JP3640308B2 - 樋支持具及び樋耳掛止補助具 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
【0002】
本発明は、軒先等に配設される軒樋を支持する樋支持具及び樋耳掛止補助具に関する。
【従来の技術】
【0003】
従来の樋支持具は、軒先等に固定される取付具と、樋を吊下げて支持する吊具本体とを少なくとも備えてなり、この吊具本体の前端には、樋の前耳を掛止する係止部が形成され、且つ、後端には、樋の後耳を掛止する耳抱持部を一体形成している(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】
登録実用新案登録第3050098号公報(第1図)
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の樋支持具では、係止部及び耳抱持部が吊具本体に一体形成されているため、樋の形状に対応する数の吊具本体或いは樋支持具が必要であった。
【0005】
そのため、樋の形状に応じた数々の吊具本体を製造、保管しておかなければならず、金型コスト、管理コスト、生産コスト等が高コストになってしまうという問題があった。
【0006】
また、作業現場などでは、急な設計変更等によって、使用される樋の種類が変更される場合があるが、このような樋の種類の急な変更に対応することはできないという問題もあった。
【0007】
本発明は、かかる課題を解決することを目的とするもので、樋の形状に応じた樋支持具本体を素早く形成できる低コストな樋支持具及び樋耳掛止補助具を提供している。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、
請求項1に係る樋支持具は、前端には、樋の前耳を掛止する樋前耳掛止部を、後端には、樋の後耳を掛止する樋後耳掛止部を有する一体的に樋支持具本体を形成してなる樋支持具であって、上記樋前耳掛止部及び樋後耳掛止部の少なくとも一方には、連結手段を介して、樋の形状に応じた樋耳掛止補助具が着脱自在に装着される構造にしたことを特徴とする。
【0009】
ここでの樋支持具本体は、予め樋前耳掛止部及び樋後耳掛止部が一体形成された従来構造のものを意味している。
【0010】
そのため、樋の形状に応じた樋耳掛止補助具を適宜選択し、その選択したものを連結手段によって樋前耳掛止部及び樋後耳掛止部に装着できるので、樋支持具本体の共用による管理コスト、生産コスト、金型コズト等のコストを軽減できるうえ、既存の樋支持具を利用できる。
【0011】
請求項2に係る樋支持具は、請求項1において、上記連結手段は、上記樋前耳掛止部及び樋後耳掛止部の少なくとも一方をクリップ式に弾性挟持する弾性片を含む構造にしたことを特徴とする。
【0012】
このものでは、連結手段としてクリップ式に弾性挟持する弾性片を含むので、特殊な工具を用いなくても、弾性片の弾性力による確実な装着ができる。
【0013】
請求項3に係る樋支持具は、請求項1又は2の何れかにおいて、上記連結手段は、上記樋支持具本体の一端に形成された連結孔と、この連結孔に着脱自在に係止すべく上記樋耳掛止補助具に形成された爪片とを含む構造にしたことを特徴とする。
【0014】
このものでは、連結手段は、連結孔と爪片とを含む構造にしているので、特殊な工具を用いなくても、手やペンチ、ドライバー等で素早く装着することができる。
【0015】
請求項4に係る樋耳掛止補助具は、樋の形状に応じた形状をなし、樋の前耳を掛止する樋前耳掛止部と、樋の後耳を掛止する樋後耳掛止部とを有する樋支持具本体の上記樋前耳掛止部及び樋後耳掛止部の少なくとも一方には、連結手段を介して着脱自在に装着される構造にしたことを特徴とする。
【0016】
このものでは、請求項1〜請求項3のものと同様の効果が発揮される樋耳掛止補助具として、それ自体を単独で取引することができる。
【発明の実施の形態】
【0017】
図1は、本発明に係る樋支持具の前提を参考例として示す分解斜視図である。
【0018】
この樋支持具Aは、取付杆1と、スライド可能に連結した樋支持具本体2と、水平方向に回転させる横回転ロックレバー3とを備え、これらを上下に貫通する連結軸4で連結している。
【0019】
以下、各部材について詳説する。
【0020】
取付杆1は、軒先等に固定される取付足板11の上端中央から前方に向けて足杆12を延設し、この足杆12の前方には、段落ち形成した連結片部13を形成し、この連結片部13には、軸孔14を開設している。
【0021】
樋支持具本体2は、長板状に形成され、この長手方向中央には、連結軸4が貫通される長孔21を開設し、この長孔21に沿った上下面には、鋸刃状、又は波状の凹凸部22を形成している。
【0022】
この樋支持具本体2の前端には、樋Tの形状に応じて、樋Tの前耳T1を掛止する樋前耳掛止部22を、後端には、樋Tの後耳T2を掛止する樋後耳掛止部23が各々形成されるのであるが、これらの樋前耳掛止部22、樋後耳掛止部23の少なくとも一方が、連結手段24を介して、樋支持具本体2の一端に着脱自在に連結される構造にしている。
【0023】
図1で示した連結手段24は、樋支持具本体2の前端に形成した連結孔25に、樋前耳掛止部22に形成した爪片26を上方から差し込むと共に、長孔21の前端に樋前耳掛止部22の爪片26’を引掛けて、樋前耳掛止部22の前、後移動を規制しながら連結している。
【0024】
また、樋前耳掛止部22の両側端には、樋支持具本体2の両側端28をクリップ式に弾性挟持する板バネ等の一対の弾性片27を下方に向けて延設し、この弾性片27を手やペンチなどで拡開させながら樋支持具本体2に嵌め込めば、弾性片27の弾性復元力によって、樋支持具本体2の両側を確実に弾性挟持し、樋前耳掛止部22の左、右移動を規制しながら連結している。
【0025】
これらの協働作用によって、樋前耳掛止部22は、ガタツクことなく樋支持具本体2の前端に確実に連結できる。
【0026】
一方、樋支持具本体2の後端には、後方に開放された長孔状の連結孔25に、これに嵌合する樋後耳掛止部23の爪片26を後方から差し込んで、樋後耳掛止部23の前、後移動を規制しながら連結している。
【0027】
また、樋後耳掛止部23の両側端にも、上記同様に弾性片27を形成しておけば、弾性片27の弾性復元力によって、樋支持具本体2の両側を確実に弾性挟持し、樋後耳掛止部23の左、右移動を規制でき、これらの協働作用によって、樋後耳掛止部23も、ガタツクことなく樋支持具本体2の後端に確実に連結できる。
【0028】
また、樋支持具本体2の前、後端に連結された樋前耳掛止部22及び樋後耳掛止部23を離脱させるには、先程とは逆に、弾性片27の弾性復元力に抗して、手やペンチなどで拡開しながら樋支持具本体2の両側から開放させると共に、爪片26を連結孔25から引き抜けば、樋前耳掛止部22及び樋後耳掛止部23を樋支持具本体2から簡単に離脱することができる。
【0029】
もちろん、これらの連結手段24の構造は例示に過ぎず、要するに、樋前耳掛止部22や樋後耳掛止部23が、樋支持具本体2の一端に着脱自在に確実に連結される構造のものであれば良い。
【0030】
なお、本実施例では、樋前耳掛止部22及び樋後耳掛止部23が、樋支持具本体2の一端に各々着脱自在に連結される構造のものを例示しているが、樋Tの形状に応じて、何れか一方だけを着脱自在した構造のものでも勿論可能である。
【0031】
横回転ロックレバー3は、座金部30と基板部31とより構成してなる。
【0032】
座金部30には、連結軸4を貫通する軸孔部32が形成されると共に、その下面の前、後には、下方に突出された一対の膨出部33を形成している。
【0033】
基板部31には、連結軸4を貫通する軸孔部34が形成されると共に、その両側には、下方に向けて延設された一対の下側把持部35を形成し、この下側把持部35を摘んで横回転ロックレバー3を下側から横回転操作できるようにしている。
【0034】
連結軸4は、取付杆1の軸孔14、樋支持具本体2の長孔21、横回転ロックレバー3の軸孔部32、34を貫通する軸部41を備えており、ここでは、リベットを例示しているが、一対のボルト、ナットを用いることも可能である。
【0035】
このように構成した樋支持具Aは、図1で示すように連結軸4を、取付杆1の軸孔13、樋支持具本体2の長孔21、横回転ロックレバー3の軸孔部32に順次貫通し、この連結軸4の下端にバネワッシャなどの弾性体7、座金8を挿通したうえで、その下端をカシメ止めすることで連結されており、樋支持具本体2を前後にスライド可能にしている。
【0036】
このように、本実施例に係る樋支持具Aによれば、樋前耳掛止部22及び樋後耳掛止部23の少なくとも一方を、連結手段24によって、樋支持具本体2と着脱自在な構造にしているので、1つの樋支持具本体2に対して、樋Tの形状に応じた樋前耳掛止部22(樋後耳掛止部23)を適宜選択すれば、樋Tに応じた樋支持具Aを簡単且つ素早く形成できる。
【0037】
また、樋支持具本体2が共用できるので、従来のように樋Tの形状に応じた樋支持具本体を製造する必要がなく、金型の形状も簡易にできるので、これに伴う金型コスト、管理コスト、生産コスト等を軽減できる。
【0038】
また、作業現場などでの急な設計変更等によって、使用される樋Tの種類が変更される場合であっても、樋前耳掛止部22(樋後耳掛止部23)を樋支持具本体2に取付けるだけで、容易に対応できる。
【0039】
図2は、本発明に係る樋支持具の一実施例を示す分解斜視図である。
【0040】
なお、図1と共通する部位には、共通の番号を付し、その説明については省略する。
【0041】
この樋支持具Aは、樋支持具本体2の前、後に樋前耳掛止部22’及び樋後耳掛止部23’ が予め一体的に形成されているものに加え、これらの樋前耳掛止部22’及び樋後耳掛止部23’の少なくとも一方に、連結手段24を介して、樋耳掛止補助具5が着脱自在に装着される構造にした点に特徴がある。
【0042】
ここで、「装着」とは、樋前耳掛止部22’(樋後耳掛止部23’)に被せて取付けることを意味し、樋前耳掛止部22’(樋後耳掛止部23’)とは異なる形状に変化させるものである。
【0043】
例えば、樋前耳掛止部22’に装着される樋耳掛止補助具5は、樋Tの前耳T1の形状に応じた樋前耳掛止部22を備え、この樋前耳掛止部22の両側端には、樋前耳掛止部22’の両側端をクリップ式に弾性挟持する板バネ等の一対の弾性片27を内側に向けて延設した連結手段24が形成され、この弾性片27を手やペンチなどで拡開させながら樋前耳掛止部22’の前方から嵌め込めば、弾性片27の弾性復元力によって、樋前耳掛止部22’の両側を確実に弾性挟持するので、前後、左右への移動を規制しながら、樋前耳掛止部22が確実に装着できる。
【0044】
より具体的には、樋耳掛止補助具5の樋前耳掛止部22は、その中央部分を内方に湾曲させて形成しており、この湾曲された先端突部が樋前耳掛止部22’の外面に当接されることによって、樋耳掛止補助具5の両端が上記湾曲分だけ内方に撓むことができるので、一対の弾性片27が、樋前耳掛止部22’の両側を確実に弾性挟持できる。
【0045】
また、28は、樋前耳掛止部22の下端から後方に向けて延設された規制片であり、この規制片28が樋前耳掛止部22’の下面に位置付けされることで、樋前耳掛止部22の上方への抜け外れを防止できる。
【0046】
一方、樋支持具本体2の後端にも、樋後耳掛止部23を備えた樋耳掛止補助具5を装着することができる。
【0047】
ここでの樋耳掛止補助具5は、樋Tの後耳T2の形状に応じた樋後耳掛止部23を備え、この樋後耳掛止部23の下端には、樋後耳掛止部23’の外面をクリップ式に弾性挟持する板バネ等の弾性片27が内側に向けて延設されると共に、樋後耳掛止部23の上端から後方に向けて延設した平坦部23aを形成し、この平坦部23aの後端から更に立起された面の中央には、後方に向けて鍵状の爪片26を形成している。
【0048】
この樋耳掛止補助具5の爪片26に対応して、樋支持具本体2の後端には、連結孔25が形成されており、この連結孔25に爪片26が係止されて連結される構造にしている。
【0049】
すなわち、連結孔25に爪片26を係止したうえで、樋後耳係止部23を手やペンチなどで後方に向けて押し込めば、弾性片27が樋後耳掛止部23’の下端に規制されて一旦折り畳まれるが、弾性片27端縁が樋後耳掛止部23’を越えると、弾性片27の弾性復元力によって、弾性片27端縁が樋後耳掛止部23’の外面(後面)に係止されて弾性挟持するので、これらの協働作用によって、樋耳掛止補助具5がガタツクことなく、樋後耳掛止部23を確実に装着できる。
【0050】
なお、本実施例では、樋前耳掛止部22及び樋後耳掛止部23が、樋支持具本体2の一端に各々着脱自在に連結される構造のものを例示しているが、何れか一方だけを着脱自在な構造にしたものでも良い。
【0051】
図3(a)、(b)は、図2の使用態様を説明するための要部の概略側面図である。
【0052】
なお、図2と共通する部材には、共通の番号を付し、その説明は省略する。
【0053】
本実施例の樋支持具Aは、例えば、図3(a)で示すように、当初、樋T’の前耳T1’及び後耳T2’の形状に応じた樋前耳掛止部22’及び樋後耳掛止部23’を備えた樋支持具本体2を使用する予定であったものが、作業現場などでの急な設計変更等によって、図3(b)で示すような樋Tの形状に変更されるような場合において、この樋Tを当初の樋支持具本体2に仮に取付けできたとしても、そこには、ガタツキや抜け外れなどの問題が生じ、危険である。
【0054】
そのため、この樋Tの前耳T1の形状に応じた樋耳掛止補助具5を、上記のように樋前耳掛止部22’に装着するだけで、簡単且つ安全に対応することができる。
【0055】
なお、樋Tの後耳T2の形状に応じた樋耳掛止補助具5(不図示)も同様である、
このように、本実施例に係る樋支持具Aによれば、予め形成されている樋前耳掛止部22’(樋後耳掛止部23’)があっても、これに樋Tの形状に応じた樋前耳掛止部22(樋後耳掛止部23)を備えた樋耳掛止補助具5を装着する構造にしているので、既存の樋支持具本体を利用できる。
【0056】
また、樋支持具本体2を共用できるので、従来のように樋Tの形状に応じた樋支持具本体を製造しなくても樋耳掛止補助具5を製造すれば足り、金型の形状も簡易にでき、これに伴う金型コスト、管理コスト、生産コスト等を軽減できる。
【0057】
また、作業現場などでの急な設計変更等によって、使用される樋Tの種類が変更される場合であっても、これに応じた樋前耳掛止部22(樋後耳掛止部23)を樋支持具本体2に装着するだけで、特殊な工具を用いなくとも、これを簡単且つ確実に取付けできる。
【0058】
また、図1〜図3では、取付杆1と樋支持具本体2とが、別体に形成されたものを例示しているが、両者を一体的に形成したもの、或いは、樋Tを吊下げるのではなく、樋支持具本体2の全体で受止めるタイプのもの等、これ以外にも様々なタイプの樋支持具であっても同様である。
【0059】
なお、図1で示した樋前耳掛止部22(樋後耳掛止部23)は、それ自体、単独で取引される樋耳掛止補助具5として捉えることもできる。
【発明の効果】
【0060】
本発明によれば、次のような効果がある。
【0061】
請求項1に係る樋支持具によれば、樋の形状に応じた樋耳掛止補助具を適宜選択し、その選択したものを連結手段によって予め形成されている樋前耳掛止部及び樋後耳掛止部に装着できるので、樋支持具本体の共用による管理コスト、生産コスト、金型コズト等のコストを軽減できるうえ、既存の樋支持具を利用できる。
【0062】
請求項2に係る樋支持具によれば、特殊な工具を用いなくても、弾性片の弾性力による確実な連結ができる。
【0063】
請求項3に係る樋支持具によれば、特殊な工具を用いなくても、手やペンチ、ドライバー等で素早く装着することができる。
【0064】
請求項4に係る樋耳掛止補助具によれば、請求項1〜請求項3のものと同様の効果が発揮される樋耳掛止補助具として、それ自体を単独で取引することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る樋支持具の前提を参考例として示す分解斜視図
【図2】本発明に係る樋支持具の一実施例を示す分解斜視図
【図3】(a)、(b)は、図2の使用態様を説明するための要部の概略側面図
【符号の説明】
A 樋支持具
T 樋
T1、T1’ 前耳
T2、T2’ 後耳
2 樋支持具本体
22、22’ 樋前耳掛止部
23、23’ 樋後耳掛止部
24 連結手段
25 連結孔
26 爪片
27 弾性片
5 樋耳掛止補助具
Claims (4)
- 前端には、樋の前耳を掛止する樋前耳掛止部を、後端には、樋の後耳を掛止する樋後耳掛止部を有する樋支持具本体を一体的に形成してなる樋支持具であって、
上記樋前耳掛止部及び樋後耳掛止部の少なくとも一方には、連結手段を介して、樋の形状に応じた樋耳掛止補助具が着脱自在に装着されたことを特徴とする樋支持具。 - 請求項1において、
上記連結手段は、上記樋前耳掛止部及び樋後耳掛止部の少なくとも一方をクリップ式に弾性挟持する弾性片を含む構造にしたことを特徴とする樋支持具。 - 請求項1又は2の何れかにおいて、
上記連結手段は、上記樋支持具本体の一端に形成された連結孔と、
この連結孔に着脱自在に係止すべく上記樋耳掛止補助具に形成された爪片とを含む構造にしたことを特徴とする樋支持具。 - 樋の形状に応じた形状をなし、樋の前耳を掛止する樋前耳掛止部と、樋の後耳を掛止する樋後耳掛止部とを有する樋支持具本体の上記樋前耳掛止部及び樋後耳掛止部の少なくとも一方には、連結手段を介して着脱自在に装着される構造にしたことを特徴とする樋耳掛止補助具。
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