JP3643204B2 - 電線芯線部に対するハンダ付着方法 - Google Patents

電線芯線部に対するハンダ付着方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、皮剥された電線の芯線部にハンダを付着させる電線芯線部に対するハンダ付着方法の改良に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、電線の端部における被覆部を皮剥ぎした後、露出された芯線部にフラックス液を付着させ、その後にハンダ槽に挿入して芯線部にハンダを付着させるハーネス製造装置があった。
【0003】
例えば、図9に示される如く、ハーネス製造装置1として、フロントクランプ2aを備えた測長ユニット2と、カッターユニット3と、リヤクランプ4と、撚りユニット5と、フラックスユニット6と、ハンダユニット7と、端子圧着ユニット8と、測長ユニット2やリヤクランプ4を移動させる移動手段9、10とを有した構造のものがある。
【0004】
そして、ハーネスの製造に際しては、測長ユニット2により電線が電線送給ラインXに沿って矢印P方向に所定量送給され、各クランプ2a、4により電線が把持される。
【0005】
その後、カッターユニット3により電線が切断されると共に、切断された電線端部の被覆部が皮剥処理される。この際、フロントクランプ2a側の電線の被覆部は芯線部から脱落しない、いわゆるセミストリップ状態とされる。
【0006】
そして、フロントクランプ2a側の電線はその後、撚りユニット5位置に移動され、撚りユニット5により芯線部に撚り加工が施されると共に被覆部が芯線部より抜き取られる。
【0007】
その後、フラックスユニット6位置に移動され、フラックスユニット6のフラックス槽6a内に芯線部が浸漬される。次に、このフラックス液が付着した電線をハンダユニット7位置に移動させ、ハンダユニット7のハンダ槽7a内に芯線部が浸漬されて芯線部にハンダが付着される。その後、図9に示されるフロントクランプ2aとリヤクランプ4とが対向する初期位置に戻される。
【0008】
一方、フロントクランプ2a側の電線に上記ハンダ付着処理が行われている間に、リヤクランプ4側の電線は端子圧着ユニット8位置に移動されて、端子圧着ユニット8により電線端部に端子が圧着され、その後、電線は所定の電線排出部に排出され、リヤクランプ4は前記初期位置に戻される。
【0009】
以上の動作の繰り返しにより、一端部に端子が圧着されると共に他端部にハンダが付着されたハーネスが順次製造される構造とされていた。
【0010】
なお、前記ハンダユニット7において、ハンダ槽7aの溶融状態のハンダは順次循環される環流タイプとされている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来構造のハーネス製造装置1におけるハンダ付着方法によれば、図10ないし図12に示される如く、フロントクランプ2aから受け渡された電線12の端部を回動操作自在な回動アーム13のクランプ部13aで水平状態に把持し、その後、回動アーム13の回動により電線12のハンダ付け長さに対応する芯線部12aがハンダ槽7a内に一度に挿入され、その後、回動アーム13の回動復帰によって芯線部12aがハンダ槽7a内より引き出されることにより、芯線部12aにハンダ14が付着される方式であった。
【0012】
このハンダ槽7a内への芯線部12aの挿入に際して、ハンダ槽7aのハンダ14溶液は300゜C前後の高温の溶融状態であり、フラックス液が付着した状態の芯線部12aが高温のハンダ槽7a内に挿入されると、ハンダ14内でフラックス液が蒸発して気泡が発生し、この気泡により、また気泡によるハンダ14の飛び散りにより芯線部12aに対するハンダ付け長さが不安定になったり、ハンダ14が飛び散って被覆部12bにハンダ14が付着するような不具合が発生するおそれがあった。
【0013】
そこで、本発明は上記問題点に鑑み、電線芯線部に対するハンダ付け長さのバラツキや被覆部に対するハンダの付着を防止して、ハンダ付け加工における加工品質向上を図った電線芯線部に対するハンダ付着方法を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための技術的手段は、被覆部が皮剥された電線端部の芯線部にフラックス液を付着させた後、該芯線部をハンダ槽に挿入して芯線部にハンダを付着させる電線芯線部に対するハンダ付着方法において、前記芯線部の先端部をハンダ槽に挿入して、ハンダ槽の溶融状態のハンダの熱により前記フラックス液を蒸発させた後、残りの芯線部をハンダ槽に挿入し、その後、芯線部をハンダ槽より引き上げることにより芯線部にハンダを付着させる点にある。
【0015】
また、前記芯線部の先端部をハンダ槽に挿入する際の挿入速度およびその挿入状態での停止時間が変更可能とされ、所望の挿入速度、停止時間で行う方法であってもよい。
【0016】
さらに、前記残りの芯線部をハンダ槽に挿入する際の挿入速度およびその挿入状態での停止時間、前記芯線部をハンダ槽より引き上げる引き上げ速度が変更可能とされ、所望の挿入速度、停止時間、引き上げ速度で行う方法であってもよい。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明すると、図1ないし図4において、20はハンダ挿入装置で、従来同様、上記のハーネス製造装置1におけるハンダユニット7位置近傍に配置され、フロントクランプ2aで把持され、移動手段9によりハンダユニット7位置に移動されてきた電線12をフロントクランプ2aから受け取って、その皮剥された電線12端部の芯線部12aをハンダ槽7a内に挿入するように構成されている。
【0018】
即ち、ハンダ挿入装置20は、装置架台21と、該装置架台21の上部に水平軸心回りに回転自在に軸支された支持軸22と、装置架台21の下部に設置されたサーボモータ23と、該サーボモータ23の正逆駆動により前記支持軸22を正逆回動させるための連動機構24と、前記支持軸22に一体的に回動するように連結された上端部の回動アーム体25とを備える。
【0019】
前記回動アーム体25は、縦向き配置されたエアシリンダにより主構成されたクランプシリンダ26を備え、その上端部に図4に示される如く、開閉操作自在な対のクランプ部26aを有し、クランプシリンダ26の伸縮動作により両クランプ部26aが開閉操作され、この開閉動作によりフロントクランプ2aによって搬送されてきた電線12を解除自在に把持するように構成されている。
【0020】
前記連動機構24は、装置架台21の下部に軸支された中継軸28と、該中継軸28の一端部に取付け固定された第1従動タイミングプーリ29と、中継軸28の他端部に取付け固定された中継タイミングプーリ30と、前記サーボモータ23の駆動軸に取付け固定された駆動タイミングプーリ31と、前記支持軸22の一端部に取付け固定された第2従動タイミングプーリ32と、前記駆動タイミングプーリ31と第1従動タイミングプーリ29とにわたって巻き掛けられた第1タイミングベルト33と、前記中継タイミングプーリ30と第2従動タイミングプーリ32とにわたって巻き掛けられた第2タイミングベルト34とを備え、サーボモータ23の駆動により、駆動タイミングプーリ31、第1タイミングベルト33、第1従動タイミングプーリ29、中継軸28、中継タイミングプーリ30、第2タイミングベルト34および第2従動タイミングプーリ32を順次通じて支持軸22が回動操作されるように構成されている。
【0021】
そして、この支持軸22の回動により、回動アーム体25は図1に示される縦向き姿勢の実線位置と90度回動された横向き姿勢の仮想線位置との回動範囲内で姿勢変更自在に構成されている。
【0022】
また、サーボモータ23の駆動を制御する制御部36が備えられ、各種の動作データを入力するための操作パネル37に対する動作データの入力に従って、サーボモータ23の回転駆動量や回転速度や停止時間等が制御されるように構成されており、その動作データの入力変更により回転駆動量や回転速度や停止時間等が変更調整自在に構成されている。
【0023】
前記回動アーム体25のハンダ槽7a側の上部には、電線支持板39が装着されており、クランプシリンダ26で把持された電線12の端部側の垂れ下がりを下方から支承することにより防止すると共に、ハンダ槽7aへの芯線部12a挿入時におけるクランプ部26a側に対するハンダ14の飛び散りによる付着防止が図られている。
【0024】
そして、前記サーボモータ23の駆動制御により、図5に示される如く、フロントクランプ2aから受け渡された電線12の端部を回動アーム体25のクランプ部26aで水平状態に把持した状態で、回動アーム体25がハンダ槽7a側に所定の速度で回動操作され、伏倒されていく。
【0025】
この回動により、図6に示される如く、芯線部12aの先端部が所定の速度で挿入されると、この先端部挿入状態でサーボモータ23の駆動が一旦停止される。この停止によって、ハンダ14溶液の熱により芯線部12aに付着しているフラックス液が蒸発して乾燥される。
【0026】
そして、一定の停止時間経過後、再度サーボモータ23が駆動され、回動アーム体25がさらに所定の速度で回動操作されて伏倒され、図7に示される如く、回動アーム体25の横向き姿勢でサーボモータ23の駆動が再度停止される。この回動により残りの芯線部12aが所定の挿入速度で挿入され、ハンダ槽7aのハンダ14溶液内に芯線部12aがハンダ付け長さに対応する所定位置まで挿入された状態が得られる。
【0027】
そして、一定の停止時間経過後、サーボモータ23が逆方向に駆動され、回動アーム体25が所定の速度で回動操作され、起立していき、図8に示される如く、初期の縦向き姿勢に復帰する。
【0028】
その後、クランプ部26aからフロントクランプ2aに受け渡され、上記従来同様その後の処理がなされる。
【0029】
以上のように、本実施形態によるハンダ付着方法によれば、最初にハンダ槽7aのハンダ14溶液内に芯線部12aの先端部のみを挿入し、ハンダ14の熱により芯線部12aに付着されたフラックス液を蒸発、乾燥させた後、残りの芯線部12aを所定長さまでハンダ14溶液内にさらに挿入する方法を採用しているため、ハンダ14溶液内におけるフラックスの蒸発が有効に防止でき、従って、気泡の発生が防止でき、芯線部12aに対するハンダ付け長さが安定し、ハンダ付け長さのバラツキが防止できると共に、従来におけるハンダ14の飛び散りによる被覆部12bに対するハンダ14の付着も防止でき、ハンダ付け加工における加工品質が向上する。
【0030】
また、操作パネル37からの動作データの入力変更によって、サーボモータ23の駆動を制御でき、芯線部12aの先端部をハンダ槽7aに挿入する際の挿入速度やその挿入状態での停止時間が変更調整自在であり、挿入速度の適宜選択により、芯線部12aの先端部を挿入する際におけるフラックス液の蒸発によるハンダ14の飛び散りが有効に防止できると共に、芯線部12aの長さの相違に応じた停止時間の適宜選択により、芯線部12a全体におけるフラックス液の蒸発、乾燥が効率よく確実に行うことができる。
【0031】
さらに、残りの芯線部12aをハンダ槽7aにさらに挿入する際の挿入速度やその挿入状態での停止時間、および芯線部12aをハンダ槽7aより引き上げる引き上げ速度も変更調整自在であり、挿入速度の適宜選択により、残りの芯線部12aを挿入する際におけるハンダ14の飛び散りが有効に防止できると共に、停止時間や引き上げ速度の適宜選択により、ハンダ14の付着量を安定して効率よく確保できる。
【0032】
なお、上記実施形態において、図9に示されるハーネス製造装置1のハンダユニット7位置にハンダ挿入装置20が備えられた一例を示しているが、端子圧着ユニット8による端子圧着を行わないハンダ14付着のみのハーネス製造装置に利用してもよく、また、撚りユニット5を具備しないハーネス製造装置に利用してもよい。
【0033】
さらに、電線12端部の芯線部12aを回動アーム体25の回動によりハンダ槽7aに挿入する構造を示しているが、電線12の直線的な出退動作によりハンダ槽7aに芯線部12aを挿入する構造であってもよい。
【0034】
【発明の効果】
以上のように、本発明の電線芯線部に対するハンダ付着方法によれば、電線端部のフラックス液が付着された芯線部の先端部をハンダ槽に挿入して、ハンダ槽の溶融状態のハンダの熱によりフラックス液を蒸発させた後、残りの芯線部をハンダ槽に挿入し、その後、芯線部をハンダ槽より引き上げることにより芯線部にハンダを付着させる方法であり、ハンダ溶液内におけるフラックスの蒸発や気泡の発生が防止でき、芯線部に対するハンダ付け長さが安定し、ハンダ付け長さのバラツキが防止できると共に、被覆部に対するハンダの付着も防止でき、ハンダ付け加工における加工品質向上が図れるという利点がある。
【0035】
また、芯線部の先端部をハンダ槽に挿入する際の挿入速度およびその挿入状態での停止時間が変更可能とされているハンダ付着方法によれば、芯線部の先端部を挿入する際におけるフラックス液蒸発によるハンダの飛び散りが有効に防止できると共に、芯線部の長さの相違に応じた芯線部のフラックス液の蒸発、乾燥が効率よく確実に行うことができるという利点がある。
【0036】
さらに、残りの芯線部をハンダ槽に挿入する際の挿入速度およびその挿入状態での停止時間、前記芯線部をハンダ槽より引き上げる引き上げ速度が変更可能とされているハンダ付着方法によれば、残りの芯線部を挿入する際におけるハンダの飛び散りが有効に防止できると共に、ハンダの付着量を安定して効率よく確保できるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に使用されるハンダ挿入装置の側面図である。
【図2】同一部断面左側面図である。
【図3】図2における左側面図である。
【図4】図3におけるIV−IV線矢視図である。
【図5】要部動作説明図である。
【図6】要部動作説明図である。
【図7】要部動作説明図である。
【図8】要部動作説明図である。
【図9】ハーネス製造装置の概略説明図である。
【図10】従来例における要部動作説明図である。
【図11】従来例における要部動作説明図である。
【図12】従来例における要部動作説明図である。
【符号の説明】
1 ハーネス製造装置
6 フラックスユニット
6a フラックス槽
7 ハンダユニット
7a ハンダ槽
12 電線
12a 芯線部
12b 被覆部
14 ハンダ
20 ハンダ挿入装置
23 サーボモータ
24 連動機構
25 回動アーム体
26 クランプシリンダ
26a クランプ部
36 制御部
37 操作パネル

Claims (3)

  1. 被覆部が皮剥された電線端部の芯線部にフラックス液を付着させた後、該芯線部をハンダ槽に挿入して芯線部にハンダを付着させる電線芯線部に対するハンダ付着方法において、
    前記芯線部の先端部をハンダ槽に挿入して、ハンダ槽の溶融状態のハンダの熱により前記フラックス液を蒸発させた後、残りの芯線部をハンダ槽に挿入し、その後、芯線部をハンダ槽より引き上げることにより芯線部にハンダを付着させることを特徴とする電線芯線部に対するハンダ付着方法。
  2. 前記芯線部の先端部をハンダ槽に挿入する際の挿入速度およびその挿入状態での停止時間が変更可能とされていることを特徴とする請求項1記載の電線芯線部に対するハンダ付着方法。
  3. 前記残りの芯線部をハンダ槽に挿入する際の挿入速度およびその挿入状態での停止時間、前記芯線部をハンダ槽より引き上げる引き上げ速度が変更可能とされていることを特徴とする請求項2記載の電線芯線部に対するハンダ付着方法。
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