t)を自己相関関数に変換することにより、検出信号に含まれるノイズ成分を容易に除去することができる。したがって、測定精度を可及的に引き上げることが可能となる。なお、本発明は自己相関関数はFFT14を用いて求めることに限定するものではなく、これを自己相関器を用いて求めるようにする変形も可能である。
【0041】
さらに、上述の各例においては、検出器8が粒子2bによる散乱光Lsとセル2の壁面2cによる反射光Lとの干渉光Liを検出しているが、本発明はこの干渉光Liの検出方法を限定するものではない。すなわち、検出器8が散乱光Ls同士の干渉によって生じた干渉光Liを検出するようにしてもよい。
【0042】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、使用者は測定対象に応じて、粒子径分布を適宜の分割幅を選択して分割区分し、これを演算に用いることが可能となる。例えば、高分解能が必要な場合には、区分数を増やすことが可能であり、高分解能を必要としない場合には区分を減らし、演算の収束を速めることができる。また、他の装置などで測定した結果とも容易に比較ができるように、他機種の分解能に合わせることも可能である。
【0043】
さらに、検出信号を周波数特性ではなく自己相関関数に変換して応答関数を求めた場合には、上記効果に加えて、検出信号に含まれるノイズ成分を容易に取り除くことができ、粒子径分布の解析精度を向上させることができる。
【0044】
そして、各区分の分割幅と分割数と表示幅とをテーブル化して記憶させ、このテーブルの中から選択した分割数と分割幅に従って、前記応答関数の演算と仮定の粒子径分布の補正を行い、前記選択した表示幅に従って各代表粒子径の粒子数を表示する場合には、分割幅と分割数と表示幅の選択を簡単に行うことができ、操作性を良くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の粒子径分布解析方法を実施する粒子径分布の測定装置を示すブロック図である。
【図2】本発明の粒子径分布解析方法を説明する斜視図である。
【図3】前記粒子径分布解析方法における仮定の粒子径分布と、真の粒子径分布と、応答関数の関係を示す図である。
【図4】前記粒子径分布解析方法における仮定値に基づく周波数特性と、実測周波数特性の関係を示す図である。
【図5】前記粒子径分布解析方法による粒子径分布の出力表示例を示す図である。
【符号の説明】
2a…溶媒、2b…粒子、d…分割幅、d’…表示幅、D(t)…検出信号、F0 (j)…真の粒子径分布、F(j)…仮定の粒子径分布、L…レーザ光、Li…干渉光、Ls…散乱光、P(i,j)…応答関数、S(f)…実測周波数特性、Sc(t)…仮定値に基づく周波数特性、S1 〜S8 …演算周波数特性、T…テーブル。

Claims (3)

  1. 溶媒中に分散しブラウン運動する粒子にレーザ光を照射して、前記粒子による散乱光のドップラーシフトによって生じた干渉光を電気的な検出信号に変換し、この検出信号を逆演算して粒子径分布を算出する粒子径分布解析方法において、粒子径分布の演算・表示範囲を使用者が選択する適宜の分割幅を有する区分に分割して各区分の代表粒子径を定め、各代表粒子径の粒子数を仮定の粒子径分布として予め設定する一方、前記検出信号の周波数特性を計算して、これを実測周波数特性とすると共に、前記代表粒子径に対応する検出信号の周波数特性を各々計算して、これらを演算周波数特性とし、これら演算周波数特性を基に粒子径に対する光強度を示す応答関数を計算して、この応答関数を重みとして前記仮定の粒子径分布による仮定値に基づく周波数特性を計算すると共に、仮定値に基づく周波数特性と実測周波数特性との相違の割合に応じて前記仮定の粒子径分布の補正を順次繰り返して、仮定値に基づく周波数特性と実測周波数特性との相違の割合が所定の範囲内になったときの仮定の粒子径分布を真の粒子径分布とし、各代表粒子径の粒子数を表示することを特徴とする粒子径分布解析方法。
  2. 溶媒中に分散しブラウン運動する粒子にレーザ光を照射して、前記粒子による散乱光のドップラーシフトによって生じた干渉光を電気的な検出信号に変換し、この検出信号を逆演算して粒子径分布を算出する粒子径分布解析方法において、粒子径分布の演算・表示範囲を使用者が選択する適宜の分割幅を有する区分に分割して各区分の代表粒子径を定め、各代表粒子径の粒子数を仮定の粒子径分布として予め設定する一方、前記検出信号の自己相関関数を計算して、これを実測自己相関関数とすると共に、前記代表粒子径に対応する検出信号の自己相関関数を各々計算して、これらを演算自己相関関数とし、これら演算自己相関関数を基に粒子径に対する光強度を示す応答関数を計算して、この応答関数を重みとして前記仮定の粒子径分布による仮定値に基づく自己相関関数を計算すると共に、仮定値に基づく自己相関関数と実測自己相関関数との相違の割合に応じて前記仮定の粒子径分布の補正を順次繰り返して、仮定値に基づく自己相関関数と実測自己相関関数との相違の割合が所定の範囲内になったときの仮定の粒子径分布を真の粒子径分布とし、各代表粒子径の粒子数を表示することを特徴とする粒子径分布解析方法。
  3. 前記各区分の分割幅と分割数と表示幅とをテーブル化して記憶させ、このテーブルの中から選択した分割数と分割幅に従って、前記応答関数の演算と仮定の粒子径分布の補正を行い、前記選択した表示幅に従って各代表粒子径の粒子数を表示する請求項1または2に記載の粒子径分布解析方法。
JP26615099A 1998-10-30 1999-09-20 粒子径分布解析方法 Expired - Fee Related JP3645760B2 (ja)

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