JP3645758B2 - 粒子径分布の測定装置および粒子径分布の測定方法 - Google Patents

粒子径分布の測定装置および粒子径分布の測定方法 Download PDF

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、溶媒中に分散された粒子の粒子径分布を算出する粒子径分布の測定装置および粒子径分布の測定方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、溶媒中に離散する粒子に対してレーザ光を照射し、粒子に当たって散乱した散乱光を検出器に入射して、検出した散乱光をカウントすることにより、粒子の粒子径分布を測定すること(一般に、単一光子相関法と呼ばれている)が行われている。ところが、この単一光子相関法によれば、粒子径の範囲を予め幾つか定めて粒子のカウントを行う必要があり、粒子径の範囲に制限が生じていた。また、測定レンジを広く取るためには、長時間の間安定した状態を保ったままで測定を行う必要があった。加えて、単一光子相関法では散乱光が互いに重なりあわないように、希釈した状態で粒子径分布を測定する必要があった。
【0003】
このため、近年ではブラウン運動する粒子に照射したレーザ光のドップラーシフトにより生じる散乱光による干渉光を検出し、干渉光の検出信号をフーリエ変換して周波数解析することにより、粒子径分布の測定を行うことが提案されている。(例えば、特開平3−170844号公報、以下、公知例という)
【0004】
図6(A)〜(C)は、従来の粒子径分布の測定方法を説明する図であり、図6(A)は干渉光の検出信号を示しており、図6(B)はこの検出信号をフーリエ変換して得られた干渉光の平滑処理されたパワースペクトル(周波数分布)を示している。このパワースペクトルは粒子の粒径に応じたブラウン運動周波数の強度分布を示すローレンツ分布をしており、このパワースペクトルをデコンボリューションすることにより図6(C)に示すように、粒子サイズや粒子径サイズ分布を算出することができる。なお、このデコンボリューションは、線型法によって容易に反転することができるコンボリューション積分の形に変換した後に、その反転によって行なっていた。この時、周波数は対数周波数で、粒子径サイズは対数粒子径サイズで扱い、パワースペクトルを変換し、また、無次元で対数周波数軸でシフトバリアントな応答関数を作ることでコンボリューション積分を実現していた。
【0005】
上述のように検出信号をフーリエ変換してパワースペクトルを算出することにより、溶媒中に存在する粒子の数が多く、散乱光に重なりが生じている場合であっても粒子径分布の測定が可能となる。また、比較的短い測定時間で広いレンジの測定を行うことができるので、単一光子相関法に比べて迅速に安定した測定を行うことができる。このため、前記パワースペクトルはより高速にサンプリングされた干渉光の検出信号を用いることが望ましいが、これによって得られるデータはレンジが広いので、サンプリングのために多くのメモリを必要としていた。また、サンプリングされたデータをデコンボリューション又は逆演算するときには、広いレンジのデータをそのまま用いることは、演算器に多大のメモリと、処理速度を必要とする。
【0006】
この点を考慮に入れて、一般的にサンプリングされたデータを対数等間隔で抽出し、扱うデータの数を削減するようにしていた。なお、前記公知例では、パワースペクトルを対数目盛に変換するようにしてデータ数の削減を行っている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、図6(B)に示すパワースペクトルは拡大図Aに●印で示すように、サンプリングの速度に応じた細かさの不連続な値を有しており、実線で示す真の値を通過する一方、●印の点が○印で示す対数による抽出点と重ならない場合が多かった。このため、サンプリングした●印と重ならない抽出点のデータは仮想線で示すように内挿処理などにより求める必要があり、この演算で求めた値が真の値からずれることがあった。
【0008】
これを避けるためには、パワースペクトルに変換される元のデータのサンプリング周波数を高くすることができるが、サンプリング周波数を高くすると、より高速の部品を用いる必要が生じ、その部品の価格が跳ね上がるために実用的ではなかった。
【0009】
さらに、拡大図Bに示すように、対数抽出点(○印)の間隔が広くなっているところでは、抽出されなかった部分にパワースペクトルの曲線を描く上で重要な部分が存在することがあり、抽出点同士を直線で結んだ二点鎖線に示す折れ線と、真の値がかけ離れた状態になることがあった。これらは、何れも粒子径分布をデコンボリューションする演算時の誤差を生み出す原因となっていた。
【0010】
本発明は、上述の事柄を考慮に入れてなされたものであって、その目的とするところは、演算手段を工夫することにより、粒子径分布算出の精度を高め、再現性を向上させることを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の粒子径分布の測定装置は、溶媒中に分散しブラウン運動する粒子にレーザ光を照射する光源と、前記粒子による散乱光のドップラーシフトによって生じた干渉光を電気的な検出信号に変換する検出器と、検出信号を加工して中間関数を求める演算部と、この中間関数を逆演算して粒子径分布を算出する処理部とを有する粒子径分布の測定装置において、前記演算部と処理部の間に、前記中間関数の全データ領域の中から適宜の間隔でデータを抽出して、逆演算に用いるデータテーブルを作成するデータ抽出部を有することを特徴としている。
【0012】
したがって、演算に用いるデータテーブルを作成するために抽出するデータは全データ領域の中から適宜の間隔で抽出されるので、データがない点に対して内挿の演算をする必要がなく、逆演算を行うときに真の値からずれたデータを用いることがない。なお、ここでいう逆演算とは、パワースペクトルと応答関数と粒子径分布の関係式である第1種フレドホルム積分方程式から粒子径分布を求めることをいうのであって、コンボリューション積分から粒子径分布を求めるデコンボリューションとは異なるものである。
【0013】
また、前記データ抽出部が中間関数の1回微分の絶対値を演算する微分演算部と、この演算結果が大きくなるにしたがって短い間隔、小さくなるにしたがって長い間隔で全データ領域の中からデータを抽出する抽出部とを有するものであってもよい。あるいは、前記データ抽出部が中間関数の2回微分の絶対値を演算する微分演算部と、この演算結果が大きくなるにしたがって短い間隔、小さくなるにしたがって長い間隔で全データ領域の中からデータを抽出する抽出部とを有するものであってもよい。
【0014】
上記何れの場合にも、最適な演算法を用いることにより、少ないデータの抽出により再現性のよいデータの間引きを行うことができるので、データ量は少なくても高精度の粒子径分布の測定を行うことができる。すなわち、粒子径分布の測定装置の測定精度を向上させるとともに、従来は複雑で実行不可能とされていた非線形問題である第1種フレドホルム積分方程式からの逆演算を可能とし、演算速度を可及的に向上させることができる。加えて、従来に比べて前記粒子径分布の演算に用いるデータのサンプリング周波数を抑えても十分の精度の粒子径分布を測定することが可能となる。
【0015】
本発明の粒子径分布の測定方法は、溶媒中に分散しブラウン運動する粒子にレーザ光を照射して、前記粒子による散乱光のドップラーシフトによって生じた干渉光を電気的な検出信号に変換し、かつ、この検出信号を逆演算することにより粒子径分布を算出する粒子径分布の測定方法において、前記中間関数の全データ領域の中から、適宜の間隔でデータを抽出して、逆演算に用いるデータテーブルを作成し、このデータテーブルから粒子径分布を求めることを特徴としている。
【0016】
また、前記中間関数の1回微分の絶対値を演算し、この演算結果が大きくなるにしたがって短い間隔、小さくなるにしたがって長い間隔で全データ領域の中からデータを抽出してデータテーブルを作成するようにしてもよい。あるいは、前記中間関数の1回微分の絶対値を演算し、この演算結果が大きくなるにしたがって短い間隔、小さくなるにしたがって長い間隔で全データ領域の中からデータを抽出してデータテーブルを作成するようにしてもよい。
【0017】
【発明の実施の形態】
図1は本発明の第1実施例として、粒子径分布の測定装置1の構成を示す図である。図1において、2は溶媒2aと測定対象の粒子2bを収容するセル、3は前記粒子2bにレーザ光Lを照射する光源、4は前記レーザ光Lをセル2内に集光させるレンズである。5は前記粒子2bによる散乱光のドップラーシフトによって生じた干渉光Liを反射するビームスプリッタ、6は前記干渉光Liを集光するレンズ、7は偏光板である。
【0018】
8は前記干渉光Liを電気的な検出信号に変換する検出器、9はこの検出信号を増幅するアンプ、10はフィルタ、11は検出信号D(t)をデジタル信号に変換するAD変換器、12は検出信号D(t)をデータ処理して粒子径分布Oを求めるデータ処理装置、13は求められた粒子径分布Oを表示する表示装置である。
【0019】
前記データ処理装置12は、例えば干渉光の検出信号D(t)をフーリエ変換してパワースペクトルS(f)を求める演算部(以下、FFTという)14と、求めたパワースペクトルS(f)の全データから適宜の間隔でデータを抽出してデータテーブルTを形成するデータ抽出部15と、このデータテーブルTから前記粒子の粒子径分布を求める処理部16とを有している。また、前記データ抽出部15はパワースペクトルS(f)の微分とその絶対値を演算する微分演算部15aと演算結果によってパワースペクトルS(f)の傾きに応じてパワースペクトルS(f)の全データからデータテーブルTの作成に必要なデータを抽出する抽出部15bとを有している。
【0020】
上記構成により、レーザ光源3から出たレーザ光Lは、ビームスプリッタ5およびレンズ4を通過してセル2の入射部壁面2cに集光する。このとき、図1の拡大図に示すように、一部のレーザ光L(非散乱光)はセル2の壁面2cで反射散乱し、壁面2cを通過したレーザ光Lpは、溶媒2aに分散されたブラウン運動する粒子2bに当たり、このブラウン運動によってドップラーシフトしたレーザ光Ls(拡散光)が散乱する。
【0021】
これら両光は互いに干渉し合って干渉光Liとなり、レンズ3、ビームスプリッタ5、レンズ6および偏光板7を通って検出器8上に集光する。偏光板7はビームスプリッタ5によって反射された以外の光を偏光方向を利用してカットする。そして、干渉光Liは、検出器8で電気的な検出信号D(t)に変換され、アンプ9で増幅され、フィルタ10によりフィルタリングされた後にA/D変換器11でデジタル値に変換される。なお、壁面2cで反射拡散したレーザ光Lや拡散したレーザ光Lsも検出器8に集光されるが、両光は検出器8で検出できない高周波の光であるので、その影響が検出信号D(t)に現れることはない。
【0022】
図2(A)〜(D)は例えば、前記粒子2bが2種類の粒子径を有する場合の各部の波形を示すものであり、図2(A)は検出信号D(t)を示している。図2(B)は前記検出信号D(t)をFFT14によってフーリエ変換した後にこれを平滑して求めたパワースペクトルS(f)を示している。図2(C)はパワースペクトルS(f)の一回微分の絶対値によって得られたパワースペクトルS(f)の傾きを示しており、この傾きの大きさに応じて抽出部15bはパワースペクトルS(f)から抽出するデータの間隔を短くする。
【0023】
そして、抽出したパワースペクトルS(f)をまとめて、以下に表1として示すデータ数m個のデータテーブルTを作成する。これを図2(B)の拡大図と対応させると、○印が抽出されたデータを示しており、●印が抽出されなかったデータを示している。すなわち、抽出点f1 とf2 の間隔は2であるのに対し、f2 とf3 の間隔、f3 とf4 の間隔は1である。また、fn とfn+1 との間隔、fn+1 とfn+2 との間隔は2であるのに対し、fn+2 とfn+3 との間隔は3であり、fn+3 とfn+4 との間隔は7である。
【0024】
【表1】
Figure 0003645758
【0025】
この抽出間隔は、対応する図2(C)に基づくものであり、パワースペクトルS(f)の傾斜の値が大きいときには間隔を狭く、小さいときには間隔を広くしている。同図の縦軸にはパワースペクトルS(f)の傾斜に対応する抽出間隔の例を示している。
【0026】
したがって、前記抽出ポイント(f1 〜fm )は全て実際に測定した値であるから、従来のようにデータを内挿することがない。すなわち、内挿処理に伴って真の値からずれることを防止できる。さらに、抽出するデータの間隔はパワースペクトルS(f)の傾きの強さに応じて狭くしているので、パワースペクトルS(f)の大きさに変動が生じる部分は細かくしてデータの再現性を良くすると共に、パワースペクトルS(f)の大きさがあまり変動しない部分は大まかにデータを抽出することにより、後段での演算処理を高速化することができる。
【0027】
図2(D)は上述のようにして抽出したデータテーブルTを基に逆演算(第1種フレドホルム積分方程式の関係を逆に解き、パワースペクトルから粒子径分布Oを算出)して得られた粒子径分布Oを示している。この粒子径分布Oは使用者が選択した間隔で計算でき、リニアに区分した粒子径分布Oを演算している。しかしながら、本発明は、粒子径分布Oの演算方法を限定するものではなく、例えば、対数的に間隔を設定することができ、必要に応じて粒度を詳細に区分しても、大きく区分してもよい。また、表示部13への表示間隔も任意に変更可能であり、リニアに表示するだけでなく、片対数的に、または両対数的に表示することも可能である。
【0028】
上述したように、本発明の粒子径分布の測定装置1によれば、パワースペクトルS(f)の全データをそのまま用いて逆演算するときのように膨大な量のデータを演算する必要がなくなる。したがって、演算処理を行うときに、図外のコンピュータに演算処理のための膨大なメモリが必要ではなく、高速に逆演算することができる。また、データの抽出を従来のように対数的に行うのではなく、パワースペクトルS(f)の傾きに応じて行うので、パワースペクトルS(f)の大きさの変化が激しい部分は詳細に、変化がゆるやかな部分は大まかに抽出する。つまり、最適化した間隔で抽出したデータテーブルTを使用して逆演算することにより、データ数を削減しても精度の高い粒子径分布の算出が可能となり、データ数を削減したことによる再現性の低下を可及的に抑えることができる。
【0029】
加えて、抽出するデータが常に測定した真の値であるから、それだけ従来に比べて精度を向上できる。さらに、内挿の演算をする必要がないので、内挿の精度を向上させるために検出信号D(f)をデジタル信号に変換するAD変換器11に極めて高速なものを用いる必要がなく、それだけ粒子径分布の測定装置1の生産コストを削減することができる。すなわち、必要最小限の装置および測定値で再現性のよい演算を行うことにより、演算に必要とするメモリの量を減らし、高速に演算できると共に、測定精度を向上することができる。
【0030】
なお、上述の例では、パワースペクトルS(f)を一回微分したものの絶対値を基準にパワースペクトルS(f)からデータを抽出した例を挙げているが、本発明はこれに限られるものではない。
【0031】
図3は前記パワースペクトルS(f)を二回微分したものの絶対値を用いてパワースペクトルS(f)からデータを抽出する例を示している。すなわち、図3(A)はパワースペクトルS(f)、図3(B)はこのパワースペクトルS(f)を一回微分したものの絶対値、図3(C)はもう一度微分(二回微分)したものの絶対値を示している。
【0032】
つまり、本例において微分演算部15aはパワースペクトルS(f)を二回微分したものの絶対値を求めることにより、パワースペクトルS(f)の傾きの変化、つまり、パワースペクトルS(f)の曲がりの程度を求めている。そして、図3(C)の縦軸に示すように、このパワースペクトルS(f)の二回微分の絶対値(曲がりの程度)の大きさに応じてパワースペクトルS(f)の抽出間隔を調節している。
【0033】
本例の粒子径分布の測定装置1においても、膨大な量のパワースペクトルS(f)のデータを間引くことにより、演算処理を行うときに膨大なメモリが必要となることも、演算に時間がかかり過ぎることもなくなる。また、データの抽出間隔が、パワースペクトルS(f)の傾きの変化(曲がりの度合い)に応じて行うので、パワースペクトルS(f)が急激に曲がっている部分は詳細に、変化がゆるやかにカーブしている部分は大まかに抽出することができる。つまり、最適化した間隔で抽出したデータテーブルTを使用して逆演算することにより、データ数を削減しても精度の高い粒子径分布の算出が可能となり、データ数を削減したことによる再現性の低下を可及的に抑えることができる。
【0034】
加えて、抽出するデータが常に測定した真の値であり、高速性を備えながら測定精度を向上できると共に、AD変換器11に極めて高速なものを用いる必要もなく、コスト安に粒子径分布の測定装置1を生産可能とする。
【0035】
なお、上述の各例において、図2(C)、図3(C)の縦軸に示した抽出間隔の設定は、データの抽出による再現性の低下を抑えることと、削減するデータ量との兼ね合いによって、設定されるものであるから、使用者が任意に設定可能とすることが望ましい。
【0036】
また、上述した各例は何れも、基本的に検出信号D(t)をフーリエ変換した後にこれを平滑して求めたパワースペクトルS(f)を求め、このパワースペクトルS(f)を中間関数として、これからデータを抽出して、これを逆演算することにより、粒子径分布を求めているが、本発明は中間関数としてパワースペクトルS(f)を用いることに限られるものではない。すなわち、前記FFT14が検出信号D(t)をフーリエ変換し、これをさらに逆フーリエ変換して自己相関関数R(τ)を求め、これを中間関数として逆演算することにより、粒子径分布Oを求めてもよい。
【0037】
自己相関関数R(τ)とパワースペクトルS(f)との間には、Wiener-Khintchine の公式により、下記の式(1)に示す関係があり、自己相関関数R(τ)はパワースペクトルS(f)の逆フーリエ変換によって得ることができる。
Figure 0003645758
したがって、自己相関関数R(f)の演算を図1に示すFFT14によって行なうことができる。
【0038】
図4(A)〜(D)は、本例による粒子径分布Oの演算例を示すものである。図4(A)に示すように、検出信号D(t)を自己相関関数R(τ)に変換することにより、検出信号D(t)に含まれる溶媒全体の振動などの影響や検出器の出力に含まれるノイズやアンプなどの電気回路に加わるノイズなどのホワイトノイズに加えて、電源ラインからのノイズ成分Nが横軸0の位置に集中する。
【0039】
したがって、横軸0の位置のデータを取り除くことにより、ソフトウェアによる平滑処理を割愛しても、様々なノイズNによる影響をほぼ確実に除去することができる。すなわち、平滑処理を省略することにより、粒子径分布Oをより高速に演算することが可能となると共に、測定精度を向上できる。
【0040】
図4(B)は前記自己相関関数R(τ)をτで一回微分したものの絶対値、すなわち自己相関関数R(τ)の傾きを示しており、この傾きの大きさに応じて自己相関関数R(τ)の全データからデータテーブルT作成用に抽出する間隔の狭さを調節する。図4(C)は抽出されたデータテーブルTを基に演算によって求めた粒子径分布である。その他の点については図2,図3に示したものと同じであるので、その詳細な説明を省略する。
【0041】
なお、上述した各例では自己相関関数R(τ)やパワースペクトルS(f)の演算をFFT14(スペクトル解析器)等によって行うことにより、煩雑な演算処理を行う必要をなくしており、粒子径分布の測定装置1の構成をできるだけ簡素にしているが、本発明はこれに限られるものではない。すなわち、自己相関関数R(τ)やパワースペクトルS(f)の演算をソフトウェアによる演算で求めるようにしてもよい。その場合、演算速度はCPUの性能に依存するので、CPUを高速なものと交換するだけで粒子径分布の測定装置1の測定にかかる時間を短くできる。
【0042】
また、上述の各例では、説明をしやすいように、大きさが2種類ある粒子の測定をした例を示しているが、本発明は、これに限られるものではないことは言うまでもない。すなわち、単分散の粒子を測定したり、3種類以上の多分散の粒子を測定する場合にも同様に制度の高い粒子径分布を高速に測定することができる。
【0043】
何れにしても、本発明によれば、パワースペクトルS(f)や自己相関関数R(τ)の傾きまたは傾きの変化を見てデータ抽出ポイントの間隔を決定することにより、抽出ポイント間隔の最適化を実現でき、精度の高い粒子径分布を導くことが可能となる。
【0044】
なお、上述の例においては、検出器8が粒子2bによる散乱光Lsとセル2の壁面2cによる反射光Lとの干渉光Liを検出しているが、本発明はこの干渉光Liの検出方法を限定するものではない。すなわち、図5に示すように構成してもよい。
【0045】
図5は粒子径分布の測定装置1の第2実施例を示す一部拡大図である。図5において、図1と同じ符号を付した部材は同一または同等の部材であるので、その詳細な説明を省略する。すなわち、本例の光源3から照射されたレーザ光Lはレンズ4によってセル2内に集光し、ブラウン運動する粒子2bによって拡散すると共にドップラシフトしたレーザ光Lsを拡散する(以下、拡散光という)。前記拡散光Lsは互いに干渉し合って干渉光Liを生じさせ、これがレンズ6偏光板7を介して検出器8に集光する。
【0046】
すなわち、ドップラーシフトした拡散光同士で干渉光Liを発生させることにより、干渉光Liの成分をより大きく測定することができ、それだけ検出効率を向上できる。なお、その他の点については、上述の第1実施例およびその変形例と同様に変形可能であり、かつ、同様の効果を得ることができる。
【0047】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、演算に用いるデータテーブルを作成するために抽出するデータは全データ領域の中から適宜の間隔でデータが抽出されるので、データがない点に対して内挿の演算をする必要がなく、逆演算を行うときに真の値からずれたデータを用いることがない。
【0048】
また、前記データの抽出部が中間関数の1回微分の絶対値を演算する微分演算部と、この演算結果が大きくなるにしたがって短い間隔、小さくなるにしたがって長い間隔で全データ領域の中からデータを抽出する抽出部とを有するものであってもよい。あるいは、前記データの抽出部が中間関数の2回微分の絶対値を演算する微分演算部と、この演算結果が大きくなるにしたがって短い間隔、小さくなるにしたがって長い間隔で全データ領域の中からデータを抽出する抽出部とを有するものである場合には、少ないデータの抽出により再現性のよいデータの間引きを行うことができ、データ量は少なくても高精度の粒子径分布の測定を行うことができる。すなわち、高精度の演算を高速に行なうことができる。
【0049】
上述のように、最適な演算法を用いることにより、複雑な演算を避けることができ、演算処理速度を上げるとともに、従来は複雑で実行不可能とされていた非線形問題である第1種フレドホルム積分方程式からの逆演算を可能とし、可及的に精度の高い粒子径分布を求める演算を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例である粒子径分布の測定装置を示すブロック図である。
【図2】前記測定装置の各部の処理内容を説明する図であり、(A)は検出信号、(B)はパワースペクトル、(C)はパワースペクトルの1回微分の絶対値、(D)は粒子径分布を示している。
【図3】前記測定装置における変形例を説明する図であり、(A)はパワースペクトル、(B)はパワースペクトルの1回微分の絶対値、(C)は2回微分の絶対値、(D)は粒子径分布を示している。
【図4】前記測定装置における別の変形例を説明する図であり、(A)は自己相関関数、(B)は自己相関関数の1回微分の絶対値、(C)は粒子径分布を示している。
【図5】本発明の第2実施例である粒子径分布の測定装置の一部を示すブロック図である。
【図6】従来の粒子径分布の測定装置における処理内容を説明する図であり、(A)は検出信号、(B)は平滑処理したパワースペクトル、(C)は粒子径分布を示している。
【符号の説明】
1…粒子径分布の測定装置、2a…溶媒、2b…粒子、3…光源、8…検出器、14…演算部、16…処理部、15…データ抽出部、15a…微分演算部、15b…抽出部、D…検出信号、S,R…中間関数、T…データテーブル。

Claims (6)

  1. 溶媒中に分散しブラウン運動する粒子にレーザ光を照射する光源と、前記粒子による散乱光のドップラーシフトによって生じた干渉光を電気的な検出信号に変換する検出器と、検出信号を加工して中間関数を求める演算部と、この中間関数を逆演算して粒子径分布を算出する処理部とを有する粒子径分布の測定装置において、前記演算部と処理部の間に、前記中間関数の全データ領域の中から適宜の間隔でデータを抽出して、逆演算に用いるデータテーブルを作成するデータ抽出部を有することを特徴とする粒子径分布の測定装置。
  2. 前記データ抽出部が中間関数の1回微分の絶対値を演算する微分演算部と、この演算結果が大きくなるにしたがって短い間隔、小さくなるにしたがって長い間隔で全データ領域の中からデータを抽出する抽出部とを有する請求項1に記載の粒子径分布の測定装置。
  3. 前記データ抽出部が中間関数の2回微分の絶対値を演算する微分演算部と、この演算結果が大きくなるにしたがって短い間隔、小さくなるにしたがって長い間隔で全データ領域の中からデータを抽出する抽出部とを有する請求項1に記載の粒子径分布の測定装置。
  4. 溶媒中に分散しブラウン運動する粒子にレーザ光を照射して、前記粒子による散乱光のドップラーシフトによって生じた干渉光を電気的な検出信号に変換し、かつ、この検出信号を逆演算することにより粒子径分布を算出する粒子径分布の測定方法において、前記中間関数の全データ領域の中から、適宜の間隔でデータを抽出して、逆演算に用いるデータテーブルを作成し、このデータテーブルから粒子径分布を求めることを特徴とする粒子径分布の測定方法。
  5. 前記中間関数の1回微分の絶対値を演算し、この演算結果が大きくなるにしたがって短い間隔、小さくなるにしたがって長い間隔で全データ領域の中からデータを抽出してデータテーブルを作成する請求項4に記載の粒子径分布の測定方法。
  6. 前記中間関数の2回微分の絶対値を演算し、この演算結果が大きくなるにしたがって短い間隔、小さくなるにしたがって長い間隔で全データ領域の中からデータを抽出してデータテーブルを作成する請求項4に記載の粒子径分布の測定方法。
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