JP3644973B2 - 噴流式送風機 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、例えば自動車トンネルの換気設備等に利用される噴流式送風機(ジェットファン)に係り、特に、吸音材の吸音効果を妨げない低騒音のサイレンサを有する噴流式送風機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の噴流式送風機のサイレンサについて図3ないし図4を参照して説明する。なお、本発明との比較をするのに適当なため、本出願人の先願である特願平3−337342号のサイレンサ構造を従来技術として説明する。
図3は、一般的な噴流式送風機の構成を示す縦断面図、図4は、従来のサイレンサ構造を示す部分拡大図である。
【0003】
図3において、1は、電動機4と、この電動機4の軸端に直結された羽根車3とが内蔵された本体ケース、2は、本体ケース1の前後(両側)に配置され、主として騒音低減を目的としたサイレンサケース、5は、本体ケース1とサイレンサケース2とを接続するフランジ、6は、前記各ケースの外殻を構成する外筒鋼板、10は、内筒を示す。
この噴流式送風機では、騒音を低減するために、送風装置を収納する本体ケース1、および、その前後のサイレンサ2(外筒、内筒を含む)をサイレンサ構造としている。
【0004】
このサイレンサ構造を説明するために、サイレンサケースの部分拡大図を4に示す。
円筒状のサイレンサケース2の通風面に、孔が長穴の形状をした有孔鋼板8を設け、外筒鋼板6との間に、吸音特性の良好な吸音材7´をはさみこんで保持した構造となっている。また、吸音材7´は飛散しないように薄いプラスチックフィルム9で包まれている。
【0005】
この従来技術のサイレンサは、吸音材の保護材として薄いプラスチックフィルム9を使用したことと、有孔鋼板8の穴を長穴にしたことにより、ダストの目詰りを防止し、吸音効果の劣化を防止するのに効果があったが、初期のダストが目詰りしていない清浄時の騒音値が高くなるという問題があった。その原因として次のことが推定される。
【0006】
吸音材7´は、吸音材が飛散しないように薄いプラスチックフィルム9により包まれている。この薄いプラスチックフィルム9に包まれた吸音材7´を、有孔鋼板8で保持するのであるが、有孔鋼板8と外筒鋼板6との間の空間高さの寸法から、吸音材7´の厚さ寸法が、若干大きいため、薄いプラスチックフィルム9で包まれた吸音材7´は、有孔鋼板8で保持されたとき、吸音材7´は押えつけられて圧縮されることになる。このため、薄いプラスチックフィルム9も、自由に膜振動ができない状態となる。本来、薄いプラスチックフィルム9は、フィルム面が自由に膜振動することにより、音波を伝播することができるのであるが、従来技術の場合は、薄いプラスチックフィルム9を、有孔鋼板8により押えつけて拘束してしまうため、プラスチックフィルム9が遮へい物となり、音波を伝播しないことになり、吸音材7´の吸音効果は極端に悪くなり、騒音値が高くなるものであった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来技術では、吸音材を保護している薄いプラスチックフィルムの、膜振動を起こしやすくする構造について配慮されていなかった。そのため、薄いプラスチックフィルムが遮へい物となり、音波を伝播しないために、吸音材の吸音効果が極端に悪くなり、騒音値が高いという問題があった。
このため、例えば、この種サイレンサーをトンネル換気用のジェットファンに適用した場合、トンネル周辺の住民から騒音に関する苦情が出て社会問題になる恐れがあった。
【0008】
本発明は、上記従来記述の問題点を解決するためになされたもので、吸音材を保護している薄いプラスチックフィルムの膜振動を起こしやすくし、吸音材の吸音効果を妨げることのない、低騒音のサイレンサを備えた噴流式送風機を提供することを、その目的とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明に係る噴流式送風機の構成は、電動機と該電動機に直結された羽根車とを内蔵する本体ケースと、この本体ケースの前後に設けたサイレンサケースとを備え、このサイレンサケースは、そのサイレンサケースの外殻を構成する外筒鋼板と、そのサイレンサケースの通風面に設けられた有孔鋼板と、前記外筒鋼板と前記有孔鋼板との間に設けられた吸音材と、前記吸音材の保護部材として前記吸音材を包む薄いプラスチックフィルムとを有し、前記吸音材および前記プラスチックフィルムを、孔を長穴とした前記有孔鋼板で保持してなる噴流式送風機において、前記吸音材は、前記外筒鋼板と前記有孔鋼板との間に多層に配置され、前記有孔鋼板に当接する側に配置した吸音材を、それよりも外筒鋼板側に設けた吸音材より柔らかいかさ密度の吸音材で構成し、前記プラスチックフィルムは前記有孔鋼板の片面にたるみをもって貼りつけられているものである。
【0011】
【作用】
本発明によれば、吸音材を保護している薄いプラスチックフィルムの膜振動を起こしやすくし、吸音材の吸音効果を妨げることがないようにしたので、低騒音のサイレンサとすることができる。なお、従来技術と本発明の場合について騒音値をテストしたところ図2の結果が得られた。図2は、従来技術と本発明の場合の騒音値をテストして比較したデータを示す線図であり、横軸に周波数分析(Hz)、縦軸に音圧レベルdB(A)をとり、従来技術のデータを破線、本発明のデータを実線で示している。図2から図から明らかなように、従来技術に比べて、本発明のサイレンサ構造の方が騒音値で約10dB(A)も低くなった。
【0014】
【実施例】
以下、本発明の一実施例を図1ないし図2を参照して説明する。
図1は、本発明の一実施例に係る噴流式送風機のサイレンサ構造を示す部分拡大図である。
図1のサイレンサ構造を適用する噴流式送風機の全体構成は、先の図3に示したものと同等であるので、全体構成の説明は省略する。また、図1に示すサイレンサ構造は、図3に示した本体ケース1およびサイレンサケース2の、少なくともサイレンサーケース2の外筒,内筒に適用されるものである。
【0015】
図1に示すサイレンサは、薄いプラスチックフィルム9にたるみをもたせて、この薄いプラスチックフィルム9を、有孔鋼板8の片面の4辺に先に貼りつけ、この有孔鋼板8によって多層(2層)吸音材7を保持した構造となっている。
この多層の吸音材7は、かさ密度が32k〜64kである吸音材7Aと、かさ密度が12k〜24kの柔らかいかさ密度の吸音材7Bとからなるものであり、これら吸音材7A,7Bはいずれもグラスウールを採用し、前記の如くかさ密度が異なるものである。
有孔鋼板8に当接する側の吸音材7Bは柔らかい、かさ密度12K〜24Kのものとする。
【0016】
上記構成の噴流式送風機のサイレンサの作用を説明する。
通風面に風が流れると、有孔鋼板8に貼り付けた薄いプラスチックフィルム9は、たるみをもたせてあるので、膜振動を起こすことができる。さらに有孔鋼板8に当接する側の吸音材7Bが柔らかいものを使用しており、プラスチックフィルム9と吸音材7Bが接触しても、プラスチックフィルム9の膜振動を邪魔することなく、プラスチックフィルム9の動きに合わせて吸音材7Bも振動するので、吸音材7の吸音効果を妨げることなく、音波を吸音材側に伝播することができる。
【0017】
本実施例によれば、薄いプラスチックフィルム9に、たるみをもたせて、4辺を貼りつけた有孔鋼板8と、有孔鋼板8に当接する側の吸音材7Bを柔らかいかさ密度にしたものを併用することにより、騒音を低くすることができる。
【0018】
なお、上記実施例のサイレンサは、先の特願平3−337342号のサイレンサ構造に改良を加えたものであるから、例えば、自動車トンネルの換気設備等におけるジェットファンに適用した場合、ダストの目詰まりが防止されているのに加えて、初期のダストが目詰まりしていない清浄時の騒音値そのものを低下させることができ、総合的に低騒音のジェットファン(噴流式送風機)を提供することができる。
したがって、ジェットファンを吊り降ろして工場に持ち帰って清掃する必要もなく、換気能力の低下もなく、ドライバーに不快感を与えることもない。また、騒音の面でトンネル周辺の住民の苦情を受けるという問題も解消する。
【0019】
【発明の効果】
以上、詳細に説明したように、本発明によれば、吸音材を保護している薄いプラスチックフィルムの膜振動を起こしやすくし、吸音材の吸音効果を妨げることのない、低騒音のサイレンサを備えた噴流式送風機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例に係る噴流式送風機のサイレンサ構造を示す部分拡大図である。
【図2】従来技術と本発明の場合の騒音値をテストして比較したデータを示す線図である。
【図3】一般的な噴流式送風機の構成を示す縦断面図である。
【図4】従来のサイレンサ構造を示す部分拡大図である。
【符号の説明】
1 本体ケース
2 サイレンサケース
3 羽根車
4 電動機
7,7A,7B 吸音材
8 有孔鋼板
9 プラスチックフィルム
Claims (1)
- 電動機と該電動機に直結された羽根車とを内蔵する本体ケースと、この本体ケースの前後に設けたサイレンサケースとを備え、このサイレンサケースは、そのサイレンサケースの外殻を構成する外筒鋼板と、そのサイレンサケースの通風面に設けられ内筒を構成する有孔鋼板と、前記外筒鋼板と前記有孔鋼板との間に設けられた吸音材と、前記吸音材の保護部材として前記吸音材を包む薄いプラスチックフィルムとを有し、前記吸音材および前記プラスチックフィルムを、孔を長穴とした前記有孔鋼板で保持してなる噴流式送風機において、
前記吸音材は、前記外筒鋼板と前記有孔鋼板との間に多層に配置され、前記有孔鋼板に当接する側に配置した吸音材を、それよりも外筒鋼板側に設けた吸音材より柔らかいかさ密度の吸音材で構成し、
前記プラスチックフィルムは前記有孔鋼板の片面にたるみをもって貼りつけられていることを特徴とする噴流式送風機。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP02228193A JP3644973B2 (ja) | 1993-02-10 | 1993-02-10 | 噴流式送風機 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP02228193A JP3644973B2 (ja) | 1993-02-10 | 1993-02-10 | 噴流式送風機 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH06235400A JPH06235400A (ja) | 1994-08-23 |
JP3644973B2 true JP3644973B2 (ja) | 2005-05-11 |
Family
ID=12078377
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP02228193A Expired - Lifetime JP3644973B2 (ja) | 1993-02-10 | 1993-02-10 | 噴流式送風機 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP3644973B2 (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US11668328B2 (en) | 2020-07-27 | 2023-06-06 | Carrier Corporation | Noise reduction device for outlet side of fan and heat exchange system including the same |
-
1993
- 1993-02-10 JP JP02228193A patent/JP3644973B2/ja not_active Expired - Lifetime
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US11668328B2 (en) | 2020-07-27 | 2023-06-06 | Carrier Corporation | Noise reduction device for outlet side of fan and heat exchange system including the same |
Also Published As
Publication number | Publication date |
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JPH06235400A (ja) | 1994-08-23 |
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