JP3642899B2 - 紙マルチフィルム被覆装置の切断装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、トラクタや管理機等の移動農機後部に畝整形器と紙マルチフィルム被覆装置を配置し、この紙マルチフィルムを切断する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から野菜を栽培するために、圃場において畝整形を行うと同時にマルチフィルムを敷設することは行われており、マルチフィルムを敷設することによって土壌の温度を高めたり、保温したりして作物の生育を助長したり、作物を植えた場所以外の畝面に雑草が生えないようにしていた。
この従来技術のマルチフィルムは、ポリエチレン等の合成樹脂フィルムでできているために、分解することが殆どなく、使用後には剥がして、焼却したり捨てることとなっていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、近年では資源の有効利用や環境問題が提起され、合成樹脂製のマルチフィルムに代わり紙マルチフィルムが提供されるようになってきており、紙マルチフィルムを使用することで、作物の収穫後には耕耘機等で土中に鋤込んで、回収する手間を省き、鋤込んだ紙マルチフィルムはパルプでできているために容易に分解し、有機物に変化することで肥料ともなり、生育に貢献することにもなる。
ところで、紙マルチフィルムを敷設して圃場端に至ったり、作業が終了すると、紙マルチフィルムを切断する必要がある。この紙マルチフィルムを切断する構成としては、特開平7−30643号や特開平7−147846号の技術のように、田植機機の植付部の後端に上下可能に切断刃を左右方向に設け、該切断刃を下降させることによって紙マルチフィルムを切断する構成としていた。
しかし、切断刃が剥き出しになっているために危なく、また、刃部が圃場面に当たるために切れ味が直ぐに落ちてしまうのである。
また、紙マルチフィルム被覆装置の場合には人手によってナイフや鎌等を用いて切断していたが、刃物を持ち歩くので危険であった。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明が解決しようとする課題は以上の如くであり、次に該課題を解決するための手段を説明する。
請求項1においては、移動農機の後部に畝整形器を配置し、該畝整形器の後部に、紙マルチフィルムFの引出しガイド機構と、両側を押さえる溝付け覆土機構からなる紙マルチフィルム被覆装置Cを配置し、ロール状に巻いた紙マルチフィルムFの載置部と、畝との間の、紙マルチフィルムFを引出す経路の中途部において、該紙マルチフィルムFの前後位置に、前部にワイヤー36を、後部にガイド板37を幅方向に略平行に配置し、該ガイド板37は上下2枚の板を平行に配置した構成とし、該ワイヤー36をガイド板37側に引っ張り、ワイヤー36がガイド板37の間を通過する際に、間に配置された紙マルチフィルムFを切断するものである。
請求項2においては、請求項1記載の紙マルチフィルム被覆装置の切断装置において、該ワイヤー36は両端を係止し、端部にスプリング43を介装し、該ワイヤー36を切断ハンドル35の一端に係止し、該切断ハンドル35を引っ張ることにより、該ワイヤー36がガイド板37の間を通過すべく構成したものである。
請求項3においては、請求項2記載の紙マルチフィルム被覆装置の切断装置において、該切断ハンドル35の端部にガイドローラー39を設け、前記ワイヤー36をガイドローラー39の溝39aに係止し、該ガイドローラー39を介してワイヤー36をガイド板37の側へ引っ張るべく構成したものである。
【0005】
【発明の実施の形態】
本発明の車輪式移動装置を説明する。
図1は紙マルチフィルム被覆装置の全体側面図、図2は同じく斜視図、図3は切断装置の斜視図、図4は同じく切断時の斜視図、図5はハンドル先端部の一部断面図である。
【0006】
図1、図2において移動農機をトラクタ1として、該トラクタ1の後部に装着した紙マルチフィルム被覆装置Cの全体構成から説明する。
トラクタ1の後部には3点リンク式の作業機装着装置Aを介して作業機としてロータリ耕耘装置Bが装着されている。ロータリ耕耘装置Bの前左右中央のギアボックスとトラクタ1の後面より突出したPTO軸との間には、ユニバーサルジョイント2を介装している。該ロータリ耕耘装置Bのギアボックスから伝動軸やチェーンケース3内のチェーンやスプロケット等を介して耕耘爪軸に動力を伝え、耕耘爪軸上に植設した耕耘爪8を回動することで圃場を内盛り状に耕す。
【0007】
前記ロータリ耕耘装置Bのサポート部より後方に、デプスフレーム4が上下回動自在に突出され、該デプスフレーム4の両側下方にゲージ輪5・5が軸支されている。該デプスフレーム4とトップリンク支持アーム6との間には長さ調節可能な調節リンク7を介装して、該調節リンク7はハンドル9を回動することによってゲージ輪5・5を上下してロータリ耕耘装置Bの耕耘深さを調節できるようにしている。
【0008】
また、ロータリ耕耘装置B両側のチェーンケース3及びサイドサポートより後方に支持フレーム10・10を突設し、該支持フレーム10・10の後部に取付ビーム11を横設し、該取付ビーム11の両側よりステー12・12を後下方に突設している。以下左右対称に構成されているので一側に付いて説明する。該ステー12の後下部に取付パイプ14を上下位置調節可能に横設し、該取付パイプ14に畝整形板13を左右位置調節可能に取り付けて耕耘と同時に畝整形を行っている。
そして更に、前記取付パイプ14の外側に溝付アーム15の前端を枢支し、該溝付アーム15と取付パイプ14より下方へ垂設したステー16との間にバネ17を介装して、溝付アーム15を下方回動するように付勢するとともに、上方へ回動したときには死点越えとなって、上方回動位置で維持でき、収納できるようにしている。前記溝付アーム15の後部には踏圧輪18が回転自在に支持され、その後部に覆土ディスク19が配置されて、溝付け覆土機構を構成している。
【0009】
そして、前記取付ビーム11上に支柱20・20を立設し、該支柱20・20に本発明の紙マルチフィルム被覆装置Cが装着されている。即ち、支柱20・20に上下位置調節可能に側面視L字状の載置フレーム21・21の前部が固定され、本実施例では、支柱20・20に上下方向に開口したピン孔に、載置フレーム21・21の前部にピンを抜き差しすることにより上下位置調節可能としている。
該載置フレーム21・21後下部に水平方向に紙マルチフィルム支持フレーム22が固設され、該紙マルチフィルム支持フレーム22は四角形の枠状に構成されて、内側の左右方向の長さを紙マルチフィルムFの幅よりも長くしている。該紙マルチフィルム支持フレーム22の内側の前後左右両側には支持ローラー23・23・23・23が回転自在に枢支され、該支持ローラー23・23・23・23上に紙マルチフィルムFを巻いたロールを左右方向に回転自在に載置できるようにしている。
【0010】
そして、前記載置フレーム21・21の中途部の後面に円柱状のストッパー26・26が付設され、該ストッパー26・26と載置フレーム21・21上に予備の紙マルチフィルムF1を載置できるようにし、更にその紙マルチフィルムF1と支柱20の間の上に予備の紙マルチフィルムF2を載置できるようにしている。
但し、本実施例では二つの予備の紙マルチフィルムを載置できるようにしているが、3本以上であってもよくその数は限定するものではない。27は紙マルチフィルムF・F1・F2の両側がずれないように押さえるロールガイドである。
【0011】
また、紙マルチフィルム支持フレーム22の後左右中央にガイドローラー取付フレーム24が上下及び前後位置調整可能に取り付けられ、該ガイドローラー取付フレーム24にガイドローラー25が回転自在に支持されて引出しガイド機構を構成している。該ガイドローラー25は畝の形状に合わせた円錐状に構成されて、一対対向して配置されている。
このようにして、紙マルチフィルムFの一端を、前記前後の支持ローラー23・23・23・23の間から下方に引出し、ガイドローラー25の下方から後方へ引出し、畝端に固定し、走行しながら耕耘作業を行えば、同時に紙マルチフィルムFが引き出されて、紙マルチフィルムFの両側は踏圧輪18に押さえられて、覆土ディスク19によって土が被せられて押さえることができるのである。
【0012】
そして、前記支柱20・20の上端には蝶番30・30が配置され、ロールカバー31の前部を枢支し、該ロールカバー31は載置する紙マルチフィルムF・F1・F2の上方及び前後左右側面を十分覆う大きさとして、できるだけコンパクトとなるようにしている。そして、ロールカバー31の後端部には係止具32を配置しており、該係止具32に係止される被係止具33が前記紙マルチフィルム支持フレーム22の後部上に立設した取付体34上に設けられている。
【0013】
また、前記紙マルチフィルム支持フレーム22の下部には、本発明の切断装置Dが配置されて、圃場端や作業終了時に紙マルチフィルムFを長手方向に対して直角方向に切断できるようにしている。即ち、切断装置Dの構成は、図3、図4、図5に示すように、切断ハンドル35とワイヤー36とガイド板37等から構成されている。該切断ハンドル35は棒材からできた本体35aの一端をグリップ35bとして、切断時にグリップ35bを持って引っ張れるようにしている。
前記切断ハンドル35は、紙マルチフィルム支持フレーム22の下面に前後方向に固定したガイドパイプ40とガイド板37の間に摺動自在に挿入されている。前記切断ハンド ル35の他端は、図5に示すように、凹部35cを形成し、該凹部35c内にガイドローラー39がピン41によって回転自在に枢支され、該ガイドローラー39は凹部35cよりはみ出さない大きさとしている。そして、凹部35c内のガイドローラー39に囲まれた空間内にワイヤー36が挿入され、ガイドローラー39の溝39aに係止されるようにして係止部としている。
【0014】
前記ガイド板37は上下2枚平行に配置されて、紙マルチフィルム支持フレーム22の下面に左右(幅)方向に固定されており、その間隔はワイヤー36が十分通過できる程度として、一端は前記切断ハンドル35を摺動支持できるように半円状に曲げている。但し、ワイヤー側の面(前面)に刃面を構成すると更に切断し易くなる。
前記ワイヤー36は出来るだけ細くして、曲がりやすく切断抵抗が小さくなるようにしており、一端は紙マルチフィルム支持フレーム22の下面に固定して、中途部は前記ガイドローラー39と、左右他側の紙マルチフィルム支持フレーム22の下面に回転自在に支持したガイドプーリー42にガイドされて、前記ガイド板37と略平行となり,ガイド板37の前部位置となるように配置され、他端はスプリング43に係止され、該スプリング43の他端は紙マルチフィルム支持フレーム22に係止されている。
【0015】
このような構成において、紙マルチフィルムFの一端を前記前後の支持ローラー23・23・23・23の間から下方に引出し、ワイヤー36とガイド37の間を通して、ガイドローラー25の下方から後方へ引出し、踏圧輪18によって両側を押さえて、覆土ディスク19によって土を被せるのである。
そして、畝端に至ったり、作業終了時に、切断ハンドル35のグリップ35bを握って引っ張ると、図4に示すように、ワイヤー36が後方へ引かれて、上下のガイド板37の間を通過するときに、紙マルチフィルムFを切断するのである。この時ワイヤー36はガイドローラー39とガイドプーリー42によってガイドされて容易に引っ張ることができる。切断後に切断ハンドル35を元の位置へ戻せば、スプリング43の付勢力によってワイヤー36も元の位置まで戻る。
【0016】
【発明の効果】
本発明は以上の如く構成したので、次のような効果を奏するのである。
請求項1の如く、移動農機の後部に畝整形器を配置し、該畝整形器の後部に、紙マルチフィルムFの引出しガイド機構と、両側を押さえる溝付け覆土機構からなる紙マルチフィルム被覆装置Cを配置し、ロール状に巻いた紙マルチフィルムFの載置部と、畝との間の、紙マルチフィルムFを引出す経路の中途部において、該紙マルチフィルムFの前後位置に、前部にワイヤー36を、後部にガイド板37を幅方向に略平行に配置し、該ガイド板37は上下2枚の板を平行に配置した構成とし、該ワイヤー36をガイド板37側に引っ張り、ワイヤー36がガイド板37の間を通過する際に、間に配置された紙マルチフィルムFを切断する構成としたことにより、ロール状に巻いた紙マルチフィルムの載置部と、畝との間に紙マルチフィルム切断装置を配置したので、切断部分が露出せず安全に切断作業ができ、載置部の下部のスペースを有効に利用できるようになった。
また、前記紙マルチフィルムを引出す中途部の前後位置に、ワイヤーとガイド板を幅方向に略平行に配置したので、切断装置は刃を有せず安全な構成となったのである。
【0017】
請求項2の如く、該ワイヤー36は両端を係止し、端部にスプリング43を介装し、該ワイヤー36を切断ハンドル35の一端に係止し、該切断ハンドル35を引っ張ることにより、該ワイヤー36がガイド板37の間を通過すべく構成したことにより、切断ハンドル35によりワイヤーをガイド板側に引っ張ることで、紙マルチフィルムを切断するようにしたので、簡単な構成にでき、切れ味も略一定となりメンテナンスを簡単にできるようになった。
【0018】
請求項3の如く、該切断ハンドル35の端部にガイドローラー39を設け、前記ワイヤー36をガイドローラー39の溝39aに係止し、該ガイドローラー39を介してワイヤー36をガイド板37の側へ引っ張るべく構成したことにより、切断ハンドル35のワイヤー係止部にガイドローラー39が存在するので、ワイヤー36を切断ハンドル35によりスムースに引っ張ることができ、ワイヤーが傷まず高寿命とすることができるのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 紙マルチフィルム被覆装置の全体側面図である。
【図2】 同じく斜視図である。
【図3】 切断装置の斜視図である。
【図4】 同じく切断時の斜視図である。
【図5】 ハンドル先端部の一部断面図である。
【符号の説明】
C 紙マルチフィルム被覆装置
F 紙マルチフィルム
D 切断装置
35 切断ハンドル
36 ワイヤー
37 ガイド板
39 ガイドローラー

Claims (3)

  1. 移動農機の後部に畝整形器を配置し、該畝整形器の後部に、紙マルチフィルムFの引出しガイド機構と、両側を押さえる溝付け覆土機構からなる紙マルチフィルム被覆装置Cを配置し、ロール状に巻いた紙マルチフィルムFの載置部と、畝との間の、紙マルチフィルムFを引出す経路の中途部において、該紙マルチフィルムFの前後位置に、前部にワイヤー36を、後部にガイド板37を幅方向に略平行に配置し、該ガイド板37は上下2枚の板を平行に配置した構成とし、
    該ワイヤー36をガイド板37側に引っ張り、ワイヤー36がガイド板37の間を通過する際に、間に配置された紙マルチフィルムFを切断することを特徴とする紙マルチフィルム被覆装置の切断装置。
  2. 請求項1記載の紙マルチフィルム被覆装置の切断装置において、該ワイヤー36は両端を係止し、端部にスプリング43を介装し、該ワイヤー36を切断ハンドル35の一端に係止し、該切断ハンドル35を引っ張ることにより、該ワイヤー36がガイド板37の間を通過すべく構成したことを特徴とする紙マルチフィルム被覆装置の切断装置。
  3. 請求項2記載の紙マルチフィルム被覆装置の切断装置において、該切断ハンドル35の端部にガイドローラー39を設け、前記ワイヤー36をガイドローラー39の溝39aに係止し、該ガイドローラー39を介してワイヤー36をガイド板37の側へ引っ張るべく構成したことを特徴とする紙マルチフィルム被覆装置の切断装置。
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