JP3640368B2 - 冷蔵庫の運転制御装置および冷蔵庫 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、冷蔵庫の霜取り機構に関し、特に、冷凍室と冷蔵室を独立に備え、冷凍室用と冷蔵室用にそれぞれエバポレータを有し、これらのエバポレータを1台のコンプレッサにより駆動するようにした冷蔵庫の運転制御装置およびこの運転制御装置を備えた冷蔵庫に関する。
【0002】
【従来の技術】
冷蔵庫は、一般には、冷凍室と冷蔵室を備えているが、従来の多くは冷凍室にエバポレータを備え、冷凍室の冷気を冷蔵室に送り込む方式のものが多い。この方式は、1台のエバポレータで冷凍室と冷蔵室の両方を冷却することが可能となるが、冷凍室と冷蔵室との間は、空気の流通がなされなければならないため、両方の室内の細やかな温度管理が難しく、また、冷蔵室に入れた食品の臭いが冷凍室で作っている氷に付着することなどの問題点がある。
【0003】
これに対処するため、冷凍室と冷蔵室を独立させて冷凍室と冷蔵室のためにエバポレータをそれぞれ設け、1台のコンプレッサで2つのエバポレータをコントロールする方式の冷蔵庫もある。このような方式の冷蔵庫は、冷凍室の氷に食品の臭いが付着することがなく、また、それぞれの室内の温度管理がし易いという利点が得られる。
【0004】
また、冷蔵庫は、エバポレータに付着した霜を如何に効率よく除去するかということも大きな課題である。従来、冷凍室用のエバポレータのみがある冷蔵庫では、その霜取りは、メカ式タイマや電子コントロールによって行われている。一方、エバポレータが2つ以上ある冷蔵庫では、電子コントロールによって行う方式が一般的となっている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、電子コントロール式の霜取り装置は、コスト高となる欠点がある。また、冷凍室と冷蔵室では、冷凍室の方が霜がつきやすいことから、冷凍室の霜取りは、冷蔵室の霜取りよりも高い頻度で行う必要があるため、冷凍室と冷蔵室それぞれに対して効率の良い霜取りを行おうとすると、複雑なコントロールを行う必要があり、故障し易くかつ一層コスト高なものとなる。
【0006】
一方、メカ式のタイマを用いて、冷凍室と冷蔵室それぞれの霜取りを行わせる場合、冷凍室用の霜取りサイクルで霜取りを行うように設定した冷凍室用の霜取りタイマ機構と、冷蔵室用の霜取りサイクルで霜取りを行うように設定した冷蔵室用の霜取りタイマ機構の2つを用意して、それぞれ別個に霜取り作業を行わせるのが一般的となる。
【0007】
このメカ式のタイマを用いた霜取り機構は、電子コントロールによるものに比べれば低コスト化が図れるが、冷凍室用と冷蔵室用にそれぞれに別個に設けるとなると、組立作業性などに問題が生じてくるとともに、コスト的にも問題が生じてくる。
【0008】
そこで、本発明は、低コストで効率良く確実な霜取り作業が可能となる冷蔵庫の運転制御装置を提供すると共に、この運転制御装置を用いることにより、それぞれ独立して設けられた冷凍室と冷蔵室のそれぞれの霜取りを効率よく行うことができ、きめ細やかな温度管理も可能となる冷蔵庫を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
かかる目的を達成するため、請求項1記載の発明では、第1および第2のエバポレータを備え、これら各エバポレータを1台のコンプレッサで制御する冷蔵庫の運転制御装置において、第1のエバポレータの霜取りを行う第1の霜取り用ヒータと、第2のエバポレータの霜取りを行う第2の霜取り用ヒータと、第1の霜取り用ヒータを通電可能状態とする第1の霜取り動作モードを設定する第1のタイマ機構、および第1の霜取り動作モードよりも長い周期で第2の霜取り用ヒータを通電可能状態とする第2の霜取り動作モードを設定する第2のタイマ機構を有する霜取りタイマ機構と、を具備し、第1の霜取り動作モードと第2の霜取り動作モードとは、動作タイミングが重なり合う周期を持つと共に、第2のタイマ機構における第2の霜取り動作モードの開始は、第1のタイマ機構における上記第1の霜取り動作モードの開始よりも早く設定されると共に、第2の霜取り動作モードの終了は、第2のエバポレータの霜取りに必要な時間以降に設定されるものである。
【0010】
また、請求項2記載の発明は、第1および第2のエバポレータを備え、これら各エバポレータを1台のコンプレッサで制御する冷蔵庫の運転制御装置において、第1のエバポレータの霜取りを行う第1の霜取り用ヒータと、第2のエバポレータの霜取りを行う第2の霜取り用ヒータと、第1の霜取り用ヒータを通電可能状態とする第1の霜取り動作モードを行う第1のタイマ機構、および第1の霜取り動作モードよりも長い周期で第2の霜取り用ヒータを通電可能状態とする第2の霜取り動作モードを行う第2のタイマ機構を有する霜取りタイマ機構と、を具備し、第1の霜取り動作モードと第2の霜取り動作モードとは、動作タイミングが重なり合う周期を持つと共に、第2のタイマ機構における第2の霜取り動作モードの開始は、第1のタイマ機構における第1の霜取り動作モードよりも早く設定されると共に、第2の霜取り動作モードの終了は、第1のタイマ機構における第1の霜取り動作モードよりも遅く設定されるものである。
【0011】
また、請求項3記載の発明は、請求項1または2記載の冷蔵庫の運転制御装置において、第1の霜取り動作モードが設定されるタイミングは、コンプレッサの積算稼働時間が予め設定された時間に達したときであって、この予め設定された積算稼働時間を周期として第1の霜取り動作モードの設定を行ない、この第1の霜取り動作モードが設定されるタイミングと、第2の霜取り動作モードが設定されるタイミングとを重ならせている。
【0013】
また、請求項3記載の発明は、請求項1または2記載の冷蔵庫の運転制御装置において、霜取りタイマ機構は、第1のタイマ機構をメインブロックとして構成し、このメインブロックの第1のタイマ機構に第2のタイマ機構を付加する構造とし、霜取りタイマ機構は、少なくとも、モータの回転を減速する減速機構と、この減速機構により駆動される第1および第2のカムと、これら第1および第2のカムにより駆動されるそれぞれのスイッチとにより構成され、これら第1および第2のカムによりそれぞれのスイッチを駆動させることにより、第1および第2の霜取り動作モードの設定・解除を制御するようにしている。
【0014】
また、請求項4記載の冷蔵庫は、低温側の第1の部屋と、この第1の部屋よりも室温の高い第2の部屋と、これら第1および第2の部屋用にそれぞれ設けられた第1および第2のエバポレータと、これら各エバポレータを制御するコンプレッサと、第1および第2の部屋の冷却動作および霜取り動作を行う運転制御装置とを有し、この運転制御装置として、請求項1から3のいずれか1項に記載の運転制御装置を備えている。
【0015】
本発明の冷蔵庫の運転制御装置は、低温側の第1の部屋としての冷凍室と、それより室温の高い第2の部屋としての冷蔵室とが独立して設けられ、それぞれの部屋用にエバポレータを持ち、1台のコンプレッサで2つのエバポレータを制御するような冷蔵庫に適用される場合に好適なもので、このような冷蔵庫に適用されることにより、大きな効果を発揮するものである。
【0016】
冷凍室と冷蔵室では、霜の付着の度合いが異なり、冷凍室用のエバポレータの方が頻繁に霜取りを行う必要がある。そこで、本発明では、2つのタイマ動作を有する霜取りタイマ機構により、2つのエバポレータの霜取りサイクルを決定できるようにしている。
【0017】
つまり、コンプレッサの積算稼働時間が予め定めた時間に達するごとに、冷凍室の霜取りを行い、それより長い周期で冷蔵室の霜取りを行う。そして、各周期のタイミングが重なる部分を設けることによって、冷凍室と冷蔵室の両方の霜取りを同時に行うタイミングを設ける。たとえば、冷凍室の霜取り周期を6時間の積算稼働時間ごととすれば、冷蔵室は12時間、あるいは18時間ごとというような周期で霜取りを行い、2回に1回あるいは3回に1回、両室のエバポレータの霜取りが重なるようにしている。
【0018】
このような周期は、霜取りタイマ機構により作り出すが、この霜取りタイマ機構は、従来から存在する、たとえば冷凍室用の霜取り用タイマ機構の出力軸に、冷蔵室の霜取り動作モード設定用のカムとそのカムにより駆動されるスイッチを設けることにより実現できる。このように、この1台の霜取りタイマ機構で2つの室内の霜取りサイクルを得るようにするのが好ましい。
【0019】
また、この霜取りタイマ機構は、モータ式のカムスイッチにより構成されるのが好ましく、その場合、コストも電子制御式に比べて大幅に低く抑えることができる。さらに、霜取り動作終了後、コンプレッサの運転を復帰させるが、このとき、溶けた水が完全に流れきるまでの時間を考慮し、その時間経過後に、コンプレッサを運転状態とするようするのが好ましい。これにより、溶けた水がエバポレータに凍り付くのを防止することができる。
【0020】
また、このような冷蔵庫の運転制御装置を適用した本発明の冷蔵庫は、それぞれ独立して設けられた冷凍室と冷蔵室の各エバポレータに付着した霜の除去作業を効率よく行うことができ、きめ細やかな温度管理が可能となる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態の各例を図1から図11に基づき説明するが、まず、第1の実施の形態を図1から図5に基づき説明する。
【0022】
図1は、本発明の実施の形態における霜取りタイマ機能を有した冷蔵庫の制御装置の概略的な要部回路構成を示すものである。この霜取りタイマ機能を有した冷蔵庫の運転制御装置は、主に、タイマモータMと、このタイマモータMにより駆動される切替スイッチsw1およびスイッチsw2と、冷凍室用のサーモスイッチT1と、冷蔵室用のサーモスイッチT2と、冷凍室2(図2参照)側のエバポレータ4(第1のエバポレータに対応)の霜取り用ヒータH1(第1の霜取り用ヒータに対応)と、冷蔵室3(図2参照)側のエバポレータ5(第2のエバポレータに対応)の霜取り用ヒータH2(第2の霜取り用ヒータに対応)と、冷凍室2用のエバポレータ4のサーモスイッチT0と、コンプレッサCPなどから構成されている。
【0023】
切替スイッチsw1は、タイマモータMにより図1では図示されていないカムの働きにより、端子p1,p2のいずれかに切り替わるようになっている。端子p1側でコンプレッサの運転モードとなり、端子p2側で霜取り動作モードとなるが、この切替え動作については、後に詳細に説明する。なお、この冷蔵庫の運転制御装置の全体的な動作についても、後に詳細に説明する。
【0024】
図2は、図1で示した冷蔵庫の運転制御装置が適用される冷蔵庫1の概略構成を示している。この冷蔵庫1は、低温側の第1の部屋となる冷凍室2と、第1の部屋よりも室温の高い第2の部屋となる冷蔵室3がそれぞれ独立して設けられ、冷凍室2側には冷凍室用のエバポレータ4、冷蔵室3側には冷蔵室用のエバポレータ5がそれぞれ設けられ、これらのエバポレータ4,5は1台のコンプレッサCPによりコントロールされる。そして、それぞれのエバポレータ4,5により冷凍室2および冷蔵室3が冷却される。
【0025】
そして、コンプレッサCPの運転制御やエバポレータ4,5の霜取り制御は、図1に示した冷蔵庫の運転制御装置により行われる。なお、この冷蔵庫の運転制御装置における霜取り用ヒータH1は、冷凍室2用に設けられたエバポレータ4に付着した霜を効率よく溶かすことのできる位置に設けられ、霜取り用ヒータH2は、冷蔵室3用に設けられたエバポレータ5に付着した霜を効率よく溶かすことのできる位置に設けられる。
【0026】
また、図1に示した冷凍室2用のサーモスイッチT1は、エバポレータ4の霜取り制御を行うためのもので冷凍室2内の温度を検知して、その温度が予め定められた温度以下のときはオンし霜取り用ヒータH1に通電し、予め定められた温度より高い温度となるとオフするものである。一方、冷蔵室3用のサーモスイッチT2は、エバポレータ5の霜取り制御を行うためのもので冷蔵室3内の温度を検知して、その温度が予め定められた温度以下のときはオンし霜取り用ヒータH2に通電し、予め定められた温度より高い温度となるとオフするものである。
【0027】
さらに、冷凍室2側のエバポレータ4のサーモスイッチT0は、コンプレッサCPの運転をオン/オフするためのサーモスイッチであり、冷凍室2内の温度が予め定められた温度以上になるとオンしコンプレッサCPの運転を行わせ、予め定められた温度より低いときはオフとなっている。
【0028】
これら各サーモスイッチT0,T1,T2や霜取り用ヒータH1,H2は、図2においては図示されていないが、冷凍室2あるいは冷蔵室3内においてそれぞれが最も効率よく動作可能となる位置に設けられる。
【0029】
また、図1に示した冷蔵庫の運転制御装置のタイマモータMと、このタイマモータMにより駆動される切替スイッチsw1およびスイッチsw2は、霜取りタイマ機構10を構成し、図3に示すような構造となっている。
【0030】
この霜取りタイマ機構10は、大きく分けると、第1のタイマ動作を行う第1のタイマ機構20と、第2のタイマ動作を行う第2のタイマ機構30とから構成されている。つまり、第1のタイマ機構20をタイマ本体とし、この第1のタイマ機構20に第2のタイマ機構30を付加した構造となっている。以下、図3を参照しながら説明する。
【0031】
第1のタイマ機構20は、タイマモータMと、このタイマモータMの回転を減速するギア輪列部21と、このギア輪列部21の最終出力軸22に取り付けられたカム23と、このカム23により動作する切替スイッチsw1(この実施の形態ではマイクロスイッチ)とから構成されている。なお、タイマモータMは、図1のタイマモータMに対応し、切替スイッチsw1は、図1の切替スイッチsw1に対応する。
【0032】
この第1のタイマ機構20は、タイマモータMが通電状態となると、タイマモータMが回転を開始し、その回転はギア輪列部21により減速されカム23に伝達される。そして、タイマモータMへの通電開始(初期状態)から所定の時間(この実施の形態では、6時間とする)は、切替えスイッチsw1は、図1に示す端子p1側にある。そして、サーモスイッチT0がオンとなりコンプレッサCPが稼動する時間の合計が6時間となると、端子p2側に切り替わり、その後一定の条件が満たされると再び端子p1側に切り替わるようになっている。つまり、この場合、端子p1側に切り替わったばかりの状態を初期状態とし、その状態からタイマモータMの回転が開始したものとしている。
【0033】
なお、この実施の形態では、冷凍室2は、コンプレッサCPの積算稼働時間が6時間に達するごとに霜取り動作モードに入り、冷蔵室3は、その2倍の周期、つまり、コンプレッサCPの積算稼働時間が12時間に達するごとに霜取り動作モードに入るものとなっている。
【0034】
この動作を図1等により説明する。今、初期状態においては、第1のタイマ機構20は、そのカム23が切替スイッチsw1を端子p1側としており、その時点からコンプレッサCPの積算稼動時間が6時間を経過するまでの間は、切替スイッチsw1は端子p1側となっている。このような状態では、コンプレッサCPは、サーモスイッチT0によって制御され、サーモスイッチT0がオンのときコンプレッサCPは運転状態となる。そして、コンプレッサCPの積算稼働時間が6時間に達すると、カム23によって切替スイッチsw1が端子p2側に切り替わる。これにより、コンプレッサCPは運転を完全に停止し、第1の霜取り動作モードに入る。この第1の霜取り動作モードにおける動作は後述する。
【0035】
一方、第2のタイマ機構30は、カム31とこのカム31によりオンまたはオフするスイッチsw2(この実施に形態ではマイクロスイッチ)を有した構造となっている。そして、カム31は、第1のタイマ機構20のカム23の回転軸(第1のタイマ機構20のギア輪列部21の最終出力軸22)に取り付けられ、カム23と一体的に回転動作する。
【0036】
この第2のタイマ機構30は、カム31の回転によりスイッチsw2をオンまたはオフ制御するもので、この実施の形態では、切替スイッチsw1が端子p2側に切り替わる周期の整数倍(ここでは2倍)の周期ごとにスイッチsw2をオンさせるような動作を行う。つまり、前述の第1のタイマ機構20は、切替スイッチsw1を6時間ごとに端子p2側に切り替える動作を行うが、この第2のタイマ機構30は、スイッチsw2を12時間周期でオンさせるようになっている。
【0037】
この第2のタイマ機構30は、冷蔵室3側の霜取りモードである第2の霜取り動作モードを設定するものである。つまり、冷蔵室3の霜取り動作は、第2のタイマ機構30のスイッチsw2がオンしている間に、サーモスイッチT2のオン/オフによりヒータが動作して行われるものである。なお、切替えスイッチsw1が端子p2側に切り替わると、図1からもわかるように、サーモスイッチT1がオンの場合、抵抗差によって電流の多くがスイッチsw1から端子p2を経由して各ヒータH1,H2側へと流れる。このため、タイマモータMは、動作が停止する。そして、サーモスイッチT1がオフすると、今度は、タイマモータM側に電流が流れるため、タイマモータMが再び動作する。
【0038】
タイマモータMが再び動き出すと、カム23によって切替スイッチsw1は、端子p1側に切り替わり、第1の霜取り動作モードが終了するが、直ぐには切り替わらず、一定時間経過後に切り替わるようになっている。また、同様に、スイッチsw2も、タイマモータMが動作を再開しても直ちには、オフせずに或る時間経過後にオフするようになっている。さらに、このスイッチsw2は、オンして第2の霜取り動作モードとなるタイミングも、切替スイッチsw1が端子p2側に切り替わる少し前に、既にオン状態となるようにしている。このように、切替スイッチsw1が端子p1側に切り替わるタイミングや、スイッチsw2のオン/オフのタイミングを以上のような設定とする理由については後述する。
【0039】
なお、このような6時間周期や12時間周期のタイミング設定を行うには、カム23とカム31の形状を工夫することで容易に実現できる。たとえば、1例として、図4のような形状とする。
【0040】
図4(A)は、カム23と切替スイッチsw1を示すもので、カム23の凸部231,232のどちらか一方が切替スイッチsw1の動作部41を押圧すると、切替スイッチsw1は、図1で示した端子p2側に切り替わった状態となり、それ以外では、端子p1側にある。今、カム23が矢印A方向に回転し、カム23の凸部231の端部aにより、切替スイッチsw1の動作部41が押されると、切替スイッチsw1は、端子p2側に切り替わる。
【0041】
このとき、前述したように、タイマモータMの動作が停止し、カム23も停止する。そして、再び、タイマモータMが動作してカム23が回転し始めても、しばらくの間は、凸部231(または凸部232)が切替スイッチsw1の動作部41を押し続けるので、切替スイッチsw1は端子p2側にあり、その後、凸部231が過ぎ去った時点で端子p1側に切り替わる。
【0042】
図4(B)は、カム31とスイッチsw2を示すもので、この場合も、カム23とほぼ同様に、カム31の凸部311がスイッチsw2の動作部42を押圧すると、スイッチsw2はオン状態となり、それ以外では、オフ状態にある。
【0043】
今、カム31が矢印A方向に回転し、カム31の凸部311の端部aにより、スイッチsw2の動作部42が押されると、スイッチsw2はオンし、第2の霜取り動作モードとなる。なお、このカム31はカム23と同じ最終出力軸22により回転し、カム31の凸部311は、カム23のどちらか一方の凸部(この実施の形態では凸部231とする)に同期して回転している。
【0044】
したがって、カム23により切替スイッチsw1が端子p2側に切り替わるとともに、カム31の凸部311によってスイッチsw2もオンするが、このオンするタイミングは、前述したように、切替スイッチsw1が端子p2側に切り替わる少し前に、既にオン状態となるようにされている。
【0045】
そして、切替スイッチsw1が端子p2側に切り替わることにより、前述したように、タイマモータMの動作が停止し、カム31も停止する。しかし、再び、タイマモータMが動作してカム31が回転し始めてもしばらくの間は、凸部311がスイッチsw2の動作部42を押し続けるので、スイッチsw2は直ぐにはオフせず、その後、凸部311が過ぎ去った時点でオフするようになっている。このスイッチsw2がオフするタイミングは、切替スイッチsw1が端子p1側に切り替わってしばらくたってからオフ状態となるようにされている。
【0046】
以上のような構成において、図1から図4さらには図5を用いて、その動作を具体的に説明する。
【0047】
まず、冷蔵庫1を設置して電源(図示せず)をオンする。この初期状態においては、前述したように、第1のタイマ機構20は、そのカム23とスイッチsw1は、その時点でスイッチsw1が端子p1側に切り替わったばかりの状態となるように設定してある。一方、冷蔵庫1の温度は高くなっているため、サーモスイッチT0はオンとなっている。したがって、電源をオンした時点からタイマモータMは、動作を開始する。
【0048】
これにより、コンプレッサCPが運転を開始し、冷凍室2と冷蔵室3のエバポレータ4,5がそれぞれ冷却状態となって、冷凍室2と冷蔵室3はそれぞれ冷却される。そして、コンプレッサCPの積算稼動時間が6時間を経過すると、第1のタイマ機構20が動作し、カム23によって切替スイッチsw1が端子p2側に切り替えられる。このような動作をタイムチャートで表したものが、図5である。
【0049】
図5中の(a)で示す信号は、コンプレッサCPの運転状態を示すもので、時刻t0で電源オンし、コンプレッサCPの積算稼働時間が6時間経過すると、図5の(b)で示されるように、時刻t1で切替スイッチsw1が端子p2側に切り替わる。なお、切替スイッチsw1が切り替わるまでの間、冷凍室2の温度が十分下がって、エバポレータ4のサーモスイッチT0がオフすれば、コンプレッサCPは運転を停止し、冷凍室の温度が或る温度にまで上昇すると、再びコンプレッサCPは運転を開始する。この動作は、サーモスイッチT0のオン/オフによる通常の運転動作である。
【0050】
このように、切替スイッチsw1が端子p2側に切り替わると、図1からもわかるように、第1のタイマ機構20は、第1の霜取り動作モードに入り、冷凍室2の霜取り用ヒータH1が通電可能状態となる。このとき、サーモスイッチT1は、通常オン状態にある。これは、冷凍室2は、エバポレータ4の働きで十分冷却されているためである。この通電によって、冷凍室2用のエバポレータ4に付着した霜を除去する動作が開始する。
【0051】
なお、この状態は、電源オンからコンプレッサCPの積算稼働時間が6時間経過後の動作であるので、第2のタイマ機構30のスイッチsw2はまだオフ状態を継続しており、冷蔵室3の霜取り用ヒータH2は非通電状態にある。したがって、このときは、冷凍室2用のエバポレータ4に対してのみの霜取りが行われることになる。
【0052】
また、時刻t1にて、切替スイッチsw1が端子p2側に切り替わることにより、タイマモータMへの電流よりも、切替スイッチsw1からサーモスイッチT1を経由する電流が大きくなるので、タイマモータMの動作が停止する。つまり、タイマモータMは、時刻t1で動作を停止し、その時点でタイマ動作が一旦停止することになる。
【0053】
そして、霜取り用ヒータH1が加熱されることにより霜取りが行われ、冷凍室2内の温度が上昇すると、サーモスイッチT1がオフする。サーモスイッチT1がオフすると(時刻t2)、タイマモータM側に電流が流れるようになり、タイマモータMが再び動作を開始する。
【0054】
タイマモータMが動作を再開すると、カム23も再び回転し始めるが、直ぐには切替スイッチsw1は端子p1側には切り替わらず、一定時間、端子p2側に切り替わった状態を保持している。つまり、霜取り用ヒータH1の動作により、冷凍室2のエバポレータに付着した霜を溶かす作業を行い、霜取り用ヒータH1がオフした後も、一定時間はその状態を保持するようにしている。この一定時間というのは、溶けた霜が水となったとき、その水が完全に流れ去るまでの時間であり、それをここでは、霜取りタイマ機構10によるデフロスト時間(D/F時間)と呼ぶことにし、そのD/F時間をΔt1で表す。なお、第1の霜取り動作モードの時間は、カム23の凸部231,232の各長さで決定される時間であり、霜取り用ヒータH1の通電時間にこのD/F時間をプラスした時間となっている。
【0055】
したがって、サーモスイッチT1がオフした後、Δt1時間が経過して初めて、切替スイッチsw1が端子p1側に切り替わる(時刻t3)。したがって、この時刻t3にて、コンプレッサCPが運転を再開する。なお、この時点では、冷凍室2は温度が上昇しているため、サーモスイッチT0は通常オン状態となっており、コンプレッサCPは、切替スイッチsw1の切り替わりと同時に運転を再開する。
【0056】
このように、サーモスイッチT1がオフした後も、Δt1時間が経過した以降にコンプレッサCPの運転を再開するようにしたのは、サーモスイッチT1がオフしたのち、直ちに、コンプレッサCPの運転を再開すると、溶けた水が凍ってしまうという不都合が生じるためであり、それを防ぐために、水を流しきった状態でコンプレッサCPの運転を再開するようにしているのである。
【0057】
そして、時刻t3で再びコンプレッサCPが運転状態に入り通常の冷却動作となる。この時刻t3からさらにコンプレッサCPの積算稼働時間が6時間経過すると、再び、切替スイッチsw1が端子p2側に切り替わる(時刻T4)。このとき、第2のタイマ機構30のスイッチsw2もオンし、第2の霜取り動作モードに入る。ただし、この第2のタイマ機構30のスイッチsw2は、切替スイッチsw1が端子p2側に切り替わるよりも少し前にオンするようになっている。すなわち、切替スイッチsw1は、時刻T4で端子p2側に切り替わるが、スイッチsw2は、図5の(d)に示すように、時刻T4よりもΔt2で示される時間分早くオン状態となるようにして、第2の霜取り動作モードに早く入るようにしてある。
【0058】
このように、時刻t4で切替スイッチsw1が端子p2側に切り替わる(その時点ではすでにスイッチsw2はオン)と、再び、霜取り動作に入るが、このときは、冷凍室2用のエバポレータ4だけではなく冷蔵室3用のエバポレータ5の霜取りも行われる。
【0059】
つまり、切替スイッチsw1が時刻t4で端子p2側に切り替わることにより、冷凍室2と冷蔵室3の霜取り用ヒータH1,H2がそれぞれ通電可能状態となる。これは、このとき、冷凍室2も冷蔵室3もエバポレータ4,5で十分冷却されているため、サーモスイッチT1,T2が、共にオン状態にあるためである。これによって冷凍室2と冷蔵室3の霜取り動作が開始する。このように、切替スイッチsw1が端子p2側に切り替わったとき、冷凍室2の霜取り用ヒータH1がオンすると同時に、冷蔵室3の霜取り用ヒータH2も同時に確実に通電状態となる。
【0060】
これは上述したように、スイッチsw2を切替スイッチsw1が端子p2側に切り替わる少し前に既にオン状態としておくためである。よって、通常、サーモスイッチT1,T2がともにオンしているので、切替スイッチsw1が端子p2側に切り替わると同時に、霜取り用ヒータH1,H2が共に通電状態となる。換言すれば、サーモスイッチT2がオンしているにも係わらず、スイッチsw2のオンが切替スイッチsw1の端子p2側への切り替わり時点から遅れることによる霜取り用ヒータH2の動作遅れを防止するためである。
【0061】
なお、この霜取り動作中は、前述したように、タイマモータMの動作が停止する。つまり、タイマモータMは、時刻t4で動作を一旦停止し、その時点から霜取り用ヒータH1,H2の動作により霜取り動作が行われる。そして、冷凍室2および冷蔵室3内の温度が上昇すると、サーモスイッチT1,T2がオフする。サーモスイッチT1,T2がオフすると(時刻t6)、タイマモータM側に電流が流れるようになり、カム23,31が回転を再開する。
【0062】
ところで、前述の説明では、霜取り作業終了時刻(サーモスイッチT1,T2がオフする時刻)は、ともに時刻t6としたが、両者にはバラツキがあり、サーモスイッチT1を基準に考えた場合、図5の(e)に示すように、サーモスイッチT2は時刻t6よりも早い時刻T5でオフする場合もあり、また、時刻t6よりも遅いt7でオフする場合もある。サーモスイッチT2が時刻t5でオフした場合は、サーモスイッチT1がまだオン状態にあるので、タイマモータMは駆動を再開しない。そして、サーモスイッチT1がオフした時点で、タイマモータMが駆動を開始し、前述したように、D/F時間としてΔt1時間を取って、完全に水を流した状態で再びコンプレッサCPが運転を再開するので問題はない。
【0063】
しかし、サーモスイッチT2が時刻t6よりも遅い時刻t7でオフするような場合、サーモスイッチT1がオフしているため、タイマモータMが再駆動し、D/F時間△t1に入り、その後両スイッチsw1,sw2がオフする。もし、スイッチsw2が、切替スイッチsw1によるD/F時間△t1が経過するよりも早くオフしてしまうと、冷蔵室3側の少なくなっているデフロストの時間△t3がさらに少なくなってしまう。すなわちヒータH2による霜取り作業(溶けた水が完全に流されるまでの作業を含む)が十分なされないうちに、スイッチsw2によってヒータH2の動作がオフされてしまい、冷蔵室3側では、不十分な霜取り状態のまま冷却動作に入ってしまう。
【0064】
つまり、霜取り用ヒータH2は、本来、サーモスイッチT2によってオフされるべきものであるが、スイッチsw2によってまだ十分霜を除去していないのにも拘わらずオフされてしまう不都合が生じる。このように、霜が完全に溶けていない状態で、冷却動作に入ると、エバポレータ5に付着した霜は氷化してしまい、エバポレータ5の冷却機能が悪化するという問題が生ずる。
【0065】
これを防止するために、切替スイッチsw1とスイッチsw2は、サーモスイッチT2の特性を十分考慮してサーモスイッチT2がオフするに必要な時間を十分とってオフするようにしている。すなわち、切替スイッチsw1が端子p2側にいる時間をサーモスイッチT2がオフするに十分な時間となるように設定すると共に、スイッチsw2は、時刻t6にD/F時間△t1をプラスした時刻より後の時刻t8でオフするようにしている。
【0066】
換言すれば、第1の霜取り動作モードの期間を十分取ると共に第2のタイマ動作における第2の霜取り動作モードの終了を、第1のタイマ動作における霜取り動作モードの終了より遅らせている。ただし、第1のタイマ動作における第1の霜取り動作モードの期間をあまり長くすると、コンプレッサCPの非稼動時間が長くなり、冷蔵庫1全体の温度が上がりすぎてしまう問題が生ずる。このため、第1の霜取り動作モードの期間、すなわち、カム23の凸部231,232の長さをサーモスイッチT1,T2のばらつきを考慮した程度の長さをプラスするようにすれば良い。なお、この考慮は、本来、凸部311と重なる凸部231側だけで良く、凸部232側は、サーモスイッチT1のみのばらつきを考慮したものにすれば良い。しかし、この実施の形態では、両凸部231,232は、同じ大きさのものとなっている。
【0067】
このような設定とすることにより、サーモスイッチT2が、たとえ、サーモスイッチT1がオフする時刻t6よりも遅い時刻t7でオフしたとしても、少なくとも、△t3となるデフロストのための時間を設けることができる。なお、D/F時間△t1は、上述したように、サーモスイッチT2のサーモスイッチT1に対するばらつきを十分カバーする時間に設定している。このため、サーモスイッチT2は、D/F時間△t1内で確実にオフし、かつ溶けた水が完全に流されてから切替スイッチsw1が端子p1に切り替わることとなる。
【0068】
これにより、サーモスイッチT2が、サーモスイッチT1のオフする時刻t6よりも遅い時刻t7でオフしたとしても、霜取りに本来必要な時間を十分確保することができ、かつ、その後のデフロストの時間を十分確保することができる。なお、この冷蔵室3側のデフロストの時間は、冷凍室2側のD/F時間△t1よりも、時刻t7から時刻t6を差し引いた時間分短くなるが、上述したように、冷凍室2側のD/F時間、これはカム23の凸部231の長さで決まる時間を、サーモスイッチT2がばらついても、十分冷蔵室3側のデフロストの時間を取れるようにしているので問題は生じない。
【0069】
以上のように、霜取り用ヒータH2が本来霜取りに必要な動作時間を十分にとることができるように、第2のタイマ動作における第2の霜取り動作モードの開始と終了のタイミング、すなわち、スイッチsw2のオンするタイミングとオフするタイミングを設定している。このようなタイミングでスイッチsw2をオフさせるようにしたのは、霜取り用ヒータH2が動作を終了すべき本来のタイミングを、サーモスイッチT2により決定するようにしたためであり、スイッチsw2や切替スイッチsw1によって、サーモスイッチT2のオフのタイミングが制御されないようにするためである。
【0070】
なお、この実施の形態では、図5からもわかるように冷凍室2は、コンプレッサCPの積算稼働時間が6時間に達するごとに、霜取り用ヒータH1がオンして霜取り作業が開始し、冷蔵室3は、その2倍の周期ごとに霜取り作業が開始することになる。
【0071】
したがって、電源投入後、コンプレッサCPの最初の積算稼働時間が6時間に達したときは、冷凍室2のヒータH1のみがオンし、冷凍室2側の霜取り作業を開始し、霜取り用ヒータH1がオフ(サーモスイッチT1がオフ)後、溶けた水を流すためのD/F時間が経過した後、コンプレッサCPが運転を再開する。そして、その時点からの積算稼働時間がさらに6時間(合計12時間)に達すると、今度は、冷凍室2の霜取り用ヒータH1とともに、冷蔵室3の霜取り用ヒータH2も同時にオンし、両方の霜取り作業を開始する。
【0072】
そして、霜取り用ヒータH1がオフ(サーモスイッチT1がオフ)した後、D/F時間経過後に再び、コンプレッサCPの運転を開始するというような動作を繰り返す。このコンプレッサCPの運転が再開されるまでに霜取り用ヒータH2もオフし、霜取り作業が完了している。なお、冷蔵庫1を工場から出荷する際の霜取りタイマ機構10の初期設定は、据え付け後の電源投入時に、直ちにコンプレッサCPの運転が開始し、6時間の積算稼働時間後に冷凍室2の霜取りを開始するような設定としておくと都合がよい。
【0073】
以上説明したように、本発明の第1の実施の形態によれば、第1のタイマ機構20は従来から用いられている冷凍室用の霜取りタイマであり、この第1のタイマ機構20に第2のタイマ機構30を付加した霜取りタイマ機構10を用いることによって、冷凍室2用のエバポレータ4だけでなく冷蔵室3用のエバポレータ5の霜取りを、それぞれに適応した周期で行うことができる。
【0074】
しかも、第2のタイマ機構30は、第1のタイマ機構20の最終出力軸22(カム軸)に、第2のタイマ機構30のカム31を取り付ける構造となっているので、第2のタイマ機構20としての部品点数はきわめて少なく、全体の形状も小型なものとすることができ、組立も簡単なものとすることができる。また、このようなメカ式のタイマ機構を用いた冷蔵庫1の運転制御装置は、動作が確実で、かつ、コストも大幅に低くすることができる。
【0075】
なお、上述の第1の実施の形態は、本発明の好適な実施の形態の例であるが、これに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々変形実施可能である。例えば、この第1の実施の形態では、冷凍室2の霜取り開始のタイミングをコンプレッサCPの積算稼働時間が6時間に達するごとに行うようにしたが、積算時間は6時間に限られるものではなく、種々の時間を設定することができるものである。
【0076】
また、霜取りタイマ機構10の構成は、第1の実施の形態で説明したようなものに限られるものではない。例えば、切替スイッチsw1あるいはスイッチsw2は、この実施の形態では第1のタイマ機構20と第2のタイマ機構30に共にマイクロスイッチを用いた例を示したが、図6から図8に示す第2の実施の形態のように第1のタイマ機構に従来の構成のスイッチを用い、第2のタイマ機構にマイクロスイッチを用いるようにしても良い。さらには、図9から図11に示す第3の実施の形態のように両タイマ機構を共に接片式のスイッチとしても良い。
【0077】
図6から図8に示す霜取りタイマ機構50は、第2の実施の形態の冷蔵庫の運転制御装置に用いられるもので、回路構成、動作のタイムチャートおよび適用される冷蔵庫の形態等は、第1の実施の形態のものと同様となっている。この霜取りタイマ機構50は、接片式の切替スイッチsw1を有する第1のタイマ機構51と、マイクロスイッチ方式のスイッチsw2を有する第2のタイマ機構52と、両機構51,52を駆動するモータ部53とから主に構成されている。ここで、第1のタイマ機構51とモータ部53は、実公昭62−1279等に見られる通常のモータ駆動式タイマとなっている。
【0078】
そして、このモータ駆動式タイマに第2のタイマ機構52が付加されている。第2のタイマ機構52は、第1のタイマ機構51内のカム(図示省略)と一体回転する回転軸54に係合し共に回転するカム55と、このカム55を回転軸54との間で挟み込み保持する保持板56と、この保持板56を第1のタイマ機構51上に取り付けるビス57,57と、保持板56と第1のタイマ機構51との間に狭持されるマイクロスイッチ58とから主に構成される。
【0079】
カム55には軸部55aが設けられ、その端面には多数の浅い溝55bが設けられ、外部よりカム55および第1のタイマ機構51中のカムを手動にて回転可能にされている。また、マイクロスイッチ58の動作部58aは、カム55によって押し込められたときに、オフするものとなっている。さらに、マイクロスイッチ58は、2つの支持柱59,59によって保持板56に位置決めされかつ係合している。また、マイクロスイッチ58の本体を載置し、端子60,60を保護し、絶縁距離を稼ぐための保護部材61が第1のタイマ機構51とは反対側に設けられている。
【0080】
図9から図11に示す霜取りタイマ機構70は、第3の実施の形態の冷蔵庫の運転制御装置に用いられるもので、回路構成、動作のタイムチャートおよび適用される冷蔵庫の形態等は第1の実施の形態のものと同様となっている。この霜取りタイマ機構70は、接片式の切替スイッチsw1を有するタイマ機構71と、接片式のスイッチsw2を有する第2のタイマ機構72と、両機構71,72を駆動するモータ部73とから主に構成される。ここで、第1のタイマ機構71とモータ部73は、上述同様、実公昭62−1279等で示される通常のモータ式駆動タイマとなっている。第2のタイマ機構72は、第1のタイマ機構71のカム(図示省略)と一体回転する回転軸74に係合し、共に回転するカム75と、このカム75に当接し、オンオフする接片76,76と、カム75および接片76、76を覆うカバー77とから主に構成されている。
【0081】
カム75には、出力軸78が設けられており、その軸端面にはマイナスドライバ等が係合する溝78aが設けられており、カム75と第1のタイマ機構71中のカムの初期位置の設定等が可能となっている。カム75は、一方の接片76を載置する大径のカム面79と、他方の接片76を載置する小径のカム面80とが設けられている。カム75は矢示B方向に回転する。
【0082】
このため、カム面79に当接している接片76がまず第1凹部79aに落ち込み両接片76,76が接触する。このときが、上述したスイッチsw2のオン時点に相当する。その後、モータタイマMが再駆動してカム75が再回転し始めると、すなわちデフロスト時間△t1+αが経過すると、カム面80上の接片76が第2凹部80aに落ち込み、両接片76,76は離れる。この再回転から両接片76,76が離れるまでの時間を第1のタイマ機構71中のカムによるデフロスト時間△t1より長くしている。なお、このタイミングについては、先に説明した各実施の形態と同様となっている。
【0083】
なお、この第1のタイマ機構20,51,71に対する第2のタイマ機構30,52,72もこの実施の形態で用いたものに限られるものではなく、第1のタイマ機構20,51,71のカムの回転をさらに減速して第2のタイマ機構30,52,72として必要なオン/オフのタイミングを作り出すようにしてもよい。また、付加するタイマ機構を増速されるものとし、その付加されたタイマ機構を温度の低い部屋用の第1のタイマ機構とし、他のものを温度の低い部屋用の第2のタイマ機構としても良い。さらに、両タイマ機構のカムを、別体ではなく、軸方向に一体的に重ねて配置した2段カムとしても良い。
【0084】
また、エバポレータ4,5は、各部屋に取り付けられているが、1つの部屋に2つ以上取り付けられるものにも適用することができる。さらに、エバポレータが3つ以上ある場合は、第2のタイマ機構30,52,72に相当するタイマ機構をさらに付加することで制御が可能となる。その場合、回路は、図1に示す、スイッチsw2,サーモスイッチT2,霜取り用ヒータH2の直列回路と並列に同様な構成の直列回路を設けることで達成される。
【0085】
さらに、上述の各実施の形態では、タイマモータMは、サーモスイッチT1がオフすると動作するものとなっているが、図12に示す第4の実施の形態のように、サーモスイッチT1とサーモスイッチT2が共にオフして初めて動作するようにしても良い。このようにすると、遅くオフするサーモスイッチが切れてからD/F時間△t1を常に確保できるものとなる。また、すべての第2の霜取り動作モードは、第1の霜取り動作モードの開始時期と同期させているが、第2の霜取り動作モードのうち一部のみ同期させるようにしても良い。この場合も、従来の単に2つの動作モードを設けるものに比べると、冷却効率の悪化防止の面で有利となる。
【0086】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1記載の冷蔵庫の運転制御装置では、第1のエバポレータの霜取り周期より長い周期で第2のエバポレータの霜取りを行うようにし、しかもその霜取り時期が重なり合う部分を設けたので、霜取りのためのコンプレッサが動作しなくなる期間を短くでき、冷却効率の減少を防止できる。また、第1のエバポレータと第2のエバポレータ、例えば、冷凍室用のエバポレータと冷蔵室用のエバポレータの両方をそれぞれに応じた周期で霜取りが可能となる。また、第2のエバポレータ、例えば冷蔵室用のエバポレータの霜取りを行う際、第2のエバポレータ、例えば冷蔵室用のエバポレータの第2の霜取り動作モードの開始を、冷凍室用のエバポレータの第1の霜取り動作モードの開始よりわずかに早く設定し、この第2の霜取り動作モードの終了を、第2のエバポレータの霜取り用ヒータによる霜取りに必要な時間以降に設定するようにしている。これにより、霜取りを第1のエバポレータ側を基準として開始しても、第2のエバポレータも必ず同時に霜取りを開始させることができる。また、第2のエバポレータ側の霜取り用ヒータの本来オフすべきタイミングを霜取りタイマ機構によって制御されないようにすることができる。したがって、たとえば、冷凍室側の霜取りヒータの動作時間に対して冷蔵室側の霜取り用ヒータの動作時間が長くなった場合にも、冷蔵室の霜取り時間が短縮されないようにすることができ、冷蔵室の霜取りを確実に終わらせることができる。
【0087】
また、請求項2記載の冷蔵庫の運転制御装置では、第1のエバポレータの霜取り周期より長い周期で第2のエバポレータの霜取りを行うようにし、しかもその霜取り時期が重なり合う部分を設けたので、霜取りのためのコンプレッサが動作しなくなる期間を短くでき、冷却効率の減少を防止できる。また、第1のエバポレータと第2のエバポレータ、例えば、冷凍室用のエバポレータと冷蔵室用のエバポレータの両方をそれぞれに応じた周期で霜取りが可能となる。また、第2の霜取り動作モードの開始から終了までの期間が、第1の霜取り動作モードの開始から終了までの期間を完全にカバーするようになるため、第1のタイマ動作で冷蔵庫全体を制御するようにしても、霜取り動作を両エバポレータに対し効率良く行うことができる。
【0088】
また、請求項3記載の発明は、コンプレッサの積算稼働時間が予め設定された時間に達するごとに第1のエバポレータの霜取り動作を行うようにしているので、霜取りの開始時刻を効率よく容易に設定することができ、霜取りタイマ機構によるスイッチのオンオフのタイミング設定を簡単に決めることができる。加えて、第2の霜取り動作モードは、第1の霜取り動作モードと重ね合わされるので、第2のタイマ機構によって霜取り作業を行う場合は、第1のタイマ機構側も霜取り動作を行うことになる。この結果、第2の霜取り作業を付加させても、冷却効率は落ちることがない。
【0090】
また、請求項4記載の発明では、霜取りタイマ機構は、第1のエバポレータの霜取り動作を行うためのタイマ機構をメインブロックとして構成し、このメインブロックのタイマ機構に第2のエバポレータの霜取り動作モードを設定するためのタイマ機構を付加する構造としている。これにより、従来から用いられている、例えば冷凍室用のタイマ機構に新たに第2の部屋であるエバポレータで冷却される冷蔵室用のタイマ機構を付加するだけで、冷凍室用と冷蔵室用の両方の霜取りタイマ機構を得ることができる。しかも、第2のエバポレータ用のタイマ機構としての部品は主として、カムとスイッチ機構程度で済むため、全体の構造を簡単なものとすることができ、かつ、1つの霜取りタイマ機構で、2種類の動作タイミングを得ることができる。
【0091】
さらに、請求項5記載の発明は、運転制御装置として、請求項1から3のいずれか1項に記載の冷蔵庫の運転制御装置を備えるようにしたので、低温側の第1の部屋と高温側の第2の部屋をそれぞれ独立して冷却させることができ、第2の部屋内の食品の臭気と第1の部屋内の食品の臭気とが相互に入り込むことが無くなる。このため、第1の部屋等で作る氷に臭いが移ったり、冷凍ものの臭いが野菜等に移る心配もなくなる。また、第1の部屋と第2の部屋のそれぞれに対応した最適なサイクルでの霜取りが効率よく、確実に行うことができ、きわめて使い勝手のよい冷蔵庫とすることができる。さらに、1台の霜取りタイマ機構等を採用すると、タイマ機構が省スペースとなり、冷蔵庫の容積が減少せず、かつ故障も少ない安定した冷蔵庫とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の冷蔵庫の運転制御装置の第1の実施の形態を説明する概略的な回路構成図である。
【図2】図1の冷蔵庫の運転制御装置が適用される冷蔵庫の概略的な一部破断構成図である。
【図3】図1の冷蔵庫の運転制御装置に用いられる霜取りタイマ機構の一部破断構成図である。
【図4】図3の霜取りタイマ機構のカム形状の一例を示す平面図で、(A)は第1のタイマ機構中のカムとスイッチの平面図で、(B)は第2のタイマ機構中のカムとスイッチの平面図である。
【図5】図1の冷蔵庫の運転制御装置の動作を説明するタイムチャートである。
【図6】本発明の第2の実施の形態の冷蔵庫の運転制御装置に用いられる霜取りタイマ機構の側面図である。
【図7】図6の霜取りタイマ機構の平面図である。
【図8】図6の右側方から見た側面図である。
【図9】本発明の第3の実施の形態の冷蔵庫の運転制御装置に用いられる霜取りタイマ機構の一部断面側面図である。
【図10】図9の霜取りタイマ機構の第2のタイマ機構の内部を示す平面図である。
【図11】図9の右側方から見た側面図である。
【図12】本発明の第4の実施の形態の冷蔵庫の運転制御装置の概略的な回路構成図で、図1に相当するものである。
【符号の説明】
1 冷蔵庫
2 冷凍室(第1の部屋)
3 冷蔵室(第2の部屋)
4 冷凍室側のエバポレータ(第1のエバポレータ)
5 冷蔵室側のエバポレータ(第2のエバポレータ)
M タイマモータ
CP コンプレッサ
sw1 切替スイッチ
sw2 スイッチ
H1 冷凍室用の霜取りヒータ
H2 冷蔵室用の霜取りヒータ
T0,T1,T2 サーモスイッチ
Claims (5)
- 第1および第2のエバポレータを備え、これら各エバポレータを1台のコンプレッサで制御する冷蔵庫の運転制御装置において、
上記第1のエバポレータの霜取りを行う第1の霜取り用ヒータと、
上記第2のエバポレータの霜取りを行う第2の霜取り用ヒータと、
上記第1の霜取り用ヒータを通電可能状態とする第1の霜取り動作モードを設定する第1のタイマ機構、および上記第1の霜取り動作モードよりも長い周期で上記第2の霜取り用ヒータを通電可能状態とする第2の霜取り動作モードを設定する第2のタイマ機構を有する霜取りタイマ機構と、
を具備し、
上記第1の霜取り動作モードと上記第2の霜取り動作モードとは、動作タイミングが重なり合う周期を持つと共に、
上記第2のタイマ機構における上記第2の霜取り動作モードの開始は、上記第1のタイマ機構における上記第1の霜取り動作モードの開始よりも早く設定されると共に、
上記第2の霜取り動作モードの終了は、上記第2のエバポレータの霜取りに必要な時間以降に設定される、
ことを特徴とする冷蔵庫の運転制御装置。 - 第1および第2のエバポレータを備え、これら各エバポレータを1台のコンプレッサで制御する冷蔵庫の運転制御装置において、
上記第1のエバポレータの霜取りを行う第1の霜取り用ヒータと、
上記第2のエバポレータの霜取りを行う第2の霜取り用ヒータと、
上記第1の霜取り用ヒータを通電可能状態とする第1の霜取り動作モードを行う第1のタイマ機構、および上記第1の霜取り動作モードよりも長い周期で上記第2の霜取り用ヒータを通電可能状態とする第2の霜取り動作モードを行う第2のタイマ機構を有する霜取りタイマ機構と、
を具備し、
上記第1の霜取り動作モードと上記第2の霜取り動作モードとは、動作タイミングが重なり合う周期を持つと共に、
上記第2のタイマ機構における上記第2の霜取り動作モードの開始は、上記第1のタイマ機構における上記第1の霜取り動作モードよりも早く設定されると共に、
上記第2の霜取り動作モードの終了は、上記第1のタイマ機構における上記第1の霜取り動作モードよりも遅く設定される、
ことを特徴とする冷蔵庫の運転制御装置。 - 前記第1の霜取り動作モードが設定されるタイミングは、前記コンプレッサの積算稼働時間が予め設定された時間に達したときであって、この予め設定された積算稼働時間を周期として前記第1の霜取り動作モードの設定を行ない、この第1の霜取り動作モードが設定されるタイミングと、前記第2の霜取り動作モードが設定されるタイミングとを重ならせたことを特徴とする請求項1または2記載の冷蔵庫の運転制御装置。
- 前記霜取りタイマ機構は、前記第1のタイマ機構をメインブロックとして構成し、このメインブロックの第1のタイマ機構に前記第2のタイマ機構を付加する構造とし、前記霜取りタイマ機構は、少なくとも、モータの回転を減速する減速機構と、この減速機構により駆動される第1および第2のカムと、これら第1および第2のカムにより駆動されるそれぞれのスイッチとにより構成され、これら第1および第2のカムによりそれぞれのスイッチを駆動させることにより、前記第1および第2の霜取り動作モードの設定・解除を制御するようにしたことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の冷蔵庫の運転制御装置。
- 低温側の第1の部屋と、この第1の部屋よりも室温の高い第2の部屋と、これら第1および第2の部屋用にそれぞれ設けられた第1および第2のエバポレータと、これら各エバポレータを制御するコンプレッサと、上記第1および第2の部屋の冷却動作および霜取り動作を行う運転制御装置とを有し、
この運転制御装置として、請求項1から4のいずれか1項に記載の運転制御装置を備えたことを特徴とする冷蔵庫。
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