JP3637651B2 - 温度式膨張弁 - Google Patents
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は冷凍サイクルにおいて、蒸発器出口における冷媒の過熱度に応答して、高圧側液冷媒回路から流入する冷媒を減圧し、膨張させる温度式膨張弁に関するもので、例えば自動車用空調装置に用いて好適なものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の温度式膨張弁としては、特開平6−26741号公報に記載されているように、膨張機構部分を内蔵するハウジング内に、蒸発器出口冷媒の温度を感知する感温エレメント部分も内蔵するようにしたものが知られている。
この感温エレメント部分のケースを前記ハウジングに固定するとともに、感温エレメントのケース内に設けられたダイヤフラムの変位に応動して、前記膨張機構の弁体を作動させるようにしている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、本発明者らの実験、検討によると、膨張弁の作動により以下のような原因により騒音が生じることが判明した。
すなわち、上記膨張機構の弁体は、高圧側液冷媒回路から流入する高圧液冷媒を急激に減圧、膨張させる絞り通路の開度を調整するものであるため、この絞り通路における冷媒の急激な減圧、膨張作用の影響を受けて、弁体は微細な振動を繰り返している。
【0004】
この弁体の振動は、弁体に連結された弁棒、この弁棒に当接している金属製当接部材、この当接部材に当接している金属製の前記ダイヤフラム、さらにこのダイヤフラムの外周部を保持固定している感温エレメントのケースを経て、ハウジングに伝わる。
そのため、このハウジングおよびハウジングに接続される冷媒配管等より、この弁体の振動に起因する騒音が外部へ放出されるという問題が生じることが判明した。
【0005】
本発明は上記点に鑑みてなされたもので、温度式膨張弁の弁体の振動による騒音の低減を図ることを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記目的を達成するため、以下の技術的手段を採用する。
請求項1記載の発明では、冷凍サイクルの蒸発器(21)出口における冷媒の過熱度に応答して、高圧側液冷媒回路(14)から流入する冷媒を減圧し、膨張させる温度式膨張弁(3)であって、
ハウジング部材(31、32)と、
このハウジング部材(31、32)に設けられ、前記高圧側液冷媒回路(14)から流入する冷媒を減圧し膨張させる絞り通路(51)と、
前記ハウジング部材(31、32)に設けられ、前記絞り通路(51)の開度を調整する弁体(50)と、
前記ハウジング部材(31、32)内に、移動可能に収納された感温エレメント(39)とを具備し、
この感温エレメント(39)のケース(41、42)には、前記蒸発器(21)出口の冷媒温度および前記蒸発器(21)出口の冷媒圧力に応じて変位する圧力応動部材(43)が内蔵されており、
前記感温エレメント(39)のケース(41、42)には前記弁体(50)が一体に連結されており、
前記圧力応動部材(43)の変位に従って前記感温エレメント(39)と前記弁体(50)が一体になって移動するように構成されている温度式膨張弁を特徴としている。
【0007】
請求項2記載の発明では、冷凍サイクルの蒸発器(21)出口における冷媒の過熱度に応答して、高圧側液冷媒回路(14)から流入する冷媒を減圧し、膨張させる温度式膨張弁(3)であって、
ハウジング部材(31、32)と、
このハウジング部材(31、32)に設けられ、前記高圧側液冷媒回路(14)から流入する冷媒を減圧し膨張させる絞り通路(51)と、
前記ハウジング部材(31、32)に設けられ、前記絞り通路(51)の開度を調整する弁体(50)と、
前記ハウジング部材(31、32)内に、移動可能に収納された感温エレメント(39)とを具備し、
この感温エレメント(39)には、前記蒸発器(21)出口の冷媒温度に応じた圧力を発生する感温室(44)と、
前記蒸発器(21)出口の冷媒圧力に応じた圧力が導入される圧力室(45)と、
前記感温室(44)と前記圧力室(45)とを仕切るように配設され、この両室の圧力に応じて変位する圧力応動部材(43)と、
この圧力応動部材(43)を保持固定するとともに前記感温室(44)および前記圧力室(45)を形成するエレメントケース(41、42)とが備えられており、
このエレメントケース(41、42)の外面には、ばね力を作用するスプリング部材(52)が配設されており、
前記エレメントケース(41、42)には前記弁体(50)が一体に連結されており、
前記圧力応動部材(43)の変位に従って前記エレメントケース(41、42)と前記弁体(50)が一体になって移動するように構成されている温度式膨張弁を特徴としている。
【0008】
請求項3記載の発明では、請求項2に記載の温度式膨張弁において、前記スプリング部材(52)は、前記エレメントケース(41、42)を前記弁体(50)の閉弁方向に押圧するように構成されていることを特徴とする。
請求項4記載の発明では、請求項2または3に記載の温度式膨張弁において、前記ハウジング部材(31、32)には、前記蒸発器(21)出口からの冷媒が流れる低圧冷媒通路(36)が形成されており、
前記感温室(44)の周囲には、前記低圧冷媒通路(36)に連通する感温エレメント室(38)が形成され、
前記エレメントケース(41、42)には、前記感温エレメント室(38)の圧力を前記圧力室(45)内に導入する圧力導入手段(46、42a)が備えられていることを特徴とする。
【0009】
請求項5記載の発明では、請求項2ないし4のいずれか1つに記載の温度式膨張弁において、前記圧力室(45)内には、前記圧力応動部材(43)に当接する当接部材(47)が配設されており、
この当接部材(47)には前記エレメントケース(41、42)を摺動可能に貫通して前記ハウジング部材(31、32)の内壁面に当接する脚部(47a)が備えられており、
前記ハウジング部材(31、32)の内壁面(320)と前記脚部(47a)との当接部位を支点として、前記エレメントケース(41、42)と前記弁体(50)が一体になって移動するように構成されていることを特徴とする。
【0010】
請求項6記載の発明では、請求項5に記載の温度式膨張弁において、前記当接部材(47)の前記脚部(47a)が摺動可能に貫通するように、前記エレメントケース(41、42)には貫通穴(46)が設けられており、
この貫通穴(46)により、前記蒸発器(21)出口の冷媒圧力に応じた圧力が前記圧力室(45)内に導入されるようにしたことを特徴とする。
【0011】
請求項7記載の発明では、請求項2または3に記載の温度式膨張弁において、前記ハウジング部材(31、32)にねじ止めされた調整ねじ(60、302、80)を有し、
この調整ねじ(60、302、80)にて前記スプリング部材(52)の一端を位置調整可能に支持することを特徴とする。
【0012】
請求項8記載の発明では、請求項2または3に記載の温度式膨張弁において、前記スプリング部材(52)の一端を支持するスプリング押さえ部材(90)を有し、
このスプリング押さえ部材(90)の一部を前記ハウジング部材(31、32)の押圧変形可能な壁面(311)に対向配置し、
この壁面(311)を押圧変形することにより前記スプリング押さえ部材(90)の位置を変更できるようにしたことを特徴とする。
【0013】
請求項9記載の発明では、請求項2または3に記載の温度式膨張弁において、ハウジング部材(31、32)に押圧変形可能な壁面(311)を形成し、
この壁面(311)にて前記スプリング部材(52)の一端を支持し、
前記壁面(311)を押圧変形することにより前記スプリング部材(52)の一端の位置を変更できるようにしたことを特徴とする。
【0014】
請求項10記載の発明では、請求項1ないし9のいずれか1つに記載の温度式膨張弁(3)と、
エンジンルーム(E)内に装着され、冷媒を圧縮し、吐出する圧縮機(10)およびこの圧縮機(10)から吐出されたガス冷媒を冷却し、凝縮する凝縮器(11)を含む凝縮用機器群(1)と、
車室(R)内に装着され、前記温度式膨張弁(3)にて減圧し、膨張した冷媒を蒸発する蒸発器(21)を有し、この蒸発器(21)にて空調空気を冷却するクーリングユニット(2)とを備える自動車空調用冷凍サイクルを特徴としている。
【0015】
なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【0016】
【発明の作用効果】
請求項1ないし10記載の発明によれば、上記技術的手段を有しているため、感温エレメントの圧力応動部材の変位に従って、感温エレメントのケースと弁体とが一体になって移動することにより、絞り通路の開度を調整して、蒸発器出口における冷媒の過熱度を調整できる。
【0017】
従って、絞り通路における冷媒の急膨張により弁体が振動して、その振動が感温エレメントのケースに伝導しても、このケースがハウジング部材に対して移動可能となっており、ハウジング部材から前記ケースが離れているので、ハウジング部材に振動が伝導することがほとんどない。
その結果、ハウジング部材を通して外部に上記振動に起因する騒音が伝播するのを効果的に阻止でき、低騒音型の膨張弁を提供できる。
【0018】
上記に加えて、特に、請求項7記載の発明では、調整ねじにてスプリング部材の一端を位置調整可能に支持しているため、スプリング部材の設定荷重を調整ねじにて容易に調整でき、膨張弁による冷媒過熱度の設定値を容易に調整できる。また、請求項8、9記載の発明では、ハウジング部材の壁面を押圧変形することによりスプリング部材の設定荷重を変更できるので、ハウジング部材組付後に、外部から上記壁面を変形させてスプリング部材の設定荷重を調整して、冷媒過熱度の設定値を容易に調整できる。
【0019】
【実施形態】
以下、本発明を図に示す実施形態について説明する。
(第1実施形態)
図1〜図4は第1実施形態を示すもので、図1は本発明膨張弁を適用した自動車用空調装置の冷凍サイクルの全体構成を示す図であって、本例の空調装置における冷凍サイクル機器は、大別して、自動車のエンジンルームE内に装着される凝縮用機器群1と、自動車の車室R内に装着されるクーリングユニット2と、エンジンルームEと車室R内とを仕切るダッシュボード(図示せず)に配設され、エンジンルームE側と車室R側の冷媒配管の連結部材を兼ねる温度式膨張弁3とから構成されている。
【0020】
前記凝縮用機器群1は、周知のごとく自動車エンジンにより駆動される圧縮機10、この圧縮機10の吐出冷媒ガスを冷却し、凝縮する凝縮器11、この凝縮器11からの凝縮冷媒を溜めて、液冷媒のみを下流側へ導出する受液器12等から構成されている。圧縮機10の運転は電磁クラッチ10aにより断続できるようになっている。凝縮器11は冷却ファン11aにより送風される冷却空気により冷却されるようになっている。
【0021】
前記クーリングユニット2は、自動車用空調装置の樹脂製のクーリングユニットケース20を有し、このケース20内に蒸発器21を内蔵しており、自動車用空調装置の内外気切替箱(図示せず)から吸入され、空調用送風機22により送風される空気を冷却、除湿するものである。
前記クーリングユニット2の空気下流側には、周知のごとく温水式のヒータユニット、吹出口切替機構、各種吹出口等が設けられている。
【0022】
本発明の要部は上記温度式膨張弁3であり、その具体的構造を以下詳述する。膨張弁3の内部機構を収容するハウジングは、第1、第2の2つのハウジング31、32で構成されており、この両ハウジング31、32はアルミニュウム等の軽量で、耐食性に優れた金属で形成されている。このハウジング31、32は図3に明示するように円柱形状の円柱軸方向に2つに分割された形状になっている。
【0023】
本例では、円柱形状を2等分せずに、円柱形状の中心より図3の上方側へ偏った位置で分割しているので、第1のハウジング31が第2のハウジング32より小さくなっている。図3の30は第1のハウジング31と第2のハウジング32の分割面を示す。
そして、上記第1および第2のハウジング31、32は、2本のボルト33、33により一体に、かつ脱着可能にねじ結合されている。ここで、ボルト33、33の頭部を前記分割面30近傍まで挿入するために、ボルト挿入穴33a、33aが両ハウジング31、32に開けられている。
【0024】
第1のハウジング31の車室R側の端面には、前記蒸発器21の出口側低圧冷媒回路23からの冷媒を第1のハウジング31内に流入させる第1の冷媒流入穴34が開けられており、またエンジンルームE側の端面には、前記蒸発器21出口からの冷媒を第1のハウジング31外に流出させる第1の冷媒流出穴35が開けられている。この第1の冷媒流出穴35は圧縮機10の吸入側冷媒回路13に接続されている。
【0025】
そして、これらの第1の冷媒流入穴34と第1の冷媒流出穴35との間に、この両穴34、35を連結する低圧側冷媒通路36が形成されている。
第1のハウジング31内には、この低圧側冷媒通路36に、連通穴37を介して連通する感温エレメント室38が形成されている。この室38は第1のハウジング31のうち前記分割面30側に位置して形成されている。この室38内には膨張弁3の感温エレメント39が移動可能に配設されている。
【0026】
この感温エレメント39は銅系金属等で形成された冷媒ガス封入筒40を有している。感温エレメント39は上記封入筒40が一体にろう付け等により接合された一方の金属製ダイヤフラムケース41、他方の金属製ダイヤフラムケース42、この両ケース41、42の間に挟持されて固定された金属製ダイヤフラム43を有している。これらの部材41、42、43は耐食性に優れたステンレスのような金属で形成され、溶接により一体に接合されている。
【0027】
一方のダイヤフラムケース41とダイヤフラム43とにより形成される感温室44に封入筒40の一端が開口しており、この感温室44と封入筒40から形成される密閉された空間内部には、空調装置の冷凍サイクル内を循環する冷媒と同一冷媒が封入されているので、感温室44内の圧力は、その周囲の冷媒温度に応じた飽和圧力を示すようになっている。
【0028】
すなわち、低圧側冷媒通路36を流れる冷媒の温度は、感温室44周囲の室38内に充満している冷媒を介して感温室44内の冷媒に伝達され、低圧側冷媒通路36を流れる冷媒の温度が低下したときは感温室44内の冷媒が凝縮して冷媒圧力が低下し、逆に低圧側冷媒通路36の冷媒温度が上昇すると、感温室44内の液相冷媒が蒸発して冷媒圧力が上昇する。このようにして、感温室44内の圧力は、低圧側冷媒通路36の冷媒温度に応じた飽和圧力を示す。
【0029】
また、他方のダイヤフラムケース42とダイヤフラム43とにより形成される下側の圧力室45には、ダイヤフラムケース42に設けた貫通穴46(図4参照)を介して室38の冷媒圧力(すなわち、蒸発器出口側の冷媒圧力)が導入されるようになっている。
また、上記圧力室45内には、ダイヤフラム43の変位に応じて変位する当接部材47が配設されており、この当接部材47はステンレス、アルミニュウム等の金属で円板状に形成され、この円板部の一方の面(上面)がダイヤフラム43に当接するようになっている。
【0030】
さらに、当接部材47の円板部の他方の面(下面)から一体に複数(本例では3本)の円柱状の脚部47aが形成されている。
ダイヤフラムケース42の前記貫通穴46は図4に示すように上記3本の円柱状の脚部47aが摺動可能に嵌合するように形成されており、そして当接部材47の円柱状脚部47aの先端(下端)は、第2のハウジング32のうちダイヤフラムケース42に対向する円形状の平面(前記室38の一部を区画形成する面)320に当接するようになっている。
【0031】
より具体的に述べると、当接部材47の円柱状脚部47aは、ダイヤフラムケース42が前記平面320に当接する前に、その先端が前記平面320に当接するように、その長さが設定(図4参照)されている。
一方、第2のハウジング32のエンジンルームE側の端面には第2の冷媒流入穴56が設けられており、この第2の冷媒流入穴56には、受液器12下流側に接続された高圧側液冷媒回路14からの冷媒が流入する。この流入冷媒は、膨張機構48の弁体50により開度が調整される絞り通路51を通過して減圧、膨張し、気液2相状態となる。
【0032】
第2のハウジング32の車室R側の端面には第2の冷媒流出穴57が設けられており、この第2の冷媒流出穴57から前記気液2相状態の冷媒が流出する。この第2の冷媒流出穴57は蒸発器21の入口側低圧冷媒回路24に接続されている。
前記弁体50は、ステンレスのような金属で球状に形成されており、この球状の弁体50には、ステンレスのような金属で形成された弁棒49の一端が溶接等により一体に接合されている。この弁棒49の他端は、前記した他方のダイヤフラムケース42に溶接、かしめ止め等により一体に連結されている。
【0033】
ここで、ダイヤフラムケース42と弁棒49は別部品を連結する構造とせずに、切削加工により一体部品として形成してもよい。
上記弁棒49は第2のハウジング32に設けられた穴321に摺動可能に嵌合しており、この弁棒49と穴321との嵌合部はOリング(弾性シール材)322により気密を保持するようになっている。
【0034】
ところで、前記した感温エレメント39のダイヤフラムケース41、42部分は、図1に示すように第1のハウジング31の内壁面と第2のハウジング32の間に配設され、第1のハウジング31と上部のダイヤフラムケース41との間に金属ばね材からなるコイルスプリング52が配設されている。
従って、第1のハウジング31と第2のハウジング32の組付時に、前記ボルト33、33の締めつけ力によりコイルスプリング52が弾性的に圧縮変形して、そのばね力がダイヤフラムケース41、42部分に作用することにより感温エレメント39に対して図1下方への押圧力を作用させている。
【0035】
この感温エレメント39の下方への押圧力は、弁体50に対して閉弁方向(絞り通路51の開度を減少させる方向)の力として作用することになる。
また、第1のハウジング31には第2のハウジング32側へ環状に突出する 突出部53が一体形成されており、この突出部53の外周面には環状の凹溝53aが形成され、この凹溝53a内にOリング54が嵌着されている。一方、第2のハウジング32には、上記突出部53の外周面に嵌合する環状の内周形状を持った突出部55が一体形成されており、これら両突出部53、55の嵌合構造とOリング54との組み合わせにより両ハウジング31、32間をシールするようになっている。
【0036】
なお、両ハウジング31、32の冷媒穴34、35、56、57はそれぞれ図示しない配管継手部材の接続用配管部を嵌入するため、円形の段付き穴形状に形成されており、この配管継手部材はそれぞれボルト(図示せず)により第1、第2ハウジング31、32に脱着可能にねじ止め固定されるようになっている。図3に示すねじ穴58、58は配管継手部材の固定用ボルトがねじ止めされる穴である。
【0037】
次に、上記構成において本実施形態の作動を説明する。
クーリングユニット2の蒸発器21で蒸発したガス冷媒は、出口側低圧冷媒回路23を経て第1のハウジング31の冷媒流入穴34より低圧側冷媒通路36に流入し、この通路36を通過する。このとき、通路36を通過する冷媒の温度が連通穴37、感温エレメント室38を介して感温室44に伝達され、この感温室44内の圧力はこの冷媒温度に対応した圧力となる。
【0038】
一方、ダイヤフラム43の下側の圧力室45には上記低圧側冷媒通路36の冷媒圧力が上記室38から貫通穴46を介して導入されている。いま、上記低圧側冷媒通路36の冷媒温度が上昇して、感温室44内の圧力が上昇すると、ダイヤフラム43は当接部材47の上面を図1の下方へ押圧する。
しかし、当接部材47の脚部47aが既に第2のハウジング32の円形平面320に当接しているので、当接部材47は図1下方へ移動できない。そして、当接部材47の脚部47aはダイヤフラムケース42の貫通穴46に摺動可能に嵌合しているので、前述の感温室44内の圧力上昇により生じる「ダイヤフラム43から当接部材47への押圧力」は、当接部材47の脚部47aと第2のハウジング32の円形平面320との当接部位を支点として、感温エレメント39全体を図1上方へ押し上げる力として作用することになる。
【0039】
感温エレメント39にはコイルスプリング52により図1下方へのばね力が作用しているので、感温エレメント39が図1上方へ移動することよりコイルスプリング52が圧縮され、そのばね力が増大し、このばね力と前記「ダイヤフラム43から当接部材47への押圧力」とが釣り合う位置まで、感温エレメント39が図1の上方へ移動する。
【0040】
感温エレメント39の下側のダイヤフラムケース42には弁棒49を介して弁体50が一体に連結されているので、感温エレメント39と一体になって弁棒49、弁体50が移動し、弁体50は図1上方への移動により絞り通路51の開度を増大し、この絞り通路51を通過する冷媒流量を増加して、蒸発器21出口におけるガス冷媒の過熱度を所定値に維持する。
【0041】
逆に、上記低圧側冷媒通路36の冷媒温度が低下して、感温室44内の圧力が低下したときは、上記「ダイヤフラム43から当接部材47への押圧力」が減少して、感温エレメント39全体がコイルスプリング52のばね力により図1下方へ押し下げられ、弁体50は絞り通路51の開度を減少させる。
蒸発器21出口におけるガス冷媒の目標過熱度は、コイルスプリング52のばね力の調整により変更できる。
【0042】
上記のように感温エレメント39と一体に弁体50が移動することにより、絞り通路51の開度が調整されて、蒸発器出口の冷媒過熱度が上記スプリング53のばね力により定まる所定値に維持される。
なお、図4(a)は下側のダイヤフラムケース42の上面が当接部材47の下面部に当接して、感温エレメント39の移動が停止している開弁状態を示し、図4(b)は球状の弁体50が円錐状の絞り通路51の内壁面に当接している閉弁状態を示している。
【0043】
ところで、冷媒は絞り通路51を通過するときに急激に減圧、膨張するので、この冷媒流れの影響を受けて弁体50は振動を生じる。しかし、本実施形態においては、上記したように、感温エレメント39のダイヤフラムケース41、42をハウジング31、32側に固定せず、感温エレメント39全体をハウジング31、32に対して移動可能となし、そして感温エレメント39全体の移動により弁体50を変位させて、絞り通路51の開度調整作用を行っているから、弁体50の振動が弁棒49より感温エレメント39のダイヤフラムケース41、42を経てハウジング31、32側に伝導することがほとんどない。
【0044】
また、弁棒49とハウジンク32の穴321との間には微少隙間が存在しているので、弁棒49からハウジンク32へ弁体50の振動が伝導することもほとんどない。従って、弁体50の振動に起因する騒音の発生を大幅に低減できる。
また、本実施形態では、温度作動式膨張弁3のハウジングを2分割して、第1、第2ハウジング31、32の間に感温エレメント39を組み込むことができるので、従来構造のごとくハウジング上部にシール機構を持った蓋を設置する必要がなく、そのため温度作動式膨張弁3の高さを従来構造に比して著しく低減できる。
【0045】
また、本実施形態では感温エレメント39のダイフラムケース41、42の上側に重ねるようにして、配管接続用の穴形状を持った冷媒流入、流出穴34、35を設けることができるので、ハウジング幅寸法も大幅に低減できる。
また、本実施形態によれば、低圧側冷媒通路36を、連通穴37を介して、感温エレメント39が配設されている室38に連通しているから、低圧側冷媒通路36の冷媒温度の変化に対して感温エレメント39の感温室44内の冷媒温度は若干遅れて変化する。そのため、感温室44内の冷媒ガスの圧力変化の応答も若干遅くなり、サイクルのハンチングを防止できる適切な応答性を持った膨張弁とすることができる。
【0046】
なお、前記連通穴37の径(断面積)、あるいは形状は自由に調整、変更できるので、この調整、変更により、冷凍サイクルの安定性に影響する感温エレメント39の応答性を容易に調整できる。
(第2実施形態)
図5、6はコイルスプリング52のばね力を膨張弁組付後に調整し設定できるようにした第2実施形態であり、そのために調整ねじ60をコイルスプリング52の一端(上端)側に配設するようにしたものである。
【0047】
この調整ねじ60は、図6に拡大図示するようにフランジ状(円板状)のばね押さえ面60aと、この面60aより外径を小さくした雄ねじ部60bと、6角状の工具挿入穴60cとを有する形状に形成されている。工具挿入穴60cは前記連通穴37を形成する役割も兼ねている。
調整ねじ60の雄ねじ部60bは、ハウジング31の連通穴37部分に形成された雌ねじ部61にねじ止めされるようになっている。そして、調整ねじ60の工具挿入穴60cに図示しない工具を挿入して、調整ねじ60のねじ止め位置を調整することより、コイルスプリング52のばね力を膨張弁組付後に調整することができる。
(第3実施形態)
図7は感温エレメント39を変更した第3実施形態を示しており、感温室44内の上部空間に粒状の活性炭からなる吸着材44aを収納し、この吸着材44aを吸着材ガイド44bにより保持している。この吸着材ガイド44bはダイヤフラムケース41に固着されており、複数のスリット44cを有している。このスリット44cを通して感温室44内の冷媒ガスが吸着材44a側の空間に入出し得るようになっている。
【0048】
本実施形態では、感温室44において感知される冷媒温度に応じて、吸着材44aへの冷媒ガス吸着量が変化して、感温室44内の圧力が変化するようにしたものである。本発明はこのような吸着チャージ方式のものでも同様に実施できる。
(第4実施形態)
図8、9は本発明を蒸発圧力調整弁(EPR)70を有する冷凍サイクルに適用する場合であり、蒸発圧力調整弁70は周知のごとく蒸発器21における蒸発圧力を所定値以上に維持するように蒸発器21出口側の低圧通路23の絞り度を調整して、蒸発器21のフロストを防止するものである。
【0049】
この蒸発圧力調整弁70を有する冷凍サイクルにおいて、蒸発圧力調整弁70出口側の冷媒圧力を、感温エレメント39のダイヤフラム下側の圧力室45に導入するために、本第4実施形態では以下の構成を採用している。
すなわち、感温エレメント39において、上側のダイヤフラムケース41の中央部に円筒部41aを一体形成し、この円筒部41a内に、前記吸着材44aおよび吸着材ガイド44bを配設するとともに、この円筒部41aの外周部に対向する第1ハウジンク31の内壁面に凹溝71を設け、この凹溝71内にOリング(シール部材)72を配設している。
【0050】
このOリング72を円筒部41aの外周部に圧着させることより、感温エレメント室38と低圧側冷媒通路36との間を気密に遮断している。上側のダイヤフラムケース41の円筒部41aの上面が低圧側冷媒通路36に直接、面することにより低圧側冷媒通路36を流れる冷媒の温度が上側のダイヤフラムケース41の円筒部41aに伝導して、感温室44内の圧力が変化するようになっている。
【0051】
一方、第2ハウジング32には、蒸発圧力調整弁70出口側の冷媒圧力を導入するためのキャピラリチューブ(図示せず)を接続する接続穴73(図9参照)が設けてあり、さらにこの接続穴73はダイヤフラム41、42周囲の感温エレメント室38に連通するように形成されている。
従って、蒸発圧力調整弁70出口側の冷媒圧力を、前記キャピラリチューブ(図示せず)から接続穴73、感温エレメント室38、および貫通穴46を経てダイヤフラム下側の圧力室45に導入することができる。
【0052】
これにより、冷凍サイクルの低負荷時に、蒸発圧力調整弁70で減圧された一段と低い冷媒圧力が圧力室45に導入されて、弁体50の開度が増大するので、蒸発圧力調整弁70の絞り作用による圧縮機10へのオイル戻り悪化を防止できる。
(第5実施形態)
図10は膨張弁3のハウジング構造を変更した第5実施形態を示しており、本例では膨張弁3のハウジングとして、1つの円筒状もしくは直方体状のブロックからなるハウジング本体300を有し、このハウジング本体300の上部開口部301を蓋部材302にて閉塞するようにしている。
【0053】
この蓋部材302の下面にはコイルスプリング52の上端を支持する円形凹部303が形成され、上面には工具係止用の凹溝304が形成されている。また、蓋部材302の小径部外周には雄ねじ305が形成されており、この雄ねじ305をハウジング本体300の雌ねじ306にねじ込むことにより蓋部材302がハウジング本体300に固定されるようになっている。
【0054】
蓋部材302の大径部外周にはリング状の凹溝307が形成され、この凹溝307にOリング308を嵌着することにより蓋部材302とハウジング本体300との間の気密を保持するようになっている。
本例では、蓋部材302がコイルスプリング52のばね力を調整する調整ねじとしての役割を兼ねている。また、感温エレメント室38は、ダイヤフラムケース41、42を収納するため、このダイヤフラムケース41、42の外径より若干大きい内径のまま、直接、低圧側冷媒通路36に開口しており、そして前記上部開口部301の内径は感温エレメント室38の内径より若干大きくしてある。
(第6実施形態)
図11は感温エレメント39における圧力室45と感温エレメント室38との連通構造を変更した第6実施形態を示しており、本例では当接部材47の脚部47aが貫通するダイヤフラムケース42の貫通穴46の径を減少して、貫通穴46の役割から、圧力室45と感温エレメント室38とを連通させる役割を除去して、この役割をダイヤフラムケース42に設けた専用の連通穴42aに持たせるようにしたものである。この構成によっても、同様の作用効果を発揮できることはもちろんである。
(第7実施形態)
第7実施形態はコイルスプリング52のばね力を調整する機構に関するもので、図12に示すように、前述の第2実施形態における調整ねじ60をさらに変形した調整ねじ80を備えており、本例の調整ねじ80は図13に示すように例えばステンレスのような耐食性に優れた金属を2段階にわたって湾曲させた椀状の形状にプレス成形したものである。
【0055】
この椀状の調整ねじ80の底部81の中心部には円形穴82が開けてあり、この円形穴82を通して低圧側冷媒通路36が感温エレメント室38に連通するようになっている。また、調整ねじ80の底部81の内側面にてコイルスプリング52の一端(上端)を支持するようになっている。
また、調整ねじ80の大径円筒面83は第2のハウジング32の内周に嵌合する大きさに設定されており、そして、この大径円筒面83の外周側には雄ねじ84が形成してある。一方、第2のハウジング32の内周面には、上記大径円筒面83の外周側の雄ねじ84が噛み合う雌ねじ325が形成してある。
【0056】
第7実施形態の構成によれば、感温エレメント39を第2のハウジング32内に組付た後に、コイルスプリング52を感温エレメント39に対して配置し、その後に、コイルスプリング52の一端を押圧しながら、調整ねじ80を第2のハウジング32の内周面の雌ねじ325にねじ込み、コイルスプリング52の一端(上端)位置を調整することにより、コイルスプリング52の設定荷重を調整できる。
【0057】
上記調整ねじ80によるコイルスプリング52の設定荷重調整後に、第2のハウジング32に対して第1のハウジング31を組付ける。
(第8実施形態)
第8実施形態は上記第7実施形態の調整ねじ80を図14に示すように変形して、図15に示す組付構造を採用するものである。この図14の例では調整ねじ80を板金のプレス成形でなく、切削加工による削り出しで形成するようにしている。一方、図15に示すように、第2のハウジング32に比較的厚肉の円筒状突出部323を設け、この突出部323の外周側に環状の凹溝324を形成し、この環状の凹溝324にOリング54を嵌着するようにしている。そして、このOリング54の外周側に第1のハウジング31の円筒状突出部310を組付ける。
【0058】
また、突出部323の内周側に雌ねじ325を形成して、この雌ねじ325に調整ねじ80の雄ねじ84をねじ込んで、コイルスプリング52の設定荷重を調整する。他の点は第7実施形態と同じである。
(第9実施形態)
図16、17に示す第9実施形態は膨張弁3の組付終了後にコイルスプリング52の設定荷重を調整できるようにしたものであり、本例では図17に示すような円筒カップ形状に成形された金属製のスプリング押さえ部材90を用いており、このスプリング押さえ部材90はその底部に小径の円形突出部91を形成し、また円筒部92にはその内外を連通する複数の窓部93が開けてある。さらに、円筒部92の端部には、コイルスプリング52の一端を支持するように半径方向の外方に延びる環状部94が形成されている。
【0059】
一方、第1のハウジング31の天井部のうち、スプリング押さえ部材90の小径の円形突出部91の先端が対向する部位に、凹部311を形成するとともに、この凹部311の底面に円形突出部91の先端が当接するようにしてある。また、凹部311の底面はプレス機械による押圧力にて変形しやすいように、第1のハウジング31の天井部の他の部分より薄肉(例えば、2mm程度)にしてある。つまり、本例では、凹部311の底面部が「押圧変形可能な壁面」を形成している。
【0060】
以上により、第1のハウジング31の天井部の凹部311にプレス機械の押圧力を加えて、凹部311を予め設定した所定量だけ図16の下方側(スプリング押さえ部材90側)へ押圧変形することにより、スプリング押さえ部材90が下方側へ変位してコイルスプリング52の設定荷重を調整できる。
なお、スプリング押さえ部材90の円筒部92に設けた複数の窓部93は低圧側冷媒通路36を流れる冷媒の流通抵抗を低減する役割を果たす。
(第10実施形態)
図18は第10実施形態を示すもので、第9実施形態と同様に、第1のハウジング31の天井部の凹部311を押圧変形してコイルスプリング52の設定荷重を調整するものであるが、本例では、凹部311の変形によりコイルスプリング52が直接圧縮変位するようになっている。
【0061】
すなわち、ダイヤフラムケース41に、上記凹部311に向かって延びる円筒部41aを一体成形し、この円筒部41aの上端面と凹部311との間にコイルスプリング52を配設することにより、凹部311の変形にてコイルスプリング52が直接圧縮変位して、コイルスプリング52の設定荷重を調整できる。
このように、コイルスプリング52の設定荷重の調整は種々の形態で実施可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態の膨張弁を示すもので、冷凍サイクル構成を含む断面図である。
【図2】図1の膨張弁の上面図である。
【図3】図1の膨張弁の正面図である。
【図4】第1実施形態の膨張弁の要部拡大断面図である。
【図5】本発明の第2実施形態の膨張弁を示すもので、冷凍サイクル構成を含む断面図である。
【図6】(a)、(b)は本発明の第2実施形態に用いる調整ねじ60の平面図、正面図である。
【図7】本発明の第3実施形態の膨張弁を示すもので、冷凍サイクル構成を含む断面図である。
【図8】本発明の第4実施形態の膨張弁を示すもので、冷凍サイクル構成を含む断面図である。
【図9】図8の膨張弁の正面図である。
【図10】本発明の第5実施形態の膨張弁を示すもので、冷凍サイクル構成を含む断面図である。
【図11】本発明の第6実施形態の膨張弁を示す要部拡大断面図である。
【図12】本発明の第7実施形態の膨張弁を示す断面図である。
【図13】(a)は第7実施形態における調整ねじの平面図、(b)はこの調整ねじの断面図である。
【図14】(a)は本発明の第8実施形態における調整ねじの平面図、(b)はこの調整ねじの断面図である。
【図15】本発明の第8実施形態の膨張弁を示す断面図である。
【図16】本発明の第9実施形態の膨張弁を示す断面図である。
【図17】(a)は本発明の第9実施形態におけるスプリング押さえ部材の平面図、(b)はこのスプリング押さえ部材の断面図である。
【図18】本発明の第10実施形態の膨張弁を示す断面図である。
【符号の説明】
1…凝縮用機器群、2…クーリングユニット、21…蒸発器、
3…温度式膨張弁、31、32…第1、第2のハウジング、
36…低圧冷媒通路、38…感温エレメント室、39…感温エレメント、
41、42…ダイヤフラムケース、43…ダイヤフラム、44…感温室、
45…圧力室、46…貫通穴、47…当接部材、47a…脚部、48…膨張機構、49…弁棒、50…弁体、51…絞り通路、52…コイルスプリング。
【産業上の利用分野】
本発明は冷凍サイクルにおいて、蒸発器出口における冷媒の過熱度に応答して、高圧側液冷媒回路から流入する冷媒を減圧し、膨張させる温度式膨張弁に関するもので、例えば自動車用空調装置に用いて好適なものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の温度式膨張弁としては、特開平6−26741号公報に記載されているように、膨張機構部分を内蔵するハウジング内に、蒸発器出口冷媒の温度を感知する感温エレメント部分も内蔵するようにしたものが知られている。
この感温エレメント部分のケースを前記ハウジングに固定するとともに、感温エレメントのケース内に設けられたダイヤフラムの変位に応動して、前記膨張機構の弁体を作動させるようにしている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、本発明者らの実験、検討によると、膨張弁の作動により以下のような原因により騒音が生じることが判明した。
すなわち、上記膨張機構の弁体は、高圧側液冷媒回路から流入する高圧液冷媒を急激に減圧、膨張させる絞り通路の開度を調整するものであるため、この絞り通路における冷媒の急激な減圧、膨張作用の影響を受けて、弁体は微細な振動を繰り返している。
【0004】
この弁体の振動は、弁体に連結された弁棒、この弁棒に当接している金属製当接部材、この当接部材に当接している金属製の前記ダイヤフラム、さらにこのダイヤフラムの外周部を保持固定している感温エレメントのケースを経て、ハウジングに伝わる。
そのため、このハウジングおよびハウジングに接続される冷媒配管等より、この弁体の振動に起因する騒音が外部へ放出されるという問題が生じることが判明した。
【0005】
本発明は上記点に鑑みてなされたもので、温度式膨張弁の弁体の振動による騒音の低減を図ることを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記目的を達成するため、以下の技術的手段を採用する。
請求項1記載の発明では、冷凍サイクルの蒸発器(21)出口における冷媒の過熱度に応答して、高圧側液冷媒回路(14)から流入する冷媒を減圧し、膨張させる温度式膨張弁(3)であって、
ハウジング部材(31、32)と、
このハウジング部材(31、32)に設けられ、前記高圧側液冷媒回路(14)から流入する冷媒を減圧し膨張させる絞り通路(51)と、
前記ハウジング部材(31、32)に設けられ、前記絞り通路(51)の開度を調整する弁体(50)と、
前記ハウジング部材(31、32)内に、移動可能に収納された感温エレメント(39)とを具備し、
この感温エレメント(39)のケース(41、42)には、前記蒸発器(21)出口の冷媒温度および前記蒸発器(21)出口の冷媒圧力に応じて変位する圧力応動部材(43)が内蔵されており、
前記感温エレメント(39)のケース(41、42)には前記弁体(50)が一体に連結されており、
前記圧力応動部材(43)の変位に従って前記感温エレメント(39)と前記弁体(50)が一体になって移動するように構成されている温度式膨張弁を特徴としている。
【0007】
請求項2記載の発明では、冷凍サイクルの蒸発器(21)出口における冷媒の過熱度に応答して、高圧側液冷媒回路(14)から流入する冷媒を減圧し、膨張させる温度式膨張弁(3)であって、
ハウジング部材(31、32)と、
このハウジング部材(31、32)に設けられ、前記高圧側液冷媒回路(14)から流入する冷媒を減圧し膨張させる絞り通路(51)と、
前記ハウジング部材(31、32)に設けられ、前記絞り通路(51)の開度を調整する弁体(50)と、
前記ハウジング部材(31、32)内に、移動可能に収納された感温エレメント(39)とを具備し、
この感温エレメント(39)には、前記蒸発器(21)出口の冷媒温度に応じた圧力を発生する感温室(44)と、
前記蒸発器(21)出口の冷媒圧力に応じた圧力が導入される圧力室(45)と、
前記感温室(44)と前記圧力室(45)とを仕切るように配設され、この両室の圧力に応じて変位する圧力応動部材(43)と、
この圧力応動部材(43)を保持固定するとともに前記感温室(44)および前記圧力室(45)を形成するエレメントケース(41、42)とが備えられており、
このエレメントケース(41、42)の外面には、ばね力を作用するスプリング部材(52)が配設されており、
前記エレメントケース(41、42)には前記弁体(50)が一体に連結されており、
前記圧力応動部材(43)の変位に従って前記エレメントケース(41、42)と前記弁体(50)が一体になって移動するように構成されている温度式膨張弁を特徴としている。
【0008】
請求項3記載の発明では、請求項2に記載の温度式膨張弁において、前記スプリング部材(52)は、前記エレメントケース(41、42)を前記弁体(50)の閉弁方向に押圧するように構成されていることを特徴とする。
請求項4記載の発明では、請求項2または3に記載の温度式膨張弁において、前記ハウジング部材(31、32)には、前記蒸発器(21)出口からの冷媒が流れる低圧冷媒通路(36)が形成されており、
前記感温室(44)の周囲には、前記低圧冷媒通路(36)に連通する感温エレメント室(38)が形成され、
前記エレメントケース(41、42)には、前記感温エレメント室(38)の圧力を前記圧力室(45)内に導入する圧力導入手段(46、42a)が備えられていることを特徴とする。
【0009】
請求項5記載の発明では、請求項2ないし4のいずれか1つに記載の温度式膨張弁において、前記圧力室(45)内には、前記圧力応動部材(43)に当接する当接部材(47)が配設されており、
この当接部材(47)には前記エレメントケース(41、42)を摺動可能に貫通して前記ハウジング部材(31、32)の内壁面に当接する脚部(47a)が備えられており、
前記ハウジング部材(31、32)の内壁面(320)と前記脚部(47a)との当接部位を支点として、前記エレメントケース(41、42)と前記弁体(50)が一体になって移動するように構成されていることを特徴とする。
【0010】
請求項6記載の発明では、請求項5に記載の温度式膨張弁において、前記当接部材(47)の前記脚部(47a)が摺動可能に貫通するように、前記エレメントケース(41、42)には貫通穴(46)が設けられており、
この貫通穴(46)により、前記蒸発器(21)出口の冷媒圧力に応じた圧力が前記圧力室(45)内に導入されるようにしたことを特徴とする。
【0011】
請求項7記載の発明では、請求項2または3に記載の温度式膨張弁において、前記ハウジング部材(31、32)にねじ止めされた調整ねじ(60、302、80)を有し、
この調整ねじ(60、302、80)にて前記スプリング部材(52)の一端を位置調整可能に支持することを特徴とする。
【0012】
請求項8記載の発明では、請求項2または3に記載の温度式膨張弁において、前記スプリング部材(52)の一端を支持するスプリング押さえ部材(90)を有し、
このスプリング押さえ部材(90)の一部を前記ハウジング部材(31、32)の押圧変形可能な壁面(311)に対向配置し、
この壁面(311)を押圧変形することにより前記スプリング押さえ部材(90)の位置を変更できるようにしたことを特徴とする。
【0013】
請求項9記載の発明では、請求項2または3に記載の温度式膨張弁において、ハウジング部材(31、32)に押圧変形可能な壁面(311)を形成し、
この壁面(311)にて前記スプリング部材(52)の一端を支持し、
前記壁面(311)を押圧変形することにより前記スプリング部材(52)の一端の位置を変更できるようにしたことを特徴とする。
【0014】
請求項10記載の発明では、請求項1ないし9のいずれか1つに記載の温度式膨張弁(3)と、
エンジンルーム(E)内に装着され、冷媒を圧縮し、吐出する圧縮機(10)およびこの圧縮機(10)から吐出されたガス冷媒を冷却し、凝縮する凝縮器(11)を含む凝縮用機器群(1)と、
車室(R)内に装着され、前記温度式膨張弁(3)にて減圧し、膨張した冷媒を蒸発する蒸発器(21)を有し、この蒸発器(21)にて空調空気を冷却するクーリングユニット(2)とを備える自動車空調用冷凍サイクルを特徴としている。
【0015】
なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【0016】
【発明の作用効果】
請求項1ないし10記載の発明によれば、上記技術的手段を有しているため、感温エレメントの圧力応動部材の変位に従って、感温エレメントのケースと弁体とが一体になって移動することにより、絞り通路の開度を調整して、蒸発器出口における冷媒の過熱度を調整できる。
【0017】
従って、絞り通路における冷媒の急膨張により弁体が振動して、その振動が感温エレメントのケースに伝導しても、このケースがハウジング部材に対して移動可能となっており、ハウジング部材から前記ケースが離れているので、ハウジング部材に振動が伝導することがほとんどない。
その結果、ハウジング部材を通して外部に上記振動に起因する騒音が伝播するのを効果的に阻止でき、低騒音型の膨張弁を提供できる。
【0018】
上記に加えて、特に、請求項7記載の発明では、調整ねじにてスプリング部材の一端を位置調整可能に支持しているため、スプリング部材の設定荷重を調整ねじにて容易に調整でき、膨張弁による冷媒過熱度の設定値を容易に調整できる。また、請求項8、9記載の発明では、ハウジング部材の壁面を押圧変形することによりスプリング部材の設定荷重を変更できるので、ハウジング部材組付後に、外部から上記壁面を変形させてスプリング部材の設定荷重を調整して、冷媒過熱度の設定値を容易に調整できる。
【0019】
【実施形態】
以下、本発明を図に示す実施形態について説明する。
(第1実施形態)
図1〜図4は第1実施形態を示すもので、図1は本発明膨張弁を適用した自動車用空調装置の冷凍サイクルの全体構成を示す図であって、本例の空調装置における冷凍サイクル機器は、大別して、自動車のエンジンルームE内に装着される凝縮用機器群1と、自動車の車室R内に装着されるクーリングユニット2と、エンジンルームEと車室R内とを仕切るダッシュボード(図示せず)に配設され、エンジンルームE側と車室R側の冷媒配管の連結部材を兼ねる温度式膨張弁3とから構成されている。
【0020】
前記凝縮用機器群1は、周知のごとく自動車エンジンにより駆動される圧縮機10、この圧縮機10の吐出冷媒ガスを冷却し、凝縮する凝縮器11、この凝縮器11からの凝縮冷媒を溜めて、液冷媒のみを下流側へ導出する受液器12等から構成されている。圧縮機10の運転は電磁クラッチ10aにより断続できるようになっている。凝縮器11は冷却ファン11aにより送風される冷却空気により冷却されるようになっている。
【0021】
前記クーリングユニット2は、自動車用空調装置の樹脂製のクーリングユニットケース20を有し、このケース20内に蒸発器21を内蔵しており、自動車用空調装置の内外気切替箱(図示せず)から吸入され、空調用送風機22により送風される空気を冷却、除湿するものである。
前記クーリングユニット2の空気下流側には、周知のごとく温水式のヒータユニット、吹出口切替機構、各種吹出口等が設けられている。
【0022】
本発明の要部は上記温度式膨張弁3であり、その具体的構造を以下詳述する。膨張弁3の内部機構を収容するハウジングは、第1、第2の2つのハウジング31、32で構成されており、この両ハウジング31、32はアルミニュウム等の軽量で、耐食性に優れた金属で形成されている。このハウジング31、32は図3に明示するように円柱形状の円柱軸方向に2つに分割された形状になっている。
【0023】
本例では、円柱形状を2等分せずに、円柱形状の中心より図3の上方側へ偏った位置で分割しているので、第1のハウジング31が第2のハウジング32より小さくなっている。図3の30は第1のハウジング31と第2のハウジング32の分割面を示す。
そして、上記第1および第2のハウジング31、32は、2本のボルト33、33により一体に、かつ脱着可能にねじ結合されている。ここで、ボルト33、33の頭部を前記分割面30近傍まで挿入するために、ボルト挿入穴33a、33aが両ハウジング31、32に開けられている。
【0024】
第1のハウジング31の車室R側の端面には、前記蒸発器21の出口側低圧冷媒回路23からの冷媒を第1のハウジング31内に流入させる第1の冷媒流入穴34が開けられており、またエンジンルームE側の端面には、前記蒸発器21出口からの冷媒を第1のハウジング31外に流出させる第1の冷媒流出穴35が開けられている。この第1の冷媒流出穴35は圧縮機10の吸入側冷媒回路13に接続されている。
【0025】
そして、これらの第1の冷媒流入穴34と第1の冷媒流出穴35との間に、この両穴34、35を連結する低圧側冷媒通路36が形成されている。
第1のハウジング31内には、この低圧側冷媒通路36に、連通穴37を介して連通する感温エレメント室38が形成されている。この室38は第1のハウジング31のうち前記分割面30側に位置して形成されている。この室38内には膨張弁3の感温エレメント39が移動可能に配設されている。
【0026】
この感温エレメント39は銅系金属等で形成された冷媒ガス封入筒40を有している。感温エレメント39は上記封入筒40が一体にろう付け等により接合された一方の金属製ダイヤフラムケース41、他方の金属製ダイヤフラムケース42、この両ケース41、42の間に挟持されて固定された金属製ダイヤフラム43を有している。これらの部材41、42、43は耐食性に優れたステンレスのような金属で形成され、溶接により一体に接合されている。
【0027】
一方のダイヤフラムケース41とダイヤフラム43とにより形成される感温室44に封入筒40の一端が開口しており、この感温室44と封入筒40から形成される密閉された空間内部には、空調装置の冷凍サイクル内を循環する冷媒と同一冷媒が封入されているので、感温室44内の圧力は、その周囲の冷媒温度に応じた飽和圧力を示すようになっている。
【0028】
すなわち、低圧側冷媒通路36を流れる冷媒の温度は、感温室44周囲の室38内に充満している冷媒を介して感温室44内の冷媒に伝達され、低圧側冷媒通路36を流れる冷媒の温度が低下したときは感温室44内の冷媒が凝縮して冷媒圧力が低下し、逆に低圧側冷媒通路36の冷媒温度が上昇すると、感温室44内の液相冷媒が蒸発して冷媒圧力が上昇する。このようにして、感温室44内の圧力は、低圧側冷媒通路36の冷媒温度に応じた飽和圧力を示す。
【0029】
また、他方のダイヤフラムケース42とダイヤフラム43とにより形成される下側の圧力室45には、ダイヤフラムケース42に設けた貫通穴46(図4参照)を介して室38の冷媒圧力(すなわち、蒸発器出口側の冷媒圧力)が導入されるようになっている。
また、上記圧力室45内には、ダイヤフラム43の変位に応じて変位する当接部材47が配設されており、この当接部材47はステンレス、アルミニュウム等の金属で円板状に形成され、この円板部の一方の面(上面)がダイヤフラム43に当接するようになっている。
【0030】
さらに、当接部材47の円板部の他方の面(下面)から一体に複数(本例では3本)の円柱状の脚部47aが形成されている。
ダイヤフラムケース42の前記貫通穴46は図4に示すように上記3本の円柱状の脚部47aが摺動可能に嵌合するように形成されており、そして当接部材47の円柱状脚部47aの先端(下端)は、第2のハウジング32のうちダイヤフラムケース42に対向する円形状の平面(前記室38の一部を区画形成する面)320に当接するようになっている。
【0031】
より具体的に述べると、当接部材47の円柱状脚部47aは、ダイヤフラムケース42が前記平面320に当接する前に、その先端が前記平面320に当接するように、その長さが設定(図4参照)されている。
一方、第2のハウジング32のエンジンルームE側の端面には第2の冷媒流入穴56が設けられており、この第2の冷媒流入穴56には、受液器12下流側に接続された高圧側液冷媒回路14からの冷媒が流入する。この流入冷媒は、膨張機構48の弁体50により開度が調整される絞り通路51を通過して減圧、膨張し、気液2相状態となる。
【0032】
第2のハウジング32の車室R側の端面には第2の冷媒流出穴57が設けられており、この第2の冷媒流出穴57から前記気液2相状態の冷媒が流出する。この第2の冷媒流出穴57は蒸発器21の入口側低圧冷媒回路24に接続されている。
前記弁体50は、ステンレスのような金属で球状に形成されており、この球状の弁体50には、ステンレスのような金属で形成された弁棒49の一端が溶接等により一体に接合されている。この弁棒49の他端は、前記した他方のダイヤフラムケース42に溶接、かしめ止め等により一体に連結されている。
【0033】
ここで、ダイヤフラムケース42と弁棒49は別部品を連結する構造とせずに、切削加工により一体部品として形成してもよい。
上記弁棒49は第2のハウジング32に設けられた穴321に摺動可能に嵌合しており、この弁棒49と穴321との嵌合部はOリング(弾性シール材)322により気密を保持するようになっている。
【0034】
ところで、前記した感温エレメント39のダイヤフラムケース41、42部分は、図1に示すように第1のハウジング31の内壁面と第2のハウジング32の間に配設され、第1のハウジング31と上部のダイヤフラムケース41との間に金属ばね材からなるコイルスプリング52が配設されている。
従って、第1のハウジング31と第2のハウジング32の組付時に、前記ボルト33、33の締めつけ力によりコイルスプリング52が弾性的に圧縮変形して、そのばね力がダイヤフラムケース41、42部分に作用することにより感温エレメント39に対して図1下方への押圧力を作用させている。
【0035】
この感温エレメント39の下方への押圧力は、弁体50に対して閉弁方向(絞り通路51の開度を減少させる方向)の力として作用することになる。
また、第1のハウジング31には第2のハウジング32側へ環状に突出する 突出部53が一体形成されており、この突出部53の外周面には環状の凹溝53aが形成され、この凹溝53a内にOリング54が嵌着されている。一方、第2のハウジング32には、上記突出部53の外周面に嵌合する環状の内周形状を持った突出部55が一体形成されており、これら両突出部53、55の嵌合構造とOリング54との組み合わせにより両ハウジング31、32間をシールするようになっている。
【0036】
なお、両ハウジング31、32の冷媒穴34、35、56、57はそれぞれ図示しない配管継手部材の接続用配管部を嵌入するため、円形の段付き穴形状に形成されており、この配管継手部材はそれぞれボルト(図示せず)により第1、第2ハウジング31、32に脱着可能にねじ止め固定されるようになっている。図3に示すねじ穴58、58は配管継手部材の固定用ボルトがねじ止めされる穴である。
【0037】
次に、上記構成において本実施形態の作動を説明する。
クーリングユニット2の蒸発器21で蒸発したガス冷媒は、出口側低圧冷媒回路23を経て第1のハウジング31の冷媒流入穴34より低圧側冷媒通路36に流入し、この通路36を通過する。このとき、通路36を通過する冷媒の温度が連通穴37、感温エレメント室38を介して感温室44に伝達され、この感温室44内の圧力はこの冷媒温度に対応した圧力となる。
【0038】
一方、ダイヤフラム43の下側の圧力室45には上記低圧側冷媒通路36の冷媒圧力が上記室38から貫通穴46を介して導入されている。いま、上記低圧側冷媒通路36の冷媒温度が上昇して、感温室44内の圧力が上昇すると、ダイヤフラム43は当接部材47の上面を図1の下方へ押圧する。
しかし、当接部材47の脚部47aが既に第2のハウジング32の円形平面320に当接しているので、当接部材47は図1下方へ移動できない。そして、当接部材47の脚部47aはダイヤフラムケース42の貫通穴46に摺動可能に嵌合しているので、前述の感温室44内の圧力上昇により生じる「ダイヤフラム43から当接部材47への押圧力」は、当接部材47の脚部47aと第2のハウジング32の円形平面320との当接部位を支点として、感温エレメント39全体を図1上方へ押し上げる力として作用することになる。
【0039】
感温エレメント39にはコイルスプリング52により図1下方へのばね力が作用しているので、感温エレメント39が図1上方へ移動することよりコイルスプリング52が圧縮され、そのばね力が増大し、このばね力と前記「ダイヤフラム43から当接部材47への押圧力」とが釣り合う位置まで、感温エレメント39が図1の上方へ移動する。
【0040】
感温エレメント39の下側のダイヤフラムケース42には弁棒49を介して弁体50が一体に連結されているので、感温エレメント39と一体になって弁棒49、弁体50が移動し、弁体50は図1上方への移動により絞り通路51の開度を増大し、この絞り通路51を通過する冷媒流量を増加して、蒸発器21出口におけるガス冷媒の過熱度を所定値に維持する。
【0041】
逆に、上記低圧側冷媒通路36の冷媒温度が低下して、感温室44内の圧力が低下したときは、上記「ダイヤフラム43から当接部材47への押圧力」が減少して、感温エレメント39全体がコイルスプリング52のばね力により図1下方へ押し下げられ、弁体50は絞り通路51の開度を減少させる。
蒸発器21出口におけるガス冷媒の目標過熱度は、コイルスプリング52のばね力の調整により変更できる。
【0042】
上記のように感温エレメント39と一体に弁体50が移動することにより、絞り通路51の開度が調整されて、蒸発器出口の冷媒過熱度が上記スプリング53のばね力により定まる所定値に維持される。
なお、図4(a)は下側のダイヤフラムケース42の上面が当接部材47の下面部に当接して、感温エレメント39の移動が停止している開弁状態を示し、図4(b)は球状の弁体50が円錐状の絞り通路51の内壁面に当接している閉弁状態を示している。
【0043】
ところで、冷媒は絞り通路51を通過するときに急激に減圧、膨張するので、この冷媒流れの影響を受けて弁体50は振動を生じる。しかし、本実施形態においては、上記したように、感温エレメント39のダイヤフラムケース41、42をハウジング31、32側に固定せず、感温エレメント39全体をハウジング31、32に対して移動可能となし、そして感温エレメント39全体の移動により弁体50を変位させて、絞り通路51の開度調整作用を行っているから、弁体50の振動が弁棒49より感温エレメント39のダイヤフラムケース41、42を経てハウジング31、32側に伝導することがほとんどない。
【0044】
また、弁棒49とハウジンク32の穴321との間には微少隙間が存在しているので、弁棒49からハウジンク32へ弁体50の振動が伝導することもほとんどない。従って、弁体50の振動に起因する騒音の発生を大幅に低減できる。
また、本実施形態では、温度作動式膨張弁3のハウジングを2分割して、第1、第2ハウジング31、32の間に感温エレメント39を組み込むことができるので、従来構造のごとくハウジング上部にシール機構を持った蓋を設置する必要がなく、そのため温度作動式膨張弁3の高さを従来構造に比して著しく低減できる。
【0045】
また、本実施形態では感温エレメント39のダイフラムケース41、42の上側に重ねるようにして、配管接続用の穴形状を持った冷媒流入、流出穴34、35を設けることができるので、ハウジング幅寸法も大幅に低減できる。
また、本実施形態によれば、低圧側冷媒通路36を、連通穴37を介して、感温エレメント39が配設されている室38に連通しているから、低圧側冷媒通路36の冷媒温度の変化に対して感温エレメント39の感温室44内の冷媒温度は若干遅れて変化する。そのため、感温室44内の冷媒ガスの圧力変化の応答も若干遅くなり、サイクルのハンチングを防止できる適切な応答性を持った膨張弁とすることができる。
【0046】
なお、前記連通穴37の径(断面積)、あるいは形状は自由に調整、変更できるので、この調整、変更により、冷凍サイクルの安定性に影響する感温エレメント39の応答性を容易に調整できる。
(第2実施形態)
図5、6はコイルスプリング52のばね力を膨張弁組付後に調整し設定できるようにした第2実施形態であり、そのために調整ねじ60をコイルスプリング52の一端(上端)側に配設するようにしたものである。
【0047】
この調整ねじ60は、図6に拡大図示するようにフランジ状(円板状)のばね押さえ面60aと、この面60aより外径を小さくした雄ねじ部60bと、6角状の工具挿入穴60cとを有する形状に形成されている。工具挿入穴60cは前記連通穴37を形成する役割も兼ねている。
調整ねじ60の雄ねじ部60bは、ハウジング31の連通穴37部分に形成された雌ねじ部61にねじ止めされるようになっている。そして、調整ねじ60の工具挿入穴60cに図示しない工具を挿入して、調整ねじ60のねじ止め位置を調整することより、コイルスプリング52のばね力を膨張弁組付後に調整することができる。
(第3実施形態)
図7は感温エレメント39を変更した第3実施形態を示しており、感温室44内の上部空間に粒状の活性炭からなる吸着材44aを収納し、この吸着材44aを吸着材ガイド44bにより保持している。この吸着材ガイド44bはダイヤフラムケース41に固着されており、複数のスリット44cを有している。このスリット44cを通して感温室44内の冷媒ガスが吸着材44a側の空間に入出し得るようになっている。
【0048】
本実施形態では、感温室44において感知される冷媒温度に応じて、吸着材44aへの冷媒ガス吸着量が変化して、感温室44内の圧力が変化するようにしたものである。本発明はこのような吸着チャージ方式のものでも同様に実施できる。
(第4実施形態)
図8、9は本発明を蒸発圧力調整弁(EPR)70を有する冷凍サイクルに適用する場合であり、蒸発圧力調整弁70は周知のごとく蒸発器21における蒸発圧力を所定値以上に維持するように蒸発器21出口側の低圧通路23の絞り度を調整して、蒸発器21のフロストを防止するものである。
【0049】
この蒸発圧力調整弁70を有する冷凍サイクルにおいて、蒸発圧力調整弁70出口側の冷媒圧力を、感温エレメント39のダイヤフラム下側の圧力室45に導入するために、本第4実施形態では以下の構成を採用している。
すなわち、感温エレメント39において、上側のダイヤフラムケース41の中央部に円筒部41aを一体形成し、この円筒部41a内に、前記吸着材44aおよび吸着材ガイド44bを配設するとともに、この円筒部41aの外周部に対向する第1ハウジンク31の内壁面に凹溝71を設け、この凹溝71内にOリング(シール部材)72を配設している。
【0050】
このOリング72を円筒部41aの外周部に圧着させることより、感温エレメント室38と低圧側冷媒通路36との間を気密に遮断している。上側のダイヤフラムケース41の円筒部41aの上面が低圧側冷媒通路36に直接、面することにより低圧側冷媒通路36を流れる冷媒の温度が上側のダイヤフラムケース41の円筒部41aに伝導して、感温室44内の圧力が変化するようになっている。
【0051】
一方、第2ハウジング32には、蒸発圧力調整弁70出口側の冷媒圧力を導入するためのキャピラリチューブ(図示せず)を接続する接続穴73(図9参照)が設けてあり、さらにこの接続穴73はダイヤフラム41、42周囲の感温エレメント室38に連通するように形成されている。
従って、蒸発圧力調整弁70出口側の冷媒圧力を、前記キャピラリチューブ(図示せず)から接続穴73、感温エレメント室38、および貫通穴46を経てダイヤフラム下側の圧力室45に導入することができる。
【0052】
これにより、冷凍サイクルの低負荷時に、蒸発圧力調整弁70で減圧された一段と低い冷媒圧力が圧力室45に導入されて、弁体50の開度が増大するので、蒸発圧力調整弁70の絞り作用による圧縮機10へのオイル戻り悪化を防止できる。
(第5実施形態)
図10は膨張弁3のハウジング構造を変更した第5実施形態を示しており、本例では膨張弁3のハウジングとして、1つの円筒状もしくは直方体状のブロックからなるハウジング本体300を有し、このハウジング本体300の上部開口部301を蓋部材302にて閉塞するようにしている。
【0053】
この蓋部材302の下面にはコイルスプリング52の上端を支持する円形凹部303が形成され、上面には工具係止用の凹溝304が形成されている。また、蓋部材302の小径部外周には雄ねじ305が形成されており、この雄ねじ305をハウジング本体300の雌ねじ306にねじ込むことにより蓋部材302がハウジング本体300に固定されるようになっている。
【0054】
蓋部材302の大径部外周にはリング状の凹溝307が形成され、この凹溝307にOリング308を嵌着することにより蓋部材302とハウジング本体300との間の気密を保持するようになっている。
本例では、蓋部材302がコイルスプリング52のばね力を調整する調整ねじとしての役割を兼ねている。また、感温エレメント室38は、ダイヤフラムケース41、42を収納するため、このダイヤフラムケース41、42の外径より若干大きい内径のまま、直接、低圧側冷媒通路36に開口しており、そして前記上部開口部301の内径は感温エレメント室38の内径より若干大きくしてある。
(第6実施形態)
図11は感温エレメント39における圧力室45と感温エレメント室38との連通構造を変更した第6実施形態を示しており、本例では当接部材47の脚部47aが貫通するダイヤフラムケース42の貫通穴46の径を減少して、貫通穴46の役割から、圧力室45と感温エレメント室38とを連通させる役割を除去して、この役割をダイヤフラムケース42に設けた専用の連通穴42aに持たせるようにしたものである。この構成によっても、同様の作用効果を発揮できることはもちろんである。
(第7実施形態)
第7実施形態はコイルスプリング52のばね力を調整する機構に関するもので、図12に示すように、前述の第2実施形態における調整ねじ60をさらに変形した調整ねじ80を備えており、本例の調整ねじ80は図13に示すように例えばステンレスのような耐食性に優れた金属を2段階にわたって湾曲させた椀状の形状にプレス成形したものである。
【0055】
この椀状の調整ねじ80の底部81の中心部には円形穴82が開けてあり、この円形穴82を通して低圧側冷媒通路36が感温エレメント室38に連通するようになっている。また、調整ねじ80の底部81の内側面にてコイルスプリング52の一端(上端)を支持するようになっている。
また、調整ねじ80の大径円筒面83は第2のハウジング32の内周に嵌合する大きさに設定されており、そして、この大径円筒面83の外周側には雄ねじ84が形成してある。一方、第2のハウジング32の内周面には、上記大径円筒面83の外周側の雄ねじ84が噛み合う雌ねじ325が形成してある。
【0056】
第7実施形態の構成によれば、感温エレメント39を第2のハウジング32内に組付た後に、コイルスプリング52を感温エレメント39に対して配置し、その後に、コイルスプリング52の一端を押圧しながら、調整ねじ80を第2のハウジング32の内周面の雌ねじ325にねじ込み、コイルスプリング52の一端(上端)位置を調整することにより、コイルスプリング52の設定荷重を調整できる。
【0057】
上記調整ねじ80によるコイルスプリング52の設定荷重調整後に、第2のハウジング32に対して第1のハウジング31を組付ける。
(第8実施形態)
第8実施形態は上記第7実施形態の調整ねじ80を図14に示すように変形して、図15に示す組付構造を採用するものである。この図14の例では調整ねじ80を板金のプレス成形でなく、切削加工による削り出しで形成するようにしている。一方、図15に示すように、第2のハウジング32に比較的厚肉の円筒状突出部323を設け、この突出部323の外周側に環状の凹溝324を形成し、この環状の凹溝324にOリング54を嵌着するようにしている。そして、このOリング54の外周側に第1のハウジング31の円筒状突出部310を組付ける。
【0058】
また、突出部323の内周側に雌ねじ325を形成して、この雌ねじ325に調整ねじ80の雄ねじ84をねじ込んで、コイルスプリング52の設定荷重を調整する。他の点は第7実施形態と同じである。
(第9実施形態)
図16、17に示す第9実施形態は膨張弁3の組付終了後にコイルスプリング52の設定荷重を調整できるようにしたものであり、本例では図17に示すような円筒カップ形状に成形された金属製のスプリング押さえ部材90を用いており、このスプリング押さえ部材90はその底部に小径の円形突出部91を形成し、また円筒部92にはその内外を連通する複数の窓部93が開けてある。さらに、円筒部92の端部には、コイルスプリング52の一端を支持するように半径方向の外方に延びる環状部94が形成されている。
【0059】
一方、第1のハウジング31の天井部のうち、スプリング押さえ部材90の小径の円形突出部91の先端が対向する部位に、凹部311を形成するとともに、この凹部311の底面に円形突出部91の先端が当接するようにしてある。また、凹部311の底面はプレス機械による押圧力にて変形しやすいように、第1のハウジング31の天井部の他の部分より薄肉(例えば、2mm程度)にしてある。つまり、本例では、凹部311の底面部が「押圧変形可能な壁面」を形成している。
【0060】
以上により、第1のハウジング31の天井部の凹部311にプレス機械の押圧力を加えて、凹部311を予め設定した所定量だけ図16の下方側(スプリング押さえ部材90側)へ押圧変形することにより、スプリング押さえ部材90が下方側へ変位してコイルスプリング52の設定荷重を調整できる。
なお、スプリング押さえ部材90の円筒部92に設けた複数の窓部93は低圧側冷媒通路36を流れる冷媒の流通抵抗を低減する役割を果たす。
(第10実施形態)
図18は第10実施形態を示すもので、第9実施形態と同様に、第1のハウジング31の天井部の凹部311を押圧変形してコイルスプリング52の設定荷重を調整するものであるが、本例では、凹部311の変形によりコイルスプリング52が直接圧縮変位するようになっている。
【0061】
すなわち、ダイヤフラムケース41に、上記凹部311に向かって延びる円筒部41aを一体成形し、この円筒部41aの上端面と凹部311との間にコイルスプリング52を配設することにより、凹部311の変形にてコイルスプリング52が直接圧縮変位して、コイルスプリング52の設定荷重を調整できる。
このように、コイルスプリング52の設定荷重の調整は種々の形態で実施可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態の膨張弁を示すもので、冷凍サイクル構成を含む断面図である。
【図2】図1の膨張弁の上面図である。
【図3】図1の膨張弁の正面図である。
【図4】第1実施形態の膨張弁の要部拡大断面図である。
【図5】本発明の第2実施形態の膨張弁を示すもので、冷凍サイクル構成を含む断面図である。
【図6】(a)、(b)は本発明の第2実施形態に用いる調整ねじ60の平面図、正面図である。
【図7】本発明の第3実施形態の膨張弁を示すもので、冷凍サイクル構成を含む断面図である。
【図8】本発明の第4実施形態の膨張弁を示すもので、冷凍サイクル構成を含む断面図である。
【図9】図8の膨張弁の正面図である。
【図10】本発明の第5実施形態の膨張弁を示すもので、冷凍サイクル構成を含む断面図である。
【図11】本発明の第6実施形態の膨張弁を示す要部拡大断面図である。
【図12】本発明の第7実施形態の膨張弁を示す断面図である。
【図13】(a)は第7実施形態における調整ねじの平面図、(b)はこの調整ねじの断面図である。
【図14】(a)は本発明の第8実施形態における調整ねじの平面図、(b)はこの調整ねじの断面図である。
【図15】本発明の第8実施形態の膨張弁を示す断面図である。
【図16】本発明の第9実施形態の膨張弁を示す断面図である。
【図17】(a)は本発明の第9実施形態におけるスプリング押さえ部材の平面図、(b)はこのスプリング押さえ部材の断面図である。
【図18】本発明の第10実施形態の膨張弁を示す断面図である。
【符号の説明】
1…凝縮用機器群、2…クーリングユニット、21…蒸発器、
3…温度式膨張弁、31、32…第1、第2のハウジング、
36…低圧冷媒通路、38…感温エレメント室、39…感温エレメント、
41、42…ダイヤフラムケース、43…ダイヤフラム、44…感温室、
45…圧力室、46…貫通穴、47…当接部材、47a…脚部、48…膨張機構、49…弁棒、50…弁体、51…絞り通路、52…コイルスプリング。
Claims (10)
- 冷凍サイクルの蒸発器出口における冷媒の過熱度に応答して、高圧側液冷媒回路から流入する冷媒を減圧し、膨張させる温度式膨張弁であって、
ハウジング部材と、
このハウジング部材に設けられ、前記高圧側液冷媒回路から流入する冷媒を減圧し膨張させる絞り通路と、
前記ハウジング部材に設けられ、前記絞り通路の開度を調整する弁体と、
前記ハウジング部材内に、移動可能に収納された感温エレメントとを具備し、
この感温エレメントのケースには、前記蒸発器出口の冷媒温度および前記蒸発器出口の冷媒圧力に応じて変位する圧力応動部材が内蔵されており、
前記感温エレメントのケースには前記弁体が一体に連結されており、
前記圧力応動部材の変位に従って前記感温エレメントと前記弁体が一体になって移動するように構成されていることを特徴とする温度式膨張弁。 - 冷凍サイクルの蒸発器出口における冷媒の過熱度に応答して、高圧側液冷媒回路から流入する冷媒を減圧し、膨張させる温度式膨張弁であって、
ハウジング部材と、
このハウジング部材に設けられ、前記高圧側液冷媒回路から流入する冷媒を減圧し膨張させる絞り通路と、
前記ハウジング部材に設けられ、前記絞り通路の開度を調整する弁体と、
前記ハウジング部材内に、移動可能に収納された感温エレメントとを具備し、
この感温エレメントには、前記蒸発器出口の冷媒温度に応じた圧力を発生する感温室と、
前記蒸発器出口の冷媒圧力に応じた圧力が導入される圧力室と、
前記感温室と前記圧力室とを仕切るように配設され、この両室の圧力に応じて変位する圧力応動部材と、
この圧力応動部材を保持固定するとともに前記感温室および前記圧力室を形成するエレメントケースとが備えられており、
このエレメントケースの外面には、ばね力を作用するスプリング部材が配設されており、
前記エレメントケースには前記弁体が一体に連結されており、
前記圧力応動部材の変位に従って前記エレメントケースと前記弁体が一体になって移動するように構成されていることを特徴とする温度式膨張弁。 - 前記スプリング部材は、前記エレメントケースを前記弁体の閉弁方向に押圧するように構成されていることを特徴とする請求項2に記載の温度式膨張弁。
- 前記ハウジング部材には、前記蒸発器出口からの冷媒が流れる低圧冷媒通路が形成されており、
前記感温室の周囲には、前記低圧冷媒通路に連通する感温エレメント室が形成され、
前記エレメントケースには、前記感温エレメント室の圧力を前記圧力室内に導入する圧力導入手段が備えられていることを特徴とする請求項2または3に記載の温度式膨張弁。 - 前記圧力室内には、前記圧力応動部材に当接する当接部材が配設されており、
この当接部材には前記エレメントケースを摺動可能に貫通して前記ハウジング部材の内壁面に当接する脚部が備えられており、
前記ハウジング部材の内壁面と前記脚部との当接部位を支点として、前記エレメントケースと前記弁体が一体になって移動するように構成されていることを特徴とする請求項2ないし4のいずれか1つに記載の温度式膨張弁。 - 前記当接部材の前記脚部が摺動可能に貫通するように、前記エレメントケースには貫通穴が設けられており、
この貫通穴により、前記蒸発器出口の冷媒圧力に応じた圧力が前記圧力室内に導入されるようにしたことを特徴とする請求項5に記載の温度式膨張弁。 - 前記ハウジング部材にねじ止めされた調整ねじを有し、
この調整ねじにて前記スプリング部材の一端を位置調整可能に支持することを特徴とする請求項2または3に記載の温度式膨張弁。 - 前記スプリング部材の一端を支持するスプリング押さえ部材を有し、
このスプリング押さえ部材の一部を前記ハウジング部材の押圧変形可能な壁面に対向配置し、
この壁面を押圧変形することにより前記スプリング押さえ部材の位置を変更できるようにしたことを特徴とする請求項2または3に記載の温度式膨張弁。 - 前記ハウジング部材に押圧変形可能な壁面を形成し、
この壁面にて前記スプリング部材の一端を支持し、
前記壁面を押圧変形することにより前記スプリング部材の一端の位置を変更できるようにしたことを特徴とする請求項2または3に記載の温度式膨張弁。 - 請求項1ないし9のいずれか1つに記載の温度式膨張弁と、 エンジンルーム内に装着され、冷媒を圧縮し、吐出する圧縮機およびこの圧縮機から吐出されたガス冷媒を冷却し、凝縮する凝縮器を含む凝縮用機器群と、車室内に装着され、前記温度式膨張弁にて減圧し、膨張した冷媒を蒸発する蒸発器を有し、この蒸発器にて空調空気を冷却するクーリングユニットとを備えることを特徴とする自動車空調用冷凍サイクル。
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