JP3636615B2 - 電力変換装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、自己消弧型半導体素子のスイッチングを制御して電力を変換する電力変換装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
現在、電力変換装置を構成するために自己消弧型半導体素子が適用されている。例えば、大容量の自己消弧型半導体素子としてはゲートターンオフサイリスタ(GTO)やゲート転流型ターンオフサイリスタ(GCT)などが挙げられる。
【0003】
まず、GTOやGCTがゲート電極とカソード電極に印加される順/逆バイアス電圧によって起るスイッチング動作について説明する。
図17はGTOあるいはGCT(ここでは、総称してターンオフサイリスタと呼ぶ)を示す素子構造図であり、図において、Aはアノード電極、Kはカソード電極、Gはゲート電極である。
【0004】
初期状態としてゲート電極Gとカソード電極Kとの間に逆バイアス電圧が印加されたオフ状態において、アノード電極Aとカソード電極Kとの間に順方向電圧が印加されている状態を仮定する。この状態からゲート電極Gとカソード電極Kとの間に順バイアス電圧が印加された場合には、J2接合が逆バイアス状態となり、印加電圧に対応してキャリアを排出した空乏層がJ2接合からpベース層およびnベース層へ拡がる。このときゲート電極Gに向かって流れる電流をオンゲート電流と呼ぶ。
【0005】
オンゲート電流が流れるとnエミッタ層より電子がpベース層に注入される。この注入された電子がnpnトランジスタ部分のベース電流源となって動作するとともに、2つのトランジスタnpn、pnpの正帰還作用によりターンオフサイリスタはオン状態となる。オン状態では各エミッタから各ベースに少数キャリアが注入され、導通電流に対応して各ベースに過剰キャリアが蓄積する。このようなオフ状態からオン状態への動作をターンオン動作と呼ぶ。
【0006】
次に、ゲート電極Gとカソード電極Kとの間に逆バイアス電圧を印加した場合には、ターンオフサイリスタ内部では、オン状態でpベース層に蓄積していた過剰キャリアをゲート電極Gから外部に強制排出する。このときゲート電極Gから流れ出る電流をオフゲート電流と呼ぶ。
pベース層の過剰キャリアの引き出しを終えると、J2接合とJ3接合が逆回復してターンオフサイリスタがオフ状態となる。このようなオン状態からオフ状態への動作をターンオフ動作と呼ぶ。
なお、ゲート電極Gに直接接続されないnベース層の過剰キャリアはJ2接合回復時のテール電流としてゲート電極Gから排出されながら消滅する。
【0007】
GTOはターンオフゲイン(遮断電流に対するゲート電流の比)が3から5程度に選ばれるのに対し、GCTは遮断すべき電流の全てを急速にゲート駆動回路(ゲート電極Gとカソード電極Kとの間に接続される)に転流させて、ターンオフゲイン1でターンオフ動作するものである。
ここで注意すべきは、前述したようにGTOとGCTは共にpnpn4層構造を持っており素子構造や動作原理は同じであり、異る点はスイッチング動作の速さである。GTOに比べてGCTは10倍以上の高速スイッチング動作が可能である。現在、GTO、GCTは共に6インチシリコンウエハの適用により6.0kV、6.0kAの定格を持つものが存在し、今後も更なる定格の向上が予測されている。これらを比較した場合に6kA遮断時の蓄積時間を例に採れば、6インチGTOの場合は30μs程度を要するのに対し、6インチGCTの場合は3μs程度となる。
【0008】
図18は例えば特開平8−223905号公報に示された従来の電力変換装置を示す構成図であり、図において、1,2は自己消弧型半導体素子であるGTO、3は直流電源、4は電力変換装置に対して負荷を接続する出力端子、5はオンオフ制御回路6から受けるスイッチング信号にしたがってGTO1をスイッチングするゲート駆動回路である。
なお、図面を簡略化するため図18には記載していないが、ゲート駆動回路5と同様のゲート駆動回路がGTO2にも接続されている。
【0009】
6はスイッチング信号をゲート駆動回路5に供給するオンオフ制御回路、7,8は外部電源により充電される順逆一対の電源部、9は外部電源の停電を検知するとターンオフゲート信号を出力する停電検出部、10はオンオフ制御回路6から受けるスイッチング信号にしたがってGTO1のゲート電極Gとカソード電極K間に順電圧又は逆電圧を印加してGTO1をスイッチングする一方、停電検出部9がターンオフゲート信号を出力するとGTO1のゲート電極Gとカソード電極K間に逆電圧を印加してターンオフを実行するオン/オフ信号合成部である。
【0010】
11は抵抗、12は開閉接点、13は逆バイアス電圧を印加するためのバックアップコンデンサ、14はバックアップコンデンサ13の充電電圧である逆バイアス電圧が低下すると開閉接点12をオンして、GTO1のゲート電極Gとカソード電極K間を抵抗短絡する逆バイアス低下検出部である。
【0011】
次に動作について説明する。
従来の電力変換装置は、高信頼度化を図るため、GTO1,2におけるアノード電極Aとカソード電極K間の電圧低下を未然に防止する機能を備えている。
【0012】
具体的には、ゲート駆動回路5のオン/オフ信号合成部10は、外部電源が停電していない通常時においては、オンオフ制御回路6から受けるスイッチング信号にしたがってGTO1のゲート電極Gとカソード電極K間に順電圧又は逆電圧を印加してGTO1をスイッチングする。
ただし、通常時においては、外部電源が停電しても、直流電源3の電圧が減衰するまでの間、アノード電極Aとカソード電極K間の電圧低下を未然に防止するため、停電検出部9はバックアップコンデンサ13を充電する。
【0013】
外部電源の停電が発生して停電検出部9が停電を検出すると、ターンオフゲート信号をオン/オフ信号合成部10に出力する。
オン/オフ信号合成部10は、停電検出部9からターンオフゲート信号を受けると、GTO1のゲート電極Gとカソード電極K間に逆電圧を印加してターンオフを実行する。
【0014】
その際、アノード電極Aとカソード電極K間の電圧低下を防止するため、即ち、2V程度の逆バイアス電圧をゲート電極Gとカソード電極K間に印加するため、バックアップコンデンサ13が充電電圧を放電する。
ただし、逆バイアス低下検出部14は、バックアップコンデンサ13の充電電圧である逆バイアス電圧が低下すると開閉接点12をオンして、GTO1のゲート電極Gとカソード電極K間を抵抗短絡する。
【0015】
このように、電力変換装置の高信頼度化を図る場合、許容アノード・カソード間の電圧低下を未然に防ぐことも必要ではあるが、実際問題としては、外部電源に適当な無停電電源を備えるなどすれば、さらに確実に防止することができるので、許容アノード・カソード間の電圧低下による電力変換装置の故障発生頻度は極めて少ないと言える。
【0016】
一方、GTOやGCTを用いた電力変換装置における発生頻度の比較的高い故障はターンオフ失敗による直流電源3の短絡事故である。
図19には例えば図18のGTO1,2に与えられるスイッチング信号SWa,SWbを示している。
【0017】
例えば、GTO2にオフ指令が与えられる時刻T1から、GTO1にオン指令が与えられる時刻T2までの期間は短絡防止時間Tdと呼ばれており、GTO1とGTO2がスイッチング動作の過渡的な状態において同時にオンして、直流電源3の電源短絡を防止するための時間である。
【0018】
スイッチング信号SWa,SWbは、互いに共役な関係でオンオフが繰り返される。ここで、時刻T1においてGTO2がターンオフに失敗したのち、時刻T2においてGTO1にオン指令が与えられると、GTO1とGTO2により直流電源3を完全に短絡させてしまう。この短絡電流は数10kA以上にも達するため、その短絡電流の遮断には、もはやGTO1,2を使用することができず、しばしばヒューズなどが用いられることがある。
【0019】
【発明が解決しようとする課題】
従来の電力変換装置は以上のように構成されているので、直流電源3の短絡事故を防止するため短絡防止時間Tdを設けているが、GTO1,2の素子故障を未然に検出することができないため、直流電源3の短絡事故を確実に防止することが困難であるなどの課題があった。
【0020】
この発明は上記のような課題を解決するためになされたもので、直流電源の短絡事故を確実に防止することができる電力変換装置を得ることを目的とする。
【0021】
【課題を解決するための手段】
この発明に係る電力変換装置は、制御手段が自己消弧型半導体素子のターンオフの実行を開始すると、自己消弧型半導体素子のゲート電極とカソード電極間の電圧が閾値を超えるまでに要する時間を計測し、その時間から自己消弧型半導体素子の遮断電流を推定するようにしたものである。
【0022】
この発明に係る電力変換装置は、制御手段がターンオフの実行を開始すると、ゲート電圧比較部の比較結果を参照して、そのゲート電極とカソード電極間の電圧が閾値を超えるまでに要する時間を計測し、その時間から遮断電流を判定するようにしたものである。
【0023】
この発明に係る電力変換装置は、遮断電流が基準電流を超えると制御手段に対してスイッチングの停止を指示するようにしたものである。
【0032】
この発明に係る電力変換装置は、ゲート転流型ターンオフサイリスタを用いて自己消弧型半導体素子を構成するようにしたものである。
【0033】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の一形態を説明する。
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1による電力変換装置を示す構成図であり、図において、21,22は自己消弧型半導体素子であるGCT、23は直流電源、24は電力変換装置に対して負荷を接続する出力端子、25はスイッチング信号を出力するパルス発生回路(制御手段)、26,27はパルス発生回路25から受けるスイッチング信号にしたがってGCT21,22のゲート電極Gとカソード電極K間に順電圧又は逆電圧を印加して、GCT21,22をスイッチングするゲート駆動回路(制御手段)である。
【0034】
28,29はゲート駆動回路26,27がGCT21,22のターンオフを実行する際、GCT21,22のゲート電極Gとカソード電極K間の電圧変化を監視して、GCT21,22の遮断電流を推定するとともに、その遮断電流が基準電流を超えるとパルス発生回路25に対してスイッチングの停止を指示する遮断電流推定回路(遮断電流推定手段)である。
なお、図1には例えばGCT21,22に対して逆並列に接続されるフリーホイールダイオードなどが記述されていないが、少なくとも実施の形態1を説明するために必要不可欠な構成は示されている。
【0035】
この実施の形態1による電力変換装置の動作をする前に、GCT21又はGCT22が電流を遮断するターンオフ動作におけるゲート電極Gとカソード電極K間の電圧特性を説明する。
図2はGCT21又はGCT22のターンオフ動作の各部波形を示している。図において、Vgはゲート電極Gとカソード電極K間の電圧、Vakはアノード電極Aとカソード電極K間の電圧、Iaはアノード電極Aを導通する電流、Ikはカソード電極Kを導通する電流、Igはゲート電極Gを導通する電流である。
【0036】
図3はGCT21,22のアノード電極Aから直接カソード電極Kに至る経路Aに流れる導通電流を全てアノード電極Aからゲート電極Gを介してカソード電極Kに至る経路Bに転流させるゲート転流型ターンオフ方式を図解している。
GCT21,22ではターンオフゲインが1であるため(図2においてIkとIgが等しい)、経路Bに流れる電流値が初期状態の経路Aに流れている電流値と等しくなる。即ち、矢印Cの向きに流れる電流がゼロ又はそれ以上となれば、図17に示すJ3接合が逆バイアスされて、全ての導通電流がゲート電極Gへの転流を完了したことになる。つまり、この動作が完了すれば、GCT21がターンオフゲイン1の条件下で安全なターンオフ動作が保証されたことになる。
【0037】
更に、ゲート電極Gとカソード電極K間の電圧波形を遮断電流の大きさを変えて計測した結果、図4の様な特性を見い出すことができた。その特性とはターンオフ動作時のJ3接合のリカバリー動作により発生する逆バイアス電圧がゲート電極Gとカソード電極K間の電圧波形に特徴的に現れ、かつ、その逆バイアス電圧が現れる時間は遮断電流が増加するにつれて比例的に遅延時間を持つということである。
【0038】
これらの事実を踏まえて、図1に示す遮断電流推定回路28,29の具体的構成及び動作を図5、図6、図7に併せて説明する。
図5は遮断電流推定回路28,29の具体的構成を示す構成図であり、図において、31はゲート電極Gの電圧とカソード電極Kの電圧を入力して、ゲート電極Gからみたカソード電極Kの電位と閾値Vthを比較し、その電位が閾値Vthより大きければHレベルの信号を出力する一方、その電位が閾値Vthより小さければLレベルの信号を出力するゲート電圧比較部であり、ゲート電圧比較部31は直流電源とコンパレータから構成されている。32はパルス発生回路25が出力するスイッチング信号S0がオン指令からオフ指令に変更されてから所望の遅れ時間の後、ある一定の幅を有するHレベルの信号を出力するゲート電圧検出時間設定回路(遮断電流判定部)である。
【0039】
33はパルス発生回路25がオフ指令を示すスイッチング信号S0(Lレベルの信号)を出力する間、ゲート電圧検出時間設定回路32の出力信号S1〜S4とゲート電圧比較部31の出力信号を突き合わせることにより、ゲート電圧比較部31がHレベルの信号を出力するとき、Hレベルになるゲート電圧検出時間設定回路32の出力信号を検出するゲート電圧検出回路(遮断電流判定部)であり、ゲート電圧検出回路33は複数のAND回路とフリップフロップから構成されている。34はゲート電圧検出回路33の検出結果である出力信号D1〜D4に基づいて遮断電流を判定する遮断電流判定回路(遮断電流判定部)である。
【0040】
次に動作について説明する。
図6の上部には遮断電流に対するゲート電極Gとカソード電極K間の電圧変化を模式的に示し、図6の下部には予めゲート電極Gとカソード電極K間の電圧変化を知ることにより定めることができるゲート電圧検出時間設定回路32の出力信号S1〜S4を示している。
ここでは、時刻T5は2kA、T6は3kA、T7は4kA、T8は5kA、T9は6kAを遮断した場合にGCT21またはGCT22のJ3接合が逆バイアス電圧を発生する時刻を示しており、何れもオフ指令が与えられた時点をT0=0とする。
【0041】
例えば、出力信号S1がHレベルの期間、即ち、時刻T5からT6において、ゲート電圧比較部31がゲート電極Gとカソード電極K間の電圧が閾値Vthを超えてJ3接合の逆バイアス電圧を検出すれば、ゲート電圧検出回路33の出力信号D1はHレベルとなりラッチされる。
【0042】
Hレベルの出力信号D1が持つ意味は、遮断電流推定回路28または遮断電流推定回路29が接続されたGCT21またはGCT22が3kA以下の電流を遮断したということである。
出力信号D2〜D4も同様であるため、遮断電流判定回路34が図7に示すようなテーブルを持つならば、ゲート電圧検出回路33の出力信号D1〜D4からGCT21,22の遮断電流を推定することができる。つまり、ゲート電極Gとカソード電極K間の電圧変化からGCT21,22の遮断電流を推定することができる。
【0043】
したがって、仮にGCT21,22に流れる最大電流(基準電流)が5kAであるならば、遮断電流推定回路28,29が、遮断電流が5kAを超えたものと推定する場合(図7ではD1〜D3がLレベルであってD4がHレベルの場合、または、D1〜D4の全てがLレベルの場合)、電力変換装置が何らかの異常により最大電流を超えた電流を流していると判断することができる。
【0044】
そこで、この実施の形態1では、遮断電流推定回路28,29が、遮断電流が基準電流を超えたものと推定すると、パルス発生回路25に対してスイッチングの停止を指示し、電力変換装置の運転を停止させる。
【0045】
以上で明らかなように、この実施の形態1によれば、GCT21,22のゲート電極Gとカソード電極K間の電圧変化を監視して、GCT21,22の遮断電流を推定するように構成したので、万一何らかの事故が発生しても、電力変換装置の運転を停止することができるようになり、その結果、事故の拡大を防止することができるため、電力変換装置の信頼度を高めることができる効果を奏する。
【0046】
なお、この実施の形態1では、図5の説明を簡潔にするために、遮断電流の推定値の幅を1kAとしたが、例えば、高速抽出回路を用いて電流幅をより狭くして遮断電流の推定値の正確度を上げることができることは言うまでもない。また、実施の形態1が意図するところはゲート電極Gとカソード電極K間の電圧変化に基づいてGCTの遮断電流を推定することと、推定結果に従って電力変換装置の運転を停止することであり、その意図する範囲で図示しない他の構成でもって同様の結果を得ることができることは理解されるべきである。
【0047】
実施の形態2.
図8はこの発明の実施の形態2による電力変換装置を示す構成図であり、図において、図1と同一符号は同一または相当部分を示すので説明を省略する。
41,42はゲート駆動回路26,27がGCT21,22のターンオフを実行する際、GCT21,22のゲート電極Gとカソード電極K間の電圧変化を監視して、GCT21,22のアノード電極Aから直接カソード電極Kに流れる全電流がゲート電極Gを介して流れるように変化する転流の状態を推定するとともに、ゲート駆動回路26,27がターンオフの実行を開始してから検出時間を経過しても転流が完了しない場合には、パルス発生回路25に対してスイッチングの停止を指示する転流状態推定回路(転流状態推定手段)である。
【0048】
図9は転流状態推定回路41,42の具体的構成を示す構成図であり、図において、51はゲート電極Gの電圧とカソード電極Kの電圧を入力して、ゲート電極Gからみたカソード電極Kの電位と閾値Vthを比較し、その電位が閾値Vthより大きければHレベルの信号を出力する一方、その電位が閾値Vthより小さければLレベルの信号を出力するゲート電圧比較部であり、ゲート電圧比較部51は直流電源とコンパレータから構成されている。
【0049】
52はパルス発生回路25が出力するスイッチング信号S0がオン指令からオフ指令に変更されてから所望の時間幅を有するHレベルの信号S5を出力するゲート電圧検出時間設定回路(転流状態判定部)、53はパルス発生回路25がオフ指令を示すスイッチング信号S0(Lレベルの信号)を出力する間、ゲート電圧検出時間設定回路52の出力信号S5とゲート電圧比較部51の出力信号を突き合わせることにより、ゲート電圧比較部51の出力信号とゲート電圧検出時間設定回路52の出力信号S5が同時にHレベルになるとラッチして、スイッチング信号がオンの条件でリセットするゲート電圧検出回路(転流状態判定部)であり、ゲート電圧検出回路53はAND回路とフリップフロップから構成されている。
【0050】
次に動作について説明する。
上記実施の形態1では、GCT21,22のゲート電極Gとカソード電極K間の電圧変化を監視して、GCT21,22の遮断電流を推定するものについて示したが、GCT21,22のゲート電極Gとカソード電極K間の電圧変化を監視して、転流状態を推定するようにしてもよい。具体的には以下に示す通りである。
【0051】
GCT21,22のターンオフを実行する際、図17に示すJ3接合が逆バイアスされて全ての導通電流がゲート電極Gを介する経路Bに転流を完了すれば、J3接合のリカバリー動作により発生する逆バイアス電圧がゲート電極Gとカソード電極K間の電圧波形に現れることは、既に図2に示している。
【0052】
次に、図6の上部には遮断電流に対するゲート電極Gとカソード電極K間の電圧変化を模式的に示している。図6の下部には予めゲート電極Gとカソード電極K間の電圧変化を知ることにより定めることができるゲート電圧検出時間設定回路52の出力信号S5を示している。
【0053】
ここでは、時刻T10は、好ましくは電力変換装置を構成するGCT21,22が遮断する可能性のある最大電流値を遮断した場合にJ3接合が逆バイアス電圧を発生する時刻とすべきである。このときスイッチング信号S0がオン指令からオフ指令に変化した時点を時刻T0=0とする。
ゲート電圧検出時間設定回路52の出力信号S5がHレベルの期間、即ち、時刻T0からT10において、ゲート電極Gとカソード電極K間の電圧が閾値Vthを超えてJ3接合の逆バイアス電圧を検出すれば、ゲート電圧検出回路53の出力信号D5はHレベルとなりラッチされる。
【0054】
Hレベルの出力信号D5が持つ意味は、GCT21,22が、電力変換装置が扱う範囲の電流を遮断して、遮断電流が完全にゲート駆動回路26,27に転流し、かつ、安全にターンオフ動作を行ったということである。
一方、Lレベルの出力信号D5が持つ意味は、遮断電流が完全にゲート駆動回路26,27に転流しなかったということである。
つまりゲート電極Gとカソード電極K間の電圧変化に従ってGCT21,22のゲート駆動回路26,27への転流状態を推定することができる。
【0055】
したがって、ゲート電圧検出時間設定回路52により設定された時間以内に転流状態推定回路41,42が転流状態の完了を推定しなかった場合には、電力変換装置に何らかの異常が発生し、予め想定した最大電流を超えた電流をGCT21,22が遮断、あるいは、GCT21,22に故障が生じたと判断できる。
そこで、この実施の形態2では、転流状態推定回路41,42が所定時間以内に転流状態の完了を推定しない場合、パルス発生回路25に対してスイッチングの停止を指示し、電力変換装置の運転を停止させるようにする。
【0056】
以上で明らかなように、この実施の形態2によれば、GCT21,22のゲート電極Gとカソード電極K間の電圧変化を監視して、GCT21,22のアノード電極Aから直接カソード電極Kに流れる全電流がゲート電極Gを介して流れるように変化する転流の状態を推定するように構成したので、万一何らかの事故が発生しても、電力変換装置の運転を停止することができるようになり、その結果、事故の拡大を防止することができるため、電力変換装置の信頼度を高めることができる効果を奏する。
【0057】
なお、この実施の形態2が意図するところは、ゲート電極Gとカソード電極K間の電圧変化に基づいて、GCT21,22のゲート駆動回路26,27への転流状態を推定することと、推定結果に従って電力変換装置の運転を停止することであり、その意図する範囲で図示しない他の構成でもって同様の結果を得ることができることは理解されるべきである。
【0058】
実施の形態3.
上記実施の形態2では、ゲート電圧検出時間設定回路52がゲート電圧の検出時間(ゲート電圧検出時間設定回路52がHレベルの信号を出力する時間)を設定するものについて示したが、ゲート駆動回路26,27がターンオフの実行を開始してから、アノード電極Aとカソード電極K間の電圧が立ち上がるまでに要する時間を検出時間に設定するようにしてもよい。具体的には以下の通りである。
【0059】
図10の上部はGCT21,22のターンオフ動作に伴うゲート電極Gとカソード電極K間の電圧変化を模式的に示し、GCT21,22の遮断電流が増加するとJ3接合の逆バイアス電圧が現れる時刻は遅れる特性を示している。図10の中部はGCT21,22のアノード電極Aとカソード電極K間の電圧を示し、J3接合が逆バイアスされた後、J2接合の空乏層が拡がるにつれて上昇する。スイッチング信号S0がオン指令からオフ指令に変更されてからアノード電極Aとカソード電極K間の電圧が立ち上がり始める時刻T11は、殆ど遮断電流に対して変化を示さない。これは図4に示す計測結果から見い出された事実である。
【0060】
J3接合が逆バイアスされずにJ2接合の空乏層が拡がると、GCT21,22のアノード電極Aからカソード電極Kに直接流れる電流が完全にゲート駆動回路26,27に転流しておらず、不完全なターンオフ動作状態を呈する。つまり、スイッチング損失が極端に増加して局部的に接合温度の上昇を招き、ひいては素子破壊に至る危険性が非常に高くなることを意味する。
【0061】
この事実を踏まえて、図9におけるゲート電圧検出時間設定回路52による検出時間の設定方法を説明する。
時刻T10は前述したように、電力変換装置を構成するGCT21,22が遮断する可能性のある最大電流値を遮断した場合にJ3接合が逆バイアス電圧を発生する時刻である。図10は3つの異なる検出時間の設定S6(1)〜S6(3)を示している。図9において、S6に対するゲート電圧検出回路53の出力信号はD6とする。
【0062】
まず、S6(1)の場合、即ち、時刻T10からT11の期間にゲート電圧を検出する場合について説明する。
この場合には、時刻T11以降において、ゲート電圧検出回路53の出力信号D6がHレベルであるならば、GCT21,22が安全なターンオフ動作を行ったことを意味している。一方、出力信号D6がLレベルであるならば、GCT21,22がターンオフの失敗を起こす可能性が極めて高いことを意味している。
従って、出力信号D6がLレベルであれば、GCT21,22の故障が発生することを推測できるため、パルス発生回路25に出力信号D6をフィードバックしてパルスの発生を停止させて、GCT21,22のスイッチング動作を停止させることにより、電力変換装置の運転を停止することが可能である。
【0063】
次に、S6(2)の場合、即ち、時刻T0からT10の期間にゲート電圧を検出する場合について説明する。
この場合には、時刻T10以降においてゲート電圧検出回路53の出力信号D6がHレベルであるならば、GCT21,22が、電力変換装置が扱うことのできる範囲の電流を遮断し、安全なターンオフ動作を行ったことを意味している。一方、出力信号D6がLレベルであるならば、GCT21,22の遮断した電流が電力変換装置に通常流れることのない電流を遮断したこと、あるいは、GCT21,22が故障したことを意味している。
従って、出力信号D6がLレベルであれば、何らかの異常事態が電力変換装置に発生したことを推測できるため、パルス発生回路25に出力信号D6をフィードバックしてパルスの発生を停止させて、GCT21,22のスイッチング動作を停止させることにより、電力変換装置の運転を停止することが可能である。
【0064】
次に、S6(3)の場合、即ち、時刻T0からT11の期間にゲート電圧を検出する場合について説明する。
この場合には、時刻T11以降においてゲート電圧検出回路53の出力信号D6がHレベルであるならば、GCT21,22が安全なターンオフ動作を行ったことを意味している。一方、出力信号D6がLであるならば、GCT21,22がターンオフの失敗を起こす可能性が極めて高いことを意味している。
従って、出力信号D6がLレベルであれば、GCT21,22の故障が発生することを推測できるため、パルス発生回路25に出力信号D6をフィードバックしてパルスの発生を停止させて、GCT21,22のスイッチング動作を停止させることにより、電力変換装置の運転を停止することが可能である。
【0065】
この実施の形態3が意図するところは、ゲート電極Gとカソード電極K間の電圧変化に基づいてGCT21,22のゲート駆動回路26,27への転流状態から電力変換装置の異常事態発生を推定することと、推定結果に従って電力変換装置の運転を停止することであり、その意図する範囲で図示しない他の構成でもって同様の結果を得ることができることは理解されるべきである。
【0066】
実施の形態4.
この実施の形態4では、上記実施の形態3において、特に電力変換装置の運転を停止するために許される時間について言及する。図8に示す電力変換装置を構成するGCT21,22は、パルス発生回路25によりオンオフ状態が共役の関係をもつスイッチング信号が与えられる。その一例は、既に図19に示している。
【0067】
図10における時刻T0は、図19における時刻T1あるいは時刻T3に相当する。ここで注目すべきは、短絡防止時間Tdの期間である。
まず、スイッチング信号に注目すれば、唯一短絡防止時間Tdの期間だけにオフ指令が、GCT21,22のゲート駆動回路26,27に与えられている。
【0068】
例えば、時刻T1において、GCT22がターンオフに失敗したとしても電力変換装置内に流れる電流の変化率は負荷回路により定められる程度に低く保たれるため、電力変換装置内の回路状態が極端な変化を示すことは通常起こりえない。その場合に、GCT22のゲート電極Gとカソード電極K間の電圧変化に基づいて、転流状態推定回路42が電力変換装置の異常事態発生を推定してから、その推定結果に従って電力変換装置の運転を停止するまでに短絡防止時間Td以上を経過した場合には、図19において時刻T2以降に電力変換装置を停止することになる。この場合にはGCT21のゲート駆動回路26には既にパルス発生回路25からオン指令が与えられた後になるため、図8の直流電源23はGCT21,22により短絡される。
【0069】
この時に直流電源23から流れ出す短絡電流は数10kA以上の大電流となり、ヒューズなどを備えていない場合には直流電源23の電圧がゼロ電圧となるまで短絡電流が継続することになる。この場合の短絡電流に備えて強度に固定されたブスバーなどが用いられたりすることもある。
【0070】
一方、短絡防止時間Td以内でパルス発生回路25のスイッチング信号を保持することができれば、GCT21,22のスイッチング信号を伴にオフ指令で保持することができる。このため時刻T1において、GCT22のターンオフに失敗が生じた後でも、時刻T2にGCT21へオン信号が与えられることはなく、直流電源23の短絡事故発生を未然に防止することができる。
【0071】
この実施の形態4が意図するところは、ゲート電極Gとカソード電極K間の電圧変化に基づいて、GCT21,22のゲート駆動回路26,27への転流状態から電力変換装置の異常事態発生を推定することと、推定結果に従って電力変換装置の運転を少なくとも短絡防止時間が経過するまでに停止することであり、その意図する範囲で図示しない他の構成でもって同様の結果を得ることができることは理解されるべきである。
【0072】
実施の形態5.
図11はこの発明の実施の形態5による電力変換装置を示す構成図であり、図において、図8と同一符号は同一または相当部分を示すので説明を省略する。
61,62はGCT(自己消弧型半導体素子)、63,64は直流電源、65,66はクランプダイオード、67,68はゲート駆動回路26,27と同様のゲート駆動回路(制御手段)、69,70は転流状態推定回路41,42と同様の転流状態推定回路(転流状態推定手段)である。
【0073】
次に動作について説明する。
この実施の形態5は、上記実施の形態4の基本的考え方を、3レベルインバータ構成を有する電力変換装置に適用するものである。
図11は出力端子24に対して3つの異る電圧レベルP、C、Nを出力できる電力変換装置であり、その特徴から3レベルインバータと呼ばれるものである。
【0074】
図12はパルス発生回路25からGCT21,61,62,22に与えられるスイッチング信号と、それに対応する出力端子24の電位を示している。ただし、短絡防止時間Tdの期間中は、出力端子24の電位が図示しない負荷回路に流れる電流の向きにより定まるため、図12では不定と表現している。
図11に示す電力変換装置については、図12に示すようにGCT21とGCT62、あるいは、GCT61とGCT22に共役関係をもつスイッチング信号が与えられる。即ち、図19にある短絡防止時間Tdは、図12において、GCT21とGCT62、あるいは、GCT61とGCT22の組合せに対してスイッチング信号がオン指令からオフ指令に変化する度毎に設けられる。
【0075】
上記実施の形態4に示したように、GCT21,61,62,22のゲート電極Gとカソード電極K間の電圧変化に基づいて、例えば、時刻T12において、転流状態推定回路42によりGCT22のゲート駆動回路27への転流状態から電力変換装置の異常事態発生を推定した場合に、その推定結果に従って時刻T13が経過する(短絡防止時間Tdが経過する)までに、パルス発生回路25がスイッチング信号を保持すると、GCT62だけはオン指令が与えられたままの状態が続くことになる。
【0076】
時刻T12において、GCT22がターンオフの失敗により破壊に至り、スイッチング信号が保持されたときには、図11において、GCT62とGCT22はオン状態であるが、GCT21とGCT61は健全なオフ状態である。このため時刻T12からT13の短絡防止時間Tdにおいて、スイッチング信号が保持された場合においては、直流電源63,64を短絡させることは決してない。つまり直流電源63,64の短絡事故の発生を未然に防止することができる。
【0077】
更に、時刻T14において、転流状態推定回路70によりGCT62のゲート駆動回路68への転流状態から電力変換装置の異常事態発生を推定した場合に、その推定結果に従って時刻T15が経過する(短絡防止時間Tdが経過する)までに、パルス発生回路25がスイッチング信号を保持すると、GCT61だけはオン指令が与えられたままの状態が続くことになる。
【0078】
時刻T14において、GCT62がターンオフの失敗により破壊に至り、スイッチング信号が保持されたときには、図11において、GCT61とGCT62はオン状態であるが、GCT21とGCT22は健全なオフ状態である。このため時刻T14からT15の短絡防止時間Tdにおいて、スイッチング信号が保持された場合においても、直流電源63,64を短絡させることは決してない。つまり直流電源63,64の短絡事故の発生を未然に防止することができる。他の短絡防止時間Tdの期間、例えば、時刻T16からT17、あるいは、時刻T18からT19についても同様である。
【0079】
つまり、電力変換装置が図11に示すような3レベルインバータから構成される場合においても、短絡防止時間Td以内でパルス発生回路25のスイッチング信号を保持することができれば、GCT21,61,62,22のうち、1つのGCTがターンオフを失敗した後でも、直流電源63,64の短絡事故の発生を未然に防止することができる。
【0080】
この実施の形態5が意図するところは、ゲート電極Gとカソード電極K間の電圧変化に基づいて、GCT21等のゲート駆動回路26等への転流状態から電力変換装置の異常事態発生を推定することと、推定結果に従って電力変換装置の運転を少なくとも短絡防止時間Tdが経過するまでに停止することであり、その意図する範囲で図示しない他の構成でもって同様の結果を得ることができることは理解されるべきである。例えば、パルス発生回路25によりスイッチング信号が保持されてから、負荷回路の電流が収束した後に全てのスイッチング信号をオフにするなどの機能はもちろん追加されても構わない。
【0081】
ここで、時刻T12の後に転流状態推定回路42により電力変換装置の異常が推定された場合に、すべてのGCT21,61,62,22に対するスイッチング信号をオフ指令とすることが可能ではないかと考えるかも知れないが、そのようにスイッチング信号を処理することも物理的にできなくはない。しかしながらこの時点で、GCT22は予め想定されなかった過大な電流を遮断してターンオフ破壊した可能性があり、この過大な電流は同時にGCT62にも流れている可能性が非常に高い。仮に、すべてのGCT21,61,62,22に対してオフ指令を与えたならば、GCT62も同時に破壊してしまう危険性が存在する。従って、この危険を未然に回避するためにパルス発生回路25においてスイッチング信号を保持することが好ましい。
【0082】
実施の形態6.
上記実施の形態1から実施の形態5では、ゲート電圧検出時間設定回路32,52により設定された検出時間の調整については特に言及していないが、GCT21等の接合温度に応じて検出時間を調整するようにしてもよい。具体的には以下の通りである。
【0083】
GCT21等のターンオフ動作の際に生じるJ3接合の逆リカバリ電圧の発生する時刻は、図13に示すように接合温度Tjが高い場合には、接合温度Tjが低い場合に比べて遅れる特性がある。従って、事前に使用するGCT21等が呈する固有の接合温度と遅延時間との関係を知れば、図13に示すように接合温度に応じて、ゲート電圧検出時間設定回路32,52により設定された検出時間を調整することができる。
【0084】
図13では、例えば5kA遮断時の接合温度が低い場合と高い場合の電圧検出時間が異る様子を示している。例えば、GCT21等のパッケージ内部に備えた熱電対を用いて接合温度を検出することができる直接的な接合温度検出手段や、予め実際の接合温度とゲート駆動回路26等との温度差を知ってゲート駆動回路26等に備えた熱電対などで得られた温度から接合温度を推定することができる間接的な接合温度検出手段を備えることにより接合温度を検出し、その検出結果に応じて適当にゲート電圧の検出時間を調整することは実用的かつ効果的な適用方法である。
【0085】
実施の形態7.
図14はこの発明の実施の形態7による電力変換装置を示す構成図であり、図において、図8と同一符号は同一または相当部分を示すので説明を省略する。
71〜74はGCT(自己消弧型半導体素子)、75〜78はゲート駆動回路26,27と同様のゲート駆動回路(制御手段)、79〜82は転流状態推定回路41,42と同様の転流状態推定回路(転流状態推定手段)、83は転流状態推定回路41,79,80,42,81,82からそれぞれ推定結果を集計し、その集計結果にしたがってGCTの故障数を推定するとともに、その故障数が規定数を超えるとパルス発生回路25に対してスイッチングの停止を指示する装置状態推定回路(装置状態推定手段)である。
【0086】
この実施の形態7では、複数のGCTが直列に接続されて電力変換装置が構成されており、上アームはGCT21,71,72から成り、下アームはGCT22,73,74から成る。互いのアームのスイッチング信号は、図19に示すような共役関係を持つものである。即ち、図19のSWaは上アームのGCT21,71,72に与えられ、SWbは下アームのGCT22,73,74に与えられる。
ここでは、各アームを構成するGCTの直列接続数が3の場合を図示しているが、この実施の形態7の本質は、直列数を特に制限するものではない。
【0087】
図15は装置状態推定回路83の具体的構成を示す構成図であり、図において、91,92は転流状態推定回路41,79,80,42,81,82の出力信号Sa〜Sc,Sd〜Sfを抽出するデータ抽出回路であり、データを抽出するタイミングは、好ましくは図10の時刻T11以降とする。93,94はデータ抽出回路91,92の出力信号に基づいて電力変換装置の運転継続の可能性を判断して、その結果を出力信号Sopとして出力するとともに、各アームを構成するGCTの素子故障数を出力信号NpまたはNnとして図示しない上位制御回路に伝達する装置状態判定回路、95はOR回路である。
【0088】
次に動作について説明する。
まず、データ抽出回路91,92は、各々のアームにある転流状態推定回路41,79,80,42,81,82からの出力信号Sa〜Sc、Sd〜Sfを入力する。
データ抽出回路91は図19の時刻T3からT4の間に動作し、データ抽出回路92は図19の時刻T1からT2の間に動作するものとする。上アームと下アームの動作は基本的に同じであるため、ここからは上アームの動作に注目して説明する。
【0089】
図19に示すスイッチング信号SWaはGCT21,71,72に等しく与えられており、時刻T3において、GCT21,71,72から構成される上アームにオフ指令が与えられるため、その直後に転流状態推定回路41,79,80は、GCT21,71,72が正常に転流したか否かの情報を出力信号Sa〜Scとして装置状態推定回路83のデータ抽出回路91に伝達する。図19の時刻T4が経過する前、即ち、短絡防止時間Tdが経過する前にデータ抽出回路91は転流状態推定回路41,79,80の出力信号Sa〜Scを抽出する。
【0090】
ところで、幾つかのGCTを図14に示すように直列接続する場合には、しばしば冗長設計が適用される。つまり予め決められた個数以内のGCTが万一故障しても電力変換装置は運転を継続し、それ以上の故障が発生すれば運転を停止するものである。
【0091】
そこで、データ抽出回路91は、前述したように図19における時刻T4が経過する前、即ち、短絡防止時間Tdの期間に、転流状態推定回路41,79,80の出力信号Sa〜Scを抽出する。
例えば、図14に示すように、電力変換装置の冗長数を1とし、1つの素子故障を検出しても電力変換装置の運転を継続し、2つ以上の素子故障を検出した場合には運転を停止するものとする。
転流状態推定回路41,79,80の出力信号Sa〜Scの各々が、Hレベルであればゲート電極Gへの転流が正常に行われ、Lレベルであれば転流が正常に行われなかったものと判断できる。
【0092】
したがって、図16に示すようにデータ抽出回路91により抽出されたSa〜Scのデータに対するテーブルを用意することができる。
例えば、(Sa,Sb,Sc)=(L,H,H)であれば、GCT21のみの1個が素子故障であるため、電力変換装置の運転を継続できると判断し、この場合の出力信号SopはHレベル、Npは1となる。
【0093】
また、(Sa,Sb,Sc)=(L,H,L)であれば、GCT21とGCT72が素子故障と推定できるため、電力変換装置の運転を停止しなければならないと判断し、この場合の出力信号SopはLレベル、Npは2となる。
更に(Sa,Sb,Sc)=(L,L,L)の場合には、全ての素子が故障したか、もしくは、電力変換装置に流れる電流が予め想定される電流値を超えて流れている、つまり電力変換装置に異常事態が発生したと判断することができるため、その運転を停止しなければならないと判断し、この場合の出力信号SopはLレベル、Npは3となる。つまりSa,Sb,Scにより電力変換装置の運転を継続するか否かを判断することができる。
【0094】
また、図15に示す運転可能か否かの信号Sopを短絡防止時間Tdの期間内に図14に示すパルス発生回路25にフィードバックすることにより、直流電源23を短絡させずに電力変換装置を安全に停止することが可能である。
なお、必要に応じて上下各アームの素子故障数Np、Nnを図14には図示しない上位の制御回路に出力することができることは明らかである。
【0095】
以上で明らかなように、この実施の形態7によれば、各転流状態推定回路41,79,80からそれぞれ推定結果を集計し、その集計結果にしたがってGCTの故障数を推定するとともに、その故障数が規定数を超えるとパルス発生回路25に対してスイッチングの停止を指示するように構成したので、電源短絡事故を確実に防止することができる一方、運転に支障がない範囲内で運転を継続することができる効果を奏する。
【0096】
この実施の形態7が意図するところは、電力変換装置が同じタイミングでスイッチングする幾つかのGCTから構成される場合に、ゲート電極Gとカソード電極K間の電圧変化に基づいて、GCT21等のゲート駆動回路26等への転流状態から電力変換装置の異常事態発生を推定することと、推定結果に従って電力変換装置の運転を少なくとも短絡防止時間Tdが経過するまでに停止することであり、その意図する範囲で図示しない他の構成でもって同様の結果を得ることができることは理解されるべきである。
【0097】
実施の形態8.
上記実施の形態では、自己消弧型半導体素子としてはGCTを適用するものについて示したが、これは現時点において最も大容量、かつ、ターンオフゲイン1で駆動される自己消弧型半導体素子であるからである。
例えば、GTOであればターンオフゲインが比較的大きく、そのばらつきが大きいためJ3接合の逆バイアス電圧を精度よく、かつ、高速に検出することができなかった。しかしながら、GCTではターンオフゲインが1であるため、前述したようにJ3接合の逆バイアス電圧を非常に精度よく、安定かつ高速に検出することができる。従って、現時点では、上記実施の形態を実現する自己消弧型半導体素子はGCTに限られる。
【0098】
しかしながら、将来において、例えば、GCTに取って代って静電誘導型ターンオフサイリスタやシリコンカーバイドからなる自己消弧型半導体素子が実用化された場合には、上記実施の形態を実現することができる。
【0099】
実施の形態9.
上記実施の形態1では、ゲート駆動回路26と遮断電流推定回路28が分離して示されており(図1を参照)、上記実施の形態2では、ゲート駆動回路26と転流状態推定回路41が分離して示されている。
これは各実施の形態を説明するために便宜的に為されたものであり、ゲート駆動回路26の内部に遮断電流推定回路28、あるいは、転流状態推定回路41が格納されてもよい。また、ゲート駆動回路26の内部に遮断電流推定回路28と転流状態推定回路41が共に格納されていてもよい。
【0100】
また、ゲート電極Gとカソード電極K間の電圧を検出するために、例えば、図1では直接ゲート電極Gとカソード電極K間の電圧を入力しているが、アノード電極Aとカソード電極K間の電圧とアノード電極Aとゲート電極G間の電圧から演算して、ゲート電極Gとカソード電極K間の電圧を得ることは可能である。また、フィルタ回路を通したゲート電極Gとカソード電極K間の電圧を遮断電流推定回路28、あるいは、転流状態推定回路41などに入力してもよい。
【0101】
さらに、例えば、図1などに示した閾値Vthは、ゲート電極Gの電位を基準に設定したが、当然のことながらカソード電極Kの電位を基準に閾値Vthを設定してもゲート電圧比較部31としての機能を果たすことができることは明らかである。
【0102】
【発明の効果】
以上のように、この発明によれば、制御手段が自己消弧型半導体素子のターンオフの実行を開始すると、自己消弧型半導体素子のゲート電極とカソード電極間の電圧が閾値を超えるまでに要する時間を計測し、その時間から自己消弧型半導体素子の遮断電流を推定するように構成したので、万一何らかの事故が発生しても、電力変換装置の運転を停止することができるようになり、その結果、事故の拡大を防止することができるため、電力変換装置の信頼度を高めることができる効果がある。
【0103】
この発明によれば、制御手段がターンオフの実行を開始すると、ゲート電圧比較部の比較結果を参照して、そのゲート電極とカソード電極間の電圧が閾値を超えるまでに要する時間を計測し、その時間から遮断電流を判定するように構成したので、複雑な構成を用いることなく、簡単に遮断電流を判定することができる効果がある。
【0104】
この発明によれば、遮断電流が基準電流を超えると制御手段に対してスイッチングの停止を指示するように構成したので、事故の拡大を防止することができる効果がある。
【0113】
この発明によれば、ゲート転流型ターンオフサイリスタを用いて自己消弧型半導体素子を構成するようにしたので、電源短絡事故を確実に防止できる電力変換装置を構成することができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の実施の形態1による電力変換装置を示す構成図である。
【図2】 ゲート転流型ターンオフサイリスタのターンオフ波形を示す波形図である。
【図3】 ゲートの転流動作を示す説明図である。
【図4】 遮断電流に対するゲート電圧特性を示す波形図である。
【図5】 遮断電流推定回路の具体的構成を示す構成図である。
【図6】 遮断電流推定回路の動作原理を示す信号パターン図である。
【図7】 遮断電流の推定に使用するテーブル図である。
【図8】 この発明の実施の形態2による電力変換装置を示す構成図である。
【図9】 転流状態推定回路の具体的構成を示す構成図である。
【図10】 転流状態推定回路の動作原理を示す信号パターン図である。
【図11】 この発明の実施の形態5による電力変換装置を示す構成図である。
【図12】 3レベルインバータのスイッチング信号を示す信号パターン図である。
【図13】 接合温度の相違に伴う電圧変化の相違を説明する信号パターン図である。
【図14】 この発明の実施の形態7による電力変換装置を示す構成図である。
【図15】 装置状態推定回路の具体的構成を示す構成図である。
【図16】 運転の継続等を判断する際に使用するテーブル図である。
【図17】 ターンオフサイリスタの素子構造を示す構造図である。
【図18】 従来の電力変換装置を示す構成図である。
【図19】 共役関係を有するスイッチング信号を示す信号パターン図である。
【符号の説明】
21,22,61,62,71〜74 GCT(自己消弧型半導体素子)、25 パルス発生回路(制御手段)、26,27,67,68,75〜78 ゲート駆動回路(制御手段)、28,29 遮断電流推定回路(遮断電流推定手段)、31,51 ゲート電圧比較部、32 ゲート電圧検出時間設定回路(遮断電流判定部)、33 ゲート電圧検出回路(遮断電流判定部)、34 遮断電流判定回路(遮断電流判定部)、41,42,69,70,79〜82 転流状態推定回路(転流状態推定手段)、52 ゲート電圧検出時間設定回路(転流状態判定部)、53 ゲート電圧検出回路(転流状態判定部)、83 装置状態推定回路(装置状態推定手段)。

Claims (4)

  1. 自己消弧型半導体素子のゲート電極とカソード電極間に順電圧又は逆電圧を印加して、その自己消弧型半導体素子のスイッチングを制御する制御手段と、上記制御手段が当該自己消弧型半導体素子のターンオフの実行を開始すると、上記自己消弧型半導体素子のゲート電極とカソード電極間の電圧が閾値を超えるまでに要する時間を計測し、その時間から上記自己消弧型半導体素子の遮断電流を推定する遮断電流推定手段とを備えた電力変換装置。
  2. 自己消弧型半導体素子のゲート電極とカソード電極間の電圧と閾値を比較するゲート電圧比較部と、制御手段がターンオフの実行を開始すると、上記ゲート電圧比較部の比較結果を参照して、そのゲート電極とカソード電極間の電圧が閾値を超えるまでに要する時間を計測し、その時間から遮断電流を判定する遮断電流判定部とから遮断電流推定手段を構成することを特徴とする請求項1記載の電力変換装置。
  3. 遮断電流推定手段は、遮断電流が基準電流を超えると制御手段に対してスイッチングの停止を指示することを特徴とする請求項1記載の電力変換装置。
  4. ゲート転流型ターンオフサイリスタを用いて自己消弧型半導体素子を構成することを特徴とする請求項1記載の電力変換装置。
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