JP2018068158A - マルチ移植機 - Google Patents

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Abstract

【課題】前工程の植付条止め植付けによるマルチ移植作業時に切離された余り部分のマルチシートを、次工程の植付開始前に圃場から撤去することができるマルチ移植機を提供する。
【解決手段】マルチシート敷設機構9aによって敷設したマルチシートSに植付作業機9によって苗を植付け、該植付作業機9の後方で敷設のマルチシートSを横切断するシート幅カッタ装置19と、敷設のマルチシートSを縦切断する条間カッタ50を有するマルチ移植機であって、前記シート幅カッタ装置19による横切断位置の後方に、条間カッタ50を植付作業機9の植付条止めに対応して生ずる未植区と既植区との条間位置に向け横移動且つ固定可能に設けることにより、植付条止めによる未植区に敷設された余り部分のマルチシートSを除去可能に縦切断させる構成にした。
【選択図】図3

Description

本発明は、マルチ移植作業時にマルチシートを敷設方向に縦切断する条間カッタ装置を備えたマルチ移植機に関する。
従来、機体の走行に伴いマルチシート敷設機構から繰り出したマルチシートを植付作業機の後方で圃場面に敷設し、敷設されたシート上から植付爪によって苗を植付けるマルチ移植機が既に公知である。(例えば特許文献1参照)。
上記マルチ移植機は、敷設したシートを横切断するシート横カッタ部を植付作業機の後方に配設し、植付作業機の植付条止め植付けに対応して生ずるマルチシートの余り部分を切断する切断刃(条間カッタ)を、走行機体の前部で機腹下方に設けることにより、前工程で敷設されたマルチシートの余り部分を前輪の走行予定地前方で縦切断する構成になっている。
特開2005−21009号公報
上記特許文献1に示されるマルチ移植機は、前工程の植付条止め植付け時に敷設されたマルチシートの余り部分を縦切断して圃場面に残置するため、その後、走行車輪等が通過してきても既植苗側のマルチシートの引きずり込みを防止し既植苗の損傷を回避する等の利点がある一方で、上記余り部分のシートは次工程で敷設されるマルチシートの下方で余り幅と長さを有する帯状となって重なった重合状態で残置されたまま苗が植付けられる欠点がある。
即ち、次工程マルチ移植作業時に植付作業機の植付爪は、2枚のマルチシートの帯状重合部分を突き破って苗を植付けるため、植付負荷が大きくなると共に植付け姿勢に乱れが発生し易くなる。また重合するマルチシートは、湛水や強風の影響及び歩行作業等によって相互のシートズレを生じ易く、このため苗の植付初期に傾倒や損傷を付与し生育を妨げる等各種植付作業の阻害要因を伴う問題がある。
さらに、走行機体の前部機腹下に配設される条間カッタ装置は、条間カッタを作業姿勢と退避姿勢にするための切換構造及び格納構造が煩雑化しコスト高になる等の課題もある。
上記課題を解決するための本発明のマルチ移植機は、第1に、走行機体1に、走行に伴って圃場面を覆うようにマルチシートSを繰り出して敷設するマルチシート敷設機構9aと、敷設されたマルチシートS上から苗を植付ける植付作業機9と、該植付作業機9の後方で敷設のマルチシートSを幅方向に横切断するシート幅カッタ装置19と、敷設のマルチシートSを敷設方向に縦切断する条間カッタ50を有する条間カッタ装置20とを備えたマルチ移植機において、
前記シート幅カッタ装置19による横切断位置の後方に、条間カッタ50を植付作業機9の植付条止めに対応して生ずる未植区と既植区との条間位置に向けて横移動且つ固定可能に設けることにより、植付条止めによる未植区に敷設された余り部分のマルチシートSを撤去可能に縦切断させることを特徴としている。
第2に、前記条間カッタ50を、敷設のマルチシートSを縦切断する作業姿勢と、植付作業機9の上方側に向けて退避移動させる退避姿勢とに切換自在に設けることを特徴としている。
請求項1の発明によれば、走行機体に、マルチシートを繰り出して敷設するマルチシート敷設機構と、敷設されたマルチシート上から苗を植付ける植付作業機と、該植付作業機の後方で敷設のマルチシートを横切断するシート幅カッタ装置と、敷設のマルチシートを縦切断する条間カッタ装置とを備えたマルチ移植機において、前記シート幅カッタ装置による横切断位置の後方に、条間カッタを植付作業機の植付条止めに対応して生ずる未植区と既植区との条間位置に向けて横移動且つ固定可能に設けることにより、植付条止めによる未植区に敷設された余り部分のマルチシートを撤去可能に縦切断させることにより、
前工程の植付条止め植付けによるマルチ移植作業時に切離された余り部分のマルチシートを次工程の植付開始前に圃場から撤去することができるので、次工程で敷設されるマルチシートとの重合を防止することができ、余り部分のマルチシートが次工程路内に残ることによる植付作業の阻害要因を無くすことができると共に、苗の育成を妨げることなく好適にすることができる。
請求項2の発明によれば、前記条間カッタを、敷設のマルチシートを縦切断する作業姿勢と、植付作業機の上方側に向けて退避移動させる退避姿勢とに切換自在に設けることにより、
条間カッタは作業姿勢において、シートカッタの切断位置後方に接近した位置で敷設されるマルチシートの左右方向所望位置を確実に縦切断することができる。また退避姿勢に切換える条間カッタは、植付作業機上方の広い背後スペースを利用し無理なく近接させて固定支持できるため、条間カッタ装置の構造を複雑化させることなく簡潔で安価な構成にすることができると共に、マルチシートの縦切断を要しない植付作業並びに路上走行等をスムーズに行うことができる。
カッタフレームを有するマルチ移植機の全体側面図である。 カッタフレームに条間カッタ装置を取付けたマルチ移植機の要部側面図である。 マルチ移植機の作業態様を示す全体平面図である。 条間カッタ装置の要部の構成を示す斜視図である。
図1〜図3はマルチ移植機(田植機)の全体側面図,要部側面図、全体平面図であり、前後輪2,3に支持された走行機体1の機体フレーム4上には運転席6及び運転ステップ7が備えられており、また上記走行機体1後方には昇降リンク8を介して移植作業機である植付作業機9が昇降及びローリング自在に取り付けられている。そして、上記植付作業機9には上端が前傾する11が斜設されており、またプランターケース12には該苗載台11の背面下端のマット苗を走行機体1の走行に伴って順次掻き取って移植する植付爪(ビーク)13a等を備える公知の植付部13が付設されている。
一方、上記植付作業機9の底面には、昇降リンク8の揺動を自動制御して植付作業機9を所定高さに支持せしめるセンサーローラ14がイコライザアーム16により横設支持されるとともに、該センサーローラ14の前方上部位置には、段ボール紙の再生紙等よりなるマルチシートがロール状に形成されたシートロールを回転自在に左右方向に内蔵軸支する筒状のシートケース18が取り付けられている。
そして上記構造のマルチ移植機は、植付作業機9を所定高さに支持せしめるように圃場面上に降ろし、走行機体1の走行に伴いシートロールからマルチシート敷設機構9aを介し、マルチシートSを順次後方に繰り出して圃場面を被覆しながら、実施形態では6条植付け型の植付部13の6本の植付爪13aにより、マット苗から掻き取った苗を被覆されたマルチシートSの上から植え付け、圃場に6条分の苗の移植(マルチ移植)作業を行うようにしている。尚、実施形態のマルチシートSは経時的分解性を有する作物育成用の紙シートにしているが他の特性を有するシートにすることもできる。
そして、マルチ移植機は植付作業機9の後部に、敷設されるマルチシートSを幅方向に横切断するシート幅カッタ装置19と、敷設されるマルチシートSを敷設方向に縦切断する本発明に係る条間カッタ装置20とを後述する構成によって設置している。尚、上記シート幅カッタ装置19は、従来のものと同様な構成によって植付作業機9の左右側方で揺動自在に軸支されるカッターアーム21,21の後端にシート幅切断用のシートカッタ22を植付爪13aに接近させた後方位置に設けている。
先ず、マルチシートSのシート幅カッタ装置19と予備ロール供給手段について図2,図3を参照し説明する。圃場の田面等を畔際の枕地を介して往復走行して行うマルチ移植作業において、シート幅カッタ装置19のシートカッタ22は往路及び復路のシート敷設(被覆)終了時点で、オペレータがカッターアーム21の後端を前方の軸支部を支点に昇降揺動操作することにより、シートケース18から繰り出されて圃場面に敷設されたマルチシートSを、下降する横長のシートカッタ22の刃先によって切断しシートケース18側と切離する。これによりマルチ移植機は、植付作業機9を上昇させた状態で枕地を旋回走行し次位(復路)のマルチ移植作業を連続して行う。
一方、予備ロール供給手段としての前記シートケース18は、その左右両端を従来同様の構成によって開閉回動自在にしており、いずれかの端部を開口させることで、この開口したいずれかの端部からシートケース18内にシートロールを挿入することができ、また側方からシートケース18内にシートロールを挿入することで、シートロールの交換(補給)を行うようにしている。
そして、実施形態の走行機体1の左右両側方には、マルチシート交換(補給)用のシートロールである予備ロール23を支持する支持装置24が設けられており、後述するように予備ロール23を支持装置24からシートケース18にシートケース18の側方から移動させることでシートロールの交換を行なうことができる。尚、本実施形態の支持装置24は走行機体1の左右側方に1つずつ、計2本の予備ロール23を搭載することができるように構成されている。
上記支持装置24は、後輪3のアクスルケース26から立設された縦ステー27,該縦ステー27の上端側に支持された左右方向の横ステー28,該横ステー28の左右端側に設けられたホルダ29,左右のホルダ29にそれぞれ取り付けられた杆状の支持フレーム31等から構成されており、予備ロール23を左右の支持フレーム31に各支持せしめて支持装置24に装着する構造となっている。尚、両ホルダ29は走行機体1の後方側に位置している。
また上記支持フレーム31は一端に設けられたボス31aがホルダ29に設けられた支点軸30に回動自在に外嵌されて、ホルダ29に回動自在に取り付け支持されており、予備ロール23と支持フレーム31とが互いに略平行に沿い、互いの軸線が略平行となるように予備ロール23を支持せしめる構成となっている。即ち、予備ロール23は、支持装置24に装着された状態においては支持フレーム31に略平行に沿い、該支持フレーム31は上記のように走行機体1の後方側を回動支点として、他端(自由端)側が走行機体1に対して左右方向に開閉回動自在に支持されている。
そして、支持フレーム31は、図3に示されるように予備ロール23及び支持フレーム31が走行機体1の側方に沿う予備ロール格納姿勢位置Aと、予備ロール23及び支持フレーム31がシートケース18の軸線に略沿う(略平行となる)ように走行機体1に対して交差する方向に姿勢変位した予備ロール供給姿勢位置Bとに姿勢切換回動自在となっている。これにより植付作業機9を上昇せしめ、支持フレーム31を供給姿勢位置Bとすると、予備ロール23とシートケース18の軸線がほぼ一致し、予備ロール23をシートケース18内に直線的に挿入することができシートロールの交換を行い易くしている。
尚、実施形態の植付作業機9は、走行機体1側から図示しないPTO軸や中間軸等を介して伝動すると共に在来のものと同様な植付け条止め機構を備えており、全6条分の苗の植付けを行うと共に、図示しない植付条止めレバーの選択操作によって所望数の植付爪13aの植付動作を停止した状態で、残り条の植付爪13aによって苗を植付ける条止め植付作業を行うことができるようにしている。これによりオペレータは、例えば、1つの圃場で往復植付け工程作業を行うとき、その最終工程のマルチ移植作業で全条(6条)の植付作業を行いたい場合に、その前工程で植付けるべき条数を定め、残りの非植付け条数だけ条止めをして植付条止めによる植付作業を行うことができる。そして、次工程で全条の植付けを行うことにより未植条条漏れを少なくし苗を効率よく植付けると共に、枕地での回り植え作業を能率よく行うことができる。
次に、条間カッタ装置20について図1〜図4を参照し詳述する。この条間カッタ装置20は、敷設されたマルチシートSを前記シートカッタ22の切断位置後方において、敷設方向(走行方向)に沿って縦方向に切断する円盤鋸型の条間カッタ50を回転自在に備えるカッタアーム51等からなるカッタユニット20aと、植付作業機9の左右に着脱自在に取付けられて、上記カッタユニット20aを左右方向移動及び上下方向に姿勢変更可能に支持するカッタフレーム52等から構成している。
先ず、カッタフレーム52は図2〜図4に示すように、基部を植付作業機9に横設される作業機体フレーム53の左右両端に、それぞれ着脱自在に固設されるフレームアーム52a,52aと、該左右のフレームアーム52a,52aの後端部を連結する角パイプ材による横向きのカッタ支持バー55とによって、平面視で門型状をなす剛体フレームにしている。
この構成においてカッタ支持バー55には、カッタユニット20aを作業姿勢と退避姿勢とに切換え自在に取付ける取付具56を左右移動調節及び固定可能に設けることにより、条間カッタ50を幅方向所定位置に調節できる切断位置調節手段を構成している。実施形態の切断位置調節手段は図3,図4に示すように、カッタ支持バー55に取付具27を取付ける取付軸57を抜き差し自在に固定する複数(6個)のバー取付孔58を、6条分の植付爪13aによる植付け条間隔と同じ条間幅を有して形成している。
取付具56は、カッタ支持バー55に対し後方から嵌合自在なコ字状のチャンネル部材からなる取付ベース60と、該取付ベース60の左右中間の所定上面部にアーム挿入間隔を有して上向きに立設される側面視扇型状のブラケット部61とからなる。
そして、取付ベース60には、その左右端側に前記取付軸57を挿入自在な取付孔60aを条間隔を有して穿設している。またブラケット部61には、扇型中心になる前方下部位置にアーム取付軸62を着脱自在に挿入する取付孔63と、該取付孔63を中心とする円弧の下端と上端部にそれぞれ切換軸64を抜き差し自在な作業孔65と退避孔66とを穿設している。
これにより取付具27は、例えば図4に示すように、右側から2条位置と3条位置に対応する取付孔58を選択して右側の取付軸57を挿入固定することにより、実線で示す位置に固定した状態でカッタユニット20aを図3に実線で示す条間位置、つまり条間カッタ50を苗植付け2条と3条目との間に形成される第2条間部の中間所定位置に位置決めすることができる。
この場合の条間カッタ50は、敷設されているマルチシートSの第2条間部の所定位置上を転動し、図3で示すように縦向きの切れ目SKを敷設方向に連続的に切断形成し、右側シート部SRと左側シート部SLとに切離する。そして、後述する植付条止め作業態様によって苗が移植されない右側シート部SR側を余り部分のマルチシート(以下単に余りマルチシートS1と言う)として、圃場から簡単かつ容易に撤去することを可能にする。
また切断位置調節手段としての取付具27は、条間カッタ50を上記第2条間部から右側1条と2条目の間に形成される第1条間部に移動する場合には、各取付軸57を抜いて取付ベース60を右側スライド移動し右側取付孔60aと1条位置に対向するバー取付孔58が合致した位置で取付軸57を挿入固定したのち、左側取付軸57を同様に挿入固定することによって行う。また条間カッタ50を他の第3〜第5条間部に臨ませる場合も同様な操作態様によって行うことができる。
従って、1つの条間カッタ50を植付作業機9の後部で左右に調節移動させる切断位置調節手段を備える条間カッタ装置20は、在来の機体前部側に条間カッタ装置設けるもののように切断構造を複雑化させることなく、簡潔で安価な構成にすることもできる。
尚、上記切断位置調節手段はこれに限定することなく、例えば取付具27を左右のフレームアーム52a, 52aに横設したネジバーに螺装することにより、該ネジバーを回転させて取付具27を左右移動調節可能な構成等にしてもよい。
さらに取付具27は、カッタユニット20aを図2,図4に実線で示す作業姿勢から2点鎖線で示す退避姿勢に切換えるとき、先ず、切換軸64を作業孔65から抜いて固定を解除したカッタアーム51を、アーム取付軸62を支点に上方前方側に回動し、且つ切換軸64が格納孔66に合致する位置で挿入して固定する。またカッタユニット20aを退避姿勢から作業姿勢に切換える際には、上記とは逆順の操作によって行うことができる。
このように条間カッタ50を、敷設のマルチシートSを縦切断する作業姿勢と、植付作業機9の上方側に向けて退避移動させる退避姿勢とに切換自在に設ける条間カッタ装置20は、作業姿勢において敷設されるマルチシートSをシートカッタ22の切断位置後方に可及的に接近した位置で、後方突出量を抑制しスムーズに縦切断をする。
また退避姿勢に切換える条間カッタ50は、植付作業機9の上方に広い背後スペースを利用し苗載台11側に無理なく近接させた安定姿勢に固定支持できるため、条間カッタ装置20の構造を複雑化させることなく、マルチシートSの縦切断を要しない植付作業及び路上走行等を行い易くすることができる。
次に、シート幅カッタ装置19の横切断位置の後方に条間カッタ50を備えたマルチ移植機によるマルチ移植作業について説明する。先ず、マルチ移植機は各圃場毎で、走行機体1を圃場の一側から畦に沿った往復走行を繰り返し他側の畔側に向けて植付作業を行う際に、走行に伴いマルチシート敷設機構9aを介しシートロールからマルチシートSを順次後方に繰り出して圃場面を被覆しながら、6本の植付爪13aにより苗載台11下端側でマット苗から掻き取った苗を、マルチシートSを通して全条の苗の植え付けを行う。
そして、上記のようなマルチ移植作業における各往路及び復路の敷設終了位置において、シート幅カッタ装置19のカッターアーム21を退避姿勢から前方の軸支部を支点に下降揺動操作する。これにより下降するシートカッタ22は、圃場面に敷設されたマルチシートSの繰り出し側を横切断し、シートケース18側のマルチシートSと敷設のマルチシートSとを切離することができる。次いで、オペレータは、シート敷設を中断し且つ植付部13の動作を停止した状態で植付作業機9を上昇操作し、圃場枕地で方向転換したのち次工程(復路)のマルチ移植作業を再開する。
次いで、マルチ移植機が他方(最終工程側)の畔際あるいは枕地部分に沿ってマルチ移植作業をする際に、最終工程の前工程(往路)で敷設するマルチシートSの余り部分が例えば2条分だけ余るような場合には、図3で示すように、前工程において植付爪13aの動作を2条分だけ止める植付条止め操作をすることにより、4条分の植付爪13aの動作に基づく4条植付けを行うようにする。また条間カッタ装置20の取付ベース60を操作し、上記植付条止めに対応して生ずる1条目と2条目に相当する未植区と、苗が植付けられている既植区である3条目との条間位置(縦切断条間位置)に向け、条間カッタ50を横移動して位置決め固定し、且つ作業姿勢に切換えたのち前工程の、マルチ移植作業を行う。
これにより条間カッタ50は、シート幅カッタ装置19に近接した後方で植付作業機9の植付条止めに対応して生ずる未植区と既植区との条間位置のマルチシートS上に臨み、走行に伴い回転しながら切れ目SKを形成し、且つ植付条止めにより未植区に敷設された部分を余りマルチシートS1(右側シート部SR相当)として圃場内から撤去可能に縦切断することができる。
そして、敷設直後に縦切断されて分離する未植の余りマルチシートS1は、最終工程に入る前にオペレータ又は補助作業者によって、一側から引っ張り又は巻き取りをしながら近隣の畔に引き上げる等の除去作業によって圃場から撤去する。
次いで、オペレータは作業姿勢にある条間カッタ50を退避姿勢に切換えると共に、植付条止めを解除したのち、余りマルチシートS1が撤去された状態の最終工程(復路)の圃場面に対し、全条のマルチシートSの敷設と植付けをすることによりマルチ移植作業を完了する。
以上のように、シート幅カッタ装置19による横切断位置の後方に、条間カッタ50を植付作業機9の植付条止めに対応して生ずる未植区と既植区との条間位置に向け横移動且つ固定可能に設けるマルチ移植機は、植付条止めによる未植区に敷設された部分のマルチシートS(余りマルチシートS1)を縦切断するので、余りマルチシートS1を圃場に残置させることなく簡単且つ速やかに撤去することができる。従って、次工程で隣接して敷設されるマルチシートSは、前工程で敷設されたマルチシートSと広幅帯状の重合部分を生じさせることなく敷設できるので、従来のもののように余りマルチシートS1が広幅帯状に重合して次工程路内に残ることによる植付作業及び作物育成上の阻害要因を無くすことができる等の特徴がある。
また敷設直後に縦切断されて次工程開始前に速やかに除去作業が行われる余りマルチシートS1は、水田等においても濡れや汚れが僅少であること、及び車輪によって踏み込まれていないこと等によって田面から簡単に除去できると共に、シートちぎれを伴うことなくきれいに且つ省力的に撤去することができる。さらに、上記のように劣損なく回収することができる未植マルチシートSは、畑や他所の防草用の資材として、また他用途への有効利用も可能にする等の利点を生ずる。
尚、実施形態の条間カッタ装置20の取付具56には、図2に示すカッタユニット20aに替えて、カッタアーム51の後部に図4に示すように条間カッタ50とシート回収装置67を備えたカッタユニット20aを取付けることができる。この場合には、条間カッタ50によって左側シート部SLから切離される未植の右側シート部SRを余りマルチシートS1(回収用シート)として順次巻き取ることができるので、シートの水濡れや汚れをより少なくした状態で除去作業を能率よく簡単に行うことができる。
即ち、図示例のカッタユニット20aは、カッタアーム51の後部に形成した取付溝51aに、条間カッタ50とシート回収装置67とを回転自在に軸支する板状のユニットフレーム68を、その前後方向に突設した取付板部68aと取付板部68bとを択一的に差し込み、ボルト69の締着を介して着脱及び反転取付け可能に構成している。
上記シート回収装置67は、ユニットフレーム68に軸支される回転軸70をモータ71によって駆動操作自在にしていると共に、回転軸70の基部側に手回し型ハンドルを兼ねる円盤状の巻取り部材72を固設し、該巻取り部材72の巻取り側には軸方向に沿って回収用シート(余りマルチシート)S1を係止して巻取りを確実にする棒状の係止部材73を設けている。
これによりマルチ移植作業に伴いシート回収装置67は、縦切断に伴い切離される回収用シートS1を、回転軸70と係止部材73によって軸方向に係止した状態で順次上方に向けて速やかに巻き取ることができ、所定の巻取り径になった回収用シートS1を軸方向に抜き出して畔側に向けて撤去し回収することができる。
また左側シート部SLが余りマルチシートになって回収用シートS1として巻き取る場合には、シート回収装置67は前記取付板部68b側をカッタアーム51に差し込み固定し回転軸70側を左側に向けることにより、マルチ移植作業時に同様な除去作業を行うことができる。尚、上記各実施形態において条間カッタ50は、電気的又は機械的な駆動力によって回転するようにしてもよく、また必要により条間カッタ50の左右移動並びに作業姿勢と退避姿勢の切換え動作も動力的に行うことができる。
1 走行機体
9 植付作業機
9a マルチシート敷設機構
19 シート幅カッタ装置
20 条間カッタ装置
27 取付具
50 条間カッタ
52 カッタフレーム
55 カッタ支持バー
S マルチシート

Claims (2)

  1. 走行機体(1)に、走行に伴って圃場面を覆うようにマルチシート(S)を繰り出して敷設するマルチシート敷設機構(9a)と、敷設されたマルチシート(S)上から苗を植付ける植付作業機(9)と、該植付作業機(9)の後方で敷設のマルチシート(S)を幅方向に横切断するシート幅カッタ装置(19)と、敷設のマルチシート(S)を敷設方向に縦切断する条間カッタ(50)を有する条間カッタ装置(20)とを備えたマルチ移植機において、
    前記シート幅カッタ装置(19)による横切断位置の後方に、条間カッタ(50)を植付作業機(9)の植付条止めに対応して生ずる未植区と既植区との条間位置に向け横移動且つ固定可能に設けることにより、植付条止めによる未植区に敷設された余り部分のマルチシート(S)を除去可能に縦切断させることを特徴としている。
  2. 前記条間カッタ(50)を、敷設のマルチシート(S)を縦切断する作業姿勢と、植付作業機(9)の上方側に向けて退避移動させる退避姿勢とに切換自在に設ける請求項1記載のマルチ移植機
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN109121596A (zh) * 2018-09-18 2019-01-04 羊妙菜 一种农业机械车体机构

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