JP3638932B2 - 血圧測定用二重カフ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、オシロメトリック方式の血圧測定に用いるカフに関し、特に、駆血用袋と脈波検出用袋の2つの袋を内部に備えている二重カフに関する。
【0002】
【従来の技術】
オシロメトリック方式による血圧測定では、一般的に、生体の所定部位に装着したカフの圧迫圧力を徐速降圧させる過程で、カフに伝達される脈波を逐次検出し、その逐次検出される脈波の振幅の変化に基づいて血圧値を決定する。
【0003】
このようなオシロメトリック方式の血圧測定では、カフの圧迫圧力の徐速降圧過程において、逐次検出される脈波の振幅が急激に大きくなった時点(すなわち振幅の立ち上がり点)の圧迫圧力が最高血圧値とされる。
【0004】
カフ内に設けられた袋が一つだけであり、その一つの袋により生体の圧迫および脈波の検出の両方を行う場合には、逐次検出される脈波の振幅の立ち上がり点が不明確なために、決定される最高血圧値が不正確となってしまう場合がある。この原因は、カフの圧迫圧力が最高血圧値よりも高い場合であっても、カフの圧迫圧力が最高血圧値に近くなると、カフの上流端付近における動脈の脈動の影響が大きくなり始め、その脈動がカフに伝達されるからである。特に、足首など、カフによりその部位の動脈を完全に止血させることが困難な部位では、カフの圧迫圧力が最高血圧値よりも高い圧力であっても、カフの上流端付近での動脈の脈動が大きくなり易いので、脈波の振幅の立ち上がり点が不明確になり易い。
【0005】
上記問題点を解決するために、動脈を駆血するための駆血用袋と、その動脈からの脈波を検出するための袋の2つの袋を備えたカフが提案されている。たとえば、特許文献1に記載されたカフがそれである。上記特許文献1に記載されたカフは、脈波検出用の袋であるインナーカフが、駆血用の袋であるアウターカフの内周面側(生体側)の略中央に配置されており、アウターカフの上流端付近で動脈の脈動が再開しても、その脈動はインナーカフに直接的には伝達されないので、インナーカフにより検出される脈波の振幅の立ち上がりが明確になり、最高血圧値の精度が向上する。
【0006】
【特許文献1】
特開平5−269089号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来の脈波検出用袋は、生体に装着される際に折れ曲がり、脈波検出用袋の全体に気体または液体が行き渡らない場合があった。図6および図7は、その状態を説明するために、従来の脈波検出用袋の一例を示す図であり、図6は平面図、図7は図6のVII-VII線断面図である。図6、7に示されるように、従来の脈波検出用袋は、一部が折れ曲がってしまい、その先へ気体または液体が行き渡らない場合があった。
【0008】
本発明は以上の事情を背景として為されたもので、その目的とするところは、気体または液体が確実に全体に行き渡る脈波検出用袋を備えた二重カフを提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための本発明は、生体の所定部位の動脈を駆血するための駆血用袋と、その駆血用袋が前記生体に装着されたときにその生体とその駆血用袋との間に位置するように、その駆血用袋の内周面側に配置され、所定の内圧とされることによって前記動脈の脈波を検出する脈波検出用袋とを備えた血圧測定用二重カフであって、前記脈波検出用袋の内部に、その脈波検出用袋よりも硬い長手状の芯材がその脈波検出用袋の長手方向に備えられていることを特徴とする血圧測定用二重カフである。
【0010】
【発明の効果】
この発明によれば、脈波検出用袋の内部にはその長手方向に芯材が備えられているので、血圧測定用二重カフが生体の所定部位に装着されたときに、脈波検出用が折れ曲がることが防止される。従って、脈波検出用袋の全体に確実に気体または液体が行き渡る。
【0011】
【発明の好適な実施の形態】
以下、本発明の一実施例を図面に基づいて詳細に説明する。図1は、本発明が適用された足首血圧測定用の二重カフ10の外周面側を展開した状態で示す図であり、図2は、図1に示す二重カフ10の内周面側を展開した状態で示す図である。
【0012】
図1の二重カフ10は、やや扇状に湾曲させられている帯状の形状を有し、幅方向長さが約14cmである。この二重カフ10の一方の端には、二重カフ10の幅方向に2つに分けられた細帯部12が形成されている。この細帯部12側が足首に巻き付けられる際の先端側となる。この細帯部12の内周面側には面ファスナ14がが貼り付けられており、また、他方の端すなわち足首に巻き付けられる際の基部となる端側の外周面には、上記面ファスナ14と係合する面ファスナ16が貼り付けられている。二重カフ10が図示しない足首に巻き付けられると、内周面に貼り付けられた面ファスナ14と外周面に貼り付けられた面ファスナ16とが係合することにより、二重カフ10は足首に固定される。
【0013】
二重カフ10の内周面側の表面には、長手方向の略中央から基部側の端にかけて内周表面を形成する表布18が配置されており、その表布18と二重カフ10の外形と略等しい形状を有する基布20とが、二重カフ10の外縁を一周する外縁布22とともに縫い合わせられることにより収容袋24が形成されている。脈波検出用袋26および駆血用袋28は、この収容袋24内に収容されている。
【0014】
図1に示されるように、駆血用袋28は、略矩形状の袋であり、その幅方向の長さは、収容袋24の幅方向長さ(すなわち二重カフ10の幅方向長さ)よりもやや短い長さであり、長手方向長さも収容袋24の長手方向長さよりもやや短い長さである。また、図2に示されるように、脈波検出用袋26も略矩形状の袋であり、その幅方向長さは収容袋24の幅方向長さの1/3〜1/4程度であり、長手方向長さは収容袋24の長手方向長さよりもやや短い長さである。これら駆血用袋28および脈波検出用袋30は、柔らかい樹脂製である。
【0015】
図1に示されるように、二重カフ10の外周面には2つの接続管32、34が内部から突き出している。これら接続管32、34は、それぞれ脈波検出用袋26および駆血用袋28と一体化させられている。この接続管32、34に図示しない配管がそれぞれ接続され、その図示しない配管を介して脈波検出用袋26および駆血用袋28にそれぞれ空気が供給される。
【0016】
図3は図1のIII-III線断面図である。図2、図3に示すように、収容袋24内には、長手方向長さが表布18と略同じであり、幅方向長さが表布18の半分程度である矩形状のシート30が、その1対の長辺のうち足首に装着されたときに下流となる側の長辺が収容袋24の下流側の長辺と略重なるように配置されており、そのシート30の長手方向の両側の縁が表布18に接着させられることにより小収容室36が形成されており、脈波検出用袋26は、その小収容室36内に収容されている。なお、このシート30は柔らかい樹脂製である。
【0017】
脈波検出用袋26の外周面側には、その脈波検出用袋26と略同程度の幅方向長さを有する滑り布38が配置され、さらにその外周面側には脈波検出用袋26と略同程度の幅方向長さを有する補強板40が配置されている。図示していないが、滑り布38の長手方向長さは脈波検出用袋26の長手方向長さよりもやや長くされ、補強板40はその滑り布38の長手方向長さよりもさらに少し長くされている。また、これら脈波検出用袋26、滑り布38、補強板40は、脈波検出用袋26の長手方向両端において互いに固定されることにより一体化させられている。
【0018】
補強板40は、脈波検出用袋26の強度を補強するものであり、脈波検出用袋26よりも硬い可撓性の板が用いられる。この補強板40の材質は、たとえば、ポリプロピレンなどの樹脂製である。滑り布38は、補強板40を脈波検出用袋26に対して低摩擦で移動可能とするためのものであり、この滑り布38により、補強板40が脈波検出用袋26に対して相対移動する際に生じるノイズが軽減される。
【0019】
また、脈波検出用袋26内には、芯材として機能する可撓性の芯板42が収容されている。この芯板42の幅方向長さは特に制限はないが、本実施例では、脈波検出用袋26の幅方向長さの1/5程度とされている。また、芯板42は、脈波検出用袋26の材質よりも硬く、且つ、二重カフ10の足首への脱着が容易に行える程度の可撓性を有していれば、材質および厚さにも特に制限はないが、本実施例の芯板42は、ポリプロピレン製であり、厚さが約0.5mmとされている。
【0020】
駆血用袋28は、収容袋24内においてシート30よりも外周面側に収容されている。収容袋24内には、駆血用袋28の外周面側にさらに第1付勢板44および第2付勢板46が収容されている。これら第1付勢板44および第2付勢板46は、二重カフ10を筒状となるように付勢するためのものであり、たとえば硬質樹脂により構成される。
【0021】
図4は脈波検出用袋26の平面図であり、図5は図4のV-V線断面図である。図4、5に示されるように、芯板42は、脈波検出用袋26の長手方向長さよりもやや短い程度の長さである。このように、芯板42が脈波検出用袋26内に収容されていると、芯板42は容易には折れ曲がらないので、脈波検出用袋26が折れ曲がることが防止される。
【0022】
このように構成された二重カフ10を用いた血圧測定は、たとえば以下のようにして行う。まず、二重カフ10を図示しない足首に装着する。二重カフ10を足首に装着した状態では、脈波検出用袋26は駆血用袋28と足首との間に位置させられる。続いて、駆血用袋28および脈波検出用袋26にそれぞれ空気を供給して、駆血用袋28の圧迫圧力を足首における最高血圧値よりも高い値に設定された目標圧力値(たとえば250mmHg)まで一旦昇圧するとともに、脈波検出用袋26の内圧を足首における最低血圧値よりも低い予め設定された圧力とする。その後、脈波検出用袋26の内圧を維持したまま、駆血用袋28内の空気を徐々に排気することにより駆血用袋28の圧迫圧力を徐速降圧させ、その間に足首の動脈から脈波検出用袋26に伝達される圧力振動(すなわち足首の脈波)を逐次検出して、その足首の脈波の振幅の変化に基づいて血圧値を決定する。
【0023】
上述の実施例に示した二重カフ10は、脈波検出用袋26の内部にその長手方向に芯板42が備えられているので、二重カフ10が足首に装着されたときに、脈波検出用袋26が折れ曲がることが防止される。従って、脈波検出用袋26の全体に確実に空気が行き渡る。
【0024】
以上、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明したが、本発明はその他の態様においても適用される。
【0025】
たとえば、前述の実施例では、芯材として芯板42が用いられていた。すなわち、芯材は板状部材であったが、心材の形状は板材に限られず、たとえば棒状部材であってもよい。
【0026】
なお、本発明はその主旨を逸脱しない範囲においてその他種々の変更が加えられ得るものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明が適用された足首血圧測定用の二重カフの外周面側を展開した状態で示す図である。
【図2】図1に示す二重カフの内周面側を展開した状態で示す図である。
【図3】図1のIII-III線断面図である。
【図4】図1の脈波検出用袋の平面図である。
【図5】図4のV-V線断面図である。
【図6】従来の脈波検出用袋の平面図である。
【図7】図6のVII-VII線断面図である。
【符号の説明】
10:二重カフ
26:脈波検出用袋
28:駆血用袋
42:芯板(芯材)
Claims (1)
- 生体の所定部位の動脈を駆血するための駆血用袋と、
該駆血用袋が前記生体に装着されたときに該生体と該駆血用袋との間に位置するように、該駆血用袋の内周面側に配置され、所定の内圧とされることによって前記動脈の脈波を検出する脈波検出用袋とを備えた血圧測定用二重カフであって、
前記脈波検出用袋の内部に、該脈波検出用袋よりも硬い長手状の芯材が該脈波検出用袋の長手方向に備えられていることを特徴とする血圧測定用二重カフ。
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