JP3642102B2 - 無線通信システム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、親機に無線接続される2台以上の子機を備えた無線通信システムにおいて、子機同士間での直接通信を可能とする無線通信システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のコードレス電話機は、例えば、周波数f1を使って親機が送信した情報を子機が受信すると共に、周波数f2を使って子機が送信した情報を親機が受信するといった仕組みによって、双方向通信を行っていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述の如き構成のコードレス電話機では、1台の親機に対して2台以上の子機を設けたとしても、第1の子機が周波数f2で送信した情報は、周波数f2を受信している親機で受信できるだけで、周波数f1を受信している第2の子機では受信できず、子機間で通信することはできなかった。
【0004】
また、従来、親機と子機との間で周波数ホッピング方式によりスペクトラム拡散通信を行うコードレス電話機が知られている。この種のコードレス電話機は、通信時に使用する周波数の切り替え順序(以下、ホッピングパターンともいう)が、予め特定のパターンに規定されており、常に親機及び子機が同じホッピングパターンに従って通信するようになっている。
【0005】
しかし、1台の親機に対して2台以上の子機を設けたとしても、子機同士で直接通信を行うと、親機から発信される制御信号との衝突が起こる等といった問題が発生する恐れがあるため、子機と子機とが直接通信することはできなかった。
本発明は、上記問題を解決した新規な無線通信システムを提案するものであり、その目的は、親機−子機間での通信とは別に、子機−子機間でも通信可能な無線通信システムを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段および発明の効果】
上述の目的を達成するため、本発明の無線通信システムは、請求項1記載の通り、
外部通信路に接続可能な1台の親機と、該親機との無線通信が可能な2台以上の子機とからなり、親機及び各子機には、所定のホップ周波数データを順次発生させるホップ周波数データ発生手段と、該ホップ周波数データ発生手段から与えられるホップ周波数データを使って、入力信号を拡散して送信信号にすると共に、受信信号を逆拡散して出力信号にする通信手段とが設けられ、周波数ホッピング方式により親機−子機間で通信可能な無線通信システムであり、前記子機側のホップ周波数データ発生手段が、前記親機−子機間通信用のホップ周波数データ列とは異なる子機−子機間通信用のホップ周波数データ列を発生可能に構成され、前記子機側の通信手段が、前記子機−子機間通信用のホップ周波数データを使って、入力信号を拡散して送信信号にすると共に、受信信号を逆拡散して出力信号にすることにより、子機−子機間で直接通信を行う無線通信システムであって、
前記子機−子機間通信用のホップ周波数データ列が、前記親機−子機間通信用のホップ周波数データ列と部分的に同一パターンとされ、
前記ホップ周波数データ発生手段が前記同一パターン部分のホップ周波数データを発生させた際に、前記通信手段が親機−全子機間で制御信号の送受信を行う
ことを特徴とする。
【0007】
本発明の無線通信システムによれば、子機−子機間での通信時には、親機−子機間での通信時に用いる所定のホッピングパターンとは異なるホッピングパターンに従って周波数を逐次切り替えるので、親機−子機間チャネルと子機−子機間チャネルとで、互いの使用する周波数が重ならない様な設定にすることにより、親機が使う周波数の影響を受けることなく、子機−子機間で周波数ホッピング方式により直接通信を行うことができる。また、例えば3台以上の子機があれば、第3の子機と親機との間での通信が行われている場合でも、第1、第2の子機間で通信可能となり、複数台の子機を有効に運用することができる。
【0008】
【0009】
即ち、子機側のホップ周波数データ発生手段が、親機−子機間での通信時に用いる所定のホップ周波数データ列とは異なるホップ周波数データ列を発生させ、そのホップ周波数データ列を使って、子機側の通信手段が、子機−子機間で周波数ホッピング方式により通信を行うので、親機からの影響を受けることなく、子機−子機間で直接通信を行うことができる。
【0010】
なお、本発明の無線通信システムにおける親機及び子機の代表的な例としては、コードレス電話機の固定機(ベースセット)と移動機(ハンドセット)を挙げることができるが、この他にも、各種コンピュータやその周辺機器、ファクシミリ装置など、機器相互間で音声、画像、その他の各種データを送受信する装置が、本発明の親機及び子機として利用可能である。より具体的に説明すると、外部通信路となる公衆電話回線に接続可能なファクシミリ装置を親機とし、複数のコードレス送受話器を子機とすれば、親機−子機間通信によって各子機から外部との外線通話ができ、更に、親機−子機間通信又は子機−子機間通信によって親機又は子機を使って内線通話ができる。また、親機をコードレス電話機の固定機とした場合、複数の子機の内の1つをファクシミリ装置としてもよい。更に、外部通信路となる有線LANに接続可能な端末機を親機とし、複数のポータブルコンピュータを子機とすれば、親機−子機間通信により、各ポータブルコンピュータを使って上記有線LANに接続されたホストコンピュータとの間でデータ通信ができ、子機−子機間通信によって各ポータブルコンピュータ間でもデータ通信ができる。
【0011】
ところで、例えば外部通信路からの着呼等といった情報は、通常は、まず親機側で認識されて、更に親機−子機間通信によって子機へと伝えられるが、この種の情報が子機−子機間通信中の子機でも認識できると便利である。
その点、本発明の無線通信システムにおいては、
前記子機−子機間通信用のホップ周波数データ列が、前記親機−子機間通信用のホップ周波数データ列と部分的に同一パターンとされ、
前記ホップ周波数データ発生手段が前記同一パターン部分のホップ周波数データを発生させた際に、前記通信手段が親機−全子機間で制御信号の送受信を行う構成にしてあるので、
子機−子機間通信中の子機側でも、一時的に親機との制御信号の送受信を実施でき、親機から子機への情報の伝達、あるいは子機から親機への情報の伝達が可能となる。したがって、例えば、子機間通話中に親機に外部通信路からの着呼があったとしても、ホップ周波数データ発生手段が同一パターン部分のホップ周波数データを発生させている期間中に、親機が全子機に対して、呼出信号を含む制御信号を送信することにより、子機側で外部通信路からの着呼を認識でき、利用者の判断で子機間通信を中断して外部からの着呼に応答するなどの対処ができる。また、全子機に対して発信する制御信号中に、例えば応答優先順位の高い特定の子機を指定する信号を含ませれば、各子機側においてあたかも特定の子機のみが制御信号を受信したかのように対処することもできる。
【0012】
なお、この様に同一パターンのホップ周波数データを発生させている期間中は、親機及び全子機が互いに同時に送受信可能な状態になるので、通常は、各機器からの送信の衝突を防止するために何らかの措置、例えば、各子機が親機との同期を取り、予め取り決められた順序に従って親機との間で制御信号の送受信だけを行い、それ以外の親機−子機間の通話信号や子機−子機間での送受信等は禁止するといった措置が必要となる。
【0013】
但し、この場合、子機間での送受信等が過剰に長期にわたって禁止されると、例えば子機間での通話が途切れたりするため、親機−全子機間での制御信号の送受信は、利用者が違和感を抱かない程度の短期間(例えば数百ミリ秒以下程度)で、可能な限り速やかに終えるのが望ましい。
【0014】
また、請求項2記載の無線通信システムの如く、
前記ホップ周波数データ発生手段が、前記親機−子機間通信用及び子機−子機間通信用ホップ周波数データ列とは異なる制御用ホップ周波数データ列を発生可能に構成され、
前記ホップ周波数データ発生手段が前記制御用ホップ周波数データを発生させた際に、前記通信手段が親機−全子機間で制御信号の送受信を行う構成にしてもよい。
【0015】
このシステムの場合、親機側および子機側の各ホップ周波数データ発生手段が、常時は制御用ホップ周波数データ列を発生させ、親機側および子機側の各通信手段が、親機−全子機間で制御信号の送受信を実施する一方、親機−子機間又は子機−子機間で通常の通信を行う際には、親機側および子機側の各ホップ周波数データ発生手段が、親機−子機間通信用、又は子機−子機間通信用のホップ周波数データ列を発生させ、親機−子機間又は子機−子機間での通信に移る。
【0016】
制御用ホップ周波数データ列は、待機中か通信中かにかかわらず、親機及び全子機で同期を取りながら定期的に発生させてもよいし、通信中の親機又は子機だけは制御用ホップ周波数データ列を発生させない構成にしてもよい。
前者の場合、請求項1記載のシステムと同様に、子機−子機間通信中の子機に対してでも親機からの情報を伝達できるので、子機−子機間通信を中断して外部通信路からの着呼に応答するなどの対応が可能となる。
【0017】
後者の場合、通信中の親機又は子機は、制御信号の送受信を行うことなく通信に専念するので制御が容易で、制御信号の送受信に伴って通話を妨げるといったことも起き得ない。また、子機−子機間通信が開始された場合、残りの待機中の子機は、引き続き制御用ホップ周波数データ列を使って制御信号の送受信を実施しているので、例えば外部通信路からの着呼を親機から各子機に伝えたり、別の2台の子機間で新たに子機−子機間通信を開始したりすることができる。また、親機−子機間通信が開始された場合は、残りの子機が、引き続き制御用ホップ周波数データ列を使って制御信号の送受信を実施しているので、別の2台の子機間で新たに子機−子機間通信を開始できる。なお、親機−子機間通信が開始された場合、残りの子機は、内蔵するクロックのみに従って同期を管理してもよいが、親機に代わって所定の子機が同期信号を発生させる様に構成しておけば、残りの子機間での同期を確実に維持できる。
【0018】
ところで、この種の無線通信システムでは、親機と子機とが同一のホップ周波数データ列を使って周波数を切り替えるに当たり、親機と子機とが正確に同期していることが重要であり、通常は、両者の同期をとるために、親機側から定期的に同期信号を発信すると共に、子機側で定期的に親機との同期調整を行っている。
【0019】
しかし、例えば、上記請求項2記載のシステムにおいて、子機同士が互いに同期をとりながら通信を行う場合、その子機と親機との通信を完全に禁止すると、その2台の子機は親機との同期がとれなくなる可能性がある。また、請求項2記載のシステム以外でも、子機の電池が切れたり、子機が親機からの電波の到達しない範囲まで離れたりした場合に、その後、電池を充電したり、親機に近づいても、直ちに同期を回復させることはできない。
【0020】
そこで、請求項3記載の如く、
前記子機側のホップ周波数データ発生手段が、同期回復用ホップ周波数データを発生可能に構成され、
前記子機側のホップ周波数データ発生手段が前記同期回復用ホップ周波数データを発生させた際に、前記子機側の通信手段が、親機からの制御信号を受信可能な状態で待機する構成にするとよい。
【0021】
この様な無線通信システムであれば、何らかの事情で親機と子機との同期がはずれた場合に、子機は、同期回復用ホップ周波数データを使って受信周波数を固定し、親機からの制御信号を受信可能な状態で待機するので、同期信号が含まれた制御信号が所定の周波数で親機から送信されてくれば、その時点から親機との同期を回復することができる。なお、子機側ホップ周波数データ発生手段は、通常は同期の回復に引き続き、親機−子機間通信用(又は制御用)ホップ周波数データ列を発生させ、通信可能な状態へ復帰する。
【0022】
また、請求項4記載の如く、
前記ホップ周波数データ発生手段が、
所定のホップ周波数データ列を記憶するデータ記憶手段と、
該データ記憶手段に記憶されたホップ周波数データ列中のデータを更新するホップ周波数データ変更手段と
を備えると、
ホップ周波数データ変更手段が、データ記憶手段に記憶されたデータの一部を更新することにより、更新されたホップ周波数データを発生させた際には、従前とは異なる周波数を使って通信が行われる。変更後のホップ周波数データは、親機側と子機側で同一である必要があり、変更用のデータとして、予めいくつかの特定のデータが別途用意されている。
【0023】
この様な無線通信システムであれば、例えば別の無線通信システムと使用周波数が競合している様な場合に、別の周波数を使うようなホップ周波数データ列に変更し、使用周波数の競合を容易に避けることができる。
ここで、上述の様なホップ周波数データの変更は、例えば子機−子機間での通信が不調な場合に、利用者がスイッチ操作等を行うのに応じて実行される構成であってもよいが、特に、請求項5記載の如く、
通信時に通信が妨害されたことを検出する妨害検出手段を備え、
前記ホップ周波数データ変更手段が、前記妨害検出手段による妨害検出時に使用していたホップ周波数データをデータ列中から除外する構成にすれば、
通信が妨害されたことを自動的に検出すると共に、通信が妨害された時にだけ、その妨害を防ぐのに最低限必要となる周波数だけを除外できるので、ホップ周波数データ変更手段による処理が速やかになされ、きわめて便利である。しかも、いたずらに何度もホップ周波数データ列が変更されることはないので、変更時に使われる予備の周波数を過剰に空けておかなくてもよい。
【0024】
更に、本発明の無線通信システムにおいて、請求項6記載の如く、
前記子機側のホップ周波数データ発生手段が、前記子機−子機間通信用ホップ周波数データ列として、互いに異なる2以上のホップ周波数データ列を発生可能に構成され、
前記子機側の通信手段が、前記2以上のホップ周波数データ列のいずれかを使用して送受信を行うことにより、2組以上の子機−子機間で同時に通信可能な2以上のチャネルを形成すると、
システム内に4台以上の子機が存在する場合に、2組以上の子機−子機間でも、互いに影響を受けることなく同時に通信できるのでより一層便利である。
【0025】
また、請求項7記載の如く、
親機に少なくとも2以上の外部通信路が接続され、その外部通信路のいずれかが、前記通信手段を介して子機に接続される構成になっていると、
いずれの外部通信路を介してでも、所定の子機を使って外部との通話ができるので、各外部通信路に対応させてそれぞれに子機を設けなくてもよい。しかも、子機を使って外部との通話を行っている最中にも、親機を使えば別の外部通信路を介して通信できる。したがって、例えば子機を使って外部と通話している最中に、親機となるファクシミリ装置でファクシミリデータを送受信する等、親機及び子機をそれぞれ有効に運用できる。
【0026】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施の形態として、本発明の無線通信システムの具体例を図面に基づいて説明する。なお、以下に説明する具体例は、本発明の実施の形態の一例に過ぎず、本発明の実施の形態が以下に例示する具体的な装置に限られる訳ではない。
【0027】
本無線通信システムは、図1に示す通り、外部通信路である電話回線に接続される1台の親機10と、親機10との無線通信が可能な3台の子機11〜13とで構成されている。
これらの内、親機10及び子機11〜13はいずれも、図2に示す通り、所定のホッピングパターンで周波数を切り替えるために使われるホップ周波数データを発生させるホップ周波数データ発生部21と、ホップ周波数データ発生部21から与えられるホップ周波数データを使って、入力信号を拡散して送信信号にすると共に、受信信号を逆拡散して出力信号にする通信部22とを備えている。
【0028】
ホップ周波数データ発生部21は、クロック30からの出力信号を入力する毎にカウントアップされるフレームカウンタ32と、フレームカウンタ32からホッピング開始信号を入力する毎にカウントアップされるホッピングカウンタ34と、所定のホップ周波数データ列を記憶するホッピングテーブル36とを備え、逐次変動するホッピングカウンタ34からの入力値に応じてホッピングテーブル36からホップ周波数データを読み出し、そのホップ周波数データを出力信号として発生させている。なお、これらのフレームカウンタ32、ホッピングカウンタ34、ホッピングテーブル36は、上記の様に別体のものとして構成してもよいが、中央演算処理装置(CPU)による演算に置換することが可能である。
【0029】
また、通信部22は、ホップ周波数データ発生部21からホップ周波数データが与えられると、それに応じた発振周波数fN'で発振する周波数シンセサイザ40を備え、周波数シンセサイザ40からの発振周波数fN'の信号と送話器側からの周波数fIFの入力信号をミキサ41で混合し、ミキサ41から出力される周波数fN の送信信号をアンプ42で増幅し、その信号をアンテナスイッチ43を介してアンテナ23から発信するように構成されている。また一方、アンテナ23で受信した周波数fN の信号を、アンテナスイッチ43を介してアンプ45に入力して増幅し、その周波数fN の信号と上記周波数シンセサイザ40からの発振周波数fN'の信号をミキサ46で混合して、周波数fIFの出力信号を生成するように構成されている。これらの送信又は受信動作は、アンテナスイッチ43の切り替え位置に応じて、いずれか一方が行われる。
【0030】
更に、ホップ周波数データ発生部21は、通信部22から出力される出力信号を入力し、その信号のビット誤りを検出する妨害検出器39を備えている。この妨害検出器39は、所定の誤り訂正符号化方式により、情報ビットに対して予め送信側で付加された所定の冗長ビットに基づいてビット誤りを検出している。なお、誤り訂正符号化方式については、種々の方式が知られているが、ディジタル音声伝送における代表的な例としては、例えばBCH(Bose-Chaudhuri-Hocquenghem)符号、あるいはRS(Reed-Solomom)符号を用いた誤り訂正符号化を挙げることができる。
【0031】
なお、親機10及び子機11〜13は、上記本発明における主要な構成の他に、それぞれ通常のコードレス電話機の親機及び子機が備える構成(例えば、受話器、送話器、ダイヤルキー、各種スイッチ等)を備えているが、これらは周知のものと全く同じなので、図示及び説明を省略する。
【0032】
次に、本無線通信システムにおける通信方法について説明する。
本無線通信システムでは、TDD(時分割デュープレクス)を用いて双方向通信を行っている。即ち、親機10と子機11〜13のいずれかとの間で通信が行われる場合は、図3に示す様に、親機10は、周波数ホップ51、送信52、送受切り替え53、及び受信54の各フェーズからなるフレーム50を単位として動作する一方、子機11〜13は、周波数ホップ61、受信62、送受切り替え63、及び送信64の各フェーズからなるフレーム60を単位として動作する。これらの各フェーズは、それぞれフレーム内での開始から終了までのタイミングが予め決められており、上述の如くカウントアップされるフレームカウンタ32からの出力信号(出力値)に基づいて、次のフェーズへの切り替えが管理されている。
【0033】
これら各フェーズの内、周波数ホップフェーズは、フレームの切り替えに伴って遷移状態となる送受信周波数を安定させる期間で、各機器間で互いに送受信は行わない。
また、親機10の送信フェーズ(即ち、子機11〜13の受信フェーズ)は、親機10から子機11〜13への信号が発信される期間で、ここで送信される信号には、送話器側からの入力信号の他に、制御信号として、親機10と子機11〜13とのフレームの同期を維持するために必要な同期信号、子機11〜13を呼び出す呼出信号、子機11〜13からの呼出を受け付けた旨を示す接続了承信号、親機10が通信中である旨を示すビジー信号などがある。
【0034】
同期信号は、全送信ビット中の特定位置に埋め込まれた特定パターンのビット列からなり、このビット列を子機11〜13が受信信号中から検出したら、そのビット列の位置が上記特定位置と一致するように、子機側のフレームカウンタ32をリセットする。即ち、例えば、フレームカウンタ32の値がmの時に親機10が上記特定パターンのビット列を送信し終えるとすると、これを受信した子機11〜13は、上記特定パターンのビット列を受信し終えた時点で、強制的にフレームカウンタ32の値をmに再設定する。これにより、子機側のフレームカウンタ32は親機側と一致し、以後は、親機10及び子機11〜13のそれぞれが、自身のクロック30からのパルス信号でフレームカウンタ32のカウントアップを管理するだけで、フレームを切り替えるタイミング等が親機10と子機11〜13とで一致する。この様な同期調整を適当なタイミングで実施すれば、親機10と各子機11〜13とで、それぞれのクロック30の出力するパルス間隔に多少の誤差があっても、フレームの切り替わるタイミングに大きなずれは生じない。呼出信号は、親機10が子機11〜13のいずれかとの通信を開始する際に、まず最初に発信する信号で、リンクすべき子機を指定するID等が含まれている。逆に、接続了承信号は、先に子機11〜13から送られて来ている呼出信号に対し、親機10が通信可能である場合に送信する信号で、この信号を送信したら次のフレームから呼出側の子機との通信が開始される。ビジー信号は、親機10が通信中であることを示す信号で、子機11〜13のいずれと通信中であるかを示すID等が含まれている。
【0035】
また、送受切り替えフェーズは、親機10及び子機11〜13のそれぞれにおいて、送信と受信が入れ替わる遷移期間で、各機器間で互いに送受信は行わない。
また、親機10の受信フェーズ(即ち、子機11〜13の送信フェーズ)は、子機11〜13から親機10への信号が発信される期間で、ここで送信される信号には、任意の内容となる音声などのデータ信号の他に、制御信号として、子機11〜13側で親機10との同期が取れたことを返答する同期確認信号、親機10又は子機11〜13のいずれかを呼び出す呼出信号、親機10又は子機11〜13のいずれかからの呼出を受け付けた旨を示す接続了承信号、子機11〜13が通信中である旨を示すビジー信号などがある。
【0036】
同期確認信号は、正常同期調整ができた場合に、その確認として送信される信号で、この信号が送信されてこなければ、応答のない子機11〜13について、同期が取れていないものと親機側で判断することができる。なお、呼出信号、接続了承信号、及びビジー信号は、子機11〜13が主体となること以外は、親機10の発信するものと同様の主旨の信号である。
【0037】
これら各フェーズにて構成されるフレームを単位として、1つのフレームにおいて送受信が行われ、この送受信が複数フレームにわたって繰り返し実行されることにより、機器間での双方向通信が実現される。
なお、本無線通信システムでは、後から詳述する通り、子機−子機間での通信が可能であるが、子機−子機間で通信を開始した場合は、発呼側となる子機が、親機10と同様に、周波数ホップ51、送信52、送受切り替え53、及び受信54の各フェーズからなるフレーム50を単位として動作する。これにより、通常通り上記フレーム60を単位として動作している子機との間で、双方向通信が可能となる。
【0038】
また、送信フェーズでは、送信の必要な機器が送信動作を行うが、送信の不要な機器については、受信フェーズと同様に受信動作を行っている。
次に、通信時に使用する周波数の切り替え方法について説明する。
本無線通信システムでは、上述したフレームを単位として、フレーム毎に使用する周波数を切り替えながら、周波数ホッピング方式によりスペクトラム拡散通信を行っている。
【0039】
より具体的には、ホップ周波数データ発生部21では、まず、フレームカウンタ32が0(ゼロ)にリセットされる。フレームカウンタ32は、クロック30のパルス信号を0から所定値までカウントし、所定値に達したら0(ゼロ)にリセットされるもので、この0(ゼロ)から所定値に達するまでの時間が、1フレームの長さに相当し、フレームカウンタ32が0(ゼロ)にリセットされることにより、周波数ホップフェーズに入ったと判断できる。
【0040】
周波数ホップフェーズに入ると、引き続いてホッピングカウンタ34がカウントアップされる。ホッピングカウンタ34の値Nは、フレームカウンタ32が0(ゼロ)にリセットされる毎に、即ち、フレームが切り替わる毎にカウントアップされ、所定値nに達したら再び0(ゼロ)に戻る。
【0041】
そして、このホッピングカウンタ34の値N(以下、ホップ番号Nともいう)をパラメータにして、ホッピングテーブル36からホップ周波数データが読み出され、このホップ周波数データを出力信号として出力する。
親機10の場合、ホッピングテーブル36には、図4(a)に示す様に、ホップ番号Nに対応付けられた複数のホップ周波数データb0 、b1 、b2 、・・・、bn 、・・・からなるホップ周波数データ列Bが記憶されている。一方、子機11〜13の場合、ホッピングテーブル36には、図4(b)に示す様に、親機側と全く同じホップ周波数データ列Bに加え、ホップ周波数データ列H1、H2が記憶されている。ホップ周波数データ列H1は、0〜3番目までがホップ周波数データ列Bと同じホップ周波数データb0 、b1 、b2 、b3 で構成され、4番目以降が、特有のホップ周波数データh14 、h15 、・・・、h1n ・・・で構成されている。ホップ周波数データ列H2も、0〜3番目までは、ホップ周波数データ列H1と同様に、ホップ周波数データ列Bと同じホップ周波数データb0 、b1 、b2 、b3 で構成され、4番目以降は、特有のホップ周波数データh24 、h25 、・・・、h2n 、・・・で構成されている。
【0042】
親機−子機間通信を行う場合は、親機及び子機の双方で、ホップ周波数データ列Bが選択される。また、子機−子機間通信を行う場合は、子機の組合せに応じてホップ周波数データ列H1、H2のいずれかが選ばれる。本システムの場合、子機11〜13に子機番号#1〜#3が付けられており、通信を行う2台の子機の内、若い方の子機番号#1、#2に応じて、ホップ周波数データ列H1、H2が選ばれる。この様な子機−子機間通信用ホップ周波数データ列の選択方法は、子機が4台以上ある場合に有意である。即ち、例えば子機が4台あるとすれば、子機の台数より1つだけ少ないホップ周波数データ列H1〜H3が用意され、互いに通信を行う2台の子機の内、若い方の子機番号#1〜#3のいずれかに応じてホップ周波数データ列が選ばれる。こうすると、2組の子機同士が同時に通信を行う場合に、子機同士を如何なる組合せにしようとも、互いの子機番号だけに基づいて確実に異なるホップ周波数データ列を選択できる。ちなみに、同時に組合せ可能な子機同士の組は、全子機の台数の半分(奇数台の場合は小数点以下切捨て)となるので、その組の数だけ子機−子機間通信用のホップ周波数データ列を用意しておけば、2組以上の子機同士が同時に通信することは十分に可能であり、この方が必要な記憶容量を低減できる等の利点がある。但し、この場合、互いの子機番号だけでは、使用可能なホップ周波数データ列を判断できないので、別途、ホップ周波数データ列の使用状況がわかるようなデータを保持するか、各チャネルをモニタして使用中か否かをチェックするといった処理を要するなど、より複雑な制御が必要である。
【0043】
さて、親機−子機間通信の場合を例にして説明を続けると、例えばあるフレームにおいて、ホッピングカウンタ34が0(ゼロ)であれば、ホップ周波数データb0 が周波数シンセサイザ40に与えられ、周波数シンセサイザ40は発振周波数f0'で発振する。そして、この発振周波数f0'の信号により、周波数fIFの入力信号が周波数f0 の送信信号に変換されて出力される。一方、同じく発振周波数f0'の信号により、周波数f0 の受信信号は周波数fIFの出力信号に変換される。
【0044】
上記ホッピングカウンタ34のホップ番号Nは、フレームが切り替わる毎に、0(ゼロ)からnまでカウントアップされた後、再び0(ゼロ)に戻るため、ホップ周波数データ発生部21が発生させるホップ周波数データは、b0 、b1 、b2 、・・・、bn 、b0 、・・・と循環するように変動し、それに伴って、最終的に送受信に使われる周波数fN がf0 、f1 、f2 、・・・、fn 、f0 、・・・と循環するように変動することになる。
【0045】
ホップ周波数データbi と送受信周波数fi は、ある比例関係をもって1対1に対応する値になっており、ホップ周波数データb1 〜bn が擬似乱数値で設定されているため、送受信周波数f1 〜fn は予め定められた所定の周波数帯域内でランダムに変動(ホップ)する。
【0046】
子機−子機間通信の場合も、上記と同様の仕組みで、フレーム毎に使用する周波数がランダムに切り替わるが、選択されるホップ周波数データ列が異なるため、ホッピングパターン(周波数の切り替わりの状態)は、親機−子機間通信のホッピングパターンとは異なるものになる。例えばホップ周波数データ列H1が選ばれた場合であれば、上記ホッピングカウンタ34のカウントアップに伴い、ホップ周波数データ発生部21が発生させるホップ周波数データは、b0 、b1 、b2 、b3 、h14 、・・・、h1n 、b0 、・・・と変動し、それに伴って、最終的に送受信に使われる周波数fN がf0 、f1 、f2 、f3 、g4 、・・・、gn 、f0 、・・・と変動する。
【0047】
但し、ホップ周波数データ列B、H1、H2には、いずれもホップ周波数データb0 〜b3 を発生させる期間が設けられている。この様なフレーム(以下、制御フレームともいう)は、全機器間で各種制御信号の送受信を行うために設けてある。本システムの場合は、制御フレームが全部で4フレームになっているが、これは少なくとも親機の台数に子機の台数を加えた数となるように設定してある。子機の数を更に増設可能であれば、予め増設可能な最大数分だけ、制御フレームを設定しておけばよい。この様な制御フレームでは、共通の周波数f0 〜f3 で送受信を行うため、選択されたホップ周波数データ列がB、H1、H2のいずれであるかにかかわらず、全機器間で送受信が可能である。そのため、同時に2以上の機器が送信するのを防ぐため、親機10と子機11〜13との間で、予め取り決められた順序にしたがって送受信を行わねばならない。なお、制御フレーム以外のフレームでは、通信中の機器間でのみ送受信周波数が一致するので、当該機器間で取り決められた順序のみにしたがって送受信を行っても、他のチャネルとの衝突等は発生しない。
【0048】
ところで、ホッピングテーブル36のホップ周波数データ列Bには、n+1番目以降にも、ホップ周波数データbn+1 、bn+2 、・・・等のホップ周波数データが用意されている。これらは、妨害検出器39によってビット誤りが検出された際に使われる予備のホップ周波数データで、具体例を交えながら説明すると、ホップ周波数データ発生部21がホップ周波数データb1 を発生させた際に、妨害検出器39によって受信信号からビット誤りが検出されると、ホップ周波数データ列Bの1番目のデータが、ホップ周波数データbn+1 に更新され、以降は、ホップ周波数データ発生部21が、b0 、bn+1 、b2 、・・・、の順にホップ周波数データを発生させる。これにより、仮に周囲の機器が周波数f1 を使っていることが原因で妨害を受けていたとしても、この周波数f1 は以降使用されなくなり、妨害を受ける可能性が低下する。
【0049】
次に、親機10で実行される送受信処理について説明する。なお、親機10での送受信は、ホップ周波数データ列Bを使って行われる。
まず、図5に示す様に、ホップ番号Nが0(ゼロ)にリセットされることにより、所定の周波数へホップする(S102)。これにより、制御フレームに入る。
ここで、特定の子機を呼び出すか否かをチェックする(S104)。子機を呼び出さない場合には(S104:NO)、そのフレームの送信フェーズにおいて同期信号を送信する(S106)。そして、ホップ番号Nがカウントアップされて、次の周波数へホップし(S108)、そのフレームの受信フェーズにおいて子機11からの制御信号を受信する(S110)。また、引き続いて、ホップ番号Nがカウントアップされて、次の周波数へホップし(S112)、そのフレームの受信フェーズにおいて子機12からの制御信号を受信し(S114)、更に、ホップ番号Nがカウントアップされて、次の周波数へホップし(S116)、そのフレームの受信フェーズにおいて子機13からの制御信号を受信する(S118)。各子機からの制御信号には、先に説明した同期確認信号が含まれ、また、親機10に対する呼出信号が含まれる可能性があり、親機10は子機からの呼出信号の有無をチェックする(S120)。
【0050】
子機からの呼出がなければ(S120:NO)、親機10は、各部を省電力状態に移行させてスリープする(S122)。そして、以後は、制御フレームを抜けて、ホップ番号Nが0(ゼロ)にリセットされるまで(S124:NO)、スリープ状態を継続し、ホップ番号Nがリセットされたら(S124:YES)、各部の省電力状態を解除してウェイクし(S126)、S102へと戻る。
【0051】
一方、上記S120において、子機からの呼出があれば(S120:YES)、図6に示す様に、ホップ番号Nがカウントアップされて、次の周波数へホップし(S140)、制御フレームを抜け、そのフレームの送信フェーズにおいて接続了承信号を送信する(S142)。そして、そのフレームの受信フェーズにおいて確認信号を受信したら(S146)、後述する親機−子機間通話が次のフレームから開始される。
【0052】
さて一方、図5に示した処理中、S104において、子機を呼び出す場合には(S104:YES)、図7に示す通り、そのフレームの送信フェーズにおいて同期信号と共に特定の子機に対する呼出信号を送信する(S160)。この呼出信号には、例えば子機12を指定するIDが含まれており、呼出信号自体は、全子機11〜13で受信されるが、各子機11〜13において、子機12に対する呼出信号であることを認識できる。なお、ここからは、子機12を呼び出したものとして説明を続ける。
【0053】
続いて、ホップ番号Nがカウントアップされて、次の周波数へのホップを繰り返し(S162、S163)、そのフレームの受信フェーズにおいて子機12からの接続了承信号を受信し(S164)、更に次の周波数へホップした後(S166)、制御フレームを抜ける次のフレームから、以下に説明する親機−子機間通話が開始される。S162、S166においてホップしたフレームでは、それぞれ子機11、13からの制御信号を受信するが、親機10に対する接続要求などは無効となる。なお、図6に示した処理中、S146を終えた場合も、以下に説明する親機−子機間通話が開始される。なお、接続了承信号を受信できなければ、子機が通話中、子機との同期がはずれている、子機が通信可能範囲にいない、子機の電池切れ等、様々な要因が考えられるが、いずれにしても通話不能であり、例えば通話不能であることを示す音声信号を受話器から発する等の対処をする。
【0054】
さて次に、ホップ番号Nがカウントアップされて、次の周波数へホップし(S170)、そのフレームの送信フェーズにおいて通話信号を送信すると共に(S172)、同じフレームの受信フェーズにおいて子機12からの通話信号を受信して(S174)、相互に通信を開始する。
【0055】
ここで、ホップ番号Nがリセットされていなければ(S176:NO)、通信終了か否かをチェックし(S178)、通信終了でなければ(S178:NO)、S170へ戻って親機−子機間通話を継続する。また、通信終了であれば(S178:YES)、図5に示した処理中、S122へ移行する。
【0056】
一方、S176においてホップ番号Nがリセットされていれば(S176:YES)、次の周波数へホップし(S180)、その制御フレームの送信フェーズにおいて同期信号及びビジー信号が送信される(S182)。そして、次の周波数へのホップを繰り返した後(S184〜S186)、S170へ移行し、再び親機−子機間通話を継続する。なお、S184〜S186でホップしたフレームでは、それぞれ子機11〜13からの制御信号を受信するが、仮に親機10に対する接続要求などが発信されても無効となる。
【0057】
さて、以上のような送受信処理を行う親機10に対し、各子機11〜13は、次のような送受信処理を実行する。なお、以下の説明は、子機12を例に説明するが、子機11、13も、それぞれ同様な送受信処理を行っている。
まず、図8に示す様に、ホップ番号Nがリセットされて所定の周波数へホップし(S202)、その制御フレームの受信フェーズにおいて親機10からの制御信号を受信する(S204)。制御信号中には、同期信号が含まれ、また、親機10からの呼出信号が含まれている場合がある。
【0058】
ここで、親機10からの呼出がない場合には(S206:NO)、ホップ番号Nのカウントアップにより、次の周波数へホップし(S208)、子機11を呼び出すか否かをチェックする(S210)。ここで、子機11を呼び出す場合は(S210:YES)、後述する子機−子機間通話が、次のフレームから開始される。一方、子機11を呼び出さない場合は、このフレームの受信/送信フェーズ双方とも受信状態で待機する(S212)。
【0059】
そして、ホップ番号Nがカウントアップされて、次の周波数へホップし(S214)、その制御フレームの受信フェーズにおいて子機11又は子機13からの制御信号を受信する(S215)。ここで、子機からの呼出があれば(S216:YES)、後述する子機−子機間通話が、次のフレームから開始される。一方、子機からの呼出がなければ(S216:NO)、親機10を呼び出すか否かをチェックする(S218)。ここで、親機10を呼び出すのであれば(S218:YES)、後述する親機−子機間通話が、次のフレームから開始される。一方、親機10を呼び出さないのであれば(S218:NO)、このフレームの送信フェーズにおいて同期確認信号を送信する(S220)。
【0060】
続いて、ホップ番号Nがカウントアップされて、次の周波数へホップし(S222)、子機13を呼び出すか否かをチェックする(S224)。ここで、子機13を呼び出す場合は(S224:YES)、後述する子機−子機間通話が、次のフレームから開始される。一方、子機13を呼び出さない場合は、このフレームの受信/送信フェーズ双方とも受信状態で待機する(S226)。
【0061】
また続いて、各部を省電力状態に移行させてスリープする(S228)。そして、ホップ番号Nがリセットされるまで(S230:NO)、スリープ状態を継続し、ホップ番号Nがリセットされたら(S230:YES)、各部の省電力状態を解除してウェイクし(S232)、S202へと戻る。
【0062】
さて、上記S206において、親機10からの呼出がある場合には(S206:YES)、図9に示す様に、ホップ番号Nがカウントアップされて、次の周波数へホップし(S240)、このフレームの受信/送信フェーズ双方とも受信状態で待機する(S242)。そして、ホップ番号Nがカウントアップされて、更に次の周波数へホップし(S244)、そのフレームの送信フェーズにおいて接続了承信号が送信される(S245)。そして更に、ホップ番号Nがカウントアップされて、次の周波数へホップし(S246)、このフレームの受信/送信フェーズ双方とも受信状態で待機する(S247)。
【0063】
さて続いて、ホップ番号Nがカウントアップされて、次の周波数へホップし(S248)、そのフレームの受信フェーズにおいて親機10からの通話信号を受信すると共に(S250)、同じフレームの送信フェーズにおいて通話信号を送信して(S252)、相互に通信を開始する。
【0064】
ここで、ホップ番号Nがリセットされていなければ(S254:NO)、通信終了か否かをチェックし(S256)、通信終了でなければ(S256:NO)、S248へ戻って親機−子機間通話を継続する。また、通信終了であれば(S256:YES)、図8に示した処理中、S228へ移行する。
【0065】
一方、S254においてホップ番号Nがリセットされていれば(S254:YES)、次の周波数へホップし(S260)、そのフレームの受信フェーズにおいて同期信号を受信する(S262)。そして、ホップ番号Nのカウントアップにより、周波数のホップを3回繰り返して制御フレームを抜け(S264〜S266)、S248へ移行して、再び親機−子機間通話を継続する。
【0066】
さて次に、図8に示した処理中、S210又はS224において子機の呼出をする場合には(S210:YES、又は、S224:YES)、子機12の本来の送信/受信フェーズの順序を逆転させて以下の処理を行う。以下、子機13を呼び出す場合(S224:YES)を例にして説明を続けるが、子機11の場合も同様の処理である。
【0067】
まず、図10に示す様に、そのフレームの送信フェーズにおいて子機13に対する呼出信号を送信し(S300)、続く受信フェーズにおいて子機13からの接続了承信号を受信する(S302)。こうして、互いにリンク可能な状態であることを確認したら、これまで使用してきたホップ周波数データ列Bを、ホップ周波数データ列H2に変更する(S304)。なお、ここでは、子機13との通話を想定しているため、次のフレームから通話が開始されるが、子機11との通話の場合は、残る2つの制御フレームを抜けるまで通話を開始しない。
【0068】
続いて、ホップ番号Nがカウントアップされて、次の周波数へホップし(S306)、そのフレームの送信フェーズにおいて通話信号を送信すると共に(S308)、同じフレームの受信フェーズにおいて子機13からの通話信号を受信して(S310)、相互に通信を開始する。
【0069】
このフレームからは、子機12、13が、いずれもホップ周波数データ列H2を使って送受信信号の周波数をホップさせているので、この時点で、ホップ周波数データ列Bを使って送受信信号の周波数をホップさせている親機10及び子機11とは、全く別のチャネルが形成されることになる。したがって、この時、親機10と子機11との間で通信が開始されたとしても、互いに通信を妨害したりすることはない。
【0070】
そして、ホップ番号Nがリセットされていなければ(S312:NO)、通信終了か否かをチェックし(S314)、通信終了でなければ(S314:NO)、S306へ戻って子機−子機間通話を継続する。また、通信終了であれば(S314:YES)、それまで使用してきたホップ周波数データ列H2を、ホップ周波数データ列Bに変更し(S316)、図8に示した処理中、S228へ戻る。
【0071】
一方、S312においてホップ番号Nがリセットされていれば(S312:YES)、次の周波数へホップする(S320)。この時は、引続きホップ周波数データ列H2が使われているが、ホップ番号Nがリセットされてから4フレームの間は、ホップ周波数データ列Bと同じホップ周波数データが発生するため、親機10からの制御信号を受信可能になり、このフレームの受信フェーズにおいて親機10からの同期信号を受信する(S322)。そして、ホップ番号Nのカウントアップにより、周波数のホップを3回繰り返して制御フレームを抜け(S324〜S326)、S306へ移行し、再び子機−子機間通話を継続する。
【0072】
さて次に、図8に示した処理中、S216において子機からの呼出がある場合には(S216:YES)、子機−子機間通話を開始する。以下、子機13から呼び出された場合を例にして説明を続けるが、子機11の場合も同様の処理である。
【0073】
まず、図11に示す様に、そのフレームの送信フェーズにおいて子機13に対して接続了承信号を送信する(S340)。そして、これまで使用してきたホップ周波数データ列Bを、ホップ周波数データ列H2に変更する(S342)。
そして、ホップ番号Nがカウントアップされて、次の周波数へホップし(S344)、更にホップ番号Nがカウントアップされて、次の周波数へホップし(S346)、そのフレームの受信フェーズにおいて通話信号を受信すると共に(S348)、同じフレームの送信フェーズにおいて子機13に対して通話信号を送信して(S350)、相互に通信を開始する。
【0074】
このフレームからは、子機12、13が、いずれもホップ周波数データ列H2を使って送受信信号の周波数をホップさせているので、この時点で、ホップ周波数データ列Bを使って送受信信号の周波数をホップさせている親機10及び子機11とは、全く別のチャネルが形成されることになる。したがって、この時、親機10と子機11との間で通信が開始されたとしても、互いに通信を妨害したりすることはない。
【0075】
そして、ホップ番号Nがリセットされていなければ(S352:NO)、通信終了か否かをチェックし(S354)、通信終了でなければ(S354:NO)、S346へ戻って子機−子機間通話を継続する。また、通信終了であれば(S354:YES)、それまで使用してきたホップ周波数データ列H2を、ホップ周波数データ列Bに変更し(S356)、図8に示した処理中、S228へ戻る。
【0076】
一方、S352においてホップ番号Nがリセットされていれば(S352:YES)、次の周波数へホップする(S360)。この時は、引続きホップ周波数データ列H2が使われているが、ホップ番号Nがリセットされてから4フレームの間は、ホップ周波数データ列Bと同じホップ周波数データが発生するため、親機10からの制御信号を受信可能になり、このフレームの受信フェーズにおいて親機10からの同期信号を受信する(S362)。そして、ホップ番号Nのカウントアップにより、周波数のホップを3回繰り返して制御フレームを抜け(S364〜S366)、S346へ移行し、再び子機−子機間通話を継続する。
【0077】
さて次に、図8に示した処理中、S218において親機10の呼出をする場合には(S218:YES)、図12に示す様に、そのフレームの送信フェーズにおいて親機10に対して呼出信号を送信し(S380)、ホップ番号Nのカウントアップにより、周波数のホップを2回繰り返し(S382、S384)、制御フレームを抜け、そのフレームの受信フェーズにおいて親機10からの接続了承信号を受信する(S386)。そして、そのフレームの送信フェーズにおいて確認信号を送信したら(S388)、図9に示す処理中、S248へ移行し、既に説明した親機−子機間通話が次のフレームから開始される。
【0078】
以上説明した親機10及び子機12(子機11、13も同様)の各処理により、親機−子機間および子機−子機間で、それぞれ独立して直接通信を行うことができる。
次に、上記各処理により行われる通信動作の状態について、図13に示すタイミングチャートを使って説明する。
【0079】
初めに、親機10及び子機11〜13が待機状態にある場合について説明する。
まず、ホップ番号Nが0になってフレームA0になると、親機10が同期信号を含む制御信号を周波数fB で送信し、この制御信号を子機11〜13が受信する。これにより、子機11〜13において、親機10との同期調整が行われる。図13において、正方形の印は信号の送信動作を意味し、送信動作を行っていない機器はすべて受信動作を行っている。周波数fB は、上述したホップ周波数データ列Bを使って切り替わる周波数であり、ホップ番号Nに応じてフレームが切り替わる毎にf0 、f1 、f2 、・・・、fn 、f0 の順に循環して切り替わるが、図においては単にfB と表してある。なお、後述するフレームE2に至るまで、各機器はすべて周波数fB で送受信を行っている。
【0080】
続いて、ホップ番号Nが1になってフレームA1になると、子機11が同期確認信号を含む制御信号を周波数fB で送信し、この制御信号を親機10が受信する。以下、ホップ番号Nがカウントアップされる毎に次のフレームA2、A3へ切り替わり、子機12、13が順に同期確認信号を含む制御信号を周波数fB で送信し、この制御信号を親機10が受信する。
【0081】
そして、ホップ番号Nが4になってフレームA4になると、以降、ホップ番号NがnになってフレームAnとなるまで、親機10及び各子機11〜13はスリープ状態になる。そして、ホップ番号Nが0にリセットされてフレームB0になると、この時、親機10及び子機11〜13がウェイク状態となる。
【0082】
つまり、待機時においては、ホップ番号Nが0〜3の制御フレームではウェイク状態となって制御信号の送受信を行い、ホップ番号N4〜nの通常フレームではスリープ状態となって電力の消費を抑制する。
次に、親機10から子機12を呼び出す場合について説明する。
【0083】
まず、ホップ番号Nが0になってフレームB0になると、親機10が同期信号及び呼出信号を含む制御信号を周波数fB で送信し、この制御信号を子機11〜13が受信する。そして、ホップ番号Nが1になってフレームB1になると、子機11が同期確認信号を含む制御信号を周波数fB で送信し、この制御信号を親機10が受信する。
【0084】
続いて、ホップ番号Nが2になってフレームB2になると、子機12が同期確認信号及び接続了承信号を含む制御信号を周波数fB で送信し、この制御信号を親機10が受信する。そして、ホップ番号Nが3になってフレームB3になると、子機13が同期確認信号を含む制御信号を周波数fB で送信し、この制御信号を親機10が受信する。
【0085】
続いて、ホップ番号Nが4になってフレームB4になると、前半のフェーズにおいて、親機10が通話信号を周波数fB で送信し、この通話信号を子機12が受信する。また、同じフレームの後半のフェーズにおいて、子機12が通話信号を周波数fB で送信し、この通話信号を親機10が受信する。以降、ホップ番号NがnになってフレームBnとなるまで、親機10と子機12の間で通話信号の送受信が行われる。なお、子機11、13は、上述の通り、いずれもスリープ状態になって待機する。
【0086】
続いて、ホップ番号Nが0にリセットされてフレームC0になると、子機11、13はいずれもウェイク状態になる。この時、親機10が同期信号及びビジー信号を含む制御信号を周波数fB で送信し、この制御信号を子機11〜13が受信する。そして、ホップ番号Nが1になってフレームC1になると、子機11が同期確認信号を含む制御信号を周波数fB で送信する。
【0087】
続いて、ホップ番号Nが2になってフレームC2になるが、既に親機10とのリンクが成立している子機12は、制御信号等を特に送信してもしなくてもよい。そして、ホップ番号Nが3になってフレームC3になると、子機13が同期確認信号を含む制御信号を周波数fB で送信する。
【0088】
続いて、ホップ番号Nが4になってフレームC4になると、再び親機10と子機12との間の通話が開始され、前半のフェーズにおいて、親機10が通話信号を周波数fB で送信し、この通話信号を子機12が受信すると共に、同じフレームの後半のフェーズにおいて、子機12が通話信号を周波数fB で送信し、この通話信号を親機10が受信する。
【0089】
こうして、以降通話終了まで、ホップ番号Nが0〜3の制御フレームでは制御信号の送受信、ホップ番号Nが4〜nの通常フレームでは親機10と子機12の間で通話信号の送受信が繰り返される。制御フレームの間は、通話信号の送受信が途切れるが、これは数十ミリ秒程度の時間なので、利用者の会話が途切れる様なことはない。
【0090】
なお、フレームC1、C3では、子機11、13が同期確認信号を送信しているが、通話中の親機10は、子機からの同期確認信号を特に処理していない。したがって、子機側の処理で、フレームC0でビジー信号が送信された場合は、フレームC1、C3で制御信号を送信しない様にしてもよい。また、子機11、13は、親機10から子機12に対する呼出信号や、親機10からのビジー信号を受信しているので、親機10や子機12に対する発呼操作が行われれば、利用者に親機10や子機12が使用中である旨を通知することができる。
【0091】
次に、子機12から親機10を呼び出す場合について説明する。
まず、ホップ番号Nが0になってフレームD0になると、親機10が同期信号及び呼出信号を含む制御信号を周波数fB で送信し、この制御信号を子機11〜13が受信する。そして、ホップ番号Nが1になってフレームD1になると、子機11が同期確認信号を含む制御信号を周波数fB で送信し、この制御信号を親機10が受信する。
【0092】
続いて、ホップ番号Nが2になってフレームD2になると、子機12が同期確認信号及び呼出信号を含む制御信号を周波数fB で送信し、この制御信号を親機10が受信する。そして、ホップ番号Nが3になってフレームD3になると、子機13が同期確認信号を含む制御信号を周波数fB で送信し、この制御信号を親機10が受信する。
【0093】
続いて、ホップ番号Nが4になってフレームD4になると、前半のフェーズにおいて、親機10が接続了承信号を周波数fB で送信し、この接続了承信号を子機12が受信する。また、同じフレームの後半のフェーズにおいて、子機12が確認信号を周波数fB で送信し、この確認信号を親機10が受信する。なお、子機11、13は、上述の通り、いずれもスリープ状態になって待機する。
【0094】
続いて、ホップ番号Nが5になってフレームD5になると、前半のフェーズにおいて、親機10が通話信号を周波数fB で送信し、この通話信号を子機12が受信する。また、同じフレームの後半のフェーズにおいて、子機12が通話信号を周波数fB で送信し、この通話信号を親機10が受信する。以降、ホップ番号NがnになってフレームDnとなるまで、親機10と子機12の間で通話信号の送受信が行われる。
【0095】
次に、子機13が子機11を呼び出す場合について説明する。なお、ここでは、上記親機10と子機12の通話が継続している状態を想定しているが、親機10及び子機12が待機状態にあっても処理に変わりはない。
まず、ホップ番号Nが0にリセットされてフレームE0になると、子機11、13はいずれもウェイク状態になる。この時、親機10が同期信号及びビジー信号を含む制御信号を周波数fB で送信し、この制御信号を子機11〜13が受信する。
【0096】
続いて、ホップ番号Nが1になってフレームE1になると、前半のフェーズにおいて、子機13が呼出信号を周波数fB で送信し、この呼出信号を子機11が受信すると共に、同じフレームの後半のフェーズにおいて、子機11が接続了承信号を周波数fB で送信し、この接続了承信号を子機13が受信する。即ち、着呼側の子機が制御信号を送信するフレームにおける着呼側の子機の受信フェーズに、発呼側の子機が呼出信号を送信すると共に、そのフレームにおける着呼側の子機の送信フェーズに、発呼側の子機に対する接続了承信号が直ちに送信される。
【0097】
続いて、ホップ番号Nが2になってフレームE2になると、子機11及び子機13は、いずれも、それまで使用してきたホップ周波数データ列Bを、ホップ周波数データ列H1に変更する。
そして、ホップ番号Nが3、4とカウントアップされてフレームE4になると、再び親機10と子機12との間の通話が開始され、前半のフェーズにおいて、親機10が通話信号を周波数fB で送信し、この通話信号を子機12が受信すると共に、同じフレームの後半のフェーズにおいて、子機12が通話信号を周波数fB で送信し、この通話信号を親機10が受信する。
【0098】
また、それと同時に、子機11と子機13との間の通話も開始され、前半のフェーズにおいて、子機13が通話信号を周波数fH1で送信し、この通話信号を子機11が受信すると共に、同じフレームの後半のフェーズにおいて、子機11が通話信号を周波数fH1で送信し、この通話信号を子機13が受信する。
【0099】
周波数fH1は、上述したホップ周波数データ列H1を使って切り替わる周波数であり、ホップ番号Nに応じてフレームが切り替わる毎にf0 、f1 、f2 、f3 、g4 、g5 、・・・、gn 、f0 の順に循環して切り替わるが、図においては単にfH1と表してある。ホップ番号Nが0〜3の制御フレームの間は、送受信周波数としてf0 〜f3 が使われるので、親機10からの制御信号を受信することができる。一方、ホップ番号Nが4〜nとなる通常フレームの間は、送受信周波数としてg4 〜gn (gi ≠fi )が使われるので、親機10と子機12、子機11と子機13の2組が同時に送受信を行っても、互いに通信を妨害することはない。
【0100】
こうして、以降通話終了まで、ホップ番号Nが0〜3となる制御フレームの間は親機と全子機の間で制御信号の送受信、ホップ番号Nが4〜nとなる通常フレームの間は、リンクしている機器間で通話信号の送受信が繰り返される。
なお、ホップ番号Nが0にリセットされてフレームF0になると、親機10が同期信号及びビジー信号を含む制御信号を周波数fB で送信し、この制御信号を子機11〜13が受信する。これにより、子機−子機間通信を行っている子機11、13も、親機10との同期調整が行われる。以後、ホップ番号Nが4になってフレームF4になった時点で、子機11及び子機13が通信を終えたとすると、フレームF5からは、それまで使用してきたホップ周波数データ列H1を、ホップ周波数データ列Bに変更し、待機状態となる。
【0101】
また、上記説明において、親機−子機間通話は、子機11〜13使って電話回線を介した外部との通話を行う場合と、親機10と子機11〜13との間で内線通話を行う場合の双方に該当する。また、子機−子機間通話は、子機11〜13を使って内線通話を行う場合に該当する。
【0102】
以上、本発明の具体例について説明したが、本発明の具体的な構成については上記具体例以外にも種々考えられる。以下、有用な変形例について説明する。
上記具体例では、ホップ周波数データ列B、H1、H2について、部分的に同一パターンとし、同一パターン部分のホップ周波数データを発生させた際に、通信部22が親機10と全子機11〜13の間で制御信号の送受信を行うように構成してあったが、図14に示す様に、ホップ周波数データ列B、H1、H2の他に、更に別の制御用ホップ周波数データ列Cを用意し、ホップ周波数データ発生部21が制御用ホップ周波数データ列Cを発生させた際に、通信部22が親機−全子機間で制御信号の送受信を行う一方、特定機器間で通話を行う場合は、ホップ周波数データ列B、H1、H2を発生させる構成にし、待機中の機器は、常に制御用ホップ周波数データ列Cを発生させて同期調整や呼出処理を実行し、機器間でリンクが成立した場合に、ホップ周波数データ列B、H1、H2に切り替えてもよい。
【0103】
この様に制御用ホップ周波数データ列Cと親機−子機間通信用ホップ周波数データ列Bを分けておけば、親機−子機間通信中に、仮に他の待機中の子機が制御信号を発信したとしても、その信号が親機−子機間通信を妨害することはない。したがって、待機中の子機が任意のタイミングで制御信号を発信できるようになり、例えば、親機−子機間通信中であっても、制御フレームの到来を待つことなく、他の子機に対して呼出信号を発信できる。
【0104】
なお、ホップ周波数データ列C、B、H1、H2には、上記具体例と同様に、同一パターン部分を設けて同期調整等を行う制御フレームを発生させてもよいが、同期調整を行わなければ必ず同期が失われる訳ではないので、同一パターン部分を設けない構成にしてもよい。
【0105】
また、上記具体例も含めて何らかの原因で同期が取れなくなることはあるので、子機側のホップ周波数データ発生部21が、同期回復用ホップ周波数データを発生可能に構成されているとよい。この同期回復用ホップ周波数データは、親機10が同期信号を送信する周波数を受信し続けるためのもので、上記具体例の場合で言えば、ホップ周波数データ発生部21が、ホップ番号Nにかかわらずホップ周波数データb0 を発生させ続ければ、いずれ親機10が送信する同期信号を受信でき、その時点から正常な通信ができるようになる。
【0106】
更に、上記具体例では、ホップ周波数データ列B、H1、H2を使って通信を行っていたが、親機10−全子機11〜13用、親機10−子機11用、親機10−子機12用、親機10−子機13用、子機11−子機12用、子機11−子機13用、子機12−子機13用の全ての組合せについて、それぞれホップ周波数データ列を個別に用意してもよい。この場合、データの記憶に必要なメモリ容量等は増大するが、例えば、妨害検出器39によって受信信号からビット誤りが検出された場合に、特定機器間で使うホップ周波数データ列だけを修正でき、データ列の修正に伴って他の組合せで新たに妨害を受けやすくなるといった弊害を招くことがない。
【0107】
また加えて、親機10については、通常のコードレス電話機の固定機と同様に構成されているものでもよいが、図15に示す様な親機90であっても便利である。
即ち、この親機90では、2つの電話回線91、92が回線制御機93に接続され、この回線制御機93によって、常にいずれか一方が親機側の電話回路95に接続され、他方が無線回路96に接続されている。無線回路96は、子機97〜99との間に無線チャネルを形成し、本発明の無線通信システム相当の通信方法により通信を行う。
【0108】
この様な親機90であれば、例えば親機90が電話回線92を介して電話回路95により外線電話と通信中の場合に、他の電話回線91は自動的に無線回路96に接続される。これにより、子機97〜99のいずれかは電話回線91を介して外線電話と通話できる。つまり、親機と子機の双方で、同時に外線電話と通話できることになる。しかも、残りの子機については、更に同時に子機間で内線通話ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 具体例として示した無線通信システムの全体構成を示す概略構成図である。
【図2】 親機及び子機の要部の回路構成を示すブロック図である。
【図3】 双方向通信を行う際の通信単位となるフレームの説明図である。
【図4】 ホップ周波数データ列を例示する説明図である。
【図5】 親機の送受信処理を示す第1のフローチャートである。
【図6】 親機の送受信処理を示す第2のフローチャートである。
【図7】 親機の送受信処理を示す第3のフローチャートである。
【図8】 子機の送受信処理を示す第1のフローチャートである。
【図9】 子機の送受信処理を示す第2のフローチャートである。
【図10】 子機の送受信処理を示す第3のフローチャートである。
【図11】 子機の送受信処理を示す第4のフローチャートである。
【図12】 子機の送受信処理を示す第5のフローチャートである。
【図13】 親機及び子機の通信動作の状態を示すタイミングチャートである。
【図14】 変形例としてのホップ周波数データ列を例示する説明図である。
【図15】 別の構成を採用した親機を含む無線通信システムを示す概略構成図である。
【符号の説明】
10・・・親機、11,12,13・・・子機、21・・・ホップ周波数データ発生部、22・・・通信部、23・・・アンテナ、30・・・クロック、32・・・フレームカウンタ、34・・・ホッピングカウンタ、36・・・ホッピングテーブル、39・・・妨害検出器、40・・・周波数シンセサイザ、41,46・・・ミキサ、42,45・・・アンプ、43・・・アンテナスイッチ。
Claims (7)
- 外部通信路に接続可能な1台の親機と、該親機との無線通信が可能な2台以上の子機とからなり、親機及び各子機には、所定のホップ周波数データを順次発生させるホップ周波数データ発生手段と、該ホップ周波数データ発生手段から与えられるホップ周波数データを使って、入力信号を拡散して送信信号にすると共に、受信信号を逆拡散して出力信号にする通信手段とが設けられ、周波数ホッピング方式により親機−子機間で通信可能な無線通信システムであり、前記子機側のホップ周波数データ発生手段が、前記親機−子機間通信用のホップ周波数データ列とは異なる子機−子機間通信用のホップ周波数データ列を発生可能に構成され、前記子機側の通信手段が、前記子機−子機間通信用のホップ周波数データを使って、入力信号を拡散して送信信号にすると共に、受信信号を逆拡散して出力信号にすることにより、子機−子機間で直接通信を行う無線通信システムであって、
前記子機−子機間通信用のホップ周波数データ列が、前記親機−子機間通信用のホップ周波数データ列と部分的に同一パターンとされ、
前記ホップ周波数データ発生手段が前記同一パターン部分のホップ周波数データを発生させた際に、前記通信手段が親機−全子機間で制御信号の送受信を行う
ことを特徴とする無線通信システム。 - 請求項1記載の無線通信システムにおいて、
前記ホップ周波数データ発生手段が、前記親機−子機間通信用及び子機−子機間通信用ホップ周波数データ列とは異なる制御用ホップ周波数データ列を発生可能に構成され、
前記ホップ周波数データ発生手段が前記制御用ホップ周波数データを発生させた際に、前記通信手段が親機−全子機間で制御信号の送受信を行う
ことを特徴とする無線通信システム。 - 請求項1又は請求項2に記載の無線通信システムにおいて、
前記子機側のホップ周波数データ発生手段が、同期回復用ホップ周波数データを発生可能に構成され、
前記子機側のホップ周波数データ発生手段が前記同期回復用ホップ周波数データを発生させた際に、前記子機側の通信手段が、親機からの制御信号を受信可能な状態で待機する
ことを特徴とする無線通信システム。 - 請求項1〜請求項3のいずれかに記載の無線通信システムにおいて、
前記ホップ周波数データ発生手段が、
所定のホップ周波数データ列を記憶するデータ記憶手段と、
該データ記憶手段に記憶されたホップ周波数データ列中のデータを更新するホップ周波数データ変更手段と
を備えることを特徴とする無線通信システム。 - 請求項4記載の無線通信システムにおいて、
通信時に通信が妨害されたことを検出する妨害検出手段を備え、
前記ホップ周波数データ変更手段が、前記妨害検出手段による妨害検出時に使用していたホップ周波数データをデータ列中から除外する
ことを特徴とする無線通信システム。 - 請求項1〜請求項5のいずれかに記載の無線通信システムにおいて、
前記子機側のホップ周波数データ発生手段が、前記子機−子機間通信用ホップ周波数データ列として、互いに異なる2以上のホップ周波数データ列を発生可能に構成され、
前記子機側の通信手段が、前記2以上のホップ周波数データ列のいずれかを使用して送受信を行うことにより、2組以上の子機−子機間で同時に通信可能な2以上のチャネルを形成する
ことを特徴とする無線通信システム。 - 請求項1〜請求項6のいずれかに記載の無線通信システムにおいて、
親機に少なくとも2以上の外部通信路が接続され、その外部通信路のいずれかが、前記通信手段を介して子機に接続される
ことを特徴とする無線通信システム。
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