JP3642799B2 - 光記録媒体 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、光学ピックアップ装置から出射されるレーザ光等の再生光を用いてデータの読み出しが行われる光記録媒体に関し、詳細には再生光による読み出しが可能で、且つ個々の光記録媒体を識別するための識別コードを示すパターンコードが設けられた光記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】
レーザ光等の光ビームを用いてデータの再生を行う光記録媒体が用いられている。この種の光記録媒体の中でも特に、再生専用型の光記録媒体であるデジタルオーディオディスクや光学式ビデオディスク等の光ディスクが広く用いられている。また、一旦記録したデータの書き換えを可能とした光ディスクとして、光磁気ディスクが用いられている。
【0003】
デジタルオーディオディスク等の再生専用型の光ディスクは、データを示すピットによる凹凸パターンが形成された透明基板上にアルミニウム、ニッケル膜等の金属薄膜よりなる反射膜が形成され、さらにこの反射膜を大気中の水分やO2から保護するための保護膜が反射膜上に形成された構成とされている。この光ディスクに記録されたデータの再生は、透明基板側より凹凸パターンにレーザ光等の再生光を照射し、反射膜によって反射された戻り光を検出することによって行われる。
【0004】
一方、データの書き換えを可能とした光磁気ディスクは、ポリカーボネート等からなる透明基板の一主面に、膜面と垂直方向に磁化容易軸を有し、且つ磁気光学効果の大きな磁性薄膜よりなる記録磁性層、例えば、希土類−遷移金属合金非晶質薄膜の如き記録磁性層、反射層、誘電体層を積層することにより記録部を形成し、さらにこの記録部の腐食を防止するために、記録部上に紫外線硬化樹脂等よりなるオーバーコート層を形成した構成とされている。なお、光磁気ディスクは、通常カートリッジと称されるケースに収納されて使用される。このような光磁気ディスクに記録されたデータを再生する際には、透明基板側より記録磁性層にレーザ光等の再生光を照射し、反射膜によって反射された戻り光を検出することによって行われる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、デジタルオーディオディスク等の光ディスクや光磁気ディスクにおいては、使用者がそのディスクに書き込まれている記録内容や製造番号等を目視により識別できるように、光ディスクの表面或いは光磁気ディスクが収納されるカートリッジの表面に記録内容を表示している。
【0006】
例えば、光ディスクにおいては、上述のような構成を有する光ディスクの保護膜上にスクリーン印刷或いはオフセット印刷等の手法によって直接印刷を行い、そのディスクに書き込まれている記録内容等を表示するようにしたり、特公昭57−38961号公報に示されるように、情報、即ちデータを含んでいない表面領域に、スパイラル又は個々の同心リングの形の読み取り可能なレリーフないし彫刻マークを、溝等内に設けられた文字又は記号として設けることによりそのディスクに書き込まれている記録内容等を表示している。
【0007】
また、光磁気ディスクにおいては、カートリッジの表面に収納されているディスクに書き込まれている記録内容等を印刷した紙ラベルを貼り付けることにより表示するようにしている。
【0008】
さらに、光ディスク等に書き込まれている記録内容等を機械的に読み取り、読み取り結果により使用者が識別できるように、特開昭58−211343号公報に示されるように、光ディスク等にバーコードを設けることも提案されている。上述のようなバーコードを読み取るためには、専用の読み取り装置が必要であり、光ディスクを再生する装置では読み取ることができない。
【0009】
ところで、近年においては、ソフトウエア等を記録したCD−ROM等の再生専用型の光ディスクが提供されているが、これら光ディスクには記録内容や製造番号等が上述のように目視により認識される表示、或いはバーコード等の機械的に読み取られて認識される表示等により表示されているのみである。このようなCD−ROM等に記録されるデータを一度だけ書き込み可能とするCD−R等の光ディスクに複製した場合、複製元のCD−ROMの製造番号等の如き識別コードは複製されず、複製したものであっても、データを読み出したのみでは複製であるのかオリジナルであるのかを確認することが不可能であり、不正な複製が繰り返されるおそれもある。
【0010】
本発明は、上述したような従来の実情に鑑みて提案されたものであり、光記録媒体に記録されたデータを読み出すために用いられる再生光を出射する光学ピックアップ装置を用いて読み出し可能なパターンコードを有する光記録媒体を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上述の目的を達成するために提案される本発明に係る光記録媒体は、合成樹脂を射出形成して形成された透明基板を有し、この透明基板には、ピットパターンによりデータが予め記録されたデータ記録領域と、データ記録領域の内周側に設けられてピットパターンが形成されたリードイン領域と、データ記録領域の外周側に設けられてピットパターンが形成されたリードアウト領域とが設けられるとともに、データ記録領域、リードイン領域及びリードアウト領域を覆って反射膜が設けられ、光学ピックアップ装置から入射され上記反射膜によって反射される再生光を検出して上記データの読み出しが行われる光記録媒体において、データを示すピットパターンが予め記録された透明基板のリードイン領域又はリードアウト領域のピットパターンが形成された円周方向に、1枚毎の光記録媒体を識別する識別コードを示すパターンコードを設けたものである。
【0012】
そして、パターンコードは、データを示すピットパターンが記録された後に、上記透明基板に形成されるとともに、上記リードイン領域又はリードアウト領域に形成されたピットの長さより十分長い円周方向の長さを有し、円周方向に複数個設けられた穴部により構成されて、上記再生光を出射する上記光学ピックアップ装置によって検出可能に形成したものである。
【0013】
パターンコードを構成する穴部は、円周方向の長さが0.1mm以下であることが望ましい。また、穴部は、円周方向に1mm以上の間隔で形成されることが望ましい。
【0014】
【作用】
本発明に係る光記録媒体は、リードイン領域又はリードアウト領域に設けられたパターンコードがこの光記録媒体を再生する光ピックアップ装置によって検出されることにより、個々の光記録媒体の識別が行われる。
【0015】
本発明に係る光記録媒体は、個々の光記録媒体を識別する識別コードを示すパターンコードが、データ記録領域とは異なるリードイン領域又はリードアウト領域に設けられているので、この光記録媒体に記録されたデータを複製した場合に、パターンコードはエラーデータとなり、複製されることはなく、データを読み出した場合のパターンコードの有無でオリジナルと複製の区別が可能となり、不正な複製の防止が可能となる。
【0016】
【実施例】
以下、本発明を適用した具体的な実施例について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0017】
本発明が適用された光ディスク1は、図1に示すように、図中斜線部で示す中央部の領域にデータの記録されているデータ記録領域2が設けられ、その内周側にデータ記録領域2に記録されるデータの記録が行われないリードイン領域3が設けられ、データ記録領域2の外周側にデータ記録領域2に記録されるデータの記録が行われないリードアウト領域4が設けられている。
【0018】
なお、図2に本発明に係る光ディスク1のデータ記録領域2付近の断面図を示すが、光ディスク1は、透明基板5上にアルミニウム、ニッケル膜等の金属薄膜よりなる反射膜6が形成され、さらにこの反射膜6を大気中の水分、Oから保護するための紫外線硬化樹脂等よりなる保護膜7が反射膜6上に形成された構成とされている。透明基板5の反射膜6が形成される主面5a側には、データを示すピット8が多数形成されている。すなわち、透明基板5のデータ記録領域2には、ピットパターンによりデータが予め記録されている。
【0019】
透明基板5のピットパターンが形成された主面5aをさらに拡大して図3に示す。上述のように透明基板5の一主面5aには、データを示す穴部であるピット8が多数形成されている。
【0020】
この光ディスク1に記録されているデータを再生するには、図2中に示す主面5aの反対側の主面5b側からレーザ光等の再生光を照射し、図3に示すようなピット8が存在するために生じる入射光と戻り光の反射率の差を検出する。なお、再生光は、レーザ光源,レンズ等により構成される光学ピックアップ装置により出射される。
【0021】
光学ピックアップ装置は、レーザ光源から出射される再生光が光ディスク1のピット8が形成された面に集光し、このピット8が円周上に形成された記録トラック上を走査するように、対物レンズの位置を制御するフォーカス及びトラッキングの制御を行うサーボ機構を有している。
【0022】
さらには、光ディスクのうち、デジタルオーディオディスク等においては、内周側と外周側の線速度を均一とするCLV(コンスタント・リニア・ベロシティー;Constant Linear Velocity)を採用している。この光ディスク1を再生するために用いる再生装置は、光ディスク1をCLVで回転するように光ディスク1の回転駆動機構を制御する。この制御信号は、光ディスク1に記録されたデータの読み取りを行う光学ピックアップ装置から得られる信号に基づいて生成される。
【0023】
本発明に係る光ディスク1は、リードアウト領域4に、データ記録領域2に記録されたデータの読み取りを行う再生光を出射する光学ピックアップ装置により読み出し可能であり、かつこの光ディスク1に書き込まれている記録内容及び製造番号、IDコード等の如き識別コードを示すパターンコードが形成されている。すなわち、パターンコードを構成する複数のマークがリードアウト領域4に形成されている。パターンコードを構成するマーク9aは、図4に示すように、その深さDがピット8の深さDと略同等であり、その円周方向の長さLがピット8の円周方向の長さLよりも十分に長い穴部としてリードアウト領域4に形成されている。但し、長さLは、光学ピックアップ装置のサーボ機構を正常に機能させるために、0.1mm以下とすることが望ましい。このマーク9aに再生光を照射した場合、その深さDがピット8の深さDと略同等であることから読み出し可能であり、その円周方向の長さLがピット8の円周方向の長さLよりも十分に長いことから周波数的にピット8との区別が可能とされる。
【0024】
なお、パターンコードは上述のように複数のマークにより形成されるものであるが、図4中に示すように、複数のマーク9a,9bを光ディスクの円周方向に連続して設ける場合、マーク9a,9b間の距離Lは、サーボ機構を正常に機能させるために1mm以上とすることが望ましい。
【0025】
このようなパターンコードを有する光ディスクを再生光により読み出すと、マーク9aのRF信号P1は、マーク9aがマークの円周方向の長さが、他のピットの円周方向の長さよりも十分に長くされていることから、他のピットから得られるRF信号P2と比較して周波数的に区別が可能である。また、マーク9aには、図4に示すように、段差9cが設けられることにより、図5に示すように、他の部分のRF信号P2と比較して振幅変調されたRF信号Pとして検出されることになることから、通常のデータとは異なった信号で、マークをパターンコードとして読み出すことが可能である。
【0026】
本発明に係る光ディスクは、その記録内容や製造番号、IDコード等の識別コードを示すパターンコードがピットが形成される側の面のリードアウト領域に形成されていることから、この光ディスクのデータを複製した場合にはパターンコードはエラーデータとなり、複製されることはなく、データを読み出した場合のパターンコードの有無でオリジナルと複製の区別が可能となり、不正な複製を防止することができる。
【0027】
なお、本発明に係る光ディスク1は、パターンコードがリードアウト領域に形成される例を示したが、パターンコードはリードイン領域に設けられるものとしてもよい。但し、本発明をデジタルオーディオディスクに適用した場合には、デジタルオーディオディスク特有のTOC(テーブル・オブ・コンテンツ;Table of Contents)を読み出せる程度の信号ダメージに抑える必要がある。
【0028】
上述のような光ディスクを製造する方法としては、次のような方法が挙げられる。先ず、この種の光ディスクの製造に一般的に用いられる方法、例えば射出成型法により、一主面5aがデータを示すピット8による凹凸パターンを有する面とされる透明基板5を成形する。その後、この透明基板5のリードアウト領域或いはリードイン領域に、パターンコードを示す複数のマーク9a,9bを加圧により形成する。その後、透明基板5上に、アルミニウム膜等よりなる反射膜6を、この種の光ディスクの製造に一般的に使用される方法、例えばスパッタリング、蒸着等の真空薄膜形成技術により形成する。最後に反射膜6上に紫外線硬化樹脂等を、この種の光ディスクの製造に一般的に使用される方法、例えばスピンコート法等により塗布して硬化させ、保護膜7を形成して光ディスク1を完成する。
【0029】
本発明に係る光ディスクを製造に当たっては、透明基板5の成型後にパターンコードを示す複数のマーク9a,9bを形成するため、透明基板5毎に異なるパターンコードを簡便に形成でき、製造される光ディスク1毎にパターンコードを異なるものとすることができる。
【0030】
なお、本発明に係る光ディスクを製造するには、成型後の透明基板を加圧することによりパターンコードを形成したが、加熱によってパターンコードを形成してもよい。
【0031】
【発明の効果】
本発明に係る光記録媒体は、個々の光記録媒体を識別する識別コードを示すパターンコードが、データを読み出すための再生光により読み出し可能な形態で、データ記録領域とは異なるリードイン領域又はリードアウト領域に設けられているので、当該光記録媒体を生成する装置に装着することにより読み出しを行うことができる。
【0032】
また、個々の光記録媒体を識別する識別コードを示すパターンコードは、データ記録領域とは異なるリードイン領域又はリードアウト領域に設けられているので、この光記録媒体に記録されたデータを複製した場合に、パターンコードはエラーデータとなり、複製されることはなく、データを読み出した場合のパターンコードの有無でオリジナルと複製の区別が可能となり、不正な複製の防止が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用した光ディスクを示す平面図である。
【図2】本発明を適用した光ディスクのデータ記録領域付近を示す断面図である。
【図3】本発明を適用した光ディスクの透明基板を一部破断して示す要部拡大斜視図である。
【図4】本発明を適用した光ディスクに形成されるピットとマークの関係を示す模式図である。
【図5】本発明を適用した光ディスクのRF信号を示す図である。
【符号の説明】
1 光ディスク、 2 データ記録領域、 3 リードイン領域、 4 リードアウト領域、 5 透明基板、 6 反射膜、 7 保護膜、 8 ピット、
9a,9b マーク

Claims (3)

  1. 合成樹脂を射出成形して形成された透明基板を有し、上記透明基板には、ピットパターンによりデータが予め記録されたデータ記録領域と、上記データ記録領域の内周側に設けられたピットパターンが形成されたリードイン領域と、上記データ記録領域の外周側に設けられたピットパターンが形成されたリードアウト領域とが設けられるとともに、上記データ記録領域、上記リードイン領域及び上記リードアウト領域を覆って反射膜が設けられ、光学ピックアップ装置から入射され上記反射膜によって反射される再生光を検出して上記データの読み出しが行われる光記録媒体において、
    上記データを示すピットパターンが予め記録された上記透明基板の上記リードイン領域又はリードアウト領域のピットパターンが形成された円周方向に、1枚毎の光記録媒体を識別する識別コードを示すパターンコードが設けられ、
    上記パターンコードは、上記データを示すピットパターンが記録された後に、上記透明基板に形成されるとともに、上記リードイン領域又はリードアウト領域に形成されたピットの長さより十分長い円周方向の長さを有し、円周方向に複数個設けられた穴部により構成されて、上記データを読み出す上記光学ピックアップ装置によって検出可能に形成されていることを特徴とする光記録媒体。
  2. 上記穴部は、円周方向の長さが0.1mm以下であることを特徴とする請求項1記載の光記録媒体。
  3. 上記穴部は、円周方向に1mm以上の間隔で形成されていることを特徴とする請求項1記載の光記録媒体。
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