JP3641521B2 - 挿入用治具 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ガス導管の経路の途中に介装されたバルブから弁体を除去した状態で、バルブの弁箱の弁体挿入口を介してガス導管内へ、抽水用ホースなどの作業用通線具を挿入する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、このようにバルブから弁体を除去した後に、バルブの弁箱の弁体挿入口を介してガス導管内へ作業用通線具を挿入してガス導管内の水を抽水する作業を、活管状態、すなわちガスを元管で遮断せずに行う場合では、弁体挿入口と作業用通線具の間に生じる隙間からガスが漏れ出るのを防止するために、この隙間に水分を含んだウエス等を詰め込んだ状態で作業を行っていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上述した従来の対策では、作業用通線具を弁体挿入口に挿通移動する際に、詰め込まれたウエスが緩んだり、前記隙間から抜け出る場合があるために、確実なガス漏れ防止にならず、加えて、ガス漏れをより防止するためにウエスを前記隙間に強く詰め込むと、このウエスとの摩擦によって作業用通線具の挿通移動が困難になり抽水等の作業に障害が生じる等の問題があり、改善の余地があった。
本発明の目的は、上に示した従来技術に見られる上記欠点に鑑み、弁体挿入口と作業用通線具との隙間からのガス漏れをより確実に防止しながら、しかも、作業用通線具の挿通移動をより容易に行うことを可能にする挿入用治具を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明に係る挿入用治具では、
弁体挿入口より弁箱内に装着可能で、且つ、作業用通線具をガス導管内へ挿入可能な作業用貫通孔を備えた治具本体と、作業用通線具を作業用貫通孔に対して気密状態を保持しながら挿通移動可能にするためのシール手段とを備える点を特徴構成としている。
【0005】
〔発明の効果〕
上記の特徴構成のために、本発明に係る挿入用治具では、その治具本体が、弁体挿入口より弁箱内に装着可能であり、しかも、作業用通線具をガス導管内へ挿入可能な作業用貫通孔と、作業用通線具を作業用貫通孔に対して気密状態を保持しながら挿通移動可能にするためのシール手段とを備えていることから、弁体挿入口と作業用通線具との隙間からのガス漏れをより確実に防止しながら、しかも、作業用通線具の挿通移動をより容易に行うことを可能にするという特有の効果が生じた。
【0006】
【発明の実施の形態】
前記シール手段が、前記作業用貫通孔の内周面に沿って形成された環状溝と、前記環状溝に係入された弾性O−リングとによって構成された形態で実施しても良い。このような形態で実施することによって、前記係入された弾性O−リングの内径よりも若干外径の大きな作業用通線具を用いさえすれば、作業用貫通孔に対して挿通した作業用通線具との隙間からのガス漏れがより確実に防止されながら、しかも、作業用通線具の挿通移動がより容易にできるようになる。
また、前記シール手段は、前記作業用貫通孔の内、挿入用治具を弁体挿入口へ装着した際の外気側の端部に近い位置に設置すれば良い。これによって、作業用通線具の先端を径の小さなシール手段に挿入する作業が容易となり、都合が良い。
【0007】
前記バルブが、2本のガス導管の間に、両ガス導管同士を連通可能に接続されている場合には、治具本体に、治具本体を弁箱内に装着している間の両ガス導管の間のガス流通を可能にするための連通用経路を設ける形態を追加して実施することが有効である。このような形態で実施すれば、前記バルブよりも下流側に位置する家庭などへのガス供給を停止することなく抽水等の作業を実施できるので更に都合が良い。
【0008】
本発明の実施形態の例を図面を用いて解説する。
図3は、本発明に係る挿入用治具を適用しようとするガス導管110,120と、これら2本のガス導管同士に対して連通状態に接続されたメーターコック10(バルブの一例)の弁箱20を介してチューブ60(作業用通線具の一例)をガス導管110内に挿入し、このチューブ60と真空ポンプなどを用いて、ガス導管110の下部に溜まっている進入水を抽水している状況を示す。
図1と図2には、通常の状態におけるメーターコック10が示されている。メーターコック10は、弁箱20と弁体30とからなる。弁箱20の内部は、ガス導管110,120の双方と連通しており、また、弁箱20は、弁体30を受け入れる弁体挿入口22を備え、弁体挿入口22内には、ガス導管110と連通状態にある連絡孔24と、ガス導管120と連通状態にある連絡孔24’が形成されている。
【0009】
さらに、弁体30は、弁体30の円錐面状の摺動面31と弁箱20内の被摺動面23の間でのシール性を保持したまま、弁箱20に対して回動可能である。また、弁体30には、相反する方向を向き、互いに連通した一対の開口部32が、前記摺動面31を貫くように形成されているので、弁体30の連絡孔24,24’に対する回動位置に応じて(図1の実線の矢印を参照)、ガス導管110とガス導管120の間を、連通状態と遮断状態の間で切り換え可能となっている。
また、図2に示すように、ナット手段を回動除去することにより、弁体30は弁箱20から取り外し可能となっている。弁体30を取り外すと、弁箱20内の弁体挿入口22、及び連絡孔24,24’が露出した状態になる。
【0010】
図3と図4によって、本発明に係る挿入用治具を用いて抽水作業を行っている状況を示す。図3に示されるように、ガス導管110の地下部分にある進入水を、メーターコック10の弁箱20からガス導管110内に作業用通線具60(ここでは、抽水用のチューブ)を挿入し、地上に設置した真空ポンプなどで介して抽水する。この抽水作業では、図4に示されるように、メーターコック10の弁箱20から弁体30を取り外し、弁体30の代わりに挿入用治具40が弁体挿入口22に装着されており、この挿入用治具40を貫通する形で作業用通線具60が挿入されている。
図5に、弁箱20の弁体挿入口22に挿入用治具40を装着し、さらに挿入用治具40から作業用通線具60を挿入する様子が示されている。この図5、および図4からわかるように、挿入用治具40は、弁箱20の弁体挿入口22の内周面に対して気密状態で嵌め込み可能な、円錐状の外形を持った金属製の治具本体42と、治具本体42の手前側の端面から外気側に延びた同様に金属製の筒部43を備えている。筒部43は、治具本体42に対して気密状態でネジ係合で固定されている。挿入用治具40には、筒部43の端部に設けられた外気側開口部45から、治具本体42の下側の円錐面に設けられた導管内側開口部46まで延びた作業用貫通孔41が形成されている。
【0011】
図4に最も良く示されるように、筒部43の外気側の端部には、キャップ部材がネジ係合によって固定されており、このキャップ部材によって、筒部43の内面に環状溝47が形成されている。この環状溝47内には、ゴム製の弾性O−リング48が係入されている。挿入用治具40の作業用貫通孔41は、全般的には、作業用通線具60の自由な挿入を許す内径を備えているが、前記係入された弾性O−リング48は、作業用通線具60の外径よりも若干小さめの内径を備えているので、挿入用治具40と作業用通線具60との間の気密性が得られ、作業用通線具60を挿入用治具40に対して挿通移動させる間も、一貫してこの気密性は保持される。
挿入用治具40の弾性O−リング48は、損傷に応じて健全なものに取り替えることが可能である。更に、外径の異なった別の作業用通線具に対応するために、筒部43の全体を取り替えたり、外気側端部にネジ込まれたキャップ部のみを一旦除去することにより、弾性O−リング48を径の異なる別の弾性O−リングに取り替えることも可能である。
また、作業用貫通口41の内面の、水平方向から垂直方向に移る曲がり部の特に上面は、作業用通線具60の先端を作業用貫通口41に挿入する際に、前記先端を導管内側開口部46まで円滑に導くために、滑らかな曲面を備えた案内面44を備えている。
【0012】
また、治具本体42の円錐面の両側面には、挿入用治具40を弁体挿入口22内に装着した状態でも、ガス導管110からガス導管120へのガス流通を許すための連通用経路49,49が形成されている。
さらに、治具本体42の外気側の端面には、治具本体42の弁箱20に対する回転姿勢、すなわち、導管内側開口部46や連通用経路49,49の向きを、治具本体42を装着したままで判断できるように、△形の姿勢指標が形成されている。この姿勢指標の向きを確認しながら治具本体42を弁体挿入口22に装着することによって、ガス導管120側へのガス供給を確実に行う。
【0013】
ここで、挿入用治具40を用いた抽水方法の作業手順の一例を工程別に解説する。
(1)メーターコック10の全体をノーブローバッグで包むことによって、外気と遮断状態にする。
(2)前記ノーブローバッグ内でメーターコック10の弁箱20から弁体30を除去する(図2を参照のこと)。これによって、メーターコック10の弁箱20に設けられた弁体挿入口22が露出する。
(3)前記ノーブローバッグ内で、メーターコック10の弁体挿入口22に、挿入用治具40を装着する。この時、△形の姿勢指標によって、挿入用治具40の装着姿勢を確認しながら行う(図5を参照)。
(4)前記ノーブローバッグ内で、挿入用治具40の外気側開口部45から作業用通線具60(ここでは、抽水用のチューブ)の先端を挿入し、ガス導管110の下方に送り込む(図4と図5を参照)。
(5)前記ノーブローバッグを除去後、抽水作業を実施する(図3と図4を参照)。
(6)抽水作業が終わったら、再びメーターコック10の全体をノーブローバッグで包むことによって、外気と遮断状態にする。
(7)前記ノーブローバッグ内で、ガス導管110、及び挿入用治具40から作業用通線具60を抜き取る。
(8)弁体挿入口22から挿入用治具40を抜き取る。
(9)弁体挿入口22に再び弁体30を装着し、ノーブローバッグを除去して全作業を終了する。
【0014】
〔別実施形態〕
〈1〉実施形態の挿入用治具40を、治具本体42と筒部43とを同材質の金属で一体成型しても良い。この場合、弾性O−リングを係入させるための環状溝を筒部43の内面に形成する必要がある。
〈2〉実施形態の挿入用治具40は、金属ではなくゴムで製作しても良く、この場合には特に治具本体と筒部とを一体成型するのが都合がよい。また、この場合は、図6に挿入用治具40’として示されるように、シール手段をも治具本体や筒部と一体成型することが可能である。
〈3〉実施形態で挿入用治具40に設けた連通用経路49を、治具本体42の円錐面の側面部ではなく、図7と図8に示したように、治具本体42の上面に形成した貫通孔状の連通用経路49’としても良い。図7と図8に示した挿入用治具40’’では、導管内側開口部46が作業用通線具60の外径よりも充分に大きな内径を持たせてあるので、連通用経路49’がガス導管120の向きと一致するように弁箱20に装着すれば、ガス導管110から上昇してくるガスは、導管内側開口部46と作業用通線具60の間の間隙を上向きに抜け、連通用経路49’を通過してガス導管120に供給される。
【0015】
また、この図7と図8に示した実施形態では、連通用径路49’を単に穿孔するだけでは、作業用通線具60の先端を円滑に導くための滑らかな案内面44が失われるので、図8に示すように、滑らかな曲面を描くケージ状の案内部材44’を設けると作業用通線具60を挿入する際の作業性が維持されて都合が良い。〈4〉挿入用治具40を用いてガス導管内に挿通させることの可能な作業用通線具60の、抽水用のチューブ以外例として、導管内の状態を視覚的に検査するための光ファイバーケーブル等が挙げられる。
【0016】
尚、特許請求の範囲の項に、図面との対照を便利にするために符号を記すが、該記入により本発明は添付図面の構成に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【図1】ガス導管のメーターコックの断面図
【図2】図1の弁箱と弁体の斜視図
【図3】本発明に係る挿入用治具を用いた抽水方法の概念図
【図4】図3の要部の断面図
【図5】弁箱、および本発明に係る挿入用治具を示す斜視図
【図6】図5の挿入用治具の別実施形態の断面図
【図7】図5の挿入用治具のさらに別実施形態の使用中の断面図
【図8】図7の挿入用治具の斜視図
【符号の説明】
20 弁箱
22 弁体挿入口
41 作業用貫通孔
42 治具本体
48 弾性O−リング
60 作業用通線具
Claims (3)
- ガス導管の経路の途中に介装されたバルブから弁体を除去した状態で、前記バルブの弁箱の前記弁体挿入口を介して前記ガス導管内へ作業用通線具を挿入するための挿入用治具であって、
前記弁体挿入口(22)より前記弁箱(20)に装着可能で、且つ、前記作業用通線具(60)を前記ガス導管内へ挿入可能な作業用貫通孔(41)を備えた治具本体と、前記作業用通線具を前記作業用貫通孔に対して気密状態を保持しながら挿通移動可能にするためのシール手段とを備えてなる挿入用治具。 - 前記シール手段を、前記作業用貫通孔(41)の内周面に沿って形成された環状溝(47)と、前記環状溝(47)に係入された弾性O−リング(48)とによって構成してある請求項1に記載の挿入用治具。
- 前記バルブは、第1ガス導管(110)と第2ガス導管(120)との間に、前記第1、第2両ガス導管同士を連通可能に接続されており、前記治具本体に、前記治具本体を前記弁箱内に装着している間の前記第1ガス導管と前記第2ガス導管の間のガス流通を可能にするための連通用経路を設けてある請求項1または2に記載の挿入用治具。
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