JP3641526B2 - 誘導電動機の制御装置 - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、速度検出用のセンサを用いること無しに、誘導電動機の回転速度を演算によって推定することによりベクトル制御(センサレスベクトル制御)を行う誘導電動機の制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
このような制御方式の一つとして、例えば電学論D,114巻2号に示されている磁界オリエンテーション形ベクトル制御がある。図9は、この磁界オリエンテーション形ベクトル制御を行う誘導電動機の制御装置の構成を示す制御ブロック図である。まず、原理について説明する。
【0003】
角速度ω1で回転する誘導電動機(以下、単に電動機と称す)の電圧方程式を、回転磁束座標(d,q)上で表すと次式のようになる。
【0004】
【数1】
Figure 0003641526
V1d,V1q :励磁分,トルク分電圧
i1d,i1q :一次の励磁分,トルク分電流
R1 ,R2 :電動機の一次,二次抵抗
L1 ,L2 :電動機の一次,二次自己インダクタンス
M :電動機の一次,二次間の相互インダクタンス
ω1 :電動機の一次角周波数
ωs :電動機のすべり角周波数(=ω1 −nωr )
n :電動機の極対数
σ :漏れ係数(=1−M/(L1L2))
P :微分演算子
【0005】
(1)式において、λd ′,λq ′は、二次磁束鎖交数λのd,q軸成分を相互インダクタンスMで除したものであり、電流の次元を有する量である。また、電動機の発生トルクτは次式で与えられる。
τ=n(1−σ)L1 (λd ′i1q−λq ′i1d) …(2)
ベクトル制御は、発生トルクτが一次のトルク分電流i1qのみに比例するように制御することを目的とするものである。従って、その制御条件は(2)式よりλq ′=0であり、この時、λ′(=λd ′+jλq ′)は、λ′=λd ′となって一定になる。また、(1)式を解いて微小項を無視すると、λd ′は、
λd ′=i1d …(3)
となる。この時、(2)式は、次式のようになる。
τ=n(1−σ)L1 λd ′i1q=n(1−σ)L1 i1di1q …(4)
【0006】
そして、定常状態(P=0)において、(3)式を(1)式に代入すると、次式のようになる。
V1d=R1 i1d−σL1 ω1 i1q
V1q=R1 i1q+σL1 ω1 i1d+(1−σ)L1 ω1 i1d …(5)
上記V1qの式において、右辺第3項は一次誘起電圧E1である(但し、漏れインダクタンス分は含んでいない)。
【0007】
而して、(5)式のように一次電流及び電動機定数を用いて電圧指令値を与えれば、(3)式を満足して理想的なベクトル制御を行うことができる。図10は、(5)式の電圧電流方程式で表される電動機の等価回路である。
【0008】
ここで、発生トルクτがトルク分電流指令値i1q* に比例するような制御方式を考える。外部より、励磁,トルク分電流指令値i1d* ,i1q* を与えて、励磁,トルク分電流検出値i1d,i1qを上記各指令値i1d* ,i1q* に等しくするために、励磁,トルク電圧指令値V1d* ,V1q* を、(5)式に基づいて次のように与える。
Figure 0003641526
上式の右辺末項は、励磁,トルク分電流検出値i1d,i1qの偏差をPI補償器を通してV1d,V1qに帰還するためのものである。PI補償器のゲインKdP及びKdI,KqP及びKqIを適当に設定することにより、また、系が安定であればi1d* =i1d,i1q* =i1qとすることが可能である。
【0009】
ここで、(6)式のV1q* の式を(1)式のV1qの式に代入して整理すると次式となる。
(1−σ)L1 ω1 i1d* =(KqI/P)(i1q* −i1q) …(7)
但し、微小な係数σ,KqPを無視している。この(7)式の左辺は、(5)式のV1q式右辺の第3項である一次誘起電圧E1 に等しい。よって、一次角周波数ω1 は、トルク分電流の偏差の積分である一次誘起電圧E1 から求めることができる。
ω1 =E1 /((1−σ)L1 i1d* ) …(8)
【0010】
ところで、理想的なベクトル制御が行われている状態(軸ずれのない状態)では、次式が成り立つ。
ω1 =nωr +(R2 /L2 i1d* )i1q …(9)
従って、電動機の速度推定値ωr'は、n=1とした場合、次式のようになる。
ωr'=ω1−(R2 /L2 i1d* )i1q …(10)
ここで、(9),(10)式の第2項は、すべり周波数ωs (=ω1 −ωr )に対応しており、次式によってすべり周波数推定値ωs'を得ることができる。
ωs'=(Kωs /i1d* )i1q …(11)
ただし、Kωs =R2 /L2 である。
【0011】
以上のようにして得られた速度推定値ωr'を用いると、トルク分電流指令値i1q* は次式で表される。
i1q* =(KωP +KωI /P)(ωr*−ωr') …(12)
【0012】
ここで、図9を参照して上記原理に基づいた電動機の制御装置の構成について説明する。電気的構成及び制御系のブロックを示す図9において、三相交流電源1のU,V,W各相の出力端子は、3相ブリッジ接続されたダイオードなどから構成された整流回路2の各相入力端子に接続されている。その整流回路2の直流出力端子間には、平滑コンデンサ3が接続されていると共に、インバータ主回路4の入力端子が接続されている。インバータ主回路4の出力端子は、誘導電動機(以下、単に電動機と称す)5の各相入力端子に接続されている。
【0013】
座標変換部6は、電動機5のU,V,Wの各相巻線に流れる相電流の内、例えばV及びW相電流を検出することによりU,V,Wの各相電流を得る(U相電流は、V及びW相電流の和より求められる)。そして、これらの各相電流によって電動機5の一次電流ベクトルを表す三相固定子座標系(U,V,W)を二相固定子座標系(α,β)に変換する。
【0014】
更に、この二相固定子座標系(α,β)を、後述する位相角演算部13より出力される電動機5の回転磁束の位相角θに基づいて回転磁束座標系(d,q)に変換することにより、励磁及びトルク成分電流(以下、励磁及びトルク分電流と称す)検出値i1d及びi1qを得るようになっている。そして、励磁分電流検出値i1dは、励磁分電流制御部7及び電圧指令値演算部8の入力端子に与えられており、トルク分電流検出値i1qは、速度推定値演算部9,トルク分電流制御部10及び電圧指令値演算部8の入力端子に与えられるようになっている。
【0015】
外部より与えられる励磁分電流指令値i1d* は、励磁分電流制御部7,速度推定値演算部9及び一次角周波数演算部12の入力端子に与えられる。この励磁分電流制御部7は、励磁分電流指令値i1d* と励磁分電流検出値i1dとの差にゲインKdPを乗じたものと、前記差を積分して係数KdIを乗じたものとの和、即ち、(6)式に示すV1d* の式における第3項(KdP+KdI/P)(i1d* −i1d)に対応する信号を励磁分電流補償出力として電圧指令値演算部8に対して出力するようになっている。
【0016】
速度推定値演算部9は、内部のすべり角周波数推定値演算部9aにおいて、トルク分電流検出値i1qに対してゲインKωs /i1d* を乗じることにより(12)式で表されるすべり周波数推定値ωs'を得て、後述する一次角周波数演算部12より与えられる一次角周波数ω1 からすべり周波数推定値ωs'を減じることにより速度推定値ωr'を得ると、速度制御部11に出力するようになっている。
【0017】
外部より与えられる速度指令値ωr*は、速度制御部11の入力端子に与えられるようになっている。この速度制御部11は、速度指令値ωr*と速度推定値ωr'との差に係数KωP を乗じたものと、前記差を積分して係数KωI を乗じたものとの和、即ち、(12)式で表されるトルク分電流指令値i1q* を得て、トルク分電流制御部10に出力するようになっている。
【0018】
トルク分電流制御部10は、トルク分電流指令値i1q* とトルク分電流検出値i1qとの差にゲインKqPを乗じたものと、前記差を積分して係数KqIを乗じたものとの和、即ち、(6)式に示すV1q* 式の第3項(KqP+KqI/P)(i1q* −i1q)に対応する信号を、トルク分電流補償出力として電圧指令値演算部8に対して出力するようになっている。
【0019】
また、トルク分電流制御部10は、トルク分電流指令値i1q* とトルク分電流検出値i1qとの差を積分して係数KqIを乗じた積分結果(制御結果)を、一次誘起電圧E1に相当する誘起電圧eとして一次角周波数演算部12に出力するようになっている。一次角周波数演算部12は、誘起電圧eに係数1/((1−σ)L1 i1d* )を乗じて(8)式に示す一次角周波数ω1 を得ると、電圧指令値演算部8,速度推定値演算部9及び位相角演算部13に対して出力するようになっている。位相角演算部13は、一次角周波数ω1 を時間積分して位相角θを得ると、座標変換部6及び後述する座標逆変換部14に対して出力するようになっている。
【0020】
電圧指令値演算部8は、励磁分電流制御部7から与えられる信号(KdP+KdI/P)(i1d* −i1d)に、励磁分電流検出値i1dに係数R1 を乗じたものを加えると共に、一次角周波数ω1 に係数σL1 及びトルク分電流検出値i1qを乗じたものを減じて励磁電圧指令値V1d* を得ると、座標逆変換部14に対して出力するようになっている。
【0021】
また、電圧指令値演算部8は、トルク分電流制御部10から与えられる信号(KqP+KqI/P)(i1q* −i1q)に、トルク分電流検出値i1qに係数R1 を乗じたものを加えると共に、一次角周波数ω1 に係数σL1 及び励磁分電流検出値i1dを乗じたものを加えてトルク電圧指令値V1q* 得ると、座標逆変換部14に対して出力するようになっている。
【0022】
座標逆変換部14は、励磁及びトルク電圧指令値V1d* 及びV1q* から、座標変換部6とは逆のプロセスで座標変換を行う(即ち、逆変換する)ことにより、U,V,W各相の電圧指令値Vu,Vv,Vwを得ると、PWM制御回路15に対して出力するようになっている。而して、PWM制御回路15は、電圧指令値Vu,Vv,Vwに応じて搬送波からPWM信号を作成すると、図示しない駆動回路を介してインバータ主回路4の各ゲートにゲート信号を与えて、電動機5を駆動するようになっている。
【0023】
【発明が解決しようとする課題】
この様なセンサレスベクトル制御においては、電動機5の一次角周波数ω1 が0Hz近傍となる超低速領域において、制御が不安定になってしまうという問題があった。図11は、横軸に電動機5の回転速度ωr ,縦軸に電動機5のトルクTrqをとって、電動機5の一次角周波数ω1 =0の直線を引き表わしたものである。縦軸とω1 =0の直線との差は、すべり周波数ωs を示す。
【0024】
この図10において、ω1 =0の直線近傍の斜線で示した部分が制御が不安定となる超低速領域であり、第2及び第4象限である回生領域において、特に不安定になり易いのが分かる。これは、E1 =jω1 Mim で表される電動機の一次誘起電圧E1 が、一次角周波数ω1 の低下に伴い0Vに近くなるからであると考えられる。
【0025】
通常、ベクトル制御では、励磁分電流i1dを励磁電流im に等しくすることを目的としているが、一次角周波数ω1 が零に近い場合、その積分結果として得られる位相角θを正確に得ることができなくなる。そのため、座標変換部6において電動機5の一次電流をd,q軸座標成分に,即ち、i1d,i1qに分離することが困難となり、ひいては、電動機5の座標系と電流側の座標系がずれるいわゆる“軸ずれ”が発生する。
【0026】
更に、超低速回生領域においては、電動機5の一次抵抗値R1 の誤差やデッドタイムによる影響が大きいため、軸ずれの進みも早く、制御不能になる状態に拍車をかけていると思われる。
【0027】
従って、この様なベクトル制御による電動機5を、例えばクレーンやエレベータなどに適用した場合においては、巻下げ(下降)状態にある荷重の速度を次第に減速させて停止させる際に、上記制御不能領域(超低速回生領域)を回避するために減速機を用いたり、或いは、機械的な制動を施すことによって電動機5を停止させる必要があった。
本発明は上記課題を解決するものであり、その目的は、超低速回生領域においても制御不能に陥ることがない誘導電動機の制御装置を提供することにある。
【0028】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1乃至3記載の誘導電動機の制御装置は、外部より与えられる励磁分電流指令値と誘導電動機に流れる相電流から検出された励磁分電流検出値との偏差がなくなるように制御する励磁分電流制御部と、
外部より与えられる速度指令値と速度推定値との偏差がなくなるように制御する速度制御部と、
この速度制御部の出力信号たるトルク分電流指令値と誘導電動機に流れる相電流から検出されるトルク分電流検出値との偏差がなくなるように制御するトルク分電流制御部と、
トルク分電流検出値からすべり角周波数推定値を演算するすべり角周波数推定値演算部と、
トルク分電流制御部の制御結果として得られる誘起電圧から一次角周波数を演算する一次角周波数演算部と、
この一次角周波数演算部からの一次角周波数とすべり角周波数推定値演算部からのすべり角周波数推定値とに基づいて誘導電動機の速度を推定してその速度推定値を速度制御部に与える速度推定値演算部と、
一次角周波数演算部によって演算された一次角周波数を積分して誘導電動機の回転子の回転位相角を得る位相角演算部と、
一次角周波数演算部によって演算された一次角周波数が基準値未満となった場合は、極性の異なる正極値と負極値とを交互に変化させた一次角周波数指令値を出力する一次角周波数指令値演算部を有し、一次角周波数指令値と一次角周波数との偏差からトルク分電流補正値を得て、このトルク分電流補正値を速度制御部によって出力されたトルク分電流指令値に加算するトルク分電流補正部とを備え(請求項1)、一次角周波数演算部によって演算された一次角周波数が基準値未満となった場合は、その一次角周波数の代わりに極性の異なる正極値と負極値とを交互に変化させた一次角周波数指令値を出力する一次角周波数指令値演算部とを備え(請求項2)、一次角周波数指令値演算部によって演算された一次角周波数が基準値未満となった場合は、極性の異なる正極値と負極値とを交互に変化させた一次角周波数指令値を出力する一次角周波数指令値演算部を有し、前記一次角周波数指令値を外部より与えられる速度指令値に加算する速度指令値補正部とを備え(請求項3)、位相角演算部,励磁分電流制御部及びトルク分電流制御部の出力信号に基づいてセンサレスベクトル制御を行うことを特徴とする。
【0029】
斯様に構成すれば、誘導電動機の一次角周波数が基準値未満となった場合でも、その一次角周波数ひいては誘起電圧は零に張り付くことなく、平均的に0Hz若しくはその近傍の値に維持され(請求項1)、更に、その制御の応答がより高速に行われる(請求項2または3)。
【0030】
この場合、トルク分電流補正部を、各制御周期毎のトルク分電流補正値の変化率を求めて、その変化率が一定値以内となるようにトルク分電流補正値を制御する構成としても良く、斯様に構成すれば、トルクリップルは更に抑制される(請求項4)。
【0031】
また、正極値及び負極値を、正及び負の極性を有する一次角周波数基準値として(請求項5)、一次角周波数指令値演算部を、予め設定された一次角周波数基準値の最小値及び最大値を有し、その動作期間内において一次角周波数基準値を最小値から与え始めると共に最大値が示す範囲まで順次増加させる構成とするのが好適である(請求項6)。斯様に構成すれば、トルク分電流の補正制御を行う必要が殆どない場合には、補正制御は短時間で終了するようになる。
【0032】
更に、正極値及び負極値は、一次角周波数に対して所定値を加減することにより正及び負の極性を有する上限値及び下限値として設定し、一次角周波数指令値演算部は、正極値及び負極値を交互に変化させる時間比を1:1にする構成として(請求項7)、一次角周波数指令値演算部を、前記所定値を正弦波によって振幅変調して出力する構成としても良く(請求項8)、また、一次角周波数が連続して基準値以下である時間が一定時間を経過すると、一次角周波数指令値を0Hzより大または小なる一定値に設定する構成としても良い(請求項9)。斯様に構成した場合でも、請求項1乃至4と同様に作用する。
【0033】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の第1実施例について図1乃至図3を参照して説明する。図1は本実施例の電気的構成及び制御系のブロックを示す図であり、図9と同一部分には同一符号を付して説明を省略し、以下異なる部分について説明する。また、以下において角周波数の値は、2πで除して実質は周波数値として表記する。
【0034】
この図1において、速度制御部11とトルク分電流制御部10との間には、トルク分電流補正部16が挿入されている。また、トルク分電流補正部16には、一次角周波数演算部12から一次角周波数ω1 が与えられるようになっている。トルク分電流補正部16は、その内部に一次角周波数指令値演算部17を有している。一次角周波数指令値演算部17は、外部より与えられる一次角周波数基準値ω1*及びトルク分電流補正値Δi1q(以下で述べる)に基づいて、一次角周波数指令値ω1*' を出力するようになっている。
【0035】
このトルク分電流補正部16の一次角周波数指令値演算部17は、電動機(誘導電動機)5の一次角周波数ω1 が基底角周波数よりも十分に小さくなったと判断した場合に、一次角周波数指令値ω1*' と一次角周波数ω1 との差に補正ゲインKを乗じたものに、トルク分電流検出値i1qとトルク分電流指令値i1q* との差分を加えたものをトルク分電流補正値Δi1qとして、それをトルク分電流指令値i1q* に加算することにより、新たなトルク分電流指令値i1q*'を得るようになっている。即ち、
Δi1q=K(ω1*' −ω1 )+i1q−i1q*
i1q*'=i1q* +Δi1q …(13)
となる。尚、基底角周波数は、例えば電動機5の定格周波数である50または60Hz程度に設定される。而して、トルク分電流補正部16は、補償出力としての新たなトルク分電流指令値i1q*'をトルク分電流制御部10に対して出力するようになっている。その他の構成は、図8と同様である。
【0036】
次に、本実施例の作用について図2及び図3をも参照して説明する。図2は、一次角周波数指令値演算部17のマイクロコンピュータなどで構成される図示しない制御部(以下、単に制御部と称す)における、制御内容のフローチャートを示すものである。この図2では、先ず、「ω1*' >0?」の判断ステップS1において、制御部は、一次角周波数指令値ω1*' が正(>0)であるか否かを判断する。
【0037】
一次角周波数指令値ω1*' は、図3に示すように、外部より与えられる一次角周波数基準値ω1*に、正または負の極性を与えたものを正極値及び負極値としたものである。ここで、一次角周波数基準値ω1*は、例えば0.5Hzとして与えられているとする。判断ステップS1において、一次角周波数指令値ω1*' が初期状態で正に設定されており制御部が「YES」と判断すると、次の「Δi1q>0?」の判断ステップS2に移行する。
【0038】
判断ステップS2において、制御部は、トルク分電流補正値Δi1qが0より大であるか否かを判断するが、制御開始前の状態ではトルク分電流の補正は行われておらずΔi1q=0であるから、「NO」と判断して「ω1*>ω1 ?」の判断ステップS3に移行する。即ち、このフローにおけるトルク分電流指令値i1q* の補正制御が開始されない限りは、判断ステップS2においては「NO」と判断される。
【0039】
判断ステップS3において、制御部は、一次角周波数ω1 が一次角周波数基準値(基準値)ω1*よりも小であるか否かを判断する。判断ステップS3において、一次角周波数ω1 が一次角周波数基準値ω1*以上であり、制御部が「NO」と判断すると、「ω1*' =ω1 」の処理ステップS7に移行する。
【0040】
処理ステップS7において、制御部は、一次角周波数指令値ω1*' に一次角周波数ω1 をそのまま代入する。即ち、この場合は、(13)式におけるトルク分電流補正値Δi1qは=0(定常状態では、i1q* =i1q)となり、トルク分電流補正部16は、実質的にトルク分電流指令値i1q* の補正を行わない。トルク分電流補正部16がトルク分電流指令値i1q* の補正を行わない状態では、制御装置の作用は、図9に示す従来のものと同様である。
【0041】
一方、判断ステップS3において、電動機5の回転速度が低下して超低速領域にはいったことにより、一次角周波数ω1 が一次角周波数基準値ω1*未満となって制御部が「YES」と判断すると(即ち、基底角周波数よりも十分に小さくなったと判断すると)、「ω1*' =ω1*」の処理ステップS3aに移行する。処理ステップS3aにおいて、制御部は、一次角周波数指令値ω1*' を一次角周波数基準値ω1*(正極値)に設定することによって、トルク分電流指令値i1q* の補正制御を開始し、次の「|ω1*' −ω1 |>0.5Hz?」の判断ステップS4に移行する。
【0042】
判断ステップS4において、制御部は、このフローにおけるトルク分電流指令値i1q* の補正制御を行った結果、一次角周波数ω1 が一次角周波数指令値ω1*' に追従したか否かを、両者の差の絶対値が0.5Hzよりも大であるか否かによって判断する。補正制御の開始直後は、両者の差の絶対値が0.5Hz以下であるから、制御部は判断ステップS4において「NO」と判断し、一制御周期の処理を終了する。尚、一制御周期は、数ms乃至数10ms程度の時間である。
【0043】
次回の制御周期においては、補正制御が開始されたことによってトルク分電流補正値Δi1qは>0となり、ステップS2において制御部は「YES」と判断してステップS4に移行する。以降、判断ステップS4において、一次角周波数ω1 が一次角周波数指令値ω1*' に追従したと判断されるまでは、制御周期毎にステップS1→S2→S4を繰返す。これらの処理によって、新たなトルク分電流指令値i1q*'はトルク分電流補正値Δi1qだけ増加されるので、電動機5の一次角周波数ω1 は上昇に転ずる。
【0044】
そして、電動機5の回転速度が上昇し、一次角周波数指令値ω1*' と一次角周波数ω1 との差の絶対値が0.5Hzよりも大となり、判断ステップS4において制御部が「YES」と判断すると、「Δi1q>補正値リミット?」の判断ステップS5に移行する。判断ステップS5において、制御部は、補正制御の結果トルク分電流補正値Δi1qが補正制御の限界を示す補正値リミットを超えたか否かを判断する。この補正値リミットは、電動機5の定格トルクの例えば20%程度に設定される。
【0045】
即ち、ステップS4において一次角周波数ω1 が一次角周波数指令値ω1*' に追従したと判断されても、判断ステップS5においてトルク分電流補正値Δi1qが補正値リミットを超えるまでは、制御周期毎にステップS1→S2→S4→S5を繰返し、一次角周波数指令値ω1*' を一次角周波数基準値ω1*に設定した状態で補正制御を続行する。
【0046】
上記の状態で補正制御を続行した結果、トルク分電流補正値Δi1qが補正値リミットを超えて、判断ステップS5において制御部が「YES」と判断すると、「ω1*' =−ω1*」の処理ステップS6に移行する。処理ステップS6において、制御部は、一次角周波数指令値ω1*' を一次角周波数基準値の極性を反転した−ω1*(負極値)に設定してその制御周期を終了し、以降の補正制御を行う。ここで、一次角周波数指令値ω1*' の極性が負になったことにより、トルク分電流補正値Δi1qの極性も負となって電動機5の一次角周波数ω1 は減少する方向に向かう。尚、以上のステップS2〜S7は、正側(一次角周波数ω1 の極性)の補正制御処理である。
【0047】
以降の制御周期では、一次角周波数指令値ω1*' の極性が負に設定されたことにより、制御部はステップS1において「NO」と判断し、「Δi1q<0?」の判断ステップS8に移行する。ステップS8〜S13は負側の補正制御処理であって、正側の補正制御処理であるステップS2〜S7に対応して設けられており、ステップS2〜S7の処理または判断内容とは正負の極性及び不等号の向きが逆になっている(従って、最初に電動機5が逆転しており、一次角周波数ω1 の極性が負である状態からその逆転速度が次第に低下して超低速領域に至る場合には、ステップS1→S8→S9→S13の制御周期を繰返している状態から補正制御が開始される)。
【0048】
そして、トルク分電流補正値Δi1qの極性が負であるから、判断ステップS8において、制御部は「YES」と判断して「|ω1*' −ω1 |<0.5Hz?」判断ステップS10に移行する。判断ステップS10は、判断ステップS4に対応しており、補正制御を行った結果、一次角周波数ω1 が負極性の一次角周波数指令値ω1*' に追従したか否かを、両者の差の絶対値が0.5Hzよりも小であるか否かによって判断する。一次角周波数指令値ω1*' の極性が反転した直後は、両者の差の絶対値が0.5Hz以上であるから、制御部は判断ステップS10において「NO」と判断し、その制御周期の処理を終了する。
【0049】
以降は、判断ステップS10において、一次角周波数ω1 が一次角周波数指令値ω1*' に追従したと判断されるまでは、制御周期毎にステップS1→S8→S10を繰返す。そして、電動機5の一次角周波数ω1 が減少して零点を通過し、極性が負になった後、一次角周波数指令値ω1*' との差の絶対値が0.5Hzよりも小になり(一次角周波数指令値ω1*' に追従して)、制御部が判断ステップS10において「YES」と判断すると、判断ステップS11に移行する。
【0050】
判断ステップS11において、制御部は、トルク分電流補正値Δi1qが負の補正値リミットを超えたか否かを判断し、補正値リミットを超えるまでは制御周期毎にステップS1→S8→S10→S11を繰返す。そして、補正値リミットを超えると処理ステップS12に移行して、一次角周波数指令値ω1*' は、一次角周波数基準値ω1*に設定されて再び極性が反転され、以降は、再び正側の補正制御処理が開始される。
【0051】
以上の正及び負側の補正制御処理が交互に繰返されることにより、一次角周波数指令値ω1*' は一次角周波数基準値ω1*の極性を交互に反転させた値に設定され、例えば、図3に示すように、一次角周波数ω1 の平均がω1Mとなるように、トルク分電流補正部16からトルク分電流補正指令値i1q*'がトルク分電流制御部10に与えられ、トルク分電流制御部10からは、補償出力が電圧指令値演算部8に出力される。そして、電圧指令値演算部8からは、励磁及びトルク電圧指令値V1d* 及びV1q* が出力され、座標変換部6においてU,V,W相電圧に座標変換された各相電圧がPWM制御回路15に与えられ、以て、インバータ主回路4を介して電動機5が駆動制御される。従って、一次角周波数ω1 が、ベクトル制御が制御不能状態に陥る0Hz近傍に張付くことはない。
【0052】
尚、この場合、正及び負側の補正制御処理が交互に繰返されることによって定まる一次角周波数指令値ω1*' の極性反転周期は、システムの固有振動の時定数に達して共振が生じることがないように設定する。
【0053】
而して、上記の補正制御を継続している間に速度指令値ωr*が変化して、その速度制御部11の出力信号であるi1q* が変化することにより、トルク分電流補正値Δi1q=0となると、制御部は、ステップS2若しくはS8において「NO」と判断してステップS3若しくはS9に移行する。この時点では、一次角周波数ω1 は、一次角周波数基準値ω1*よりも0.5Hz以上大若しくは小となっているので、制御部は、ステップS3若しくはS9においても「NO」と判断し、ステップS7若しくはS13に移行して、一次角周波数指令値ω1*' を一次角周波数指令値演算部12から与えられる一次角周波数ω1 に設定すると、一連の補正制御を終了する。
【0054】
以上のように本実施例によれば、一次角周波数指令値演算部17は、電動機5の一次角周波数ω1 の値が一次角周波数基準値ω1*よりも小になった場合、一次角周波数基準値ω1*の大きさで正負両極性を有する一次角周波数指令値ω1*' を出力し、この一次角周波指令値ω1*' と一次角周波数ω1 との偏差からトルク分電流補正値Δi1qを得て、このトルク分電流補正値Δi1qを速度制御部11によって出力されたトルク分電流指令値i1q* に加算することによりトルク分電流補正指令値i1q*'を得て、このトルク分電流補正指令値i1q*'とトルク分電流検出値i1qとの偏差に基づいて演算を行い、得られたトルク分電流補償出力及び励磁分電流制御部7により得られた励磁分電流補償出力並びに位相角演算部13により得られた位相角θに基づいたセンサレスベクトル制御により電動機5を駆動するようにした。
【0055】
従って、電動機5の超低速回生領域においても、センサレスベクトル制御が制御不能状態に陥ることを回避しつつ、一次角周波数ω1 を、0Hz若しくはその近傍の角周波数ω1Mに平均的に維持することによって、電動機5の安定した制御を行うことができる。また、本実施例においては、補正値リミットを設定して、その補正値リミットの範囲内でトルク分電流指令値i1q* の補正制御を行ったので、電動機5のトルクリップルを一定範囲内に抑制することができ、更に、一次角周波数ω1 を±ω1*の範囲で変動させても、その変動は、比較的遅い応答を示す速度制御系にはほとんど影響を与えない周期なので、電動機5の実回転速度(二次角周波数)ωr に与える影響も非常に僅かである。
【0056】
よって、電動機5を、例えばクレーンやエレベータ(遅い応答を示す速度制御系)などの巻上げ機等に適用した場合には、荷重の着地やエレベータの停止などを、機械的な制動を用いること無く非常にスムーズに行うことが可能となる。
【0057】
図4及び図5は本発明の第2実施例を示すものであり、第1実施例と同一部分には同一符号を付して説明を省略し、以下異なる部分についてのみ説明する。電気的構成を示す図4においては、第1実施例における一次周波数演算部12の出力信号である一次角周波数ω1 は、一次角周波数指令値演算部17′のみに与えられるようになっている。その一次角周波数指令値演算部17′の出力信号である一次角周波数指令値ω1*' は、第1実施例における一次角周波数ω1 の代わりに、電圧指令値演算部8,速度推定値演算部9及び位相角演算部13に与えられるようになっている。そして、トルク分電流補正部16自体は除かれている。
【0058】
次に、第2実施例の作用について説明する。図5に示す一次角周波数指令値演算部17′の制御部による制御は、第1実施例における一次角周波数指令値演算部17が行う図2に示す制御から、以下のように変更されている。先ず、ステップS5及びS8は除かれている。そして、ステップS3またはS9において「YES」と判断して制御を開始した場合は、「F←1」の処理ステップS14またはS17に移行し、制御中であることを示すフラグFを“1”にセットすると、ステップS3aまたはS9aに移行する。
【0059】
また、ステップS2及びS8に代えて、「F=1?」の判断ステップS2a及びS8aが配されている。これらの判断ステップS2a及びS8aにおいて、フラグFが“1”にセットされており、一次角周波数指令値演算部17′の制御部が「YES」と判断すると、「ωr*<低速領域(+)?」の判断ステップS16及び「ωr*>低速領域(−)?」の判断ステップS19に夫々移行する。
【0060】
判断ステップS16及びS19において、制御部は、速度指令値ωr*が正側及び負側の低速領域よりも小及び大であるかを夫々判断する。ここで、低速領域とは、超低速領域たる一次角周波数基準値±ω1*の範囲に適当なマージンを加えて若干広めに設定された領域を示す。判断ステップS16及びS19において、速度指令値ωr*が低速領域内の値である場合は、制御部は「YES」と判断してステップS4及びS10に移行する。即ち、この判断ステップS16及びS19において、制御部が「YES」と判断している間は、一次角周波数指令値ω1*' に関する制御が第1実施例と同様に行われる。
【0061】
そして、制御が継続された後、判断ステップS16及びS19において、速度指令値ωr*が低速領域の範囲外となって、制御部が「NO」と判断すると、ステップS7及びS13に移行する。また、そのステップS7及びS13の後には、「F←0」の処理ステップS15及びS18が設けられており、フラグFを“0”にリセットして制御を終了する。
【0062】
以上のように、第2実施例では、第1実施例においては一次角周波数ω1 に基づいて行っていた制御を、一次角周波数指令値演算部17′から出力される一次角周波数指令値ω1*' に置き換えて、第1実施例と同様な処理を行う。斯様な構成及び作用によって、電動機5の超低速領域においては、第1実施例では一次角周波数ω1 に基づいて行われた制御のパラメータを、一次角周波数基準値ω1*の大きさで正負両極性を有する一次角周波数指令値ω1*' によって直接変化させることができ、より高速な応答の制御を行うことが可能となる。
【0063】
図6は本発明の第3実施例を示すものであり、第1及び第2実施例と同一部分には同一符号を付して説明を省略し、以下異なる部分についてのみ説明する。電気的構成を示す図6においては、トルク分電流補正部16は除かれており、速度制御部11の前段には、速度指令値補正部18が設けられている。
【0064】
その速度指令値補正部18の内部には、第2実施例におけるものと同様の構成である一次周波数指令値演算部17′が設けられており、速度指令値補正部18は、外部より与えられる速度指令値ωr*に、一次周波数指令値演算部17′が出力する一次角周波数指令値ω1*' を加えたものを一次角周波数指令値ωr*' として速度制御部11に与えるようになっている。その他の構成は第1実施例と同様である。
【0065】
以上のように構成された第3実施例によれば、電動機5の超低速領域においては、速度指令値ωr*に、一次角周波数基準値ω1*の大きさで正負両極性を有する一次角周波数指令値ω1*' を加えて直接変化させることができ、第2実施例と同様に、高速な応答の制御を行うことが可能となる。
【0066】
次に、本発明の第4実施例について図7を参照して説明する。第4実施例における電気的構成は、第1実施例と同様である。第4実施例では、図2に示すステップS6及びS12で与えている一次角周波数基準値ω1*の初期値を最小値に設定しておき、トルク分電流i1qの補正制御が持続的に行われた場合には、図7に示すように、最大値まで一次角周波数基準値ω1*の値を次第に上げていくように制御する。この場合、補正制御が持続的に行われていることを判断するには、例えば、一次角周波数指令値演算部17の制御部において、補正制御が開始されてからの時間をカウントしたり、一次角周波数基準値ω1*の値を積分した値に基づいて判断する。
【0067】
以上のように構成された第4実施例によれば、例えば、一次角周波数ω1 が短時間内に0Hzを通過する場合など、トルク分電流i1qの補正制御を行う必要が殆どない場合には、最低限の補正制御しか行わないので、出力トルクに与える影響を最小限に押さえることができる。
【0068】
次に、本発明の第5実施例について図8を参照して説明する。第5実施例の構成は、第1実施例と同様である。そして、第5実施例では、一次周波数指令値演算部17は、電動機5の一次角周波数ω1 が低下して超低速領域に入った時に、一次角周波数ω1 に所定値として一次角周波数基準値ω1*を加えたものをω1T* (正極値,上限値)、一次角周波数ω1 から一次角周波数基準値ω1*を減じたものをω1B* (負極値,下限値)と設定する。
【0069】
そして、一次角周波数指令値ω1*' を、第1実施例のω1*,−ω1*に代えてω1T* ,ω1B* に交互に設定することにより、トルク分電流指令値i1q* の補正制御を行う。この時、一次角周波数指令値ω1*' をω1T* ,ω1B* の夫々に設定した状態で保持する時間比は、1:1となるように制御する。
【0070】
即ち、図2に示すフローチャートのステップS3a及びS9aの代わりに「ω1T* =ω1 +ω1*」及び「ω1B* =ω1 −ω1*」の処理ステップを配置し、また、ステップS6及びS12の代わりに「ω1*' =ω1B* 」及び「ω1*' =ω1T* 」の処理ステップを配置し、更に、ステップS4,S5及びS10,S11の代わりに「一定時間経過?」の判断ステップを配置して、夫々において制御部が「YES」と判断すると、「ω1T* =ω1 +ω1*」及び「ω1B* =ω1 −ω1*」の処理ステップを実行するようにする。この時、「一定時間」は、第1実施例と同様に、制御周期以上で且つシステムの固有振動の時定数と共振することがない程度の時間に設定する。
【0071】
以上の様にしてトルク分電流指令値i1q* の補正制御を行うと、一次角周波数指令値ω1*' は、図8に示すように、デューティ比50%の波形で値ω1T* ,ω1B* を交互にとるようになって、平均的にはω1 に維持される。従って、一次角周波数ω1 が0Hzに張付くことを防止でき、第1実施例と同様の効果を得ることができる。
【0072】
また、本発明の第6実施例として、第1実施例と同様の構成において、一次角周波数指令値ω1*' を、第5実施例における所定値である一次角周波数基準値ω1*を正弦波で振幅変調したもの、即ち、ω1*' =ω1*・sinθとして与えるようにしても良い。この時の正弦波の振動周期は、制御周期以上で且つシステムの固有振動の時定数と共振することがない程度の時間に設定する。この場合も、第1実施例と同様の効果が得られる。
【0073】
加えて、本発明の第7実施例として、第1実施例の構成においてトルク分電流i1qの補正制御が持続的に行われた場合に、一次角周波数指令値演算部17は、一次角周波数指令値ω1*' を、例えば0.5Hzなどの所定値ω**に設定して、強制的に電動機5の磁束を回転させるように構成しても良い。この場合、一次角周波数指令値演算部17における通常の一次角周波数指令値ω1*' に関する制御は停止すると同時に、速度制御部11においては、比例ゲインKωP及び積分ゲインKωI,若しくは、積分ゲインKωIのみを0にすることにより、速度制御をも停止する。
【0074】
この場合、補正制御が持続的に行われていることを判断するには、例えば第5実施例と同様に、一次角周波数指令値演算部17の制御部において、補正制御が開始されてからの時間をカウントしたり、一次角周波数基準値ω1*の値を積分した値に基づいて判断する。
【0075】
尚、速度指令値ωr*が超低速領域から離れた場合、若しくは、トルク分電流検出値i1qが変化したことにより、一次角周波数ω1 が所定値ω**の絶対値よりも大きくなった場合には、通常の制御、即ち、速度制御部11における速度制御を再開する。
【0076】
以上のような第7実施例によれば、速度指令値ωr*と、速度推定値ωr'との間に偏差が生じるが、制御装置が電動機5の制御不能状態に陥ることを回避することができ、第1実施例と略同様の効果が得られる。
【0077】
本発明は上記しかつ図面に記載した実施例にのみ限定されるものではなく、次のような変形または拡張が可能である。
第4乃至第7実施例の制御を、第2及び第3実施例と同様の構成で、一次角周波数指令値演算部17′において実行させるようにしても良い。
一次角周波数基準値ω1*は0.5Hzに限ること無く、基底周波数よりも十分小さい値であれば適宜変更して良い。
ステップS4及びS10において、一次角周波数ω1 が一次角周波数指令値ω1*' に追従したと判断する角周波数差は、0.5Hzに限ることなく適宜変更して良い。
【0078】
第1実施例において、トルク分電流補正値Δi1qの前回の制御時からの変化率を求めるようにして、その変化率が一定値を超えないように制限することにより、トルクリップルの増加を更に抑制するようにしても良い。
第1及び第2実施例において、一次角周波数指令値ω1*' に与える正極値及び負極値は、一次角周波数基準値ω1*と異なる値に設定しても良い。
また、第5及び第6実施例における所定値についても、一次角周波数基準値ω1*と異なる値に設定して良い。
【0079】
第7実施例における一定値は、0.5Hzに限らず適宜変更して良い。
補正値リミットは、定格トルクの20%に限ること無く、適宜変更して設定しても良い。
一次角周波数ω1 を、トルク分電流制御部9における、トルク分電流i1qの偏差の積分結果である誘起電圧eから求める代わりに、検出した電流若しくは電圧によって同定した速度推定値ωr'にすべり角周波数推定値ωs'を加算して得るように構成しても良い。
【0080】
【発明の効果】
本発明は以上説明した通りであるので、以下の効果を奏する。
請求項1記載の誘導電動機の制御装置によれば、励磁分電流制御部,トルク分電流制御部及び位相角演算部からの出力信号に基づいて誘導電動機のセンサレスベクトル制御を行うものにおいて、トルク分電流制御部の制御結果たる誘起電圧を演算して得られる一次角周波数が基準値未満となった場合には、極性の異なる正極値と負極値とを交互に変化させた一次角波数指令値と前記一次角波数との偏差として得られるトルク分電流補正値を、前記トルク分電流制御部に与えられるトルク分電流指令値に加算するようにしたので、一次角周波数ひいては誘起電圧を零にすることなく、平均的に0Hz若しくはその近傍の値に維持することによって、超低速領域において特に回生負荷の印加に対しても、制御が不安定若しくは不可能になることを防止することができる。
【0081】
請求項2記載の誘導電動機の制御装置によれば、一次角周波数が基準値未満となった場合には、極性の異なる正極値と負極値とを交互に変化させた一次角周波数指令値を、誘導電動機の速度を推定する速度推定値演算部に与え、その速度推定値をトルク分電流制御部及びトルク分電流指令値を与える速度制御部に出力するようにしたので、補正制御の応答をより高速にすることができる。
【0082】
請求項3記載の誘導電動機の制御装置によれば、一次角周波数が基準値未満となった場合には、極性の異なる正極値と負極値とを交互に変化させた一次角周波数指令値を、速度制御部に与えられる速度指令値に加算するようにしたので、請求項2と同様の効果が得られる。
【0083】
請求項4記載の誘導電動機の制御装置によれば、トルク分電流補正部は、各制御周期毎のトルク分電流補正値の変化率を求めて、その変化率が一定値以内となるようにトルク分電流補正値を制御するので、トルクリップルを更に抑制することができる。
【0084】
請求項5または6記載の誘導電動機の制御装置によれば、正極値及び負極値を正及び負の極性を有する一次角周波数基準値として(請求項5)、一次角周波数指令値演算部は、予め設定された一次角周波数基準値の最小値及び最大値を有し、その動作期間内において一次角周波数基準値を最小値から与え始めると共に最大値が示す範囲まで順次増加させるので(請求項6)、トルク分電流の補正制御を行う必要が殆どない場合には、出力トルクに与える影響を最小限に押さえることができる。
【0085】
請求項7または8記載の誘導電動機の制御装置によれば、正極値及び負極値を、一次角周波数に対して所定値を加減することにより正及び負の極性を有する上限値及び下限値として設定して、一次角周波数指令値演算部は、正極値及び負極値を交互に変化させる時間比を1:1にし(請求項7)、また、所定値を正弦波によって振幅変調して出力する(請求項8)ので、請求項1と同様の効果が得られる。
【0086】
請求項9記載の誘導電動機の制御装置によれば、一次角周波数が連続して基準値以下である時間が一定時間を経過すると、一次角周波数指令値を0Hzより大または小なる一定値に設定するので、請求項1乃至4と略同様の効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例を示す電気的構成及び制御系のブロック図
【図2】一次角周波数指令値演算部における制御部の制御内容を示すフローチャート
【図3】補正制御を行う場合の時間経過に伴う一次角周波数指令値ω1*' の変化を示す図
【図4】本発明の第2実施例を示す図1相当図
【図5】図2相当図
【図6】本発明の第3実施例を示す図1相当図
【図7】本発明の第4実施例における補正制御を行う場合の時間経過に伴う一次角周波数基準値ω1*の変化を示す図
【図8】本発明の第5実施例を示す図3相当図
【図9】従来技術を示す図1相当図
【図10】誘導電動機の等価回路図
【図11】センサレスベクトル制御が不能となる誘導電動機の回転速度ωr の超低速領域を示す図
【符号の説明】
5は誘導電動機、7は励磁分電流制御部、9は速度推定値演算部、9aはすべり角周波数推定値演算部、10はトルク分電流制御部、11は速度制御部、12は一次角周波数演算部、13は位相角演算部、16はトルク分電流補正部、17及び17′は一次角周波数指令値演算部、18は速度指令値補正部を示す。

Claims (9)

  1. 外部より与えられる励磁分電流指令値と誘導電動機に流れる相電流から検出された励磁分電流検出値との偏差がなくなるように制御する励磁分電流制御部と、
    外部より与えられる速度指令値と速度推定値との偏差がなくなるように制御する速度制御部と、
    この速度制御部の出力信号たるトルク分電流指令値と前記誘導電動機に流れる相電流から検出されるトルク分電流検出値との偏差がなくなるように制御するトルク分電流制御部と、
    前記トルク分電流検出値からすべり角周波数推定値を演算するすべり角周波数推定値演算部と、
    前記トルク分電流制御部の制御結果として得られる誘起電圧から一次角周波数を演算する一次角周波数演算部と、
    この一次角周波数演算部からの一次角周波数と前記すべり角周波数推定値演算部からのすべり角周波数推定値とに基づいて前記誘導電動機の速度を推定して、その速度推定値を前記速度制御部に与える速度推定値演算部と、
    前記一次角周波数演算部によって演算された一次角周波数を積分して前記誘導電動機の回転子の回転位相角を得る位相角演算部と、
    前記一次角周波数演算部によって演算された一次角周波数が基準値未満となった場合は、極性の異なる正極値と負極値とを交互に変化させた一次角周波数指令値を出力する一次角周波数指令値演算部を有し、前記一次角周波数指令値と前記一次角周波数との偏差からトルク分電流補正値を得て、このトルク分電流補正値を前記速度制御部によって出力されたトルク分電流指令値に加算するトルク分電流補正部とを備え、
    前記位相角演算部,前記励磁分電流制御部及びトルク分電流制御部の出力信号に基づいてセンサレスベクトル制御を行うことを特徴とする誘導電動機の制御装置。
  2. 外部より与えられる励磁分電流指令値と誘導電動機に流れる相電流から検出された励磁分電流検出値との偏差がなくなるように制御する励磁分電流制御部と、
    外部より与えられる速度指令値と速度推定値との偏差がなくなるように制御する速度制御部と、
    この速度制御部の出力信号たるトルク分電流指令値と前記誘導電動機に流れる相電流から検出されるトルク分電流検出値との偏差がなくなるように制御するトルク分電流制御部と、
    前記トルク分電流検出値からすべり角周波数推定値を演算するすべり角周波数推定値演算部と、
    前記トルク分電流制御部の制御結果として得られる誘起電圧から一次角周波数を演算する一次角周波数演算部と、
    この一次角周波数演算部からの一次角周波数と前記すべり角周波数推定値演算部からのすべり角周波数推定値とに基づいて前記誘導電動機の速度を推定して、その速度推定値を前記速度制御部に与える速度推定値演算部と、
    前記一次角周波数演算部によって演算された一次角周波数を積分して前記誘導電動機の回転子の回転位相角を得る位相角演算部と、
    前記一次角周波数演算部によって演算された一次角周波数が基準値未満となった場合は、その一次角周波数の代わりに極性の異なる正極値と負極値とを交互に変化させた一次角周波数指令値を出力する一次角周波数指令値演算部とを備え、
    前記位相角演算部,前記励磁分電流制御部及びトルク分電流制御部の出力信号に基づいてセンサレスベクトル制御を行うことを特徴とする誘導電動機の制御装置。
  3. 外部より与えられる励磁分電流指令値と誘導電動機に流れる相電流から検出された励磁分電流検出値との偏差がなくなるように制御する励磁分電流制御部と、
    外部より与えられる速度指令値と速度推定値との偏差がなくなるように制御する速度制御部と、
    この速度制御部の出力信号たるトルク分電流指令値と前記誘導電動機に流れる相電流から検出されるトルク分電流検出値との偏差がなくなるように制御するトルク分電流制御部と、
    前記トルク分電流検出値からすべり角周波数推定値を演算するすべり角周波数推定値演算部と、
    前記トルク分電流制御部の制御結果として得られる誘起電圧から一次角周波数を演算する一次角周波数演算部と、
    この一次角周波数演算部からの一次角周波数と前記すべり角周波数推定値演算部からのすべり角周波数推定値とに基づいて前記誘導電動機の速度を推定して、その速度推定値を前記速度制御部に与える速度推定値演算部と、
    前記一次角周波数指令値演算部によって演算された一次角周波数指令値を積分して前記誘導電動機の回転子の回転位相角を得る位相角演算部と、
    前記一次角周波数指令値演算部によって演算された一次角周波数が基準値未満となった場合は、極性の異なる正極値と負極値とを交互に変化させた一次角周波数指令値を出力する一次角周波数指令値演算部を有し、前記一次角周波数指令値を外部より与えられる速度指令値に加算する速度指令値補正部とを備え、
    前記位相角演算部,前記励磁分電流制御部及びトルク分電流制御部の出力信号に基づいてセンサレスベクトル制御を行うことを特徴とする誘導電動機の制御装置。
  4. トルク分電流補正部は、各制御周期毎のトルク分電流補正値の変化率を求めて、その変化率が一定値以内となるようにトルク分電流補正値を制御することを特徴とする請求項1記載の誘導電動機の制御装置。
  5. 正極値及び負極値は、正及び負の極性を有する一次角周波数基準値であることを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の誘導電動機の制御装置。
  6. 一次角周波数指令値演算部は、予め設定された一次角周波数基準値の最小値及び最大値を有し、その動作期間内において一次角周波数基準値を最小値から与え始めると共に最大値が示す範囲まで順次増加させることを特徴とする請求項5記載の誘導電動機の制御装置。
  7. 正極値及び負極値は、一次角周波数に対して所定値を加減することにより正及び負の極性を有する上限値及び下限値として設定され、一次角周波数指令値演算部は、正極値及び負極値を交互に変化させる時間比を1:1にすることを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の誘導電動機の制御装置。
  8. 一次角周波数指令値演算部は、所定値を正弦波によって振幅変調することにより、正極値及び負極値を交互に変化させることを特徴とする請求項7記載の誘導電動機の制御装置。
  9. 次角周波数が連続して基準値以下である時間が一定時間を経過すると、一次角周波数指令値を0Hzより大または小なる一定値に設定することを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の誘導電動機の制御装置。
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