JP3640066B2 - 自動倉庫 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動倉庫に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
自動倉庫においては、近年、ダンボール箱等の荷物をそのまま格納でき、かつ、大きさの異なる荷物も格納できるように、棚を、複数個の荷物をそのまま並べて載置できるフラットな棚板から成る平棚方式にすることが一般化している。
【0003】
この場合、棚の開口面に沿って中空で略角形のフロントフレームを水平状に配置し、フロントフレームの後方に、当該フロントフレームと同じ高さの棚板を配置し、棚板の前端縁をフロントフレームで支持することが行われている。
【0004】
フロントフレームは格納庫の骨組みの一部を成すもので、間口方向に適当な間隔を隔てて配置したフロント支柱に連結されている。隣り合ったフロント支柱の間が単位格納エリアになっており、この単位格納エリアに複数の荷物を格納できるようになっている(フロント支柱を格納庫の左右両端のみに設けることも可能である)。
【0005】
格納庫の骨組みを構成するフロントフレームで棚板の前端部を支持することにより、棚を頑丈な構造にすることができる。また、格納庫は多段の棚を備えており、各棚の段ごとに移載用台車を設けたドーリー方式の自動倉庫の場合、一般に、フロントフレームは移載用台車が走行するレールの役割も果たしている。
【0006】
フロントフレームの後方に棚板を配置した自動倉庫の場合、荷物の格納・取り出しに際しては、荷物をスタッカクレーンや移載用台車のような移載装置と棚板との間に滑り移動させることになる。その場合、従来は、荷物はその全体が棚板に載るように格納している。すなわち、従来は、棚のうちフロントフレームの奥側に荷物を載置している。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、フロントフレームや棚板等の部材を加工する場合、必然的に加工誤差が生じる。また、温度変化や荷物の荷重によって棚板にそりが発生することもある。更に、組み立てに際しての誤差も不可避的に発生する。
【0008】
このため、フロントフレームと棚板との間に、僅かながら段差が生じることがある(この場合、棚板の横幅(間口方向の長さ)の全体にわたって段差が生じることもあるし、部分的に段差が生じることもある)。
【0009】
他方、各棚の高さはフロントフレームを基準にしているため、フロントフレームと移載装置との間での滑り移動はスムースに行われるが、棚板とフロントフレームとの間に段差があると、棚板がフロントフレームよりも高い場合には、入庫時(格納時)に荷物が棚板の前端に当たる現象が発生し、逆に棚板がフロントフレームよりも低い場合は、出庫時に荷物がフロントフレームの後端縁に当たる現象が生じる。
【0010】
このような棚板とフロントフレームとの間の段差に起因した荷物の衝突現象は、移載装置におけるピッカー駆動機構の耐久性低下を招くなどの弊害を招来する。また、木箱やプラスチック製箱のように底面と前後面とが角張っている荷物の場合は、格納や取り出しができなくなる虞もある。さりとて、完全に誤差をなくすのは、コストの面から現実的でない。
【0011】
本発明は、このような現状を改善することを目的とするものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するため、請求項1の発明は、棚板の手前側にフロントフレームを配置した棚が多段に配置されている格納庫と、前記各段の棚に荷物を出し入れするためのスタッカクレーンとが備えられており、前記棚板の前端部には下向きの前足片が折り曲げ形成され、前記フロントフレームには、前記棚板の前足片が載る段部が形成されている一方、前記スタッカクレーンは、支柱マストに昇降自在に設けた移載ユニットを備えており、この移載ユニットには、荷物載置部を挟んだ両側において格納庫の内部に前進・後退する一対のピッキングアームが配置されており、両ピッキングアームの両端には、ピッキングアームの前後動によって荷物を押し引きすためのピッカーが回動自在に取付けられており、棚への入庫に際しては荷物はピッカーで押され、棚からの荷物の取り出しに際しては荷物をピッカーで引き出すように構成された自動倉庫において、前記ピッキングアームは、入庫に際しては荷物の奥行き寸法に関係なく一定距離だけ前進するように制御されており、かつ、ピッキングアームが前記一定の距離だけ先進した状態で、荷物はその奥行き寸法に関係なく一部がフロントフレームに載ったままになるように設定されている。
【0013】
棚板とフロントフレームとの間に誤差が生じることは避けることはできないが、最大どの程度の誤差が生じるかは経験的に把握できる。そこで、請求項2では、請求項1において、前記棚板、少なくともその前端部がフロントフレームの上面から上向きに突出しないように設定されている。
【0014】
【発明の作用・効果】
棚板とフロントフレームとの間に段差が生じる場合、一般には、棚板がフロントフレームよりも高い場合と低い場合との2つの態様がある。また、棚板の全体がフロントフレームより高い場合や低い場合もあるし、間口方向に沿った場所によって高くなったり低くなったり異なる場合もある。
【0015】
しかして、棚を請求項2の構成にした場合は、棚板はフロントフレームと同じ高さであるか、フロントフレームよりも低くなっている。したがって、請求項2の下で請求項1の方法を採用すると、格納(入庫)に際して荷物が棚板の前端に引っ掛ることはなく、また、取り出し(出庫)に際しては、荷物はその一部がフロントフレームに載ったままであるため、棚板とフロントフレームとの段差に関係なく、スムースに引き出すことができる。
【0016】
したがって、請求項2によると、棚板とフロントフレームとの間に段差があっても、荷物の格納(入庫)及び取り出し(出庫)をスムースに行うことができ、その結果、段差に起因した格納ミス又は取り出しミスを皆無とすることができると共に、移載装置へのダメージをなくしてその耐久性を向上できる。
【0017】
【0018】
請求項1の構成において、棚板がフロントフレームよりも低い場合は格納及び取り出しとも問題はないが、棚板がフロントフレームよりも高い場合は、格納時に荷物が棚板の前端に衝突することになる。
【0019】
この点については、フロントフレームの奥行き方向の幅寸法は荷物の奥行き方向の寸法に比べて遙かに小さいのが通例であるため、格納時に、スタッカクレーンにおける荷物載置部の高さがフロントフレームよりも若干の高さだけ高くなるように設定しておくと、荷物はフロントフレームを跨いだ状態で棚板に移し替えることができる。このため、段差に関係なくスムースに格納できる。もちろん、取り出しは段差に関係なくスムースに行える。
【0020】
【0021】
【発明の実施形態】
次に、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0022】
(1).第1実施形態(図1〜図10)
図1〜図10では第1実施形態を示している。先ず、全体の概要を図1の概略斜視図に基づいて説明する。
【0023】
.全体の概要
自動倉庫は、相対向して配置した一対の格納庫1と、両格納庫1の間の通路に配置したスタッカクレーン2とを備えている。スタッカクレーン2は、格納庫1の間口方向に沿って長く延びる台車部3と、台車部3に立設した前後一対の中空状マスト(支柱、コラム)4と、前後マスト4の上端に連結した上連結枠5と、前後支柱マスト4に昇降自在に装着した移載ユニット6とを備えている。
【0024】
上部連結枠5には、天レール7を左右両側から挟むように前後左右一対ずつの天ガイドローラ8を配置している。天レール7は、両格納庫1を連結する上部骨材9に固定されている。スタッカクレーン2は、床に配置した地レール10に沿って走行する。
【0025】
スタッカクレーン2における台車部3の一端部には、地レール10の上面を走行する前後一対の走行輪11と、一方の走行輪11を駆動する走行モータ12とを備えている。前後マスト4の上端と下端とにはメインスプロケット13を取り付けており、これに、移載ユニット9を昇降させるチェーン14を巻き掛けている。チェーン14は、移載ユニット6が取付くプラットホーム15にブラケット15aを介して固定されている。
【0026】
前後マスト4の下端には、台車部5に重なるブラケット板16を固着しており、このブラケット板16に、アイドルスプロケット17と駆動スプロケット18とを取り付けている。両駆動スプロケット18は1本の連動軸19で連結されており、この連動軸19が、一方のブラケット板16に取り付けた昇降用モータ20で駆動される。
【0027】
.移載ユニット6
次に、図2及び図3に基づいて移載ユニット6について説明する。図2のうち(A)は平面図、(B)は(A)のB−B視断面図、図3は図2(A)のIII-III 視図である。
【0028】
移載ユニット6は、機枠22と、この機枠22の上面に配置した前後一対のピッキングユニット23とを備えている。両ピッキングユニット23は走行方向と直交した方向に延びており、両ピッキングユニット23の間の部分が荷物Wの載置部になっている。
【0029】
両ピッキングユニット23は、その長手方向に移動しない固定フレーム24と、第1ローラ群25を介して固定フレーム24の内側に移動自在に取り付けられた中間アーム26と、第2ローラ群27を介して中間アーム26に移動自在に取り付けたピッキングアーム28とを備えている。ピッキングアーム28の両端に、荷物Wを押し引きするための板状のピッカー29を水平回動自在に取り付けている。
【0030】
従って、ピッカー29の回動とピッキングアーム28の前進・後退動との組合せにより、荷物Wを移載ユニット6と格納庫1とに移し替えることができる。
【0031】
両固定フレーム24には荷物が載る受け板30を固着しているが、この場合、一方のピッキングユニット23の固定フレーム24は機枠22に固着されており、他方のピッキングユニット23の固定フレーム24は、一方のピッキングユニット23に対して遠近移動自在となるように図示しないガイド部材に取り付けられている。
【0032】
従って、両ピッキングユニット23の間隔を、荷物Wの幅寸法に応じて自在に変更することができる。また、一方のピッキングユニット23の移動を許容するため、2枚の受け板30は互いに重なり合っている。
【0033】
図2の符号31で示すのは、両ピッキングアーム28を同期して駆動するためのモータ、符号32で示すのは、一方のピッキングユニット23を移動させるためのモータである。なお、両方のピッキングユニット23を互いに移動させる構成を採用しても良い。
【0034】
図2に示すように、機枠22の左右外側には、荷物Wを移載ユニット6と棚34との間にスムースに移行させるためのガイドローラ35を配置している。
【0035】
.棚の構造
次に、格納庫1及び棚34の構造を主として図4〜図7に基づいて説明する。図4は部分的な平断面図、図5は図4のV-V 視断面図、図6及び図7は分離斜視図である。
【0036】
格納庫1は、間口に沿って適当な間隔で配置したフロント支柱36と、フロント支柱36対を成すリア支柱37と、各棚段の箇所で隣り合ったフロント支柱36に接続した水平状のフロントフレーム38と、同じく各棚段の箇所で隣り合ったリア支柱37に接続した水平状のリアフレーム39と、これら前後フレーム38,39で支持された棚板40とを備えている。
【0037】
フロント支柱36とリア支柱37とは各棚34の段ごとに横桟(図示せず)で連結されている。また、フロント支柱36とリア支柱37は、各棚34の段においてX字状に交差して配置された筋交い41で補強されている。図4に示すように、本実施形態の支柱36,37は断面コ字状に形成されており、一対の筋交い41は前後に隔てて配置されている。
【0038】
図5に示すように、フロントフレーム38は金属板によって略中空状に形成されており、スタッカクレーン2の走行通路と反対側に、棚板40前端縁に形成した前足片40aが載る段部38aを形成している。段部38aの先端縁は上向きに立ち上げおり、この立ち上げ部38bに、棚板40の間口方向に沿った両端に形成した折り返し部40bを載せている。
【0039】
リアフレーム39は棚板40の後部を囲う中空状に形成されており、その下端に、棚板40の後部に折り曲げ形成した後足片40cが載る受け部39aを形成している。また、リアフレーム39の前端縁には、補強を兼ねるストッパー片39bを折り曲げ形成しており、このストッパー片39bにより、荷物Wの収納位置が規制される。
【0040】
フロントフレーム38はフロント支柱36にねじ42(ボルト及びナット)で固定されている。この場合、図4及び図6に示すように、フロント支柱36に、中心線を挟んだ両側に延びる係合穴43を形成する一方、フロントフレーム38は、その下向きコ字状の部分がフロント支柱36に重なるように段部38aに切欠き44を形成し、更に、フロント支柱36の係合穴43に半分だけ嵌まる係合爪45を設けている。
【0041】
係合爪45によってフロントフレーム38が位置決めされる。隣り合ったフロントフレーム38は、その端面を突き合わせた状態でフロント支柱36に締結されている。
【0042】
リアフレーム39をリア支柱37に締結するに当たっては、図4及び図7に示すように、リアフレーム39の上部及び受け部39aを切欠くことにより(切欠き部を符号46で示す)、当該リアフレーム39の端部をリア支柱37に重ね合わせ、両者をねじ47(ボルトとナット)で締結している。
【0043】
なお、フロントフレーム38及びリアフレーム39とも、隣り合った支柱36,37のピッチの整数倍の長さに設定しても良い。
【0044】
言うまでもないが、隣り合ったフロント支柱36の間のエリアに複数の荷物を収納することができる。なお、隣り合ったフロント支柱36の間のエリアを複数枚の棚板40で構成してもよい。
【0045】
.荷物の出し入れ
図8に示すように、ピッカー29で荷物Wを押すことにより、荷物Wを棚34に格納できる。その場合、荷物Wの前端部がフロントフレーム38に残ったままになる状態で格納する。
【0046】
そして、棚34の一つの構造として、図9に示すように、棚板40やフロントフレーム38の加工誤差を考慮して、棚板40のうち少なくともその前端縁がフロントフレーム38から上向きに突出しないように設定している。すなわち、棚板40とフロントフレーム38とが同一面を成すか、棚板40がフロントフレーム38よりも低くなるように設定している。
【0047】
この図9の構造によると、フロントフレーム38と棚板40との間に段差48があっても、格納時及び取り出し時のいずれにおいても荷物Wが段差に衝突することはない。
【0048】
図10では、棚板40がフロントフレーム38よりも高くなっている状態を示している。この場合は、荷物Wの取り出し時には問題はないが、格納時に荷物Wが段差48に衝突する虞がある。
【0049】
そこで、この場合は、移載ユニット6の荷物支持面をフロントフレーム38よりも若干の寸法Hだけ高くした状態で格納する。すると、棚板40とローラ35との間隔寸法L1よりも荷物Wの奥行き寸法L2が遙かに大きいため、荷物Wを、フロントフレーム38を跨いだ状態で棚板40に載り移らせることができる。従って、格納時及び取り出しとも、段差48の影響を受けることなく、荷物Wをスムースに出し入れすることができる。
【0050】
既設の自動倉庫の場合は、棚板40とフロントフレーム38との高さの違いはまちまちであるため、この図10のように、移載ユニット6の高さを高くして本願発明の方法で格納する方法は、既設のスタッカクレーン方式自動倉庫にとっても有益である。
【0051】
図5の二点鎖線では従来の荷物Wの格納位置を示しており、一点鎖線では本願発明における荷物Wの格納位置を示している。この比較から容易に理解できるように、本願発明によると、従来よりも大きい奥行き寸法の荷物も格納することができる利点もある。
【0052】
なお、荷物Wはその奥行き寸法に関係なく全端縁を揃えた状態で格納している。従って、格納時にはピッカー29の前進距離は常に一定で良い。取り出す場合は、ピッカー29をいったん棚34の最奥まで前進させても良いし、荷物Wの奥行き寸法に応じて前進寸法を制御しても良い。
【0053】
【0054】
【0055】
【0056】
【0057】
(2).その他
本発明は上述の実施形態の他にも様々に具体化できる。
【0059】
例えばフロントフレームや各支柱、棚の断面形状などは、本願発明の思想に反しない範囲で自在に変更できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る自動走行の概略斜視図である。
【図2】 (A)は移載ユニットの平面図、 (B)は (A)の B-B視断面図である。
【図3】図2(A)のIII-III 視図である。
【図4】棚の部分的な平断面図である。
【図5】図4のV-V 視断面図である。
【図6】フロントフレームとフロント支柱との分離斜視図である。
【図7】リアフレームとリア支柱との分離斜視図である。
【図8】荷物の格納状態を示す図である。
【図9】棚板とフロントフレームとの関係の一例を示す図である。
【図10】棚板とフロントフレームとの関係の別例を示す図である。
【符号の簡単な説明】
1 格納庫
2 スタッカクレーン
4 マスト
6 移載ユニット
23 ピッキングユニット
24 固定フレーム
28 ピッキングアーム
29 ピッカー
34 棚
36 フロント支柱
38 フロントフレーム
40 棚板
48 段差
W 荷物

Claims (2)

  1. 棚板の手前側にフロントフレームを配置した棚が多段に配置されている格納庫と、前記各段の棚に荷物を出し入れするためのスタッカクレーンとが備えられており、
    前記棚板の前端部には下向きの前足片が折り曲げ形成され、前記フロントフレームには前記棚板の前足片が載る段部が形成されており、棚板に異なる横幅の荷物を載置可能となっている一方、
    前記スタッカクレーンは、支柱マストに昇降自在に設けた移載ユニットを備えており、この移載ユニットには、荷物載置部を挟んだ両側において格納庫の内部に前進・後退する一対のピッキングアームが配置されており、両ピッキングアームの両端には、ピッキングアームの前後動によって荷物を押し引きすためのピッカーが回動自在に取付けられており、棚への入庫に際しては荷物はピッカーで押され、棚からの荷物の取り出しに際しては荷物をピッカーで引き出すように構成された自動倉庫であって、
    前記ピッキングアームは、入庫に際しては荷物の奥行き寸法に関係なく一定距離だけ前進するように制御されており、かつ、ピッキングアームが前記一定の距離だけ先進した状態で、荷物はその奥行き寸法に関係なく一部がフロントフレームに載ったままになるように設定されている、
    自動倉庫。
  2. 前記棚板、少なくともその前端部がフロントフレームの上面から上向きに突出しないように設定されている一方、
    前記ピッキングアームは、荷物の取り出しに際しては、荷物の奥行き寸法に応じた寸法だけ前進するように制御される、
    請求項1に記載した自動倉庫。
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