JP3640370B2 - 静電荷像現像用トナー - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真法、静電記録法、静電印刷法等において形成される静電潜像を現像するためのトナーに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に電子写真法又は静電記録法等においては、光導電性感光体又は誘電体等よりなる潜像担持体上に形成された静電潜像を現像するために、キャリアと混合された二成分トナー、又は現像スリーブ等トナー供給ローラ上でブレード等によって薄層化され、かつ適当に帯電され微粉末化された一成分トナーを用いて現像し、必要に応じて紙等の転写材にトナー画像を転写した後、加熱圧力、溶剤蒸気等によって定着し、複写物を得るものである。
【0003】
これらの現像法に適用するトナーの定着法としては種々あるが、熱効率が高いこと、及び高速定着が可能であることから、熱ローラ定着方式が広く採用されている。このような熱定着方式で高速定着を行なう場合、トナーには良好な低温定着性(又は定着下限温度が低いこと)が要求されるが、このために結着樹脂として低軟化樹脂を含有させると、定着時にトナー像の一部が熱ローラ表面に付着し、これがコピー用紙上に転移して地汚れを起こす、いわゆるホットオフセット現象や、コピー用紙が熱ローラ表面に付着して巻き付く、いわゆる巻き付き現象が発生しやすくなる。この巻き付き現象は特に熱ローラ温度が低いときに多い。特にカラートナーの場合、これらホットオフセット現象は画像光沢性を悪くする。また、低軟化樹脂により保存性にも問題が生じ、輸送時や複写機内等において凝集、ブロッキング現象を引き起こすこともある。
【0004】
そこでこれらの現象を防止する手段として、特開昭51−143333号公報、特開昭57−148752号公報、特開昭58−97056号公報、特開昭60−247250号公報等においては離型剤として固形シリコーンワニス、高級脂肪酸、高級アルコール各種ワックス等を添加することが提案されているが、いずれも良好な低温定着性を維持しながら、十分な耐オフセット性及び耐巻き付き性を示すものは知られていない。
【0005】
具体的には、従来の低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン等のポリオレフィンワックスは耐オフセット性は良好であるが、低温定着性は十分ではなく、カルナウバワックス、キャンデリラワックス等の植物性ワックスは耐オフセット性及び低温定着性は良好であるが、耐巻き付き性が十分でなく、また固形シリコーンワニス、固形シリコーンオイル、アミドワックス、高級脂肪酸、高級アルコール及びモンタン酸ワックスは低温定着性は良好であるが、耐オフセット性及び耐巻き付き性が十分でない。しかも従来の離型材料は現像中に離型剤がトナーから遊離して感光体やキャリアに付着するいわゆるフィルミングやスペントが多く、長期にわたって安定して良質の画像を形成することは困難であった。
【0006】
その他に定着温度を下げる目的のものとしては、同時に耐オフセット性や耐ブロッキング性の付与を目的として組成や熱特性、分子量分布等を規定した技術がある。例えば、特開平3−139663号公報においてはトナーの軟化温度等を規定、特開平3−152558号公報では分子量分布を規定、特開平3−145654号公報ではバインダー樹脂の架橋剤を規定、特開平3−206465号公報ではバインダー樹脂をブロックポリマーで作製、特開平3−219262号公報では粘弾性特性で規定、特開平3−188468号公報ではポリマーの酸価/水酸基価で規定、特開平3−203748号公報、特開平3−229264号公報ではポリエステルの酸価で規定、特開平3−231757号公報、特開平4−353866号公報、特開平5−100477号公報では粘弾性特性で規定、特開平4−20512号公報、特開平4−23816号公報、特開平4−23817号公報、特開平4−50216号公報等ではスチレンアクリル系のブロック共重合体で規定、特開平4−26858号公報、特開平4−81769号公報、特開平4−81770号公報等では結晶性ポリエステルとビニル共重合体のブロック又はグラフト共重合体で規定、特開平4−81863号公報、特開平6−348058号公報では分子量分布のピークで規定、特開平4−190242号公報では分子量分布と定着方式で規定、特開平4−254863号公報ではポリエステルとスチレン/アクリル系ポリマーの分子量を規定、特開平4−264559号公報、特開平4−264560号公報、特開平4−274253号公報、特開平5−19531号公報、特開平5−188638号公報では分子量分布を規定、特開平4−277755号公報ではブロック共重合体で規定、特開平4−309962号公報ではアイオノマーを使用等、多数のものが見られるがまだ十分とはいえない。
【0007】
また、新規な材料を扱ったものとして、特開昭60−31146号公報では光崩壊性カプセル、特開昭62−148969号公報では発熱性増幅材料、特開昭63−281168号公報ではサーモトロピック液晶高分子シェルを有するカプセルトナー、特開平1−149062号公報では光照射によるカプセルの体積膨脹、特開平2−251971号公報では架橋サーモトロピック液晶ポリマー、特開平3−118550号公報では発熱性物質含有トナー、特開平4−250460号公報ではシクロヘキサン誘導体含有トナー、特開平4−291355号公報ではビスフェノールF型エポキシ樹脂含有トナー、特開平4−329551号公報では近赤外光吸収色素とエチレン系不飽和化合物含有トナー(近赤外光で硬化)、特開平4−100475号公報、特開平4−100476号公報ではアゾ系高分子量開始剤を用いた熱分解性樹脂使用トナー、特開平5−173364号公報ではシクロヘキサノン系ケトン樹脂含有トナー、特開平8−15894号公報では酸価又は水酸基価を1以上のポリマーを使用し、トナー表面に金属アルコキシドを付着、特開平8−15902号公報ではカプセルトナーに使用するモノマーとして塩素含有モノマーを採用、等が見られるが、これらでは未だ不十分であった。
【0008】
また、近年ではOA機器の省エネルギー化が進み、複写機やプリンタにおいても消費電力の大半を占める定着プロセスの改良が急務であるのが現状である。
低温で定着させるには、結着樹脂として低軟化温度樹脂(ポリエステル等)を用いればよいが、それでは定着時にトナー像の一部が熱ローラ表面に付着し、これがコピー用紙上に転移して地汚れを起こす、いわゆるホットオフセット現象や、コピー用紙が熱ローラ表面に付着して巻き付く、いわゆる巻き付き現象が発生しやすくなり、この現象は特に熱ローラ温度が低いときに多い。
特にカラートナーの場合、これらホットオフセット現象は画像光沢性を悪くする。また、低軟化樹脂により保存性にも問題が生じ、輸送時や複写機内等において凝集、ブロッキング現象を引き起こすこともある。一方、デジタル化に伴いトナー画像の解像性についてもより高度なものが求められている。
【0009】
結着樹脂の改良により定着温度の低下と、同時に耐オフセット性や耐ブロッキング性の付与を目的としたものとして以下に示すものがある。
樹脂の特性を規定したものとして、特開平3−139663号公報においてはトナーの軟化温度等、特開平3−152558号公報では分子量分布、特開平3−219262号公報では粘弾性特性等を特定したものがある。
樹脂そのものを特定したものとしては、特開平4−20512号公報、特開平4−23816号公報、特開平4−23817号公報、特開平4−50216号公報等では、スチレンアクリル系のブロック共重合体、特開平4−26858号公報、特開平4−81769号公報、特開平4−81770号公報等では結晶性ポリエステルとビニル共重合体のブロック又はグラフト共重合体などがあり、本発明者も、特開平7−261457号公報において、結着樹脂としてスター形状ポリマーを使用することを提言したが、画像の解像度においては十分とはいえない。また、基本的な帯電特性は有しているものの長期にわたる経時的な帯電の安定性は満足とはいかないものであった。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、省エネルギー定着に適当な低温定着が可能であり、定着時におけるオフセット現象や熱ローラへの巻き付き現象が防止され、そして、長期にわたる経時的な帯電の安定な静電荷像現像用トナーを得ることにある。また、解像度が高く、なおかつ保存特性に優れた静電荷像現像用トナーを得ることにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記のような課題は、本発明の(1)「少なくともポリマー、融点を有する離型性化合物、着色剤を含む静電荷像現像用トナーにおいて、該ポリマーが少なくともアミド結合を有するものであり、かつアンモニアとα,β−不飽和カルボン酸エステルとのMichael付加反応及びそれに続くアルキレンジアミンとの反応により、末端アミノ基含有アミドアミンを生成させ、或いはさらにこの生成物とα,β−不飽和カルボン酸エステルとのMichael付加反応及びそれに続くアルキレンジアミンとの反応を、1回以上繰り返し行なって末端アミノ基含有アミドアミンを生成させ、該末端アミノ基含有アミドアミンの末端アミノ基とポリマーを反応させることにより得られるスター形状ポリマーであり、溶融したトナー同士に界面が存在しないことを特徴とする静電荷像現像用トナー」、(2)「前記スター形状ポリマーの絡み点間分子量が15000以下であることを特徴とする前記(1)項に記載の静電荷像現像用トナー」、(3)「前記トナーのガラス転移温度が、60℃以上90℃以下であることを特徴とする前記(1)又は(2)項に記載の静電荷像現像用トナー」、(4)「前記融点を有する離型性化合物が、少なくともカルナウバワックスを含んでいることを特徴とする前記(1)乃至(3)項のうち何れか1に記載の静電荷像現像用トナー」により達成される。
【0012】
本発明で問題としているオフセット現象については、従来のトナーの解析からなっている。すなわち、従来のトナーを低温定着させてみた場合、特にハーフトーン像においては定着ローラから熱が伝わらないようであり、定着時の画像を調べると、図2に示すように部分的にトナー同士が十分に溶融固着していない状態、いわゆる界面が発生していた。つまり、これまでのトナーはホットオフセットの問題があるため、トナーに十分な熱エネルギーをかけることができず、完全に十分な定着強度を保持しているとはいえなかった。そのため、トナーの定着状態を透過型電子顕微鏡で観察すると、複数のトナー同士で溶融したときに、トナーの間に界面が存在していた。
【0013】
そのことから種々検討を行なった結果、この界面がなければ低温定着させても、定着ローラにトナーがホットオフセットを起こさないことを見出した。
本発明では、透過型電子顕微鏡でトナーの溶融状態を観察し、画像解析した結果、図1のように本発明のトナー同士の溶融状態には界面は存在せず、複数のトナーが一体となった状態を示していた。
また、結着ポリマーがアミド結合を有していれば、できた画像の解像度が高いことを見出した。アミド結合を有するポリマーを用いれば、分子内で凝集構造をとりにくく、分子間での絡み合いが起きやすくなり、分子量を制御しやすくなるため解像度が高くなる。
【0014】
界面の有無の観察については以下の方法で行なう。
20mm×75mmのアルミ板(厚さ3mm)にテフロンを20μm被覆した基板を用意し、さらに同じサイズに切り取った普通紙(リコー製タイプ6200)の上に、20mm×20mmの面積にトナーを0.01g均等にのせる。
トナー面を前記テフロンを被覆したアルミ板を被せ、普通紙の下に20mm×75mmのアルミ板(厚さ3mm)を支持体として、アルミ板−普通紙−トナー−テフロン被覆アルミ板の順に重ねたサンプルを作成する。このサンプルを上面が180℃に加熱されており、下面は100℃に設定されているホットプレス機にて圧力2(kgf/cm2)で挟み込み、100msec加圧、加熱を続ける。その後、加圧、加熱後サンプルを取り出し、紙に固着されたトナーをテフロンを20μm被覆したアルミ基板から剥がし取る。
得られた紙に固着されたサンプルを透過型電子顕微鏡にて断面をスライスしてトナーの変形状態を解析する。そして、画像解析ソフトウエア、例えばフリーウエアの「NIH Image」により画像を2値化してトナーの外形を判断する。すなわち、上記条件は、トナーが紙等の被記録材に固定化されたときの条件を再現している。トナーが熱変形して紙上に付着していると、トナーの原型を留めているものから、原型がはっきり判断できないものまで様々な界面が存在する。一方、良好な定着性を示していると、個々のトナーが溶融して原型が全く判断できないもの、界面が存在しないものとなっている。
【0015】
そして、トナーを構成するポリマーの絡み点間分子量を15000以下にすることで更にホットオフセット特性が改善されることを見出した。絡み点間分子量(Me)とは、下記に示される(1)式で表わされ、
Me=ρRT/GN 0・・・・・(1)
ρ:密度、R:気体定数、T:温度、GN 0:擬平衡弾性率、により支配される値である。この擬平衡弾性率とは、いわゆるポリマーのゴム状弾性領域のことで、絡み点間分子量を小さくすればゴム状領域の弾性率を大きくできることを意味している。現象としては、ポリマーの粘性率はある分子量を境に分子量依存性が変化する、つまり図3に示されるような分子量と粘性率の関係を示し、グラフ中の屈曲点の分子量を絡み点間分子量とよぶ。
絡み点間分子量は、ポリマー分子主鎖の2面角の自由度に影響されるものである。そして、トナーのガラス転移温度は60℃以上90℃以下であることにより、トナーの高温時における保存性が向上することを見出した。
【0016】
本発明のトナーは、ポリマーと着色材からなるものであり、該ポリマーは少なくともアミド結合を有するものであり、かつアンモニアとα,β−不飽和カルボン酸エステルとのMichael付加反応及びそれに続くアルキレンジアミンとの反応により、末端アミノ基含有アミドアミンを生成させ、或いはさらにこの生成物とα,β−不飽和カルボン酸エステルとのMichael付加反応及びそれに続くアルキレンジアミンとの反応を、1回以上繰り返し行なって末端アミノ基含有アミドアミンを生成させ、該末端アミノ基含有アミドアミンの末端アミノ基とポリマーを反応させることにより得られるスター形状ポリマーであって、トナーとした際に界面が存在しないポリマーであれば、いかなるものでもよいが、特に以下に示すものが好ましい。
スター形状ポリマーとしては、アミド結合を有するスチレン系スター形状ポリマー、又はアミド結合を有するオレフィン系スター形状ポリマー、又はアミド結合を有するポリエステル系スター形状ポリマー、アミド結合を有するポリブタジエン系スター形状ポリマー、アミド結合を有するフッ素系スター形状ポリマー、アミド結合を有するポリビニルエーテル系スター形状ポリマー等がある。
【0017】
これらの作製方法は、アンモニア1重量部にアクリル酸メチルを3重量部加え、Michael付加反応により末端にメチルエステルを有する化合物(1)を合成する。次に、1,6−ヘキサンジアミンを化合物(1)1重量部に対して3重量部加え反応させて3個のアミノ基含有アミドアミン(2)を生成する。次に、末端アミノ基にアクリル酸メチルをMichael付加反応させ化合物(3)を得る。更に、1,6−ヘキサンジアミンを化合物(3)1重量部に対して6重量部加え反応させて6個のアミノ基含有アミドアミン(4)を生成する。
【0018】
末端アミノ基に修飾させることで任意の長さの高分子鎖を有するスター形状のポリマーを得ることができる。また、続いてこの反応を繰り返すことで任意の分岐鎖の数を作成することができる。このときの分岐鎖の数は20本以下であることが好ましい。分岐鎖の数が20本以上になると、分岐鎖は伸びきり状態となり、高分子間での相互作用力が弱くなり、好ましい弾性力を保持できなくなるからである。
【0019】
本発明において使用される結着樹脂を形成する単量体としては、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、p−メトキシスチレン、p−フェニルスチレン、p−クロルスチレン、3,4−ジクロルスチレン、等のスチレン類;エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレン等のエチレン不飽和性モノオレフィン類;塩化ビニル、塩化ビニリデン、臭素ビニル、フッ化ビニル、等のハロゲン化ビニル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酢酸ビニル等のビニルエステル類、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸−n−ブチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸トリフルオロエチル、アクリル酸ヘキサフルオロイソプロピル、アクリル酸テトラフルオロプロピル、アクリル酸オクタフルオロペンチル、アクリル酸ヘプタデカフルオロデシル等のα−メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル類、ビニルメチルエーテル等のビニルエーテル類、ビニルメチルエチルケトン、等のビニルケトン類、N−ビニルピロール、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルインドール、N−ビニルピロリドン等のN−ビニル化合物等を例示することができる。これらの単量体は、単独で或いは2種類以上のものを組み合わせて用いることができる。
【0020】
また、融点を有する離型性化合物としては、例えばカルナバウワックス、ライスワックス、木ロウ、キャンデリアワックス等の植物系ワックス、ラノリン、蜜ロウ、鯨ロウ、セラックワックス等の動物系ワックス、モンタンワックス、オゾケライトワックス、セレシンワックス等の鉱物系ワックス、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、パラフィンワックス、ミクロクリスタリンワックス等の石油系ワックス、低分子ポリエチレン等の合成炭化水素系ワックスの他に、高級脂肪酸、高級脂肪酸エステル、高級脂肪酸アマイド例えばリシノール酸アミド、ラウリル酸アミド、エルカ酸アミド、パリミチン酸アミド、オレイン酸アミド、ステアリン酸アミド、高級脂肪酸金属塩例えばステアリン酸ナトリウム、パリミチン酸ナトリウム、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸亜鉛、ラウリル酸カリウム、ミリスチン酸カリウム等を挙げることができるが、融点を有する離型性化合物としては、カルナウバワックスが最も適当である。これは低温で溶融すること、また、溶融温度幅が狭いこと、また、溶融後にトナーと定着ローラ界面に速やかに広がる性質を持ち、解像度の向上には最適である。
【0021】
また、本発明トナー中には、着色剤、帯電制御剤等の添加剤を用いることができ、これにはカーボンブラック、オイルブラック、ニグロシン染料、含金属染料等の金属キレート染料、アニリン染料、カルコオイルブルー、クロムイエロー、ウルトラマリンブルー、メチレンブルークロライド、フタロシアニンブルー、ローズベンガル、その他の染料、又は顔料が含まれる。
【0022】
また、本発明トナー中には、流動化剤を用いることができ、例えば表面を疎水化したSiO2、TiO2等の無機酸化物、SiC等の無機微粒子、ステアリン酸亜鉛等金属石鹸、その他を用いることができる。
【0023】
トナー全体に占める割合は、結着樹脂が75%〜93%、着色剤が3%〜10%、離型剤が3%〜8%、その他の成分は1%〜7%である。そして、本発明のトナーはキャリアと共に2成分系現像剤としても、あるいはキャリアを含有させて1成分系現像剤として使用してもよい。ここで使用されるキャリアとしては、鉄粉、フェライト、ガラスビーズ等、従来と同様である。なお、これらキャリアは樹脂を被覆したものでよい。この場合使用される樹脂はポリ弗化炭素、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、フェノール樹脂、ポリビニルアセタール、シリコーン樹脂等である。いずれにしてもトナーとキャリアとの混合割合は一般にキャリア100重量部に対し、トナー0.5〜6.0重量部程度が適当である。
【0024】
【実施例】
以下、本発明の実施例を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例中の「部」は重量部である。
トナー製造例1
Figure 0003640370
を溶融混練し、冷却後ハンマーミルを用いて粗粉砕し、かつエアージェット方式による微粉砕機で微粉砕した。得られた微粉砕品を分級して平均粒径を7.3μmとした。本粒子100重量部に対してシリカ微粉末を1.5重量部添加混合してトナー1とした。
【0025】
[アミド結合を有するスチレン−アクリル酸系スターポリマーの合成方法]
アンモニア1重量部にアクリル酸メチルを3重量部加え、Michael付加反応により末端にメチルエステルを有する化合物(1)を合成する。次に、1,6−ヘキサンジアミンを化合物(1)1重量部に対して3重量部加え反応させて3個のアミノ基含有アミドアミン(2)を生成する。次に、末端アミノ基にアクリル酸メチルをMichael付加反応させ化合物(3)を得る。更に、1,6−ヘキサンジアミンを化合物(3)1重量部に対して6重量部加え反応させて6個のアミノ基含有アミドアミン(4)を生成する。末端アミノ基にアニオン重合により得られたポリマー(スチレンとメチルメタクリレートのブロックポリマーの末端にp−メチレンクロライドスチレンを有する)を付加させることで、スター形状のアミド結合を有するポリマーを得た。
【0026】
トナー製造例2
Figure 0003640370
を溶融混練し、冷却後ハンマーミルを用いて粗粉砕し、かつエアージェット方式による微粉砕機で微粉砕した。得られた微粉砕品を分級して平均粒径を6.4μmとした。本粒子100重量部に対してシリカ微粉末を1.3重量部添加混合してトナー2とした。
【0027】
[アミド結合を有するスチレン−アクリル酸系スターポリマーの合成方法]
アンモニア1重量部にアクリル酸メチルを3重量部加え、Michael付加反応により末端にメチルエステルを有する化合物(1)を合成する。次に、1,6−ヘキサンジアミンを化合物(1)1重量部に対して3重量部加え反応させて3個のアミノ基含有アミドアミン(2)を生成する。末端アミノ基にアニオン重合により得られたポリマー(分子量が制御されたポリスチレン)を付加させることで、スター形状のアミド結合を有するポリマーを得た。
【0028】
トナー製造例3
Figure 0003640370
を溶融混練し、冷却後ハンマーミルを用いて粗粉砕し、かつエアージェット方式による微粉砕機で微粉砕した。得られた微粉砕品を分級して平均粒径を8.8μmとした。本粒子100重量部に対してシリカ微粉末を1.4重量部添加混合してトナー3とした。
【0029】
[アミド結合を有するフッ素系スターポリマーの合成方法]
アンモニア1重量部にアクリル酸メチルを3重量部加え、Michael付加反応により末端にメチルエステルを有する化合物(1)を合成する。次に、テトラフルオロジアミンを化合物(1)1重量部に対して3重量部加え反応させて3個のアミノ基含有アミドアミン(2)を生成する。次に、末端アミノ基にアクリル酸メチルをMichael付加反応させ化合物(3)を得る。更に、テトラフルオロジアミンを化合物(3)1重量部に対して6重量部加え反応させて6個のアミノ基含有アミドアミン(4)を生成する。末端アミノ基にアニオン重合により得られたポリマー(スチレンとメチルメタクリレートのブロックポリマーの末端にp−メチレンクロライドスチレンを有する)を付加させることで、スター形状のアミド結合を有するフッ素系ポリマーを得た。
【0030】
トナー製造例4
Figure 0003640370
を溶融混練し、冷却後ハンマーミルを用いて粗粉砕し、かつエアージェット方式による微粉砕機で微粉砕した。得られた微粉砕品を分級して平均粒径を8.8μmとした。本粒子100重量部に対してシリカ微粉末を1.4重量部添加混合してトナー4とした。
【0031】
[アミド結合を有するフッ素系スターポリマーの合成方法]
アンモニア1重量部にアクリル酸メチルを3重量部加え、Michael付加反応により末端にメチルエステルを有する化合物(1)を合成する。次に、テトラフルオロジアミンを化合物(1)1重量部に対して3重量部加え反応させて3個のアミノ基含有アミドアミン(2)を生成する。次に、末端アミノ基にアクリル酸メチルをMichael付加反応させ化合物(3)を得る。更に、テトラフルオロジアミンを化合物(3)1重量部に対して6重量部加え反応させて6個のアミノ基含有アミドアミン(4)を生成する。末端アミノ基にアニオン重合により得られたポリマー(スチレンとメチルメタクリレートのブロックポリマーの末端にp−メチレンクロライドスチレンを有する)を付加させることで、スター形状のアミド結合を有するフッ素系ポリマーを得た。
【0032】
トナー製造例5
Figure 0003640370
を溶融混練し、冷却後ハンマーミルを用いて粗粉砕し、かつエアージェット方式による微粉砕機で微粉砕した。得られた微粉砕品を分級して平均粒径を8.8μmとした。本粒子100重量部に対してシリカ微粉末を1.4重量部添加混合してトナー5とした。
【0033】
[アミド結合を有するフッ素系スターポリマーの合成方法]
アンモニア1重量部にアクリル酸メチルを3重量部加え、Michael付加反応により末端にメチルエステルを有する化合物(1)を合成する。次に、テトラフルオロジアミンを化合物(1)1重量部に対して3重量部加え反応させて3個のアミノ基含有アミドアミン(2)を生成する。次に、末端アミノ基にアクリル酸メチルをMichael付加反応させ化合物(3)を得る。更に、テトラフルオロジアミンを化合物(3)1重量部に対して6重量部加え反応させて6個のアミノ基含有アミドアミン(4)を生成する。末端アミノ基にアニオン重合により得られたポリマー(スチレンとメチルメタクリレートのブロックポリマーの末端にp−メチレンクロライドスチレンを有する)を付加させることで、スター形状のアミド結合を有するフッ素系ポリマーを得た。
【0034】
トナー製造例6
製造例1のアミド結合を有するスチレン−アクリル系スターポリマーをスチレン−アクリル系コポリマーに変えた以外は、製造例1と同様の方法でトナー6を製造した。
【0035】
トナー製造例7
製造例2のアミド結合を有するスチレン−メタクリル系スターポリマーの代わりにスチレン−メタクリル系コポリマーを用いて、製造例2と同様の方法でトナー7を製造した。
【0036】
トナー1〜トナー7に対して界面の有無について以下の試験をしたところ、トナー1〜5については界面が存在しなかった。トナー6、トナー7については界面が存在しているのを確認できた。
【0037】
溶融状態の解析
20mm×75mmのアルミ板(厚さ3mm)にテフロンを20μm被覆した基板を用意し、さらに同じサイズに切り取った普通紙(リコー製タイプ6200)の上に、20mm×20mmの面積にトナーを0.01g均等にのせる。
トナー面を前記テフロンを被覆したアルミ板を被せ、普通紙の下に20mm×75mmのアルミ板(厚さ3mm)を支持体として、アルミ板−普通紙−トナー−テフロン被覆アルミ板の順に重ねたサンプルを作成する。このサンプルを上面が180℃に加熱されており、下面は100℃に設定されているホットプレス機にて圧力2(kgf/cm2)で挟み込み、100msec加圧、加熱を続ける。その後、加圧、加熱後サンプルを取り出し、紙に固着されたトナーをテフロンを20μm被覆したアルミ基板から剥がし取り、得られた紙に固着されたサンプルを透過型電子顕微鏡にて断面をスライスしてトナーの変形状態を画像処理解析ソフト「NIH Image」にて解析した。その結果、界面が存在するか否かをモニター上で確認した。
【0038】
実施例1
トナー1を5重量部とフェライトキャリア95重量部と混合し、現像剤1〜7を作製してリコー製FT−8200で以下に示す評価を行なった。
【0039】
評価方法
・オフセット性
リコー製複写機FT−8200で評価を行ない、10万枚印刷後に画像へのオフセットを目視で評価した。
○○:完全にオフセットがないもの
○:ほとんどわからないもの
△:ところどころに見られるもの
×:画像全体に見られるもの
・帯電量
印刷前の帯電量と1万枚印刷後のトナーの帯電量。
・解像度
印刷直後の解像性を判断する。
○○:極めて良好なもの
○:良好なもの
△:不良なもの
×:極めて不良なもの
・保存性
現像剤を50℃、3時間保存し、ブロッキングを評価した。
○○:ブロッキングが全くないもの
○:ブロッキングがほとんどわからないもの
△:ところどころにブロッキングしているもの
×:完全にブロッキングしているもの
現像剤2〜7についても同様に評価を行ない、その結果を表1にまとめた。
【0040】
【表1】
Figure 0003640370
トナー中に界面がなく、アミド結合がないポリマーを含有させることで、オフセットならびに帯電量の変化は少ない。
【0041】
【発明の効果】
以上、詳細且つ具体的な説明から明らかなように、本発明により低温定着が可能であり、耐オフセット特性に優れ長期間変化せず、高画質の画像が得られるトナーを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明におけるトナーの定着の様子を示した図である。
【図2】従来のトナーの定着の様子を示した図である。
【図3】本発明における、絡み点間分子量を説明するための分子量と粘性率の関係を示したグラフである。

Claims (4)

  1. 少なくともポリマー、融点を有する離型性化合物、着色剤を含む静電荷像現像用トナーにおいて、該ポリマーが少なくともアミド結合を有するものであり、かつアンモニアとα,β−不飽和カルボン酸エステルとのMichael付加反応及びそれに続くアルキレンジアミンとの反応により、末端アミノ基含有アミドアミンを生成させ、或いはさらにこの生成物とα,β−不飽和カルボン酸エステルとのMichael付加反応及びそれに続くアルキレンジアミンとの反応を、1回以上繰り返し行なって末端アミノ基含有アミドアミンを生成させ、該末端アミノ基含有アミドアミンの末端アミノ基とポリマーを反応させることにより得られるスター形状ポリマーであり、溶融したトナー同士に界面が存在しないことを特徴とする静電荷像現像用トナー。
  2. 前記スター形状ポリマーの絡み点間分子量が15000以下であることを特徴とする請求項1に記載の静電荷像現像用トナー。
  3. 前記トナーのガラス転移温度が、60℃以上90℃以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の静電荷像現像用トナー。
  4. 前記融点を有する離型性化合物が、少なくともカルナウバワックスを含んでいることを特徴とする請求項1乃至3のうち何れか1に記載の静電荷像現像用トナー。
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