JP3638176B2 - 手書きデータ編集装置及び手書きデータ編集方法 - Google Patents

手書きデータ編集装置及び手書きデータ編集方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ペン、タブレット等の入力デバイスを用いて入力された手書きデータを編集する手書きデータ編集装置及びその方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、通信機能を有する携帯型端末装置が普及するにつれ、ペン、タブレット等の入力デバイスを用いて手書き入力された文字や図形等の手書きデータを扱う技術が広く利用されるようになってきている。手書きデータは、オンライン文字図形認識技術等を用いてコード化して利用されることも多いが、手書きデータをインクデータあるいはイメージデータとしてそのまま利用することも増えてきている。ここで、インクデータとは、筆跡データを構成する画素から一定間隔又は可変の間隔で座標点列を抽出した情報であり、所定の画面上に存在する全ての画素を保持して取り扱う必要があるイメージデータに比べて、編集等の作業におけるCPUへの負荷が少なくて済むという長所を有している。
【0003】
図28に従来の手書きデータ編集装置の構成を示す。同図に示される従来の手書きデータ編集装置は、筆跡データ抽出部281、筆跡グループ分類部282、筆跡データ保持部283、筆跡データ編集部285、筆跡データ入力部291、指示入力部292、表示部293を備える。
筆跡データ抽出部281は、筆跡データ入力部291として備えられているペン、タブレット等の入力デバイスから手書きで入力された軌跡から筆跡データを抽出する。筆跡データは、ペンダウンからペンアップまでの描画軌跡(以下「ストローク」と呼ぶ)を単位とし、個々のストロークにおいて、ペンとタブレットとの接触位置を表す座標を、一定の間隔または可変の間隔で抽出した一連の座標点列を含む。抽出された筆跡データは、ストロークごとに筆跡データ保持部283に保持される。
【0004】
筆跡グループ分類部282は、筆跡データ保持部283に保持されている筆跡データを、入力位置、入力順序等から、文字単位や、行単位や、ブロック単位である筆跡グループに分類する。
筆跡データ保持部283は、筆跡データ抽出部281が抽出した筆跡データと、筆跡グループ分類部282により分類された筆跡グループとを保持する。
【0005】
筆跡データ編集部285は、指示入力部292を通じて操作者から入力された編集指示に従って、筆跡データ保持部283に保持されている筆跡データ及び筆跡グループを更新すると共に、筆跡データを表示部293に表示する。筆跡データ編集部285に対しては、「加茂、櫻井、櫻井、四反田、杉田:”パーソナルペン入力技術”、Human Interface News and Report, Vol.10, pp.59-64 (1995)」に開示されているように、削除、移動、複写、文字サイズの調整、文字間隔調整、文字基準線調整等を指示することが可能であった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のような従来の手書きデータ編集装置では、例えばフロ−チャ−ト等のように文字と図形とが混在し、しかも両者が一体となって意味を持つような場合には、図形を先に編集してからそれに合わせて文字を編集する、あるいは逆に文字を先に編集してからそれに合わせて図形を編集するといった方法をとる必要がある。
【0007】
その場合、例えば図形の部分を拡大等してからそれに合わせて文字の編集を行うとすると、文字の位置やサイズ等を図形に合わせるための微調整が非常に繁雑となり、編集に手間がかかるという問題点を有していた。
本発明は上記の問題点に鑑み、文字と図形とが混在し、しかも両者が一体となって意味を持つような性格を有する手書きデータの編集において、余計な手間をかけることなく編集を行うことのできる手書きデータ編集装置及びその方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記の問題点を解決する目的で、本発明に係る手書きデータ編集装置は、手書きの描画軌跡から筆跡データを抽出し、抽出された筆跡データを編集する手書きデータ編集装置であって、筆跡データを、文字を構成する筆跡データを示す文字グループと、図形を構成する筆跡データを示す図形グループとに分類する分類手段と、文字グループと図形グループとの位置関係が所定の条件を満たす場合に、両者を対応付けることにより組にする対応付け手段と、前記組に含まれる文字グループと図形グループのうち、操作者によって指定されたグループについて、操作者の指示に基づき視覚的な変更を加える第1の変更手段と、前記第1の変更手段により前記何れかのグループに変更が加えられた場合に、当該組に含まれる文字グループと図形グループとの少なくとも一つについて、所定の規則に基づいて位置と大きさとの少なくとも一方を変更する第2の変更手段とを備える。
【0009】
また、前記対応付け手段は、文字グループの外接矩形と図形グループの外接矩形とが重なる領域の面積と、当該文字グループの外接矩形の面積との比が、第1の所定の割合を超える場合に両者を対応付けることにより組にすることが可能である。
また、前記対応付け手段は、図形グループの幅と高さの何れか一方が、第1の所定のしきい値より短いか否かを判定する図形形状判定部と、前記図形形状判定部により、短いと判定された場合に、図形グループの外接矩形と文字グループの外接矩形との間隔が、第2の所定のしきい値以下であるか否かを判定する間隔判定部と、前記間隔判定部により、第2のしきい値以下であると判定された場合に、当該図形グループの幅と高さの長い方の座標軸への射影と、当該文字グループにおいて対応する幅又は高さの座標軸への射影とが重なる範囲の長さを算出する重複範囲長算出部とを有し、前記重複範囲長算出部により算出された長さと、前記文字グループにおいて対応する幅又は高さの座標軸への射影の長さとの比が、第2の所定の割合を超える場合に両者を対応付けることにより組にすることもできる。
【0010】
また、前記対応付け手段はさらに、操作者の指示に基づき、対応付けられていない文字グループと図形グループとを対応付けることにより組にし、及び既に対応付けられている文字グループと図形グループとの対応付けを解除することもできる。
また、前記第2の変更手段は、前記第1の変更手段による変更の後に、図形グループから文字グループのはみ出しが発生しているか否かを判定するはみ出し判定部を有し、前記はみ出し判定部によりはみ出しが発生したと判定された場合に、当該はみ出しを解消すべく、当該組に含まれる文字グループと図形グループとの少なくとも一つについて位置と大きさの少なくとも一方を変更することが可能である。
【0011】
また、前記第2の変更手段は、前記第1の変更手段により変更された図形グループ又は文字グループの拡大率又は縮小率を算出する変形率算出部を有し、算出された拡大率又は縮小率と同一の拡大率又は縮小率を用いて、前記組に含まれる図形グループ又は文字グループのうち第1の変更手段により変更されなかった方を拡大又は縮小するとともに、当該拡大率又は縮小率に基づいて前記第1の変更手段により変更されなかった方の位置を変更することもできる。
【0012】
また、前記第2の変更手段は、変更後における図形グループに対する文字グループの位置を、左寄せとするか、右寄せとするか、センタリングするかを指示する横書き文字位置指示部を有し、前記第1の変更手段により、前記組に含まれる図形グループと文字グループとの何れか一方が変更され、かつ、前記組に含まれる文字グループが横書きである場合に、前記横書き文字位置指示部の指示する位置関係を実現すべく、前記組に含まれる図形グループ又は文字グループのうち第1の変更手段により変更されなかった方に変更を加えることもできる。
【0013】
また、前記第2の変更手段は、変更後における図形グループに対する文字グループの位置を、上寄せとするか、下寄せとするか、センタリングするかを指示する縦書き文字位置指示部を有し、前記第1の変更手段により、前記組に含まれる図形グループと文字グループとの何れか一方が変更され、かつ、前記組に含まれる文字グループが縦書きである場合に、前記縦書き文字位置指示部の指示する位置関係を実現すべく、前記組に含まれる図形グループ又は文字グループのうち第1の変更手段により変更されなかった方に変更を加えることもできる。
【0014】
また、前記第2の変更手段はさらに、前記第1の変更手段又は前記第2の変更手段により図形グループが変更された場合に、当該図形グループと、当該図形グループに隣接する図形グループとの間の交差関係の変化を検知する交差関係検知手段を備え、前記交差関係検知手段により交差関係の変化が検知された場合に、当該交差関係を変化する前の交差関係に戻すように前記隣接する図形グループを変更することもできる。
【0015】
また、前記第2の変更手段はさらに、前記第1の変更手段による変更がなされた場合に、第2の変更手段による変更を行うか否かを指示する変更指示手段を備え、前記変更指示手段により、第2の変更手段による変更を行わない旨の指示がなされた場合には、第1の変更手段による変更が行われた場合でも第2の変更手段による変更を行わないことも可能である。
【0016】
また、前記手書きデータ編集装置はさらに、前記第2の変更手段による変更が行われる場合に、当該変更により変更が加えられる文字グループ又は図形グループについて、当該変更が行われる前の状態を保持する変更前データ保持手段と、操作者からの、前記第2の変更手段による変更を無効にする旨の指示を受け付ける変更取消受付手段とを備え、前記第2の変更手段は、前記変更取消受付手段が、前記第2の変更手段による変更を無効にする旨の指示を受け付けた場合に、当該変更により変更された文字グループ又は図形グループを、前記変更前データ保持手段が保持する状態に復帰させることもできる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
図1は、本実施の形態の手書きデータ編集装置の構成を示すブロック図である。同図に示される手書きデータ編集装置は、筆跡データ抽出部1、筆跡グループ分類部2、筆跡データ保持部3、筆跡グループ対応部4、筆跡データ編集部5、対応筆跡グループ更新部6、編集モード保持部7、更新前データ保持部8、更新前図形データ保持部9、筆跡データ入力部11、指示入力部12、表示部13を備える。
【0018】
なお、本実施の形態の手書きデータ編集装置は、携帯型端末装置等のCPUにおいて所定のプログラムが実行されることにより実現されるものであり、必要な情報の保持にはディスク装置、メモリ等の記憶装置が用いられる。
筆跡データ抽出部1は、筆跡データ入力部11として備えられているペン、タブレット等の入力デバイスから手書きで入力された軌跡から筆跡データを抽出する。筆跡データは、ストロークを単位として、個々のストロークにおいて、ペンダウンからペンアップまでのペンとタブレットとの接触位置を表す座標を、一定の間隔または可変の間隔で抽出した一連の座標点列を含む。即ち、本実施の形態の手書きデータ編集装置では、手書きデータをインクデータとして扱う。筆跡データは、ストロークごとに筆跡データ保持部3に保持される。
【0019】
なお、筆跡データ入力部11としては、本実施の形態ではペンとタブレットとの組み合わせを用いたが、上記ストロークを構成する点列を抽出することができる入力デバイスであれば、ペンとタブレットに限定されるものではない。
筆跡グループ分類部2は、筆跡データ保持部3に保持されている筆跡データを文字のストロークと図形のストロークとに分類し、文字のストロークについては、文字、行、複数の行からなる文字ブロック等の文字グループに分類し、図形のストロークについては、図形、複数の図形からなる図形ブロック等の図形グループに分類する。
【0020】
ここで、文字グループについては、縦あるいは横の同一方向に並んだ文字の集合を行、位置的に近くにまとまっている複数の行の集合を文字ブロックとして扱う。行や文字ブロックの方向の決定には、ストロークの記述順序を利用する。
図形グループについても、位置的に近くにまとまっている複数の図形の集合を図形ブロックとする。どの文字グループ又は図形グループに、どのストロークが属するかを示す情報は、筆跡データ保持部3に保持される。
【0021】
筆跡データを文字のストロークと図形のストロークとに分類する方法としては「待井、福島、中川:”オンライン手書き図における文字と図形の分離”、情報処理学会第45回全国大会 4G-3,2,pp.293-294 (1992)」に開示されている方法が使用できる。以下に、分類方法について簡単に説明する。
(1)まず、ストロークの長さと、当該ストロークに外接する矩形の長辺の長さとが、両方とも所定のしきい値より大きいものを図形のストロークとし、それ以外のストロークを文字のストロークと識別する。文字データにおける1ストロークは、それほど大きくはならないであろうという仮定に基づく。
(2)次に、図形のストロークであると判定されたストロークと、文字のストロークであると判定されたストロークとの交差判定を行い、交差していれば、文字のストロークであると判定されていたストロークを、図形のストロークであると修正する。長い直線に短い線を交差させて記した線路を表す地図記号における短い線のようなストロークを想定している。
(3)最後に、入力の順序を調べ、文字のストロークであると判定されたストロークの前後に入力されたストロークが、両方とも図形のストロークであった場合に、当該文字のストロークであると判定されていたストロークを図形のストロークであると修正する。一点鎖線における点の部分のようなストロークを想定している。
【0022】
以上のようにストロークの分類を行った後、文字のストロークについては、文字の切り分け、行の切り分け等の処理を行い、文字、行、文字ブロックからなる文字グループに分類し、図形のストロークについては、図形、図形ブロックからなる図形グループに分類する。
筆跡データ保持部3は、筆跡データ抽出部1により抽出された筆跡データ及び筆跡グループ分類部2により分類された文字グループ及び図形グループを保持する。
【0023】
筆跡グループ対応部4は、筆跡データ保持部3に保持されている筆跡データと、文字グループ及び図形グループとを参照して、文字グループと図形グループとの位置関係を解析し、所定の規則に従って、文字グループと図形グループとの対応付けを行う。
筆跡データ編集部5は、操作者の指示に応じて、削除、移動、複写、文字サイズの調整、文字間隔調整、文字基準線調整等の様々な処理を行い、筆跡データ保持部3の内容を更新するとともに、表示部13に筆跡データを表示する。
【0024】
対応筆跡グループ更新部6は、筆跡グループ対応部4により対応付けられた文字グループと図形グループとの組のうち、何れか一方の内容が筆跡データ編集部5を通じて更新された場合に、必要に応じてもう一方の図形グループ若しくは文字グループ(あるいは、筆跡データ編集部5により編集された図形グループ又は文字グループ)又は当該図形グループに隣接する図形グループに対して、移動、複写、文字サイズの調整、文字間隔調整等の様々な処理を行い、対応付けられた文字グループと図形グループとの間に適切な対応関係を維持させる。
【0025】
編集モード保持部7は、対応筆跡グループ更新部6による編集の方法を示す更新対応モードの設定を保持する。更新対応モードの設定は、例えば、図2に示すような画面を表示部13に表示し、操作者が指示入力部12を通じて入力することにより行う。操作者による設定が行われていない場合は、デフォルト値として設定されている更新対応モードが適用される。本実施の形態では、デフォルト値として、図2において枠線が太くなっている部分のモードが設定されているものとするが、デフォルト値は任意の設定が可能である。それぞれの更新対応モードの意味する内容の詳細については後述する。
【0026】
更新前データ保持部8は、対応筆跡グループ更新部6が文字グループ若しくは図形グループの更新を行う場合に、当該文字グループ若しくは図形グループが対応筆跡グループ更新部6により更新される前の時点での内容を保持する。
更新前図形データ保持部9は、筆跡データ編集部5により図形グループが更新された場合に、当該図形グループが筆跡データ編集部5により更新される前の時点での内容を保持する。
【0027】
図3は、本実施の形態の手書きデータ編集装置において、手書きデータの入力がなされてから、文字グループと図形グループとの対応付けが終了するまでの処理内容を示すフロ−チャ−トである。
同図に示されるように、本実施の形態の手書きデータ編集装置は、まず、筆跡データ抽出部1の処理を行う(S101)。筆跡データ抽出部1の処理とは、前述のとおり、手書き入力されたストロークから筆跡データを抽出する処理である。図4は、筆跡データのデータ構造を示す。同図に示されるように、筆跡データはストロークごとに、一連の座標点列の形で筆跡データ保持部3に保持される。筆跡データには、用途や目的に応じて、各座標点に抽出時刻等の情報を付加することも可能である。
【0028】
次に、手書きデータ編集装置は、筆跡データの分類処理及び文字と図形との対応付け処理を行うべきタイミングであるか否かを判定する(S102)。ここで、筆跡データの分類処理とは、筆跡グループ分類部2の処理を意味し、文字と図形との対応付け処理とは、筆跡グループ対応部4の処理を意味する。これらの処理を行うタイミングの制御の方法としては、一定時間手書きデータの入力がなかった場合を検知する方法の他、タイマを用いて定期的に処理を行う方法、ユーザの指示を待って行う方法など様々な方法が考えられるが、ここではタイマを用いて制御を行うものとする。
【0029】
タイマにより、分類及び対応付けを行うタイミングであることが示された場合、手書きデータ編集装置は、まず、筆跡グループ分類部2の処理を行う(S103)。図5は、筆跡グループ分類部2の詳細な処理内容を示すフロ−チャ−トである。
筆跡グループ分類部2は、まず、先に説明したストロークの分類方法を用いて筆跡データを文字のストロークと図形のストロークとに分類する(S131)。分類の結果は、ストロークごとに筆跡データ保持部3に一時的に保持される。
【0030】
次に、筆跡グループ分類部2は、文字のストロークに対して、文字の切り分け処理や行の切り分け処理を行って、文字、行、文字ブロックからなる文字グループに分類する(S132)。切り分け処理については公知の技術であるので、ここでの詳細な説明は省略する。
分類の結果、文字グループの情報が筆跡データ保持部3に保持される。図6は、筆跡データ保持部3に保持される文字グループのデータ構造である。同図に示されるように、文字グループは、筆跡、文字、行、複数の行の集合である文字ブロック等の単位で階層的に管理される。以下、同図に示されるデータ構造について説明する。
【0031】
文字グループとは、文字と図形とを対応させる単位となるものである。文字グループは、複数の行の集合である文字ブロックである場合と、文字の集合である行である場合と、一文字である場合とがある。
文字グループが文字ブロックである場合には、当該文字グループ21には、外接矩形情報211、行数212、行データへのポインタ213、前文字グループへのポインタ214、次文字グループへのポインタ215、対応図形グループへのポインタ216が含まれる。
【0032】
外接矩形情報211は、文字グループの外接矩形の上辺と左辺との交点(以下「原点」と呼ぶ)の絶対座標と、外接矩形の幅、高さ等の情報を含む。
行数212は、文字ブロックを構成する行数を保持する。
行データへのポインタ213は、文字ブロックを構成する行の一つについて、行データの先頭のアドレスを保持する。行データへのポインタ213に保持されるアドレスを有する行としては、例えば、複数の行の中で最も文字グループの外接矩形の原点に近い行とする。
【0033】
前文字グループへのポインタ214、次文字グループへのポインタ215は、文字グループ同士を結び付けるためのポインタである。
対応図形グループのポインタ216には、当該文字グループに対応付けられている図形グループの先頭のアドレスを保持する。なお、図中において点線の矢印は、ポインタが指し示す対象の記載が省略されていることを意味する。
【0034】
文字グループが行である場合には、当該文字グループ22には、外接矩形情報221、行数222、行データへのポインタ223、前文字グループへのポインタ224、次文字グループへのポインタ225、対応図形グループへのポインタ226が含まれる。
外接矩形情報221、前文字グループへのポインタ224、次文字グループへのポインタ225、対応図形グループへのポインタ226については、文字グループが文字ブロックである場合と同一の内容であるので、ここでの説明は省略する。
【0035】
行数222は、文字グループを構成する行数、即ち「1」を保持する。
行データへのポインタ223は、当該文字グループを構成する行の行データのアドレスを保持する。
文字グループが一文字である場合の文字グループのデータ構造については、文字グループが行である場合のデータ構造と同一であるので、詳細な説明は省略する。
【0036】
次に行データのデータ構造について説明する。行データは、図中に示されるように文字グループが文字ブロックである場合に、当該文字ブロックを構成する行についての情報を保持する。以下行データ31を例として説明する、
行データ31は、外接矩形情報311、文字数312、文字データへのポインタ313、前行データへのポインタ314、次行データへのポインタ315を含む。
【0037】
外接矩形情報311は、当該行を含む文字グループの外接矩形の原点を基準とした、当該行の外接矩形の原点の相対座標と、当該行の外接矩形の幅及び高さ等を保持する。
文字数312は、当該行を構成する文字数を保持する。
文字データへのポインタ313は、行を構成する文字の一つについて、文字データの先頭のアドレスを保持する。文字データへのポインタ313に保持されるアドレスを有する文字は、例えば、行を構成する文字の中で行の原点に最も近い文字とすることが考えられる。
【0038】
前行データへのポインタ314、次行データへのポインタ315は、当該行を含む文字グループに含まれる行同士を結び付けるためのポインタである。
なお、文字ブロックが一文字で構成されている文字グループ23に対応する行データ34においては、文字数342としては「1」が保持される。
次に文字データのデータ構造について説明する。文字データは、図中に示されるように文字グループが文字ブロックである場合に、当該文字ブロックを構成する行ごとに、行を構成する文字についての情報を保持する他、文字グループが行である場合にも、当該行を構成する文字についての情報を保持する。以下文字データ41を例として説明する、
文字データ41は、外接矩形情報411、ストローク数412、筆跡データへのポインタ413、前文字データへのポインタ414、次文字データへのポインタ415を含む。
【0039】
外接矩形情報411は、当該文字を含む文字グループ又は行データの外接矩形の原点を基準とした、当該文字の外接矩形の原点の相対座標と、当該文字の外接矩形の幅及び高さ等を保持する。
ストローク数412は、当該文字を構成するストロークの数を保持する。
筆跡データへのポインタ413は、文字を構成するストロークの中で最初に抽出されたストロークを表す筆跡データの先頭のアドレスを保持する。
【0040】
前文字データへのポインタ414、次文字データへのポインタ415は、当該文字を含む文字グループ又は行データに含まれる文字同士を結び付けるためのポインタである。
最後に、筆跡データのデータ構造について説明する。筆跡データは、図中に示されるように、文字データのそれぞれについて、当該文字を構成するストロークについての情報を保持する。文字グループが一文字からなる場合には、当該文字を構成するストロークについての情報が保持されることになる。以下筆跡データ51を例として説明する。
【0041】
筆跡データ51は、座標点数511、次筆跡データへのポインタ512、座標データ513を含む。なお、本実施の形態では、筆跡データについては、外接矩形情報を保持していないが、用途、目的によっては、保持させることも可能である。この場合には、筆跡データを指すポインタを有する文字グループ若しくは文字データの原点の座標からの外接矩形の相対座標及び外接矩形の幅と高さとを保持すればよい。
【0042】
座標点数511は、当該ストロークから抽出された座標点列における座標点の数を保持する。
次筆跡データへのポインタ512は、当該筆跡データの次に抽出された筆跡データの先頭のアドレスを保持する。
座標データ513は、当該筆跡データを構成する座標点の座標を保持する。従って座標データの個数は、座標点数511に保持されている座標点の数と一致する。
【0043】
以上に説明したように、本実施の形態の手書きデータ編集装置においては、ストローク、文字、行等についての情報を重複保持することなく、ポインタを用いて結び付けることにより階層的に管理している。
文字グループの分類を終了すると、筆跡グループ分類部2は図形のストロークと判定されたストロークを図形グループに分類する(S133)。図7は、筆跡データ保持部3に保持される図形グループのデータ構造を示す図である。同図のデータ構造について、以下に説明する。
【0044】
図形グループは、文字グループとの対応付けの単位となるものである。図形グループは複数の図形から構成される場合と、一つの図形から構成される場合とがある。なお、図形グループの管理には「行」という概念は使用しない。
図形グループが複数の図形から構成される場合には、当該図形グループ61は、外接矩形情報611、図形数612、図形データへのポインタ613、前図形グループへのポインタ614、次図形グループへのポインタ615、対応文字グループへのポインタ616を含む。
【0045】
外接矩形情報611は、当該図形グループの外接矩形の原点の絶対座標、外接矩形の幅、高さ等の情報を保持する。
図形数612は、当該図形グループを構成する図形の数を保持する。
図形データへのポインタ613は、図形グループを構成する図形の一つについて、図形データの先頭のアドレスを保持する。図形データへのポインタ613に保持されるアドレスを有する図形としては、例えば、複数の図形の中で最も図形グループの外接矩形の原点に近い図形とする。
【0046】
前図形グループへのポインタ614、次図形グループへのポインタ615は、図形グループ同士を結び付けるためのポインタである。
対応文字グループのポインタ616には、当該図形グループに対応付けられている文字グループの先頭のアドレスを保持する。なお、図中において点線の矢印は、ポインタが指し示す対象の記載が省略されていることを意味する。
【0047】
図形グループが一つの図形から構成されている場合には、当該図形グループ62には、外接矩形情報621、図形数622、図形データへのポインタ623、前図形グループへのポインタ624、次図形グループへのポインタ625、対応文字グループへのポインタ626が含まれる。
外接矩形情報621、前図形グループへのポインタ624、次図形グループへのポインタ625、対応文字グループへのポインタ626については、図形グループが複数の図形から構成されている場合と同一の内容であるので、ここでの詳細な説明は省略する。図形数232は、図形グループを構成する図形の数であるので、この場合には「1」が保持される。
【0048】
筆跡データのデータ構造は、文字を構成するストロークの筆跡データと同一である。図形を構成する筆跡データは、図中に示されるように、図形データのそれぞれについて、当該図形を構成するストロークについての情報を保持する。図形グループが一つの図形から構成される場合には、当該図形を構成するストロークについての情報が保持されることになる。以下筆跡データ81を例として説明する。
【0049】
筆跡データ81は、座標点数811、次筆跡データへのポインタ812、座標データ813を含む。なお、本実施の形態では、筆跡データについては、外接矩形情報を保持していないが、用途、目的によっては、保持させることも可能である。この場合には、文字を構成するストロークの筆跡データと同様に、筆跡データを指すポインタを有する図形グループ若しくは図形データの原点の座標からの外接矩形の相対座標及び外接矩形の幅と高さとを保持すればよい。
【0050】
座標点数811、次筆跡データへのポインタ812の内容は、文字を構成するストロークの筆跡データと同一の内容であるので、ここでの詳細な説明は省略する。
筆跡グループ分類部2は、図形のストロークと判定されたストロークについて、その位置関係や入力順序を参照して、図形グループの分類を行う。図形グループの管理も文字グループの管理と同様に階層的に行っている。
【0051】
筆跡グループ分類部2の処理が終了すると、手書きデータ編集装置は、図3のフロ−チャ−トに戻って、筆跡グループ対応部4の処理を行う(S104)。
図8は筆跡グループ対応部4の詳細な処理内容を示すフロ−チャ−トである。筆跡グループ対応部4は、筆跡データ保持部3に保持されている全ての図形グループについてループAの処理を行う(S141)。筆跡グループ対応部4は、まず、筆跡データ保持部3から、図形グループを一つ取り出す(S142)。
【0052】
次に、筆跡データ保持部3に保持されている図形グループの外接矩形情報を参照して、取り出された図形グループがライン型の図形グループであるか否かを判定する(S143)。ここで、ライン型の図形グループとは、外接矩形の幅と高さの短い方が所定のしきい値より短い図形グループのことである。
取り出された図形グループがライン型でない場合(S143:No)は、まだ図形グループと対応付けられていない全ての文字グループについて、ループBの処理を行う(S144)。ループBの処理とは、ライン型でない図形グループと文字グループとが対応付け可能であるか否かを判定する一連の処理である。
【0053】
以下、取り出された図形グループがライン型でない場合の判定方法について、図9をも参照しながら具体的に説明する。
筆跡グループ対応部4は、筆跡データ保持部3を参照して、まだ対応付けられていない文字グループを一つ取り出す(S145)。そして、図形グループの外接矩形と、文字グループの外接矩形とが重なり合う領域の面積を算出する(S146)。例えば、図9の例において、取り出された図形グループAの外接矩形領域をa、取り出された文字グループBの外接矩形領域をbとすると、aとbとが重なり合う領域c(図9の網掛け部、図9(a)の例ではb=cである)の面積を算出する。
【0054】
さらに、筆跡グループ対応部4は、領域Cの面積scと、領域Bの面積sbとの比の値を算出し(S147)、算出された比の値が、以下の式(1)の条件が満たすか否かを判定する(S148)。
sc/sb≧Ks, 0<Ks≦1 (1)
ここで、Ksは予め定められたしきい値である。本実施の形態では、若干の文字グループのはみ出し等を考慮してKsとして0.9程度の値を設定するが、Ksの値は用途、目的に応じて任意の設定が可能である。
【0055】
式(1)の条件が満たされた場合(S148:Yes)には、筆跡グループ対応部4は、取り出された図形グループAと文字グループBとが対応付け可能であると判定する(S149)。即ち図9(a)に示す例のように、前記比の値が所定のしきい値Ks以上であるような関係であれば、両者は対応付け可能と判定されるが、図9(b)に示されるように、前記比の値が所定のしきい値Ksを下回るような場合であれば、対応付け可能とは判定されない。
【0056】
以上のような処理を、まだ対応付けのなされていない全ての文字グループについて行った後(S150)に、筆跡グループ対応部4は、対応付け可能と判定された文字グループが存在するか否かを判定する(S151)。対応付け可能な文字グループが存在した場合には、筆跡データ保持部3に保持されている図形グループ及び文字グループにおいて、対応文字グループへのポインタ及び対応図形グループへのポインタの内容の更新を行うことにより、両者の対応関係を保存する(S152)。
【0057】
ここで、対応付け可能な文字グループが複数存在した場合には、複数の文字グループを一つに統合する。例えば、複数の行が対応付け可能と判定されれば、当該複数の行を文字ブロックに統合して一つの文字グループとする等の処理を行う。この処理もポインタの内容を更新することにより行うことができる。ステップS515において、対応付け可能な文字グループが存在しないと判定された場合には、次の図形グループについて対応付け処理を行うべくステップS141に戻る(S153)。
【0058】
一方、ステップS143において、取り出された図形グループの外接矩形の幅と高さの短い方が、所定のしきい値より短いと判定された場合、即ち取り出された図形グループがライン型のものである場合には、まだ対応付けられていない全ての文字グループについて、ループCの処理を行う(S154)。以下、取り出された図形グループがライン型の図形グループであった場合の処理の内容について、図10の例を用いて具体的に説明する。
【0059】
筆跡グループ対応部4は、筆跡データ保持部3を参照して、まだ対応付けられていない文字グループを一つ取り出す(S155)。ライン型の図形グループの場合は、文字グループとの対応付けが可能か否かの判定は、外接矩形領域の面積の比ではなく、文字グループと図形グループとの間の間隔と、文字グループ及び図形グループの座標軸への射影の長さを用いて判定する。筆跡グループ対応部4は、まず、図形グループと文字グループとの間の間隔が所定のしきい値以下であるか否かを判定する(S156)。判定には以下に示す式(2)を用いる。
【0060】
|Yau−Ybd|≦Kg 又は |Yad−Ybu|≦Kg 又は
|Xau−Xbd|≦Kg 又は |Xad−Xbu|≦Kg (2)
ここで、Yauは外接矩形aの上端のY座標、Ybdは外接矩形bの下端のY座標、Yadは外接矩形aの下端のY座標、Ybuは外接矩形bの上端のY座標、Xauは外接矩形aの右端のX座標、Xbdは外接矩形bの左端のX座標、Xadは外接矩形aの左端のX座標、Xbuは外接矩形bの右端のX座標である。即ち、式(2)の式の何れかを満たせば、外接矩形aと外接矩形bとのX軸方向又はY軸方向の間隔が所定のしきい値以下であることを意味する。なお、しきい値Kgの値は、デバイスの解像度に応じて決定する必要がある。
【0061】
両者の間隔が所定値を上回る場合は、ステップS161に進み、次の文字グループを取り出すことになる。一方、両者の間隔が所定値以下であった場合(S156:Yes)には、筆跡グループ対応部4は、図形グループの幅又は高さの長い方のX軸又はY軸への射影と、文字グループの幅又は高さ(図形グループの幅又は高さに対応する方)のX軸又はY軸への射影とが重なり合う部分の長さを算出する(S157)。例えば、図10(a)に示される図形グループAのように、外接矩形の高さが所定のしきい値より短い横長のライン型図形であれば、図形グループAの外接矩形aの幅のX軸への射影と、文字グループBの外接矩形bの幅のX軸への射影とが重なり合う部分の長さLを算出する。
【0062】
次に、筆跡グループ対応部4は、算出された長さLと、文字グループBの外接矩形bの幅のX軸への射影の長さ(即ちbの幅)Lb(図10(a)の例では、L=Lbである)との比の値を算出する(S158)。そして、筆跡グループ対応部4は、算出された比の値が、以下の式(3)の条件を満たすか否かを判定する(S159)。
【0063】
L/Lb≧Kl, 0<Kl≦1 (3)
ここで、Klは予め定められたしきい値である。Klの値としては、本実施の形態では、若干の文字グループのはみ出し等を考慮して0.9程度の値を設定するが、目的、用途により任意の変更が可能である。式(3)の条件を満たせば筆跡グループ対応部4は、取り出された図形グループと文字グループとが対応付け可能と判定する(S160)。
【0064】
従って、図10(a)に示すような関係(L=Lb、即ちKl=1である)であれば、図形グループAと文字グループBとは対応付け可能と判定されるが、図10(b)に示すように射影が重なる範囲の長さLと、文字グループの外接矩形bと幅Lbとの比の値がしきい値Klより小さい場合には、両者は対応付け可能とは判断されない。
【0065】
以上、座標軸への射影を用いて対応付け可能か否かを判定する方法について、横長のライン型図形を例として説明したが、縦長のライン型図形の場合も同様に考えることができる。即ち、図形グループの外接矩形のY軸への射影に、文字グループの外接矩形のY軸への射影が重なっている範囲の長さをLとし、文字グループの外接矩形のY軸への射影の長さ(即ち外接矩形の高さ)をLbとした場合の両者の比の値が、上記の式(3)に従う場合に、当該図形グループと当該文字グループとが対応付け可能であると判定すればよい。
【0066】
以上の処理を、対応付けの済んでいない全ての文字グループについて行った後(S161)に、筆跡グループ対応部4は、対応付け可能な文字グループが存在するか否かを判定する(S162)。対応付け可能な文字グループが存在しない場合には、次の図形グループについて処理を行うべく、そのままステップS153へと進む。
【0067】
対応付け可能な文字グループが存在した場合(S162:Yes)には、筆跡データ保持部3に保持されている図形グループ及び文字グループの対応文字グループへのポインタ及び対応図形グループへのポインタを更新することにより、対応関係を保存する(S163)。ここで、対応付け可能な文字グループが複数存在した場合に、文字グループが一つになるように統合するのは、図形グループがライン型でない場合の処理と同様であるが、ライン型の図形グループの場合、例えば、当該ライン型図形を挟んで両側に対応付け可能な文字グループが複数存在する場合には、図形グループの外接矩形と、文字グループの外接矩形との間隔が小さい方の側の文字グループのみを統合の対象とし、双方を統合することは行わない。
【0068】
以上の処理を全ての図形グループについて行い(S153)、筆跡グループ対応部4の処理を終了する。
なお、本実施の形態では、前記の各条件に従って図形グループと文字グループとの対応付けを自動的に行ったが、対応付けの作業はユーザの指示に従って行うようにしてもよい。その場合には、対応付けのモードを指定してから図形グループと文字グループとをそれぞれ指定するか、あるいはペンの動きで制御内容と制御対象とを指定するジェスチャによって対応付けを指定する等の方法をとることができる。また、自動的に行った対応付けの結果を、ユーザの指定によって対応付けの解除、変更、追加等を行うことにより修正することも可能である。
【0069】
次に、以上のような方法で対応付けられた文字グループ又は図形グループに対して、ユーザが指示入力部12を通じて編集を行う場合の手書きデータ編集装置の処理内容について説明する。
図11は、指示入力部12を通じて、操作者から編集指示を受けた場合の手書きデータ編集装置の処理内容を示すフロ−チャ−トである。
【0070】
まず、筆跡データ編集部5は、指示入力部12を通じて操作者からなされた編集指示の入力を受け付け、指示内容に応じて所定の編集処理を行う(S201)。図12は、筆跡データ編集部5の詳細な処理内容を示すフロ−チャ−トである。筆跡データ編集部5は、まず編集対象が図形グループであるか否かを判定し(S211)、編集対象が図形グループであれば、更新前図形データ保持部9に更新前の内容を保存する(S212)。更新前図形データ保持部9に保持されたデータは、後に対応筆跡グループ更新部6により参照される。その後、筆跡データ編集部5は、操作者からの編集指示に応じて筆跡データ保持部3の内容の更新処理を行う(S213)。
【0071】
筆跡データ保持部3の更新処理の内容は既に公知の技術であるので、ここでの詳細な説明は省略する。
筆跡データ編集部5による処理の終了後、図11のフロ−チャ−トに戻って対応筆跡グループ更新部6の処理が行われる(S202)。図13は、対応筆跡グループ更新部6の詳細な処理内容を示すフロ−チャ−トである。
【0072】
まず、対応筆跡グループ更新部6は、編集モード保持部7を参照して、「更新モード」が「更新」に設定されているか否かを判定する(S301)。「更新モード」が「非更新」であるということは、筆跡データ編集部5による更新が行われた場合でも、対応付けられた文字グループ若しくは図形グループに対する更新を行う必要がないことを意味するので、対応筆跡グループ更新部6はそのまま処理を終了する(S301:No)。なお、「更新モード」の「非更新」の設定は、周囲の図形グループ又は文字グループとの関係で、直接編集指示を行った図形グループ又は文字グループ以外を更新しない方がよい場合等に有用である。
【0073】
「更新モード」が「更新」である場合には、対応筆跡グループ更新部6は、筆跡データ保持部3を参照して、筆跡データ編集部5による編集の対象が、図形グループであるか否かを判定する(S302)。
筆跡データ編集部5による編集の対象が図形グループである場合は、対応筆跡グループ更新部6は、筆跡データ保持部3を参照し、当該図形グループに対応付けられた文字グループが存在するか否かを判定する(S303)。対応付けられた文字グループが存在しない場合は、対応筆跡グループ更新部6はそのまま処理を終了する。対応付けられた文字グループが存在する場合は対応文字グループ更新処理を行う(S304)。図14は、対応文字グループ更新処理の内容を示すフロ−チャ−トである。
【0074】
対応文字グループ更新処理において、対応筆跡グループ更新部6は、まず、対応付けられている文字グループについての更新前の内容を更新前データ保持部8に保持する(S311)。さらに、筆跡データ編集部5による更新が行われた後の図形グループと、対応筆跡グループ更新部6による更新が行われる前の文字グループとから、当該図形グループからの文字グループのはみ出しが発生するか否かを判定する(S312)。前述の如く、筆跡データ保持部3には、文字グループ及び図形グループのそれぞれの外接矩形領域の原点の絶対座標及び外接矩形の幅と高さとが外接矩形情報として保持されているので、外接矩形間の位置関係からはみ出しが発生するか否かを判定する。
【0075】
図形グループがライン型でない場合であれば、より確実なはみ出しの判定のために、文字グループの外接矩形領域の周囲に若干余裕を持たせる(例えば、文字グループの外接矩形の周囲に、幅と高さのそれぞれ5%の値を付加して、図形グループの外接矩形との重なりを判定する)ことも可能である。
また、ライン型の図形グループの場合には、筆跡グループ対応部4で行った対応付け処理と同様の考え方に基づいて、座標軸への射影を用いてはみ出しを判定する。即ち、図形グループの射影から、文字グループの射影がはみ出した場合にはみ出しが発生したと判定する。
【0076】
なお、本実施の形態では、処理速度を優先して外接矩形同士の位置関係を調べる方法をとったが、より厳密なはみ出しの判定を行う必要がある場合には、筆跡データの外接矩形を用いて判定する方法や、ストロークを構成する点列のデータを用いて判定する方法を用いることも可能である。但し、はみ出し判定を厳密に行うと、それだけ判定に要する処理量は増大する。
【0077】
対応筆跡グループ更新部6は、文字のはみ出しが発生する場合には、はみ出し処理Aを行い(S313)、はみ出しが発生しない場合には、文字列形状決定処理Aを行う(S314)。以下、はみ出し処理Aと、文字列形状決定処理Aとの詳細な処理内容について、それぞれ説明する。
図15は、はみ出し処理Aの詳細な処理内容を示すフロ−チャ−トである。
【0078】
はみ出し処理Aにおいて、対応筆跡グループ更新部6は、まず、編集モード保持部7を参照して、「はみ出しモード」が「反映」に設定されているか否かを判定する(S321)。
ここで、「はみ出しモード」が「反映」であるということは、はみ出しが発生した場合に、筆跡データ編集部5による編集対象である図形グループ若しくは文字グループに、対応付けられた文字グループ若しくは図形グループの方を縮小若しくは拡大することにより、はみ出しがなくなるようにすることを意味する。一方、「はみ出しモード」が「適応」である場合には、筆跡データ編集部5による編集対象である図形グループ若しくは文字グループの方を、再度拡大若しくは縮小することにより、はみ出しがなくなるようにする。
【0079】
即ち、この例において「はみ出しモード」が「適応」である場合(S321:No)には、操作者の指示に基づき筆跡データ編集部5により編集された図形グループを再度拡大することによりはみ出しをなくすことになる(S322)。
「はみ出しモード」が「反映」である場合には、対応筆跡グループ更新部6は、筆跡データ編集部5による編集対象の図形グループがライン型であるか否かを判定する(S323)。
【0080】
筆跡データ編集部5による編集対象の図形グループがライン型である場合には、図形の縮小比と同じ縮小比で、対応付けられた文字グループも縮小する(S324)。ここで、図形の縮小比と同じ縮小比で縮小する(以下、このように筆跡データ編集部5による編集対象の拡大・縮小比と同じ拡大・縮小比で、対応付けられた文字グループ若しくは図形グループを拡大・縮小する編集を「相対位置型編集」と称する)方法について具体例を用いて説明する。
【0081】
例えば、図16(a)のように、横長のライン型の図形グループAと、文字グループBとが対応付けられているものとし、図形グループAの外接矩形aの幅をX、文字グループBの外接矩形bの幅をPとする。
ここで、操作者から、図形グループAの縮小指示がなされ、図16(b)に示す如く外接矩形bの幅がxとなったとすると、図形グループAの縮小比はx/Xとなる。
【0082】
このような場合に、相対位置型編集においては、編集後の文字グループBの幅pが以下に示す式(4)の関係を満たすように、文字グループBを縮小する(図16(c))。拡大の場合も同様に考えることができる。
p=P*x/X (4)
一方、ステップS323において、編集対象の図形グループがライン型の図形グループではないと判定された場合には、対応筆跡グループ更新部6は、編集モード保持部7を参照して「文字列対応モード」が「保存」に設定されているか否かを判定する(S325)。「文字列対応モード」が「保存」に設定されている場合には、文字グループの縦横比を保って文字グループの縮小を行うことによりはみ出しを解消する(S326)。ここで、縦横比とは、外接矩形の幅と高さとの比を意味する。即ち、対応筆跡グループ更新部6は、文字グループの外接矩形の幅と高さの比を保ったまま、はみ出しが無くなるまで文字グループを縮小する(以下、このように文字グループ若しくは図形グループの縦横比を保って拡大・縮小する編集を、「保存型編集」と称する)。
【0083】
ステップS325において、「文字列対応モード」が「保存」に設定されていない場合には、対応筆跡グループ更新部6は、「文字列対応モード」が「相対位置」に設定されているか否かを判定する(S327)。「文字列対応モード」が「相対位置」に設定されている場合には、編集対象がライン型の図形グループであった場合と同様に、相対位置型編集を行う(S328)。但しこの場合は、ライン型の図形グループの場合のように、外接矩形の幅(図形グループが縦長の場合には高さ)だけではなく、幅と高さとの両方について縮小比を算出する。以下、図形グループがライン型でない場合の相対位置型編集と、前述の保存型編集について、具体例を用いて説明する。
【0084】
例えば、図17(a)に示すように図形グループAと文字グループBとが対応付けられているものとし、図形グループAの外接矩形をa、文字グループBの外接矩形をbとする。外接矩形aの幅をX、高さをYとし、外接矩形bの幅をP、高さをQとする。
ここで、図17(b)に示すように、図形グループAの編集がなされ、外接矩形aの幅がx、高さがyになるように縮小されたとすると、相対位置型編集の場合は図17(c)に示すように、幅と高さのそれぞれについて、図形グループAの縮小比と同じ縮小比を用いて、対応付けられている文字グループBが縮小されることになる。即ち、縮小後の外接矩形bの幅をp、高さをqとすると、以下に示す式(5)を満たすように文字グループBの編集がなされる。
【0085】
p=P*x/X かつ q=Q*y/Y (5)
一方、保存型編集においては図17(c’)に示すように、文字グループの縦横比が保存される。即ち、更新前の外接矩形bの縦横比P/Qと更新後の外接矩形bの縦横比p’/q’が等しくなるように文字グループの縮小が行われる。なお、本実施の形態では、はみ出しが起きているか否かの判定を、外接矩形のはみ出しで判定しているため、外接矩形bの底辺と、外接矩形aの底辺とが重なり合う所まで、文字グループの縮小が行われている。
【0086】
ステップS327において、「文字列対応モード」が「相対位置」に設定されていない場合、即ち、「左上」、「センター」、「右下」の何れかに設定されていた場合には、以下のような処理を行う。即ち、原則として、相対位置型編集を行うが、幅の縮小率と高さの縮小率とが著しく異なる場合には、横書き若しくは縦書きとしての文字列の形状の保持を優先するため、幅の縮小率と高さの縮小率のうち、小さい方の縮小率を用いて縮小する(S329)。ここで、幅と高さの縮小率が著しく異なる場合とは、例えば図18に示すように、幅と高さの一方を極端に縮小した場合等である。図18の例であれば、図18(a)から、図18(b)への縮小においては、幅は同一(縮小率=1倍)であるが、高さが0.5倍に縮小されている。このような場合に、相対位置型編集を行うと、文字が平べったいものとなり、見づらくなってしまうため、文字グループの幅と高さの縮小率を、図形グループの幅と高さの縮小率の小さい方、即ち図18の例では0.5倍に合わせ、文字グループの幅と高さを共に0.5倍に縮小するようにしたものである(図18(c))。なお、図18(c)の例では、文字グループBが図形グループAから完全にはみ出してしまっているが、文字グループと図形グループとの位置関係については、後に位置再計算処理A(S315)において調整されることになる。
【0087】
なお、本実施の形態では、幅と高さの縮小率が著しく異なる場合として、幅の縮小率と、高さの縮小率の比が1.5倍以上の場合に設定した(図18の例では1/0.5=2倍となる)が、このしきい値は任意の設定が可能である。
次に、図14のフロ−チャ−トに戻って、文字列形状決定処理A(S314)の詳細な処理内容について説明する。
【0088】
図19は、文字列形状決定処理Aの詳細な処理内容を示すフロ−チャ−トである。文字列形状決定処理Aにおいては、対応筆跡グループ更新部6はまず、筆跡データ編集部5による編集対象の図形グループがライン型であるか否かを判定する(S340)。筆跡データ編集部5による編集対象がライン型の図形グループである場合は、前述の相対位置型編集を行う(S341)。はみ出し処理Aにおいて行った場合とは異なり、縮小だけではなく拡大の場合もあり得るが、拡大比率の算出方法等は、縮小の場合と同様に考えることができる。
【0089】
筆跡データ編集部5による編集対象がライン型の図形グループでない場合には、対応筆跡グループ更新部6は、編集モード保持部7を参照し、「文字列対応モード」が「保存」であるか否かを判定する(S342)。「文字列対応モード」が「保存」の場合には、文字グループの大きさを変更せず、そのまま文字列形状決定処理Aの処理を終了する。
【0090】
「文字列対応モード」が「保存」でない場合は、対応筆跡グループ更新部6は、「文字列対応モード」が「相対位置」であるか否かを判定する(S343)。「文字列対応モード」が「相対位置」であれば、前述の相対位置型編集を行う(S344)。この場合の相対位置型編集は、はみ出し処理Aで行った場合と異なり、縮小だけでなく拡大の場合も有り得るが、拡大倍率の計算方法等は縮小の場合と同様に考えることができる。なお、ステップS343において、「文字列対応モード」が「相対位置」でない場合、即ち、「文字列対応モード」が「左上」、「センター」、「右下」の場合は、以下のような処理を行う。即ち、原則として相対位置型編集を行うが、幅の変形率と高さの変形率とが著しく異なる場合には、横書き若しくは縦書きとしての文字列の形状の保持を優先するため、幅の変形率と高さの変形率のうち、小さい方の変形率を用いて拡大又は縮小する(S345)。ここで、変形率とは、拡大の場合は拡大率を表し、縮小の場合は縮小率を表す。即ち、縮小の場合の処理内容は、はみ出し処理AのステップS329と同じ処理となる。拡大の場合も考え方は同一である。即ち、幅が同一(拡大率=1倍)で高さのみ2倍に拡大されたような場合であれば、小さい方の拡大率が用いられるため、対応付けられた文字グループの拡大は行われないことになる。
【0091】
なお、本実施の形態では、幅と高さの変形率が著しく異なる場合として、幅の変形率と、高さの変形率の比が1.5倍以上である場合に設定したが、このしきい値は任意の設定が可能である。
はみ出し処理A又は文字列形状決定処理Aの終了後、対応筆跡グループ更新部6は、図14のフロ−チャ−トに戻って、位置再計算処理A(S315)を行う。図20は位置再計算処理Aの詳細な処理内容を示すフロ−チャ−トである。
【0092】
位置再計算処理Aにおいては、対応筆跡グループ更新部6は、まず、「領域対応モード」が「反映」か否かを判定する(S350)。「領域対応モード」が「反映」でない場合には、図形グループと文字グループとのそれぞれの外接矩形の原点間の相対位置を、筆跡データ編集部5による編集対象である図形グループの幅と高さの変形率で再計算する(S351)。
【0093】
具体的な例として、図17に示した例で、はみ出し処理Aを終了して、図21(a)(図17(c)に示したものと同一である)に示すような状態となっている図形グループAと文字グループBを用いて説明する。図21(a)の状態では、外接矩形aの原点Jと、外接矩形bの原点Kとの間の相対的な位置関係は、はみ出し処理Aを行う前、即ち図17(a)に示す状態と何ら変化していない。
【0094】
そこで、図形グループAの幅と高さの変形率に基づいて、外接矩形aの原点Jに対する外接矩形bの原点Qの相対位置を再計算する。即ち、位置再計算処理前の原点Jの座標を(X1,Y1)、原点Kの座標を(X2,Y2)とし、位置再計算処理後の原点K'の座標を(X3,Y3)とすると、以下の式(6)を満たすように座標(X3,Y3)を決定する。なお、x/X及びy/Yについては、図17で使用したものと同様の意味を持つものとする。
【0095】
x/X=(X3−X1)/(X2−X1) かつ y/Y=(Y3−Y1)/(Y2−Y1) (6)
一方、ステップS350で、「領域反映モード」が「反映」に設定されている場合、対応筆跡グループ更新部6は、筆跡データ編集部5による編集対象の図形グループがライン型であるか否かを判定する(S352)。
筆跡データ編集部5による編集対象が、ライン型の図形グループであれば、対応筆跡グループ更新部6は編集モード保持部7を参照し、「文字列対応モード」の設定に応じて、横長の図形グループであればX軸への射影を用い、縦長の図形グループであればY軸への射影を用いて文字グループの位置を決定する(S353)。例えば、図16(c)に示したようなライン型の図形グループAと文字グループBが対応付けられている場合であれば、「文字列対応モード」の設定に応じて、文字グループBの外接矩形bの左端のX座標を決定する。
【0096】
具体的には、例えば筆跡データ編集部5による更新の前の図形グループAの左端のX座標をX1、右端のX座標をX2、文字グループBの左端のX座標をX3、右端のX座標をX4とし、筆跡データ編集部5による更新後の図形グループAの左端のX座標をX5、右端のX座標をX6、対応筆跡グループ更新部6による更新後の文字グループBの左端のX座標をX7、右端のX座標をX8とすれば、まず、「文字列対応モード」が「保存」又は「相対位置」に設定されている場合には、以下の式(7)を満たすように座標X7を決定する。
【0097】
(X7−X5)/(X3−X1)=x/X (7)
「文字列対応モード」が「左上」に設定されている場合であれば、以下に示す式(8)を満たすように座標X7を決定する。ここで「文字列対応モード」が「左上」に設定されているとは、文字グループが横書きの文字グループである場合は図形グループに対して左寄せで配置し、文字グループが縦書きの文字グループである場合には、図形グループに対して上寄せで配置するように、位置を再計算することを意味する。
【0098】
X7=X5+x/10 (8)
上記式(8)に示されるように、本実施の形態では、左寄せの場合に、文字グループの外接矩形の左端が、図形グループの外接矩形の左端から、幅の1/10右側に来るように設定しているが、この1/10の値も任意の設定が可能であり、文字グループの外接矩形の左端と、図形グループの左端とを重ねるようにすることも可能である。また、文字グループの配置位置のY座標については、先に説明した、「領域対応モード」が「非対応」である場合(S351)に準じて決定する。
【0099】
また、「文字列対応モード」が「センター」であれば、センタリングを行うため、以下に示す式(9)を満たすように座標X7を決定する。
(X5+X6)/2=(X7+X8)/2 (9)
この場合も文字グループの配置位置のY座標については、「領域対応モード」が「非対応」である場合に準じて決定する。
【0100】
ステップS358において、「文字列対応モード」が「センター」に設定されていないと判定された場合には、「文字列対応モード」が「右下」に設定されていることを意味する。この場合には以下に示す式(10)を満たすように座標X8を決定する。ここで「文字列対応モード」が「右下」に設定されているとは、文字グループが横書きの文字グループである場合は図形グループに対して右寄せで配置し、文字グループが縦書きの文字グループである場合には、図形グループに対して下寄せで配置するように、位置を再計算することを意味する。
【0101】
X8=X6−x/10 (10)
上記式(10)に示されるように、本実施の形態では、右寄せの場合に、文字グループの外接矩形の右端が、図形グループの外接矩形の右端から、幅の1/10左側に来るように設定しているが、この1/10の値も任意の設定が可能であり、文字グループの外接矩形の右端と、図形グループの右端とを重ねるようにすることも可能である。また、この場合も、文字グループの配置位置のY座標については、先に説明した、「領域対応モード」が「非対応」である場合(S351)に準じて決定する。
【0102】
以上、筆跡データ編集部5による編集対象が、横長のライン型図形である場合について、対応付けられた文字グループの配置位置の計算方法を説明したが、縦長のライン型図形である場合も、X座標をY座標と置き換え、X軸をY軸と置き換えて考えることにより同様に位置の決定を行うことが可能である。筆跡データ編集部5による編集対象が縦長のライン型図形である場合の詳細な処理内容についての説明は省略する。
【0103】
一方、筆跡データ編集部5による編集対象がライン型の図形グループでなければ、次に「文字列対応モード」が「保存」又は「相対位置」に設定されているか否かを判定する(S354)。
「文字列対応モード」が「保存」又は「相対位置」に設定されている場合は、「領域対応モード」が「非対応」である場合(S351)と同様の処理を行う(S355)。
【0104】
「文字列対応モード」が「保存」にも「相対位置」にも設定されていない場合は、対応筆跡グループ更新部6は、次に「文字列対応モード」が「左上」に設定されているか否かを判定する(S356)。
文字列対応モードが「左上」に設定されていれば、文字グループが横書きなら左寄せで、縦書きなら上寄せで位置を計算する(S357)。具体的には、文字グループが横書きなら、文字グループの外接矩形を左右に移動させ、図形グループの外接矩形の左辺から、図形グループの幅の1/10だけ右側に文字グループの外接矩形の左辺が位置するように配置する。また、文字グループが縦書きなら、文字グループの外接矩形を上下に移動させ、図形グループの外接矩形の上辺から、図形グループの幅の1/10だけ下側に文字グループの外接矩形の上辺が位置するように配置する。なお、ここで、必ずしも1/10だけ右側又は下側に位置させる必要がないのは、筆跡データ編集部5による編集対象がライン型図形である場合と同様である。また、文字グループが横書きである場合の文字グループの配置位置のY座標の決定、及び文字グループが縦書きである場合の文字グループの配置位置のX座標の決定は、「領域対応モード」が「非対応」である場合(S351)に準じて行う。
【0105】
「文字列対応モード」が「左上」に設定されていなければ、対応筆跡グループ更新部6は、次に「文字列対応モード」が「センター」に設定されているか否かを判定する(S358)。「文字列対応モード」が「センター」に設定されていれば、センタリングを行うべく、図形グループ及び文字グループのそれぞれの外接矩形を用いてセンタリング位置を計算する(S359)。具体的には、文字グループの外接矩形が図形グループの外接矩形の中央に位置するように、文字グループの配置位置を算出する。
【0106】
ステップS358において、「文字列対応モード」が「センター」に設定されていなければ、「文字列対応モード」が「右下」に設定されている事を意味するので、文字グループが横書きなら右寄せで、縦書きなら下寄せで位置を計算する(S360)。計算方法については、「文字列対応モード」が「左上」である場合と同様に考えることができるので、ここでの詳細な説明は省略する。
【0107】
以上で、対応文字グループ更新処理を終了し、図13のフロ−チャ−トに戻って、隣接図形処理(S305)へと進む。
図22は、隣接図形処理の詳細な処理内容を示すフロ−チャ−トである。隣接図形処理とは、筆跡データ編集部5又は対応筆跡グループ更新部6により、図形グループが更新された結果、当該図形グループと、当該図形グループに隣接する図形グループとの交差関係が変化した場合に、当該二つの図形グループの間の交差関係を元に戻すべく、隣接する図形グループの更新を行う処理である。ここで、交差関係とは、二つの図形グループが交差しているか、接触しているか、若しくは分離しているかという位置関係を表すものとする。例えば、図23に示す例では、図23(a)に示される当初の図形グループAと図形グループCとの交差関係は「接触」である。しかし、図形グループAを拡大することにより、図23(b)に示す如く両者の交差関係が「交差」に変化している。隣接図形処理とは、このように図形グループ間の交差関係が変化した場合に、再び図形グループAと図形グループCとの間の交差関係を「接触」に戻すべく図形グループCを更新して、図23(c)に示すような状態にする処理である。
【0108】
隣接図形処理において、対応筆跡グループ更新部6は、まず、これまでに更新された図形グループ(筆跡データ編集部5により更新されたものと、対応筆跡グループ更新部6により更新されたものとを含む)と、当該図形グループに隣接する図形グループとの交差関係が変化するか否かを判定する(S370)。図23の例を用いて具体的に説明すると、更新前図形データ保持部9に保持されている筆跡データ編集部5による更新の前の図形グループAの外接矩形aの座標と、筆跡データ編集部5による更新の後の図形グループAの外接矩形aの座標と、対応筆跡グループ更新部6による更新の前の図形グループCの外接矩形cの座標とから、両者の交差関係が変化したか否かを判定する。
【0109】
交差関係については、両者の外接矩形を用いて判定する。即ち、図形グループAの外接矩形の下辺と、図形グループCの外接矩形の上辺の座標等の比較を順次行うことにより、両者の交差関係が「交差」、「接触」、「分離」の何れであるかを、更新前後において判定し、交差関係の変化を検知する。なお、更新の前後に渡って、位置的に離れている図形グループについては交差関係の判定を行わないようにすることで処理量の軽減を図っている。
【0110】
両者の交差関係が変化しない場合は、隣接図形処理をそのまま終了する(S370:No)。変化する場合は、対応筆跡グループ更新部6は、編集モード保持部7を参照して「隣接図形モード」が「反映」に設定されているか否かを判定する(S371)。
「隣接図形モード」が「非対応」に設定されている場合は、隣接する図形グループに対する更新処理を行う必要がないことを意味しているので、隣接図形処理をそのまま終了する(S371:No)。「隣接図形モード」が「反映」に設定されている場合は、対応筆跡グループ更新部6は、隣接する図形グループを更新前データ保持部8に格納する(S372)。次に対応筆跡グループ更新部6は、筆跡データ編集部5による編集前の両者の交差関係が「接触」であったか否かを判定する(S373)。筆跡データ編集部5による編集前の交差関係が「接触」であった場合には、両者の交差関係が「接触」に戻るまで隣接する図形グループを拡大・縮小する(S374)。
【0111】
筆跡データ編集部5による編集前の交差関係が「接触」でない場合は、編集前の両者の交差関係が「交差」であったか否かを判定する(S375)。編集前の交差関係が「交差」であった場合は、交差関係が「交差」に戻るまで隣接する図形グループを拡大する(S376)。
ステップS375において編集前の交差関係が「交差」でないと判定された場合は、編集前の交差関係が「分離」であったことを意味するので、交差関係が「分離」に戻るまで隣接する図形グループを縮小する(S377)。
【0112】
以上に説明したような隣接図形処理を行った後、ステップS378で、上記処理を行った隣接図形グループ以外に交差関係の変化した隣接図形グループが存在するか否かを検索する。交差関係が変化した隣接図形グループで、未処理のものが存在しなければ隣接図形処理を終了し(S378:No)、存在すればステップS372へと戻る。隣接図形処理の終了をもって、対応筆跡グループ更新部6の処理は終了する。
【0113】
以上、筆跡データ編集部5による編集の対象が図形グループである場合について説明したが、次にステップS302において、筆跡データ編集部5による編集の対象が文字グループであると判定された場合の対応筆跡グループ更新部6の処理内容について説明する。
筆跡データ編集部5による編集対象が文字グループである場合には、対応筆跡グループ更新部6は、筆跡データ編集部5による編集対象である文字グループに対応付けられた図形グループが存在するか否かを判定する(S306)。対応付けられた図形グループが存在しない場合は、対応筆跡グループ更新部6はそのまま処理を終了する(S306:No)。対応付けられた図形グループが存在する場合は、対応筆跡グループ更新部6は、対応図形グループ更新処理を行う(S307)。以下、対応図形グループ更新処理の詳細な処理内容について説明するが、対応図形グループ更新処理は、対応文字グループ更新処理と似通った部分を多く含んでいるので、以下、異なる部分を中心にして説明を行う。図24は、対応図形グループ更新処理の詳細な処理内容を示すフロ−チャ−トである。
【0114】
対応図形グループ更新処理においては、まず、対応筆跡グループ更新部6が、更新前の図形グループを更新前データ保持部8に保持し(S411)、筆跡データ編集部5による更新後の文字グループと、対応筆跡グループ更新部6による更新前の図形グループとから、文字のはみ出しが発生するか否かを判定する(S412)。文字のはみ出しが発生する場合にははみ出し処理Bを行い(S413)、はみ出しが発生しない場合には文字列形状決定処理Bを行う(S414)。はみ出しの有無の判定方法は、対応文字グループ更新処理と同様である。以下、はみ出し処理Bと、文字列形状決定処理Bとの詳細な処理内容について、それぞれ説明する。
【0115】
図25は、はみ出し処理Bの詳細な処理内容を示すフロ−チャ−トである。
はみ出し処理Bにおいて、対応筆跡グループ更新部6は、まず、編集モード保持部7を参照して、「はみ出しモード」が「反映」に設定されているか否かを判定する(S421)。
「はみ出しモード」が「適応」である場合(S421:No)には、筆跡データ編集部5により更新された文字グループを再度縮小することによりはみ出しを解消する(S422)。
【0116】
「はみ出しモード」が「反映」である場合には、対応筆跡グループ更新部6は、筆跡データ編集部5による編集対象である文字グループに対応付けられた図形グループがライン型であるか否かを判定する(S423)。
対応付けられた図形グループがライン型である場合には、文字の拡大比と同じ拡大比で、対応付けられた図形グループも拡大する(S424)。即ち、相対位置型編集を行う。
【0117】
一方、ステップS423において、対応付けられた図形グループがライン型の図形グループではない場合には、対応筆跡グループ更新部6は、編集モード保持部7を参照して「文字列対応モード」が「保存」に設定されているか否かを判定する(S425)。「文字列対応モード」が「保存」に設定されていた場合には、図形グループの縦横比を保って図形グループの拡大を行う(S426)。即ち保存型編集を行う。
【0118】
ステップS425において、「文字列対応モード」が「保存」に設定されていない場合には、対応筆跡グループ更新部6は相対位置型編集を行う(S421)。この場合には、はみ出し処理Aと異なり、文字列の形状の保持を考慮する必要がないため、幅の縮小率と高さの縮小率とが著しく異なる場合の処理は行わない。
【0119】
次に文字列形状決定処理Bの詳細な処理内容について説明する。
図27は、文字列形状決定処理Bの詳細な処理内容を示すフロ−チャ−トである。文字列形状決定処理Bにおいては、対応筆跡グループ更新部6はまず、筆跡データ編集部5による編集対象である文字グループに対応付けられた図形グループがライン型であるか否かを判定する(S430)。対応付けられた図形グループがライン型である場合は、相対位置型編集を行う(S431)。
【0120】
筆跡データ編集部5による編集対象がライン型の図形グループでない場合には、対応筆跡グループ更新部6は、編集モード保持部7を参照し、「文字列対応モード」が「保存」に設定されているか否かを判定する(S432)。「文字列対応モード」が「保存」の場合には、図形グループの縦横比を保って図形グループの拡大を行う(S433)。即ち保存型編集を行う。
【0121】
「文字列対応モード」が「保存」でない場合は、対応筆跡グループ更新部6は相対位置型編集を行う(S431)。文字列の形状の保持を考慮する必要がないため、幅の縮小率と高さの縮小率とが著しく異なる場合の処理を行わないのは、はみ出し処理Bと同様である。
はみ出し処理B又は文字列形状決定処理Bの終了後、対応筆跡グループ更新部6は、位置再計算処理Bを行う。図27は位置再計算処理Bの詳細な処理内容を示すフロ−チャ−トである。
【0122】
位置再計算処理Bにおいては、対応筆跡グループ更新部6は、まず、編集モード保持部7を参照して「領域対応モード」が「反映」に設定されているか否かを判定する(S440)。「領域対応モード」が「反映」でない場合には、図形グループと、文字グループのそれぞれの外接矩形の原点間の相対位置を、文字グループの幅と高さの変形率で再計算する(S441)。
【0123】
ステップS440で、「領域反映モード」が「反映」であった場合、対応筆跡グループ更新部6は、筆跡データ編集部5による編集対象である文字グループに対応付けられている図形グループがライン型であるか否かを判定する(S442)。
ライン型の図形グループであれば、編集モード保持部7を参照し、「文字列対応モード」の設定に応じて、横長の図形グループであればX軸への射影を用い、縦長の図形グループであればY軸への射影を用いて図形グループの配置位置を決定する(S443)。配置位置の決定方法については、対応文字グループ更新処理と同様であるので、ここでの詳細な説明は省略する。
【0124】
一方、対応付けられた図形グループがライン型でなければ、対応筆跡グループ更新部6は、編集モード保持部7を参照して、「文字列対応モード」が「保存」又は「相対位置」に設定されているか否かを判定する(S444)。
「文字列対応モード」が「保存」又は「相対位置」に設定されていれば、「領域対応モード」が「非対応」である場合(S441)と同様の処理を行う(S445)。
【0125】
「文字列対応モード」が「保存」にも「相対位置」にも設定されていない場合は、対応筆跡グループ更新部6は、次に、「文字列対応モード」が「左上」に設定されているか否かを判定する(S446)。
「文字列対応モード」が「左上」に設定されていれば、文字グループが横書きなら左寄せで、縦書きなら上寄せになるように図形グループの位置を計算する(S447)。具体的な処理方法は、位置再計算処理Aにおいて用いた方法と同一であるので、ここでの詳細な説明は省略する。
【0126】
ステップS446において、「文字列対応モード」が「左上」に設定されていなければ、対応筆跡グループ更新部6は、次に、「文字列対応モード」が「センター」に設定されているか否かを判定する(S448)。「文字列対応モード」が「センター」に設定されていれば、外接矩形を用いてセンタリング位置を計算する(S449)。具体的な処理方法は、位置再計算処理Aで用いた方法と同一であるので、ここでの詳しい説明は省略する。
【0127】
ステップS448において、「文字列対応モード」が「センター」に設定されていなければ、「文字列対応モード」が「右下」に設定されている事を意味するので、文字グループが横書きなら右寄せで、縦書きなら下寄せで位置を計算する(S450)。具体的な処理方法についての詳細な説明は省略する。
以上で、対応図形グループ更新処理を終了し、図11のフロ−チャ−トに戻って、隣接図形処理(S305)へと進む。隣接図形処理の処理内容は、編集対象が文字グループである場合も、編集対象が図形グループである場合と同様であるのでここでの詳細な説明は省略する。
【0128】
以上のように対応筆跡グループ更新部6の処理を終了すると、図10のフロ−チャ−トに戻って、筆跡データ編集部5が、更新後のデータの表示を行う(S203)。ここで操作者は、対応筆跡グループ更新部6によって更新された図形グループ若しくは文字グループの更新内容が不適切であった場合等に、更新取消ボタンを押すことで、対応筆跡グループ更新部6による自動更新を取り消すことができる。即ち、手書きデータ編集装置は、ステップS204において、更新取消ボタンが押されたか否かを判定し、更新取消ボタンが押された場合には、対応筆跡グループ更新部6による編集を取り消すべく、更新前データ保持部8に格納されている編集前のデータを復帰させて(S205)、編集処理を終了する。
【0129】
ステップS204において更新取消ボタンが押されなかったときは、そのまま編集処理を終了する。なお、更新取消ボタンが押されたときでも、操作者によって編集を指示され、筆跡データ編集部5により更新された図形グループ若しくは文字グループの内容は、そのまま有効となる。
以上のような処理を行うことにより、例えばフロ−チャ−ト等のように、文字データと図形データとが混在し、しかも両者が一体となって意味を持つような性質を有する文書において、図形データ若しくは文字データのみを編集した場合に、編集されたデータに対応付けられた図形データ又は文字データの編集を自動的に行うことが可能となり、編集作業の負担を軽減することができる。
【0130】
なお、本実施の形態では、文字グループと図形グループとを1対1で対応付けているため、例えば筆跡データ編集部5による図形グループの更新に伴って、複数の文字グループを更新するということは行っていないが、文字グループ及び図形グループのデータ構造を変更し、1対多の対応付けを可能とすることにより、上記のような更新を実現することも可能である。
【0131】
また、本実施の形態では、文字グループ内に図形グループを包含するような場合には、両者の対応付けを行っていないため、文字グループ内に存する図形グループを編集した場合に、当該図形グループを包含する文字グループを更新することは行っていないが、対応付け手段の処理内容を追加することにより、上記のような更新を実現することも可能である。
【0132】
また、本実施の形態では、隣接する文字グループについては、対応筆跡グループ更新部6による更新を行っていないが、対応筆跡グループ更新部6の処理内容を追加することにより、隣接する文字グループについても更新を行うようにすることは容易に実現できる。
さらに、本実施の形態では、筆跡グループ分類部2による処理において、毎回全ての筆跡データの分類を行っているが、未処理の筆跡データについてのみ処理を行うようにすることも可能である。
【0133】
また、筆跡グループ対応部4による対応付け処理においても、毎回全ての図形グループについて行うようになっているが、当該対応付け処理においても、新規に入力された図形グループについてのみ行うようにすることも可能である。
また、前述のとおり、図1の各ブロックの機能、図4、図6、図7の記憶内容及び図5、図8等のフロ−チャ−トに示される処理は、プログラム等からなるソフトウェアをCPU、メモリ等から構成されるコンピュータシステムで実行することにより実現される。このソフトウェアは、フロッピーディスク、光ディスク等の記録媒体や、ネットワーク等の伝送媒体を介してソフトウェア市場を流通し、パッケージソフトウェアや、ダウンロード用プログラムとして取り引きの客体となり得る。
【0134】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明に係る手書きデータ編集装置は、手書きの描画軌跡から筆跡データを抽出し、抽出された筆跡データを編集する手書きデータ編集装置であって、筆跡データを、文字を構成する筆跡データを示す文字グループと、図形を構成する筆跡データを示す図形グループとに分類する分類手段と、文字グループと図形グループとの位置関係が所定の条件を満たす場合に、両者を対応付けることにより組にする対応付け手段と、前記組に含まれる文字グループと図形グループのうち、操作者によって指定されたグループについて、操作者の指示に基づき視覚的な変更を加える第1の変更手段と、前記第1の変更手段により前記何れかのグループに変更が加えられた場合に、当該組に含まれる文字グループと図形グループとの少なくとも一つについて、所定の規則に基づいて位置と大きさとの少なくとも一方を変更する第2の変更手段とを備える。
【0135】
分類手段は、筆跡データを、文字を構成する文字グループと、図形を構成する図形グループとに分類し、対応付け手段は、文字グループと図形グループとの位置関係が所定の条件を満たす場合に、両者を対応付けることにより組にし、第1の変更手段が、前記組に含まれる文字グループと図形グループのうち、操作者によって指定されたグループについて、操作者の指示に基づき視覚的な変更を加えた場合に、第2の変更手段が、当該組に含まれる文字グループと図形グループとの少なくとも一つについて、所定の規則に基づいて位置と大きさとの少なくとも一方を変更する。
【0136】
以上のような構成をとることにより、例えばフロ−チャ−ト等のように、文字と図形とが混在し、しかも両者が一体となって意味を持つような性格を有する手書きデータの編集において、文字と図形との配置等に余計な手間をかけることなく編集作業を行うことができるという効果を奏する。
また、前記対応付け手段は、文字グループの外接矩形と図形グループの外接矩形とが重なる領域の面積と、当該文字グループの外接矩形の面積との比が、第1の所定の割合を超える場合に両者を対応付けることにより組にすることが可能である。
【0137】
前記対応付け手段が、文字グループと図形グループとの位置関係を解析し、自動的に対応付け処理を行うことにより、操作者による対応付け処理が不要となり、編集作業が簡略化されるという効果がある。
また、前記対応付け手段は、図形グループの幅と高さの何れか一方が、第1の所定のしきい値より短いか否かを判定する図形形状判定部と、前記図形形状判定部により、短いと判定された場合に、図形グループの外接矩形と文字グループの外接矩形との間隔が、第2の所定のしきい値以下であるか否かを判定する間隔判定部と、前記間隔判定部により、第2のしきい値以下であると判定された場合に、当該図形グループの幅と高さの長い方の座標軸への射影と、当該文字グループにおいて対応する幅又は高さの座標軸への射影とが重なる範囲の長さを算出する重複範囲長算出部とを有し、前記重複範囲長算出部により算出された長さと、前記文字グループにおいて対応する幅又は高さの座標軸への射影の長さとの比が、第2の所定の割合を超える場合に両者を対応付けることにより組にすることも可能である。
【0138】
図形形状判定部は、図形グループが、例えばアンダーラインのようなライン型のものであるか否かを判定し、間隔判定部が、図形グループがライン型である場合に、文字グループの外接矩形と、図形グループの外接矩形との間隔が第2の所定のしきい値以下であるか否かを判定し、重複範囲長算出部は、前記間隔判定部により両者の間隔が所定の第2のしきい値以下であると判定された場合に、当該図形グループの幅と高さの長い方の座標軸への射影と、当該文字グループにおいて対応する幅又は高さの座標軸への射影とが重なる範囲の長さを算出し、第2の変更手段が、前記重複範囲長算出部により算出された長さと、前記文字グループにおいて対応する幅又は高さの座標軸への射影の長さとの比が、第2の所定の割合を超える場合に両者を対応付けることにより組にすることで、ライン型の図形グループの近傍に存在する文字グループについても、図形グループとの対応付けを自動的に行うことができるため、ライン型の図形グループ及びその近傍に存在する文字グループの編集が簡略化されるという効果がある。
【0139】
また、前記対応付け手段はさらに、操作者の指示に基づき、対応付けられていない文字グループと図形グループとを対応付けることにより組にし、及び既に対応付けられている文字グループと図形グループとの対応付けを解除することもできる。
このような機能を有することにより、自動的に行われた図形グループと文字グループとの対応付けが期せずして適切ではなかったというような場合にも、対処することが可能になるという効果がある。
【0140】
また、前記第2の変更手段は、前記第1の変更手段による変更の後に、図形グループから文字グループのはみ出しが発生しているか否かを判定するはみ出し判定部を有し、前記はみ出し判定部によりはみ出しが発生したと判定された場合に、当該はみ出しを解消すべく、当該組に含まれる文字グループと図形グループとの少なくとも一つについて位置と大きさの少なくとも一方を変更することができる。
【0141】
はみ出し判定部が、図形グループからの文字グループのはみ出しが発生しているか否かを判定し、はみ出しが発生した場合に、第2の変更手段が自動的にはみ出しを解消することにより、図形グループ又は文字グループの変更により、文字グループが図形グループからはみ出してしまった場合に、操作者が編集作業を行うことなく、はみ出しを解消することができるという効果を奏する。
【0142】
また、前記第2の変更手段は、前記第1の変更手段により変更された図形グループ又は文字グループの拡大率又は縮小率を算出する変形率算出部を有し、算出された拡大率又は縮小率と同一の拡大率又は縮小率を用いて、前記組に含まれる図形グループ又は文字グループのうち第1の変更手段により変更されなかった方を拡大又は縮小するとともに、当該拡大率又は縮小率に基づいて前記第1の変更手段により変更されなかった方の位置を変更することが可能である。
【0143】
変形率算出部が、第1の変更手段による変更における図形グループ又は文字グループの拡大率又は縮小率を算出し、第2の変更手段が、算出された拡大率又は縮小率と同一の拡大率又は縮小率を用いて、前記組に含まれる図形グループ又は文字グループのうち第1の変更手段により変更されなかった方を拡大又は縮小するとともに、当該拡大率又は縮小率に基づいて前記第1の変更手段により変更されなかった方の位置を変更することにより、例えばフロ−チャ−トのような手書きデータの編集において、操作者が図形グループ又は文字グループを編集した場合に、近傍に存する文字グループ又は図形グループの編集が、適切な拡大率又は縮小率で自動的に行われるため、操作者が位置合わせ、サイズ調整を行う必要がなくなり、編集作業に要する手間を軽減することができるという効果がある。
【0144】
また、前記第2の変更手段は、変更後における図形グループに対する文字グループの位置を、左寄せとするか、右寄せとするか、センタリングするかを指示する横書き文字位置指示部を有し、前記第1の変更手段により、前記組に含まれる図形グループと文字グループとの何れか一方が変更され、かつ、前記組に含まれる文字グループが横書きである場合に、前記横書き文字位置指示部の指示する位置関係を実現すべく、前記組に含まれる図形グループ又は文字グループのうち第1の変更手段により変更されなかった方に変更を加えることが可能である。
【0145】
横書き文字位置指示部が、変更後における図形グループに対する文字グループの位置を、左寄せとするか、右寄せとするか、センタリングするかを指示し、第2の変更手段が、第1の変更手段により前記組に含まれる図形グループと文字グループとの何れか一方が変更され、かつ、前記組に含まれる文字グループが横書きである場合に、前記横書き文字位置指示部の指示する位置関係を実現すべく、前記組に含まれる図形グループ又は文字グループのうち第1の変更手段により変更されなかった方に変更を加えることにより、編集作業において操作者が位置合わせに要する手間を軽減することができるという効果を奏する。
【0146】
また、前記第2の変更手段は、変更後における図形グループに対する文字グループの位置を、上寄せとするか、下寄せとするか、センタリングするかを指示する縦書き文字位置指示部を有し、前記第1の変更手段により、前記組に含まれる図形グループと文字グループとの何れか一方が変更され、かつ、前記組に含まれる文字グループが縦書きである場合に、前記縦書き文字位置指示部の指示する位置関係を実現すべく、前記組に含まれる図形グループ又は文字グループのうち第1の変更手段により変更されなかった方に変更を加えることが可能である。
【0147】
縦書き文字位置指示部が、変更後における図形グループに対する文字グループの位置を、上寄せとするか、下寄せとするか、センタリングするかを指示し、第2の変更手段が、第1の変更手段により前記組に含まれる図形グループと文字グループとの何れか一方が変更され、かつ、前記組に含まれる文字グループが縦書きである場合に、前記縦書き文字位置指示部の指示する位置関係を実現すべく、前記組に含まれる図形グループ又は文字グループのうち第1の変更手段により変更されなかった方に変更を加えることにより、編集作業において操作者が位置合わせに要する手間を軽減することができるという効果を奏する。
【0148】
また、前記第2の変更手段はさらに、前記第1の変更手段又は前記第2の変更手段により図形グループが変更された場合に、当該図形グループと、当該図形グループに隣接する図形グループとの間の交差関係の変化を検知する交差関係検知手段を備え、前記交差関係検知手段により交差関係の変化が検知された場合に、当該交差関係を変化する前の交差関係に戻すように前記隣接する図形グループを変更することもできる。
【0149】
交差関係検知手段は、第1の変更手段又は第2の変更手段により図形グループが変更された場合に、当該図形グループと、当該図形グループに隣接する図形グループとの間の交差関係の変化を検知し、交差関係の変化が検知された場合に、第2の変更手段が、当該交差関係を変化する前の交差関係に戻すように前記隣接する図形グループを変更することにより、例えばフロ−チャ−ト等のように一つの図形グループを編集することにより、隣接する他の図形グループの編集が必要となるような文書の編集において、操作者が編集作業に要する手間を軽減することができるという効果がある。
【0150】
また、前記第2の変更手段はさらに、前記第1の変更手段による変更がなされた場合に、第2の変更手段による変更を行うか否かを指示する変更指示手段を備え、前記変更指示手段により、第2の変更手段による変更を行わない旨の指示がなされた場合には、第1の変更手段による変更が行われた場合でも第2の変更手段による変更を行わないようにすることも可能である。
【0151】
変更指示手段が、第2の変更手段による変更を行わない旨の指示を行った場合に、第2の変更手段による変更を行わないようにすることにより、文書の内容や、図形グループと文字グループとの位置関係等に起因する理由により、操作者が指定した図形グループ又は文字グループ以外の図形グループ又は文字グループを変更したくない場合にも容易に対処できるという効果がある。
【0152】
また、前記手書きデータ編集装置はさらに、前記第2の変更手段による変更が行われる場合に、当該変更により変更される文字グループ又は図形グループについて、当該変更が行われる前の状態を保持する変更前データ保持手段と、操作者からの、前記第2の変更手段による変更を無効にする旨の指示を受け付ける変更取消受付手段とを備え、前記第2の変更手段は、前記変更取消受付手段が、前記第2の変更手段による変更を無効にする旨の指示を受け付けた場合に、当該変更により変更された文字グループ又は図形グループを、前記変更前データ保持手段が保持する状態に復帰させることも可能である。
【0153】
変更前データ保持手段は、前記第2の変更手段による変更が行われる場合に、当該変更により変更される文字グループ又は図形グループについて、当該変更が行われる前の状態を保持し、変更取消受付手段が、操作者からの、前記第2の変更手段による変更を無効にする旨の指示を受け付けた場合に、第2の変更手段が、変更された文字グループ又は図形グループを、前記変更前データ保持手段が保持する状態に復帰させることにより、期せずして第2の変更手段による自動変更の結果が意に反するものであったような場合に、第2の変更手段により変更された図形グループ又は文字グループを、容易に元の状態に復帰させることができるという効果を奏する。
【0154】
また、手書きの描画軌跡から筆跡データを抽出し、抽出された筆跡データを編集する手書きデータ編集装置における手書きデータ編集方法であって、抽出された筆跡データを、文字を構成する筆跡データを示す文字グループと、図形を構成する筆跡データを示す図形グループとに分類する分類ステップと、前記分類ステップにおいて分類された文字グループと図形グループとの位置関係が所定の条件を満たす場合に、両者を対応付けることにより組にする対応付けステップと、前記組に含まれる図形グループと文字グループのうち、操作者によって指定されたグループについて、操作者の指示に基づき視覚的な変更を加える第1の変更ステップと、前記第1の変更ステップにおいて、前記何れかのグループに変更が加えられた場合に、当該組に含まれる文字グループと図形グループとの少なくとも一つについて、位置と大きさとの少なくとも一方を変更する第2の変更ステップとを有することを特徴とする手書きデータ編集方法を用いることが可能である。
【0155】
以上のような方法によっても、例えばフロ−チャ−ト等のように、文字と図形とが混在し、しかも両者が一体となって意味を持つような性格を有する手書きデータの編集において、文字と図形との配置等に余計な手間をかけることなく編集作業を行うことができるという効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る手書きデータ編集装置の構成を示すブロック図である。
【図2】編集モード保持部に保持される編集モードを指定するための画面の一例を示す図である。
【図3】手書きデータを入力してから、文字と図形の対応付けを行うまでの手書きデータ編集装置の処理内容を示すフロ−チャ−トである。
【図4】筆跡データのデータ構造を説明するための図である。
【図5】筆跡グループ分類部の処理内容を示すフロ−チャ−トである。
【図6】文字グループのデータ構造を示す図である。
【図7】図形グループのデータ構造を示す図である。
【図8】筆跡グループ対応部の処理内容を示すフロ−チャ−トである。
【図9】文字グループと図形グループとの対応付けについて説明するための図である。
【図10】文字グループとライン型の図形グループとの対応付けについて説明するための図である。
【図11】操作者から編集指示がなされた場合の手書きデータ編集装置の処理内容を示すフロ−チャ−トである。
【図12】筆跡データ編集部の処理内容を示すフロ−チャ−トである。
【図13】対応筆跡グループ更新部の処理内容を示すフロ−チャ−トである。
【図14】対応文字グループ更新処理の詳細な処理内容を示すフロ−チャ−トである。
【図15】はみ出し処理Aの詳細な処理内容を示すフロ−チャ−トである。
【図16】はみ出し処理Aの処理内容を説明するための図である。
【図17】はみ出し処理Aの処理内容を説明するための図である。
【図18】はみ出し処理Aの処理内容を説明するための図である。
【図19】文字列形状決定処理Aの詳細な処理内容を示すフロ−チャ−トである。
【図20】位置再計算処理Aの詳細な処理内容を示すフロ−チャ−トである。
【図21】位置再計算処理Aの処理内容を説明するための図である。
【図22】隣接図形処理の詳細な処理内容を示すフロ−チャ−トである。
【図23】隣接図形との交差関係について説明するための図である。
【図24】対応図形グループ更新処理の詳細な処理内容を示すフロ−チャ−トである。
【図25】はみ出し処理Bの詳細な処理内容を示すフロ−チャ−トである。
【図26】文字列形状決定処理Bの詳細な処理内容を示すフロ−チャ−トである。
【図27】位置再計算処理Bの詳細な処理内容を示すフロ−チャ−トである。
【図28】従来の手書きデータ編集装置の構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
1 筆跡データ抽出部
2 筆跡グループ分類部
3 筆跡データ保持部
4 筆跡グループ対応部
5 筆跡データ編集部
6 対応筆跡グループ更新部
7 編集モード保持部
8 更新前データ保持部
9 更新前図形データ保持部
11 筆跡データ入力部
12 指示入力部
13 表示部

Claims (12)

  1. 手書きの描画軌跡から筆跡データを抽出し、抽出された筆跡データを編集する手書きデータ編集装置であって、
    筆跡データを、文字を構成する筆跡データを示す文字グループと、図形を構成する筆跡データを示す図形グループとに分類する分類手段と、
    文字グループと図形グループとの位置関係が所定の条件を満たす場合に、両者を対応付けることにより組にする対応付け手段と、
    前記組に含まれる文字グループと図形グループのうち、操作者によって指定されたグループについて、操作者の指示に基づき視覚的な変更を加える第1の変更手段と、
    前記第1の変更手段により前記何れかのグループに変更が加えられた場合に、当該組に含まれる文字グループと図形グループとの少なくとも一つについて、所定の規則に基づいて位置と大きさとの少なくとも一方を変更する第2の変更手段と
    を備えることを特徴とする手書きデータ編集装置。
  2. 前記対応付け手段は、
    文字グループの外接矩形と図形グループの外接矩形とが重なる領域の面積と、当該文字グループの外接矩形の面積との比が、第1の所定の割合を超える場合に両者を対応付けることにより組にする
    ことを特徴とする請求項1記載の手書きデータ編集装置。
  3. 前記対応付け手段は、
    図形グループの幅と高さの何れか一方が、第1の所定のしきい値より短いか否かを判定する図形形状判定部と、
    前記図形形状判定部により、短いと判定された場合に、図形グループの外接矩形と文字グループの外接矩形との間隔が、第2の所定のしきい値以下であるか否かを判定する間隔判定部と、
    前記間隔判定部により、第2のしきい値以下であると判定された場合に、当該図形グループの幅と高さの長い方の座標軸への射影と、当該文字グループにおいて対応する幅又は高さの座標軸への射影とが重なる範囲の長さを算出する重複範囲長算出部とを有し、
    前記重複範囲長算出部により算出された長さと、前記文字グループにおいて対応する幅又は高さの座標軸への射影の長さとの比が、第2の所定の割合を超える場合に両者を対応付けることにより組にする
    ことを特徴とする請求項1又は2記載の手書きデータ編集装置。
  4. 前記対応付け手段はさらに、
    操作者の指示に基づき、対応付けられていない文字グループと図形グループとを対応付けることにより組にし、及び既に対応付けられている文字グループと図形グループとの対応付けを解除する
    ことを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の手書きデータ編集装置。
  5. 前記第2の変更手段は、
    前記第1の変更手段による変更の後に、図形グループから文字グループのはみ出しが発生しているか否かを判定するはみ出し判定部を有し、
    前記はみ出し判定部によりはみ出しが発生したと判定された場合に、当該はみ出しを解消すべく、当該組に含まれる文字グループと図形グループとの少なくとも一つについて位置と大きさの少なくとも一方を変更する
    ことを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の手書きデータ編集装置。
  6. 前記第2の変更手段は、
    前記第1の変更手段により変更された図形グループ又は文字グループの拡大率又は縮小率を算出する変形率算出部を有し、
    算出された拡大率又は縮小率と同一の拡大率又は縮小率を用いて、前記組に含まれる図形グループ又は文字グループのうち第1の変更手段により変更されなかった方を拡大又は縮小するとともに、当該拡大率又は縮小率に基づいて前記第1の変更手段により変更されなかった方の位置を変更する
    ことを特徴とする請求項1乃至5の何れかに記載の手書きデータ編集装置。
  7. 前記第2の変更手段は、
    変更後における図形グループに対する文字グループの位置を、左寄せとするか、右寄せとするか、センタリングするかを指示する横書き文字位置指示部を有し、
    前記第1の変更手段により、前記組に含まれる図形グループと文字グループとの何れか一方が変更され、かつ、前記組に含まれる文字グループが横書きである場合に、前記横書き文字位置指示部の指示する位置関係を実現すべく、前記組に含まれる図形グループ又は文字グループのうち第1の変更手段により変更されなかった方に変更を加える
    ことを特徴とする請求項1乃至6の何れかに記載の手書きデータ編集装置。
  8. 前記第2の変更手段は、
    変更後における図形グループに対する文字グループの位置を、上寄せとするか、下寄せとするか、センタリングするかを指示する縦書き文字位置指示部を有し、
    前記第1の変更手段により、前記組に含まれる図形グループと文字グループとの何れか一方が変更され、かつ、前記組に含まれる文字グループが縦書きである場合に、前記縦書き文字位置指示部の指示する位置関係を実現すべく、前記組に含まれる図形グループ又は文字グループのうち第1の変更手段により変更されなかった方に変更を加える
    ことを特徴とする請求項1乃至7の何れかに記載の手書きデータ編集装置。
  9. 前記第2の変更手段はさらに、
    前記第1の変更手段又は前記第2の変更手段により図形グループが変更された場合に、当該図形グループと、当該図形グループに隣接する図形グループとの間の交差関係の変化を検知する交差関係検知手段を備え、
    前記交差関係検知手段により交差関係の変化が検知された場合に、当該交差関係を変化する前の交差関係に戻すように前記隣接する図形グループを変更する
    ことを特徴とする請求項1乃至8の何れかに記載の手書きデータ編集装置。
  10. 前記第2の変更手段はさらに、
    前記第1の変更手段による変更がなされた場合に、第2の変更手段による変更を行うか否かを指示する変更指示手段を備え、
    前記変更指示手段により、第2の変更手段による変更を行わない旨の指示がなされた場合には、第1の変更手段による変更が行われた場合でも第2の変更手段による変更を行わない
    ことを特徴とする請求項1乃至9の何れかに記載の手書きデータ編集装置。
  11. 前記手書きデータ編集装置はさらに、
    前記第2の変更手段による変更が行われる場合に、当該変更により変更が加えられる文字グループ又は図形グループについて、当該変更が行われる前の状態を保持する変更前データ保持手段と、
    操作者からの、前記第2の変更手段による変更を無効にする旨の指示を受け付ける変更取消受付手段とを備え、
    前記第2の変更手段は、
    前記変更取消受付手段が、前記第2の変更手段による変更を無効にする旨の指示を受け付けた場合に、当該変更により変更された文字グループ又は図形グループを、前記変更前データ保持手段が保持する状態に復帰させる
    ことを特徴とする請求項1乃至10の何れかに記載の手書きデータ編集装置。
  12. 手書きの描画軌跡から筆跡データを抽出し、抽出された筆跡データを編集する手書きデータ編集装置における手書きデータ編集方法であって、
    抽出された筆跡データを、文字を構成する筆跡データを示す文字グループと、図形を構成する筆跡データを示す図形グループとに分類する分類ステップと、
    前記分類ステップにおいて分類された文字グループと図形グループとの位置関係が所定の条件を満たす場合に、両者を対応付けることにより組にする対応付けステップと、
    前記組に含まれる図形グループと文字グループのうち、操作者によって指定されたグループについて、操作者の指示に基づき視覚的な変更を加える第1の変更ステップと、
    前記第1の変更ステップにおいて、前記何れかのグループに変更が加えられた場合に、当該組に含まれる文字グループと図形グループとの少なくとも一つについて、所定の規則に基づいて位置と大きさとの少なくとも一方を変更する第2の変更ステップと
    を有することを特徴とする手書きデータ編集方法。
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