JP3640360B2 - 偏光方向整列素子 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は無偏光の光を偏光面の方向がそろえられた2つの偏光に変換する偏光方向整列素子に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、液晶板を用いて所定の画像信号により照明光を変調し、この変調光をスクリーン上に拡大投影する液晶ビデオプロジェクタが広く知られている。
【0003】
このような液晶ビデオプロジェクタはスクリーン輝度をより高くすることが求められている。
【0004】
しかしながら、上記液晶板の本体である液晶セルはその性質上照明光の偏光方向を単一方向とする必要があり、そのため、通常液晶セルの前面および後面には偏光板が設けられていて所定の単一方向の偏光のみを液晶セル内に入射せしめるように構成されている。
【0005】
すなわち、液晶セルの前面に設けた偏光板において非選択方向の光成分は吸収によって熱に変換され、理論上全光量の半分しか利用できない。
【0006】
このような問題を解決するための技術として特開平6-202041号公報等に記載されたものが知られている。
【0007】
すなわち、この技術は光源と液晶板との間に偏光ビームスプリッタ、全反射プリズムおよびλ/2光学位相板からなる偏光方向整列部材を設けたものである。この偏光方向整列部材は、偏光ビームスプリッタにより、光源からの光ビームのうちP偏光を透過するとともにS偏光を直角に反射し、反射されたS偏光を全反射プリズムによりさらに直角に反射して上記偏光ビームスプリッタを透過したP偏光と平行にそろえ、さらに、λ/2光学位相板によりこのS偏光の偏光方向を90°回転せしめてP偏光に変換するようにしている。これにより光源から射出された光ビームの光量が液晶板の照明光として有効に利用されることとなる。この従来技術においてはP偏光の偏光面を90°回転させるためにλ/2光学位相板を用いている。しかし、光学位相板により偏光面を回転させるとその回転角は光の波長に依存するため、特定の波長の光については偏光面を所望の角度だけ回転させることができても、他の波長の光については楕円偏光となり、所望の偏光面の光量としては低下してしまう。
【0008】
したがって、偏光面が所望の角度だけ回転した光以外はこのλ/2光学位相板の後段でカットしなければならず、結局偏光の変換効率が低下するという問題が生じ、さらに白色光照明によりカラー画像を投影する場合には投影画像の色再現性の問題や色ムラ等の問題も生じる。
【0009】
このような問題を解決するために、光源からの無偏光を偏光ビームスプリッタに入射させ、透過光であるP偏光と反射光であるS偏光に分離し、この2つの偏光のうちいずれか一方を、複数個の全反射プリズムで順次反射せしてめて他方の偏光に変換するとともに、他方の偏光と、その進行方向をそろえるようにした偏光変換素子が知られている(実公平5-8562号公報)。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、このような偏光変換素子を用いた場合には、光源、偏光変換素子、液晶板および投光レンズが直線的に配設されることになる。液晶ビデオプロジェクタの光学系においては、光源からの射出光の進行方向と投光レンズからの射出光の進行方向とが互いに直交する方向となるよう光路を折り曲げるように構成することが光学系全体をコンパクトなものとすることにつながることも多く、このため上記偏光変換素子を用いた光学系では、例えば液晶板と投光レンズとの間にスペースをあけ反射ミラーを挿入するこにより光路を90°折り曲げ、これにより上記要請に対処することが必要となる。
【0011】
また、上述した偏光ビームスプリッタと複数個の全反射プリズムを用いて偏光整列素子を構成する場合に、射出される同一偏光の2本の光ビームが対角位置から射出されることとなると各光学部材の光射出面形状が正方形であることから照明ムラが生じることとなるため、この2本の光ビームは光ビーム光射出面において上下方向もしくは左右方向に隣接するようにして射出されることが望ましい。
【0012】
本願発明は、このような事情に鑑みなされたもので、照明用の光学系において、反射ミラーを挿入せずとも光源からの射出光の光路を90°折り曲げて投光レンズ方向に射出することができるとともに2本の光ビームが射出される光射出面を縦方向もしくは横方向に隣接して配列することができ、かつ照明効率の向上を図り得る偏光方向整列素子を提供することを目的とするものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本願発明の第1の偏光方向整列素子は、一本の光ビームを、振動面が互いに直交する第1および第2の偏光に分離し、該第1の偏光を前方に透過するとともに、該第2の偏光を上方向もしくは下方向に反射せしめる偏光ビームスプリッタと、
該偏光ビームスプリッタにより透過された第1の偏光を、入射光と出射光の相対角度である偏角が180 °となるように反射するとともに、該偏光ビームスプリッタの左方向または右方向にずれた位置に向けて射出する、直角プリズムからなる第1の反射ミラー部材と、
該偏光ビームスプリッタの前記左方向または前記右方向にずれた前記位置に配され、該第1の反射ミラー部材により反射された前記第1の偏光を前記左方向または前記右方向に反射し、出力する第2の反射ミラー部材と、
前記偏光ビームスプリッタの前記上方向または前記下方向に隣接する位置に配され、前記第2の偏光を、前記第2の反射ミラー部材から出力された前記第1の偏光の進行方向と同一方向に反射する第3の反射ミラー部材とからなり、
前記第2の偏光は、前記第3の反射ミラー部材の反射面により、前記第1の偏光と同一の振動面となるように、振動方向が変換されるよう構成されてなることを特徴とするものである。
【0014】
また、本願発明の第2の偏光方向整列素子は、第1の光ビームを、振動方向が互いに直交する第1および第2の偏光に分離し、該第1の偏光を前方に透過するとともに、該第2の偏光を上方向もしくは下方向に反射せしめる第1の偏光ビームスプリッタと、
該第1の偏光ビームスプリッタにより透過された第1の偏光を、入射光と出射光の相対角度である偏角が180 °となるように反射するとともに、該第1の偏光ビームスプリッタの左方向または右方向にずれた第1の位置に向けて射出する、直角プリズムからなる第1の反射ミラー部材と、
該第1の偏光ビームスプリッタの前記左方向または前記右方向にずれた前記第1の位置に配され、該第1の反射ミラー部材により反射された前記第1の偏光を前記左方向または前記右方向に反射し、出力する第2の反射ミラー部材と、
前記第1の偏光ビームスプリッタの前記上方向または前記下方向に隣接する位置に配され、前記第2の偏光を、前記第2の反射ミラー部材により出力された前記第1の偏光の進行方向と同一方向に反射する第3の反射ミラー部材とからなり、
前記第2の偏光は、前記第3の反射ミラー部材の反射面により、前記第1の偏光と同一の振動方向となるように、その振動方向が変換されるよう構成されてなる第1の偏光方向整列素子、および
前記第1の光ビームとは、互いに平行、かつ同一方向に進む第2の光ビームを、振動方向が互いに直交する第3および第4の偏光に分離し、該第3の偏光を前記前方に透過するとともに、該第4の偏光を上方向もしくは下方向に反射せしめる第2の偏光ビームスプリッタと、
該第2の偏光ビームスプリッタにより透過された第3の偏光を、入射光と出射光の相対角度である偏角が180 °となるように反射するとともに、該第2の偏光ビームスプリッタの左方向または右方向にずれた第2の位置に向けて射出する、直角プリズムからなる第4の反射ミラー部材と、
該第2の偏光ビームスプリッタの前記左方向または前記右方向にずれた前記第2の位置に配され、該第4の反射ミラー部材により反射された前記第3の偏光を前記左方向または前記右方向に反射し、出力する第5の反射ミラー部材と、
前記第2の偏光ビームスプリッタの前記上方向または前記下方向に隣接する位置に配され、前記第4の偏光を、前記第5の反射ミラー部材から出力された前記第3の偏光の進行方向と同一方向に反射する第6の反射ミラー部材とからなり、
前記第4の偏光は、前記第6の反射ミラー部材の反射面により、前記第3の偏光と同一の振動方向となるように、その振動方向が変換されるよう構成されてなる第2の偏光方向整列素子、
を備えてなり、
前記第1の偏光ビームスプリッタ、前記第2の反射ミラー部材および前記第3の反射ミラー部材からなる第1の光学素子群と、前記第2の偏光ビームスプリッタ、前記第5の反射ミラー部材および前記第6の反射ミラー部材からなる第2の光学素子群との、いずれか一方がいずれか他方の前記前方に互いに重なるように、かつ前記第1の偏光ビームスプリッタと前記第3の反射ミラー部材との組合せ、および前記第2の偏光ビームスプリッタと前記第6の反射ミラー部材との組合せにおいて、偏光ビームスプリッタと反射ミラー部材の位置関係が互いに逆となるように配列してなることを特徴とするものである。
なお、この場合において、前記第4の反射ミラー部材は前記第1の反射ミラー部材の前記上方向または前記下方向に一体的に形成されていることが好ましい。
【0015】
なお、上記「前方」、上記「上方向」、上記「下方向」、上記「左方向」あるいは上記「右方向」とは、光学系が所定の状態で配されたときに光源からの光の進行方向に対する相対的な方向を示す便宜的な表現である。
【0016】
【作用および発明の効果】
上記本願発明の第1の偏光方向整列素子によれば、偏光ビームスプリッタで、透過する第1の偏光と反射される第2の偏光に分離し、これら2つの偏光を各々に対応する反射ミラー部材により側方に反射せしめて2つの偏光の射出方向をそろえるようにしている。しかも、上記第2の偏光は上記第2の反射ミラー部材によって反射される際に偏光面を90°回転して上記第1の偏光に変換されることになる。これにより、1つの偏光ビームスプリッタと2つの反射ミラー部材という簡単な構成にもかかわらず光源からの光の光量の低下を防止しつつこの光の光路を直角に折り曲げることが可能となる。
【0017】
これにより、照明用の光学系において、光路折曲用の反射ミラー等を挿入することなく光学部材の配置の自由度を高めることができ、光学系全体をコンパクトに構成することも可能となる。
【0018】
また、この偏光方向整列素子によれば、偏光ビームスプリッタの前方に透過した第1の偏光は第1の反射ミラー部材により光進行方向を180 °反転せしめられて、該偏光ビームスプリッタの左右方向にずれた位置に配された第2の反射ミラー部材に入射され、次にこの第2の反射ミラー部材により側方に反射されてこの偏光方向整列素子の外部に射出される。
【0019】
一方、偏光ビームスプリッタで上下方向に反射された第2の偏光は第3の反射ミラー部材により上記第1の偏光と同一方向である側方に反射されてこの偏光方向整列素子の外部に射出される。
【0020】
上記第1の偏光の光射出面は偏光ビームスプリッタの左右方向の側面もしくはこれと同一直線上にあり、一方上記第2の偏光の光射出面は偏光ビームスプリッタの左右方向の側面と上下方向に隣接する位置、もしくはこの位置を通過して左右方向に延びる同一直線上にあり、結局2つの偏光の光ビームは上下に隣接した位置から射出されることとなる。
【0021】
これにより、2つの偏光の光ビームにより照明された面において照明ムラが生じるのを防止することができる。
【0022】
【実施例】
以下、本願発明の実施例について図面を用いて説明する。
【0023】
図2は本願発明の一実施例に係る偏光方向整列素子を用いた液晶ビデオプロジェクタを示す概略図である。この液晶ビデオプロジェクタは図示するように、反射手段である放物面反射鏡1と、この反射鏡1の焦点位置近傍に配された、ハロゲンランプ、あるいはメタルハライドランプ等からなる光源2と、光源2から直接または反射鏡1を介して射出された光ビーム3が入射され、この光路を直角方向に折り曲げるとともに、光量の低下を防止しつつP偏光に変換して射出する偏光方向整列素子10と、偏光方向整列素子10からのP偏光を所定の画像信号に応じて変調する、画像形成手段としての単板カラー液晶板4と、単板カラー液晶板4を透過したP偏光をスクリーン6上に拡大投影する投影レンズ5とから構成されている。
【0024】
なお、上記単板カラー液晶板6は、それに照射されるP偏光に対し、その偏光透過方向および作用方向がそろえられるように設定された前後両面における偏光板および液晶セルを備えている。これにより、P偏光が単板カラー液晶板4において、入力される所定の画像信号により有効に変調処理をうけることになる。
【0025】
次に、本願発明の一実施例に係る偏光方向整列素子10について図1を用いてさらに詳しく説明する。
【0026】
図1に示すように、この素子10は、互いに対向する面が接着された、偏光ビームスプリッタ11、第1の全反射プリズム16、第2の全反射プリズム12および第3の全反射プリズム13からなる。なお、第1の全反射プリズム16と他の部材11,12,13とは互いに当接するように構成されているが、図1においてはその構成を理解し易くするために第1の全反射プリズム16と他部材を分解して示している。
【0027】
また、偏光ビームスプリッタ11は同一サイズの2つの直角三角柱プリズムを光分離面11Aで当接するようにして組み合わせた立方体ブロックからなり、第2および第3全反射プリズム12,13は該直角三角柱ブロックと同じ大きさの直角三角柱ブロックからなる。また、第1の全反射プリズム16は、該立方体ブロックの1辺の2倍の長さの斜辺を有する直角三角柱ブロックからなる。光ビーム3は偏光ビームスプリッタ11に入射され、この偏光ビームスプリッタ11において互いに直交するP,S2つの偏光に分離され、2本の光ビームとして射出される。
【0028】
すなわち、P偏光14A′は偏光ビームスプリッタ11の作用面(蒸着膜面)11Aを透過し、その光射出面11Bから射出され、第1の全反射プリズム16の直交する2つの反射面16A,16Bで光ビーム進行方向を180 °変更されるとともに、偏光ビームスプリッタ11の側方に位置する第2の全反射プリズム12の前面12Aに入射するように側方にずらされ、第1の全反射プリズム12の反射面12Bで側方に反射され、偏光ビームスプリッタ11を左右方向に通過し、この偏光ビームスプリッタ11の光射出面11Cから第1のP偏光14Aとして射出される。一方S偏光14B′は上記作用面11Aにおいて下方に反射され、さらに第3の全反射プリズム13の反射面13Aにおいて側方に反射されてP偏光に変換され、この第2の全反射プリズム13の光射出面13Bから第2のP偏光14Bとして射出される。上記4つの反射面16A,16B,12A,13Aは、照射される2つの偏光14A′,14B′の光ビームが各々入射角45°で入射されるように配されており、2つの偏光14A′,14B′はこれらの反射面16A,16B,12A,13Aにおいて直角に反射される。そして、この第3の全反射プリズム13の反射面13AにおいてS偏光がP偏光に変換される。
【0029】
結局、第3の全反射プリズム13の光射出面13Bから射出された第2のP偏光14Bは、偏光ビームスプリッタ11の光射出面11Cから射出された第1のP偏光14Aとそのビーム進行方向および偏光方向が互いに平行とされて単板カラー液晶板4方向に射出される。これにより、無偏光の光ビーム3の略全光量を、所定方向に偏光面を有するP偏光に変換しつつ、その光路を直角方向に折り曲げることができる。
【0030】
しかも、上記2つの光射出面11C,13Bは上下方向に隣接して配されることとなり、これらの光射出面11C,13Bから射出される偏光14A,14Bの光ビームが、あたかも断面長方形の、光量が略均一の1本の光ビームと同様となり、照射される対象面上の照明ムラが軽減される。
【0031】
また、上記偏光ビームスプリッタ11および2つの全反射プリズム12,13をその配置を変えて組み合わせた偏光方向整列素子によっても、この偏光方向整列素子10Aと同様の効果を奏することが可能である。
【0032】
図3(a)は、図1に示す偏光方向整列素子10Aと同様に構成された第1部材25A、この素子10Aと上下対称に構成された第2部材25Bおよび第1の全反射プリズム26を前後方向に組み合わせて、2本の無偏光3A,3Bから4本のP偏光24A,24B,124 A,124 Bの光ビームを側方に射出するようにした偏光方向整列素子10Bを示す分解斜視図である。図3(b)は上記第1部材25Aと第2部材25Bのみが互いに当接し、第1の全反射プリズム26のみを分解した状態で示す分解斜視図である。
【0033】
すなわち、無偏光の光ビーム3Aは偏光ビームスプリッタ21の作用面21AにおいてPおよびSからなる2つの偏光に分離され、このうち透過されたP偏光24Aは第1の全反射プリズム26の2つの反射面26A,26Bによりその進行方向を180 °変更され、次に第2の全反射プリズム22の反射面22Bで側方に反射され、偏光ビームスプリッタ21の光射出面21Cから第1のP偏光24Aとして射出される。一方、偏光ビームスプリッタ21の作用面21Aにおいて下方に反射されたS偏光は第3の全反射プリズム23の反射面23AでP偏光に変換されつつ側方に反射され、第3の全反射プリズム23の光射出面23Bから第2のP偏光24Bとして射出される。
【0034】
これにより1本の無偏光の光ビーム3Aから、上下方向に配列された2本のP偏光24A,24Bの光ビームが生成され、これら2本の偏光24A,24Bの光ビームが側方に射出されることとなる。
【0035】
同様に、光ビーム3Aとは上下方向に平行となるようにして入射された無偏光の光ビーム3Bは偏光ビームスプリッタ121 の作用面121 AでPおよびSからなる2つの偏光に分離され、前方に透過したP偏光124 Aは第1の全反射プリズム26の反射面26A,26Bで180 °反転した方向に反射され、第2の全反射プリズム122 の反射面122 Bで側方に反射され、偏光ビームスプリッタ121 の光射出面121 Cから第3のP偏光124 Aとして射出される。一方、偏光ビームスプリッタ121 の作用面121 Aにおいて上方に反射されたS偏光は第3の全反射プリズム123 の反射面123 AでP偏光に変換されつつ側方に反射され、第3の全反射プリズム123 の光射出面123 Bから第4のP偏光124 Bとして射出される。
【0036】
これにより1本の無偏光の光ビーム3Bから、上下方向に配列された2本のP偏光124 A,124 Bの光ビームが生成され、それら2つの光ビームが側方に射出されることとなる。
【0037】
結局、上記4つの光射出面23B,21C,123 B,121 Cは上下左右方向に隣接して配されており、これらの光射出面23B,21C,123 B,121 Cから射出される偏光24A,24B,124 A,124 Bの光ビームは、あたかも断面正方形の、光量が略均一の1本の光ビームと同様となり、照明される対象面上の照明ムラを軽減しつつ、照明光照射面積を倍増させることができる。
【0038】
また、図4(a)は、図3(a)の偏光方向整列素子10Bと略同様に、第1部材35A、第2部材35bおよび第1の全反射プリズム36を前後方向に組み合わせて、2本の無偏光の光ビーム3A,3Bから4本のP偏光34A,34B,134 A,134 Bの光ビームを生成して側方に射出するようにした偏光方向整列素子10Cを示す分解斜視図である。図4(b)は上記第1部材35Aと第2部材35Bのみが互いに当接し、第1の全反射プリズム36のみを他部材35A,35Bから分解した状態で示す分解斜視図である。
【0039】
この図4のものにおいて、図3に示す各部材と同様の機能を有する部材については、図3に示す各部材に付した数字に10を加えた数字を付して表わしている。
【0040】
この図4に示す偏光方向整列素子10Cによれば、図3に示す偏光方向整列素子10Bと同様の作用効果を得ることができ、その他偏光方向整列素子10Bに比べて、各部材作用面21A,121 A,31A,131 Aからの第1のP偏光24A,124 A,34A,134 Aと第2のP偏光24B,124 B,34B,134 Bの光路差が短くなるので、この偏光方向整列素子10Cを用いることにより照明ムラを減少させることが可能となる。
【0041】
さらに、図3および図4に示すように第1部材25A,35Aと第2部材25B,35Bを組み合わせたものを、さらに上下対称に組み合わせて、ビーム進行方向および偏光方向がそろえられた8本のP偏光14A,14B,24A,24Bの光ビームを得ることも可能である。
【0042】
なお、本実施例における偏光方向整列素子10A,10B,10Cは、直角三角柱ブロックの光学部材の組み合わせで構成されており、製造が容易であるから、製造コストも安価である。
【0043】
なお、本願発明の偏光方向整列素子としては上記実施例のものに限られるものではなく、種々の態様の変更が可能である。
【0044】
例えば、上記全反射プリズムに代えて全反射ミラーを用いることも可能である。上記実施例においては、射出する直線偏光をP偏光にそろえるようにしているが、部材の配置を変えることによりS偏光にそろえることも可能である。
【0045】
さらに、上記実施例においては単板カラー液晶板を用いた液晶ビデオプロジェクタに適用する場合について説明しているが、周知の色分解合成光学系と3板式モノクロ液晶板を用いた液晶ビデオプロジェクタにも適用可能であることは勿論であり、その他照明光として直線偏光を用いる光学装置全般に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本願発明の一実施例に係る偏光方向整列素子を示す概略図
【図2】本願発明の偏光方向整列素子を適用した液晶ビデオプロジェクタを示す概略図
【図3】図1に示すものとは別の実施例に係る偏光方向整列素子を示す概略図
【図4】図1および図3に示すものとは別の実施例に係る偏光方向整列素子を示す概略図
【符号の説明】
1 放物面反射鏡
2 光源
3,3A,3B 光ビーム
4 単板カラー液晶板
6 スクリーン
10A,10B,10C 偏光方向整列素子
11,21,31,121 ,131 偏光ビームスプリッタ
11A,21A,31A,121 A,131 A 作用面
16,26,36 第1の全反射プリズム
12,22,32,122 ,132 第2の全反射プリズム
12B,13A,16A,16B,22B,23A,26A,26B,32B,33A,
122 B,123 A,132 B,133 A 反射面
11C,13B,21C,23B,32C,33B,
121 C,123 B,132 C,133 B 光射出面
13,23,33,123 ,133 第3の全反射プリズム
14A,24A,34A 第1のP偏光
14B,24B,34B 第2のP偏光
124 A,134 A 第3のP偏光
124 B,134 B 第4のP偏光
14A′ P偏光
14B′ S偏光
Claims (3)
- 一本の光ビームを、振動面が互いに直交する第1および第2の偏光に分離し、該第1の偏光を前方に透過するとともに、該第2の偏光を上方向もしくは下方向に反射せしめる偏光ビームスプリッタと、
該偏光ビームスプリッタにより透過された第1の偏光を、入射光と出射光の相対角度である偏角が180 °となるように反射するとともに、該偏光ビームスプリッタの左方向または右方向にずれた位置に向けて射出する、直角プリズムからなる第1の反射ミラー部材と、
該偏光ビームスプリッタの前記左方向または前記右方向にずれた前記位置に配され、該第1の反射ミラー部材により反射された前記第1の偏光を前記左方向または前記右方向に反射し、出力する第2の反射ミラー部材と、
前記偏光ビームスプリッタの前記上方向または前記下方向に隣接する位置に配され、前記第2の偏光を、前記第2の反射ミラー部材から出力された前記第1の偏光の進行方向と同一方向に反射する第3の反射ミラー部材とからなり、
前記第2の偏光は、前記第3の反射ミラー部材の反射面により、前記第1の偏光と同一の振動面となるように、振動方向が変換されるよう構成されてなることを特徴とする偏光方向整列素子。 - 第1の光ビームを、振動方向が互いに直交する第1および第2の偏光に分離し、該第1の偏光を前方に透過するとともに、該第2の偏光を上方向もしくは下方向に反射せしめる第1の偏光ビームスプリッタと、
該第1の偏光ビームスプリッタにより透過された第1の偏光を、入射光と出射光の相対角度である偏角が180 °となるように反射するとともに、該第1の偏光ビームスプリッタの左方向または右方向にずれた第1の位置に向けて射出する、直角プリズムからなる第1の反射ミラー部材と、
該第1の偏光ビームスプリッタの前記左方向または前記右方向にずれた前記第1の位置に配され、該第1の反射ミラー部材により反射された前記第1の偏光を前記左方向または前記右方向に反射し、出力する第2の反射ミラー部材と、
前記第1の偏光ビームスプリッタの前記上方向または前記下方向に隣接する位置に配され、前記第2の偏光を、前記第2の反射ミラー部材により出力された前記第1の偏光の進行方向と同一方向に反射する第3の反射ミラー部材とからなり、
前記第2の偏光は、前記第3の反射ミラー部材の反射面により、前記第1の偏光と同一の振動方向となるように、その振動方向が変換されるよう構成されてなる第1の偏光方向整列素子、および
前記第1の光ビームとは、互いに平行、かつ同一方向に進む第2の光ビームを、振動方向が互いに直交する第3および第4の偏光に分離し、該第3の偏光を前記前方に透過するとともに、該第4の偏光を上方向もしくは下方向に反射せしめる第2の偏光ビームスプリッタと、
該第2の偏光ビームスプリッタにより透過された第3の偏光を、入射光と出射光の相対角度である偏角が180 °となるように反射するとともに、該第2の偏光ビームスプリッタの左方向または右方向にずれた第2の位置に向けて射出する、直角プリズムからなる第4の反射ミラー部材と、
該第2の偏光ビームスプリッタの前記左方向または前記右方向にずれた前記第2の位置に配され、該第4の反射ミラー部材により反射された前記第3の偏光を前記左方向または前記右方向に反射し、出力する第5の反射ミラー部材と、
前記第2の偏光ビームスプリッタの前記上方向または前記下方向に隣接する位置に配され、前記第4の偏光を、前記第5の反射ミラー部材から出力された前記第3の偏光の進行方向と同一方向に反射する第6の反射ミラー部材とからなり、
前記第4の偏光は、前記第6の反射ミラー部材の反射面により、前記第3の偏光と同一の振動方向となるように、その振動方向が変換されるよう構成されてなる第2の偏光方向整列素子、
を備えてなり、
前記第1の偏光ビームスプリッタ、前記第2の反射ミラー部材および前記第3の反射ミラー部材からなる第1の光学素子群と、前記第2の偏光ビームスプリッタ、前記第5の反射ミラー部材および前記第6の反射ミラー部材からなる第2の光学素子群との、いずれか一方がいずれか他方の前記前方に互いに重なるように、かつ前記第1の偏光ビームスプリッタと前記第3の反射ミラー部材との組合せ、および前記第2の偏光ビームスプリッタと前記第6の反射ミラー部材との組合せにおいて、偏光ビームスプリッタと反射ミラー部材の位置関係が互いに逆となるように配列してなることを特徴とする偏光方向整列素子。 - 前記第4の反射ミラー部材は前記第1の反射ミラー部材の前記上方向または前記下方向に一体的に形成されていることを特徴とする請求項2記載の偏光方向整列素子。
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