JP3645759B2 - 粒子径分布解析方法 - Google Patents
粒子径分布解析方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP3645759B2 JP3645759B2 JP26611999A JP26611999A JP3645759B2 JP 3645759 B2 JP3645759 B2 JP 3645759B2 JP 26611999 A JP26611999 A JP 26611999A JP 26611999 A JP26611999 A JP 26611999A JP 3645759 B2 JP3645759 B2 JP 3645759B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- particle size
- size distribution
- assumed
- calculated
- frequency
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
- 238000000034 method Methods 0.000 title claims description 24
- 238000007415 particle size distribution analysis Methods 0.000 title claims description 15
- 239000002245 particle Substances 0.000 claims description 138
- 238000005316 response function Methods 0.000 claims description 33
- 238000005311 autocorrelation function Methods 0.000 claims description 30
- 238000001514 detection method Methods 0.000 claims description 27
- 238000005259 measurement Methods 0.000 claims description 22
- 238000012545 processing Methods 0.000 claims description 17
- 239000002904 solvent Substances 0.000 claims description 13
- 238000004364 calculation method Methods 0.000 description 25
- 238000010586 diagram Methods 0.000 description 6
- 239000011159 matrix material Substances 0.000 description 4
- 230000005653 Brownian motion process Effects 0.000 description 3
- 238000005537 brownian motion Methods 0.000 description 3
- 238000004458 analytical method Methods 0.000 description 2
- 230000010354 integration Effects 0.000 description 2
- 238000013459 approach Methods 0.000 description 1
- 238000006243 chemical reaction Methods 0.000 description 1
- 238000013527 convolutional neural network Methods 0.000 description 1
- 238000012937 correction Methods 0.000 description 1
- 238000009792 diffusion process Methods 0.000 description 1
- 230000000694 effects Effects 0.000 description 1
- 230000001678 irradiating effect Effects 0.000 description 1
- 230000010287 polarization Effects 0.000 description 1
- 238000003672 processing method Methods 0.000 description 1
- 230000001131 transforming effect Effects 0.000 description 1
Images
Landscapes
- Length Measuring Devices By Optical Means (AREA)
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、溶媒中に分散された粒子の粒子径分布を算出するための粒子径分布解析方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、溶媒中に離散する粒子に対してレーザ光を照射し、粒子に当たって散乱した散乱光を検出器に入射して、検出した散乱光をカウントすることにより、粒子の粒子径分布を測定すること(一般に、単一光子相関法と呼ばれている)が行われている。ところが、この単一光子相関法によれば、粒子径の範囲を予め幾つか定めて粒子のカウントを行う必要があり、粒子径の範囲に制限が生じていた。また、測定レンジを広く取るためには、長時間の間安定した状態を保ったままで測定を行う必要があった。加えて、単一光子相関法では散乱光が互いに重なりあわないように、希釈した状態で粒子径分布を測定する必要があった。
【0003】
このため、近年ではブラウン運動する粒子に照射したレーザ光のドップラーシフトにより生じる散乱光による干渉光を検出し、干渉光の検出信号をフーリエ変換して周波数解析することにより、測定した光強度の周波数特性を求めて、これをデコンボリューションすることにより粒子径分布の測定を行うことが提案されている(例えば、特開平3−170844号公報、以下、公知例という)。このデコンボリューションは、線型法によって容易に反転することができるコンボリューション積分の形に変換した後に、その反転によって行なっていた。この時、周波数は対数周波数、粒子径サイズは対数粒子径サイズで扱い、周波数特性を変換し、また、無次元で対数周波数軸でシフトバリアントな応答関数を作ることでコンボリューション積分を実現していた。
【0004】
第1種フレドホルム積分方程式を解く一般的な逆演算方法は、たとえば、測定範囲を対数的に区分して定められたm個の演算・表示区分の代表粒子径を定めて、各代表粒子径の粒子の数を表わす粒子径分布F(j)(j=1〜m)を光強度の周波数特性Gから求めることによって行われる。すなわち、周波数特性G(j)(j=1〜m)と前記粒子径分布F(j)との関係は、応答関数Pを用いてG=FPの行列式で表すことができ、前記応答関数Pの逆行列P-1を求めて、F=P-1Gの演算をすることにより、粒子径分布F(j)を求めることが一般的な逆演算の方法であった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述の方法では、一般的に粒子径分布の行列Fの解を求めるときに振動や発散が起こりやすくなり、ベクトル演算に振動や発散が起こると、粒子径分布Fに実体のないピーク出力が発生することもあった。これを回避するために、粒子径分布Fの分布形状や、その曲線について、収束させるための条件を定める行列を別途追加することが行われているが、この収束条件を定める行列は求めることが困難であり、演算処理が複雑になるという問題があった。
【0006】
また、前記応答関数Pは粒子径分布Fを求める時点での溶媒の粘度や屈折率や温度等の測定条件によって変動するものであるが、上述のように煩雑な演算処理を行なう必要があるので、理論値として求められる応答関数Pを固定的に用いざるを得ず、それだけ解析精度を落とすという欠点もあった。
【0007】
本発明は、上述の事柄を考慮に入れてなされたものであって、その目的とするところは、測定条件や粒子径に依存して得られる情報から、測定時の条件を加味して、高精度の粒子径分布を求めることができると共に、複雑な演算処理をする必要がない粒子径分布解析方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、第1発明の粒子径分布解析方法は、溶媒中に分散しブラウン運動する粒子にレーザ光を照射して、前記粒子による散乱光のドップラーシフトによって生じた干渉光を電気的な検出信号に変換し、この検出信号を逆演算して粒子径分布を算出する粒子径分布解析方法において、仮定の粒子径分布を予め設定する一方、前記検出信号の周波数特性を計算して、これを実測周波数特性とすると共に、測定条件からストークスアインスタインの式で求めた半値幅を有するローレンツ形分布の周波数特性を粒子径の大きさに対応して計算して、これらを演算周波数特性とし、これら演算周波数特性を基に粒子径に対する光強度を示す応答関数を周波数ごとにそれぞれ計算して、この応答関数を重みとして前記仮定の粒子径分布による仮定値に基づく周波数特性を各周波数ごとに計算すると共に、この仮定値に基づく周波数特性と実測周波数特性との相違の割合に応じて前記仮定の粒子径分布を補正し、補正した仮定の粒子径分布によって前記と同じ処理を順次繰り返して、仮定値に基づく周波数特性と実測周波数特性との相違の割合が所定の範囲内になったときの仮定の粒子径分布を真の粒子径分布とすることを特徴としている。なお、ここでいう逆演算とは、周波数特性と応答関数と粒子径分布の関係式である第1種フレドホルム積分方程式から粒子径分布を求めることをいうのであって、コンボリューション積分から粒子径分布を求めるデコンボリューションとは異なるものである。
【0009】
したがって、応答関数がストークスアインスタインの式によって測定条件に合わせて計算により求められるものであるから、応答関数を溶媒の屈折率や粘度や温度、さらには、照射するレーザ光の波長、検出する散乱光の角度に合わせて微調整することができ高精度の分布の演算を行うことができる。また、仮定の粒子径分布に基づく周波数分布と実測周波数分布とを比較して仮定の粒子径分布を補正しながら比較を繰り返すことはコンピュータの得意とする処理であり、従来のように振動や発散が生じることがないので、真の粒子径分布に確実に収束させることができる。
【0010】
また、第2発明の粒子径分布解析方法は、溶媒中に分散しブラウン運動する粒子にレーザ光を照射して、前記粒子による散乱光のドップラーシフトによって生じた干渉光を電気的な検出信号に変換し、この検出信号を逆演算して粒子径分布を算出する粒子径分布解析方法において、仮定の粒子径分布を予め設定する一方、前記検出信号の自己相関関数を計算して、これを実測自己相関関数とすると共に、測定条件からストークスアインスタインの式で求めた時定数を持つ指数関数の自己相関関数を粒子径の大きさに対応して計算して、これら演算自己相関関数とし、これらの演算自己相関関数を基に粒子径に対する光強度を示す応答関数を遅延時間ごとにそれぞれ計算して、この応答関数を重みとして前記仮定の粒子径分布による仮定値に基づく自己相関関数を各遅延時間ごとに計算すると共に、この仮定値に基づく自己相関関数と実測自己相関関数との相違の割合に応じて前記仮定の粒子径分布を補正し、補正した仮定の粒子径分布によって前記と同じ処理を順次繰り返して、仮定値に基づく自己相関関数と実測自己相関関数との相違の割合が所定の範囲内になったときの仮定の粒子径分布を真の粒子径分布とすることを特徴としている。
【0011】
したがって、応答関数が測定条件に合わせて計算により求められるものであるから、高精度の粒子径分布の演算を行うことができると共に、従来のように振動や発散が生じることなく、真の粒子径分布に確実に収束させることができる。さらに、測定した光強度を自己相関関数に変換することにより、検出信号に含まれるノイズ成分を効果的に除去することができ、測定精度のさらなる向上を達成することができる。
【0012】
すなわち、本発明によれば、何れの場合にも複雑な演算を避けることができ、演算処理速度を向上しながら、可及的に高精度の逆演算を行うことができる。また、従来は複雑で実行不可能とされていた非線形問題である第1種フレドホルム積分方程式からの逆演算を可能としている。
【0013】
【発明の実施の形態】
図1は本発明の第1実施例として、粒子径分布の測定装置1の構成を示す図である。図1において、2は溶媒2aと測定対象の粒子2bを収容するセル、3は前記粒子2bにレーザ光Lを照射する光源、4は前記レーザ光Lをセル2内に集光させるレンズである。5は前記粒子2bによる散乱光のドップラーシフトによって生じた干渉光Liを反射するビームスプリッタ、6は前記干渉光Liを集光するレンズ、7は偏光板である。
【0014】
8は前記干渉光Liを電気的な検出信号に変換する検出器、9はこの検出信号を増幅するアンプ、10はフィルタ、11は検出信号D(t)をデジタル信号に変換するAD変換器、12は検出信号D(t)をデータ処理して粒子径分布F0 (j)を求めるデータ処理装置、13は求められた粒子径分布F0 (j)を表示する表示装置である。
【0015】
前記データ処理装置12は、例えば干渉光の検出信号D(t)をフーリエ変換して周波数特性S(f)を求める演算部(以下、FFTという)14と、求めた周波数特性S(f)から粒子径分布F0 (j)を求める処理部15とを有している。
【0016】
上記構成により、レーザ光源3から出たレーザ光Lは、ビームスプリッタ5およびレンズ4を通過してセル2の内に集光する。このとき、図1の拡大図に示すように、一部のレーザ光L(非散乱光)はセル2の壁面2cで反射散乱し、壁面2cを通過したレーザ光Lpは、溶媒2aに分散されたブラウン運動する粒子2bに当たり、このブラウン運動によってドップラーシフトしたレーザ光Ls(拡散光)が散乱する。両光L,Lsは互いに干渉し合って干渉光Liとなり、レンズ3、ビームスプリッタ5、レンズ6および偏光板7を通って検出器8上に集光する。
【0017】
すなわち、入射するレーザ光Lに対する干渉光Liの角度αは180°である。偏光板7はビームスプリッタ5によって反射された以外の光を偏光方向を利用してカットする。そして、干渉光Liは、検出器8で電気的な検出信号D(t)に変換され、アンプ9で増幅され、フィルタ10によりフィルタリングされた後にA/D変換器11でデジタル値に変換される。なお、壁面2cで反射拡散したレーザ光Lや拡散したレーザ光Lsも検出器8に集光されるが、両光は高周波の光であるので、フィルタ10によりそのDC成分はカットされる。
【0018】
図2は検出信号D(t)の処理方法を立体的なグラフにして図示する斜視図である。図2において、h方向は光強度、i方向は検出信号の周波数、j方向は粒子径の大きさを示している。以下、図2を図1と共に参照しながら、本発明における粒子径分布解析方法の一例を説明する。
【0019】
本例においては、例えば粒子径分布を8種類の代表粒子径D1 〜D8 に類別している。すなわち、S1 〜S8 はそれぞれ代表粒子径D1 〜D8 の粒子2bによる干渉光Liの検出信号を周波数変換して生じる周波数特性の演算値(演算周波数特性)を示している。なお、本例の説明においては、内容を分かりやすくするために代表粒子径D1 〜D8 の8種類の演算周波数特性S1 〜S8 のみを表示しているが、実際の計算では精度を上げるために多くの演算周波数特性を計算している。また、本発明は代表粒子径の数を制限するものではないことはいうまでもない。
【0020】
前記各代表粒子径D1 〜D8 のときの粒子の演算周波数特性S1 〜S8 は、測定時の条件に合わせて求めることができる。すなわち、前記演算周波数特性S1 〜S8 は以下の式(1)に示すストークスアインスタインの式をもちいて算出される拡散係数Dcと、式(2)に示す関係式を用いて計算される係数Kを用いて求められるものであり、各演算周波数特性S1 〜S8 は半値幅DcK2 を持つローレンツ分布を示す曲線である。
但し、kはボルツマン定数、Tは絶対温度、Cはカニンガムのすべり補正項、μは溶媒の粘性係数、dは粒子径、λは前記レーザ光Lの波長、nは溶媒の屈折率である。なお、本例の場合はαが180°であるから、上述の式(2)はK=4πn/λとなる。
【0021】
上述のようにして、代表粒子径D1 〜D8 の粒子2bから生じる干渉光Liの演算周波数特性S1 〜S8 を演算し、この演算周波数特性S1 〜S8 をh−i平面に表わす。本発明は、この演算周波数特性S1 〜S8 を測定時の諸条件に合わせて算出しているので、演算の精度を高く保つことができる。
【0022】
次に、前記特性のh−j平面に注目すると、これは粒子の大きさに対する光強度を表わす粒子径−光強度特性曲線P1 〜Pn である。この粒子径−光強度特性曲線P1 〜Pn は、周波数が低いときは粒子径が大の位置においてピークを有し、周波数が高いときは粒子径が小の位置においてピークを有する曲線である。また、このようにして求めた粒子径−光強度特性曲線P1 〜Pn は、それぞれの形、およびサイズが同じである必要のないものである。
【0023】
そして、粒子径−光強度特性曲線P1 〜Pn を基にして、各周波数f1 〜fn 毎に各粒子径の粒子の大きさに対する光強度の相対強度を表わす応答関数を計算する。なお、本例では説明しやすいように粒子径−光強度特性曲線P1 〜Pn を計算する周波数f1 〜fn の間隔を大きく表示しているが、実際の演算は細かく区切って行っており、この区切りを細かくするほど測定精度を向上できることは言うまでもない。
【0024】
図3は上述のようにして求めた応答関数P(i,j)を示す図である。図3においてF(j)は仮定の粒子径分布、F0 (j)は真の粒子径分布を示している。本例において、仮定の粒子径分布F(j)の初期設定は、例えば仮想線に示すように、全粒子径分布の範囲にわたって一定の値を有する。なお、図3は本発明を理解しやすいように、簡略化して示した模試図であり、実際の値を示すものではない。したがって、各応答関数P(i,j)は、その大きさおよび形が同一のように開示しているが、実際には同一(シフト不変の関数)ではない。
【0025】
次に、図4に示すように、前記仮定の粒子径分布F(j)を用いて仮定値に基づく周波数特性Sc(f)を以下の式(3)の演算によって求める。すなわち、前記仮定値に基づく光強度の周波数特性Sc(f)を各周波数ごとに演算し、仮定の粒子径分布F(j)に応答関数P(1,j)を重みとしてかけ合わせて積分することにより、まず周波数f1 の時の光強度Sc(f1 )を計算する。
Sc(f1 )=∫P(1,j)×F(j)dj … 式(3)
【0026】
そして、上述のように計算した仮定の粒子径分布F(j)に基づく光強度Sc(f1 )を、実測周波数特性S(f)の光強度S(f1 )と比較し、この比r0 =S(f1 )/Sc(f1 )を基に、補正した仮定の粒子径分布F1 (j)を以下の式(4)によって計算し、仮定の粒子径分布F(j)をF1 (j)に補正する。
F1 (j)={1+(r0 −1)P(1,j)}F(j) … 式(4)
【0027】
上述した演算処理を、各周波数f1 ,f2 …fn に対応する応答関数P(2,j)…P(n,j)に変えて繰り返し行うことにより、仮定の粒子径分布Fの値を順次補正してゆく。また、最後の応答関数P(n,j)を用いた計算が終わると、もう一度始めの応答関数P(1,j)にもどって再び上記演算を繰り返す。
【0028】
そして、全ての周波数f1 ,f2 …fn に対応する応答関数P(i,j)(i=1〜n)に関して、前記仮定値の粒子径分布F(j)に基づく周波数特性Sc(f)の光強度Sc(fi )と、実測周波数特性S(f)の光強度S(fi )の比r0 が、1に対してある決められた一定範囲内に近づいたとき、仮定粒子径分布F(j)を真の粒子径分布F0 (j)として、表示装置13に表示する。
【0029】
上述のように、本発明によれば仮定の粒子径分布F(j)を応答関数P(i,j)によって重み付けすることにより、仮定値に基づく周波数特性Sc(f)を算出し、これを実測周波数特性S(f)と比較し、順次補正する演算を繰り返すことにより、仮定の粒子径分布F(j)を真の粒子径分布F0 (j)に確実に近づけることができる。このとき、従来のように演算処理に振動や発散が生じることがないので、複雑な演算処理をして振動や発散を抑える必要がなく、コンピュータにとって得意な単純演算を繰り返すだけで、高精度の粒子径分布F(j)を算出することができる。
【0030】
また、前記粒子径分布の演算に用いる要となる応答関数P(i,j)を毎回の測定条件に合わせて演算により求めているので、測定時の状態に合わせていつでも高精度の測定を行うことができる。なお、前記応答関数P(i,j)を求める時にはストークスアインスタインの式で求めた半値幅を有するローレンツ形分布をするものとして演算可能であるが、入射光Lの波長λや、入射光Lと散乱光Liとの間の角度αなどの固定要素となるものは予め計算しておくことも可能である。
【0031】
さらに、上述の例においては、応答関数P(i,j)を粒子径に対応する周波数特性S0 〜S7 から計算する例を示しているが、本発明はこれに限られるものではない。
【0032】
本発明は応答関数P(i,j)を粒子径に対応する自己相関関数によって求めることも可能である。この場合、前記式(1),式(2)によって求められる時定数1/DK2 の指数関数を自己相関関数として演算することができる。また、前記実測した周波数特性S(f)を逆フーリエ変換することにより、検出信号D(t)に基づく自己相関関数(実測自己相関関数)を算出することができる。
【0033】
本例のように、検出信号D(t)を自己相関関数に変換することにより、検出信号に含まれるノイズ成分を容易に除去することができる。したがって、測定精度を可及的に引き上げることが可能となる。なお、本発明は自己相関関数はFFT14を用いて求めることに限定するものではなく、これを自己相関器を用いて求めるようにする変形も可能である。
【0034】
さらに、上述の各例においては、検出器8が粒子2bによる散乱光Lsとセル2の壁面2cによる反射光Lとの干渉光Liを検出しているが、本発明はこの干渉光Liの検出方法を限定するものではない。すなわち、検出器8が散乱光Ls同士の干渉によって生じた干渉光Liを検出するようにしてもよい。
【0035】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、応答関数がストークスアインスタインの式によって測定条件に合わせて計算により求められるものであるから、高精度の分布の解析を行うことができる。また、仮定の粒子径分布に基づく周波数分布と実測周波数分布とを比較して仮定の粒子径分布を補正しながら比較を繰り返すことにより、従来のように演算に振動や発散が生じることがないので、真の粒子径分布に確実に収束させることができる。
【0036】
また、前記応答関数を自己相関関数から求めて、測定した光強度を自己相関関数に変換することにより、検出信号に含まれるノイズ成分を効果的に除去することができ、測定精度のさらなる向上を達成することができる。
【0037】
上記、何れの場合においても、最適な演算法を用いることにより、複雑な演算を避けることができ、演算処理速度を上げるとともに、従来は複雑で実行不可能とされていた非線形問題である第1種フレドホルム積分方程式からの逆演算を可能とし、可及的に精度の高い粒子径分布を求める演算を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の粒子径分布解析方法を実施する粒子径分布の測定装置を示すブロック図である。
【図2】本発明の粒子径分布解析方法を説明する立体的なグラフを示す斜視図である。
【図3】前記粒子径分布解析方法における仮定の粒子径分布と、真の粒子径分布と、応答関数の関係を示す図である。
【図4】前記粒子径分布解析方法における仮定値に基づく周波数特性と、実測周波数特性の関係を示す図である。
【符号の説明】
2a…溶媒、2b…粒子、D(t)…検出信号、F0 (j)…真の粒子径分布、F(j)…仮定の粒子径分布、L…レーザ光、Li…干渉光、Ls…散乱光、S(f)…実測周波数特性、Sc(t)…仮定値に基づく周波数特性、S1 〜S8 …演算周波数特性、P(i,j)…応答関数。
Claims (2)
- 溶媒中に分散しブラウン運動する粒子にレーザ光を照射して、前記粒子による散乱光のドップラーシフトによって生じた干渉光を電気的な検出信号に変換し、この検出信号を逆演算して粒子径分布を算出する粒子径分布解析方法において、仮定の粒子径分布を予め設定する一方、前記検出信号の周波数特性を計算して、これを実測周波数特性とすると共に、測定条件からストークスアインスタインの式で求めた半値幅を有するローレンツ形分布の周波数特性を粒子径の大きさに対応して計算して、これらを演算周波数特性とし、これら演算周波数特性を基に粒子径に対する光強度を示す応答関数を周波数ごとにそれぞれ計算して、この応答関数を重みとして前記仮定の粒子径分布による仮定値に基づく周波数特性を各周波数ごとに計算すると共に、この仮定値に基づく周波数特性と実測周波数特性との相違の割合に応じて前記仮定の粒子径分布を補正し、補正した仮定の粒子径分布によって前記と同じ処理を順次繰り返して、仮定値に基づく周波数特性と実測周波数特性との相違の割合が所定の範囲内になったときの仮定の粒子径分布を真の粒子径分布とすることを特徴とする粒子径分布解析方法。
- 溶媒中に分散しブラウン運動する粒子にレーザ光を照射して、前記粒子による散乱光のドップラーシフトによって生じた干渉光を電気的な検出信号に変換し、この検出信号を逆演算して粒子径分布を算出する粒子径分布解析方法において、仮定の粒子径分布を予め設定する一方、前記検出信号の自己相関関数を計算して、これを実測自己相関関数とすると共に、測定条件からストークスアインスタインの式で求めた時定数を持つ指数関数の自己相関関数を粒子径の大きさに対応して計算して、これら演算自己相関関数とし、これらの演算自己相関関数を基に粒子径に対する光強度を示す応答関数を遅延時間ごとにそれぞれ計算して、この応答関数を重みとして前記仮定の粒子径分布による仮定値に基づく自己相関関数を各遅延時間ごとに計算すると共に、この仮定値に基づく自己相関関数と実測自己相関関数との相違の割合に応じて前記仮定の粒子径分布を補正し、補正した仮定の粒子径分布によって前記と同じ処理を順次繰り返して、仮定値に基づく自己相関関数と実測自己相関関数との相違の割合が所定の範囲内になったときの仮定の粒子径分布を真の粒子径分布とすることを特徴とする粒子径分布解析方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP26611999A JP3645759B2 (ja) | 1998-10-30 | 1999-09-20 | 粒子径分布解析方法 |
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP30997898 | 1998-10-30 | ||
JP10-309978 | 1998-10-30 | ||
JP26611999A JP3645759B2 (ja) | 1998-10-30 | 1999-09-20 | 粒子径分布解析方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2000199738A JP2000199738A (ja) | 2000-07-18 |
JP3645759B2 true JP3645759B2 (ja) | 2005-05-11 |
Family
ID=26547309
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP26611999A Expired - Fee Related JP3645759B2 (ja) | 1998-10-30 | 1999-09-20 | 粒子径分布解析方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3645759B2 (ja) |
-
1999
- 1999-09-20 JP JP26611999A patent/JP3645759B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2000199738A (ja) | 2000-07-18 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
EP0427093B1 (en) | Method and apparatus for measuring small particle size distribution | |
JP3412606B2 (ja) | レーザ回折・散乱式粒度分布測定装置 | |
EP0990888B1 (en) | Apparatus and method for measuring a particle size distribution | |
JP3304692B2 (ja) | 分光測定装置 | |
JP3446410B2 (ja) | レーザ回折式粒度分布測定装置 | |
JP4132692B2 (ja) | 粒径分布測定装置 | |
WO2019154882A1 (en) | Multi-angle dynamic light scattering | |
JP3645759B2 (ja) | 粒子径分布解析方法 | |
JP6555164B2 (ja) | 粒子径分布測定装置、データ処理方法及びデータ処理プログラム | |
JP3645760B2 (ja) | 粒子径分布解析方法 | |
JP3689274B2 (ja) | 動的光散乱式粒径分布測定システム | |
JP3645758B2 (ja) | 粒子径分布の測定装置および粒子径分布の測定方法 | |
JP3645757B2 (ja) | 粒径分布解析方法 | |
JP3819895B2 (ja) | 動脈硬化評価装置 | |
JPH0462455A (ja) | 粒度分布測定装置 | |
JP3820065B2 (ja) | 動的光散乱式粒径分布測定装置および動的光散乱式粒径分布測定方法 | |
JP2000171384A (ja) | 粒子径分布の測定装置および粒子径分布の測定方法 | |
JP3689276B2 (ja) | 粒径分布測定装置および粒径分布測定方法 | |
JP2821200B2 (ja) | 粒子測定方法および装置 | |
JP3302991B2 (ja) | 粒径分布測定装置 | |
JP2617795B2 (ja) | 塗装面のつや測定方法及び装置 | |
JP3282580B2 (ja) | レーザ回折・散乱式粒度分布測定装置 | |
JP3040140B2 (ja) | 色収差測定方法及び測定装置 | |
US20170138837A1 (en) | Sample analyzer and recording medium recording sample analysis program | |
JP2727167B2 (ja) | ドップラー周波数測定器 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20041028 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20050201 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20050204 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110210 Year of fee payment: 6 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110210 Year of fee payment: 6 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120210 Year of fee payment: 7 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120210 Year of fee payment: 7 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130210 Year of fee payment: 8 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130210 Year of fee payment: 8 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130210 Year of fee payment: 8 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |